進む県外への人口流出、若者定着への対策がカギに

でーた·ズームイン
進む県外への人口流出、若者定着への対策がカギに
人口転出超が進む県内市町村
「消滅可能性都市」と人口減少対策
我が国は本格的な人口減少時代を迎えており、県内
でも多くの市町村で人口減少が進む。少子高齢化の進
展がその一因であるが、地方では大都市への人口移動
も大きなインパクトを持っている。
県内での人口移動の状況をみると、2009~2013年の
5年間で県全体の人口移動数(県外からの転入数-県
外への転出数)は約21千人(累計)の転出超過となっ
ている。年平均で4千人以上の県人口が減少した勘定
となる。
次に、各市町村の状況をみると、新潟市への人口集
中が顕著である。人口移動数を県内市町村間・都道府
県間等(以下、県内移動・県外移動)に分けて比較する
と、新潟市の場合、県外移動は5千人以上の転出超で
あるものの、県内移動が9千人以上の転入超となって
いる結果、人口移動数は4千人以上のプラスとなって
いる。そのほかの市町村では、聖籠町が唯一県内移
動・県外移動とも転入超であるほか、湯沢町と粟島浦
村では県外移動が転入超となったことから、人口移動
数もプラスとなっている。一方、長岡市、見附市、燕市、
弥彦村、出雲崎町では県内移動が転入超となったもの
の、県外移動のマイナス幅がそれを上回ったことから、
人口移動数は転出超となっている。なお、上記以外の
21市町村は県内移動、県外移動とも転出超という結果
となった。多くの市町村で人口流出防止が喫緊の課題
となっている。
昨年5月に日本創成会議は、
「消滅可能性都市」と
いうややショッキングなネーミングを用いて、将来推計
人口の結果を公表した。同会議では、今後も地方から
人口流出が続くものと仮定すれば、896市町村(対象
市町村の49.8%)で、2040年までに若年女性(20~39
歳)が2010年比50%以上減少し、人口減少が止まらな
い「消滅可能性都市」となるだろうと警鐘を鳴らした。
さらに、そのうち523市町村(同29.1%)では人口が1万
人を割り込み、消滅の可能性が高いとしている。
地方で人口減少が続く要因として「大都市への人口
流出」を挙げている。地方では、結婚や出産の適齢期
にある男性や女性の大都市流出が止まらず、人口の再
生産力の低下が続く。
県内では、30市町村中で18市町村が「消滅可能性
都市」に分類され、さらにそのうち、8町村が「消滅の
可能性が高い都市」とされている。
同会議は、人口減少の回避(緩和)策として、子供を
産み育てたい人のための環境整備により、国民が望む
出生率=「希望出生率」を実現するとともに、若者に魅
力ある地域拠点都市の構築により、地方から大都市へ
の「人の流れ」を変える必要性を訴えている。安倍政権
も今年を地方創生元年と位置づけ、4月以降、地方版
総合戦略づくりのサポートに着手する。国を挙げた人
口減少対策が始まろうとしている。
県内市町村の県内・県外別人口移動
(2009~13年累計)
市町村
新潟市
長岡市
三条市
柏崎市
新発田市
小千谷市
加茂市
十日町市
見附市
村上市
燕市
糸魚川市
妙高市
五泉市
上越市
人口移動数
①+②
4,206
▲2,691
▲1,700
▲1,781
▲1,070
▲812
▲758
▲1,672
▲201
▲1,357
▲578
▲1,126
▲984
▲951
▲3,162
県内
都道府県間 市町村
市町村間①
等②
9,403
380
▲966
▲735
▲249
▲340
▲500
▲844
240
▲1,024
53
▲600
▲347
▲643
▲100
▲5,197
▲3,071
▲734
▲1,046
▲821
▲472
▲258
▲828
▲441
▲333
▲631
▲526
▲637
▲308
▲3,062
注)都道府県等には国外移動を含む。
人口移動数
①+②
阿賀野市
▲802
佐渡市
▲1,766
魚沼市
▲1,382
南魚沼市 ▲1,088
胎内市
▲586
聖籠町
194
弥彦村
▲19
田上町
▲285
阿賀町
▲538
出雲崎町
▲18
湯沢町
81
津南町
▲225
刈羽村
▲50
関川村
▲182
粟島浦村
5
県 計 ▲21,298
日本創成会議の推計に基づき、2040年までに
消滅可能性があるとされた県内の市町村
(単位:人)
粟島浦村
村上市
都道府県間
県内
市町村間①
等②
▲500
▲302
▲998
▲768
▲860
▲522
▲324
▲764
▲324
▲262
133
61
46
▲65
▲131
▲154
▲472
▲66
45
▲63
▲70
151
▲72
▲153
▲14
▲36
▲173
▲9
▲14
19
0 ▲21,298
資料:県統計課「新潟県の人口移動」
佐渡市
聖籠町
田上町
加茂市
消滅可能性都市
弥彦村
消滅の可能性が高い都市
長岡市
柏崎市
小千谷市
魚沼市
十日町市
南魚沼市
糸魚川市
妙高市
新発田市
阿賀野市
三条市
刈羽村
上越市
関川村
五泉市 阿賀町
燕市
見附市
出雲崎町
その他
新潟市
胎内市
津南町
【消滅可能性都市】
20~39歳の女性の数が、
2010年から40年にかけて5
割以下に減る自治体。
さらに、そのうち2040年
人口が1万人を割り込む都市
は、消滅の可能性が高いもの
とみられている。
湯沢町
日本創成会議資料より作成
ホクギンMonthly 2015.2