地域社会で果たすべき協同組合の役割についての考察

地域社会で果たすべき協同組合の役割についての考察
小池恒男
(一般社団法人)農業開発研修センター
1.ハイパーグローバル企業の論理の貫徹
資本の国際移動、企業の海外進出、多国籍化にともなってハイパーグローバル企業の発言力の強まりとと
もに、農業・農政の分野のみならず、国民経済の多くの分野にわたって三つの結合のバランスが大きく崩れ、
国家・企業・国民の三位一体の関係が弛緩し、国家国民の合意形成がきわめて困難なものになりつつある。
この状況の世界化、だからこその狭隘なナショナリズムの台頭なのである。これを象徴しているのが TPP
協定であり、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項である。このアンバランスの三つの結合関係をどう正常な
関係に変えていくのかの大きな課題であるが、これに対抗してあるべきは「地方創生」ではなく、地方から
民主政治を、住民主権の実現から国民主権の実現への大事業めざすは、
「地元業者とともに、最大限、利益を
地域に還元させる地域経済の仕組みづくり」
であり、
その中心に座るべき協同組合の役割について考察する。
2.上からのバリューチェーン形成論、
「地方創生論」
上からの「地方創生」を言わざるを得ない差し迫った状況がある
1)国家戦略特区(農業特区)
2)
『農林水産業・地域の活力創造プラン』
3)
『まち・ひと・しごと創生法』
3.地域とともにつくる協同組合の食と農の新しい価値の連鎖
―食と農の新しい価値の連鎖を創り出すもう一つの道―
そこで、農業・農政改革のもう一つの道を切り開く具体化方策として「地域とともにつくる協同組合の食
と農の新しい価値の連鎖」を提起したい。そしてこの道こそが、農業、林業、漁業の第一次産業、他の地域
産業、自然再生エネルギー産業、地域金融、医療、福祉、教育、環境保全等々が、新しい産業と雇用を生み
出し、地域経済を活性化させるという明確な道筋をもつものであり、内需主導の健全な国民経済の成長に広
く大きくつながっていくものであることを強調したい。