大腸癌に対する結腸右半切除 ―D3郭清,no touch isolation technicを

大腸癌に対する結腸右半切除
―D3郭清,
no touch isolation technicを中心に―
愛知県がんセンター中央病院消化器外科
はじめに
平 井
孝
脈が共通幹を形成するものでこのため臨床的に中
結腸癌の手術手技は完成されたと言われて久し
結腸動脈を右枝・左枝として区別する呼称が一般
い.そして,1990年代からは腹腔鏡補助下手術も
的に通用していると思われる.約8%では右結腸動
導入され,完成した手技をいかに低侵襲に行なう
脈が回結腸動脈から分岐しており,2%で右結腸動
か,術後補助療法をいかに適切に行なうかが今後
脈が欠損する6)10)
(図1).また,約8%に副中結腸動
の課題とされてきた.しかしながら,過去30年間
脈(中結腸動脈より中枢側から分岐)も存在する.
1)
の遠隔生存成績を検討すると,
全国大腸癌登録 か
2)
∼4)
実際に D3郭清をしているとこれら解剖学的記載
5)
当院症例 からも経年的に成績
にうなずけることが多い.さらに静脈も変異が多
は改善している.補助化学療法,再発巣の切除,
く,右結腸静脈は57%で欠損しており,存在する
術前 staging の向上など複数の要因が考えられる
もののうち56%が SMV に直接流入し,44%が胃
にしても,リンパ節郭清(特に D3郭清)を標準化
結腸静脈幹に流入.中結腸静脈は本幹は約85%が
した手術手技の改善もその基本にあると考えられ
SMV に流入するが,本数も他の静脈への合流部
らも海外でも
6)
ている.今回は大腸癌取扱い規約第 7 版 にした
位も変異が多い11).変異を前提とした合理的な郭
がって,癌の手術としての血管処理やリンパ節郭
清手技が必要とされる.
清を中心として右側結腸に対する D3郭清の手技
リンパ節転移状況
についてビデオを用いて供覧する.
1.当院における症例(中間リンパ節解析のため
解
剖
大腸癌取扱い規約 6 版12)に従う)
1980年から2003年における右側結腸癌(盲腸,
1.右側結腸の膜構造
右側結腸間膜を被う腹膜は Toldt 癒合筋膜を形
上行結腸,横行結腸)手術症例は499例で stage
成して背側壁側腹膜(腎前筋膜ではない)に固定
別内訳は表1のごとくであった.部位による stage
されている.肝曲では膵頭十二指腸前面の腹膜と
の割合の変化は認めなかった.
癒合し膵前筋膜を形成している7)8).
2.根治度 A におけるリンパ節転移(表2)
リンパ節転移は,約40%の症例に認められた.
2.右側結腸の血管,リンパ管
右側結腸のリンパ流は血管に沿って発達してい
リンパ節検索個数は25.5±15個であった.リンパ
る が,回 結 腸 動 静 脈 分 岐 部 で は 上 腸 間 膜 静 脈
節郭清度は 3 群郭清354例(78%),2群郭清79例
(SMV)腹側に集まり,中枢側に向かうにつれて上
(17%),他 1 群以下であった.リンパ節転移状況
9)
腸間膜動脈(SMA)腹側から左側に向かう .これ
をみると傍腸管リンパ節で5cm 以上離れた部位
ら動静脈の分岐は変異に富む.回結腸動脈,右結
への転移は1∼2%と比較的低いが存在する.盲腸
腸動脈,中結腸動脈が SMV から三分岐する頻度
癌では口側(回腸)5cm 以上に 1 例(1.1%)転移
は38%に過ぎず,約50%は中結腸動脈と右結腸動
を認めた.一方,横行結腸では5cm 以上の傍腸管
25
小
腸
・
大
腸
1
大腸癌に対する結腸右半切除― D3郭清, no touch isolation technic を中心に―
図 1 右側結腸動脈分岐(MCA:中結腸動脈,RCA:右結腸動脈,I
CA:回結腸動脈,SMA:
上腸間膜動脈)
表 1 部位 s
t
a
ge別症例数(%)
s
t
a
ge
I
I
I
I
I
I
a
I
I
I
b
計
盲腸
上行結腸
横行結腸
計
2
4
(2
7
)
3
2
(3
6
)
2
1
(2
4
)
1
2
(1
3
)
8
9
(1
0
0
)
4
6
(2
3
)
7
0
(3
6
)
5
3
(2
7
)
2
8
(1
4
)
1
9
7
(1
0
0
)
3
5
(2
1
)
7
0
(4
2
)
3
7
(2
2
)
2
3
(1
4
)
1
6
5
(1
0
0
)
1
0
5
(2
3
)
1
7
2
(3
8
)
1
1
1
(2
5
)
6
3
(1
4
)
4
5
1
(1
0
0
)
表 2 部位別リンパ節転移状況
5
c
m 以上傍腸管
主リンパ節
支配動脈以外の中間リンパ節
盲腸
上行結腸
横行結腸
計
n(%)
1
(1
.
