中小ラベル印刷会社が描くビジネス展望とは

米ミシガン州のエプソン「SurePress」導入企業が考える
フォーカス
レーベルテープ
本社社屋
企業においては、フレキソによる大量生産のみの対応で
う。また、SurePre
的にSurePressは
この300SKUのよう
要性も実感。レーベルテー
中、キャロル社長はその必
がクローズアップされる
インアップのラベル向けデ
クスへ導入した。豊富なラ
ルカラーにも対応できるた
柔軟に印刷。もちろん、フ
でき、かつ各種表面基材へ
ress L︱4033A な小~中ロットのうち特に
W」。昨年7月にエーフレッ 『 中 ロ ッ ト 』 に も 十 分 対 応
のがエプソン「SureP
め、「 こ れ は 相 当 大 き な 武
る。
せながらキャロル社長は語
デジタル機」と目を輝か
新しいことが柔軟にできる
「小ロットもSKUを増や
Pressの特徴だそうで
に対応できるのがSure
Uの新製品向けラベルまで
ssは、今北米市場で重要 「 印 刷 ス ピ ー ド は 遅 い が、 な事例から、5000SK
プにデスクトップ型のエン
ジタル印刷機の中で、エプ
器」と同社長は話す。
そこで同社長が選択した
トリーモデルから沖データ
ソンを選択した理由につい
数年、デジタル機
機を選び、数年前に1台導
てキャロル社長は、①継続
ePressを導入し、デ
この
入 し た。「 フ レ キ ソ 機 で は
②は、エントリーモデル
ジタル機によるラベル製造
と 同 数 に な る 」( キ ャ ロ ル
社長)と言い切る。
クス、ウェブトロンなど4
ロル社長)そうだ。しかし、 出できる可能性、の3点を
の必要性を痛感した」(キャ
ラス機③新たなラベルを創
イエンド機は、年商5億円
㌦クラスで1億円前後のハ
た、 1 0 0 万
広がらない。ま
が、仕事の幅は
の仕事になる
が低くそれなり
を探すブランドオーナーが
を供給するラベル印刷会社
早い納品、高品質なラベル
ストは度外視で、とにかく
営業活動をしてみると「コ
来あまり行っていなかった
をスタートさせた同社。従
「最初は小ロットであっ
キャロル社長はこう話す。
ループ。その背景について、
を確立していく予定の同グ
ロットはフレキソの体制
S u r e P r e s s、 大
今後は、小~中ロットを
フレキソと両輪で
「ここ数年で北米のラベル
台のフレキソ印刷機を設
このような観点でSur
せば、フレキソの1ジョブ
できない極小~小ロットの
的なサポート②小規模企業
は導入・ランニングコスト
「300SKU」に対応
ラベルを製造するにはとて
の身の丈にあったミドルク
市場はドラマチックに変
ル基材に対応可能なデジタ
あった北米市場においては
①は、大ロットが主流で
にできたとしてもランニン
とっては投資が厳しく、仮
前後の米ラベル印刷会社に
事例を話してくれた。
ロル社長)そうで、一つの
多いことに気づいた」(キャ
価 値 ラ ベ ル を 供 給 す れ ば、
ressで高品質・高付加
たブランドも、SureP
挙げる。
ル機はないかと、欲がでて
市場は、SKUラベルのよ
万円)のエーフレックスも
テープは、巨大マーケット
ム・ キ ャ ロ ル 社 長 は 語 る。 商600万㌦(約6億5千
のシカゴ近郊に本社を置く
た暁には、フレキソで対応
店頭で同ラベルを採用した
する」
商品のアイキャッチ性が増
チューブが多品種になり
それを実現するためにも
「ある近隣の輸入会社
同様の設備で、両社共にフ
機」(キャロル社長)
という。
300SKUのラベルが必
現在の課題は「紙、合成紙、
「 伝 統 的 に 一 顧 客 に 対 し、 グ コ ス ト で 体 力 が も た な
うな小ロット・多品種の高
③は、サンプルラベルの
要になったのだという。S
シュリンクフィルムなど
きたという。
ラベル印刷会社A︱FL
提案が必要な新規顧客に対
urePressですぐに
し、消費者の購買動機付け
し、 本 印 刷 で
印刷して見せたところ、オ
が、中国から輸入している
エプソン選択の理由
モックアップ
1 0 0 種 の 異 な る 基 材 に、
いという。そういう意味で
レキソ機で大量消費商品の
制作できるほ
で対応できるラベル印刷グ
社 は な い と す ご く 感 動 し、 デジタルとフレキソの双方
フセットでこれができる会
ル ー プ に な る こ と 」( キ ャ
同じラベル商品を継続し
品質カラーラベルを求めて
か、 P D F プ
かなり高いラベル単価で納
と な っ て 売 り 上 げ が 増 大。
ルーフもすぐ
品できた。われわれのよう
チューブのSKUラベル
に 出 せ る。 特
