(57)【要約】 【目的】 耐熱性に優れかつ有機溶媒可溶性の、コーテ ィング

(57)【要約】
【目的】 耐熱性に優れかつ有機溶媒可溶性の、コーテ
ィング剤、フィルム、繊維、成形品等の樹脂原料として
有用な芳香族ポリアミドを提供する。
【構成】 (1)下記式(I)で表わされる芳香族ジア
ミンと芳香族ジカルボン酸とを重縮合して得られる、固
有粘度0.4dl/g以上の芳香族ポリアミド。
(2)下記式(III )で表わされる芳香族ジアミンと芳
香族ジカルボン酸とを重縮合して得られる、固有粘度
0.4dl/g以上の芳香族ポリアミド。
【化1】
【化2】
(2)
特開平5−105754
1
2
【特許請求の範囲】
* からなる固有粘度0.4dl/g以上の芳香族ポリアミ
【請求項1】 下記式(I)で表わされる芳香族ジアミ
ド。
ンと、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とを重縮合
【化1】
して得られる、主として式(II)で表わされる構成単位*
(式(II)中、Arは2価の芳香族系有機基を示す。)
※ らなる固有粘度0.4dl/g以上の芳香族ポリアミ
【請求項2】 式(III )で表わされる芳香族ジアミン
ド。
と、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とを重縮合し
【化2】
て得られる、主として式(IV)で表わされる構成単位か※
(式(IV)中、Arは2価の芳香族系有機基を示す。)
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶媒可溶性の新規
な芳香族ポリアミドに関するものであり、コーティング
剤、フィルム、繊維、成形品等の樹脂原料として極めて
価値の高いものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドの溶媒に対する溶解性
を高めることは、コーティング剤への利用やフィルム等 40
への加工性改善などのため望ましく、従来から様々の工
夫が試みられている。かかる工夫としては、例えば、ポ
リマーの主鎮に、脂肪族基などのフレキシブルな基を導
入する方法などが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、芳香族
ポリアミドの主鎮に脂肪族基を導入すると、芳香族ポリ
アミドの耐熱性が低下するという問題があった。よっ
て、耐熱性を維持したまま溶媒可溶性を有する芳香族ポ
リアミドの開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐熱性に
優れた有機溶媒可溶性の芳香族ポリアミドについて種々
検討を行なった結果、特定の芳香族ジアミンを用いるこ
とにより、この目的を達成しうることを見出し、本発明
に到達した。すなわち、本発明の要旨は、下記式(I)
で表わされる芳香族ジアミンと、芳香族ジカルボン酸ま
たはその誘導体とを重縮合して得られる、主として式
(II)で表わされる構成単位からなる固有粘度0.4d
l/g以上の芳香族ポリアミド、
【0005】
【化3】
(3)
3
特開平5−105754
4
【0006】(式(II)中、Arは2価の芳香族系有機
* 成単位からなる固有粘度0.4dl/g以上の芳香族ポ
基を示す。)及び、下記式(III )で表わされる芳香族
リアミド、
ジアミンと、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とを
【0007】
重縮合して得られる、主として式(IV)で表わされる構*
【化4】
【0008】(式(IV)中、Arは2価の芳香族系有機
基を示す。)に存する。以上、本発明を詳細に説明す
る。前示した式(I)で示される芳香族ジアミン〔N,
N′−ビス(4−アミノフェニル)−N,N′−ジフェ 30
ニル−p−フェニレンジアミン〕は、N,N′−ジフェ
ニル−p−フェニレンジアミンとp−フルオロニトロベ
ンゼンを極性溶媒中、水素化ナトリウムの存在下で加熱
反応して得られるN,N′−ビス(4−ニトロフェニ
ル)−N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン
