生徒のモチベーションを向上させるための取組 ~生物学オリンピックと

日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 29 No. 6(2015)
生徒のモチベーションを向上させるための取組
~生物学オリンピックと生物部の指導を通して~
Action to motivate the students of Biology Club on Biology Olympiad
中川和倫
NAKAGAWA,Kazunori
愛媛県立今治西高等学校
Imabari-Nishi senior high school
[要約]筆者は2002年度に第一期SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定された松山南高校で
初年度から生物部と理数科で課題研究の指導に携わった.2012年度に今治西高校に異動し,SSHで培っ
たノウハウを生徒に還元する指導に取り組んでいる.その中で日本生物学オリンピックに挑戦させると
ともに,生物部における研究活動を充実させることによって生徒のモチベーションを向上させている.
また,生物学オリンピックや科学系コンテストにおける入賞が生徒の自尊感情の向上につながった.
[キーワード]生物学オリンピック,生物部,高大連携,課題研究,科学系コンテスト
1.はじめに
SSHは文部科学省が先進的な理数系教育の開発
のために2002年度から始めた施策であり,2015年
度までに約200校が研究指定校になり,特別な予
算が配当されている.愛媛県立松山南高等学校は
2002年度から3年間の第一期SSHに指定された全
国26校のうちの一校であり,以後5年間の第二期
~第四期と継続指定されている.国公立大学の合
格率は約70%,生徒の部活動加入率は約90%で
全国大会に出場する部活動も多い,文武両道の公
立高校で普通科8クラスと理数科1クラスである.
筆者は,2002年度の第一期指定の初年度から第
三期の途中までの10年間,松山南高校に勤務し,
生物部の指導や理数科の課題研究を担当すると
ともに,理数科カリキュラムの開発,高大連携事
業の促進,国際科学交流の推進などに携わった.
生物部は部員数ゼロからの出発になり,高大連携
や国際科学交流など当時の高校では未経験の取
組が多く,試行錯誤の連続であった.しかし,全
校一丸となった取組の結果,科学系コンテストに
おける入賞数の激増,理系進学実績の向上,研究
職を志望する生徒の増加など,理数系教育で多大
な成果をあげることができた.
筆者が直接指導した生物部だけでも,部活動の
立ち上げから10年間の科学系コンテストで30枚
以上の賞状を獲得でき,そのうち半数以上は全国
レベルの入賞であった.当時指導した生物部員の
多くは大学院に進んでおり,中には進学したアメ
リカの大学を飛び級で卒業して大学院博士課程
を修了後,ニューヨークの国立研究所で研究者と
して働いている者もいる.
筆者は2012年度に愛媛県立今治西高等学校に
異動した.今治西高校は県内で有数の進学校であ
ると同時に,野球部の甲子園大会出場26回に代表
される文武両道の校風がある.普通科8クラスで
例年の国公立大学合格率は約70%であり,2013年
度は15もの部活動が全国大会に出場している.た
だし,運動部に比べて文化部の意欲は相対的に低
く,生物部も同様であった.また,いい意味での
「田舎の進学校」であるが,幼尐時から競争が尐
ない環境で育ってきた生徒には,自らの潜在能力
を十分に発揮できていない傾向も感じられた.
そこで対外的な刺激を与えて生徒のモチベー
ションを向上させる方法として,生物部の生徒だ
けでなく理系の生物選択生も日本生物学オリン
ピックに挑戦させることを考え,その対策に取り
組んだ.また,継続的な研究活動に取り組んでい
なかった生物部では,部員数を増やして複数の研
究班を立ち上げ,科学系コンテストへの出場を目
指した課題研究を始めさせることにした.いずれ
も前任校での経験を最大限に活用し,最終目標は
生徒の意欲向上と全国レベルでの入賞である.
