ふれあい報告書 2015(P1) ふれあい報告書 2015 について ■ 編集方針 本報告書は、ワタミグループの活動や取り組みをわかりやすく紹介させていただくことを目的に、ステークホルダーの 皆様ごとに掲載しています。 本報告書では、 □ 各ステークホルダーの皆様にどのようにご意見・ご要望を伺い、企業活動にどのように活かしているか □ 活動に対する姿勢、昨年度の課題に対する実績と評価、今後の目標 を積極的に掲載しています。 ■ 対象期間 2014 年度(2014 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日)の活動を中心に、一部最新(2015 年度)の情報を紹介しています。 ■ 対象範囲 ワタミ株式会社および国内連結子会社を基本に、ワタミグループ全体についても紹介しています。 本報告書の、 「ワタミグループのガバナンス」では、海外含むワタミグループ全体について紹介しています。 ※「お客様とともに 海外外食事業」 、 「お取引業者様とともに」 「従業員とともに」 「地域・社会とともに」の「海外での 取り組み」では、和民國際有限公司、和民(中國)有限公司、和民餐飲(深 )有限公司、和民餐飲管理(上海)有限公 司、台灣和民餐飲股 有限公司、Watami Food Service Singapore Pte. Ltd.を対象範囲としています。また、対象期間 は、12 月決算のため、2014 年度(2014 年 1 月 1 日~12 月 31 日)としていますが、一部最新(2015 年度)の情報を紹介 しています。 ■ 社名・団体名・事業名表記について ワタミ株式会社および国内連結子会社を「ワタミグループ」と表記しています。対象が異なる場合は、該当する事業名 を記載しています。 ■将来の予測・目標について 本報告書には、ワタミグループの過去と現在の事実だけでなく、将来の予測・目標なども記載しております。しかし ながら、これらの予測・目標は、記述した時点で入手可能な情報ないし判断であり、リスクや不確定な要因を含んでおり ます。 したがって、将来に生じる様々な要因により、活動結果が本報告書に記載した予測・目標と異なる可能性がございます。 読者の皆様には、以上のことをご理解賜りますようお願い申し上げます。 ■発行日:2015 年 10 月 ふれあい報告書 2015(P2) ワタミグループのガバナンス ワタミグループは、経営上のスピーディな意思決定を図りつつ、経営管理を効果的に行えるよう努めていま す。コーポレートガバナンスの構築において、経営の透明性、企業倫理の確立は重要な要素であると認識し、 継続的な改善活動に取り組んでいきます。 ■コーポレートガバナンス 基本的な考え方 グループの意思決定の仕組み ワタミグループでは、ワタミ㈱の取締役および各事業の責任者・経営企画部門責任者などが参加する「グループ経営会 議」を月 2 回開催しています。会議は、グループの事業効率を高めること、経営資源の管理・適正配分すること、潜在リ スクに対応することなど、事業活動の安定性・信頼性を確保した上でグループの意思決定を行うことを目的としています。 また、ワタミグループでは稟議システムを採用しており、一定基準の案件に関しては関係部門と管理部門の審議を経た 上で、業務の執行を行う体制をとっています。社内規定に基づき、経営企画本部がそのシステムの管理・運用を行い、業 務管理本部がその執行状況を監査しています。 さらに、経営状態・サービス提供状態・従業員のマネジメント状況などを多角的に把握するため、事業毎に開催する「役 員会」の中で、KPI(Key Performance Indicator:重要経営指標)の確認、レビューを実施しています。これによってグ ループ各社の課題の早期発見・解決を図り、意思決定の質・スピードの向上を目指しています。 ■コンプライアンス 企業倫理とコンプライアンスの徹底 ワタミグループは、企業としての社会的責任を果たすべく、 「企業倫理の確保」と「順法精神の醸成」を最も重要な 活動として位置づけ、社内への浸透に取り組んでいます。 「コンプライアンス委員会」の設置 2014 年 4 月、労働環境を含めたコンプライアンスの強化をすべく、外部専門家を交えた「コンプライアンス委員会」 を設置し、3 ヵ月に一度定例会を開催しています。当委員会は、労働環境の改善、コンプライアンスの順守状況のモニタ リングを行うとともに、改善支援を行います。 メンバーは、ワタミ㈱代表取締役社長を委員長とし、外部弁護士を複数名委員とすることで客観的な視点を加味した委 員会として運営しています。2015 年 7 月には、ワタミグループの「コンプライアンスマニュアル」を策定しました。 コンプライアンスに関する講義の実施 一人ひとりが高い倫理観・使命感を持って実践できるよう、新入社員、中途入社社員を対象として、入社時研修では コンプライアンスの概要と事例についての講義を行っています。 「業務改善委員会」の設置 ワタミグループは、2014 年 4 月、 「コンプライアンス委員会」を実行団体として、さらなる労働環境の改善を目的に「業 務改善委員会」を設置し、毎月委員会を開催しています。 当委員会は、グループの各職場における労働環境の改善計画とコンプライアンス順守のための実行計画を立案し、各現 場での改善計画を推進し、実施状況を観察します。 メンバーは、ワタミ㈱人材開発部門の管掌役員を委員長とし、各事業会社の人材開発責任者、人事企画担当責任者、一 般社員 3 名を委員とすることでグループの横断的な組織とし、グループ全体の労働環境改善に向けた提案や各現場でのコ ンプライアンス順守状況や課題を共有します。 「ワタミヘルプライン」の設置 ワタミグループは、グループ内に存在する問題を広く受け付け、 積極的に解決し、自己改善・自浄できる組織になることを目指し、 グループ全従業員(パート・アルバイトメンバーを含む)および お取引業者様に向け、情報収集窓口として「ワタミヘルプライン」 を設置しています。窓口は、メールにて社内独立組織である「ワタ ミヘルプラインプロジェクト」に直接連絡する窓口、外部委託先で ある株式会社インテグレックス様経由で連絡する窓口、そして、 電話にて外部委託先である三好総合法律事務所様経由で連絡する 窓口の計3つを設けています。また、海外においても、メール相 談窓口を設置しています。 これにより、グループ内に存在する問題の未然防止・早期発見 の体制をさらに強化するとともに、引き続き制度の透明性・利便 性の向上、通報者の保護の徹底に努めていきます。 「ワタミヘルプライン」パンフレット ふれあい報告書 2015(P3) ■リスクマネジメント グループリスク管理体制の維持 ワタミグループは、内部統制の構築を通じて、コンプライアンス・リスクマネジメント体制を推進しています。また、 内部監査によりグループ内に潜在しているリスクを把握し、 「グループ経営会議」や各事業への提言を行い、是正・改善 を図り、企業としての健全性(誠実さ・透明性)の確保に努めています。 内部統制の推進(金融商品取引法:J-SOX 対応) ワタミグループは、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価・報告制度(J-SOX)への対応を図り、各 事業における内部統制の体制構築、社内規程や業務プロセスの整備・評価・改善指示を行っています。 「BCP」の策定・運用 ワタミグループは、大規模災害発生時の事業継続や復旧の必要が生じた場合を想定した BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定・運用に取り組んでいます。 2014 年度は、大規模災害発生時において、ワタミグループの本社の機能が果たせないときに、その機能を代替する拠 点および優先順位の高い業務の検討・整備を行いました。 ふれあい報告書 2015(P4) お客様とともに 国内外食事業 <経営理念> 一人でも多くのお客様にあらゆる出会いとふれあいの場と安らぎの空間を提供すること ■お客様満足度の向上を目指して お客様アンケート 国内外食事業では、外食店舗に設置したアンケートハガキやメール、WEB サイト内に設置したアンケートフォームを通 して、ご来店いただいたお客様から積極的にご意見・ご感想をお伺いしています。2014 年度は、53,213 件のご意見をい ただきました。いただいたご意見・ご感想は、隔週で行われる「業務改革会議」にて確認し、ご満足いただけなかったとい う内容などについては、1 件ずつその原因と対策について確認し、再発防止に努めています。 ■店舗運営レベルの維持向上 国内外食事業では、お客様にご満足いただける営業レベルを確保・維持するため、本部社員やお取引業者様の視点から 外食店舗のチェックを行い、運営のスタンダードが維持されているかを確認しています。 店舗業務監査 国内外食事業の監査部社員が、対象店舗を抜き打ちでチェックを行い、事故発生の未然抑止や管理面是正と改善が行わ れる体制をとっています。2014 年度は、延べ 476 回実施しました。 ミステリーカスタマー お取引業者様に無作為に「お客様としてご来店」いただき、店頭の入りやすさからお帰りまでの「66 項目」の評価を行 っていただいています。お客様の視点での「より良い店舗づくり」に努めています。2014 年度は、179 回実施していただ きました。 覆面調査 一般の方に、覆面調査隊として来店いただき、評価をしていただく覆面調査を行っています。2014 年度は、6 月と 9 月に合計 1245 回実施しました。外部からみた視線での「より良い店舗づくり」に努めています。 ■商品へのこだわり 国内外食事業では、アンケートを通していただいたお客様のご意見をもとに、メニューラインナップや調理方法、手 づくり感にこだわった商品開発を行っています。また、ワタミファームなどから供給される有機野菜を積極活用するな ど、「安全・安心」にこだわっています。 「和民」「坐・和民」「わたみん家」メニューの見直し 主力業態 JAPANESE DINING「和民」、語らい処「坐・和民」、炭火やきとりと手づくり料理「わたみん家」では、 2015 年春、グランドメニューの全体的な見直しを行いました。お客様の声をもとに、よりご利用いただきやすくする ために、商品の品質向上を行い、お客様が求める本来の価格に近づけるため価格の引き下げを行いました。また、グ ランドメニューも、冊子タイプのものから見開きタイプへ変更し、よりお客様が選びやすいようにしました。 冊子タイプから見開きタイプに変更されたグランドメニュー(右・和民 左・わたみん家) ふれあい報告書 2015(P5) 原産地・特定原材料の公開 「和民」、「坐・和民」、「わたみん家」では、「ワタミフードシステムズ<外食事業>原産地表示サイト(携帯サイ ト: http://www.watamifoodservice.jp/g)」を設け、「季節の特撰料理」で使用している主要食材の産地情報を公開 しています。 また、同業態においては、特定原材料( ※ ) の使用の有無について、最新の情報が掲載された一覧表を各外食店舗ご とに保管しています。 ※特定原材料とは:アレルギー発生頻度が高く、その症状が重篤であるとされる「小麦・乳・卵・そば・落花生・えび・かに」の7品目。 ■安心してご利用いただける空間づくり 「点字メニュー」「英字メニュー」の設置 2000 年より、店舗にて、「点字メニュー」を設置しています。2015 年 8 月現在、「和民」、「坐・和民」の全店に設 置しています。また、2002 年より「英字メニュー」の設置も開始し、2015 年 8 月現在、「和民」、「坐・和民」、「わた みん家」、「TGI フライデーズ」「炉ばたや 銀政」「炭旬」の店舗に設置しています。 点字が記された「和民」グランドメニュー 英語・中国語・韓国語で記載されている 「和民」のグランドメニュー 分煙の取り組み 店舗では、分煙化に積極的に取り組んでいます。特に、ごちそう厨房「饗の屋」では全席禁煙席とし、喫煙スペースを 別に設けることで、お子様連れのお客様にも安心してご利用いただける工夫を行っています。 ■新業態の出店 国内外食事業では、より細分化しているお客様のニーズにお答えするため、様々な需要にあった店舗展開を行っています。 串カツと餃子の店「揚旬」 2015 年 4 月、東京都世田谷区に、串カツと餃子の店「揚旬」を出店しました。お手ごろ価格で、様々な種類の素材 ニッポンまぐろ漁業団 を活かした串揚げや餃子などをちょっとずつ楽しんでいただけ、会社の同僚や友人、家族と和気あいあいと楽しめるお 店を目指しています。 ふれあい報告書 2015(P6) 「ニッポンまぐろ漁業団」 2015 年 9 月、東京都港区に、「ニッポンまぐろ漁業団」を出店しました。お客様に様々な種類の鮪や、鮪の多種 多様な部位を堪能していただけるようなメニューを提供します。また、活気あふれる店内で、まるで漁港や漁船にい るような臨場感を味わっていただきたいとの思いから、ご利用シーンにあわせて、「漁港・波止場エリア」「漁師の 集いの酒場エリア」「漁具小屋エリア」「船長のお屋敷エリア」の 4 つのエリアで構成し、少人数から大人数まで、 様々なシーンでご利用いただけるようにしています。 ■より多くのお客様に喜んでいただくために 海外のお客様の受け入れ 2015 年 5 月より、観光で日本を訪れる外国人の方を対象に、日本 の料理やサービスを体験していただくための取り組みを始めまし た。日本を訪れた外国のお客様が安心しておくつろぎいただきなが らお食事ができるよう、その国の風習や嗜好を尊重したサービスや 専用のメニューを用意し、ランチやディナーの提供を行っています。 2015 年 8 月現在 30 店舗で受け入れを行っており、開始してから合 計 12,650 名の外国人の方にご来店いただきました。 折り鶴のおもてなし ふれあい報告書 2015(P7) お客様とともに 海外外食事業 <経営目的> 一人でも多くのお客様にあらゆる出会いとふれあいの場と安らぎの空間を提供すること ■お客様満足度の向上を目指して お客様アンケート 海外外食事業では、アンケート調査を通して、お客様からのご意見・ご感想をお伺いしています。 