あなたご自身に関するアンケート(2014 年 12 月実施) 多くの皆様にご協力いただき、無事調査結果の概要をご報告させていただける運びとなりました。 深く感謝申し上げます。 東京女子大学 現代教養学部 人間科学科 コミュニケーション専攻 教授 有馬 明恵([email protected]) 調査結果概要 1.調査目的 小学生の子供を持つ親が、PTA 活動や PTA 役員に対してどのようなイメージや意見を持って いるかを明らかにする。 2.調査方法 調査協力者 (株)マーシュのモニターの方々の協力を得た。具体的には、調査実施時に東京 23 区在住で、お 子様が在籍する区立小学校で PTA 役員を経験したことのない男性 270 名(M=43.56 歳、SD=5.38) と女性 270 名(M=40.13 歳、 SD=4.66 歳)の合計 540 名。小学生の子供の人数は 1 人が 398 名(73.7%)、 2 人が 135 名(25.0%)、3 人が 7 名(1.3%)であった。 手続き モニターの方々が個別にサイトにアクセスし、研究に関する説明に同意した上で、それぞれの ペースで回答し、回答後に送信してもらった。 3.結果 ●母親の役員経験率は子どもが小学校に在籍する期間が長くなるほど高くなる 表 1 は、親の性別ごとに長子の在籍学年の内訳を示したものである。母親については、長子の 在籍学年が上がるほど回答者数が減少する傾向にあり、母親たちは子どもの小学校在籍年数が長 くなるほど PTA 役員を経験することが多くなると推察される。 表 1 長子の在籍学年の内訳 人(%) 在籍学年 父親 母親 小学 2 年 59(21.9) 87(32.2) 小学 3 年 60(22.2) 46(17.0) 小学 4 年 51(18.9) 44(16.3) 小学 5 年 65(24.1) 53(19.6) 小学 6 年 35(13.0) 40(14.8) 270(100.0) 270(100.0) 合計 ●PTA 退会希望者は 3 割 PTA を退会したいと思ったことがあるかを訊ねたところ、その人数は 168 名(31.1%)に上った。 特に母親(96 名、35.6%)の退会希望者は父親(72 名、26.7%)よりも 10 ポイント近く多かった。 ●PTA 活動といえば本部役員・執行部の活動 PTA の活動内容として思い浮かぶものを 2 つまで選択してもらったところ、選択率が圧倒的に 高かったのは PTA 会長や書記などの「執行部の活動」(456 名、84.4%)で、最も低かったのは「サ ークル活動」(3 名、0.6%)であった(図 1 参照)。母親と父親で選択率に差があったのは、「イベン ト運営」で母親(164 名、55.0%)は父親(134 名、45.0%)よりも「当てはまる」と回答した人が多 かった。PTA の活動として認知されているのは、父母たちの親睦を深めることを主な目的とした 「サークル活動」ではなく、様々な学校行事や日々のルーティンワークの取りまとめを行う「執 行部の活動」である。また、土日の学校行事を父親が手伝うことが増えつつあることを考慮して も、未だに“子どもの学校のこと”を担うのは母親であることから、当事者である母親の方が父 親よりも「イベント運営」の選択率が高かったと思われる。 84.4 執行部 55.2 イベント運営 32.8 ルーティン活動 0.6 サークル活動 0 20 40 60 80 100 図1 PTA活動の内容(2つまで)(%) ●PTA 役員を引き受けられないのは時間のやりくりが難しいから 「役員を引き受けられない」理由について、「拘束時間が長い」「予定が合わない」などの 14 の理由について、それぞれどの程度当てはまるかを「まったくそう思わなかった」(=1 点)~「非 常にそう思った」(=5 点)で回答してもらったものについて、男女別に平均点を算出した(図 2 参照)。 「回数が多い」(M=4.11、SD=0.90)、 「拘束時間が長い」(M=4.01、SD=0.94)「予定が合わない」 (M=4.09、SD=0.96)などの PTA 活動の時間の問題が、母親にとっても父親にとっても役員を引き 受けられない理由である度合いが高いことがわかる。