ビデオ計測システムのご紹介

ポスター・機械展示 No.32
ビデオ計測システムのご紹介
―セイコーデジタルマルチツールの概要―
○髙橋永，神田幹雄
セイコーオプティカルプロダクツ株式会社
Outline of Seiko Digital Multi Tool
Hisashi Takahashi, Mikio Kanda
SEIKO OPTICAL PRODUCTS CO.,LTD.
１．はじめに
近年、お客様情報を設計に取り入れること
で｢見え心地の良さ｣を追求した個別設計累
進レンズの開発が進んでいる。お客様の遠
用度数・加入度数のみならず、フレームの
装用状態、ライフスタイル等を考慮するこ
とで最適化を図っている。フレームの装用
状態は、測定メジャー・測定チャートを使
用し測定することもできるが、ビデオ計測
システムも活用できるようになったので紹
介する。
図１ FRED
２．セイコーデジタルマルチツール
セイコーデジタルマルチツールは iPad
端末で使用できるアプリケーションであり、
主な機能としては、接客ツールと測定ツー
ルの２種類ある。接客ツールはお客様へレ
ンズの特長を説明でき、また、フレーム選
図２センサー
択にも活用できる。測定ツールは、大きな
什器を使用せず、タブレットと専用の治具
のみを使用し、正面からの写真を２枚撮影
４．測定方法・手順
するだけで必要な情報を導き出すことがで
遠方視と近方視した時の写真を撮影する。
きる。
4.1 遠用アイポイント
３．測定冶具
①遠方視の撮影
① フレーム計測冶具
iPad 後面のカメラとお客様の目線を一
（Frame Reference Device,以下 FRED）
直線にし、およそ 45cm 距離をとる。画面上
フレームに FRED を取り付ける。（図１）
の透明な長方形の中にフレームと計測治具
が入っているか確認し、撮影する。（図３）
②センサー
iPad にセンサー付きカバーを装着する。
（図２）このセンサーにより対象物までの
距離と iPad の傾きを計測できる。
図３遠方視の撮影
②マーカー合わせ
タブレット上でマーカーを合わせる。２
つの白色のマーカーを両眼の角膜反射の位
置(白く光っている点)に合わせる。 (図４)
３つの黄色のマーカーを FRED の基準点に
合わせる。（図５）
図６フレームサイズ
4.3 フレームフロント角（そり角）
フロント角マーカーを鼻側ラインのフレ
ーム最上端に合わせる。（図７）
図７フロント角マーカー
図４白色マーカー
4.4 近用アイポイント
①近方視の撮影
両脇をしめ、本を読むような感覚で iPad
を持っていただく。iPad を動かし FRED を画
面の透明な長方形内の上半分に収まるように
して撮影する。（図８）
図５黄色マーカー
4.2 フレームサイズ
iPad のフレームサイズをタッチする。表
示された黄色の線をフレームの内側に接す
るように合わせる。（図６）
図８近方視の撮影
図９白色・黄色マーカー
②マーカー合わせ
遠方アイポイントと同様にマーカーを
合わせる。（図９）
５．測定項目
遠方視と近方視時の２枚の写真を撮影す
ることにより、以下の測定ができる。
・遠用/近用アイポイント（4.1,4.4）
・フレームサイズ(4.2)
・装用時前傾角
・頂点間距離
・フレームフロント角（4.3）
前傾角は、iPad の傾きと FRED のずれによ
り算出し、頂点間距離は、２枚の写真と iPad
の距離、前傾角より算出している。
６．測定結果
以下の測定結果が表示される。（図９）
図９測定結果
７．測定データの活用
以下の範囲内においてフレーム装用状態
を考慮した累進レンズが開発されている。
・装用時前傾角：0°～20°
・頂点間距離：10mm～20mm
・フレームフロント角：0°～20°
８．まとめ
個別設計累進レンズの性能の良さを十分
発揮させるためには、フレーム装用状態等
のお客様情報を設計に反映させることが必
要と考える。お客様一人ひとりに最適な状
態のレンズを提供できるよう測定ツールの
活用を進めていただきたい。
【共同開発会社】
ACEP
15 rue de Vezelay 75008 Paris France
ACEP が開発したアプリケーションを
SEIKO 向けに編集し、SEIKO オリジナル商品
として斡旋している。
【参考文献】
1) 崎田祐巳、小泉美名都：セイコーデジタ
ルマルチツールの概要について；第１８回
日本眼鏡学会抄録集, pp.49-51 (2014)
2) 髙橋永、神田幹雄：お客様情報を考慮
した最新の累進屈折力レンズ；眼鏡学ジャ
ーナル,Vol.18(No.1),pp46-48 (2014)

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