BOMが設計をダメにする!? 部品表が日本を沈没させる!? 弱い設計

BOMが設計をダメにする!? 部品表が日本を沈没させる!?
〜強い設計への改革シナリオ グローバル時代を生き抜く設計とは〜
プリベクト
Prebecte WhitePaper 2014
http://prebecte.com
「日本の設計力も落ちた・・・」「ベテラン設計者が引退したらこの会社はどうなる・・・」 このままの設計なら会
社は沈没する。そう危機感を抱き、多くの企業が設計改革に取り組む。しかし、多くの改革は、思い描いていた目標
とかなりかけ離れた状態になってしまう。改革は、ロードマップや効果の出るシナリオを描けるかが重要な点になる。
何から手を付けるべきか?最終的にはどこを目指すのか?どのように設計部門を巻き込むか?そのシナリオが大切
となる。技術伝承/設計標準化/グローバル設計/部品共通化など今こそ行うべき設計改革の道筋に触れてみたい。
弱い設計を作る設計改革
設計改革はこの10年で様々な取り組みがなされてきた。10年程前から3D-CAD/PDM/BOM/PLMという言葉も普及し
始め、各社で検討が行われた。ERPはそれ以前に第1次ブームが起きシステム投資が進んだ。ERPの導入が済んだ企業
が次に設計領域に取り組んだ。しかし、確実に改革に取り組んだ10年前より設計力は落ちている。高いコンサルフィ
ーやシステム投資を行ってきたにも関わらず、殆どの企業で設計力が落ちている。原因に触れる前に、まず、一般的
な設計改革を振り返っておきたい。
2000 年頃 PDM・図面管理システム導入
CAD データは重要な設計資産のため組織的に管理すべきである。流用設計を促進させたいし、ペーパー
レスなどの効果も目標になった。PDM というキーワードが注目された。
結果
しかし、結果は、図面管理システムを導入し、図面検索画面を工夫することと、セキュリティ
管理を強化しただけにとどまった。資産活用がどこまで進んだかは疑問である
3D-CAD 導入
その次に、自動車メーカーで 3D-CAD が成功したことを受けベンダーが 3D-CAD 導入を各社に勧めた。コ
ンカレントエンジニアリングやデジタルプロトタイプなど次世代を感じさせるものだった。
結果
しかし、モデル作成の基準化や 2D 図面の移行が難しく、結局、解析部門や設計部門に数ライ
センス導入しただけとなった。この時のお試し数ライセンス購入から止まっている企業が多い
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2005 年頃 BOM (部品表) 導入
CAD は絵(図象)の情報しかない。製品構成と部品情報の管理が必要ということで E-BOM(設計部品表)導入
が行われた。ERP で既に M-BOM が導入されていたため、必然と上流の E-BOM に目が行くのもわかる。E-M
変換(E-BOM と M-BOM の変換のこと)などのキーワードも注目された。
その延長線上で、モジュール化やコンフィグレーターなども注目を集めた。お客の要求を入力すると基
本構成やオプション品などが選択され、E-BOM が作成されるというものである。
結果
しかし、仕様と部品の紐付けのマスタが膨大となりメンテナンスできなくて数年で取り組みを
やめた企業も多い
2010 年頃 設計標準化・部品共通化・モジュラーデザイン導入
製品構成そのものを見なおす。標準図/共通図を登録し、設計を効率化させようという動きである。特に
導入が遅れていた個別受注企業での取り組みが行われた
結果
標準化を実施すると、
「千差万別の要求に応える我が社の強みが失われる」ということで標準
化が失敗し続けている。
標準化がなぜうまく上手くいかについては、別紙ホワイトペーパーを参照
http://emailing.3ds.com/res/dassault/5327ed012200d7d9af6afe9f311cee67.pdf
設計標準化なんて、どうせ失敗する!?
