自動車運転者の体調急変による事故

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1.体調急変の事故事例
2.どのように起こるのか
3.体調急変を起こす要因
自動車運転者の体調急変による事故
5.安全な運転に向けて
4.法令上の定め
運転前セルフチェック
~要因と防止対策を考える~
ニュースなどで、運転中の体調急変での
事故が取り上げられていますが、具体的に
どのような事故をいうのでしょうか?
体調急変による事故は、どのように
起こるのでしょうか?
運転中に突然生じた体調の悪化や発作が
原因の交通事故のことだよ。
そもそも、なぜ体調急変は
起こるのでしょうか?
事故事例を見てみることにしよう。
それでは、体調急変がどのように
事故発生につながるのか、考えてみよう。
1 運転者の体調急変による事故事例 へ
2 体調急変による事故はどのように起こるのか へ
今度は、体調急変の要因について
考えてみよう。
3 体調急変を起こす可能性がある要因 へ
体調急変は、病気だけじゃなくて、
過労や睡眠不足なども影響するんですね。
事故を起こさないために、
私たちはどうすればいいのでしょうか?
そうだね。
ちなみに、法令上では、「運転時の体調」に
関する規制や処罰が定められているよ。
運転する一人ひとりの心がけが大切なんだ。
4 運転時の体調に関する法令上の定め へ
まずは、体調管理からだね。
5 体調急変による事故を起こさないために へ
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平成27年10月作成
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1.体調急変の事故事例
2.どのように起こるのか
3.体調急変を起こす要因
4.法令上の定め
5.安全な運転に向けて
運転前セルフチェック
運転者の体調急変による事故事例
運転者の体調急変による人身事故は、毎年250件前後も発生している。
どんな事故があったのか、具体的に紹介しよう。
【参考】発作・急病による事故発生状況
てんかん発作による
意識障害
出典:(公財)交通事故総合分析センター
平成23年4月 栃木県鹿沼市
クレーン車が登校中の小学生の隊列に突っ込んだ死亡事故
過密労働による居眠り
【被害】 死者 : 6名
(睡眠時無呼吸症候群の症状あり)
illustration by フリーメディカルイラスト図鑑
平成24年4月 関越道 上り線 藤岡ジャンクション付近
長時間運転による居眠り
乗合ツアーバスが防音壁に衝突した死傷事故
【被害】 死者 : 7名 ・ 負傷者 : 39名
平成24年4月 京都府亀岡市
軽自動車が登校中の小学生と保護者の隊列に突っ込んだ死傷事故
【被害】 死者 : 3名 ・ 負傷者 : 7名
これらの事故は、当時、大きく報道で取り上げられたものだよ。
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1.体調急変の事故事例
2.どのように起こるのか
3.体調急変を起こす要因
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運転前セルフチェック
体調急変による事故はどのように起こるのか
体調急変は「運転の3要素」に影響して、
事故へとつながるんだ!
体調急変
(発生する症状)
運動機能障害
(麻痺)
運転中に体調急変が生じると・・・
ショック症状
(急性血圧低下)
激痛
呼吸困難
急な眠気
意識の低下
運転の3要素 といわれている
認知
をつかさどる視覚や聴覚に影響
判断
をつかさどる脳に影響
操作
をつかさどる運動機能に影響
など
事故を起こしてしまうことが・・・
そうなんだ。
なるほど!
さまざまな箇所に影響があるんですね。
突如として、正常な運転が妨げられる状況に
陥ってしまうことが、非常に危険だとわかるね。
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3.体調急変を起こす要因
2.どのように起こるのか
4.法令上の定め
5.安全な運転に向けて
運転前セルフチェック
体調急変を起こす可能性がある要因
体調急変を起こす要因には、
いろんなものが考えられるよ。
病 気
脳の病気
労働生活環境
過労・疲労
循環器の病気
脳梗塞
脳内出血
大動脈瘤
狭心症
くも膜下出血
脳動脈瘤
心不全
不整脈
認知症
てんかん
心筋梗塞
動脈硬化
ストレス
睡眠・休息不足
不規則な生活
など
薬の服用
呼吸器の病気
飲み忘れ
消化器の病気
気管支炎
など
十二指腸潰瘍
ぜんそく
医療目的外の薬物使用
すい炎
肝硬変
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
使用に限らず、所持だけでも違法行為!
