Week 3 DAY 4 おもてなしの心得 一方、金銭を払ってその上で受けるものを何と言うかわかりますか。 1.hospitality(おもてなし)の 意味 正解は service です。service(サービス)は金銭と引き換えであるため にその良し悪しが問われます。しかし「おもてなし」は自分が期待しな いことを相手から受けたかどうかによって「愉快な気持ち」になるもの なのです。 「おもてなし」は英語では “hospitality” と訳されています。この単語 の語源はラテン語に由来します。昔、旅人が長い道中で歩き疲れたり、 病気やけがで旅を続けられなくなったりしたときに、体を癒すために “hospes” と呼ばれる小屋が作られたそうです。やがて病気の人が同じ 小屋にいると病が蔓延するということから、体を休める人と、病気の人 とを分けて収容する小屋が作られました。さて、それぞれの小屋が英語 で何と名付けられたかわかりますか。 ①( ) 「体を休める人のための小屋」 ②( ) 「病気の人のための小屋」 正解は、① hotel、② hospital と名付けられたそうです。両者とも体 を「癒す」ことを目的として作られたものでした。 日本語の「癒す」という漢字は「心」が下にあり「病」に使われている 「やまいだれ」が偏に使われています。この「やまいだれ」がなくなると 心が浮上し「愉しい」という漢字が生まれます。こうして hotel(ホテル) は疲れた体を癒し、hospital(病院)はけがや病気を癒してくれる場所と して生まれたということです。この人々を「癒す」ということから考え 出された言葉が “hospitality” であると言われています。つまり両者と も金銭の見返りを期待して作られたものではなく好意から作られたも のであるということです。 このようなことから考えると “hospitality” は金銭の見返りを期待し ない行為を指すと考えられます。 「おもてなし」を “hospitality” と訳す なら、こうして生まれた言葉であるということを心の片隅に置いてお きたいものです。 56 2. プライベートな質問の扱い 私たちはマニュアルどおりの「接客言葉」で応対されたとき、接客し てくれた人に対して「礼儀正しい」とか「きちんと教育を受けている」な どという印象を受けます。それはマニュアルどおりの「接客言葉」が相 手を不快にさせないために考え出されたものだからです。 日本人は、このような「接客言葉」で丁寧に質問されると、かなりプ ライベートな内容であっても不愉快な思いをしない国民であるような 気がします。例えば、既婚・未婚、彼または彼女の有無、年齢、子供の 有無などであっても、 「失礼ですが」という言葉とともに問われると、つ い答えてしまうのです。 しかし、おおよそ外国の方には上記のような質問はタブーと考えて おいてください。お付き合いする上で、性別や年齢、未婚・既婚などの 情報を必要としないからです。 それでも、ホテルなどでは名前や住所といった個人情報を必要とす る場合があります。そのときよく使われるのが、“May I have your ∼?” という英語表現ですが、この表現で問われた場合、実際に答えるかどう かは、“It depends.” ( 状況による) 、つまり「ケースバイケース」という ことになります。どうしても聞かなければならないのでしたら、“May I know your ∼?” と know を使うとよいでしょう。例えば、どうしても 年齢を尋ねる場合が生じたら “May I know your age?” と言ってくださ いね。 57 Week 1 DAY 外国人ってどんな人? 異文化チェック ―中近東編― 中近東にはイスラム教の戒律が厳しいというイメージがあり ますが、宗教的影響の度合いは、地域によって異なるようです。 現在、教え子が外務省の派遣員でサウジアラビアのジッダに駐在しています。 彼の話によると、ジッダの人々は親日的で、日本人の礼儀正しさや「和」の精神に 「おもてなし」を感じるビジネスパーソンが多いそうです。また、アラビア語で「こ 「神の平 んにちは」は Assalam Alaykoum (アッサラーム・アイクレム)と言い、 和があなたの上に」という意味であるそうです。大変感動的な「おもてなし言葉」 だと思いませんか。 Week 4 また、ジッダは人口に占める外国人の比率が高く、かなりリベラルで国際的な 都市のようです。しかし、イスラム教の影響が強い地域では左手はやはり「不浄の 手」であり、差し出すことはタブーであり、男性と女性はビジネスでも握手を交わ さないことが多いようです。また、日本と同様に目上の人の前で腕組みをするの は失礼とされています。 GCC(Gulf Cooperation Council)の略で「湾岸協力会議」と呼ばれる UAE、バー レーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーンのアラビア半島 6 つの 産油国の富裕層は、夏になると(気温は 45℃以上と言われています)涼を求めて、 DAY 1 DAY 2 DAY 3 DAY 4 欧州の 5 つ星ホテルに長 期滞在するそうです。高 原国である日本は今後、 彼らにとって絶好の避暑 地となる可能性が大で す。親日的な中東の人々 バーレーン クウェート カタール に「和」の精神で感動を 届けたいものです。 サウジアラビア UAE 58 オマーン 日本の説明 テーマ●「日本独特の物や行事について説明する」 場所の案内 テーマ●「必要な物をどこで入手できるか説明する」 日本の食事 テーマ●「日本の食べ物や食事について説明する」 Review Tests & おもてなしの心得 1
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