ダダイズム デ・ステイル フォトモンタージュ ロシア構成主義

ダダイズム
1916 年にスイスのチューリッヒの文学キャバレー「キャバレー・ボルテール」で始まった反芸術運動。第一次大戦
の経験から、ここで芸術家や詩人達は、詩の朗読会や音楽会、パフォーマンスなどを繰り広げ、そこでは、戦争の愚か
しさやむなしさから生まれた既成概念を否定しようということが叫ばれた。理性で硬直した既成の価値と秩序を破棄し、
文学・芸術を再びゼロからはじめること、そして新たな可能性が模索された。パフォーマンスは、過去を、そしてすべ
ての意味をいったん断ち切る悪魔被いの儀式のようであったといわれる。
デ・ステイル
オランダ語で「様式」を意味するデ・ステイルは、水平・垂直の線、基本原色(赤・青・黄)とモノクロームによるコ
ンポジションを主調とし、斜線すら否定したピート・モンドリアンの作品によって代弁されることが多い。1930 年代に
なると合理的なダッチ・モダニズムに統合されていく。
■肘掛椅子「赤と青の椅子」
日本の角材、2 枚の肘木、大きな背板、薄い座板からなるこの椅子は、オランダのモダニズム運動
デ・ステイルの理念を最も分かりゃすく体現する家具。20 世紀のアイコン、インテリア・デザイ
ン史上の不朽の名作のひとつ。だ
■ピート・モンドリアン
ヴァシリー・カンディンスキー、カジミール・マレーヴイチと並んで、20 世紀美術に抽象表現を
確立した画家である。
フォトモンタージュ
複数の写真を一枚に加工して制作した作品およびその技法。写真を加工することは写真自体が成立した 19 世紀から
あるが、芸術作品として「フォトモンタージュ」という言葉が使われ出すのは第一次世界大戦後のヨーロッパにおいて
である。やがてその手法は、初世紀のグラフィック・デザインの常套手段となっていった。
ロシア構成主義
ロシア構成主義は、狭義には 1920 年頃に登場してくる作品群を指すが、それ以前のシュプレマティスムなども含む
ロシア・アヴアンギャルドの芸術作品を総称することが多い。ロシア革命という政治の大転換期にあって、政治と密接
な関係を持ちながら、政治と同じように芸術における革命を実現しようとした。その範囲は絵画や彫刻といった純粋芸
術だけではなく、演劇や映画、建築、写真、デザインなどの幅広い分野におよび、詩や言語学などとも深い関係を持っ
ていた。
■雑誌『レフ』『新レフ』
1923 年にロシアの構成主義者たちによって発行された左翼芸術雑誌。参加した主なメンバーは、
マヤコアスキーと共に編集を担当したオシップ・ブリーク、装丁も担当したアレクサンドル・ロ
トチェンコ等。
■映画「戦艦ポチョムキン』
セルゲイ・エイゼンシユタインによるモンタージュ手法を取り入れた映画作品。
■カジミール・マレーヴィチ 1878 - 1935
ロシア・アヴアンギヤルドを代表する画家。何か現実にあるものを描写したものではないし、ま
たそれを抽象化したものでもない、ユプレマテイスム(絶対主義)の絵画であり、無対象の絵画。
デザイン史概説 #08 前衛の時代 ■工ル・リシツキー 1890 – 1941
ロシア・アヴァンギヤルドの代表的美術家。他の構成主義の美術家同様、彼の活躍分野も幅広く 、
絵画、写真からグラフィック・デザイン、ディスプレイ・デザイン、エディトリアル・デザイン
などの多様なデザイン分野に及んだ。
■アレクサンドル・ロトチェンコ
ロシア・アヴアンギヤルドを体現した芸術家のひとり。リシッキーと同じく彼の活躍した芸術分
野は幅広く、絵画、写真からグラフィック・デザインや家具デザインといった生活芸術の分野に
まで及んだ。
■ウラディーミル&ゲオルギー・ステンベルク兄弟
グラフィック・デザインの分野で映画ポスターを中心に活躍した
■ウラジミール・シューホフ
ロシアの技術者・構造家・建築家。パイプライン輸送の先駆者とされる。シューホフ・タワーが
有名。
■ウラジミール・タトリン
ロシア帝国出身の画家、彫刻家、建築家、デザイナー、舞台美術家。パリのエッフェル塔に匹敵
する高さの螺旋形の鉄塔を構想した「第三インターナショナル記念塔」など。
アール・デコ
世紀末の装飾様式アール・ヌーヴォーののちに興隆した様式、ギヤルソンヌ・ルックの女性、シネマや百貨店が牽
引したアール・デコは、工業化・消費社会のモダン・スタイルだが、アヴァンギャルド路線のモダニズムとは一線を画
する。
■映画『メトロポリス』
1926 年、ドイツ表現主義映画の巨匠フリッツ・ラング(189011976)監督の近未来を舞台にした傑
作映画。
■プラトン社
プラトン社は大阪で 1922 年、資生堂と同じ化粧品製造販売会社「中山太陽堂」の広告部門から生
まれた出版社であり、総合文芸誌『女性』、大衆娯楽誌『苦楽」などの雑誌や、プラトン社本と
呼ばれる単行本を発行した。
デザイン史概説 #08 前衛の時代