北東アジア地域 エリクソン・モビリティレポート (北東アジア地域編) 2015年 6月 市場の現況 数字で見た北東アジア 2014 2020 CAGR 2014–2020 モバイル加入 (単位:100万) 1,550 2,000 4% スマートフォン加入 (単位:100万) 1,035 1,700 9% スマートフォン1台あたりのデータトラフィック(単位:GB/月) 0.6 4.0 35% モバイルトラフィック総計 (単位:PB/月) 850 8,000 45% 北東アジア地域は、中国本土、日本、韓国、台湾、香港の各市 場で構成されます。この地域の人口は約16億で、世界の人口 の22%に相当します。経済面では、現時点で中国が米国に次 いで世界第2位、日本が第3位の規模を持つ消費者市場です。 モバイル加入契約に関しては、現在、中国、日本、韓国が世界 のLTE市場のトップ4に入っています。 規模に展開されている数少ない国の一つです。 中国本土におけるLTEの大規模かつ急速な展開により、LTE の加入件数は2020年末までに11億件を超えると予測されて います。この数字はその時点での世界のLTE加入総数の30% を超えることになります。 台湾は、長期的な視野による新技術展開政策を推進していま す。昨年12月、台湾の行政当局は、4Gモバイルブロードバン ドによる都市計画に則ってLTEの採用を促進すると発表しま した。23億米ドルのGDP増を目的の一つとするこの3カ年プ ロジェクトでは、LTEサービスの拡充が目標達成の鍵を握る 重要な要素であると考えられています。 日本では、2014年末の時点でLTE加入契約が7,100万件に 達しました。これはすべてのモバイル加入の約45%に相当し ます。日本のモバイル事業者間の競争は熾烈を極めていま す。2社がキャリアアグリゲーションを使って理論上の最高 速度である225Mbpsを提供している一方で、別の事業者は WiMAX2+で220MbpsのTD-LTE互換サービスを提供して います。日本はLTE-A(LTE-Advanced)ネットワークが大 韓国ではモバイル接続の速度が向上し続けています。2014 年からLTE-Aの3バンドキャリアアグリゲーションのサービス が開始されていますが、これは標準的なLTEの4倍の速度を 誇る世界最高速のモバイルネットワークサービスです。 いつでもどこでもインターネットアクセスのニーズ いつでもどこでも関連する情報にアクセスできるということが、 北東アジア地域の人々の生活にとって欠かせない要素になって います。携帯電話、特にスマートフォンがあれば、いつでもどこ でも接続された状態を保持し、どこでも様々なインターネット 操作を実行できます。 ネットワークの性能はユーザーの総合的な接続体験に影響する 重要な要素です。ユーザーはより快適な接続を求めてアクセス 技術を切り換えます。中国都市部の携帯電話ユーザーの47% は、オンラインで活動する際により速い速度や高い信頼性を求 めてアクセス技術を切り換えています。優れたのインターネット 接続品質のニーズは、モバイルブロードバンドの成長にも影響 を及ぼしています。中国都市部の3Gユーザーの42%は3カ月以 内に4Gへアップグレードしたいと回答し、日本の4Gユーザーの 36%は現在の4G接続の性能向上を求めています。1 1 エリクソン・コンシューマラボ,分析プラットフォーム (2014年) 2 エリクソン・モビリティレポート 北東アジア地域編 2015年6月 中国都市部の 携帯電話ユーザーの 47%が通信速度や 信頼性の理由で アクセス技術を切り換 える 中国都市部の 3Gユーザの 42%が4Gへの アップグレードを 希望 北東アジア地域のユーザーは、1日を通していろいろな場所で様々なインターネットサービスを利用 朝 通勤中 > T V/ビデオの視聴 > 音楽を聴く > メッセージの送信 > 通信 > ウェブサイト閲覧 職場 > メッセージの送信 > 音声通話 >新 しいニュースのチェック、 ウェブサイト閲覧 出典:エリクソン・コンシューマラボ、分析プラットフォーム (2014年) 調査対象:15~69歳の調査対象の全消費者 マルチスクリーンのライフスタイルと将来 今日の消費者は、場所を移動しながら画面を切り換えてサー ビスやコンテンツにアクセスします。韓国の人々の24%はPC、 タブレット、携帯電話を所有し、利用しています。これらの人 々の80%は、最近の30日間で少なくとも1回はオンライン状 態で画面を切り換えたことがあると回答しています。