ロル社長)だそうで、この
を印刷できる会社を探し
ラベルを製造してきた。
に、 ワ ー ル ド
し、同グループを一層発展
な 付 加 価 値 が 絶 対 に 必 要。 計画にのっとり課題を解決
な小規模企業は、ユニーク
させていきたいと意欲を見
2000万円台のSure
おり、それに対応できなけ
ワイドで同一
数では勝てないが、大手が
て安定供給できることがと
れば中小企業は淘汰され
印刷機メーカーの万全なサ
カラーのプ
できないビジネスを展開す
ても重要」(キャロル社長) Pressは「小規模ラベ
EX Label(エーフ
レックスレーベル)を買収
とうた
し、レーベルテープグルー
ポート体制が必要だが、エ
ルーフが出せ
で 印 刷 し て い た そ う だ が、 いくはず。大ロットになっ
プソンはそれが可能だとい
るのは大きな
食材を供給している前述の
を商品化し、北米を中心に
が、シェフの情熱や独創性
ト商品を生み出しているの
そのニーズを背景にヒッ
売れる」と、単価は度外視
ら、商品はこれまで以上に
用したいし、このラベルな
く、気に入ったラベルを採
グ ル メ は、「 コ ス ト で は な
てしまう。しかし、ブリス
とかなりのコスト高になっ
感じた。当社が今後のター
の再現性が非常に高いと
「 ま ず、 フ ル カ ラ ー 印 刷
をこう語る。
競合他社との差別化も十分
会社はもちろん、同規模の
と、北米の大手ラベル印刷
対応できる柔軟性を鑑みる
印刷品質と可変デザインに
けラベルにおいて、同機の
展できると考えた」
の投資で継続して企業を発
族経営企業であっても、こ
に図れる。当社のような家
高級調食材にターゲット
のラベルを、本機印刷した
で、品質の高さやおいしさ、 Pressで印刷した数種
だ ろ う 」 と 予 測 す る 同 氏。
フトする企業が増えていく
レキソからデジタル機へシ
われのような小規模ラベル
作り手のこだわりで多くの
そ の た め に も、「 一 歩 も 二
印刷会社は、今後設備をフ
同社が多く受注する各種基
ものと提案したところ、そ
歩も先んじた営業展開が必
と品質を求めていた。そこ
材への印刷も難なくこなし
固定客を持つブランド」と
の色再現性や品質、デザイ
要」と将来を見据えていた。
デジタル機で狙う食品ラ
ている。また、小規模企業
スティーブ氏は決めていた
ンが一目で気に入り、即採
要 も な く、 ポ リ エ ス テ ル、
にあっては手離れが良い印
用になったのだという。
まさしく現代は、低価格
という。
題だが、そこはデジタル機
刷機ということも重要な課
でスティーブ氏がSure
社は
ゲットに据える高級食材向
導入に当たって考えたこと
売れるラベル求むユーザー
ブリスグルメ。メープルシ
だったという。
プレミアム商品と言え
ロップや各種ソース、ビネ
デジタル印刷機を入れて
化 の 一 途 を た ど っ て い る。
ガー、塩など高級調味料を
すぐにその特徴を生かした
スタートボタンを押せばあ
ラインアップし、洗練され
営業で好結果を得ることが
ど、米国各地のショップや
たびん・缶容
できたミドルトンプリン
経済が良くない状況だから
創 出 で き る 」( ス テ ィ ー ブ
器とラベルが
ティング。今後、フレキソ
とは印刷機を離れほかの
氏)と実感したという。ま
特徴的なブラ
とデジタルの配分はどうし
通販で販売されている人気
さ に、” 印 刷 ” に 振 り 回 さ
ンドオーナー
ていくのか、という問いに
こそ、日常使いは価格を抑
れる毎日から、マーケティ
だ。
え、ここぞという時や本当
ングや営業の時間を持てる
今回、ミドルトンプリン
ス テ ィ ー ブ 氏 は、「 デ ジ タ
仕 事 に も 向 か え る。「 こ の
提案型企業へと生まれ変わ
ティングは、その「ホット
ることになる。フレキソを
ル機による製造に一本化す
品質と安定性であれば、旧
ることができる、そんな可
ペッパーソース」ラベルの
廃棄し、資機材やオペレー
商 品 だ け に、 ラ ベ ル の ボ
能性が見えた設備投資に
受注獲得に成功した。同ラ
ター人件費にかかっていた
リュームはそれなりにあ
なったと語る。
ベルは、従来フレキソ機で
コストを、2台目のデジタ
に質の良いもの、おいしい
それを象徴づける成功事
印刷されていたが、デザイ
ル機の投資に回す予定」と
型のフレキソ印刷機を苦労
例として、北米の高級食品
ンや色の再現性が納得でき
展望を描く。続けて「われ
り、デジタル機で印刷する
ブランドオーナー、BLi
な い オ ー ナ ー は、 商 品 に
ものにはお金を出す世の中
S Gourmet(ブリ
スグルメ)のホットペッ
マッチするラベルデザイン