2.目的
1)日本生物学オリンピックの受験指導
国際生物学オリンピックは 1990 年から開催さ
れており,日本は 2005 年から参加している.日
本生物学オリンピックは 7 月中旬に都道府県ごと
に予選が行われ,受験生が 30 人以上いると自校
― 1 ―
日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 29 No. 6(2015)
を特例会場に申請できる.全国で 3,000 人以上の
ようである.生物部が復活するのは小野榮子教諭
受験者がおり,上位 5%が優秀賞,10%が優良賞
が赴任して顧問となる 2010 年度からで,約 10 人
として表彰され,それを AO 入試や推薦入試の条
の生徒による活動が再開された.ちょうど理科教
件にする大学も多いので進路指導にも活用でき
棟の耐震工事が終わった時期で,野外活動で採集
る.8 月中旬に優秀賞のうち上位 80 人を集めた本
してきた生物の飼育を生物実験室で行ったり,生
選が行われ,高校 2 年生までの 4 人が日本代表に
物学オリンピック予選に参加したりするなどし
選抜され,翌年7月の国際生物学オリンピックに
て部活動が活発になった.ただし,筆者が赴任し
派遣される.本選は筑波大学と広島大学で交互に
た 2012 年度はテーマを決めた継続的な課題研究
行われている.予選はマークシート方式の筆記試
にはまだ取り組んでいなかった.
筆者は赴任した 2012 年度から生物部の副顧問
験で 90 分間であり,本選は実験とレポート中心
の試験が 3 泊 4 日の日程で行われる.
に加わりたかったが,「理科系部活動の顧問は一
前任の松山南高校では日本代表 1 回,本選出場
人体制」という前例主義のため,その年に生物部
2 回,優秀賞 1 回という成績だったが,今治西高
の顧問に加わることはできなかった.そこで,次
校からは 2011 年度まで入賞者が出ていなかった.
のような目標を立てた.
そこで,次のような目標を立てた.
①翌年度から生物部の顧問に加われるような調
①生徒の意欲を喚起する受験募集を行って受験
者を集め,特例会場に申請する.
整や根回しを行う.
②部員数を増やし,複数の課題研究班を立ち上げ
②周辺校にも合同参加を呼び掛けて県内への普
及・波及を目指す.
て研究指導を開始する.
③テーマを決めた継続的な課題研究に取り組ま
③受験対策の計画的な早朝補習を行って生徒の
学力向上を図り,入賞や本選出場が生徒の手に
せ,科学系コンテストでの入賞を目指す.
④大学との連携や学会での発表など対外的な活
届くようにする.
動に積極的に取り組む.
④成績が出た生徒には,それを利用した AO 入試
や推薦入試に挑戦させる.
3.方法
2)生物部の課題研究指導
1)日本生物学オリンピック対策
今治西高校では戦前の旧制「今治中学」時代か
愛媛県内で生物学オリンピック予選を受験で
ら「博物部」または「生物部」が存在し,熱心に
きる公式会場は愛媛大学と西条高校であり,いず
活動していたという記録が残っている.実際,大
れも本校からは片道約 1 時間,往復で約 2,000 円
正時代から昭和戦前にかけての標本や剥製が非
を要するため生徒は受験しにくい.そこで生物部
常に充実しており,当時は潤沢な予算に恵まれて
員だけでなく理系の生物選択生にも受験を呼び
いたようである.戦後,1950 年の新制高校再編
掛け,30 人以上を集めて本校を特例会場に申請す
とともに「生物部」が正式に発足し,常時 30 名
ることにした.2012 年 5 月,50 人以上の生徒が
以上の部員が意欲的な活動に取り組んでいた.特
受験を希望したため特例会場になった.合同受験
に 1960 年代からテーマを決めた研究が熱心に行
を呼び掛けた近隣の今治北高校からも数人の生
われており,1984 年と 1986 年は「日本学生科学
徒が加わった.以後,2014 年まで 3 年連続で 50
賞・愛媛県審査」で最優秀賞を受賞している.
人以上の受験で特例会場になっており,2015 年も
1990 年代になってから活動が低迷するように
同様になる予定である.合同受験校は 2014 年に
なり,部員がいない時代がしばらく続いている.
