■ 建築認証事業本部 法第27条「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」の改正について 平成27年6月1日に施行された改正建築基準法のうち、法第27条の「耐火建築物等としなければならない特殊 建築物」について紹介します。 1.概要 改正前は「耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物」というタイトルでしたが、改正後は 「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」に変更されました。 これは改正前において、建築物の用途、階数又は面積等によって、耐火建築物又は準耐火建築物としなければ ならないと一律に規定されていましたが、特殊建築物の在館者の全てがその建築物から地上までの避難を終了 するまでの間、火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するという主要構造部に求める性能(特定避難時間)を 明確化し、性能規定化を行うこととしたものです。 また外壁の開口部についても在館者の避難安全の確保という観点から、火災による火熱が加えられた場合に、 屋内への遮炎性能を求めるようになりました(片面20分の防火設備)。 なお、すべての特殊建築物がこのような考え方に基づくものではなく、倉庫や自動車車庫及び自動車修理工場 などは、従来どおりの規制(耐火建築物又は準耐火建築物)となっています。 表1)耐火建築物等としなければならない特殊建築物 法別表第一 の例 改正前 改正後 用途等 主要構造部 外壁の開口部(*1) 主要構造部 外壁の開口部(*1) 2 階建て病院(注) 45 分準耐火構造 両面 20 分防火設備 特定避難時間 片面 20 分防火設備 3 階建て共同住宅 一時間準耐火構造 両面 20 分防火設備 特定避難時間 片面 20 分防火設備 3 階建て学校 耐火構造 両面 20 分防火設備 特定避難時間 片面 20 分防火設備(*2) 3 階建て自動車車庫 耐火構造 両面 20 分防火設備 耐火構造 両面 20 分防火設備 (注)2階の床面積の合計が300㎡以上 (*1)延焼ライン内にある外壁の開口部を指します(以下、同じ)。 (*2)他の外壁の開口部から火炎が到達する範囲(上方及び左右方向)の開口部(以下、対象範囲開口部といいます)も含まれます。 2.特定避難時間倒壊等防止建築物について 倉庫や自動車車庫等の特殊建築物は、従来どおりの規制である耐火建築物又は準耐火建築物(改正法27条2 項及び3項)となりますので、それら以外についてご説明します。 例えば、法別表第一に規定する一定規模以上の劇場、病院、共同住宅、学校などは、今までの何時間耐火構 造などではなく、特定避難時間という考え方に変更されています(令110条関係)。 特定避難時間とは、当該建築物が自力避難や救助による避難も含め在館者の全てが地上までの避難を終了す るまでに要する時間を言います。この時間まで当該建築物の主要構造部が倒壊等しなければよいということに なり、その例示は平成27年国交省告示255号で示されています。 この特定避難時間等の基準を満たした建築物である特定避難時間等倒壊防止建築物の用語の定義は令109 条の2の2に規定されています。 表2)平成27年国交省告示255号 法27条1項に規定する特殊建築物の主要構造方法を定める件(抜粋) 第1 第2 第3 主要構造部等の制限 外壁の開口部(*1) 対象範囲開口部 法 27 条 1 項 2 号(例:2 階 準耐火構造(イ準耐火)又 両面 20 分防火設備 ― 建て病院で 2 階床面積 は準ずる構造(ロ準耐火) 両面 20 分防火設備 ― 両面 20 分防火設備 両面 20 分防火設備 両面 20 分防火設備 ― 対象建築物 1項1号 300 ㎡以上) 1項2号 1項3号 3 階建て下宿、共同住宅、 1 時間準耐火基準及び敷 寄宿舎 地内通路等の基準 3 階建て法別表第一(い)欄 1 時間準耐火基準及び敷 3 項(例:木造 3 階建て学 地内通路等の基準 校) 2項 上記以外 耐火構造等 この表2)は前述の表1)と異なる部分があります。 例えば、 ① 定避難時間の設定がなく、告示では結果として特定避難時間を求めていないこと、 ② 表2)第一1項2号、3号以外は従来どおりの規制内容であること、 ③ 施行令では片面20分防火設備ですが、告示では両面20分防火設備を求めていること、 などがあります。 なお、告示の仕様によらず、独自に特定避難時間を算出し、法27条1項の規定に基づく大臣認定を受ける方法 もあります。 3.木造3階建て学校の告示基準の事例について 特定避難時間倒壊等防止建築物として、木造3階建て学校の告示基準を簡単にご紹介します。 • 地階を除く階数が3であること。 • 主要構造部が一時間準耐火基準(令129条の2の3 1項1号ロ)であること。 • 延焼ライン内の開口部を、両面20分の防火設備とすること。 • 対象範囲開口部を、両面20分防火設備とすること(ある外壁の開口部を有する室に、イメージ図のⒶ、Ⓑ、Ⓒ のほか、自動式スプリンクラー設備などを設けた場合は除かれます)。 • 建築物の周囲に3m以上の敷地内通路が設けられていること。 イメージ図 出典:国土交通省ウェブサイト 建築認証事業本部 大野敏資 【お問い合わせ】 ビューローベリタスジャパン㈱ 建築認証事業本部 最寄りの事務所まで お問い合わせフォームもご利用下さい ビューローベリタスのサービス:確認検査業務
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