スポーツ少年団に加入する子ども自身の目標と保護者の期待についての比較 是洞 俊輔 (生涯スポーツ学科 指導教員 キーワード スポーツ少年団 子どもの目標 1.緒言 学校スポーツコース) 谷川 尚己 保護者の期待 (3) 「対外的な社会性側面」の「同年齢の友達を 近年,わが国においてはジュニアスポーツが盛 つくる」 「違う学年の友達をつくる」 「コーチや他 んに行われている.小学生段階から何らかのスポ の大人と関わる」 「協力する」 「いろんなことにチ ーツに取り組むことは,個人の運動レベルやメン ャレンジする」 「自分の意見や考えを言える」の 6 タル面での成長または協調性,社会性,自己コント 項目では,子どもも保護者も肯定的な回答であっ ロールの力の形成など培われると考えられる.と た.これは,大人になっていろんな人と関わってい ころで、保護者に関するアンケートは取られてい く中で必要なことだと考える.保護者ほどその割 るが,子どもに関する調査は行われていない.そこ 合は高かった. で今回、子どもの目標と保護者に目標の期待につ (4) 「対自的な社会性側面」の「何事にもがんば いて,大きく 4 項目のアンケート調査を行い,両者 れる」 「礼儀正しくできる」 「時間や約束を守る」 の意識について比較検討することとした. 「しっかりとした生活習慣する」 「責任感をつけ 2.調査方法 る」の 5 項目では,子どもも保護者も肯定的な回答 スポーツ少年団 3 団体のサッカーを対象に,ア ンケート調査を行った. (小学生 116 人,保護者 109 人) が大半である. 4.まとめ スポーツ少年団に加入している子ども自身の目 3.結果と考察 標と保護者の期待について以下の結果を得た. (1) 「スポーツの技術的側面」については、 「サ (1) 「スポーツや勉強への将来的側面」は,「勉強 ッカー技術をつける」 「体力や運動能力をつける」 ができる」について子ども保護者ともに, の 2 項目について,子どもの目標と保護者の期待 肯定的な意見があった.しかし,「プロサッカー選 ではともに肯定的な意見で一致している.水上ら 手になる」 は,否定的な意見をしている保護者が多 は技術的上達について保護者の期待というのは高 い.このことから, 子どもはプロのサッカー選手 いとしており同じ結果であった.成長していくに になりたいという夢をもっているが,保護者は現 あたって専門的な種目の技術をつけて上達してほ 実を見ており異なった結果となった. しい,どんなスポーツでもできるようになってほ (2) 「スポーツの技術的側面」 「対外的な社会性側 しという期待があるのだと思う. 面」 「対自的な社会性側面」は子どもも保護者も肯 (2) 「スポーツや勉強への将来的側面」の「プロ 定的な回答が大半をしめていた.したがって,技術 のサッカー選手になる」 「勉強ができる」の 2 項 面,対外的,対自的な社会性を育てる指導が必要だ 目では,ほとんどの子どもが肯定的な回答してい と考える. る.勉強に対しては、保護者も肯定的な回答をして 参考文献 いたが、 「プロのサッカー選手になってほしいか」 水上博司・高橋義雄・山口晶永・山口則之(2000) については,否定的であった.子どもはプロのサッ スポーツスクールに子どもを通わせる保護者の期 カー選手になりたいという夢をもっているが,保 待に関する研究64-73 スポーツ少年団のあり方につい てwww1.bbiq.jp/…/index.html 護者は現実を見て難しいと考えているからだと考 えているのだろう.
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