は中学校も含めて市内 4 校に拡大しており,表 1
その頃には生物実験室に飼育生物もいなかった
のように県内最大の試験会場になっている.
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日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 29 No. 6(2015)
表 愛媛県内の予選受験者数
年度
全国の参加人数
顧問を同時に担当することになった.
2013 年度は 1 年生の授業担当が多く,新入生に
2012 2013 2014
3100
3200
3300
生物部への入部を勧める機会が多かった.そのせ
5
いか 19 人の 1 年生が生物部に入部し,2 人の 2 年
県内公
愛媛大学
14
31
式会場
西条高校
32
23
10
生との合計 21 人で 5 つの研究班を立ち上げた.
県内特
新居浜高専 36
35
30
正顧問の小野教諭がフィールド系研究の 2 班,副
例会場
今治西高
56
100
67
顧問の筆者がラボ系研究の 3 班を担当し,科学系
宇和島東高 -
-
34
コンテスト出場や学会発表を目標に研究指導を
開始した.表 2 に生物部員数の変化を示す.
<備考>今治西高での合同受験校と人数
表 生物部員数の変化
2012 今治西高 53,今治北高 3
年度
2013 今治西高 83,今治北高 17
2012
2013
2014
2015
2014 今治西高 52,今治北高 13,
1 年生
3
19
12
+α
今治東中等 1,今治明徳中 1
2 年生
7
2
14
12
3 年生
3
7
3
13
合計
13
28
29
25+α
受験対策として,5 月中旬から予選実施日まで
の約 2 か月間,毎朝 7 時 30 分からの 40 分間で希
望者を対象とした早朝対策補習を実施した(考査
<備考>2015 年の 1 年生は 3 月末現在未定
期間中と休日を除く).過去 5 年間の予選出題問
また,生物部で申請した計画が JST の「中高生
題を約 25 の単元に分け,同じ単元の大学入試問
の科学部活動振興プログラム」に採択され,2013
題を含めた演習プリントを作成し,毎日 1 単元ず
年度から 3 年間で 150 万円の予算が支援されるこ
つを目安に解法指導を行った.
とになった.この予算を活用して大学との連携事
2)生物部の指導
業を推進するとともに,対外的な部活動の活性化
2012 年度に今治西高校に赴任した年は放送部
を促進することにした.具体的には,大学の先生
の顧問であった.前任校での 10 年間の放送部指
を招いての研修会や公開講座の定期的な開催,大
導で獲得した賞状が 220 枚以上あり全国大会でも
学を訪問しての実験,他校生物部との交流,科学
多数の上位入賞をした実績があったことと,放送
系ボランティア活動への取組,学会発表や科学系
部の顧問希望者がいなかったことが理由であろ
コンテストへの積極的な参加などである.生物部
う.当時の放送部は 10 年以上も入賞から遠ざか
の部費は年間 3 万円なのでとてもありがたい.
っていたので作品制作の基本から指導した結果,
14 年ぶりの全国大会出場につながった.翌 2013
4.結果と考察
年度には文部科学大臣賞にも届いた.
1)日本生物学オリンピック
2012 年度は生物部の顧問ではなかったので側
日本生物学オリンピック予選の問題は,2008 年
面から部活動を支援し,自家用車に生徒を同乗さ
に 40 問だったのが 2012 年には 27 問,2013 年に
せて野外調査に同行することが多かった.また,
は 21 問と出題数が減尐傾向にあり,1 問当たりの
前任校の SSH で得たノウハウを提供し,研究指導
配点が高くなっている.また,問題の難易度が毎
のほかに大学への訪問や他校生物部との交流な
年変動しており,平均点や入賞ボーダー点は毎年
どをコーディネートした.そして各種根回しの結
大きく変化している.表 3 に予選における平均点
果,2013 年度からは放送部の正顧問と生物部の副
と入賞ボーダー点の変化を示す.
