【解答への手引き(テーマ説明文) 】 今回は,東京芸術大学の飛び入学および早期卒業制度についての記事になります。国際的な舞 台で活躍できる若手音楽家の育成という同大学の狙いや,そのための様々な取り組みについて述 べられています。大学入試改革が叫ばれる今日,注目すべきテーマの 1 つであると言えそうで す。英文は比較的短く,英文構造や語句にも難解なものはほとんどありませんが,注意すべき文 法や語法が散見されますので,1 つひとつの文構造を正確に把握することを意識して読み進め, それを踏まえて文法事項を問う問題と,英文和訳・内容把握問題といった読解問題の両方に取り 組んでください。 [解答] 問1 ( A ) allowed ( B ) examining ( C ) invited ( D ) concluded 問 2 同大学[東京芸術大学]によれば,飛び入学と早期卒業の両制度を利用することで,学生 たちは 20 歳で卒業することができるようになり,それによって入学の年齢に上限を設け ている海外の一流大学への進学が可能となる。 問3 will help the students study abroad by giving them special recommendations 問4 (a) 問5 ( オ ) [設問解説] 問1 語挿入問題。文脈に合う動詞を選び,語形を適する形に変えて挿入します。 (A) 正解は allowed となります。 「学生は高校 2 年生修了時に大学に入ることを~されるこ とになる」という文脈なので,allow「許可する」が適しています。また,今回は allow O to V で「O が V することを許可する」という語法が受身の形で使われているので,正 解は allowed となります。 ( B ) 正解は examining となります。 「学生たちの書類を~し,実技試験や面接を課すことで 若干数の学生を選抜する」という文脈なので,examine「審査する」が適しています。 また,前置詞 by の直後なので前置詞の目的語の機能を果たす動名詞の形を取り examining が正解となります。 (C) 正解は invited となります。 「海外から~した有名な音楽家の個人レッスンを受けるこ とになる」という文脈から,invite「招く,招待する」が適しています。今回は空欄の 直前の renowned musicians を修飾する分詞が他の語句をともなって後置されている 形になります。また,musicians と invite は受動関係にあるので,過去分詞の invited が正解となります。 (D) 正解は concluded となります。動詞 conclude には conclude an agreement with ~ 「~と協定を結ぶ」という用法があり,今回はこの用法の with が関係代名詞 which の 前に移動した形になっています。また,空欄の直前に現在完了を導く has があるので, 正解は過去分詞形の concluded となります。 問2 下線部和訳問題。下線部の構造をしっかりと把握して和訳に取り組んでみましょう。 まず,下線部は Students ~ age of 20 までの主節と, which に導かれる関係詞節,そして文末 の according to the university という副詞句の 3 つに大別できます。文末の according to ~ 「~によると」は最初に訳してしまいましょう。次に,主節の部分について考えます。名詞 Students を分詞 using が他の語を伴って後ろから説明している形となり,主節の S(主語)と なります。その後ろは特に難解な部分はなく,will be able to graduate が V(動詞) ,at the age of 20 が M(副詞句)となります。ここまでの構造をまとめると, Students (using both programs for early admission and graduation) =S(主語) will be able to graduate <at the age of 20>, V(動詞) となります。訳出する際は,分詞句の部分を「~の両方の制度を用いる学生は」とするよりも, 解答のように「~することで」と副詞的に訳出するとより自然な日本語になります。 次に , which 以降の関係詞節をみると,which は前の節全体を先行詞とする非制限用法の関 係代名詞であり,全体が前の節を補足説明しています。動詞は enable O to V「O が V すること を可能にさせる」で,that は leading overseas universities を先行詞とする主格の関係代名詞 となります。ここまでの構造をまとめると, <, which will enable them to transfer <to leading overseas universities> (that set an V O age limit for enrollment),> となります。 