1
)
2
(2
.
2
)
1
(1
.
1
)
n(%)
4
(2
.
0
)
7
(3
.
6
)¥
7
(3
.
6
)#
n(%)
0
1
(0
.
6
)
2
(1
.
2
)*
n(%)
5
(1
.
1
)
9
(2
.
0
)
5
(1
.
1
)
¥ LN2
0
3
,2
1
3
,2
2
3
# LN2
0
2
,2
2
2
* LN2
1
2のみ
リンパ節転移を認めなかった.
上行結腸では口側,
も盲腸以外では1∼3%の転移を認めた.上行結腸
肛門側ともに5cm 以上に 4 例(2%)転移を認め
での LN222陽性 2 例は右結腸動脈欠損例であっ
た.さらに中枢側への転移状況を見ると主リンパ
た.したがって,盲腸,上行結腸,横行結腸(肝
節転移は0.6∼3.6%の頻度であったが,横行結腸
曲)を主占居部位とする腫瘍に対する 3 群リンパ
(LN223:1(0.6%)
)
で低かった.上行結腸では主
節郭清は大腸癌取扱い規約 7 版6)の郭清範 囲 に
よった,結腸右半切除が標準手技となる.
リンパ節転移は LN203,213,223といずれにも
認められ,範囲が広い.ただし,223陽性 2 例は右
no touch isolation technic
結腸動脈欠損例であった.盲腸―回結腸動脈,上
行結腸―右結腸動脈,横行結腸―中結腸動脈を支
1967年 Turnbull RB13)は no touch isolation tech-
配動脈とすると,支配動脈以外の中間リンパ節に
nic14)を癌に対する手術として提唱.Dukes C 症例
26
2007年(平成19年)度前期日本消化器外科学会教育集会
に対して,従来法
(外側アプローチ法)
と no-touch
ン,セフメタゾールが第一選択)を点滴投与を開
isolation technic による切除法を比較して 5 年生
始する.第一病日まで 2 日間の投与を行なう.
存率において28%:58%と no-touch 群の成績が
優れていたことを報告した.本方法は従来本邦の
2.皮膚切開(ビデオで供覧)
手術書等で変法として紹介されていた手技とは随
腹部正中切開にて開腹.約15cm の創の上2!3
分異なり,結腸の解剖学的特性からさきに血管を
が上腹部,下1!3が下腹部.創縁にはリングドレー
結紮処理できることを利用して,全ての血管処理
プをかけて保護.腹腔内を観察.Codman 社 Book-
を終えてから腸管の剥離切除を行なう手技であ
walter retracter をかけて広い術野を確保する.