2 北東アジア地域で複数のPC、 タブレット、携帯電話を所有し 使っている消費者の割合 3種類のデバイス 1種類のデバイス 2種類のデバイス デバイスを持っていない 日本 5% 3% 6% 25% 70% 中国都市部 韓国 24% 27% 70% 外出先 >仕 事/調査関係のオンラ > インスタントメッセージング イン活動 > 音声/ビデオ通話 > インスタントメッセージ > 娯楽や情報の検索 やEメールの送信 > ウェブサイト閲覧 > ソーシャルネットワーク サイトの訪問 > オンラインショッピング 22% 48% 夕方 > T V/ビデオの視聴 > ウェブサイト閲覧 > オンラインショッピング > 通信 > ゲームで遊ぶ > 音楽を聴く >仕 事/調査関係のオン ライン活動 動画コンテンツへのシームレスなアクセスを実現する新しい サービスが、プレイスシフトと呼ばれる新しい消費者行動の 出現をもたらしました。これはあるデバイスでビデオの視聴を 始めた消費者が、別の場所で別のデバイスを使って視聴を継 続することを指します。韓国のインターネットユーザーの35% が、毎週少なくとも1回のプレイスシフトを行っています。3 日々複数のデバイスを使って動画コンテンツを視聴している 人は、クラウドサービスを必要としています。たとえば中国の 都市部では、消費者の47%が個人使用の目的で複数のデバ イス間でコンタクトリストを同期させており、インターネット ユーザーの57%はクラウドサービスによるデバイスをまたい だシームレスな動画視聴体験を求めています。4 ネットワーク化社会へ進むなか、人々は身の回りにある多く のデバイスや接続されたモノとの関わり合いをますます期待 しています。世界のスマートフォンユーザーの60%は、2016 年の末までにさまざまなセンサーが幅広く利用されるように なると信じています。日本のスマートフォンユーザーの約30% は、インターネットに接続されたスマートホームに関心を示し ており、人々がモノのインターネットの実現を信じていること を裏付けています。4 出典:エリクソン・コンシューマラボ、分析プラットフォーム (2014年) 調査対象:15~69歳の調査対象の全消費者 2 3 4 エリクソン・コンシューマラボ、分析プラットフォーム (2014年) エリクソン・コンシューマラボ、テレビおよびメディア研究 (2014年) エリクソン・コンシューマラボ、分析プラットフォーム (2014年) 北東アジア地域編 2015年6月 エリクソン・モビリティレポート 3 モバイル加入数 北東アジアのモバイル加入件数 (単位:100万) LTE加入件数 その他 2,500 モバイル 加入数は 2020年に 20億件に 2,000 1,500 1,000 500 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 北東アジア地域のモバイル加入契約数は急激に増加してい ます。この地域のモバイル加入数は2014年末の時点でおよそ 16億に達しており、これは世界全体の約20%に相当します。 モバイル加入数はCAGR (Compound Average Growth Rate, 年平均成長率) 4%で成長し、2020年には20億件を 超えると見込まれています。 LTE加入契約の爆発的増加 LTEの加入契約数は2015年末に4億2,000万件に達する と予測されています。北東アジア地域に属する中国、日本、 韓国の3カ国は、世界全体のLTE利用のトップ4に入ってい ます。日本と韓国では3Gから4 Gへの移 行が 加 速してい ます。中国政府は4G事業を促進するため、2015年2月に FDD (Frequency Division Duplex) のライセンスを2つ の事業者に付与しました。2014年後半にLTEのサービスが 開始された台湾でも、新たな4Gサービスを強力に推進して います。北東アジア地域では4Gへの移行が急速に進んでお り、2020年末までにLTE加入契約が約14億に達すると見込 まれています。 スマートフォンの加入契約はCAGR9%で増加し2020年には 17億件に達すると予測されています。結果として2020年に は携帯電話加入契約の約90%がスマートフォンになると考 えられます。 北東アジアのLTE加入件数 (単位:100万) 中国本土 日本 韓国 台湾、香港、 マカオ 1,600 1,400 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 注: 5Gサービスは2020年頃に韓国と日本で開始される見通し グラフには2020年時点の5Gユーザーも含まれる。 4 エリクソン・モビリティレポート 北東アジア地域編 2015年6月 モバイルトラフィック 増え続けるデータトラフィック 2014年の北東アジア地域におけるデータトラフィックの総量 は1カ月あたり約0.8エクサバイトで、これはアクティブなスマー トフォンユーザーの1カ月あたりのトラフィック量にして600メガ バイトに相当します。2020年にはトラフィックは約10倍に増加 し、1カ月あたりの総量は8エクサバイト、すなわちアクティブな スマートフォンユーザーの1カ月あたりのトラフィック量にして4 ギガバイトにまで増加すると予測されています。 