アンケートの評価は 4 段階となっており、「最も高い評価を 80%・最も低い評価を 0 件」を目標にしています。ご意見・ ご感想は、それぞれの地域で、毎月 2 回程行われている「業務改革会議」にて確認し、ご満足いただけなかったという内 容などについては、1 件ずつその原因と対策について確認し、再発防止に努めています。また、頂いたご意見をもとに、 商品・サービスの改善に努め、「もうひとつの家庭の食卓」という基本コンセプトに則し、現地のニーズに対応した商品・ メニュー開発に取り組んでいます。 お客様満足度の推移グラフ 店舗運営レベルの維持向上 海外外食事業でも、お客様にご満足いただける営業レベルを確保・維持するため、ミステリーカスタマーを実施してい ます。外部機関の調査員の方などに、無作為に「お客様としてご来店」いただき、50 項目において評価をしていただい ています。2014 年度は、423 回実施していただきました。 また、2014 年度から、外食店舗運営のスタンダードが守られているかの確認と、改善点の共有を目的に、本部社員に よる SIP(Standard Important Patrol)が香港の全店舗にて実施されています。今後は、香港以外の地域でもスタート させていく予定です。 ふれあい報告書 2015(P8) ■ お客様に楽しんで頂けるお店づくりを目指して 海外外食事業では、「現地の経済の発展に貢献すること」「その地域のお客様に楽しんでいただけるお店づくり」を基 本とし、様々な取り組みを行っています。 地域名産メニューの提供 世界のお客様に日本の各地の名産をお楽しみいただくため、居食屋「和民」にて、特撰メニューとして様々な地域名産 物を提供しています。2014 年度は、九州、北海道や関西三大地域(京都、大阪、神戸)の代表的な料理を提供しました。 北海道 特撰メニュー 北海道の海産物などを使用したメニューをご提供 関西三大地域 特撰メニュー 関西地域の名物などをご提供 韓国のカンナム店大改装 2014 年 9 月、韓国ソウル市にあるカンナム店をリニューアルオー プンしました。本格的な日本食を韓国のお客様に楽しんでいただけ るよう、韓国で人気上昇中の焼き鳥のメニューを拡充しました。店 舗にはオープンキッチン、そして店舗入り口に焼き場を設け、焼き 鳥を焼いている様子や香りも楽しんでいただけるようにしました。 カンナム店 入口の焼き場 マレーシアにて「ご膳メニュー」の導入 2014 年 11 月から、マレーシアの「和民」において、お客様に日 本料理の基本である「一汁 3 菜」を楽しんでいただきたい、又、お 一人の時でも気軽にご来店いただけるようにとの思いから、御膳メ ニューを導入しました。主菜、ご飯、味噌汁、漬物などをバランス よく取り入れたメニューにし、ランチ及びディナータイムにもご提 供しています。 vv ヒレ肉のサイコロステーキ定食 ふれあい報告書 2015(P9) 新タイプの「和民」が香港にオープン 2015 年 6 月、香港銅鑼湾に「本物の日本食」と「ライブ感」を味わっていただくことをテーマにした新しいタイプの 居食屋「和民」ウィンザーハウス店を出店しました。お客様に、本格的な日本食を提供するため、食材を見直し、焼き鳥 の鶏は丸鶏を店舗でさばき、串打ちしたり、鮮魚の一部魚種については日本から直送のルートを確立するなどしています。 また、焼き鳥を焼いている様子や香りも楽しんでいただけるよう、オープンキッチン、オープンバーを設けています。 ■日本食を広めていくために 海外外食事業は、より多くのお客様に日本食を楽しんでいただくために、出店地域を拡大すべく、現地提携企業の開拓 を進めています。2015 年 7 月末現在アジアを中心とした 11 の地域で 102 店舗展開しています。 海外展開マップ(2015 年 7 月末時点) ふれあい報告書 2015 (P10) お客様とともに 介護事業 <経営目的> 一人でも多くの高齢者の方に心からのお世話をさせていただくことにより、お一人おひとりの幸せに関わら せていただくこと ■お客様満足度の向上を目指して お客様アンケート 介護事業では、各ホームにご意見箱を設置し、ご入居者様やご家族様に自由にご意見を投函いただけるようにしてい ます。また、毎月 1 回お客様へお送りするご請求書の中に「お客様アンケート」を同封し、ご意見・ご感想をいただい ています。アンケートの評価は5段階となっており、「良い評価」である「5」「4」が 100%、「最も低い評価」であ る「1」が 0 件となることを目標にしています。 2014 年度は、2,561 件のご意見をいただき、「100%・0 件」の目標に対し、結果は「86.4%・56 件」でした。アン ケートを通していただいた貴重なご意見は、隔週行われる「業務改革会議」で確認し、苦情については内容を真摯に受 け止め、すぐに改善策を講じています。同時に、課題点を従業員全員で共有し、改善に努めています。 お客様満足度の推移グラフ お客様相談窓口 ホームやデイサービスの運営やサービスに関して、ご入居者様、ご利用者様、ご家族様から様々なご相談・ご要望を 電話にて承れるよう「お客様相談窓口」を設置しています。2014 年度は、344 件のお問合せをいただき、対応しました。 ■「4 大ゼロ」の取り組み 介護事業では、ご入居者様の自立支援に力を入れ、「おむつゼロ、特殊浴ゼロ、経管食ゼロ、車椅子ゼロ」を目指す 「4 大ゼロ」に取り組んでいます。 2011 年度から、年に一度、「事例発表会」を開催しており、「4 大ゼロ」の取り組みなどにおいて各ホームで改善さ れた事例や、状態を維持できた事例、病気や機能低下を予防した事例を集め、ノウハウを蓄積し、他ホームへ展開する 事に取り組んでいます。 ■2014 年度の実績 ふれあい報告書 2015 (P11) ■「栄養ケア・マネジメント」を通して日に日にお元気に 介護事業では、ご入居者様が「食事を通して日に日に元気になっていくこと」「最期まで口から食べること」を目標 として、栄養士が中心となり「栄養ケア・マネジメント」を実施しています。 ホーム長、ケアマネジャー、ナース、ケアスタッフ、キッチンスタッフなどの多職種が協働して、ご入居者様の疾病、 塩分などの制限、食べ物の好き嫌い、食事量の減少などを把握し、低栄養や生活習慣病の予防・改善に努めています。 また、ご入居者様のお身体の状態の変化に応じ、お一人おひとりに合った食形態でお食事を提供できるように取り組ん でいます。 ■安心して過ごしていただけるホームづくりのために 介護事業では、ご入居者様が安らぎやくつろぎを感じられる空間を提供することはもちろん、ご入居者様に安心して お過ごしいただけるホームづくりを目指しています。 「自分でできる」ための環境づくり ご入居者様が、可能な限りご自分のことはご自分でできるように との思いから、施設内や居室内に様々な工夫をこらした環境づくり に取り組んでいます。 車椅子をご利用のご入居者様に、より安全にそして安心してトイ レをお使いいただけるよう、便器の位置、方向を変更し、着座する 際の回転角度を小さくしたり、トイレの外から中がみえにくいよう にするなど工夫を行っています。また、ご入居者様のお体の状態に 合わせて着脱が容易にできるように、居室トイレ内での手すりの設 置や、高さを調節できるテーブルの導入なども行っています。 認知症の方へは、ご自分の居室への手がかりになるようドアやフ ロアに配色を施すなどの取り組みも行っています。 施設点検の取り組み ホーム内で生じた設備不具合の対応においては、対応期間を「2 日以内」を目標に設定し、ご入居者様の生活にスト レスを与えないよう努めています。ライフラインに関わる案件においては、「24 時間以内」に応急復旧することを目 標に掲げ対応しています。また、専門協力業者様による定期的な巡回設備点検を設け、施設の細部までみていただき、 トラブルを未然に防ぐ取り組みも実施しています。 ■アクティビティやイベントの充実 介護事業では、ご入居者様の生き甲斐づくりや日々の楽しみのきっかけづくりとして、アクティビティやイベントの 介護事業では、ご入居者様の生き甲斐づくりや日々の楽しみのきっかけづくりとして、アクティビティやイベントの 充実を図っています。 充実を図っています。 日々のアクティビティ 日々のアクティビティでは、「4 大ゼロ」を目指してご入居者様の身体・心・脳に働きかけるプログラムを平日 5 種・ 土日 2 種以上を用意し、開催しています。 体力測定の実施 2014 年度からは、厚生労働省の「介護予防マニュアル」に準拠した内容で、ご入居者様の「体力測定」を実施して います。低体力高齢者であるご入居者様でも参加できる項目とし、歩行スピード・全身筋力・バランス機能・柔軟性・ 脚力・最大呼気流量の指標の変化を追い、身体機能低下や転倒リスクの早期発見を目指します。2015 年 7 月末現在、 28 のホームで実施しています。 「アクティブウォーキング」の実施 2014 年 9 月から 12 月にかけて、ご入居者様の生活の質(QOL)向上を目的として、ネスレ日本株式会社様と協力し、 ネスレ日本株式会社様が開発したサルコペニア(筋肉量の減少症)予防プログラム、「アクティブウォーキング(介護 予防体操と栄養ケア・マネジメント)」を一部のホームにて実施しました。介護予防体操後に栄養補助飲料を摂ってい ただくことで、ご入居者様の健康、栄養状態の改善を促しました。 ふれあい報告書 2015 (P12) 食事イベント ご入居者様にお食事を楽しんでいただこうと、毎月「食事イベン ト」の日があり、「駅弁の日」「肉の日」などテーマを設け、ハレ の日のお食事を演出しています。 また、「うなぎの日」や「松茸の日」も設け、ご入居者様に旬の お食事を提供し、季節感もお楽しみいただいています。 「うなぎの日」のお食事例 キャラバンイベント ご入居者様に日常とは違った雰囲気を、ホームにいながら愉しん でいただくため、様々な模擬店やイベントのセットが各ホームを巡 回する、キャラバンイベントを開催しています。寿司、天麩羅、蕎 麦・うどん、納涼祭をはじめ、2014 年度は、ワタミファームの有機 野菜や短角牛をふんだんに使用した焼肉などを楽しんでいただく 「ワタミファームキャラバン」も開催しました。 ホームにて蕎麦打ちの様子(蕎麦キャラバン) ■デイサービス「ハッピーデイズ」の展開 介護事業では、2011 年度より、「レストランデイ」という新しいコンセプトのデイサービス「ハッピーデイズ」を展開 しています。オープンキッチンでシェフが腕を振るい、デイサービスでありながらレストラン風のお食事を提供していま す。また、健康テーマを日替わりで掲げ、お食事、機能訓練、アクティビティと連動させ、要介護状態の予防に取り組ん でいます。2014 年度は、新たに 3 箇所で開設しました。 ■多様なニーズに合ったホームの展開 介護事業では、2014 年度9棟のホームを新たに開設し、ホーム数は累計 111 棟となりました。2015 年度も新たに 6 棟の開設を予定しています。2015 年度は、多様なニーズにお応えできるよう、様々な用途に合わせた施設展開を行っ ています。 ふれあい報告書 2015 (P13) サービス付高齢者向け住宅の開設 2015 年 5 月より、 「少しでも長く自立した暮らしを愉しみたい」 と望まれる方のための住宅として、神奈川県藤沢市にワタミの介護 では初となるサービス付高齢者向け住宅「レヴィータ湘南台」を開 設しました。住宅には、銭湯気分で入浴できる大浴場や広い湯上り コーナーを備え、ご入居者様同士の交流ができる場所を設けるなど、 日に日に元気になれるような工夫を随所に施しています。 入浴後にくつろげるように設けられた湯上りスペース ナーシングホームの開設 2015 年 6 月、24 時間看護師が常駐し、従来のレストヴィラと比べてホームでできる医療行為を拡充した「ナーシン グホーム レストヴィラ町田小山」を東京都町田市に開設しました。看取りの介護を必要としている方の受け入れや、 痰(たん)の吸引も行うなど、専門性を高めた取り組みを行っています。また、2015 年度は、夜間痰吸引対応が可能な ホームを 20 棟にしていく予定です。 新業態「みずき」開設 2015 年 7 月、より多くの方にご利用いただけるように、低価格帯 の介護付有料老人ホーム「みずき」を立ち上げ、埼玉県飯能市に 1 棟目となる「みずき飯能の杜」を開設しました。地域との交流を 大切に、ご入居者様自ら元気になることに生きがいをもてる「自立 支援」のサポートを行っていきます。2015 年 9 月に、新たに 1 棟開 設しました。 リハビリ強化型ホームの展開 2014 年度から、リハビリに特化した「リハビリ強化型ホーム」を展開しています。これまでは、理学療法士が定期 的に各ホームを巡回していましたが、「リハビリ強化型ホーム」にはそれぞれ理学療法士を配属しています。 また、 ホーム内には機能訓練室を設け、ご入居者様の日常生活動作の回復・維持・援助に努めています。 2015 年 8 月末現在、8 棟のホームを「リハビリ強化型ホーム」として運営しています。 「短期利用特定施設入居者生活介護(ショートステイ)」のサービス開始 2015 年 4 月より、一部の既存介護付き有料老人ホーム「レストヴィラ」において「短期利用特定施設入居者生活介 護」のサービスを開始しました。2015 年 9 月現在、43 ホームで展開しており、実施ホームでは、永続的なご入居だけ でなく、短期間の宿泊利用が可能となります。 ふれあい報告書 2015 (P14) お客様とともに 宅食事業 <経営目的> 一人でも多くの高齢者の方にまごころを込めた食の宅配サービスを通じて、喜びと幸せをお届けすること ■お客様満足度の向上を目指して お客様アンケート 宅食事業では、毎月発行しているお客様向け情報誌「宅食らいふ」内にアンケートハガキを設け、お客様からのご意見・ ご感想をいただいています。アンケートの評価は 3 段階となっており、最も高い評価である「満足」を 80%以上いただ くことを目標にしています。 