る.癌の手術は癌細胞を拡散させないような愛護
的な手技が重要であるとされているが,まさにそ
3.内側アプローチ
の理念にかなった手技である.ただし,血管根部
腫瘍の存在は触視診で確認しておく.まず,小
の郭清は行なっていない.その後,反論論文によ
腸を創外右側に脱転.腸間膜根部を露出し腹膜切
り本手技による効果は否定され,ガイドラインで
開.癒合筋膜間を剥離.右尿管,gonadal vessels
15)
も評価は否定的である .反論のひとつである唯
は薄い膜をかぶったまま,背側に自然に落ちてい
16)
一の臨床比較試験 では本手技は有意差がなく効
く.十二指腸水平脚を露出しながら膵前筋膜も癒
果がないとされたが,報告されたデータでは対象
合筋膜間を剥離.膵と十二指腸間隙に誤って入り
は右及び左結腸であり,生存曲線においても肝転
込まないようにする.膵を確認すれば膵頭部から
17)
移無再発曲線をみても no-touch 群 が対照群と
十二指腸下行脚腹側は無血管野で容易に剥離を頭
交差せずに常に優れており症例数が不足して有意
側に行える.剥離した層に厚めのガーゼを敷いて,
差がでなかったことが推測される.手術後には末
誤って背側に落とした臓器を傷つけないようにし
18)
ておく.腸管切除距離10cm を保ち,回腸を一旦切
梢血癌細胞の増加を認める報告 もあり癌腫に触
19)
20)
.
離.この切離線から回結腸動静脈(回結腸動静脈
本アプローチは腹腔鏡手技になじむようでで開腹
は100%存在するメルクマールとなる血管)を切除
れない手技は外科医にとって魅力的である
21)
手技より興味を持たれている .網嚢側から血管
側に入れて SMV 末梢の回腸静脈に向かって腸間
処理を先行する手技も手術成績を改善させたと報
膜を切離.回腸静脈に突き当たり,この腹側,背
22)
告 されており,手術侵襲を大きくする手技では
側,右側を剥離.ここで SMA 腹側も剥離.SMA
ないので血管処理を優先する本手技は覚えておく
左側まで脂肪を郭清しながら中枢側に剥離を進め
べき方法である.
る.SMA 腹側には SMV への小腸静脈はまれにし
か存在しない.しかし,脂肪の厚い症例など細い
手術の実際
血管からの出血があることや血管周囲に至るまで
の剥離は薄い膜構造の切離が必要なので bipolar
盲腸から上行結腸,
肝曲を占拠する腫瘍が対象.
scissors を好んで使用している.SMV を剥離し,
回結腸静脈合流部を結紮切離.回結腸動脈はその
1.術前処置
食とし,就
やや中枢側で SMV の腹側,背側を走行するもの
寝前プルゼニド2錠内服.強い狭窄がないこと
(便
が半数ずつである.SMA 分岐部にて結紮切離す
通の有無,腹痛の有無)を確認し,術前日午後ク
る.SMV 背側にはリンパ節はあまりなく,これを
エン酸マグネシウム34g!
250ml およびピコスル
包んでいる膜を切離するのみである.これより中
ファートナトリウム液7.5% 10ml を内服.以後絶
枢側は横行結腸間膜の基部となり,血管が認識し
食. 手術当日にはグリセリン浣腸60ml を行なう.
にくく,また上述したように動静脈の変異が多い
執刀直前に予防的抗生物質(第二世代ピペラシリ
ため,安全に郭清を行なうために網嚢側からもア
術前 2 日前入院.入院後から低残
27
小
腸
・
大
腸
1
大腸癌に対する結腸右半切除― D3郭清, no touch isolation technic を中心に―
プローチする.
6.吻合
右側大網を横行結腸から剥離.網嚢を開放.膵
回腸結腸吻合は4-0PDS を用いて Gambee 法に
下縁を露出し,さらに横行結腸,十二指腸,膵頭
より端端吻合で行なう.回腸側が口径が小さい場
部の癒合筋膜(膵前筋膜)間を剥離.十二指腸下
合,回腸側をやや斜めに切離し,さらに腸間膜対
行脚寄りでは末梢からの剥離層が連続し交通す
側を縦切開して口径を合わせる.端側吻合も行わ
る.右結腸曲腸間膜内の血管群は中結腸動静脈と
れるが縦切開をすれば口径は合わすことができ
は区別される.この間を通るように横行結腸を一
る.最近では linear stapler による functional anas-
旦切離.膵下縁に向かって結腸間膜を切開してい
tomosis も選択肢のひとつとしてほぼ確立された
くと中枢側では膵下縁に SMV 前面が露出されて
が保険はきくものの高価であることが難点であ
おり, 末梢側からも SMV&A が露出されており,
る.腸間膜を連続縫合にて閉鎖.最初に切開した
その途中に切除側の結腸間膜の厚めの組織が残
腸間膜根の腹膜もねじれを防ぐために縫合する.