~世界市場で儲かる製品を実現させる。設計開発におけるコスト・マネジメントとは~
諸悪の根源はE-BOMである
E-BOMの導入は現場に最悪の結果をもたらしている。こう聞くと筆者はアンチE-BOM論者と思われるかもしれないが、
筆者は今でもE-BOM導入プロジェクトも手がけ、(本当の意味での) 「設計に使えるE-BOM」は必要だと信じている。
しかし、残念ながら「設計に使えないE-BOM」が確実に日本の設計を弱くしている事例を多く見てきた。概して、主
な理由は以下の3点である。
a.E-BOM が設計の結果を管理するものになっている
b.手配や製作のためのデータになっている
c.CAD 構成と E-BOM の構成に差が生じ、CAD 構成を E-BOM にそのまま使えない
E-BOMを、“教科書的に” 述べると、「設計検討時に用い、主として機能構成を示している」となる。しかし、一部
の企業を除いて、設計のためのE-BOMになっている企業など見たことがない。多くが、設計結果を管理し、手配/製作
指示用のBOMを作っているだけである。設計者の本音としては、「図面だけで手配や製作してほしい(昔はそうだった
のに・・・)」「E-BOMって手配のためのBOMだよね。それって調達部門の仕事じゃないの!?」そう思っている。し
かし、コンサルやベンダーが掲げる “全体最適” の名のもと、設計だけがバカを見る状態になっている。E-BOMは
今後作らなくていいよ。と言った瞬間に、全員がE-BOMを捨てるだろう。それは詰まるところ、設計者がE-BOMを必要
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としていないのである。そんな状態のE-BOMを入れても、設計に余計な仕事だけを増やし、本来の設計業務からどん
どん意識が遠退き、設計力が低下する事態を招いてしまうのである。
本丸を避けて通る「改革ごっこ」
なぜ、設計を強くする改革ができないのか?様々な要因があるだろうが、筆者が考える最大の原因は、設計の直接
業務に手を付けてないということ。設計の間接業務ばかり攻め、設計の本丸(設計業務そのもの)を攻めようとしてい
ないからだ。
設計間接業務
図面検索の効率化。設計変更の一括修正。図枠情報の自動登録。一括承認機能 etc
設計直接業務
最適機種/方式選定方法。技術計算ツールの効率化。仕様表作成の効率化 etc
間接業務ばかりに目が行き、直接業務の改革がおざなりになってしまうのか?それは改革の進め方に大きく依存し
ている。理由は2つ。1つ目は、「課題積上アプローチ」が問題である。改革をする際に、社内改革推進者も外部ベン
ダーも課題抽出をすることが多い。設計者にヒアリングをし、アンケートに問題点を記載してもらうやり方だ。多く
の設計者は、直接業務の非効率さに気づいていない。わかりやすい間接業務の問題点が上がってくる。2つ目は、「直
接業務改革のハードルの高さ」である。設計検討や設計検証のやり方そのものの改革は、設計ナレッジに関連する。
そうなると設計の頭のなかを整理するという“面倒で 大変で 手間のかかる”部分に手を付けざるをえない。特に、
改革推進部や情報システム部門が推進者の場合は、どうしても避けて通りがちである。
間接業務の改革そのものに反対しているわけではない。どんなことでも無駄は徹底的に削減しなければならない。
しかし、強い設計になるためにはこれではダメである。あえて、お叱りを受ける覚悟で表現すると
やりやすい間接業務の改革だけをやるのは、「改革ごっこ」である。
難しいが設計そのもの(設計直接業務)に向き合い、強くなるための改革を実施すべきだ!