2014 年度は、36,848 件のご意見をいただき、「満足」の評価は 63.9%でした。 お客様からいただいたご意見・ご感想は、全社で共有するとともに、献立やお届け方法など、その内容ごとに担当者にフ ィードバックされ、改善に努めています。また、毎週行われる「業務改革会議」では、日々のお客様からのお電話、アン ケートハガキ、メールでのご意見の対応状況を共有し、営業活動の問題点の把握と改善を迅速に行えるようにしています。 お客様満足度の推移グラフ ■「まごころスタッフ」が1軒1軒、手渡しでお届け 宅食事業では、健康に配慮した日替わりのお弁当やお惣菜を、お 客様と同じ地域で暮らす「まごころスタッフ」が、1軒1軒、毎日 決まった時間帯に、手渡しを基本にお届けしています。「まごころ スタッフ」から直接手渡しすることで、お客様とのふれあいやコミ ュニケーションを生み出すことにつながります。 毎日の食事にお困りの高齢者の方にお食事をお届けする一方で、 まだまだ働きたいとお考えの元気な高齢者の方にも、「まごころス タッフ」として私たちの事業に参画していただき、一緒に高齢者を 支えていきたいと考えています。 ■「ワタミの宅食 イラスト大賞」を実施 宅食事業では、2010 年度より、一人でも多くのお客様と絆を深め ていきたいという思いから、お弁当箱のふたも一つのメディアと考 え、ふたを飾るイラストをお客様から募集する「お弁当のふたイラ ストコンクール」を行ってきました。 2014 年度は、お弁当のふたのイラストだけではなく「2015 年 ワタミの宅食カレンダー」へ掲載するイラストとしての利用も想定 し、「ワタミの宅食 イラスト大賞」として新たにスタートしまし た。第 1 回は、「食の風景」「日本の四季」をテーマに募集を行い、 250 点の応募を頂きました。集まったイラストの中から 17 点の作品 を「2015 年版ワタミの宅食カレンダー」にて使用させていただいて おります。 ふれあい報告書 2015 (P15) ■お客様向け情報誌の発行 宅食事業では、自社の取り組みを知っていただくためのお客様向け 情報誌として「月刊宅食らいふ」を、また、調理済み商品の 1 週間 分の献立をお知らせするツールとして「週刊ふかしいも」を定期的 に発行しています。2015 年 4 月からはお客様により伝わりやすいよ うにと、お客様にお届けする発信物の内容の見直しを行いました。 「宅食らいふ」では、ワタミの宅食のある新しいライフスタイル を提案しています。ワタミの宅食に関して、お客様から数多く頂く ご意見、ご質問にお答えするコーナーとして、2014 年 4 月号よりス タートした「知って納得 ! ワタミの宅食」では、食の安全・安心に 関わる取り組みや、お弁当をお届けするまでの舞台裏などについて 紹介しています。 ■地域コミュニティ活動 宅食事業では、地域に根ざした活動を営業所ごとに行っています。また、社員の現地採用を積極的に行うことで、より 地域に密着した活動を行っています。 地域イベントへの参加 2014 年度、計 18 の営業所が地域清掃や地域祭り、敬老会などの 地域イベントのお手伝いに参加しました。 東京羽村営業所のバザーの様子 詐欺被害防止取り組みへの協力 2014 年 2 月より、「振り込め詐欺」などの被害防止対策に力を入 れている各警察機関に協力しています。 2014 年度は、警察署からの協力依頼に基づき、振り込め詐欺、 投資詐欺などの被害予防チラシの配布を強化し、全国で合計約 36,000 部の被害予防チラシをお客様に配布しました。 また、2014 年 10 月号の「宅食らいふ」より、巻末スペースに特 殊詐欺防止の告知を連載しています。告知のテーマや内容は、犯罪 発生件数などに合わせ警察庁と協同考案し、お客様に注意喚起を行 っています。 見守り活動 「宅食らいふ」掲載ページ例 「まごころスタッフ」が商品をご自宅にお届けする特性を活かし、地域・行政と連携し「地域を見守る」取り組みに協 力しています。これは、「まごころスタッフ」が、お届けの際に地域・行政との協定に基づき、異変に気がついた場合、 市区町村の指定の連絡先に通報するというものです。 (※) 2015 年 7 月現在、計 230 の自治体と見守りサービスを締結しています。今後は、協定都市の拡大を目指し、継続して 取り組んでいきます。 ※地域福祉の向上に協力するものであり、協力実施に関してワタミフードシステムズ㈱宅食事業部や「まごころスタッフ」がなんらか の義務や責任を負うものではありません ふれあい報告書 2015 (P16) 配食サービス 宅食事業では、外出が困難なため、食事の準備などが難しいご高齢の方にお弁当をご自宅にお届けする「配食サービス」 を自治体から受託しています。2015 年 7 月現在、17 の市区町村と契約を結んでおり、2015 年末には、30 都市へ拡大して いく予定です。 ■よりご満足いただける商品を目指して 飽きのこない献立づくり 専任の管理栄養士がカロリーやバランスに配慮し、四季折々のバラエティ豊かな献立を考えています。2012 年度から は、主にお弁当やお惣菜をご利用いただいている 60 代~80 代の年齢層の方で、8 週以上ご注文いただいているお客様を 対象に、毎日の献立、味に対するアンケートを継続して行っています。長く継続していただいても飽きのこない献立をつ くるため、お客様からいただいたご意見を活かし、レシピや献立の改善を行うとともに、商品開発にも力を入れています。 調理法改善 2015 年 6 月より、お客様によりご満足いただける商品づくりのために、新調理法を導入しました。お弁当の煮物に使 用している一部の根菜類を対象に、ばらつきなく均一な軟らかさにできるよう加圧調理機を新たに導入したり、焼き魚に おいては、よりこんがりと焼き目をつけて仕上げることができるように、一部の献立の調理に新オーブンを使用していま す。今後もお客様のお声一つ一つに向き合い、見た目や味、食感の細部までこだわり、美味しさを追求します。 ふれあい報告書 2015 (P17) お客様とともに ~外食・介護・宅食事業を支えるバックヤードの取り組み~ ワタミグループでは、「安全・安心」な食品をお客様にお届けするため、仕入、品質・衛生管理、製造・加工、物 流など、生産から消費まで、商品の全工程を設計し、グループの外食店舗、介護施設、宅食営業拠点へ供給しています。 これまで、ワタミ手づくりマーチャンダイジング㈱(以下、WTMD)がその役割を担っていましたが、2015 年 3 月より、ワ タミフードサービス㈱、ワタミタクショク㈱、WTMD の 3 社が合併した、ワタミフードシステムズ㈱に、ワタミグループ の安全・安心を支えるバックヤードの役割は引き継がれました。 ■ 「品質保証室」の設置 ワタミグループは、安全・安心かつ高品質な食を求めるお客様の声に応えるため、ワタミ㈱に品質保証室を設置し、 各種検査業務や衛生管理指導、生産拠点の監査業務の他、生産品の一括表示・アレルゲン情報の作成や、外食メニュー 表示の景品表示法上の確認など食品表示法、食品衛生法、JAS 法や景品表示法など、お客様に食を提供する上で順守し なければならない関連法規が確実に守られているかどうかの確認を行っています。また、お客様からいただくご意見に 対し、その原因の分析、対策が十分であるか、効果的な内容であるかの確認を行い、更なる品質の向上を目指していま す。 ■仕入における取り組み 仕入食材の安全性の確認 ワタミグループでは、原材料の安全性、製造(生産)方法、梱包、運搬方法などを定めた独自の品質基本方針を設け、 適切な品質管理のもとで製造(生産)された食材を仕入れています。 食材の安全性の確認は、「野菜類」「魚介類」「肉類」などの原材料ごとに品質検査の基準を設けた上で、主要原材 料を中心に「原材料」と「製造」の 2 つの面から行っています。 原材料については、グループ農場で生産する有機野菜については生産地、生産者を確認し、栽培、飼育などにさかの ぼった生産履歴を把握するプロセス管理を重視しています。また、配合原料や添加物、アレルゲン、細菌検査などの各 種検査結果などの原材料情報を確認しています。 製造面においては、不定期にてお取引業者様の製造現場を訪問し、製造工程票や温度管理状態、異物混入対策の確認 などを行っています。 ワタミグループは、関東地方で生産された農産物および土壌のサンプリングを毎月 1 回実施し、第三者機関に提出し、 放射性物質検査にて安全性の確認を行っています。関東地方の契約生産者様から出荷される農産物についても、同様に 第三者機関による安全性の確認を行っています。(※) ※第三者機関における検査は、2012年4月に厚生労働省から公示された「食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正」に基 づく方法及び検査機器にて実施。 ■衛生管理における取り組み ワタミ手づくり厨房 「持ち込まない」環境の構築 ワタミ手づくり厨房(以下、センター)では、全従業員並びにお 取引業者様など来訪される全ての方に健康チェックを行っていま す。 非接触式体温計での体温測定、体調の問診チェックなどを実施し、 隠れた疾病が原因での食中毒を作業場内に持ち込まないよう配慮を 行っています。 非接触式体温計での健康チェックの様子 ふれあい報告書 2015 (P18) 外食店舗、介護施設での「衛生検査」の実施 ワタミグループの外食店舗や介護施設において「高い衛生管理レベルを維持する」ことを目的に、安全衛生部門の主 管で、外部検査機関の専任巡視員による「衛生検査」を実施しています。検査は、食材の管理やキッチン機具の清掃、 微生物検査など多項目にわたって実施され、外食店舗や介護施設における衛生面のスタンダードを確認しています。 2014 年度は、外食店舗においては、計 1148 回の衛生検査を行い、平均点は 87.08 点でした。介護施設では、合計 199 回行い、平均点は 89.00 点でした。 ■ 品質管理における取り組み フードディフェンスの取り組み センターでは、意図的な食品汚染を防止するため、2014 年に 設置し稼動している「エビデンスカメラ(品質保証カメラ)」を増 設するなど更なるリスク管理に努めています。 エビデンスカメラ 「新たな品質管理システム」の構築 2015 年度より、お客様に安心して商品をお召し上がりいただける環境を追求するため、新システム「ワタミ HACCP」 導入のための活動が開始されました。「ワタミ HACCP」とは、HACCP(※)の考えを取り入れたワタミグループ独自の 衛生・品質管理システムです。食品のすべての製造・加工工程のなかで、起こる可能性のある危害をあらかじめ予測し、 そのうえで危害防止につながる重要な工程を常に監視することで、製品の安全を確保します。全ての生産拠点において の導入に向けて活動を行っていきます。 ※HACCPとは;国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関、食品企画(コーデックス)委員会から発表された、食品 の安全を確保する衛生管理手法。 ■製造・配送における取り組み 製造、配送の仕組み 各センターでは、商品に適した温度管理を徹底し、製造を行っています。また、各事業拠点からの発注量に合わせて 製造を行い、センター内で極力、在庫を保管することなく、製造したものをできるだけ早くに事業拠点へ届けることで、 お客様に新鮮な商品を提供できるようにしています。各事業拠点までは、短い時間で配送できるように構築された物流 システムのもと、温度管理された配送車で一年を通して届けています。(※) ※定休日・休配日は除く 効率的な製造を目指して センターでは、独自の「多品種・少量生産体制」のもと、製造ラインのレイアウトや従業員の移動歩数など、全製 造工程を改善する独自の活動、「WPI(Watami Product Innovation)」をセンターごとに継続しています。各センタ ーの取り組み結果は、毎月全センターに水平展開され、より効率的な製造を実現しています。 給食の受託 ワタミグループは、学校、保育園から給食業務の委託を受け、カ ロリー、塩分などの品質管理やアレルゲン、離乳食に対応したお食 事を提供しています。2014 年度は食育の取り組みとして大豆からき な粉を作ったり、園児様と一緒にお弁当作りなどを行いました。又、 給食業務の委託を受けている文京区の中・高等学校の研修センター では、食育に関する講義を全学年を対象に行いました。 2015 年3月からは WTMD から介護事業がその業務を引き継ぎ、 2015 年 8 月現在、文京区の中・高等学校及びその研修センターの 2 箇所 で継続して給食を提供しています。 ふれあい報告書 2015 (P19) 農業 お客様とともに <経営目的> 有機農業を発展させ、循環型社会を創造し、人々の幸せに貢献する 研修センターでの給食の様子 ■有機農産物の積極的活用 ワタミグループは、ワタミファームや、契約生産者様が生産した有機農産物や特別栽培農産物(※1)を積極的に活 用しています。2014 年度末現在、ワタミグループが仕入れている農産物は、外食・介護事業においては、仕入量全体 の 41.1%(4525.5tのうち、1861.5t)(※2)、宅食事業においては、仕入量全体の 10.97%(8845.9tのうち、970.8 t)(※3)が有機農産物および特別栽培農産物です。 【外食・介護】 【宅食】 有機農産物及び特別栽培農産物の仕入れ量比率・重量 ※1特別栽培農産物とは:農薬または化学肥料を使わない、あるいは使用量が各地域で定める5割以下に削減された農産物。また、 有機野菜と同じ栽培方法であっても有機JAS認定を受けていない圃場で栽培された農産物も含む。 ※2外食・介護事業における有機農産物の仕入れ量比率は14.06%、特別栽培農産物の仕入れ量比率は27.07% ※3宅食事業における有機農産物の仕入れ量比率は0.50%、特別農産物の仕入れ量比率は10.47% ■「有機循環型モデルタウン」の推進 有機農業を発展させ、永続的に生活できるような環境を創造することを目標としています。