中国は、現時点では2G加入契約数が多いため、北東アジア 地域全体で見るとデータ消費が最も低くなっています。しか し中国のデータトラフィックはLTEの導入に伴って増加傾向 にあります。中国の消費者は今、急速に4Gに移行しつつあ り、販売されているデバイスの70%以上が4G対応です5。北 東アジア地域のデータトラフィックは、2014年から2020年 までの間に年平均で48%増加すると見込まれています。一方 で音声トラフィックの増加は4%程度です。また同期間に中 国本土のデータトラフィックは、毎年65%と著しい成長を示 すと予想されています。2020年には、この地域のモバイルト ラフィックの99%をデータが占めることでしょう。 この地 域のデータトラ フィックは、2014年か ら2020年までの間に スマートフォンとLTEの高い普及率がデータを牽引 年率 4 8%で増加する データトラフィックの増加を牽引するのは、スマートフォンと LTEの高い普及率です。これらの技術が成熟している日本や 韓国などでは、モバイル動画の伸びに伴ってデータトラフィッ クも増加を続けます。 見通し 北東アジア地域のモバイルトラフィック (エクサバイト/月) 音声 データ 2014年~ 8 2020年に モバイルデータ 7 トラフィックは 10倍に 6 5 4 3 2 1 0 2010 5 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 出典: 中華人民共和国工業情報化部、中国、2015年2月 北東アジア地域編 2015年6月 エリクソン・モビリティレポート 5 ネットワーク性能 以下のグラフは、エリクソンがSpeedtest.netによるネット ワーク性能測定値を分析し、全データをベースにして得た下 りリンクスループットのトレンドを示すものです。中国では新 たに4Gネットワークサービスが始まったことで、速度中央値 (50%のユーザーがそれ以上得られる速度)がこの地域最高の 16 Mbpsに達しました。分析ではこれらの4Gネットワークに ついて、加入契約が増える余地も勘案しています。 Speedtestデータの分析では、10パーセント値(90%のユー ザーがそれ以上得られる速度)をセルエッジ性能と定義しまし た。Speedtestの測定によれば、この地域では台湾の事業者 のセルエッジ性能が、最高値である2Mbpsを示しました。これ らの事業者もまた最近になって4Gネットワークサービスを開 始しています。 下りリンク・スループットの中央値 (50%確率) セル・エッジの下りリンク・スループット (90%確率) 韓国 2.5 日本 ユーザーのDLスループット (Mbps) ユーザーのDLスループット (Mbps) 20 香港 15 台湾 中国本土 世界の上位50カ国 10 5 0 Q1 Q2 2012 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 2013 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 2014 2 1.5 1 0.5 0 Q1 2012 Q2 Q3 Q4 Q1 2013 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 2014 出典: Speedtest.netに基づくOoklaのNetMetricsを元にエリクソンが分析、 2015年 出典: Speedtest.netに基づくOoklaのNetMetricsを元にエリクソンが分析、 2015年 北東アジア地域のネットワークにおけるスマートデバイスあた りの高いトラフィック使用量は、動画ストリーミング需要の高 まりを示しています。したがって、高い顧客満足度を達成する には動画ストリーミングサービスの品質が重要になります。 動画ストリーミングサービスの利用増加に伴って、優れた視聴 体験を求めるユーザーの声が、スマートデバイスの画像圧縮、 ディスプレイ、アプリケーションプロセッサの技術革新を促し ています。4K UHD (Ultra High Definition) 品質のビデオ をキャプチャできるデバイスも増えており、ユーザーは今後モ バイルネットワーク経由で4Kコンテンツを送受信したいと考 えることでしょう。 高まる動画ストリーミングサービス需要と事業者の 4K対応状況 ユーザーの下りリンク速度が20 Mbpsを超える確率 44% スムーズな4Kストリーミング動画コンテンツを視聴するには高 速なネットワークが必要です。HEVC (H.265 High Efficiency Video Codec) 使用の下りリンク速度要件は約20Mbpsです。 39% 29% 24% 23% 15% 中国本土 日本 韓国 台湾 香港 米国 20Mbpsを超える下りンクスループットを実現できる確率を 判別するため、北東アジア地域のネットワークを分析しまし た。