看護問題議員連盟総会に要望書を提出!

看護問題議員連盟総会に要望書を提出!
平成 27 年 9 月 16 日(水)、12 時から島根県
議会『看護問題議員連盟総会』にて、島根県看護
協会・島根県看護連盟が合同で、看護問題につい
ての要望書を提出しました。
島根県議会看護問題議員連盟
会 長 田 中 八洲男 様
島根県議会看護問題議員連盟
会 長 田 中 八洲男 様
要
望
書
平成27年9月16日
公益社団法人島根県看護協会
島 根 県 看 護 連
盟
島根県議会看護問題議員連盟
会 長 田 中 八洲男 様
要
望
書
少子超高齢社会が進展する中、国では 2025 年度を目指して、昨年 6 月、
「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の
整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」が成立し、効率的かつ質の
高い医療提供体制の整備と地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが
開始されました。この中で、「医療従事者の確保のための事業」、「居宅等に
おける医療の提供に関する事業」について、とりわけ新人看護職員研修、
訪問看護の推進、看護職員の勤務環境改善等は、看護職の確保及び質の向上に
不可欠な事業です。
これらの事業に対し、予算確保がなされない場合には、地域医療を支える
看護職員の確保すら実現できず、地域医療の崩壊を招きかねません。
つきましては、今後、地域包括ケアシステム構築に向けて、看護職員の確保・
育成、訪問看護提供体制の構築等について継続して取り組むために、平成 28
年度予算編成にあたり、ご尽力賜りますよう、要望いたしますとともに、平成
27 年度基金予算の中で、看護関連事業予算の確実な確保についてご尽力賜り
ますよう、強く要望いたします。
記
要望事項
Ⅰ 看護関連事業予算の確実な確保についての要望
1.地域包括ケアシステム推進のための医療機関・訪問看護・介護福祉施設
等との連携強化と看護の充実及び病院看護と訪問看護の連携推進
2.安全に安心して働き続けられる勤務環境改善の推進
3.就業と定着を推進するためのナースセンターの機能強化及びナースセン
ター届出制度の周知と届出者への就業支援
4.助産師の偏在と助産実践能力の強化に向けた体制整備と充実
平成27年9月16日
公益社団法人島根県看護協会
会 長 春 日 順 子
島根県看護連盟
会 長 松 浦
昌
代
Ⅰ 看護関連事業予算の確実な確保についての要望
1.地域包括ケアシステム推進のための医療機関・訪問看護・介護福祉施設等との
連携強化と看護の充実及び病院看護と訪問看護の連携推進
1)訪問看護における訪問看護師等人材の確保・定着への支援
2)訪問看護や介護福祉施設等の看護職員を安定的に確保するための研修体制の整備
3)訪問看護ステーション経営基盤強化のための支援
【動向】
島根県保健医療計画では、病院完結型医療から地域連携型医療への転換を目指した
計画としています。その中で連携体制の構築に当たって、在宅への移行支援や在宅で
の療養支援が必要です。高齢化社会により要支援者や要介護者の増加、病床再編に
よる平均在院日数の短縮による在宅への移行・在宅での看取り(平成 23 年度 18.5%
を平成 34 年度 21%)
が増えることも予測され、
訪問看護師の役割は重要になります。
今後、認知症、小児、がんターミナル、在宅での看取りなどに対するニーズはさら
に拡大します。
団塊世代が医療介護ニーズの高まる 75 歳以上となる平成 37 年に向け、最期まで
住み慣れた地域で暮らせるよう関係機関と連携を図り、地域包括ケアシステムの体制
整備に向けて活動を推進していく必要があります。
【現状】
訪問看護師数は、平成 26 年は常勤換算で 283 人ですが、訪問看護ステーションや
サービス付き高齢者住宅などが新設され、訪問看護師の確保・定着は進まない現状
です。
また、訪問看護は実践力に対する不安等で経験者等が多く、平均年齢は 50 歳前後
と推察されます。平成 20 年、県内訪問看護師 170 人に訪問看護師の実践能力への
課題についてのアンケートがあり、「看護師自身資質向上が必要と認識している」が