を還元することにより、得られる。
【0009】また前示した式(III )で示される芳香族
ジアミン〔2,2′−ジ(p−アミノフェノキシ)−ビ
フェニル〕は、2,2′−ビフェノールとp−フルオロ
ニトロベンゼンを極性溶媒中、炭酸カリウムの存在下で 40
加熱反応して得られる2,2′−ジ(p−ニトロフェノ
キシ)−ビフェニルを還元することにより、得られる。
【0010】本発明の目的とする芳香族ポリアミドは、
有機極性溶媒中、前記芳香族ジアミンと、芳香族ジカル
ボン酸または芳香族ジカルボン酸ジクロリド等の芳香族
カルボン酸誘導体とを、通常等モルの割合で反応させる
ことによって製造される。使用される芳香族ジカルボン
酸及びその誘導体の代表的な例としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、3−クロロイソフタル酸、3−メト
キシイソフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、
50
1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、3,3′−ビフェニルカルボン酸、4,
4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4′−ジ
カルボキシジフェニルスルホン、4−4′−ジカルボキ
シジフェニルメタン、イソフタル酸ジクロリド、テレフ
タル酸ジクロリド、3−クロロイソフタル酸ジクロリ
ド、3−ソトキシイソフタル酸ジクロリド、2,5−ジ
クロロテレフタル酸ジクロリド、トリクロロテレフタル
酸ジクロリド、テトラクロロテレフタル酸ジクロリド、
1,4−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、3,3′−ビフェ
ニルジカルボン酸ジクロリド、4,4′−ビフェニルジ
カルボン酸ジクロリド、ビス(パラクロロカルボニルフ
ェニル)エーテル、ビス(パラクロロカルボニルフェニ
ル)スルホン、ビス(パラクロロカルボニルフェニル)
メタン、等をあげることができ、これらは単独、または
混合して用いられる。
【0011】使用される有機極性溶媒の具体的な例とし
てはN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチル
アセトアミド、N,N−ジ−n−プロピルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエ
チルプロピオンアミド、N,N−ジ−n−プロピルプロ
ピオンアミド、N,N−ジメチルブタナミド、N,N−
ジエチルブタナミド、N,N−ジ−n−プロピルブタナ
(4)
5
ミド、等のカルボン酸のN−置換アミド類、N−アセチ
ルピロジリン、N−プロピオニルピロリジン、N−ブチ
リルピロリジン、N−アセチルピペリジン、N−プロピ
オニルピペリジン、N−ブチリルピロリジン、等のカル
ボン酸と環状アミンとよりのアミド類、N−メチル−2
−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチ
ル−2ピペリドン、N−エチル−2−ピペリドン、N−
メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロ
ラクタム、等のN−置換環状アミド類、N,N,N′,
N′−テトラメチル尿素、N,N′−ジメチルエチレン
尿素、N,N′−ジメチルプロピレン尿素、等のN−置
換尿素化合物類があげられる。
【0012】このような溶媒中で、芳香族ジアミンと芳
香族ジカルボン酸またはその誘導体とを反応させ、本発
明の目的とする芳香族ポリアミドを製造する具体的な方
法は、通常の低温溶液重縮合法と特に変わらない。すな
わち、まず、芳香族ジアミンを溶剤に溶解した後、通常
−50∼+50℃程度、好ましくは−20∼+30℃で
溶液を激しく攪拌しながら、芳香族ジカルボン酸または
その誘導体を粉末状で、または、溶媒に溶解して溶液状
で、もしくは、加熱して溶融状で一度にまたは徐々に添
