日本史Ⅰ

2015 年度 前期 2単位
日本史Ⅰ
対象学科・学年: 人間学部共通科目・1年
時
間: 月曜日 Ⅴ時限(16:20~17:50)
教
室: 1号館 123 教室
教
科
書: 講義でプリント資料を配付します
1.担当教員
(1) 名前: 三好俊文(みよしとしふみ)
(2) 研究室: 非常勤講師室
(3) オフィスアワー: 月曜日 15:30~16:10、講義終了後
(4) 主な研究・教育業績
東北学院大学文学部史学科卒業後、東北大学大学院国際文化研究科で博士(国際文化)の
学位を取得。同研究科専門研究員などを経て、現在は仙台市博物館学芸普及室に所属。
研究分野は日本中世史。特に平安末から鎌倉時代の中央・地方関係を研究。そのほか、仙台
市の歴史にも関心を持つ。主な業績は「『奥州惣奉行体制』と鎌倉幕府の列島統治」(入間田宣
夫編『東北中世史の研究 上巻』高志書院、2005 年)、「守護と在地武士団」(入間田宣夫編『兵
たちの登場』高志書院、2010 年)、「八幡荘と治承・寿永内乱」(『市史せんだい 23 号』仙台市博
物館、2013 年)、「藤原秀衡」(野口実編『中世の人物 第2巻』清文堂、2013 年)など。
本学「日本史Ⅰ・Ⅱ」のほか、他大学で「歴史Ⅰ・Ⅱ」「地域文化論」や日本中世史の講義などを
担当。また職務上、市民向け歴史講座などの講師も担当。
2.授業の目的
(1) 授業の目的
日本史の基礎的な知識と、歴史に接する際の複眼的な思考を獲得する。
(2) 到達目標
① 16 世紀までの日本列島で起こった出来事について、基礎的な知識を獲得する。
② 日本史(歴史)が叙述される仕組みと、歴史叙述の多様性を理解する。
③ 受講者各人が、それぞれの“歴史との付き合い方”を獲得する。
3.授業の概要
この講義の最大の目的は、“歴史は暗記”というイメージから抜け出すことにあります。そのために
は、歴史が記される仕組みを知り、さまざまな立場で過去を視てみようとする態度が必要です。
講義では、過去の出来事を知る仕組みを解説した上で、原始から戦国時代末までの日本の政治
動向や、「日本」の範囲の変化を詳述します。また、特に東北に寄り添いながら、地方の視点で日本
史を捉え直すことも試みます。きっと、歴史の叙述にはさまざまな形があるのだと感じることができる
はずですので、日本史の基礎的な知識に触れながら、“歴史は暗記だ”というイメージから卒業しま
しょう。
1
4.授業の受け方・勉強の仕方
(1) 授業の受け方
プリント資料に沿って、講義形式の授業を行う。講義冒頭で、その時間の講義内容についての
課題を明確にし、詳細な内容を講義していく。
講義を理解するために必要な情報は、プリント資料中の特に重要な情報と、プリント資料を補
足する情報とを板書する。受講者は、必要な情報か否かを自分で判断し、ノートをとること。また、
試験ではプリント資料と自作のノートの持ち込みを認めるので、講義冒頭に提示する課題と、その
課題に対する自分なりの回答をメモ程度でもノートしておくとよい。
講義内容に対する質問や、講義への要望は、講義で配布する質問カードを用いるか、オフィス
アワーに直接聴きに来てほしい。板書が読めない、話が聞き取れない、あるいはどうしても講義中
に質問したいということがあれば、挙手のうえ発言すること。
(2) 予習・復習の仕方
予習は配布するプリント資料に目を通す程度でよいが、疑問や関心を持った用語などについ
て、日本史の辞典で調べるか、担当教員に質問をすると、なおよい。
復習では講義で提示した課題や内容、シラバスの「6.授業計画」に示した復習事項を意識し
ながらプリント資料を熟読し、疑問を持ったことを日本史の辞典で調べるか、担当教員に質問をす
ること。なお、講義で提示した課題や、シラバスに示した復習事項で“考えてみる”とされている事
柄については、必ずしも答えを出す必要はない(まずは“考えてみる”ということが大切)。
予習や復習に用いる日本史の辞典は、吉川弘文館刊行の『国史大辞典』全 15 巻(本学図書館
に所蔵)が有効。また、身近に高校の日本史 B の教科書があれば、該当する時代を読むと、授業
への理解がより深まる。
5.受講にあたってのルール
(1) 私語、内職、居眠りなど、常識の範囲で授業を受ける態度として相応しくない行為は慎むこと。
あまりにも担当教員の常識とズレが大きい場合には、授業中に口頭で注意をし、場合によって
は退室を指示する場合もある。
(2) 毎回出席をとるので、欠席の場合には欠席届を提出すること。遅刻は、講義開始後 15 分まで
は許容する。早退は講義開始前に担当教員へ連絡しておくこと。なお、講義に 60 分以上参加
できない早退については、欠席扱いとする。
(3) 試験は論述形式で行う。論述の課題やルールについては、事前に公表する。必要に応じて論
述の準備を整えておくことは構わないが、全く同内容の論述が複数の答案に見受けられる場合
や、他人の文章の引き写し(書籍やインターネット情報の丸写しなど)がある場合にはカンニン
グと見なし、単位を認定しない。
6.授業計画
回
テーマ・内容
予習・復習
1
月日
4/13
オリエンテーション
授業の概要と目的、進め方などについて。
※半期を通じて、予習は配付資料を通
読する。
2
4/20
歴史叙述の仕組みと材料(1)―「史料」について―