90%を占めました。修得したい能力では、疾患、社会資源、制度等の知識が 91%、
医療処置やリハビリなどの技術が 89.4%、主治医や介護支援専門員(ケアマネジャー)
との連携力が 84.1%でした。平成 25 年調査によると、訪問看護をするにあたり困難と
している理由は上位から「1人での判断を求められる」、「緊急時の対応」、
「最近
の医療技術、知識の習得困難」、
「医師との調整」
、
「夜間携帯電話保持の負担」、
「悪天候
時の移動」となっております。
1
2.安全に安心して働き続けられる勤務環境改善の推進
1)長時間労働・夜勤交代制勤務等勤務環境の改善に対する取り組みへの支援
【動向】
昨年 6 月 25 日、医療介護総合確保推進法が成立し、医療従事者の勤務環境改善に
関する取り組みが始まりました。看護協会では、看護部を中心にワーク・ライフ・
バランス推進事業を進めた結果、離職率は、平成 20 年度 8.5%から平成 25 年度 6.8%
と一定の効果を得ています。
【現状】
平成 24 年 11 月実施の島根県ナースセンターの看護職員離職者調査の離職理由で
は、年齢によりばらつきがありますが、
「残業が多い」、
「老親・家族の介護」、
「健康上
の理由」
、
「自分の適性・能力への不安」、
「夜勤回数が多い」
、
「出産・育児・子育ての
ため」の順でした。
「出産・育児・子育て」を理由に挙げたものに対し具体的理由を聞いたところ、
「業務がきつい」
、「検診など必要な休暇が取れない」でした。
一方、どのような条件が整えば仕事が継続できたかについての問いには、多い順に
「残業が少ない」、「柔軟な勤務体制」、「休暇が取りやすい」、「夜勤回数が少ない」、
「仕事の悩みを相談できる人がいる」でした。
3.就業と定着を推進するためのナースセンターの機能強化及びナースセンター届出
制度の周知と届出者への就業支援の強化
1)ナースセンターコンピュータシステムによる就業促進のための人材確保の予算措置
2)「離職時のナースセンター届出制度」の円滑な運用による就業支援のための予算
措置
【動向】
ナースセンターは、地域における看護職員確保の柱として位置付けられています。
「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が改正され、平成 27 年 10 月より看護職
は離職時に、ナースセンターへ届け出ることが努力義務化されました。従来の事業に
加え、届出者の管理や希望者に対する求職情報の提供、就業のあっせんなど新たな
業務が発生します。
【現状】
専任の就業相談員は 1 名で、就業相談や職業紹介(求人 1,500 人、求職 700 人、
就職 140 人余)、再就業支援のための研修事業などを行っています。その他兼務で
協会職員が担当しています。
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4.助産師の偏在と助産実践能力の強化に向けた体制整備と充実
1)助産師出向支援事業の推進に向けた財政支援
2)助産師の実践能力強化のための新人・中堅助産師研修事業に対する予算の確保
【動向】
助産師の就業先偏在があるため、すべての妊産婦に助産ケアの提供ができない現状
にあり、また助産師の分娩数等助産実践能力の習得の機会にも差があり、質・量の
確保が十分でないため、安全で安心な妊娠・出産・育児環境の体制の維持も危惧され
ています。
【現状】
「助産師の積極的な活用による安全で安心な妊娠・出産・育児環境の整備」を重点
事業として推進する課題の一つは、助産師の就業先の偏在です。これを是正するため
に、助産師出向支援システムが有効とされ、公益社団法人日本看護協会のモデル事業
に参加し、成果を得ています。助産師出向支援システムは、現在の勤務先に身分を
有しながら、他施設で助産師として働くものです。助産師の就業先の偏在を是正する
と同時に、正常分娩の経験など助産師としての実践能力強化も期待されています。
また、看護師不足の中で、助産師が助産業務に専念できない実態や、若い助産師が
多くなり十分な経験や高度な技術を要する業務が担えない現状もあります。喫緊の
課題は、現任教育や研修を継続して実施することです。
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