る.温存する中結腸動静脈を露出しながらこの組
回腸結腸吻合部から回腸末端腸間膜を剥離した後
織を切離していくと,中結腸動脈から分岐する右
腹膜面へ直接あたるように置いておく.固定はし
結腸動脈(右結腸曲動脈右枝,あるいは中結腸動
ない.小腸間膜のねじれのないことを確認.縫合
脈右枝と呼んでいる動脈)があれば,分岐部にて
不全の確率が低いこと,ドレナージが有効な部位
切離.なければそのまま中結腸動静脈に沿って
に常に留置できるとは限らないこと,異物による
SMV&A 腹側にいきつく.ここが最も変異が多
創傷治癒の障害のデメリットがあるため見張り的
く,脂肪の厚みもあるため難しい部位であるが,
あるいは予防的ドレーンは留置していない.
前後の剥離がしてあるため安心して切離できる
(図2)
.また,胃結腸静脈幹も露出され切除側から
7.腹壁縫合
ドレナージされる右結腸静脈を流入部位(胃結腸
筋層は0PDS ループ針による連続縫合を行な
静脈幹,中結腸静脈,SMV)にて切離するとすべ
う.皮下は汚染が少しでも心配されたら洗浄を行
ての血管処理がおわる.
なう.通常はイソジン綿球で切開面を拭くのみで
ある.皮膚は4-0PDS による皮下埋没連続縫合を行
4.右側結腸の後腹膜からの剥離
なう.死腔をなくすための皮下脂肪織の縫合は行
助手が口側,肛門側端を引いて右傍結腸溝を順
なわない.創感染の頻度は約3%である.
次展開していくと術者は容易に腹膜を切開するこ
とができ,すでに剥離してある内側からの癒合筋
8.術後管理
膜の剥離層と連続させて右側結腸を摘出する.腫
手術時から深部静脈血栓予防のため IPC(inter-
瘍部は剥離断端に腫瘍を露出させないよう surgi-
mittent pneumatic compression)device を下肢に
cal margin を確保する.
装着する.経鼻胃管は当日夕から第一病日早朝に
抜去する.予防的経静脈的抗生物質投与は術当日
5.外側アプローチ
を含めて 2 日間行なう.硬膜外麻酔は術後3∼4日
内側からの血管処理を先行するより外側から一
間は行なう.第二病日までには起立歩行を医療者
旦右側結腸を後腹膜より剥離する手技の方が血管
と一緒に行なう.第二病日には腸管麻痺の改善を
処理は容易とされている.しかし,前述した剥離
確認して水分を許可する.食事は第 4 病日から流
手順を覚えれば先に後腹膜より結腸全体を剥離し
動食,三分粥,全粥と 3 食ずつ上げていく.第一
なくても安心して血管処理が行える.外側アプ
病日,第三病日,第 7 病日に採血検査(末梢血,
ローチをしても血管処理の要点は同じである.
生化学検査)を行なう.ルーチンの X 線検査(胸
部,腹部単純)は行なわない.経過がよければ第
28
2007年(平成19年)度前期日本消化器外科学会教育集会
図 2 右側結腸の剥離層,動脈の処理(太矢印:癒合筋膜剥離層,細矢
印:変異の多い動脈処理部位)
小
腸
・
大
腸
1
7 病日以降の退院となる.
図 3 術後生存曲線(no
t
o
uc
hi
s
o
l
a
t
i
o
nt
e
c
hni
c
)
9.合併症
60例のうち術死0,
在院死亡0,
縫合不全 0 例,腹
腔内膿瘍 2 例(3.3%)
,上部消化管通過障害 1 例
(1.7%)
,腹壁創感染 2 例
(3.3%)
,術後腸閉塞 1 例
(1.7%)であった.