麻薬
こころの病気
統合失調症
副作用
気管支拡張症
胃潰瘍
肺気腫
過剰摂取
不眠症・過眠症
そううつ病(そう病・うつ病を含む)
覚せい剤
危険ドラッグ
など
代謝・栄養の病気
糖尿病
高血圧症
脂質異常症
肥満
これらはあくまでも一例なんだ。
など
食生活や飲酒・喫煙といった「日常生活の習慣」、「年齢」も
要因になることがあるんだよ。
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2.どのように起こるのか
3.体調急変を起こす要因
5.安全な運転に向けて
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運転前セルフチェック
運転時の体調に関する法令上の定め
国土交通省では、事業用自動車の安全対策として、
安全教育・事故防止にかかるマニュアルを作成・公表し、活用を推進しています。
ここでは、運転時の体調に関する法令上での
規制や処罰を紹介しよう。
クリック
(国土交通省のHPへ)
体調に影響を与える要因
正常運転できない
おそれ があると・・・
病 気
労働生活環境
道路交通法
第117条の2
第117条の2の2
過労運転等の禁止
道路交通法
第66条
薬の服用
状 態
処 罰
麻薬、覚せい剤等の
薬物使用
5年以下の懲役
又は100万円以下の罰金
上記以外
(除、酒気帯び状態)
3年以下の懲役
又は50万円以下の罰金
違反(運転)
罪名
死傷事故
を起こすと・・・
自動車の運転により
人を死傷させる
行為等の処罰に
関する法律
第2条、第3条、第5条
危険
運転
致死傷
過失
運転
致死傷
状 態
何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、
正常な運転ができないおそれがある状態で
車両等を運転してはならない(一部略)。
すると・・・
処 罰
〔参考〕 左記法律施行前の刑法
アルコールや薬物の影響により
正常な運転が困難
〔致死〕 1年以上20年以下の懲役
〔致傷〕 15年以下の懲役
【危険運転致死傷】
〔致死〕 1年以上20年以下の懲役
〔致傷〕 15年以下の懲役
アルコール、薬物、政令で定める
病気(※)の影響により正常な
運転に支障が生じるおそれ
〔致死〕 15年以下の懲役
〔致傷〕 12年以下の懲役
自動車の運転上
必要な注意を怠った
〔致死・致傷とも〕
7年以下の懲役・禁錮
又は100万円以下の罰金
厳罰化
【自動車運転過失致死傷】
〔致死・致傷とも〕
7年以下の懲役・禁錮
又は100万円以下の罰金
※ 政令で定める病気とは・・・
政令とは、『自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令』
をいい、以下を定めています。
・ 自動車の安全な運転に必要な能力を欠くおそれのある症状を呈する
「統合失調症」、「低血糖症」、「そううつ病(そう病・うつ病を含む)」
・ 意識障害・運動障害をもたらす発作が再発するおそれのある「てんかん」
・ 再発性の失神(発作が再発するおそれのあるもの)
・ 重度の眠気の症状がある「睡眠障害」
正常な運転が困難、あるいは支障が生じるおそれのある状態での運転には、
重いペナルティが課せられるようになっているんだ。
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4.法令上の定め
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体調急変による事故を起こさないために ~安全な運転に向けて~
どれも当たり前のことだけど、こうしたことを理解し、
ときには話し合ってみよう。
運転前のセルフチェック
クリック
運転者の心得
❒ 『運転』は周囲への危険をともなう行為
ということへの理解
(クルマは危険な乗り物にもなりうる!)
❒ 法令を守って、安全運転
「体調が思わしくない」、「疲れている」
と感じたら、運転は控えましょう。
健康管理
❒ 健康管理は、まず自分で
(自分の健康に興味・関心を!)
❒ 体調管理・健康状態の把握を軽率に考えない
( 定期的な健康診断の受診が重要!)
❒ 健康診断で再検査が必要とされた場合、
必ず受診する
医師の「運転を控えるように」との忠告には、
素直に従いましょう。
処方薬は、飲み忘れることなく正しく服用しましょう。
副作用もキチンと理解しておくことが重要です!
事故を起こすと・・・
❒ 後悔、しょく罪の念
❒ 処罰
・ 行政処分(免許点数や罰金)
・ 刑事罰(懲役刑など)
・ 民事罰(損害賠償請求)
❒ 家族や会社にまで、その影響が及ぶことも・・・
家族や周囲で、
事故によって生じる影響について考えてみましょう。
日頃から、こういうことを意識することが大事なんですね。
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4.法令上の定め
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運転前セルフチェック
運転前のセルフチェック
クルマを運転する前に、クルマの点検とあわせて、
自分の健康もチェックしてみよう。
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自分の体調に異変・違和感はない?
疲労やストレスはない?
前夜に深酒や寝不足はない?
今、治療中の病気はない?
自分の病気は、運転に影響を与えるものではない?
治療薬は正しく服用している?
治療薬の副作用をきちんと理解している?
医師や家族等から、運転に関する注意を受けていない?
運転スケジュールに無理はない?
①交代運転者は?
②時間的な余裕は?
③休憩をとる余裕は?
ひとつでも気になる項目があったら、
運転するべきかどうか考えてみてね。
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