加して、反応を行なわせる。反応は直ちに生じ、発熱が
見られ、反応物の粘度も上昇してゆき、攪拌が次第に困
難となってくる。
【0013】通常、芳香族ジカルボン酸またはその誘導
体の全量を添加し終えてから、1時間程度まで攪拌を続
けるが、場合によっては反応物の粘度が極めて高くなっ
て、5∼10分間以上の攪拌の持続が困難になることも
ある。このような時には、攪拌を止め、その後、24時
間静置しておく。反応が終了した反応物は、(i)その
まま原液としてまたは(ii)例えば次に述べる処理を経
て、成形に供することができる。すなわち、反応が終了
した反応物は水、アセトン、アルコール類で処理し、ポ
リマーを反応物の系から取り出した後に、水で処理し、
250℃以下の温度で乾燥する。
【0014】本発明の芳香族ポリアミドは、濃硫酸中3
0℃、濃度0.5g/dlで測定した固有粘度の値が
0.4dl/g以上、好ましくは0.4∼6dl/gで
ある。本発明の芳香族ポリアミドは、前記一般式(II)
または(IV)で表わされる構成単位を主たる構成単位と
するものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で少
量の他のポリアミド形成単位を含むことは差支えない。
具体的には、全構成単位の30%モルまで、他のポリア
ミド成形単位を含むことができる。
【0015】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて説明する
が、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これら実施例
により何ら限定されるものではない。
参考例1
N,N′−ビス(4−ニトロフェニル)−N,N′
10
20
30
40
50
特開平5−105754
6
−ジフェニル−p−フェニレンジアミンの合成
冷却管、窒素導入管、メカニカルスターラーを付けた1
000mlのなすフラスコに、水素化ナトリウム5.9
995g(250mol)とジメチルスルホキシド(D
MSO)300mlを取りよく攪拌した。次にN,N′
−ジフェニル−p−フェニレンジアミン32.5422
g(125mmol)とp−フルオロニトロベンゼン2
6.5ml(250mmol)を順に加え、窒素雰囲気
下、発熱が治まるまで室温で攪拌し、その後、さらに1
00℃で6時間攪拌した。
【0016】水酸化ナトリウムの残存を防ぐため、この
反応溶液を室温まで一旦戻した後、少量のメタノールを
加え、飽和食塩水に投入し、N,N′−ビス(4−ニト
ロフェニル)−N,N′−ジフェニル−p−フェニレン
ジアミンを析出させた。析出したジニトロ体は、濾過
後、減圧下に乾燥させた。これをアセトニトリルで再結
晶して、赤褐色の結晶を得た。得られた化合物の物性
は、以下の通りである。
収量=47.0492g(74.9%)
m.p.=175.5℃(DTA=20℃/min:N
2 中).
-1
-1
IR(KBr)=1584cm ,1313cm (N
O2 ).
【0017】
N,N′−ビス(4−アミノフェニ
ル)−N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン
の合成
ジアミンは、Herz法による接触還元により合成し
た。攪拌子を備えた500mlのなすフラスコにN,
N′−ビス(4−ニトロフェニル)−N,N′−ジフェ
ニル−p−フェニレンジアミン30.1517g(0.
06mol)を秤量し、ジメチルホルムアミド(DM
F)360mlを加えて40℃の油浴に浸して溶解す
る。この溶液に10%パラジウム活性炭を6g加え、水
素雰囲気下とした後、反応を開始する。水素の消費が停
止するまで激しく攪拌を続ける。反応終了後、活性炭を
濾別し、ある程度減圧下で溶媒を濃縮した後、窒素置換
した水に投入した。析出物は、濾過後減圧下に乾燥させ
た。これをトルエンで2回再結晶して精製し、濃青色の
結晶を得た。得られた化合物の物性を、以下に示す。
収量=14.9232g(56.2%)
m.p.=262.9℃(DTA=20℃/min:N
2 中).
-1
-1
IR(KBr)=3470cm ,3380cm (N
−H).