食料とエネルギー自給 率向上を目指し、営農・集荷・加工・流通に加え、廃棄物の再資源化や飼料化など、それぞれのエリアに沿った形を提 案しながら、すべてエリア内で賄うことのできる「有機循環型モデルタウン」を推進します。 ワタミファーム展開図 ふれあい報告書 2015 (P20) ■北海道での取り組み 養鶏・酪農・乳製品加工 北海道せたな町では、畑作、養鶏、酪農、乳製品加工の各事業を 運営しています。鶏は、「純国産鶏もみじ」約 2,200 羽を、平飼い で飼育しています。乳牛は有機牧草と有機飼料を与え、放牧してい ます。その生乳と鶏卵を主原料とし、有機乳加工品(チーズ、バタ ー、アイスクリーム)を生産しています。鶏卵、有機乳加工品は 2007 年に、国内初となる JAS 認証を取得しています。2014 年 12 月には、 飼育環境の改善を目的に、新しく 4 棟の大型ハウスの鶏舎を新設し、 整備しました。 新工場の設立 北海道せたな町では、これまで乳製品加工センター(チーズ・バ ター・アイスクリーム)とグランドマザーファクトリー(パンアイ ス)の2箇所の工場で乳加工品の製造を行っておりましたが、2015 年 8 月より、(有)ワタミファーム瀬棚工場として一箇所に集約しま した。更なる品質の向上と衛生管理の向上、生産効率と労働環境の 改善が主な目的です。高齢者や、障がいのある方も作業を行うこと ができる施設として稼動しています。これまで以上に地域社会に貢 献できるよう取り組んでいきます。 ワタミファームの有機アイスクリーム 弟子屈牧場 北海道川上郡では、弟子屈牧場で畜産事業を行っています。主に日本短角種、ホルスタイン(酪農)を約 240 頭飼育 しており、出荷に至るまで細かく決められた自社基準プログラムにより、自社繁殖・自社育成を行っています。また、 育成期間により、牛舎飼育ではなく、完全放牧できる環境づくりも行っています。2015 年度からは、日本短角種の飼 育については基本的に購入飼料を使用せず、母乳、自給牧草、自給デントコーンのみで試験的に飼養管理しています。 また、搾乳については配合飼料を使用せず、Non-GMO(非遺伝子組換え)の範囲内で飼料設計を実施しています。 美幌峠牧場 北海道網走郡では、2013 年度より、美幌町から借り受けた美幌峠 牧場で畜産事業を行っています。美幌峠牧場では、弟子屈牧場で飼 育している日本短角種、ホルスタイン約 100 頭を、夏場を中心に放 牧飼育するほか、町内外の約 130 頭の牛の預託を受けています。 美幌峠牧場 産学官との連携 美幌峠牧場では、2014 年 5 月より、美幌町、農業大学、地元企業様、美幌峠牧場の 4 者共同実証試験を開始しました。 ワタミファームの肉牛肥育事業において、草地改良試験、土壌改良試験に必要な技術の提供を受け、飼料作物栽培に適し た環境づくりに取り組んでいきます。地域での資源循環によって飼料資源を確保し、資源循環型の畜産の確立を図ること で、地域のブランド牛としての付加価値化と地域社会の活性化を目指します。2015 年度から試験区を設けて栽培試験を 開始し、農業大学による土壌や牧草のサンプリング及び分析を実施しています。 ふれあい報告書 2015 (P21) ■ 関東での取り組み 千葉県では、山武市の山武農場、香取市の佐原農場、そして南房 総市の白浜農場で畑作を行っています。また、「北総集荷センター」 「千葉県公設市場」での集荷・販売も行い、「有機循環型モデルタ ウン」づくりを推進しています。地域の契約生産者様やお取引業者 様と協力し、人材育成、農産物の加工・流通をエリア内で完結でき るよう取り組んでいます。 北総集荷センター 専門機関との調査研究 千葉県北総地区では、2013 年度より、専門機関と協力し、土壌診断や微生物の多様性および数量測定などを行ってい ます。土壌微生物の多様性や数量との相関関係を調査し、作物栽培に活かしていくことを目指しています。また、バイオ エタノール抽出実験として土壌の改善と同時に生産ノウハウを外部機関と共同研究しています。新たに 2015 年度より種 苗会社様と作物栽培における肥料費削減の取り組みを実施しています。 農地の取得 2014 年 6 月、千葉県富里市の農業委員会の承認を得て、㈲ワタミファームは同市内で 0.5ha の農地を取得しました。 農産物の生産拠点として、あらゆる可能性を模索し体制を整える計画です。 土づくりセンター 千葉県山武市にある土づくりセンターでは、ワタミグループの外 食店舗から出た食品残渣を堆肥化する取り組みを行っています。外 食事業が管理する堆肥センターで地元の木材チップを使用し特殊な 菌を培養しながら食品残渣の減容を行っています。2015 年 2 月に新 設した施設では、これまで外部委託していた堆肥作りの最終工程を 行うことができるようになりました。今後は、地元の食品残渣など を受け入れ、ニーズに応じた堆肥づくりをし、堆肥の外部販売も視 野に新たな活動を展開していきます。 土づくりセンター 倉渕農場 群馬県高崎市では、2012 年度より、従来の高原野菜の栽培のほかに、蕎麦や牧草の生産を本格的に開始しました。牧 草に加えて 2015 年から飼料用トウモロコシの栽培も試験的に開始しています。地域で必要なものは地域でまかなうとい う地産地消と、自社の生産量を増やし、海外調達が滞った際に発生するリスク軽減を目指します。 ふれあい報告書 2015 (P22) ■中部での取り組み 長野県東御市では、東御農場を運営し、レタス、ブロッコリー、 キャベツ、白菜を中心に、5ha の面積で栽培しています。栽培した 野菜は、地元農協様へも出荷しています。 地元農協様を通じ地元生産者様から野菜を供給いただくなど、地 域に根ざした農場運営を行っています。 2015 年度に地元生産者様と環境にやさしい農業を推進する研究 会を立ち上げました。お客様の安全・安心を守るとともに、地域の 農業の発展や、環境を守る取り組みを展開していきます。 レタス畑(東御農場) ■関西での取り組み 兵庫県丹波市では、丹波農場を運営しています。2013 年度より、 一次処理施設をワタミ手づくり厨房丹波センターに併設し、丹波農 場の主要農産物である玉ねぎの一次処理(皮むき)に取り組んでい ます。生産だけではなく一次処理を自ら行うことで、より新鮮な農 産物をより安価にワタミ手づくり厨房に供給することを目的として います。 丹波農場と京都府京丹後農場では、収穫量や品質の向上を目指し、 地元大学と共同で、玉ねぎ栽培に適した土壌の調査研究に取り組ん でいます。 玉ねぎ畑(京丹後農場) ■九州での取り組み 大分県臼杵市では、臼杵農場を運営しています。2010 年度より、ワタミグループ外食店舗で提供しているオリジナル 焼酎の原料としてサツマイモを収穫し、供給しています。2015 年度からは、「盈進」をブラッシュアップした「EiSHiN Light(エイシン・ライト)」の原料に使用されています。また、大分県にご協力いただき、栽培方法の検証や土壌分析、 栄養価などの分析を実施しながら、輸出向けのミニサツマイモの試験栽培にも取り組んでいます。 ■「ワタミファーム農場体験」の開催 ワタミグループでは、ワタミファームの活動を知っていただくた めに、「ワタミファーム農場体験」を開催しています。「ワタミフ ァーム農場体験」では、収穫体験や有機農業に関する説明、取れた ての有機野菜を使用したランチの試食などを行っています。 2014 年度は、11 月に山武農場で開催し 35 名に御参加いただきまし た。 農場体験の様子 ふれあい報告書 2015 (P23) 株主様とともに ■適切な情報開示 IR説明会の開催 ワタミ㈱は、今後のワタミグループの経営や事業にご意見を反映させることを目的として個人株主様、投資家様向けの IR 説明会を開催しています。2014 年度は、札幌市・静岡市・名古屋市・広島市・福岡市の全国 5 カ所で開催しました。 決算説明会の実施 年 2 回、株式市場関係者様、お取引業者様および報道機関の方々を対象とした「決算説明会」を実施しています。決算 説明会の資料はワタミふれあいホームページでも公開しています。 ※IR 情報の詳細はこちら http://www.watami.co.jp/ir/top.html をご覧下さい。 関西説明会の開催 2015 年 7 月、株主様との直接のコミュニケーションの場として、 「関西説明会」を大阪府大阪市で開催しました。当日 は、 「第 29 期定時株主総会報告」ならびに「2014 年度業績報告および 2015 年度事業計画説明」を行いました。今年度は、 554 名の株主様にご参加いただきました。 「1on1 ミーティング」の実施 機関投資家様、アナリストの方々を対象に、「1on1(ワンオンワン)ミーティング」を随時実施し、経営や事業に関し て質疑応答を行っています。 ■株主様への活動報告 ワタミ㈱は、毎年 5 月と 11 月に、株数に応じた株主様ご優待券と ともに、「株主ふれあい通信」をお送りしています。「株主ふれあ い通信」では、ワタミグループへの理解をより深めていただけるよ う、半期ごとの各事業の取組みや、社会貢献活動、それぞれの現場 で働く社員の声などを紹介しています。 ■株主ご優待制度 ワタミ㈱は、ワタミグループの商品やサービスを、株主様にもご利用いただきたいという思いから、株主様ご優待制度 の充実を図っています。 ※詳しくはこちら http://www.watami.co.jp/ir/yutai/0312yutai.html をご覧下さい。 ふれあい報告書 2015 (P24) ■株主様ご優待券での社会貢献 ワタミ㈱は、未使用の株主様ご優待券をワタミグループが支援している社会貢献団体への寄附として受け付けています。 寄附は 1 枚から受け付けており、株主様ご優待券をご送付いただくか(※1)、ワタミグループ国内外食店舗に設置され ている募金箱に投函していただきますと(※2)、1 枚 150 円分として寄附されます。 2014 年度は、3,211 千円のご寄附をいただきました。いただいたご寄附は、公益財団法人 School Aid Japan(以下、SAJ) を通して新たな学校建設のために役立てられる予定です。 2015 年 6 月以降からいただいたご寄附は、SAJ、公益財団法人 Save Earth Foundation、公益財団法人 みんなの夢をか なえる会の 3 つの社会貢献団体へと寄附されます。 ※1送付先 〒144-0043 東京都大田区羽田1-1-3 ワタミ株式会社 広報・CSR部 株主優待寄附受付係 *株主様ご優待券送付用封筒はございません。恐れ入りますが、ご自身で用意くださいますようお願い致します。 *株主様ご優待券を寄附としてご利用いただく場合は、使用期限はございません。 ※2募金箱に投函いただいた株主ご優待券は、SAJに寄附されます。 ■長期株主様ご優待制度 ワタミ㈱は、1,000 株以上の株式を、3 年以上保有された株主様を対象として「長期株主様ご優待制度」を設け、対象 となる株主様には記念品を贈呈しています。2014 年度は、70 名様の株主様に、「ワタミの森」の間伐材を使用した額入 りの感謝状やオリジナルグッズを贈呈しました。 2015 年 6 月からは、1,000 株以上の株式を、6 年以上保有された株主様を対象として、新たに「特別記念品」の贈呈を 加えました。 ■「第 29 期定時株主総会」の開催 ワタミ㈱は、2015 年 6 月、東京都港区にて、「第 29 期定時株主総会」を開催しました。 「第 29 期定時株主総会」では、第 29 期のワタミグループの事業報告や 2015 年度の事業計画説明などを行い、2,212 名 の株主様にご参加いただきました。 株主総会の様子 ワタミファーム野菜販売の様子 ふれあい報告書 2015 (P25) お取引業者様とともに ワタミグループでは、お取引業者様は、お客様への安全・安心な商品の提供や、よりよい社会づくりを目指 すパートナーと考えています。お取引業者様と情報・状況を共有しながら共存共栄できる取り組みを行って います。 ■公平・公正な取引の徹底 ワタミグループは、公平・公正な取引を徹底することで、サプライチェーン全体を通してお取引業者様との協力体制 を構築しています。同時に、お取引業者様との相互理解・信頼関係の強化に努めています。 新たに取引を開始する際は、稟議申請を行い、関係部門と管理部門にて審議した上で、業務を遂行する体制をとって います。 また、公平・公正なお取引のために、お取引業者様がお取引の中で不当な行為に気付いた場合、安心して通報・相談が できるよう情報収集窓口「ワタミヘルプライン」を設置しています。 ■生産における取り組み 「ワタミ生産者会議」の開催 ワタミグループは、日頃ご協力いただいている契約生産者様へ感謝の意を伝えること、また有機農業の拡大、農業の発 展に貢献することを目的に、毎年 1 回、全国の契約生産者様にお集まりいただき、「ワタミ生産者会議」を開催していま す。 2014 年度は、全国から 86 名の契約生産者様にご参加いただき、お取引業者様による講演や、有機野菜や特別栽培農産 物を効率よく生産するための栽培技術講習会などを行いました。 飼料・堆肥の原料の仕入れ ワタミファームは、各地域での「有機資源の有効活用」をテーマに、食品残渣などをお取引業者様から仕入れ、飼料や 堆肥の原料として活用しています。 瀬棚エリアや弟子屈牧場では、規格外の大豆や畑作の規格外品、豆乳の製造時に発生するおからを、家畜の飼料として 活用しています。その他の農場でも、食品残渣や家畜の糞尿を堆肥化して圃場に投入しています。 地域との協力体制の構築 ワタミファームは、各地域において、地元のお取引業者様と協力し、オリジナル加工品の製造・販売を行っています。 また、自社の農産物だけではなく、地域の契約生産者様が収穫した農産物の集荷・販売を行っています。2014年度からは、 千葉北総エリアにて地域の取引業者様と売買契約書を結び、千葉県産の農産物の取り扱いや、栽培指導など協力して地域 貢献を行っています。 