― 3 ―
日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 29 No. 6(2015)
表 平均点と入賞ボーダー点
年度
2012
2013
生が始業前に本校で一緒に聴講してから登校す
2014
る光景が見られた.成績も順調に出ている.2012
平均点
32
38
29
年は本校から優秀賞 3 人,優良賞 5 人が出て,優
優良賞
54
62
46
秀賞のうち 2 人が筑波大学で開催された本選に出
優秀賞
60
70
54
場した. 2012 年の愛媛県からの本選出場者は本
本選出場
66
75
60
校の 2 人のみであった.2013 年は本校の 1 人と合
同受験の今治北高校の 1 人が本選に出場した.
<備考>本選出場点は得点分布からの推定
2013 年の愛媛県からの本選出場はこの 2 人のみで
国内予選の出題は国際生物学オリンピックで
あった.2014 年の本選出場者は愛媛県だけでなく
公開されている分野別出題基準の比率と異なり,
四国 4 県でも本校の 1 人のみであった.予選にお
2014 年の国内予選では約 4 割が遺伝の分野から出
ける本校の入賞成績を表 4 に示す.
表 今治西高校の入賞実績
題されていた.国際規定では「遺伝学・進化学か
ら 20%」である.また,2014 年は生徒が新教育
年度
2012
2013
2014
課程に完全移行した年であるにもかかわらず,旧
本選出場
2人
1人
1人
課程の分野からの出題が多くなっていた.
優秀賞
3人
2人
1人
優良賞
5人
4人
4人
策はなかなか容易ではないが,予選には過去に出
県内の他
優秀 1 人
本選 1 人
優秀 2 人
題された問題の類題が出る傾向が強いため,早朝
校の成績
このように日本生物学オリンピックの受験対
優良 1 人
<備考>優秀賞には本選出場者を含む
補習の実施は有効であった.生物学オリンピック
の公式テキストは「キャンベル生物学」(小林興
監訳,丸善)であるが,高校生にとっては非常に
本選出場が決まった生徒には,過去の本選を参
高価であることに加え,ページ数が多いため短期
考に対策実習を行った.本選では実験中心の試験
の使用には向いていない.また,1・2 年生はまだ
が行われ,提出したレポートで評価が行われるた
履修していない単元も受験対策として取り上げ
め,SSH 指定校や理数科の生徒が有利である.普
るので,早朝補習には授業で資料集として使用し
通科の本校生徒には授業だけでは不十分な実験
ている「フォトサイエンス生物図録」
(数研出版)
とレポート作成を事前に体験させておく必要が
をテキストとして使用し解説を加えた.演習プリ
ある.本選出場の通知から実質 10 日程度の余裕
ント作成時の単元分類には尐し古いが「生物学オ
しかないため十分な対策にはなっていないが,生
リンピック問題集」(国際生物学オリンピック日
徒の不安を和らげるためにも実施している.
本委員会編,羊土社 2008 年 5 月発行)を参考に
生物学オリンピックの入賞成績を利用して国
した.過去の出題は生物学オリンピックのホーム
立大学の科学オリンピック枠 AO 入試を利用する
ページからダウンロードできる.なお,2015 年の
生徒が毎年現れている.2012 年は本選出場の 1 人
早朝補習テキストには非常に実戦的な内容にな
と優良賞の 1 人が,2014 年は本選出場の 1 人がそ
っている「マンガ生物学に強くなる」(堂嶋大輔
れぞれオリンピック枠 AO 入試で広島大学に進学
作・渡邊雄一郎監修,講談社ブルーバックス 2014
した.2014 年の本選出場者は本選での体験によっ
年 7 月発行)を使用する予定である.
て進路志望が研究者に変化した.2013 年の本選出
早朝補習には約 30 人の生徒が毎朝参加して演
場者は物理選択生であり授業で生物を履修して
習に取り組んだ.2013 年には約 10 人の今治北高
いない生物部員であった.このように生物学オリ
― 4 ―
日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 29 No. 6(2015)
ンピック予選への挑戦は,学校での成績が必ずし
は不可能だが,細菌の研究をしたいという生徒の
も上位でなくても生物好きなら入賞の可能性が
希望に合わせ,滅菌の必要がない有機溶媒耐性細
ある.その成果が進学にも役立つので,本校生徒
菌をテーマとした.クマムシとプラナリアは学校
にとって大きな励みにもなっている.入賞生徒に
の近所に採集ポイントがあり,試料を得るのが容
は自尊感情の向上にもつながっている.ただし,
易である.クマムシは乾眠耐性物質,プラナリア
平均点が下がった 2014 年は本選出場者が都市部
は再生調節物質に注目した研究を始めた.
