Q-53 消費税増税法成立&相続税増税案

Q53
消費増税法が成立しました、事業者としてはどのような影響があります
か?また相続税についても、H25 年度改正で増税法案が成立となる見通しと
のこと、概要を教えて下さい。
A:
消費税率が 5%→8%→10%と段階的に引き上げとなります。今後、この消
費増税法に対応した改正が行われ、価格の転嫁対策、食料品などを軽減する複数
税率の導入、簡素な給付措置や給付付き税額控除などについて検討されます。
相続税の改正は、基礎控除の引き下げや保険金の非課税限度額の引き下げな
ど、増税にむけて議論が進んでいます。
1.消費増税法が成立
消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法は 8 月 10 日の参議院本会議で、民
主・自民・公明 3 党などの賛成多数で可決、成立しました。
税率は 2 段階で引き上げとなります。
また、今回の法律の附則において、経過措置が設けられ、例えば工事等の請負契約に基
づく譲渡について、引渡日が H26.4.1 以後である場合でも、契約日が H25.10.1 の前日まで
であった場合には、5%の税率が適用となります。それぞれの引き上げに係る経過措置の基
準となる「指定日」は、8%引き上げに係る「指定日」は H25.10.1 であり、10%引き上げ
に係る「指定日」は H27.4.1 となります。
現行
H26.4.1∼
H27.10.1∼
税率
5%
8%
10%
(消費税)
(4%)
(6.3%)
(7.8%)
(地方税)
(1%)
(1.7%)
(2.2%)
2. 中小企業対策
価格の転嫁対策については、
「消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、独占禁
止法・下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずること」と修正案により踏み込んだ
内容で盛り込まれ、企業間取引において中小企業が実質値下げを余儀なくされることはな
いよう対策を講じています。
一方、益税対策としては、「消費税の簡易課税制度の仕入れにかかる概算的な控除率につ
いては、今後、さらなる実態調査を行い、その結果も踏まえたうえで、その水準について
必要な見直しを行う」としています。
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3.消費税の軽減税率
低所得者対策としての負担軽減における議論は、まだ着地点が見えておらず、当面は一
律で定額の現金を配り、将来は所得税額の控除と現金給付を組み合わせた制度の導入を図
ることとなりそうです。その導入には番号制度の導入が前提となっています。
医療器具・住宅・車など高額商品の購入については、具体的に検討としており、その一
方「複数税率の導入について、財源の問題、対象範囲の限定、中小事業者の事務負担等を
含め様々な角度から総合的に検討する」との記載のみとなっています。
4. 所得税の改正について
最高税率の引き上げ等については、今回の法律の附則において、H25 年度改正において再
度検討することが明記されました。
5.相続税の改正について
相続税の法案についても今回は見送られましたが、今回の法律の附則において H25 年度
改正(適用時期は H27.1.1 以降の相続から対象になると考えられます)で再度検討すること
が明記されました。今回の政府案は以下のとおりです。全体として増税ですが、生前贈与
については要件が緩和され、未成年者控除・障害者控除については拡大となっています。
基礎控除額の引き下げ
現行
改正案
定額控除
5,000 万円
3,000 万円
法定相続人
1,000 万円×法定
600 万円×法定相
比例控除
相続人数
続人数
生命保険金
非課税限度額の引き下げ
相続税率
引き上げ
未成年者控除・障害者控除
控除額の引き上げ
贈与税率
引き上げ
相続時精算課税
贈与者の年齢引き下げ(65 歳以上→60 歳以上)
20 歳以上の者が直系尊属か
現行よりは引き上げとなるが、上記贈与税率よりは緩和
ら贈与により取得した財産
(相続時精算課税適用財産
を除く)に係る贈与税率
相続時精算課税の受贈者の
20 歳以上の孫を追加
適用範囲
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