10.手術成績
1995年から2003年の間に演者によって行われた
no-touch isolation による結腸右半切除治癒切除例
29
大腸癌に対する結腸右半切除― D3郭清, no touch isolation technic を中心に―
表 3 初再発形式
初再発形式
n
肝
肺
腹膜
リンパ節
再発有無不明死
no
t
o
uc
h
参考(1
9
8
0~ 8
9年)
6
0
9
4
5
(8
.
3
)
5
(5
.
3
)
1
(1
.
7
)
7
(7
.
4
)
2
(3
.
3
)
3
(3
.
1
)
1
(1
.
7
)
4
(4
.
1
)
0
1
1
は60例であった.他病死 3 例を打ち切りとした
文
献
cancer specific survival ( Kaplan-Meier 法 ) は
1) Kotake K, Honjo S, Sugihara K, et al.
stage I(n=10)100%,stage II(n=22)83%,
Changes in colorectal cancer during a 20-
stage IIIa(n=15)92%,stage IIIb(n=10)89%
year period : an extended report from the
であった.ちなみに背景が異なり,術式の成績比
multi-institutional registry of large bowel
較にはならないが1980年から1989年の間の結腸右
cancer, Japan. Dis Colon Rectum 2003 ; 46
半 切 除 根 治 度 A の cancer specific survival は
(10 Suppl)
:S32―43.
stage (
I n=7)100%,stage II(n=43)93%,stage
2)Jagoditsch M, Lisborg PH, Jatzko GR, et al.
IIIa(n=26)76%,stage IIIb(n=14)44.9%であっ
Long-term prognosis for colon cancer related
た.
to consistent radical surgery : multivariate
analysis of clinical, surgical, and pathologic
11.初再発形式
variables. World J Surg 2000 ; 24 ( 10 ):
初再発形式は肝 5 例
(8.3%,4例肝切除,内 2 例
1264―70.
無再発生存)
,肺 1 例(1.7%)
,腹膜 2 例(3.3%)
,
3)Read TE, Mutch MG, Chang BW, et al. Lo-
縦隔リンパ節 1 例
(1.7%)
であった.ちなみに1980
coregional recurrence and survival after
年 か ら1989年94例 の 結 腸 右 半 切 除 で は 肝5
curative resection of adenocarcinoma of the
(5.3%)
,肺7(7.4%)
,腹膜3(3.1%)
,リンパ節4
colon. J Am Coll Surg 2002;195(1):33―40.
(4.1%)
,部位不明 1 例で,他病死11例,再発の有
4)Staib L, Link KH, Blatz A, Beger HG. Sur-
無不明が11例であったが,no-touch では肝転移は
gery of colorectal cancer:surgical morbid-
減っておらず,肺転移,リンパ節再発が少なかっ
ity and five- and ten-year results in 2400 pa-
た(表3 初再発形式)
.
tients―monoinstitutional experience. World
J Surg 2002;26(1)
:59―66.
おわりに
5)平 井
孝.大 腸 が ん.現 代 医 学 2005;53
(1):23―28.
右側結腸癌に対する結腸右半切除術は,アプ
6)大腸癌研究会.大腸癌取扱い規約.東京:金
ローチとして複数の方法がある.いずれのアプ
原出版,2006.
ローチにしても癌を治療する外科医は,手技に習
7)L Perlemuter JW.
(佐藤達夫,高橋孝訳) 臨
熟する必要がある.癌腫を愛護的に扱い,出血さ
せない,安易に縮小したリンパ節郭清にとどめな
床解剖学ノート
いことが肝心である.手技に習熟した上での過不
中央洋書,1981.
腹部編(II).43―59,東京:
8)佐藤達夫.解剖.68―78,
大腸・肛門外科,武
足のない外科治療を行ない,さらに適切な補助療
藤徹一郎編,朝倉書店,東京
法の施行,転移の治療などの後療法を行なうこと
1999.
9)佐藤健次.リンパ系局所解剖カラーアトラス,
で今後も大腸癌の治療成績がさらに向上すること
85―94,佐藤達夫編,文光堂.東京,1997.
が期待できる.
10)Michels NA SP, Kornblith PL et al. The vari-
30
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cise structure of the major veins and gastro-
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小
腸
・
大
腸
1