の私立中高一貫校に偏った傾向があり,地方の公
研究過程において,何度か愛媛大学を訪問して
立高校の生徒が例年より激減している.今後は生
タンパク質の電気泳動(SDS-PAGE)や電子顕微
徒の実力を向上させるための対策により一層の
鏡写真の撮影などをさせていただいた.研究成果
工夫を加え,より多くの生徒が生物学オリンピッ
は学会ポスター発表や科学系コンテストに積極
クで入賞できるように指導していきたい.
的に参加させた.2013 年度から 2014 年度にかけ
2)生物部
ての発表や成績は次の通りである.
2012 年度の筆者は放送部の顧問だったので,生
物部で本格的な研究指導を行うことはできなか
【研究発表と成績】
○日本薬学会中国四国大会(2013 年 10 月)
った.本校では文化部の顧問は運動部の副顧問も
細菌班,クマムシ班,プラナリア班が半年間の
兼任するという慣例があり,2 つの文化部を兼任
成果を初のポスター発表(松山大学)
するという前例がなかった.そこで,2013 年度は
○日本生態学会全国大会(2014 年 3 月)
3 つ目の部活動顧問として生物部を希望したとこ
全研究班がポスター発表(広島国際会議場)
ろ,兼部 3 つではあるが放送部の正顧問と生物部
・最優秀賞(全国 1 位):クマムシ班
の副顧問を兼任できることになった.
・審査員特別賞(全国入賞):細菌班
筆者が 2013 年度に担当した授業のうち,1 年生
○日本水産学会全国大会(2014 年 9 月)
の「生物基礎」は 8 クラス中 6 クラスを受け持っ
水生生物定点観測班とナベブタムシ班がポス
ていた.その授業中に生物部の研究活動の活性化
ター発表(九州大学)
計画について宣伝をしたところ,1 年生 19 人が入
○バイオ甲子園(2014 年 11 月)
部した.その結果,2 年生 2 人との合計 21 人で 5
クマムシ班と細菌班が論文予選に参加,クマム
つの研究班を立ち上げることができた.正顧問の
シ班が本選で口頭発表(熊本市国際交流会館)
小野榮子教諭と副顧問の筆者で次のようなテー
・特別賞(全国 4 位):クマムシ班
○日本生物教育学会全国大会(2015 年 1 月)
マを設定して班別研究の指導を開始した.
【班別研究テーマ】
全研究班がポスター発表(愛媛大学)
○水生生物定点観測班(小野教諭担当)
・優秀賞(全国 1 位):細菌班
○ナベブタムシ研究班(小野教諭担当)
・優秀賞(全国 4 位):クマムシ班
○有機溶媒耐性細菌研究班(中川担当)
・優秀賞(全国 10 位):ナベブタムシ班
○神奈川大学全国理科・科学論文大賞(2015 年 3
○クマムシ研究班(中川担当)
○プラナリア研究班(中川担当)
月,神奈川大学で授賞式)
研究テーマの設定は,生徒の希望と顧問の専門
クマムシ班と細菌班が論文で参加
分野をすり合わせて調整した.生徒は毎日放課後
と休日に生物実験室に集まって研究に取り組ん
・努力賞(全国入賞):クマムシ班
○生物系三学会(動物・植物・生態学会)中国四
だ.本校には乾熱滅菌器もオートクレーブもない
国支部大会(2015 年 5 月 16 日)
のでコンタミを防げないため,通常の微生物実験
全研究班がポスター発表予定(愛媛大学)
― 5 ―
日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 29 No. 6(2015)
生徒はポスター発表での質疑応答を通して,プ
レゼンテーション能力やコミュニケーション能
【JST 科学部活動振興プログラム予算の活動】
・春講座(2013 年 5 月)愛媛大学と兵庫県立博物
力が著しく向上した.ポスターや論文の作成を通
して,実験データの情報処理能力やレイアウト能
館の先生を招いて講義と実習
・夏研修(2013 年 8 月)愛媛大学の先生が同行し,
力も向上した.これらの力が大学入試の面接や小
しまなみ海道の野外調査指導
論文に有効なことは明白なので,生徒たちも真剣
・秋の公開講座(2013 年 11 月)愛媛大学と兵庫
に取り組んだ.また,入賞した発表を行った生徒
県立博物館の先生を招いて講義と実習,公開講
には「楽しそうに発表し,何を聞かれても自信を
座には市民や中学生の参加もあった
持って答えるが,指摘は真摯に受け止める」とい
・四国地 JST 区指定校交流会(2014 年 2 月)愛媛
う姿勢が共通していたことから,まじめに楽しん
県総合科学博物館でポスター発表
・春講座①(2014 年 4 月)愛媛大学の先生を招い
で研究に取り組む生徒が増加した.
