「ストレスチェック制度」の課題

次の質問に正直にお答えください。
Yes or No ? (職業性ストレス簡易調査票、から)
1.
職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる。
2.
私の部署内で意見のくい違いがある。
3.
働き甲斐のある仕事だ。
4.
何をするにも面倒だ。
5.
仕事が手につかない。
6.
上司とは気軽に話しが出来る。
7.
上司は頼りになる。
8.
仕事に満足だ。
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私たち精神科医は、
精神疾患をどうやって
診断しているか?
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私たち精神科医は、
メンタル疾患を、どうやって診断しているか?
紙面の問診や心理テストの点数のみで
診断をすることはありません!
対面による、診察を介して診断します!
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大原則:精神疾患の診断の骨組み

疾患特有の精神症状が

持続的に存在することにより

社会生活上、大きな支障が生じるようになっている
単なる、「憂うつな気分」、 「うつ病」、 との違いも
ここにある。
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身体疾患と精神疾患の診断仕組みの比較
【糖尿病】:身体疾患代表として
《自覚症状・臨床所見》

口渇、多飲、多尿、体重減少
《検査所見》

空腹時血糖値≧126mg/dl

75gOGTT2時間値≧200mg/dl

随時血糖値≧200mg/dl

HbA1c≧6.5%
診断の仕組みの違い
身体疾患
自覚症状・臨床所見+検査所見
精神疾患
自覚症状×継続期間
+社会的機能の支障
★生物学的検査所見がないため
継続期間で補っている
【うつ病】 :DSM-5(米国精神医学会)による
《自覚症状・臨床所見》以下の症状のうち5つ以上が同時期に
2週間以上持続し、病前の機能から変化をしている。
1)、2)はいずれかが必須
1.
ほぼ毎日、1日中、憂うつ気分
2.
ほぼ毎日、1日中、興味や喜びを感じない
3.
著しい体重の減少(または毎日食欲がない)、あるい
は体重が増加(または毎日過食する)
4.
ほぼ毎日、よく眠れない、あるいは寝過ぎてしまう
5.
ほぼ毎日、動作が遅くなる、あるいは落ち着きなくか
らだを動かす
6.
ほぼ毎日、疲れやすい、あるいは無気力
7.
ほぼ毎日「自分は存在価値がない」と感じたり、根拠
なく自分を責める
8.
ほぼ毎日、思考力や集中力の低下、あるいはなかなか
決断できない
9.
繰り返し、「死んだほうがましだ」と考える、あるい
は自殺を計画する。
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身体疾患と精神疾患の診断仕組みの比較
【糖尿病】:身体疾患代表として
《自覚症状・臨床所見》

口渇、多飲、多尿、体重減少
《検査所見》

空腹時血糖値≧126mg/dl

75gOGTT2時間値≧200mg/dl

随時血糖値≧200mg/dl

HbA1c≧6.5%
診断の仕組みの違い
身体疾患
自覚症状・臨床所見+検査所見
精神疾患
自覚症状×継続期間
+社会的機能の支障
★生物学的検査所見がないため
継続期間で補っている
【うつ病】 :DSM-5(米国精神医学会)による
《自覚症状・臨床所見》以下の症状のうち5つ以上が同時期に
2週間以上持続し、病前の機能から変化をしている。
1)、2)はいずれかが必須
1.
ほぼ毎日、1日中、憂うつ気分
2.
ほぼ毎日、1日中、興味や喜びを感じない
3.
著しい体重の減少(または毎日食欲がない)、あるい
は体重が増加(または毎日過食する)
4.
ほぼ毎日、よく眠れない、あるいは寝過ぎてしまう
5.
ほぼ毎日、動作が遅くなる、あるいは落ち着きなくか
らだを動かす
6.
ほぼ毎日、疲れやすい、あるいは無気力
7.
ほぼ毎日「自分は存在価値がない」と感じたり、根拠
なく自分を責める
8.
ほぼ毎日、思考力や集中力の低下、あるいはなかなか
決断できない
9.
繰り返し、「死んだほうがましだ」と考える、あるい
は自殺を計画する。
客観的検査データがほとんどない
心理テストの点数も診断基準に明記ない
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身体疾患と精神疾患の診断仕組みの比較
【糖尿病】:身体疾患代表として
《自覚症状・臨床所見》