改革のコンセプトを大切にする
改革を進めるにあたって、筆者が大切にしていることは、改革コンセプトである。改革コンセプトとは、改革活動
を進めていく中で何を大切にするかを明確に示すものである。多くのプロジェクトでは、「課題」「あるべき姿」「目
標」「改革テーマ」を立案する。改革コンセプトはそれらの根底にあるものとして捉える。コンセプトは、企業状況
や今後の方向性によって異なるため、一概にこれと言いがたい。あえて3つ上げるとすると、「技術資産を中心とし
た高度化設計」「設計・開発の分離」「強い技術管理」である。
技術資産を中心とした高度化設計
技術資産(ストック)とは、案件での経験/ナレッジ/苦労/アイデア/失敗のことである。多くの改革は、業務手
続きやフローに着目していることが多い。しかし、大切なことはナレッジがわかり共有できることが最も重要な点と
いえる。属人的な設計をやめよう。全員力で乗り切ろう。
何度も聞いているこのフレーズに真正面から向き合う時だ。
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そして、効率化の改革から、高度化の
改革を変えるべきである。多くの改革は、
効率化の取り組みばかりである。しかし、
効率化には明るい未来は絶対にない。究
極の効率化は、「深く考えない。言われた
ことしかしない。何もチャレンジしない」
である。流用設計がその最たる例である。
こんな事を続けていて企業は強くなれる
だろうか?楽しい設計だろうか?やはり、
高度化の取り組みが必須である。設計者
ならもっと、自由に楽しい設計をしたい
はず。ワクワクするような設計を目指さ
なければならない(図1)。そのために、設
計そのもの(直接業務)と向き合い、技術資産を洗い出す活動がいる。大変であるが競争力をつけるにはここから避け
て通れない。
設計・開発の分離
設計の間接業務は楽しくない。だから間接業務の効率化は絶対に必要である。そして直接業務の中にも楽しくない
設計がある。それは、相似形の設計である。特に個別受注製品の場合、新図の約8割は過去形状の相似形の設計とい
ってもいい。以前作ったことのある基本形状を、取り合い点の位置合わせや、強度を保つために板厚を増やすなどを
する。本来、設計者としてやるべきことは、新しい基本形状や方式を作ることである。そこに楽しさがある。そのた
めにも、設計と開発を明確に分離すべきである。
個別受注企業では、設計と開発が分離できていない。個別案件で開発要素があり、それを個別案件開発として実施
する。企画開発という発想が少なく、顧客要求を受けてからの開発となってしまっている。設計は徹底的な効率化を
目指し、企画開発は徹底的な高度化を目指すべきである。日本の技術者の未来を考えると、設計領域はグローバル化
せざるを得ない。企画開発だけが日本の技術者の生き残る道である。また、企画開発を行うためには、顧客要求も開
発も群で管理する必要がある。それを実現するには、仕様管理DBや設計諸元DBの存在は欠かせない(図2)。
【補足】企画量産品の場合は、既に設
計と開発の分離はできている。逆に、
互いの連携が上手く行っていない企
業が多い。先行的な開発はどうしても
固有技術中心になりがちであり、個別
設計プロジェクトではマーケティン
グ部隊・営業部隊などの声に引っ張ら
れる。様々な理由があるのであろうが、
開発のKPIを設計適用率にすることを
お勧めする。
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強い技術管理
より良いものを生み出すためには、様々な知識を得て、経験を積む必要がある。設計部門の特徴として、自分の担
当案件については深く理解し誰よりも詳しいが、隣の席の設計者の担当案件については殆ど知らない。どの案件につ
いても深く知ることができれば理想だが、そんな事は不可能である。では、どうすればいいか?案件を群で見て、横
串に管理して、案件間の差異(仕様差・設計差・図面差)を把握することが最も有効的である。この横串管理が殆どの
企業でできていない。
そこで、重要な役割を担うのが「技術管理部門」である。しかし、多くの技術管理部門は、CADライセンス管理や
設計会議の調整役を行う部署になって
個別案件から 離れ、
横串の群管理に特化
自分の案件は熟知し ていても 、
他人の案件は殆ど 知ら ない
更新
そのものに踏み込むことをしていない。
確かに、管理部門が個別案件をフォロ
技術
管理
設計
担当
いるのが実体である。設計業務や技術
傾向/M in -M ax/変化点