また,生物部の対外的な活動として次のような
取組を行った。いずれも生徒のモチベーションの
て野外調査の指導
・春講座②(2014 年 5 月)愛媛大学の先生を招い
向上や自尊感情の醸成に有意義であった.
て実験と論文作成の指導
・夏講座(2014 年 8 月)愛媛大学の先生を招いて
【他校生物部との部活動交流】
・長浜高水族館部を訪問(2012 年 7 月)
講義と実習
・新居浜西高生物部と本校で実験(2013 年 7 月)
・中国四国地区 JST 指定校交流会(2014 年 12 月)
・新居浜西高生物部と野外調査(2013 年 8 月)
岡山コンベンションセンターでポスター発表
・えひめ高校生サイエンスチャレンジの実験に参
・春講座(2015 年 4 月予定)愛媛大学の先生を招
加(2013 年 8 月,愛媛県立医療技術大学)
いてデータ処理と論文作成の指導
・えひめ高校生サイエンスチャレンジ発表会で研
究発表(2014 年 2 月,愛媛大学)
5.おわりに
・西条高生物部と本校で実験(2014 年 8 月)
今治西高校での生物学オリンピックと生物部
・長浜高水族館部(学生科学賞で内閣総理大臣賞
の指導を通して,生徒のモチベーションや自尊感
を受賞し日本代表,2015 年 5 月に ISEF 出場予
情を向上させる過程で教育の可能性について再
定)を訪問して研究交流(2015 年 12 月予定)
認識させられた.前任校の SSH での経験が元にな
【小中学生との科学交流】
ったが,ゼロから指導をスタートする面白さを体
・常磐小学校に出前実験(2013 年 1 月)
験することもできた.今後も生徒の潜在能力を最
・学校見学会の中学生に公開実験(2013 年 7 月)
大限に引き出せる生物教育を進めていきたい.
・青尐年のための科学の祭典松山会場に出展し小
参考文献・資料
学生 350 人を指導(2013 年 11 月)
・3 年に 1 度の公開文化祭で地元住民と小中学生
・日本生物学オリンピック公式 HP
http://www.jbo-info.jp
に実験体験指導と研究発表(2014 年 6 月)
・乃万小学校で河川生物調査指導(2014 年 7 月)
・国際生物学オリンピック日本委員会編:生物学
オリンピック問題集,羊土社,2008.
・学校見学会の中学生に公開実験(2014 年 7 月)
・今治青年会議所主催の自然教室「わんぱく!き
ずな塾」で小学生 100 人を指導(2014 年 8 月)
・青尐年のための科学の祭典松山会場に出展し小
・愛媛県立松山南高等学校公式 HP
http://matsuyamaminami-h.esnet.ed.jp
・愛媛県立今治西高等学校公式 HP
http://imabarinishi-h.esnet.ed.jp
学生 500 人を指導(2014 年 11 月)
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