以上の要点をまとめて和訳をすると,解答のようになります。ポイントは ①分詞の後置修飾を見抜き主節の主語を正しく把握する ②非制限用法の関係詞節が直前部分の補足説明となるように訳出する ということです。 問3 英文整序問題。それぞれの語句の品詞や用法に注意しながら取り組んでみましょう。 まず,設問部分の直前に the university という名詞があることから,後に助動詞,動詞と続く節 の形をとると考えられます。今回の選択肢では,助動詞 will の後に続く動詞の原形の候補とし て,"help"と"study abroad"が挙げられますが,等位接続詞の and や or などが存在しないこと から,どちらか一方は will に続く動詞として使うことができません。ここで,動詞 help の語法 がポイントとなります。動詞 help には help O (to) V「O が V するのを手伝う,助ける」という 用法があります。will help the students study abroad「学生たちが留学するのを手助けする」 という形を作ることで,2 つの動詞を過不足なく使うことができます。その後ろには前置詞 by と動名詞の giving,その目的語として them と special recommendations を並べることで,by giving them special recommendations「彼ら(=学生たち)に特別推薦を与えることで」とい う副詞句を作ることができます。また,設問部分直後の for 以下は recommendations for~「~ への推薦」という形で繋がります。上記の 2 つを繋ぎ合わせると,今回の解答となります。 問4 不定詞の用法を判別する問題。不定詞の 3 用法に注意しながら取り組んでみましょう。 まず,本文中の(a)から(c)の不定詞を考えましょう。 (a) 波線部 to use を含む文を見ると,it is ~ for O to V「O にとって V することは~である」 という,形式主語構文になっています。この場合の不定詞は,形式主語 it に対する真主語にな り,主語の働きが可能な名詞的用法の不定詞であると判別できます。 (b) 波線部 To enter を含む文を見ると,主節の Some students ~ graduation は完結した節に なっており,不定詞句 To enter ~ は独立しています。この場合の不定詞は文の要素にならな い副詞句として動詞 leave を修飾している副詞的用法の不定詞であると判別できます。 (c) 波線部 to offer を含む部分を見ると,the university が S,start が V,an early education project が O の第 3 文型の文が完成しています。そして,名詞句 an early education project の 直後に設問の不定詞があることから,直前の名詞を修飾する形容詞句としての働きをする形容詞 的用法の不定詞であると判別できます。 次に,設問の波線部の不定詞を考えます。波線部 to arrive はこの文の主語である To travel と than の前後で比較されています。接続詞 than は文法的に等しいものを比較する際に用いら れるので,to arrive は「到着すること」という意味の名詞的用法の不定詞であると判別できま す。よって,正解は(a)となります。 なお,To travel hopefully is a better thing than to arrive.は「希望を持って旅することは到 着することよりも良いことだ」の意となります。 問5 内容把握問題。該当箇所と設問の文章をよく照らし合わせて検討していきましょう。 (ア) 誤り:第 3 パラグラフ参照。飛び入学制度と早期卒業制度の両方を併用している大学は 非常に珍しいという記述があるので,「一般的である」という点が誤りとなります。 (イ) 誤り:第 4 パラグラフ参照。飛び入学制度では,高校 2 年修了時に大学への入学が認めら れる,という記述があることから,「高校生であればだれでも」という点が誤りとなります。 (ウ) 誤り:第 4 パラグラフ参照。飛び入学制度では,卓越した技術を持つ学生を書類審査や実 技試験,面接などで選ぶ,という記述があることから,「音楽の実技試験のみで」という点が誤 りとなります。 (エ) 誤り:第 7 パラグラフ参照。飛び入学制度を利用した学生の学費や入学金の免除に関して 述べられていますが,同パラグラフ第 2 文に,2 年目以降の授業料は成績次第で免除されるとい う記述があるので, 「入学した段階で,在学中の学費が全額免除される」という部分が誤りです。 (オ) 正解:第 8 パラグラフ参照。設問と同様の,小中学生を対象とした「早期教育プロジェク ト」についての記述があります。
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