これらの取り組みを通し、ワタミファームは、地域のお取引業者様と協力体制の構築を進め、少しでも多くの農産物と 加工品を供給することで地域に貢献し、ともに発展していくことを目指しています。 ■仕入れにおける取り組み 公平・公正な取引の実現 ワタミグループの仕入れは、自社で策定した「購買管理規定」に基づいて行っており、新規お取引業者様を含め公平・ 公正な取引の実現に努めています。その取り組みの一環として、継続的に使用されている食材などについては、随時、品 質や価格の再評価を行っています。 安全・安心な食材を提供するための協力体制 ワタミグループは、安全・安心な商品を供給するため、食材に関する法律の順守はもちろんのこと、原材料の安全性、 製造(生産)方法、梱包、運搬方法などをお取引業者様に確認し、適切な品質管理のもとで製造(生産)された食材を仕 入れています。 ふれあい報告書 2015 (P26) ■物流における取り組み 業務改善への取り組み ワタミグループは、2007 年度より、機会損失などの要因となりうる物流関連クレームを減少させるため、物流会社様 とともに改善活動「WLI(Watami Logistics Innovation)」に取り組んでいます。 その一環として、それぞれの物流会社様に業務改善テーマを設定していただき、毎月の「定例会議」で活動の進捗管理を 行い、年 2 回開催している「全国物流会議」で改善結果を発表していただいています。活動内容を共有する場を設け、各 社が切磋琢磨し合うことで、クレームを減少する事ができ、同時に物流会社様とワタミグループ双方の従業員の管理能力 を向上させることができます。 2014 年度のクレーム数は、外食店舗・介護施設への配送(外食配送)では 27 件、宅食事業の営業拠点への配送(宅食 配送)では 35 件でした。 品質クレーム発生件数推移グラフ お取引業者様評価の実施 ワタミグループは、組織力、提案力、構築力、管理力、改善力、思いの6つの項目において、5段階評価で物流会社様 を評価させていただいています。この評価結果とその年度のクレーム数、クレームの内容を踏まえ、次年度のお取引内容 (業務範囲)を決定させていただいています。 ■施設開発における取り組み 介護事業での取り組み 介護施設のオーナー様やお取引業者様に、ワタミグループおよびワタミの介護㈱(以下、ワタミの介護)の企業理念や 事業活動をご説明する機会を設け、信頼関係の構築に努めています。また、ワタミの介護が行っている各種イベントや介 護施設の見学、新たに介護施設をオープンする際に開催しているレセプションに、オーナー様やお取引業者様をご招待し ています。 外食事業での取り組み 国内外食事業は、お取引させていただいている内装・電気・設備・看板・厨房などの工事業者様を対象とした「施工者 ミーティング」を年 2 回開催しています。 2014 年度は、約 100 名のお取引業者様にご参加いただきました。また、物件を提供していただいているオーナ様やお 取引業者様を定期的に訪問し、日頃の感謝をお伝えするとともに積極的な意見交換にも努めています。 ■施設管理における取り組み ワタミグループでは、外食店舗、介護施設でのトラブルなどに迅速に対応するため、それぞれのお取引業者様と連携し て施設管理(施設内機器の定期点検や定期清掃など)やメンテナンスに取り組んでいます。お取引業者様とは、ビジネス パートナーシップ(以下、BPS)を構築し、ワタミグループのビジョンの共有や品質向上を目的に、「BPS 会議」を定期 的に開催しています。 国内外食事業では、2014 年度は、全国を対象に 2 回「BPS 会議」を開催し、5 月には 45 社、12 月には 57 社のお取引業 者様にご参加いただきました。 介護事業では、2014 年度より管理会社様を集約したため、「BPS 会議」の開催はありませんでしたが、月 1 回、管理会 社様とコミュニケーションを図る大切な機会として定例会を開催しました。 ふれあい報告書 2015 (P27) ■廃棄物管理における取り組み ワタミファーム&エナジー㈱は、適正価格かつ安全で安心な廃棄物処理が行われるよう、お取引業者様と強固な関係を 構築し、廃棄物管理サービスを提供しています。約 500 社のお取引業者様と密に連携するため、施設管理における取り組 みと同様に、定期的に「BPS 会議」を開催しています。 2014 年度は、関東・関西、両地方で各 1 回ずつ「BPS 会議」を開催し、計 163 社のお取引業者様にご参加いただきま した。 ■海外での取り組み ビジネスカンファレンスの開催 和民國際有限公司は、関係者の交流を深める場として、ビジネスカンファレンスを、年 1 回開催しています。 2014 年度は、カンボジアとフィリピンのパートナー様と、ワタミグループの活動や新店舗デザイン、メニュー、販売 促進など今後の展開方針を共有しました。また、2013 年度の振り返りや、2015 年度の課題について討論し、親睦を 深めました。 ふれあい報告書 2015 (P28) 従業員とともに ワタミグループは、理念を共有し、社員一人ひとりがそれぞれの目標を実現していく組織を目指すことが、 会社の成長につながると考えています。グループ共通で、 「明るくのびのびと仕事をしよう」を合言葉に、職 場づくりに努めています。 【理念共有への取り組み】 ■理念研修会 ワタミグループの「原点」、自分自身の「原点」を振り返ること、また、一人ひとりの社員がワタミ理念を体現できる ようになることを目的として理念研修会を実施しています。 2014 年度は、幹部社員を対象に 2 回開催しました。理念研修会では、創業者の講話を行い、理念について改めて考え る場としました。一般社員に向けては、各事業の研修会や朝礼など、様々な機会を通じて理念への理解を深められるよう にしています。 ■創業記念祭 毎年、創業記念日の5月16日前後に「創業記念祭」を開催していま す。2015年度の「創業記念祭」は、「いつの時代も挑戦者 ワタミ の明日を築くチカラ」をテーマに、社員たちが「ワタミらしさ・原 点」を共有しあう場としました。また、2015年度のイベントとして、 社員の推薦で選んだ「上司AWARD」や「新人AWARD」を行い、選ばれ た社員を表彰しました。 「創業記念祭」の後には、会場外に各事業のブースを出展するなど、 ワタミグループが行っている活動に実際に触れることの出来る場を 設けました。 創業祭後に開催されたイベントの様子 ■理念集、ワタミの理念経営 創業者の価値観・使命感が日々の現場の様々な事例をもとに解説 された「理念集」を全社員に配布し、日々理念と触れるため、いつ も社員が携帯できるようにしています。また、会社の創業から 25 年の歴史をまとめた「ワタミの理念経営」(著:田中成省、発行: 日経 BP 企画)は、新入社員や中途入社社員が入社した際に、ワタミ グループの歴史や背景を学ぶテキストとして活用しています。 ■ワタミ夢ストリート 2012 年度、「ワタミが何のために存在しているのか、ワタミが大 切にしてきたものは何なのか、ワタミがワタミであり続けるために 必要なものは何なのか」をより深く知ることのできる場として、本 社ビル 1 階に「ワタミ夢ストリート」を開設しました。ワタミの「原 点」を振り返る場として、社員の研修時などに活用しています。又、 お取引業者様や一般の方へも公開しています。 夢ストリート内に再現された「和民」1 号店 ふれあい報告書 2015 (P29) ■グループ報 1990 年より、継続して、グループ報「体の重い亀」を毎月発行し、 全社員とご家族様に配布しています。グループ報には、グループの 活動や各社の最新情報をはじめ、創業者から社員に向けられたメッ セージも掲載しています。 ■ビデオレター 1997 年より、社員だけではなく、パート・アルバイトメンバーにもワタミの理念を理解してもらうことを目的として、 「ビデオレター」を本社・各事業拠点に毎月配布し、全従業員が視聴できるようにしています。ビデオレターでは、ワタ ミグループの活動紹介や、創業者からのメッセージなどが盛り込まれています。 ■全体会議 事業に関する半期の情報共有の場、グループ各事業のビジョンと 戦略を知るための場として、半年に1回、関東・関西の両地域にて「全 体会議」を開催しています。2015年3月の全体会議からは、グループ 全体ではなく、各事業毎に開催しています。 国内外食事業部 全体会議の様子 ■社員アンケート 一人ひとりの社員に寄り添い、社員の現状を把握することを目的に、社員アンケートを実施しています。2014 年度 は上期と下期で計 2 回実施しました。アンケートでは、職場環境に関する質問や、仕事へのやりがいなどの質問を設け ており、アンケート結果は、グループ各事業の教育担当部署で共有され、改善策の立案・検証が行われています。 【自己実現のサポート】 ■FA 制度 「今とは違う仕事にチャレンジしたい、個性や経験を活かした仕事をしたい」という意欲を持つ社員をバックアップ することを目的に、「FA(フリーエージェント)制度」を導入し、社員がグループ各事業や関連団体に異動できる機会 を設けています。2014 年度は、58 名の応募があり、27 名が希望の事業部・部署に異動しました。 ■社員独立支援制度(DFC 制度) 外食事業部は、1995 年に、社員の独立支援を目的に「DFC(ダイレクトフランチャイズ)制度」を導入し、社員の 独立の夢を支援しています。独立を希望する社員は、この制度を利用することで、少ない資本での独立が可能になり ました。 2014 年度は、新たに 2 名の社員が独立の夢を実現しました。2015 年 6 月現在、74 名のオーナーが 109 店舗(全 店舗数の 20%)を運営しています。 ふれあい報告書 2015 (P30) ■ワタミカレッジ 2014 年度より、ワタミグループをこれから担っていく社員のビジ ネススキル向上、考える力の強化を目的に、企業内大学「ワタミカ レッジ」を開講しました。創業者が学長となり、各講座には外部講 師を招いています。 2014 年 9 月からは、 「ワタミカレッジ」第一回目の講座として「ワ タミビジネススクール(WBS)」を開始しました。2 年コースとして グループ内での次世代リーダー育成を目的として現在も継続して行 われています。 2015 年 6 月からは、「ビジネスリーダーとしての幅広い知識を自 主的に学ぶ機会を提供すること」を目的として、グループの管理職 を対象とした新たな講座「ビジネススキル講座」が開始しました。 2016 年 3 月までに「ロジカル・シンキング」「チェーンストア理論」 「ビジネスフレームワーク」3つの講座に分けて開催される予定で す。 【グループ各社での取り組み】 ■外食事業での取り組み 定休日の導入 2015 年 2 月より、従業員がいつも笑顔で元気に働ける環境を整えたいとの思いから一部の国内外食店舗で定休日の 導入を行いました。2015 年 8 月現在、167 店舗が週 1 日の定休日を導入しています。 外部研修への参加制度 2014 年度より、仕事においてのスキルアップや、外部のサービス業者の方々との交流を持つ機会となるように、エリア マネージャーを対象とした「グローイングセミナー」を開始しました。ビジネススキルなどを学べる多数の外部講座の中 から自由に選択して受講できる仕組みになっています。2014 年度は、累計 107 名が受講しています。2015 年度からは、 店長に対する教育機会の充実のため、対象者を店長に変更し継続して実施しています。 ■介護事業での取り組み アイディア提案制度 2010 年度より、従業員の思いや提案を引き出すことを目的とし て、「アイディア提案制度」を導入しています。2014 年度は、提案 された一部のアイディアが実現されました。ケアスタッフの知識・ 技術の確認と水平展開のためにと開催された「ケアコンテスト」、 スタッフが“ご入居者様とともに食事をしよう”という思いから実 現した「ご入居者様と一緒にお食事をする日」の開催など、様々な 提案が実現しました。昨年度の「アイディア提案制度」で提案され、 開催された「料理提案コンテスト」も継続して実施しています。 ケアコンテストの様子 短時間社員制度の制定 育児やご家族の介護などによってフルタイムで働くことが難しい社員が、一定の期間、短時間で働くことができるよ う短時間社員制度を設けています。2014 年度は 23 名が制度を利用しました。 ふれあい報告書 2015 (P31) 認知症ケア研修の実施 2011 年度より、認知症ケアの取り組みを強化するため、福祉先進国スウェーデンの Olivia Rehabilitering 様と協力 し、 「スウェーデン研修」を実施しています。2014 年度も、スウェーデンで実施されている認知症ケアに関する研修を、 日本とスウェーデンで、それぞれ 1 回ずつ実施しました。 ■宅食事業での取り組み まごころ感謝祭 2015 年 3 月、まごころスタッフ(※) 、受付センターのパート、 ワタミ手づくり厨房準社員などを表彰するため、第 1 回「まごころ 感謝祭」を本社にて開催しました。感謝祭では、社内指標に基づき、 優秀な成績を収めた総勢 55 名を表彰させていただきました。 ※まごころスタッフ:お届け、販売などの業務を委託した個人事業主 まごころ感謝祭の様子 「ありがとう伝説」表彰制度 2013 年度より、お客様から感謝の声をいただいたまごころスタッフを賞賛することで仕事に誇りを持っていただくこ とを目的として「ありがとう伝説」表彰制度を導入しています。2014 年度は「ありがとう伝説認定」37 名、 「オレンジハ ート(※)授与」2067 件と多くの認定者が生まれました。 ※オレンジハート:お客様や地域の皆様に賞賛された「まごころスタッフ」に贈られる表彰バッチ。「オレンジハート」が送られた方 は、「ありがとう伝説」の認定にノミネートされ、毎月行われる認定委員会にて認定者が決定される。 KAI‐ZEN 制度 現場の声を反映していく取り組みとして、2015 年 5 月より、営業所長やまごころスタッフが改善提案を起案する制度、 「KAI-ZEN 制度」を開始しました。営業所業務だけでなく本部施策についても、現場の声を反映させていくための取組み です。 ■海外での取り組み 採用活動 従業員を現地で最大限雇用することを基本方針とし、ワタミ理念に共感していただけるかどうかを重要視して、 採用活動を行っています。また、2012 年度からは、日本で学ぶ海外留学生を対象とした採用活動を開始し、2014 年度は、3 名を新入社員として採用しました。 社員満足度アンケートの実施 2009 年より、年 2 回、社員満足度アンケート「ESS(Employee Satisfaction Survey)」を実施しています。 社員の現状を把握することを目的とし、海外で働く全社員を対象としています。2014 年度からは毎月実施し、 アンケート結果をもとに課題を明確化し、改善を行い、定着率の向上を図っています。 理念の共有 「理念集」を中国語や英語に翻訳し、全社員に配布しています。グループの「ビデオレター」は中国語や英語 の字幕を付け、全従業員が視聴できるようにしています。また、「創業祭」や「全体会議」、「理念研修会」を 展開する各地域で開催し、社員がワタミグループの原点を再確認するとともに、グループのビジョン、戦略を共 有できるようにしています。2014 年度からは、新たにワタミインターナショナル独自の「ビデオレター」も制作し、 社長のメッセージなどを従業員へ伝えています。 日本研修の開催 幹部クラスの社員を対象に、日本研修を行っています。研修を通して、ワタミグループの文化を理解し、これ を維持するために、どのような取り組みを行っているのかを体験し、自らの行動計画に結びつけることが目的です。 2014 年度は、総勢 25 名が参加し、外食店舗や介護施設、宅食営業所、ワタミファームなどを見学しました。 見学を通して学んだこと、考えたことを元に、研修の最後にはそれぞれがどのようにしてワタミグループの思い を引き継ぐ人材を育てていくのかの計画を立てて発表しました。 ふれあい報告書 2015 (P32) 【安全・安心な労働環境のための取り組み】 ■持株会の奨励 1999 年より、社員が自己資産を形成すること、そして社員の経営への参加意識を向上させることを目的に、持株会へ の加入を奨励しています。 2014 年度末現在、持株会を通じて、グループ社員の 87.3%が、自社株を保有しています。 ■出産・育児・介護への支援 社員が出産・育児・介護などに携わりながら職場で継続的に能力が発揮できるよう、出産・育児・介護に関する支援・ 休職など各種制度を導入しています。法律に基づく対応をはじめ、時間短縮勤務や深夜就労・残業の制限などを行い、出 産・育児・介護をしやすい環境をつくっています。 2014 年度は、産前産後休暇を 28 名、育児休暇を 36 名、介護休暇を 5 名が取得しました。 ■メンタルヘルスケアの取り組み 2013 年度より、従業員のメンタルヘルスケアの取り組みを強化するため、新入社員を受け入れる事業拠点の拠点長や、 管理職層を対象として、メンタルヘルスケア研修を実施しています。 また、2014 年 5 月、社員と配偶者およびいずれかの被扶養者を利用対象とし、心の不調を感じた際に相談できる「メ ンタルヘルス相談窓口(ワタミグループメンタルサポートダイヤル)」を設置しました。希望に応じて、メンタル不調に 関する電話でのカウンセリングや WEB での相談、面談によるカウンセリングを受けることができます。メンタル不調によ る休職を予防するため、今後もメンタルヘルスケアの取り組みを強化していきます。 ■健康管理の取り組み 2014 年度より、社員が、自分自身や家族の日頃の健康づくりから、妊娠・出産・育児など健康・医療に関する相談が できるよう、専門家(保健師・看護師・栄養士・小児科医など)による相談窓口(ワタミグループ 24H 健康・医療相談 窓口)を設置しました。これにより、社員やその家族の健康面の不安を軽減し、安心して働ける環境づくりを推進してい ます。 ■福利厚生制度としての保険加入 社員(※)が病気やケガが原因で就業困難となった場合に、安心して療養できるよう、公的保障のほかに福利厚生制度 として会社全額負担による「長期所得保障保険」「医療保障保険」に加入しています。さらに「高度障害・死亡保険」に も加入しており、社員本人が万が一の事態となった際には、本人あるいはご家族の不安・負担軽減となるよう、その保険 金を全額支払う制度を導入しています。 ※対象は、入社してから3ヵ月が経過した社員 ■防災訓練の実施 緊急時の対策としての初期消火・通報・応急救護などの防災訓練や、 公設消防署との意見交換、自衛消防組織を中心とした自衛防災力の向 上に取り組んでいます。また、お客様に安心してご利用いただけるよ う、一部の事業所や本社ビル全体での総合防災訓練も定期的に企画 し、公設消防署と自衛消防組織とで協同した訓練を行っています。ま た、BCP(Business Continuity Plan)をもとに、首都圏における大 規模地震や津波を想定し、避難場所の指定や本社と各事業拠点が連携 して、被災状況の把握や従業員の安否確認などが行えるよう訓練を行 っています。 本社での防災訓練の様子 ふれあい報告書 2015 (P33) 【採用・雇用活動の取り組み】 採用活動 事業を展開する国・地域の文化や習慣を理解、尊重した上で、学 歴や性別などで差別することなく採用活動を行っています。また、 新入社員の採用過程では、ワタミグループの事業拠点などを訪問し たり、採用担当者だけでなく、グループ社員との対話の場を設ける など、ワタミグループの活動をより理解していただける機会を設け ています。 2014 年度は、2015 年度入社の新入社員として、65 名を採用しま した。 入社式の様子 ■ 障がい者雇用 障がいの有無を超え、ともに働く仲間として学び合い、ともに成長することを目標に、障がい者の雇用に取り組んでい ます。障がい者の方に、働く場を提供するだけでなく、ワタミグループの一員として社会に貢献し、やりがいをもって仕 事に取り組める環境をつくることが、最も大切だと考えています。2014 年度、新たに 103 名を採用し、2014 年度末現在、 ワタミグループ全体での障がい者雇用率は 3.42%となりました。現在、391 名がワタミグループの外食店舗での清掃や仕 込み、介護施設での清掃・ケアサポート業務、宅食営業所での事務補助、「ワタミ手づくり厨房」での製造・荷受け・事 務補助などに従事しています。 今後は、ワタミグループの従業員を対象に研修会などを通じて「障がい者の方とともに働くということ」に関して知識 を共有し、理解を深めるための取り組みを行っていく予定です。2014 年 1 月には、国内グループとして、企業グループ 算定特例の認定を受けました(※)。 ※企業グループ算定特例とは:「障害者雇用制度」において、障がい者の雇用機会の確保(法廷雇用率2.0%)が企業に義務づけられて おり、2009年4月より、一定の条件を満たすグループとして、厚生労働大臣の認定を受けたものは、特例子会社がない場合でも、企業グ ループ全体で実雇用率を算出できるようになった。 障がい者雇用率の推移 ■高齢者の雇用・再雇用制度 ワタミ㈱は、社員が長年培ってきた豊富な経験を活かす制度として再雇用制度を設けています。2014 年度末現在、32 名が嘱託社員として勤務しています。 ふれあい報告書 2015 (P34) ■社員向け視察ツアーの開催 ワタミグループは、2012 年度からは、「ワタミグループの活動を実際に見学し、理解を深めること」を目的とし た社員向けの視察ツアーとして「ワタミドリームツアー」を開催しています。2014 年度は、2 つのツアーを実施しま した。風力発電事業を行っている秋田県にかほ市へのツアーでは、地域の皆様との交流や、風車の視察を通して環境 活動と 6 次産業への理解を深めました。東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田市へのツアーでは、ワタミグル ープが経営サポートを行う、きのこの SATO 株式会社様や津波被害を受けた地域のボランティア活動を通じて、復興 支援に向けた取り組みへの理解を深めました。合計 51 名のグループ社員が参加しています。 にかほツアー(風車にて) 陸前高田ツアー ふれあい報告書 2015 (P35) 地域・社会とともに 1995 年から本格的に始まった社会貢献活動。 「全社員が年に 1 回はボランティアに参加する」を合言葉に、社員が自主 的に参加しやすいようにボランティア担当者が案内をしています。また、地域との関わりを深めるために、ワタミグルー プ本社や各事業拠点が所在する地域のイベントなどにも参加させていただいています。 ■社員一人ひとりが行う社会貢献 ワタミグループは、社会的使命(責任)を果たすためにも、 「良き企業市民」として社会とともに生きる企業を目指し グループをあげて社会貢献活動を実践していきます。 ワタミグループは、社会貢献活動やボランティア活動とは「何かをしてあげることではなく、何かをさせていただくこ とにより学び、感動し、結果として成長させていただくこと」だと考え、社員一人ひとりが、自発的・継続的に社会貢献 活動を行うことを推奨しています。 活動は、 「できるところからコツコツと」という考えのもと、 「無理をせず、確実に継続すること」を重視しています。 ■社員の意識向上を目指して 新入社員「ボランティア研修」 1994 年度に、新入社員が地域の作業所を訪問し、ボランティア活動を行うプログラムを導入しました。以降、新入社 員の「入社時研修」の一環として、毎年 4 月に「ボランティア研修」を実施しています。 「ボランティア研修」とは、障がい者福祉施設や児童福祉施設を訪問させていただき、ボランティアを通じて「相手の 立場に立ち、相手がしてほしいことをするとは、どういうことなのか」を学ばせていただくことを目的としています。 訪問した社員は、職員の方に教わり、障がいをもった方と一緒に作業を行ったり、交流を図りながら一日を過ごします。 2015 年度は、合計 22 の施設に受け入れていただき、新入社員 67 名が参加しました。 ■地域行事の開催・協力 福祉施設開催のバザーへの参加 1995 年度に福祉施設開催のバザーに屋台を出店して以降、継続的にバザーやお祭りに参加しています。外食事業で培 ったノウハウを活かして、お好み焼き、焼きそば、焼き鳥などを販売させていただき、その売上金を福祉施設に寄附させ ていただいています。2014 年度は、23 回、バザーに参加しました。 食事会の開催 1999年度より、ハンディキャップがあるなど社会参加の少ない方を外食店舗にご招待する「お食事会」を継続して開催 しています。嚥下障がいのある方には、ソフト食を提供させていただいています。また、参加する社員は、この活動を通 して、サービスの原点であるホスピタリティを学び、「相手の喜びを自分の喜びに変える」ことを実感できる機会をいた だいています。 2014年度は、お食事会を40回実施し、418名の社員がボランティアとして参加しました。 授産品代行販売 1999 年度より、障がいをもった方々の社会参加の後押しを目的 に、一部の外食店舗にショーケースを設置し、「授産品(※)」の 販路を広げる手伝いをさせていただいています。2014 年度は、一部 のワタミグループ国内外食店舗にて、160,465 円分を代行販売させ ていただきました。 ※授産品とは:障がいのある方が、自立した生活を営めるよう、障がい者福 祉施設などでは作業訓練が行われており、授産品はそうした作業訓練の一環 として、障がいのある方が製作した製品。 店舗入口に設けられた授産品コーナー ふれあい報告書 2015 (P36) 「自然体験ツアー」への協力 2011 年度より、青少年対策羽田地区委員会様主催の「自然体験ツ アー」の受け入れをさせていただいています。 2014 年度は、NPO 法人 Return to Forest Life(現・公益財団法人 Save Earth Foundation)の協力のもと、「ワタミの森」で間伐作業 の見学や植樹体験を行っていただきました。また、ワタミファーム山 武農場では、実際に有機野菜に触れていただきながら、 「循環型農業」 や「資源と命の関わり」について紹介させていただきました。 「ワタミの森」では、「森を大切にすること、森の再生」を、山武農 場での農業体験では有機野菜ができる過程での「命の大切さ、命のつ ながり」を子どもたちが考えるきっかけづくりになることを目指しま 「ワタミの森」での間伐作業の様子 した。今後も「自然体験ツアー」に協力させていただきます。 地域まつりへの参加 2014 年度は、羽田地区の町内会 20 団体で運営する「羽田・萩中 ふれあいまつり」にも参加させていただきました。今後も地域に根 ざす企業として地域の皆様と交流を深めていきます。また各事業拠 点においても、町内会とのつながりを大切にし、地域に密着した企 業活動の展開を目指していきます。 羽田・萩中ふれあいまつりでの様子 地域清掃・美化活動への参加 本社が所在する東京都大田区羽田地区の様々な町内活動へ参加 し、地域の方々と交流する機会をいただいています。2014 年度は、 6 年目の参加となる「大田区スポーツ GOMI 拾い大会」に参加させて いただいたほか、町内会主催の「大鳥居駅前清掃」に毎月継続して 参加させていただきました。 清掃作業の様子 「エコフェスタ ワンダーランド」への参加 子どもたちが環境について考えるきっかけづくりとして大田区が 毎年開催している「エコフェスタ ワンダーランド」に継続して参加 させていただています。 2014 年度は、有機食材を使用したおでんの試食と、「ワタミの森」 の間伐材を使用した木のペンダントづくりを行いました。 おでんの試食の様子 ふれあい報告書 2015 (P37) ■次世代教育への取り組み 「わたみ北海道自然学校」の開催 1999 年度より、毎年夏季に、小学校4~6年生を対象としたふれ あいイベント「わたみ北海道自然学校」を開催しています。この学 校は、「『命、自然、友だち、生活習慣、夢』との出会い」をテー マに、子どもたちのもつ「思いやり、誠実さ、謙虚さ、感謝の心、 素直さ」など、「人間が本来もっている美しい資質」を高める「き っかけ」を提供したいとの思いで行っているイベントです。 