(5)
7
【0018】参考例2
2,2′−ジ(p−ニトロフェノキシ)−ビフェニ
ルの合成
出発物質2,2′−ビフェノール7.45g(40mm
ol)とp−フルオロニトロベンゼン11.30g(8
0.1mmol),K2 CO3 13gをトルエン40m 10
l,N−メチル−2−ピロリドン(NMP)40mlに
加え、窒素雰囲気下で攪拌しながらおだやかに130∼
140℃に昇温した。5∼6時間後さらに170∼18
0℃に昇温した。この段階で反応中にでる水をトルエン
との共沸によって系外に出した。そのまま12時間その
温度を保った。反応終了後直ちにろ過を行った。ろ液を
室温までに放冷した後大量の水に落として結晶を得た。
得られた結晶をろ別乾燥後エタノール中で2度再結晶し
て黄色い針状結晶を得た。収量は9.8g(収率57
%)であった。
20
融点:157℃
-1
-1
赤外ベクトル:1580cm 及び1340cm に、
NO2 の伸縮振動がみとめられた。
【0019】
2,2′−ジ(p−アミノフェノキ
シ)−ビフェニルの合成
2,2′−ジ(p−ニトロフェノキシ)−ビフェニル2 30
4.0gを1,4−ジオキサン300mlに溶かして1
0%パラジウムカーボン2.4gを加え、50℃水素雰
囲気下で還元を行った。還元終了後ジオキサンを真空に
して除いた後、エタノール中で2度再結晶して赤みがか
った針状結晶を得た。収量は16.1g(収率51%)
であった。
融点:157℃
赤外ベクトル:上のNO2 の吸収がなくなり3300c
-1
m にアミンの吸収が見られた。
40
【0020】実施例1
メカニカルスターラー及び窒素導入管をつけた100m
lの三ツ口フラスコに、窒素を通しながら、参考例1で
合成したN,N′−ビス(4−アミノフェニル)−N,
N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン1.106
特開平5−105754
8
4g(2.5mmol)を秤量し、NMP10mlを加
えて溶解した。この溶液をドライアイス−アセトン浴で
凍結させ、これに酸受容剤としてプロピレンオキシド
1.8ml(25mmol)と0.5076g(2.5
mmol)のイソフタル酸クロリドを加えた。ドライア
イス−アセトン浴から氷浴に変え、窒素下0℃で6時間
攪拌後、粘稠な重合溶液を500mlのメタノール中に
投入し、ろ別後メタノールで30分間加熱還流した後、
乾燥して、粉末のポリアミド1.42gを得た。赤外線
-1
スペクトルにおいて3310cm にアミド基1657
-1
cm にカルボニル基の吸収が認められた。固有粘度は
0.45dl/gであった。得られたポリアミドの物性
を表1に示す。
【0021】実施例2
実施例1において、イソフタル酸クロリドの代りにテレ
フタル酸0.5076g(2.5mmol)を用いた以
外は、実施例1と全く同様にして、ポリアミド1.42
gを得た。得られたポリアミドの特性を表1に示す。
【0022】実施例3
実施例1において、イソフタル酸クロリドの代りに2,
6−ナフタレンジカルボン酸0.6327g(2.5m
mol)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてポ
リアミド1.53gを得た。得られたポリアミドの特性
を表1に示す。
【0023】実施例4
実施例1において、イソフタル酸クロリドの代りに4,
4′−ジカルボキシジフェニル0.6978g(2.5
mmol)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして
ポリアミド1.61gを得た。得られたポリアミドの特
性を表1に示す。
【0024】実施例5
実施例1において、イソフタル酸クロリドの代りに4,
4′−ジカルボキシジフェニルエーテル0.7378g
(2.5mmol)を用いた以外は、実施例1と全く同
様にしてポリアミド1.61gを得た。得られたポリア
ミドの特性を表1に示す。
【0025】実施例6
実施例1において、イソフタル酸クロリドの代りに4,
4′−ジカルボキシジフェニルスルホン0.85080
g(2.5mmol)を用いた以外は、実施例1と全く
同様にしてポリアミド1.72gを得た。得られたポリ
アミドの特性を表1に示す。
【0026】
【表1】
(6)
特開平5−105754
10
【0027】a)N−メチル−2−ピロリドン中30
20
℃、0.5g/dlで測定、他は濃硫酸中、30℃、
0.5g/dlで測定
b)◎;室温で溶解、○;熱時溶解、△;部分的に溶解
又は膨潤、×;不溶
c)10%重量減少温度(熱重量分析、昇温速度10℃
/分)
【0028】実施例7
NMP4mlに塩化リチウム0.25gを完全に溶解さ
せ、前記参考例2にて合成した2,2′−ジ(p−アミ
ノフェノキシ)−ビフェニル0.7369g(2.0m 30
mol)とイソフタル酸0.332g(4.0mmo
l)、ピリジン1.1ml、亜リン酸トリフェニル1.