過去の出来事を知る素材と用いられ方を理解する。
復:これまで触れてきた歴史の情報が、
史料か否か、考えてみる。
3
4/27
歴史叙述の仕組みと材料(2)―文字史料を知る―
過去の人々の手紙から、歴史の情報を取り出す。
復:自分で手紙を読み、情報を取り出
してみる。
4
5/11
歴史叙述の仕組みと材料(3)―絵画を読む―
過去に描かれた絵画から、当時の社会を読み解く。
復:自分なりに、絵画からその時代の
情報を取り出してみる。
2
5
5/18
歴史叙述の仕組みと材料(4)―地図を読む―
現代の地図から、歴史の痕跡を探る。
復:普段の生活のなかで、歴史の痕跡
を意識してみる。
6
5/25
原始・古代の日本(1)―日本列島の地域姓―
縄文・弥生文化の多様性と、日本の地域姓を理解する。
復:日本各地の“異なる文化”につい
て調べてみる。
7
6/1
原始・古代の日本(2)―律令国家の成立―
復:自分なりに、「日本」の登場過程を
飛鳥・奈良時代の政治と、日本の統合過程を理解する。
まとめてみる。
8
6/8
原始・古代の日本(3)―王朝国家の時代―
平安時代の政治に触れ、律令国家の変容を理解する。
9
6/15
原始・古代の日本(4)―「蝦夷」から考える―
復:歴史に触れる際の視点の大切さに
日本列島の統合過程を、統合された側の立場で視る。
ついて、考えてみる。
10
6/22
原始・古代の日本(5)―東アジアを視野に置く―
古代日本の歴史と東アジアの国際環境との関係。
11
6/29
中世の日本(1)―「武者ノ世」の開幕と地方社会―
復:鎌倉幕府を創ったのは誰か、考え
鎌倉幕府の成立を、中央と地方の関係から読み解く。
てみる。
12
7/6
13
7/13
中世の日本(3)―角逐する地方権力―
復:大名が戦争を繰り返した理由を考
大名の分立に注目しながら、室町・戦国時代を通観。
えてみる。
14
7/20
中世の日本(4)―蝦夷と琉球―
16 世紀までの北海道・沖縄の歴史を通観し、両地が
独自の歴史を歩んできたことを理解する。
復:沖縄・北海道の歴史を、自分なり
に調べてみる。
15
7/27
日本史との付き合い方を考える
講義の内容を“歴史の多様性”という視点でまとめ、日
本史(歴史)と接する際に必要な態度について考える。
復:自分なりに、暗記以外の歴史との
付き合い方を考えてみる。
8/3
中世の日本(2)―内乱の発生と2つの皇統―
南北朝時代を、中央と地方の関係から読み解く。
復:奈良時代と平安時代の相違点をま
とめてみる。
復:自国史に触れる際の“国際環境へ
の配慮”の必要性を考えてみる。
復:内乱が長期継続した理由を考えて
みる。
定期試験
※ 授業の展開によっては、変更の可能性があります。変更の場合には随時お知らせします。
7.評価方法
(1) 試験(70%)…定期試験日に論述試験を行う。課題やルールなどの詳細は事前に説明する。な
お試験の評価は、講義を踏まえながら、到達目標③についての自分の考えを、
自分の言葉で論述できているか否かに、最大の重点を置く。講義内容をまとめた
のみの答案や、年代と出来事を列記したのみの答案は、評価が大幅に低くなる
ので注意すること。
(2) 受講態度(30%)…質問カードを兼ねた出席カードで毎時間出席を取るので、その出席状況に
よって受講態度を判断する。また、質問が頻繁な受講者については、受講
態度が良いと判断する。
8.参考図書・文献
○下田淳『歴史学「外」論』(青木書店)
歴史学の方法や考え方が解説されている。読者のターゲットを大学生に想定しており、専門的
な事柄も平易な文章で記されていて分かり易い。第2回~第5回目の講義を理解し、より深めるこ
とができる。
○『仙台市史 全 32 巻』(仙台市史編さん委員会)
本学図書館に所蔵。仙台市の歴史についての概説書。市民向けの平易な叙述で、比較的読
みやすい。第3回・第5回の講義を理解し、より深めることができる。また、日本史を東北から捉え
直す視点を確保するために有用。
3
○『岩波講座日本通史 第2巻~第 10 巻』(岩波書店)
本学図書館に所蔵。各巻冒頭の「○世紀~○世紀の日本」といった題名の論文を読むと、日
本史の基本的な流れを掴むことができる。第6回目以降の講義内容を理解し、より深めることがで
きる。ただし難易度は少し高め。
○『日本の中世 全 12 巻』(中央公論新社)
泉区図書館に所蔵。日本中世史に関わる新しい成果を取り込んだ、テーマ別の書物。一般向
けの平易な叙述で、読みやすい。第 11 回目以降の講義を理解し、より深めることができる。また、
講義に関わりなく、平安時代末から戦国時代までの日本史の読み物としても良質。
○『国史大辞典 全 15 巻』(吉川弘文館)
本学図書館に所蔵。日本史の用語や考え方を調べるのに有用。
9.履修上の注意
(1) 日本史の知識の有無は問わないが、後期開講の「日本史Ⅱ」の受講を希望する学生は、この
講義も受講しておくこと。
(2) 教育職員免許状の取得を希望する学生は、選択科目なので、単位取得が必要かどうかよく検
討すること。
(3) 受講に関しての不安は、その都度相談して下さい。できうる限り対応できるよう心がけます。
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