だ。
このような観点から、同
パーソースラベルが挙げら
して一日中回しているより
年5月に「Sure
れる。
も、いろいろな面で利益が
の 性 能 を 遺 憾 な く 発 揮 し、 品かプレミアム品かの二極
デジタルとフレキソの双方で小〜
大ロットのラベルに対応している
せている。
大きなブランドへと育って
る、というのだ。
デジタル機の良さ実感
レーベルテープは、マー
量生産を行ってきた。しか
し、時代とともに、特に中
小規模のラベル印刷会社が
利益を創出できるビジネ
ス 形 態 は 変 化。 そ こ で ス
ティーブ氏は会社を継ぐ際
きた。
れば商機はある」
ていた。従来はオフセット
プとして展開している。両
年
社は創業時からフレキソ印
刷機を複数所有し、約
にわたって中~大ロットの
ラ ベ ル を 製 造 し て き た が、 カンディー、アクアフレッ
を導入し、大量消費社会の
に、同社の目標を「高付加
動向に合わせてラベルの大
氏は、食品や小売り、行政
ながら企業を成長させ、
ミドルトンプリンティン
グはデトロイトに次ぐミシ
ガン州第2の都市、ケント
郡グランドラピッズ市に本
社を置く家族経営のラベル
の候補に上がってきたのが
その中で新たな設備投資
エプソン「SurePre
年以上続いた優
良企業として、市、郡、州
ss」で、スティーブ氏は
Press L︱4033
AW」を導入。基材への専
製造はフレキソからデジタル機に集約
長 い 歴 史 を 誇 る 同 社 は、
高付加価値ラベル追求
る。
知事らから表彰を受けてい
印刷会社。創業者のボブ・ 年には、
歳だった
年代に
1960年に、他の仕事と
ミドルトン氏が
の兼業で起業し、
ラベル製造を開始。それ以
降、ラベル印刷製造に注力
し 同 社 を 発 展 さ せ て き た。
北米市場の他のラベル印刷
利 点 で、 相 対
で、それを可能にするには、 ル 印 刷 会 社 の タ ー ゲ ッ ト
30
価値・高品質ラベル」に定
のかなどを聞いた。 (鈴木)
向 け な ど 各 種 ラ ベ ル・ ス
も欧米からアジアへと変遷している市場で今後のビジネ
め、それを実現するにはど
バーターだ。市場性だけでなく、ラベルの発注者も販路
うしたらよいかを模索して
しつつ 40 年以上にわたりラベル製造を手掛けているコン
テッカー製造に事業を集中
ラベル印刷会社の 12% を構成する 5 〜 6 億円規模で、1
もう少し幅広で複数のラベ
ミシガン州グランドラ
人で年
備。一方、従業員
中小企業にデジタル機は必須
もよい機械で、デジタル機
10
わった」と同グループのト
トム・キャロル社長(エキスポ会場で)
ピッズ市郊外のレーベル
レーベルテープ
40
リカ 2014」の会場で取材した。両社の年商は、日本でも
し、社内体制の刷新を図り
活発に行われている企業の合併・買収(M&A)を繰り返
会社同様、フレキソ印刷機
用トップコーティングの必
「フレキソからデジタル機に設備を一本化する予定」と語る
スティーブ社長
ホイル、ミラーコートなど、 ベ ル は、「 高 級 グ ル メ 食 材
13
グランドラピッズに本社を置き、エプソン「SurePress」
2 0 0 3 年 に、 息 子 の ス
10
てず企業存続も難しい状況で
「小ロット」
「高付加価値」
「高
ティーブ氏に事業承継。同
グループ傘下の A-FLEX Label に導入された「SurePress
L-4033AW」
高級食材「BLiS」のホットペッパーソー
スラベルは「SurePress」で受注獲得
ス展望をどう描いているのか、勝機をどこに捉えている
ミシガン州から優良企業表彰を受けたミドルトン一家。
右から現社長夫人のシンドリー氏、現社長のスティーブ
氏、創業者のロバート氏、ジュディー夫人
キソでの大量生産が特徴的な市場だったが、近年は、小
Label tape
者たち。その事例について、共にミシガン州第2の都市
社は 50 年以上続くファミリー企業。もう 1 社は、北米で
50
ロット・多品種への対応がキーとなっている。特に中小
はラベル単価や設備力などの点で大手との競争に打ち勝
ミドルトンプリンティング
を導入するラベル印刷会社 2 社を、
「ラベルエキスポアメ
70
欧州・日本と共に、長年にわたりグローバルマーケット
Middleton Printing
今必要な技術は『デジタル』だと口をそろえて語る経営
品質」
が求められている。このような経営環境の変化の中、
22
をけん引してきた北米のラベル市場。従来は、水性フレ
第1091号
【昭和44年 9 月30日第三種郵便物認可】
聞
新
ル
ベ
ラ
平成27年1月1日
( 9 )
中小ラベル印刷会社が描くビジネス展望とは