24(4.0mmol)を加え100℃で3時間反応さ
せた。反応溶液をメタノール中に落としてポリアミド
0.99gを得た。
【0029】固有粘度は0.59dl/g(濃硫酸中3
0℃、0.5g/dlの濃度で測定)であり、ガラス転
移温度はDSCによる測定で215℃であった。TGA
による10%重量減少温度は空気中465℃、窒素中5
05℃であった。赤外スペクトルキャストフィルムから 40
-1
-1
3300cm のアミドの吸収、1660cm のカル
ボニルの吸収がみられた。
【0030】キャストフィルムはDMAc(ジメチルア
セトアミド),DMF,DMSO,NMP等の有機溶媒
に可溶であった。
実施例8
実施例7においてイソフタル酸の代りにテレフタル酸
0.332g(2.0mmol)を用いた以外は実施例
7と全く同様にしてポリアミド0.99gを得た。得ら
れたポリアミドの特性を表2に示す。
【0031】実施例9
実施例7においてイソフタル酸の代りに4,4′−ジカ
ルボキシビフェニル0.4845g(2.0mmol)
を用いた以外は実施例7と全く同様にしてポリアミド
1.14gを得た。得られたポリアミドの特性を表2に
示す。
【0032】実施例10
実施例7においてイソフタル酸の代りに4,4′−ジカ
ルボキシジフェニルエーテル0.5165g(2.0m
mol)を用いた以外は実施例7と全く同様にしてポリ
アミド1.18gを得た。得られたポリアミドの特性を
表2に示す。
【0033】実施例11
実施例7においてイソフタル酸の代りに4,4′−ジカ
ルボキシジフェニルスルホン0.6126g(2.0m
mol)を用いた以外は、実施例7と全く同様にしてポ
リアミド1.27gを得た。得られたポリアミドの特性
を表2に示す。
【0034】
【表2】
9
(7)
特開平5−105754
12
11
【0035】a)濃硫酸中 30℃、0.5g/dlで
* 【0036】
測定
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドは、耐熱性に
b)◎は室温で溶解
優れ、かつ溶媒に対する溶解度が高いため、コーティン
c)10%重量減少温度(熱重量分析、昇温速度10℃
グ剤、フィルム、繊維、成形品等の樹脂原料に有用であ
/分)
*
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月27日
※ ンと、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とを重縮合
【手続補正1】
して得られる、主として式(II)で表わされる構成単位
【補正対象書類名】明細書
からなる固有粘度0.4dl/g以上の芳香族ポリアミ
【補正対象項目名】請求項1
ド。
【補正方法】変更
【化1】
【補正内容】
【請求項1】 下記式(I)で表わされる芳香族ジアミ※
(式(II)中、Arは2価の芳香族系有機基を示す。)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
(8)
【0005】
【化3】
特開平5−105754
*
*
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】(式(IV)中、Arは2価の芳香族系有機
基を示す。)に存する。以下、本発明を詳細に説明す
る。また前示した式(I)で示される芳香族ジアミン
〔2,2′−ジ(p−アミノフェノキシ)−ビフェニ
ル〕は、2,2′−ビフェノールとp−フルオロニトロ
ベンゼンを極性溶媒中、炭酸カリウムの存在下で加熱反
応して得られる2,2′−ジ(p−ニトロフェノキシ)
−ビフェニルを還元することにより、得られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】前示した式(III )で示される芳香族ジア
ミン〔N,N′−ビス(4−アミノフェニル)−N,
N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン〕は、N,
N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミンとp−フル
オロニトロベンゼンを極性溶媒中、水素化ナトリウムの
存在下で加熱反応して得られるN,N′−ビス(4−ニ
トロフェニル)−N,N′−ジフェニル−p−フェニレ
ンジアミンを還元することにより、得られる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】水酸化ナトリウムの残存を防ぐため、この
反応溶液を室温まで一旦戻した後、少量のメタノールを
加え、飽和食塩水に投入し、N,N′−ビス(4−ニト
ロフェニル)−N,N′−ジフェニル−p−フェニレン
ジアミンを析出させた。析出したジニトロ体は、濾過
後、減圧下に乾燥させた。これをアセトニトリルで再結
晶して、赤褐色の結晶を得た。得られた化合物の物性
は、以下の通りである。
収量=47.0492g(74.9%)
m.p.=175.5℃(DTA=20℃/min:N
2 中).
-1
-1
IR(KBr)=1584cm ,1313cm (N
O2 ).