一方、 「家族が非協力的」(M=2.45、SD=1.07)、 「自身の健康問題」(M=2.45、SD=1.25)、 「家族の介護への支障」 (M=2.21、 SD=1.23)は、PTA 役員を引き受けられない理由である可能性は低いといえる。 また、父親よりも母親において当てはまる度合いが高かったのは、「回数が多い」 「拘束時間が 長い」 「人前で話すのが苦手」 「家族が非協力的」 「子どもの世話への支障」 「自身の健康への支障」 であり、父親が母親よりも高かったのは「仕事への支障」であった。 4.23 3.99 回数多い* 4.09 3.92 4.02 4.15 拘束時間* 予定合わない 3.64 3.51 3.57 家族へ支障 話すの苦手* 3.00 仕事へ支障* 3.46 3.69 3.45 他人と上手くやれない 3.32 3.44 3.44 進め方非効率 子供へ支障* 2.84 3.19 母親 父親 3.13 3.01 活動内容疑問 2.90 2.72 家族が非協力的* 健康へ支障* 2.27 2.63 2.24 2.18 介護へ支障 0 1 2 3 4 5 図2 PTA役員を引き受けられない理由に対する考え (*母親と父親で平均値に差があった項目) ●PTA 活動を担うのは誰か 「子どもの成長に役立つ」 「加入したい人だけが加入すべき」などの 5 つの PTA についての代 表的な意見について、それぞれどの程度賛成かを「まったくそう思わない」(=1 点)~「非常にそ う思う」(=5 点)で回答してもらったものについて、男女別に平均点を算出した(図 3 参照)。平均 点が 3 点前後であることから、多くの人が賛成している意見や反対している意見は少ないことが わかる。その中でも「地域住民との協力」(M=3.54、SD=0.82)については賛成度が高かった。た だし、父親と母親では、PTA 活動の担い手についての認識が異なることがわかる。まず、母親 (M=2.29、 SD=1.01)の方が父親(M=2.77、SD=0.88)よりも、 「母親が担うべき」という意見に対 する賛成度が低かったことから、母親たちは自分たちが主な担い手となっている現状に不満を抱 いていると推察される。また、「やりたい人だけがやるべき」という意見は、母親(M=3.51、SD =1.10)の方が父親(M=3.32、SD=0.98)よりも賛成の度合いが強かったことから、我が子の入学 と同時に自動的に加入となりその子の卒業までに役員をしなくてはいけないシステムに疑問を感 じているのは父親よりも母親であるといえる。 2.29 母親が担うべき* 2.77 3.09 3.08 子供の成長に役立つ 3.40 3.27 加入したい人だけ加入 母親 父親 やりたい人だけやるべき* 3.51 3.32 地域住民と協力すべき 3.53 3.54 0 1 2 3 4 図3 PTA活動に対する意見 (※母親と父親で平均値に差があった項目) ●活動の「進め方」と「内容」は見直すべき 今後の PTA 活動のあり方について「このまま存続すべき」「活動内容を検討すべき」などの 5 つの選択肢の中から最も自分の考えに近いものを 1 つ選んでもらった。すると、 「進め方を検討す べき」(36.3%)が 3 割を超え最も多く、次いで多かった「活動内容を検討すべき」(25.4%)も 4 分 の 1 を占め、両者を合わせると 6 割の人が「変えていくべきだ」という意見に賛成したことにな る。PTA 活動の役員をしたことがないにも関わらず、「変えていくべきだ」という意見が半数以 上に上っていることは注目に値する。 13.9 このまま存続すべき 25.4 活動内容を検討すべき 36.3 進め方を検討すべき 7.2 なくすべき 17.2 わからない・考えたことがない 0 10 20 30 40 (%) 図4 PTA活動はどうあるべきか 以上。
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