口渇、多飲、多尿、体重減少
《検査所見》

空腹時血糖値≧126mg/dl

75gOGTT2時間値≧200mg/dl

随時血糖値≧200mg/dl

HbA1c≧6.5%
【うつ病】 :DSM-5(米国精神医学会)による
《自覚症状・臨床所見》以下の症状のうち5つ以上が同時期に
2週間以上持続し、病前の機能から変化をしている。
1)、2)はいずれかが必須
1.
ほぼ毎日、1日中、憂うつ気分
2.
ほぼ毎日、1日中、興味や喜びを感じない
3.
著しい体重の減少(または毎日食欲がない)、あるい
は体重が増加(または毎日過食する)
生物学的 4. ほぼ毎日、よく眠れない、あるいは寝過ぎてしまう
5.
ほぼ毎日、動作が遅くなる、あるいは落ち着きなくか
検査所見
らだを動かす
なしで診断 6. ほぼ毎日、疲れやすい、あるいは無気力
診断の仕組みの違い
7.
ほぼ毎日「自分は存在価値がない」と感じたり、根拠
なく自分を責める
脳の疲労の蓄積による脳全体の機能低下
身体疾患
8.
ほぼ毎日、思考力や集中力の低下、あるいはなかなか
自覚症状・臨床所見+検査所見
知:考える力
決断できない
精神疾患
情:感じる力
の障害
9.
繰り返し、「死んだほうがましだ」と考える、あるい
自覚症状×継続期間
は自殺を計画する。
意:意思決定・判断
+社会的機能の支障
★生物学的検査所見がないため
継続期間で補っている
⇒社会生活全般への支障
(ex)レストランでメニューも選べない)
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安衛法の改正により、
実施される
「ストレスチェック制度」。
重要な課題があります。
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ストレスチェック制度実施の最重要条件とは?
◆受検者が正直に答えられる環境
しかも、
正直に答えてもらっても、
紙面問診レベルの情報にすぎない
⇒だから、面接も必要
精神科の
診断面接に相当
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「正直に」という重要な条件を、実現するための
特別な仕組み
結果の通知方法
国家資格によって
守秘義務が約束されて
いる者に限定
• ストレスチェックの「実施者」
• 医師、保健師、看護師、精神保健福祉士の医療職に限定
• 結果の通知
• 実施者から直接通知(事業者は経由しない)
結果の悪用禁止
• 不利益な取扱いを禁止
• 例)面接指導の結果を理由とした不当な人事操作禁止
• 例)解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等
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ちなみに、一般定期健康診断の流れ
①健診結果
⑤医師の意見を勘案し、
必要に応じ措置
再検
精密検査など
労働者
②健診結果の通知
(受診勧奨を含む)
産業医等の医師
④診断区分、就業区分、指導区分に関する
意見を返す
事業者
一般定期健康診断(
事業者の実施義務)
③異常所見が認められた場合
労働者の健康保持に必要な措置
についての意見聴取
医療機関
結果提示
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ストレスチェック制度の流れ
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「正直に」という重要な条件を、実現するための
特別な仕組み
結果の通知方法
• ストレスチェックの「実施者」
• 医師、保健師、看護師、精神保健福祉士の医療職に限定
• 結果の通知
• 実施者から直接通知(事業者は経由しない)
結果の悪用禁止
• 不利益な取扱いを禁止
• 例)面接指導の結果を理由とした不当な人事操作禁止
• 例)解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等
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国家資格にて守秘義務が約束されている者が
ストレスチェック実施者となっている、と解釈できます
1.
医師
2.
保健師
3.
一定の研修を受けた看護師
4.
一定の研修を受けた精神保健福祉士
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「正直に」という重要な条件を、実現するための
特別な仕組み
結果の通知方法
• ストレスチェックの「実施者」
• 医師、保健師、看護師、精神保健福祉士の医療職に限定
• 結果の通知
• 実施者から直接通知(事業者は経由しない)
結果の悪用禁止
• 不利益な取扱いを禁止
• 例)面接指導の結果を理由とした不当な人事操作禁止
• 例)解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等
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正直に答えられる環境について、
労働者に対する不利益取扱いの防止、が謳われています
(厚生労働省、報告書より)
【ストレスチェック制度成功のキモ】
正直に答えられる環境の確約
《実施に関して》
 ストレスチェックを受けない者
 事業者への結果提供に同意しない者
 面接指導を申し出ない者
これらの方々の不利益取扱いの禁止
《結果に関して》
 面接指導の結果を理由とした、解雇、雇止め、退職勧奨、不
当な配転・職位変更等を禁止
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まだ、様々な課題もあります
◆事業者に「結果も知らされる」 ことを承知で「申出」をする
⇒ 「措置実施」、つまり「配置転換をしたい」だけで
意図的に、高ストレス者になる人がいてもおかしくない
◆ストレス反応が【高】いのに、「申出」をしない
⇒ 結果は実施者のみが知る、という状況の中、
最悪の結果(事故、自殺…)が起きた時の責任は?
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