抽出
ーすることは実質難しい。であれば、
設計部門が弱い横串管理に徹底すべき
だと思う。個別案件での工夫やナレッ
案件1
ジを抽出し、技術資産を更新する。設
技術資産
ナレ ッ ジ
経験
標準
活用
計部門は常に最新化された技術資産を
案件2
工夫/標準差異
案件3
活かし個別案件を遂行する(図3)。そ
のためにも、群で仕様情報や設計情報
が集まる仕組みが必要である。D-BOM、
(図 3 : 強い技術管理
仕様管理DB、設計諸元DBなどを合わせ
て検討しなければならない。
代表的な3つの改革コンセプトを挙げてみた。一言でまとめると、「全員の経験や苦労を元に、ワクワクする設計
を目指す」といった感じであろう。コンセプトは少し雲をつかむようなものかも知れない。今すぐに実現できないこ
とも多い。しかし、20年後50年後どこを目指すかを改革のゴールに起き、その指針にブレないように目の前の課題を
解いていく必要がある。
効果を積み上げる改革ロードマップ
改革の効果は、段階的に積み上げていくしか無い。そこで代表的な3つのステップを紹介する(図4)。1stステップ
としては、間接業務の効率化である。設計から後工程へ繋ぐ部分の効率化として、E-BOMやECO(設計変更管理)に関連
する取り組みである。次に2ndステップとしては、設計直接業務の効率化である。仕様やスペック展開の効率化とし
て、顧客仕様確認票や技術計算Excelツールなどに関する取り組みである。最後の3rdステップとしては、直接業務の
高度化である。楽しい設計にし、強い設計に生まれ変わるために、設計ナレッジ(技術資産)を可視化し、CADの自動
作図と設計差異管理による高度化の取り組みである。
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後工程
連携
仕様
ス ペッ ク
の展開
流用設計
から
標準設計
E-BOM の排除
仕様の重複入力の排除
作図の排除・ 経験によ る 高度化
間接業務の効率化
直接業務の効率化
直接業務の高度化
E- BOM
仕様管理D B・ 設計諸元D B
製品ア ーキテ ク チャ 整備
設計変更マネジ メ ン ト
技術計算Excelの連携
D -BOM
3 D -CA D
帳票標準フ ォ ーマ ッ ト 化
CA D 自動作図
CA D 構成から のE-BOM
自動登録
仕様・ 技術計算Excel・ 帳
票間の仕様の自動展開
デザイ ン ルール差異管理
によ る 設計高度化
仕様・ 諸元の自動展開
仕様・ 諸元の自動展開
デザイ ン ルール管理
P D M
CA D 自動作図
C A D
B O M
E-BOM 自動生成
E-BOM 自動生成
E-BOM 自動生成
D -BOM
(図 4:改革ロードマップ)
1st:設計の後工程を効率化する(E-BOMの排除)
諸悪の根源であるE-BOMに取り組む必要がある。そのためには、CADを作ったら自動的にE-BOMが作成される仕組み
にし、設計者の意識としてはE-BOMの存在を無くすことが望ましい。そのためには、「CAD構成とE-BOM構成のズレを無
くす」 ことが必要となる。CAD構成とE-BOMが異なるのは、「設計順序の問題」と「データロックの問題」が大きい。設計
変更をコントロールするためにCADデータロックの問題を避けなければならない。結果、CAD構成の方がE-BOMより深
くなってしまう製品が多い。設計分業のありかたや、データロックのITソリューションをうまく活用することでE-BOM
の構成でCAD構成を作れるようにするのである。昨今、部品共通化や標準化に取り組む企業が多い。共通化や標準化
が進むと、設計変更時のCADデータロックの問題は今以上にコントロールが難しくなる。そのためにも、データロッ
クの問題を回避し、E-BOMとCAD構成の融合が重要なキーワードとなる。
2nd:仕様・スペックの展開を効率化する(仕様重複入力の排除)
設計業務そのものは、非効率の塊である。特に、仕様やスペック情報は、二重入力三重入力の嵐である。顧客仕様
の帳票を確認し、それを技術計算Excelツールに転記する。その結果を別の技術計算Excelへ転記する。その結果を、
調達に渡す購入仕様書に転記する。このように何度も何度も仕様やスペック情報を入力している。なんと非効率なこ
とか。また、この技術計算Excelツールが、個人持ちで人によって使っているツールをカスタマイズしている。顧客
提出資料や依頼帳票も標準フォーマットがないことが多く、流用案件の帳票類を一括コピーし修正している。設計そ