左のグラフが示すように、ユーザーエクスペリエンスは国 ごとに異なります。たとえば中国では、分析期間中に44%の 確率でこの速度を達成できましたが、日本では15%にすぎま せんでした。この差は主にLTEサービスの開始時期によるもの です。優れたユーザーエクスペリエンスを継続的に提供するに は、事業者がLTE-A、キャリアアグリゲーション、性能最適化 などの技術でモバイルブロードバンドネットワークを進化させ る努力を続けることが必要です。 出典: Speedtest.netに基づくOoklaのNetMetricsを元にエリクソンが分析、2014年第4四半期 6 エリクソン・モビリティレポート 北東アジア地域編 2015年6月 人口カバレッジ より高い速度の提供を目指してLTE-Aを拡張する韓 国と日本 北東アジア地域のモバイルネットワークの人口カバレッジ は着実に増え続けています。ただし日本と韓国にはGSM/ EDGEがないので、GSM/EDGEのカバレッジ増加はごくわ ずかです。WCDMA/HSPAのカバレッジは非常に高く、北東 アジア地域の総人口の95%以上に及んでいます。LTEサービ スの開始以来、特に中国の事業者は、LTEの人口カバレッジ に重点を移しています。中国の複数の事業者は、基地局用地 と通信塔を共有するためのインフラサービス会社を合同で 設立しました。これによりLTEネットワークの展開は加速され ることでしょう。LTEの人口カバレッジは、2020年までには WCDMA/HSPAと同等になると予測されています。 韓国と日本の事業者は、LTEの人口カバレッジの拡充と並行し て、より高い通信速度を実現するために、キャリアアグリゲー ションを含めたLTE-Aのサービスの拡張に取り組んでいます。 スマートフォンユーザー数の増加と様々なアプリ使用の伸びに 伴って、重点は人口カバレッジからアプリカバレッジに移りつ つあります。アプリカバレッジとは、消費者が特定のアプリを 実行する上で充分なネットワーク性能を高い確率で体験でき るエリアを示す指標です。満足できるアプリカバレッジの達成 には、インドアネットワーク性能の向上が重要です。 北東アジアの人口カバレッジ 85% 2014 2020 >85% GSM/EDGE 95% 2014 2020 の95%以上が LTEカバレッジ内に 75% 2014 2020 >95% WCDMA/HSPA 2020年には人口 LTE >95% 北東アジア地域編 2015年6月 エリクソン・モビリティレポート 7 エリクソンは通信技術とサービスを提供する世界有数の企業として、ネットワーク化社会 (Networked Society) の実現を目指して邁進しています。エリクソンは世界中の大手通信 事業者との長期的な関係を通じて、人々、ビジネス、社会がそれぞれの可能性を追求し、持 続可能な未来を創成しようとする取り組みを支援していきます。 エリクソンのサービス、ソフトウェア、インフラストラクチャ、特にモバイル、ブロードバンド、 クラウド分野におけるそれらの技術は、通信とその他の分野における事業の改善、効率の向 上、より良いユーザー体験の提供、新しいビジネス機会の創造を実現します。 180カ国で事業を展開し、11.5万人を超える社員を擁するエリクソンは、グローバルな事業 規模と、テクノロジーおよびサービスにおけるリーダーシップを備えています。エリクソンは 今日、25億人を超えるエンドユーザーへのサービスをサポートしています。世界のモバイル トラフィックの40%以上がエリクソンの提供するネットワークを利用しています。エリクソン は、我々のソリューションとそれらを活用するお客様が常に時代の最先端にいられるよう、 研究開発への投資を行っています。 エリクソンは1876年に設立され、本社所在地はスウェーデンのストックホルムです。2014 年の売上高は331億USドル (2,280億SEK) です。エリクソンは、NASDAQ、OMXストッ クホルム、NASDAQニューヨーク市場に上場しています。 本書の内容は多数の論理的根拠および仮定に基づいており、エリク ソンは本文書に記載した考察や説明または遺漏等について一切の責 任を負わないものとします。さらにエリクソンは自らの判断で本文書 の内容を変更する場合があり、かかる変更の結果に対する責任も負 わないものとします。 本書の内容は、方法、設計、製造面の変化に伴い予告なく変更される 場合があります。エリクソンは、本書の使用に起因する誤りまたは損 害に関わる一切の法的責務を負いません。 Ericsson SE-126 25 Stockholm, Sweden Telephone +46 10 719 00 00 www.ericsson.com EAB-15:026347 © Ericsson AB 2015
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