子どもたちには、ハイキングやワタミファームでの野菜収穫、海 洋スポーツなどを体験していただきます。また、将来の夢について 考え、「夢作文」を書くことを学校の目標としており、一人ひとり、 作文を発表する時間を設けています。 第 17 回目となる 2015 年度は、 北海道九遠郡せたな町役場の方々 のご協力のもと、せたな町にて、7 月 27 日~7 月 30 日の 3 泊 4 日で 開催しました。子どもたち 22 名と、スタッフとして、ワタミグルー プ社員など計 13 名が参加しました。 農業体験の様子(ワタミファーム瀬棚農場にて) 「農業インターンシップ」の開催 1999 年度より、「農業インターンシップ」を実施しています。農 協や農家の方のご協力をいただきながら、18 歳~30 歳位までの方を 対象に約 2 週間北海道に滞在し、農家の方の収穫補助を体験してい ただきます。日本の農業に対する理解の促進や、若者に「働くこと」 「自然」「仲間」と向き合う機会を提供することが目的です。 2015 年度は、8 月から 9 月にかけて 2 回開催し、㈲当麻グリー ンライフや帯広大正農協様をはじめ、21 戸の農家の方々のご協力を 得て、農産物の収穫や箱詰め作業などの農作業を、26 名に体験して 頂きました。 ワタミファームでの学生や法人の受け入れ 2004 年度より、有機農業への理解促進などを目的として、学生や法人の受け入れをワタミファームにて行っています。 2014 年度は、瀬棚農場、山武農場、白浜農場、東御農場にて、それぞれ受け入れを行いました。 <瀬棚農場> 学校法人郁文館夢学園様(中学 2 年生)の修学旅行の一環として、「命の循環」をテーマに、播種、搾乳、と殺 チーズの製造体験などを 114 名の中学生に体験していただきました。 <山武農場> 2014 年度、お取引業者様をはじめ、合計 399 名の方の視察を受け入れました。外部企業様、農業関係者様、学生、一 般社会人などインターン、見学会など様々な形で受け入れを行いました。 <白浜農場> 2012 年度より、白浜小学校 3 年生と 5 年生の農業体験を受け入れています。2014 年度は、延べ 171 名の小学生に参加 いただき、3 年生にはオクラを、5年生には大根の播種、除草、収穫、給食のメニュー化までを体験していただきました。 <東御農場> 学校法人郁文館夢学園様が行っている「夢合宿」の一環として、自然環境や食に対する関心を高めてもらうことを目的 に、中学生・高校生に、播種、収穫などの農作業を体験していただきました。2014 年度は、580 名の中高生を受け入れま した。 ふれあい報告書 2015 (P38) 児童養護施設の子どもたちの受け入れ 2013 年 3 月、NPO 法人ブリッジフォースマイル様(以下、ブリッジフォースマイル様)(※1)が行う児童養護施設の 中学生・高校生の子どもたちを対象としたインターン企画「ブリッジキャリア」(※2)に協力しました。2014 年度は、 中学生・高校生、計 9 名を受け入れ、ワタミグループ外食店舗、介護施設、本社にて職業体験の受け入れを行いました。 ※1ブリッジフォースマイル様は、児童養護施設に入所した子どもたちが、安心して社会に巣立ち、夢と希望を持って笑顔で暮らせる 環境を作ることを目指し、活動している団体です。 ※2「ブリッジキャリア」とは:ブリッジフォースマイル様が、東京都事業「児童養護施設退所者などの就労支援事業」として、パソ ナグループ様と連携して実施している活動。児童養護施設の子どもたちに、職業体験を通して、退所後の自立に向けてサポートしてい くことを目的としています。 「ブックフォースマイル」の実施 2013 年度より、児童養護施設の子どもたちへの支援の一環として、ブリッジフォースマイル様が行う「ブックフォー スマイル」(※)をワタミグループ本社にて実施しています。本社内で不要になった本の寄附を呼びかけ、2014 年度は、 合計 238 冊集まり、5,911 円分の寄附をさせていただきました。 ※「ブックフォースマイル」とは:ブリッジフォースマイル様が行っている活動で、不要になった本を指定の買収業者様に買い取って いただき、その買収金額を児童養護施設の子どもたちの自立支援に役立てるという取り組み 職業体験の受け入れ 中学校、高校の職業体験学習に積極的に協力しています。2014 年 度は、 3 名の地元の中学生の職業体験学習を受け入れ、グループ 外食店舗での調理や食事の提供を体験してもらい、その後は「最高 のサービスとは何か」についてのワークショップも行いました。 また、2015 年度は地方からの修学旅行生の受け入れも積極的に 行い、2015 年 8 月末現在合計 142 名に「ワタミ夢ストリート」を見 学していただき、ワタミグループの理念経営について紹介しました。 ワタミ夢ストリートにて修学旅行生受け入れの様子 ■社会貢献団体への支援 「ワタミふれあいカード」からの寄附 1996 年度より、「未来の子どもたちのために」をテーマに「ワタミふれあいカード(クレジットカード)」を発行し ており、ワタミグループ国内外食店舗での利用総額の 1%相当を、社会貢献活動を行う団体に寄附させていただいていま す。 2014 年度は、ご利用総額 309,670 千円の1%相当となる 3,097 千円を公益財団法人 School Aid Japan(以下、SAJ)に寄 附させていただきました。 2015 年度からは、寄附先が SAJ、公益財団法人みんなの夢をかなえる会、そして公益財団法人 Save Earth Foundation の 3 団体になります。 「社員向け SAJ・カンボジア視察ツアー」の開催 2011 年度より、ワタミグループ社員を対象とした「社員向け SAJ・ カンボジア視察ツアー」を開催しています。 ワタミグループが支援する公益財団法人 School Aid Japan(SAJ) の活動に対する理解を深めてもらい、参加した社員が自らの言葉で SAJ の活動を伝えていくことにより関心の輪を広げていくことが目 的です。ツアーでは、カンボジアの現状や過去の歴史に触れるとと もに、SAJ が運営する孤児院や農場(SAJ Farm)への訪問、SAJ が建 設した学校での学習や、朝給食の見学を行います。 2014 年 6 月には、孤児院を卒園した子どもが 2 名通っている王立 プノンペン大学の語学コースの授業見学や、SAJ が建てた第一校目 である「トモケオ小学校」訪問などもツアーの行程に加え、25 名が 参加しました。 孤児院の子どもたちとの農作業の様子 ふれあい報告書 2015 (P39) ■海外での取組み ボランティア活動 海外外食事業では、 積極的に社員のボランティア活動を支援してい ます。 2014 年度は、合計 566 名の社員がボランティアに参加しました。 各地域では、お食事会、老人養護施設への訪問、清掃活動、ゴミリ サイクルセンターへの訪問、ローカル団体への募金活動、植林活動 など多岐にわたるボランティア活動を実施。香港本部では、オフィ ス電子製品を回収業者法人に寄附する回収活動を 2 回実施しまし た。 また、香港・台湾・シンガポールの社員を対象とした SAJ カンボ ジア視察ツアーも開催し、合計 14 名の社員が参加しました。 ゴミリサイクルセンターでの分別作業の様子 「ワタミふれあいカード」からの寄附 国内と同様、海外でも「ワタミふれあいカード」を発行しており、ご利用金額の一部を社会貢献に使用させていた だいています。和民(中國)有限公司は、香港のワタミグループ外食店舗でのご利用総額のうち 0.25%相当を社会 貢献活動を行う団体へ寄附させていただいています。2014 年度は、211,798 香港ドルを公益財団法人 School Aid Japan に寄附させていただきました。台灣和民餐飲股有限公司は、2005 年度より「ワタミふれあいカード」を導入 しており、台湾のワタミグループ外食店舗でのご利用総額の 1%相当を社会貢献活動を行う団体へ寄附しています。 2014 年度は、赤十字の障害児基金へ 44,407 台湾ドル寄附させていただきました。 ふれあい報告書 2015 (P40) 社会貢献団体への支援 ワタミグループは、ワタミ理念に則り、環境・社会・人に対してやさしい存在になることを目指し、 「環 境とともに・社会とともに・人とともに」をブランドテーマに掲げています。事業活動を超えた領域でも たくさんの“ありがとう”を集めるべく、社会貢献団体への支援を積極的に行っています。 公益財団法人 School Aid Japan ※ 公益財団法人 School Aid Japan に関しては、http://www.schoolaidjapan.or.jp をご覧下さい。 ■ ■ ■ 外食店舗、介護施設、宅食営業所に募金箱の設置・・・2014 年度寄附金額 1,747 千円 従業員が給与天引きで寄附できる体制の構築・・・2014 年度寄附金額 38,213 千円 ワタミグループによる法人会員寄附・・・2014 年度寄附金額 840 千円 公益財団法人 Save Earth Foundation ※公益財団法人 Save Earth Foundation に関しては、http://save-earth.or.jp/をご覧下さい。 ■ ワタミグループ社員のサポーター数・・・2014 年度 4,678 名 ■ ワタミグループ社員の森林再生活動への参加・・・2014 年度 1,295 名 ■ 「リターン トゥ フォレスト カクテル」の販売収益の一部を寄附・・・2014 年度寄附金額 2,086 千円 ■ ワタミ株式会社の特別賛助会員への加入・・・2014 年度賛助会費 1,000 千円 公益財団法人 みんなの夢をかなえる会 ※公益財団法人 みんなの夢をかなえる会に関しては、http://www.minnanoyume.org/をご覧下さい。 ■ ワタミグループ社員の会員数・・・2014 年度 3,455 名 ■ 「みんなの夢シンポジウム」への協力 ■ 「みんなの夢 AWARD」への協賛・協力 ふれあい報告書 2015 (P41) 環境とともに <経営目的> 限りある資源を有効利用し、持続可能な循環型社会づくりに貢献すること ワタミグループは、 「ワタミ環境宣言」を実現するため、環境(エコロジー)と経済(エコノミー)の両立(W-ECO)を目 指し、ワタミファーム&エナジー㈱を中心として、環境活動を実施しています。 ■「ワタミ環境宣言」と「W-ECO ビジョン 2020」の策定 ワタミグループは、1999 年に、外食産業で初めて ISO14001 を本社とグループ外食店舗全店で取得するとともに、 「ワ タミ環境宣言」を策定し、その実現を目指して環境活動に取り組んでいます。 また、2009 年には、 「ワタミ環境宣言」を実現させるための長期的な目標として、 「W-ECO ビジョン 2020」を策定し、 」するという方針を掲げました。 「2020 年までにグループ全体の環境負荷(CO )を 50%削減(2008 年度比、売上高当り) 【ワタミファーム&エナジーの事業活動】 2015 年 1 月より、ワタミエコロジー㈱は、ワタミファーム&エナジー㈱へと社名を変更しました。その事業構成を「エ ナジー事業」と「アグリ事業」に分け、農畜産物の集荷及び配送に関する事業なども担うことにより、地域の皆様ととも に持続可能な循環型社会をつくるべく活動しています。 <持続可能な循環型社会づくり> ワタミグループは、風力や太陽光といった再生可能エネルギーによる発電を行い、さらに森林再生事業や農場・土づく りといった活動と組み合わせ、それぞれの地域において資源やエネルギーが経済的に循環する「持続可能な循環型社会づ くり」を地元の皆様とともに目指します。 ■風力発電の取り組み ワタミグループは、秋田県にかほ市の市民風力発電プロジェクト に参画し、1 号機となるワタミ夢風車「風民(ふーみん)」を、2012 年 3 月より稼動しました。2013 年度には、新たに 2 基の風車プロジ ェクトへの参画を決定し、5 月には秋田県秋田市にて 2 号機を、6 月には秋田県由利本荘市にて 3 号機を稼動しました。3 基合わせ、 出力は 6,000kWh です。 発電された電力は、再生可能エネルギー全量固定価格買収制度を 活用し、全量、東北電力に売電しています。 ワタミ夢風車「風民(ふーみん)」 ふれあい報告書 2015 (P42) ■太陽光発電の取り組み ルーフソーラーの設置 ワタミグループは、2013 年度、ワタミ手づくり厨房(以下、セン ター)の屋根にルーフソーラーを設置し、太陽光発電を開始しまし た。2014 年度末現在、2 カ所のセンターに設置しており、発電した 電力は、全量、電力会社に売電しています。2015 年度中には、さら に 4 カ所のセンターにもルーフソーラーを設置予定です。 東松山センタールーフソーラー メガソーラーの取り組み 2013 年度は、株式会社 CSS 様と連携して、北海道勇払郡厚真町で、 メガソーラー(大規模太陽光発電)を着工し、(発電容量 15MW、年 間発電量 16,000 千 kWh)2015 年 4 月より本格稼動しています。 また、 勇払郡むかわ町においても第 2 基目となるメガソーラー(発電容量 19MW、年間発電量 20,000 千 kWh)の建設が始まり 2016 年 2 月完 成予定です。 ■森林再生事業への参画 厚真町メガソーラー ワタミグループは、2014 年度より、大分県臼杵市との間で「水源 涵養(※1)の森林づくり」の協力に関する協同宣言を調印しました。 2015 年からは森林組合と臼杵市役所の協力の下、森林事業を開始し ました。森林所有者(市民)と行政(臼杵市)とワタミグループが 連携して、森林づくりを行っていきます。森林づくりの過程で発生 した間伐材は、カスケードセンター(※2)を経由して、建築材、エネ ルギー利用のためのチップ、堆肥原料として、無駄なく活用する予 定です。また、将来的には、ワタミグループの外食店舗や介護施設 の内装などに使用予定です。