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のものに型(フォーマット)を決めていないため、転記作業は減らない、記載漏れも減らない、やりとり上の非効率さ
も減っていかないのである。
この非効率さを無くすためには、
・ 仕様確認票・見積仕様書・購入仕様書などの帳票類は標準フォーマット化すること
・ 技術計算Excelツールは個人持ちをやめさせ、勝手にカスタマイズさせないこと
・ 顧客要求仕様 → 技術計算ツール → 帳票 とすべてを連携させ転記作業を排除する
こんな当たり前のこと。と思うかもしれないが、設計そのものは改革がおざなりになっていたので、多くの企業で
起こっている。また、仕様・計算ツール・帳票をどのように連携させるのか?どのような型(フォーマット)にすべき
なのか?は、紙面の関係上今回は割愛をする。進め方において重要な1点だけ触れておく。連携検討していると、ツ
ールや帳票の良さ悪さを議論したくなるが、それは二の次にすべきである。まずは “つなげる” ことを最優先に考
えるべきである。現状の内容でつなげるだけでも大きな効果が生まれる。下手に中身の議論に入り込んでゴールに行
き着かない場合もあるので注意してもらいたい。
3rd:流用設計をやめ強い設計へ変革(作図の排除・経験蓄積による高度化)
最後に、設計そのものを高度化する取り組みが必要である。そのためには、設計ナレッジをデザインルールとして
落とし込み、
相似形設計の部分は自動化する。そして、標準設計との差異を通じて高度化する取り組みが必要となる。
・ 設計ナレッジをデザインルール管理する
・ 製品のアーキテクチャを整理し、それをD-BOM(Design-BOM 開発部品表)として管理する
・ D-BOMを中心に、仕様管理DB・設計諸元DB・デザインルールを関連させる
・ デザインルールを元に、基本形状の選択は、CADのコンフィグレーターを利用し自動化する
・ デザインルールを元に、相似形設計の部分は、CADのパラメトリックを利用し自動化する
・ 設計者は、常に新しい基本形状や方式の開発に特化していく
また、開発過程で出てきた様々なアイデアや検討方式などが埋もれており、次に生かされていないことが多い。貴
重な資産の宝庫であるにも関わらず、技術検討やCADデータは担当者個人のPCの中に眠っている。これを上手く組織
資産化することが重要であるが、現在の多くの図面管理システムはこのアイデアレベルの情報を管理しにくい状態と
なっている。詳しく述べると紙面が足らないので、簡単に触れておく。現在多くの図面管理システムは、図面属性を
主とした管理をしている。属性管理は事前の設計主義的なシステムとなり、曖昧で都度発生するアイデアデータには
使いづらい。そこで重要なのはマークアップ
としてのタグ管理である。タグ管理の仕組み
があれば、貴重な開発資産を組織管理するこ
とができるようになる。
ロードマップの代表的な取り組みを簡単に
紹介した。改革活動として、定量・定性効果
を明確にしなければならない(図4)。目標の起
き方は好みもあるが、筆者は減る事が良くな
る指標は置かないようにしている。増えるこ
とが良い指標の方が良いと感じている。
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【補足】
今回は、企画量産品と個別受注品の区分けなしに全体を語った。本来ならそれぞれ抱えている課題も改革の歴史も
異なる。別途、企画量産品と個別受注品別に丁寧に解説をしたいが、本稿では簡単であるが3点の違いに触れておく。
次こそは本当の成功を勝ち取るために
設計業務そのものに手を付けるのは、“面倒で 大変で 手間のかかる” 取り組みである。頭ではいいと思ってい
ても、行動に移りにくい。「そんな改革できればいいよね。でも、現実は工数も無いし、設計の説得も難しいし、そ
もそも経営層がそんな考えを持ってないし、説明が難しいな・・・・」となってしまう。難しくてやりたくないのは
よく分かる。でも、だからとって、やりやすい間接業務だけ取り組み、逆に設計力を弱めることだけはやめてもらい
たい。難しいことにチャレンジしないなら、何もしない方がマシと思っている。10年も20年も効果がうまく出なかっ
た設計改革の過去を振り返ってもらいたい。 21世紀の時代に簡単な改革は残っていない。大変な改革をやり遂げる
からこそ、次なる50年を生き抜く力になると信じている。
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