元素分析〔C30 H22 N4 O4 〕:
【表3】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】
N,N′−ビス(4−アミノフェニ
ル)−N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン
の合成
ジアミンは、Herz法による接触還元により合成し
た。攪拌子を備えた500mlのなすフラスコにN,
N′−ビス(4−ニトロフェニル)−N,N′−ジフェ
ニル−p−フェニレンジアミン30.1517g(0.
06mol)を秤量し、ジメチルホルムアミド(DM
F)360mlを加えて40℃の油浴に浸して溶解す
る。この溶液に10%パラジウム活性炭を6g加え、水
素雰囲気下とした後、反応を開始する。水素の消費が停
止するまで激しく攪拌を続ける。反応終了後、活性炭を
濾別し、ある程度減圧下で溶媒を濃縮した後、窒素置換
(9)
した水に投入した。析出物は、濾過後減圧下に乾燥させ
た。これをトルエンで2回再結晶して精製し、濃青色の
結晶を得た。得られた化合物の物性を、以下に示す。
収量=14.9232g(56.2%)
m.p.=262.9℃(DTA=20℃/min:N
2 中).
-1
-1
IR(KBr)=3470cm ,3380cm (N
−H).
元素分析〔C30 H26 N4 〕:
【表4】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】参考例2
2,2′−ジ(p−ニトロフェノキシ)−ビフェニ
ルの合成
出発物質2,2′−ビフェノール7.45g(40mm
ol)とp−フルオロニトロベンゼン11.30g(8
0.1mmol),K2 CO3 13gをトルエン40m
l,N−メチル−2−ピロリドン(NMP)80mlに
加え、窒素雰囲気下で攪拌しながらおだやかに130∼
140℃に昇温した。5∼6時間後さらに170∼18
0℃に昇温した。この段階で反応中にでる水をトルエン
との共沸によって系外に出した。そのまま12時間その
温度を保った。反応終了後直ちにろ過を行った。ろ液を
室温までに放冷した後大量の水に落として結晶を得た。
得られた結晶をろ別乾燥後エタノール中で2度再結晶し
て黄色い針状結晶を得た。収量は9.8g(収率57
%)であった。
融点:159−160℃
-1
-1
赤外ベクトル:1580cm 及び1340cm に、
NO2 の伸縮振動がみとめられた。
元素分析:
【表5】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
特開平5−105754
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
2,2′−ジ(p−アミノフェノキ
シ)−ビフェニルの合成
2,2′−ジ(p−ニトロフェノキシ)−ビフェニル2
4.0gを1,4−ジオキサン300mlに溶かして1
0%パラジウムカーボン2.4gを加え、50℃水素雰
囲気下で還元を行った。還元終了後ジオキサンを真空に
して除いた後、エタノール中で2度再結晶して赤みがか
った針状結晶を得た。収量は16.1g(収率51%)
であった。
融点:158−159℃
赤外ベクトル:上のNO2 の吸収がなくなり3300c
-1
m にアミンの吸収が見られた。
元素分析:
【表6】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】実施例1
メカニカルスターラー及び窒素導入管をつけた100m
lの三ツ口フラスコに、窒素を通しながら、参考例1で
合成したN,N′−ビス(4−アミノフェニル)−N,
N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン1.106
4g(2.5mmol)を秤量し、NMP10mlを加
えて溶解した。この溶液をドライアイス−アセトン浴で
凍結させ、これに酸受容剤としてプロピレンオキシド
1.8ml(25mmol)と0.5076g(2.5
mmol)のイソフタル酸クロリドを加えた。ドライア
イス−アセトン浴から氷浴に変え、窒素下0℃で6時間
攪拌後、粘稠な重合溶液を500mlのメタノール中に
投入し、ろ別後メタノールで12時間加熱還流した後、
乾燥して、粉末のポリアミド1.42gを得た。赤外線
-1
スペクトルにおいて3310cm にアミド基1657
-1
cm にカルボニル基の吸収が認められた。固有粘度は
0.45dl/gであった。得られたポリアミドの物性
を表1に示す。
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特開平5−105754
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(72)発明者 丸山 正希
神奈川県横浜市磯子区森6−26−11
(72)発明者 石田 美奈
神奈川県横浜市緑区鴨志田町537−1