持続可能な森林資源の活用を模索し、 森林所有者や地域社会への還元を目指します。 ※1水源涵養とは:降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水 を緩和するとともに、川の流用を安定させる、森林の土壌の機能。また、雨 水が森林土壌を通過することにより、水質が浄化される。 ※2カスケードセンターとは:資源やエネルギーを1回だけの使い切りにす るのではなく、利用したことで性質が変わった資源などを、その後もさらに 別の用途に活かすための取り組みを行うセンター ■PPS 事業への参入 環境事業では、2014 年 5 月、PPS(※)事業に参入しました。現 在、取り組んでいる風車やメガソーラーから発電される再生可能エ ネルギーを、2018 年以降に計画されている発送電の分離が実現され た段階で、ワタミグループの事業施設に供給できる仕組みを構築す ることで、再生可能エネルギーを日本に普及させていくことができ ると考えています。 2014 年度末現在は、民間発電卸売市場(一般社団法人 日本卸電 力取引所様)から電力を調達し、ワタミグループの本社ビル、外食 店舗 18 店舗、介護施設 57 棟、センター10 カ所に供給しています。 2014 年度末からは、外部顧客に向けた供給も開始し、今後も供給施 設数を拡大していけるよう取り組んでいきます。 ※PPS(Power Producer and Supplier、特定規模電気事業者)とは:地域の 電力会社(一般電気事業者)以外に、大量の電力を消費する企業や工場など (特定規模需要家)に電力を供給する事業者。 PPS 事業の図 ふれあい報告書 2015 (P43) ■廃棄物の適正管理 環境事業では、法律を順守した廃棄物処理が行われているかを厳重にチェックし、適正価格かつ安全で安心なスキーム が維持管理されるよう、お取引業者様と強固な関係を構築し、「廃棄物処理管理」というサービスを確立しています。 2014 年度末現在、ワタミグループ関連会社だけではなく、外部企業 52 社からも業務を請け負っています。 また、ワタミファーム&エナジー㈱は、ワタミグループのすべての外食店舗、介護施設における産業廃棄物の収集におい て、 「電子マニフェスト(※) 」を導入しており、確実なマニフェスト管理を行っています。 ※電子マニフェストとは:産業廃棄物の処理を委託する際に必要となる、産業廃棄物の名称、運搬業者名、処分業者名、取り扱い上の 注意事項などを記載したマニフェスト(産業廃棄物管理票)の情報を電子化して、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が情報処 理センターを介したネットワークで、正確な情報や、処理が適正にされているかを把握する仕組み。 ■食品リサイクルの推進 外食業界では、食品リサイクル法に基づき、企業ごとにリサイクル率の向上に取り組んでいます。ワタミファーム& エナジー㈱は推進役として、ワタミグループのみならず、業界のリサイクル率を向上させるため、企業連携を含めた食品 リサイクル・ループ(※)の構築に取り組んでいます。2010 年 5 月には、国内大手居酒屋チェーンとして初めて、環境 省・農林水産省から食品リサイクル・ループの認証を取得しました。 2014 年度末現在、139 店舗のワタミグループ外食店舗と、12 カ所すべてのワタミ手づくり厨房(以下、センター)の 生ゴミをリサイクルしており、ワタミグループのリサイクル率は約 49.8%(外食店舗:45.8%、センター:78.1%)で す。 ※食品リサイクル・ループ(再生利用事業計画認定制度)とは:農畜水産物等の利用までを含めた計画的な食品循環資源の再生利用の 取り組みを主務大臣が認定することにより、再生利用の促進に関わる関係者の連携を推進するとともに、認定事業者による的確な再生 利用の実施、廃棄物処理法の許可手続きなどの簡素化による効率的な再生利用の実施を確保する制度。制度上、食品関連事業者、特定 肥飼料等製造業者、特定肥飼料等の利用者の三者申請することとなっている。 ワタミグループの食品リサイクル ■リサイクルロジスティックセンターの開設 環境事業では、2014 年度、東京都足立区に「リサイクルロジステ ィックセンター」を開設しました。リサイクルロジスティックセン ターには 2014 年度末現在、関東圏の 108 店舗のワタミグループ外食 店舗から排出された食品残渣や資源ゴミなど全ての廃棄物を集約し ており、資源ごみは 100%再利用するとともに、食品残渣は異物や 水分を除去した上で、「土づくりセンター」へ搬入することで、良 質な堆肥の製造を目指しています。 ふれあい報告書 2015 (P44) ■空ビンのリユース・雑ビンのリサイクル ワタミグループ外食店舗では、ワタミファーム&エナジー㈱を推 進役として、ビン廃棄量を抑制するため、オリジナル日本酒の空ビ ンのリユースに取り組んでいます。2014 年度末現在、351 店舗でリ ユースを実施しています。また、全種類の雑ビンの回収、および全 量リサイクルにも取り組んでいます。2014 年度末現在、関東地方の 252 店舗と関西地方の 70 店舗で雑ビン回収・リサイクルを実施して おり、約 500t/年の廃棄物を削減し、資源の有効活用に貢献する事 が出来ました。 <環境マネジメント> ■ISO14001 の管理・推進 ワタミグループは、事業毎に環境管理責任者を置き、独自の目標を立て、環境活動に取り組んでいます。ワタミファー ム&エナジー㈱は、ISO14001 の事務局として、各事業において ISO14001 に基づいた環境マネジメントサイクルが適正に 稼動されているかを確認し、環境目標が達成できるようサポートしています。 2014 年度も、前年度に引き続き、グループ全社で ISO14001 の認証を更新することができました。 ■「エコ夢サイト」の運営・管理 ワタミグループは、2010 年度、環境家計簿「エコ夢サイト(WEB サイト)」を開設しました。エコ夢サイトには、CO 削減につながる具体的行動が紹介されている他、社員の日々の生活での電気・ガス・ガソリンの使用量を入力する個人ペ ージが設けられています。自動的に CO 排出量が換算される仕組みになっており、それぞれの使用量を入力することによ り、自らの CO 排出量を把握し、その削減のために取り組むことを目指しています。 2014 年度は、一人ひとりの取り組みにより、社員の生活における CO 排出量を 19%削減(2011 年度比)することがで きました。 ■エネルギーの見える化の取り組み ワタミグループ外食店舗では、2004 年度より、「電力の見える化システム」を導入しており、いつ、どこで、どのくら い電気が使用されたのかを計測し、営業時間外・営業時間中のムダ電気の削減に取り組んできました。 2012 年度からは、その内容を刷新した「エネルギー(電力)管理システム」をワタミグループの外食店舗と介護施設 に導入を進めています。このシステムは、電気使用量をリアルタイムで把握することができるので、各事業施設での節電 による効果をより実感できるようになりました。また、電力の受給逼迫の際には、各事業施設の節電分を電力会社に売電 するネガワット取引(※)が可能です。 2014 年度末現在、外食店舗 510 店舗、介護施設 97 棟への導入を完了しており、これらの取り組みにより、2014 年度は、 電気使用量を 7.8%削減(2013 年度比)することができました。 ※ネガワット取引とは:企業や過程が節電した電力について、同量を発電したとみなし、電力会社が買い取る制度。 ふれあい報告書 2015 (P45) ■ワタミグループの 2014 年度の環境負荷 ワタミファーム& エナジーは、「W-ECO ビジョン2020」に掲げている「2020年までに CO 排出量を50% 削減(2008 年度比、売上高当り)」を達成できるよう、ワタミグループ全事業活動における環境負荷を把握し、次年 度の活動に活かしています。 ■ワタミグループ マテリアル&サーマル・フロー 【図の見方】 ①CO の排出係数は次の通り設定しています。(毎年度変更となる数値です。努力値を見るために、基準年度である 2008 年度の排出係数を用いて算出した数値も掲載しております。)■2014 年度算出係数/ 電気量:0.551 (kg- CO /kWh)、 都市ガス:2.23(kg- CO / ) 、水: 0.58 (kg- CO / )、一般廃棄物:0.0175 (kg- CO /kg)、産業廃棄物: 2.55 (kg- CO /kg)(共通)■2008 年度算出係数/ 電気量:0.421 (kg- CO /kWh)、都市ガス: 2.08(kg- CO / ) 、 水:0.58 (kg- CO / ) ②表記の数値は、年間総計を示しています(2014 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日) ③外食店舗における投入量(INPUT)は、下記の方法により算出しています。 ■エネルギー由来/ 電気:445 店舗の平均単価(円/kWh)を用いて、経理支払い金額(円)を除して算出しています。 ガス:250 店舗の平均単価(円/ )を用いて、経理支払い金額(円)を除して算出しています。水道:全店舗の平均 単価(円/ )を用いて、経理支払金額(円)を除して算出しています。 ■輸送由来/ 対象範囲はワタミファーム(農場・契約農家)→ワタミ手づくり厨房など、ワタミ手づくり厨房など→外 食店舗・介護施設・宅食営業拠点としています。■食材(調達)由来/ 主たる食材である肉類の海外比率を代表数値 として用い、全使用食材の総量を案分した数値に移動距離を乗じて算出しています。 ④外食店舗・介護施設における排出量(OUTPUT)は、2014 年度の定期計量数値の平均を使用しています。 ふれあい報告書 2015 (P46) 【グループ各社での取り組み】 ■国内外食事業での取り組み 外食店舗での節電の取り組み 2011 年度より、CO 排出量を削減するために「環境改善項目」を設定し、節電に取り組んでいます。この改善項目を徹 底させるため、各外食店舗には「改善マニュアルビデオ」を用意し、全ての従業員に対し、取り組み内容の浸透を図って います。 外食店舗への LED 照明の導入 2009 年度より、外食店舗の内装に積極的に LED 照明を導入しています。2012 年度からは、看板照明への LED 照明の導 入を開始しており、現在では 395 店舗に導入しています。また、新規出店時、転換時、改装時には厨房内の照明以外は全 て LED 照明化を進めており、2015 年 7 月現在 282 店舗が LED 照明を導入しています。今後も、改装や電球の交換時を利 用して、順次切り替えを行っていきます。 ■介護事業での取り組み ホームでの間伐材の使用 施設内装の建材として、 「ワタミの森」の間伐材を積極的に活用し ています。2013 年度以降に開設した介護施設「レストヴィラ」では、 ご入居者様の居室トイレに、間伐材で製作した額が飾られています。 間伐材で制作された額 LED 照明の導入 2013 年度から、新棟へ LED 照明の導入を開始しました。演色性(※)にも考慮しつつ、導入数を増やしていけるよう 取り組んでいます。 ※ 演色性とは:物の色の見え方と光源の性質の関係。太陽の光を100として、それより数字が低くなるに従い、太陽光のもとで見え る自然食とかけ離れた不自然な見え方になる。 遮熱ガラス・レースカーテンの導入 新棟の居室の窓に「遮熱ガラス」や「遮熱レースカーテン」を 採用し、外部からの熱や冷機を遮断、冷暖房効率を上げる取り組み を行っています。 居室に設置された遮熱ガラスと遮熱カーテン ふれあい報告書 2015 (P47) ■宅食事業での取り組み お弁当箱の再利用 お客様が使用したお弁当箱を翌日のお届け時に回収し、衛生的に洗浄・殺菌した上で、再利用しています。 食のムダの削減 お弁当やお惣菜のご注文を完全予約制にすることによって、 食材を必要量だけ仕入れ、食材のロスを無くすことにも努めていま す。また、 「お料理キット」では、必要な分だけ食材をお届けして、 家庭に余分な食材が残らないようにしています。 お料理キット カット済み食材とオリジナル調味料 ※写真はお料理キット 3 人前食材のイメージ画像で す。容器、器などは商品には含まれません。 ■ワタミ手づくり厨房での取り組み 日本では、工場を建設する際に、防音、防風、防塵などの役目を果たす緑地を工場の周辺に設けることが義務付けら れています。ワタミ手づくり厨房では、義務付けられる緑地をつくるだけでなく、多くの従業員に環境活動に参加して もらう機会として、2011 年に稼動した東松山センターにて、公益財団法人 Save Earth Foundation の協力のもと、森 づくり活動を行っています。 ■ワタミグループ本社ビルでの取り組み 節電の取り組み ワタミ㈱は、ワタミグループ本社ビルの環境負荷低減に取り組ん でいます。ビル内の全蛍光灯にキャノピースイッチを設置し、不要 な電気の消灯を呼びかけています。また、エアコンとサーキュレー ター(※)を併用することで、エアコンのムダな稼動を防ぎ、室内 設定温度を夏は 28 度前後に、冬は 22 度前後に保つようにしていま す。 ※サーキュレーターとは:室内でのエアコンなどによる冷暖房では、暖気は 上昇、冷気は下降し、室内の上下(天井付近と床面付近)の温度差が大きく なりやすく、エアコンの無駄な稼動を引き起こす。このような場合に、エア サーキュレーターを用いて天上へ向けて強い風を送り出すことにより、室内 の空気が循環し攪拌され、この温度差をある程度解消することができる。 サーキュレーター 紙削減の取り組み ワタミ㈱は、本社ビルで働く全社員への FSC 認証を使用した名刺の展開や、複合機に IC 認証カードを導入し、無駄な 印刷を防ぐなど、環境負荷低減の取り組みを行っています。
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