逆日影:天空率から構造計算 そして概算見積まで連動した

逆日影:天空率から構造計算
そして概算見積まで連動した
建築企画BIM活用術 内村氏 佐野氏
建築企画 BIM 「TP-PLANNER」
1955 年創業の日本建設株式会社は東京本社と全国 7 支店を拠点に営
日本建設株式会社
業活動を展開する。住宅、商業ビル、公共施設、工場などあらゆる
設立:昭和 30 年 8 月
主な事業内容:建築工事の施工・企画・設計およびこ
れに関する事業、リニューアル事業
所在地:東京都文京区小石川 1-15-17 TN小石川ビル
資本金:500 百万円 【BIM導入に至る経緯】
建築物の設計、そして施工を行う。「建築を本業とし建築という仕事
を通じて社会に貢献する。
」を経営理念とする。直近の 3 期 (H26 年
2 月)で 25%超の売上げ増を達成するなど堅実な経営を続ける総合
建設会社。「TP-PLANNER」導入経緯および利用法を情報システム室
佐野氏と品質管理部内村氏、設計部伊藤氏、塚越氏に解説して頂く。
BIM ソフトの選定にはベンダー各社から が作成される。
当 社 が BIM 導 入 の 検 討 を 始 め た の は、 情報収集する事から始めた。すると BIM の 構造連携では初期設定値から仮定断面を自
BIM 元年からまもない 2010 年頃に遡る。
従来、設計部では、2 次元 CAD(AUTOCAD)
中心の利用で、3 次元利用はパース作成時に
外注するなど殆ど 2 次元 CAD 中心であった。
BIM の一般的的普及とレベルアップに伴
い BIM の導入検討も急務となった。
まず導入の目的を明確にする事から始め
た。
「営業支援の為の設計ツールとして機能し、
土地情報からコスト算出まで効率的に行える
システム。」
全社的コンセンサスを得る事ができた。コ
スト算出の為の設計の流れを BIM により実
使用目的が、ほとんど生産設計時における利 動発生配置する機能を有し、さらに SS3 デー
用を意図している事がわかった。つまり実施 タ変換され解析可能となる。その事により躯
設計以降の BIM 利用で営業支援的利用には 体が確定する。
必ずしも有効でない。
そしてコスト算出には、建築概算見積ソフ
そこでソフトの検証にあたり構造部門で使 ト CostNaviPro 建築ソフト(株)の連動によ
用してきた構造計算ソフト SS3 のユニオン り作成される。
システム(株)に意見を求める事にした。
以上の内容は当社における導入目的、
提案されたのは、SS3 データと連動する企 「営業支援」として充分機能すると判断。
画 BIM「TP-PLANNER」
。
CostNaviPro と と も に TP-PLANNER の 導 入
早速、営業部、意匠設計、構造、積算のス を決めた。
タッフを招集し開発元
(株)
コミュニケーショ 導入時に、
(株)コミュニケーションシス
ンシステムから TP-PLANNER の機能を実践 テムに求めたのは徹底した実践的講習。つま
形式で解説してもらった。
り進行中の事案を通じて企画 BIM の流れを
「TP-PLANNER」は、土地情報から逆日影、 理解する事から始めた。
現する。単なる見積帳票作成ではなく根拠と
天空率を考慮したボリュームからプラン配置 講座では、土地情報の入力、逆日影、天空
なる建物ボリュームを効率的で正確に算出で
きる事を実現したい。検討を開始した。
により、躯体、建具情報を持つ BIM データ 率から始まる企画設計講座から行われた。構
造担当者も企画設計から講座に加わった。当
社における BIM 導入の目的はコスト算出、
構造部門のBIM参画が鍵となる。
徹底した実践講習が功を奏し企画BIMが
動き出した。今回は当社におけるBIM利用
法の一端を構造、意匠それぞれの立場で解説
してみたい。
(以上佐野)
施工した「文京区立森鴎外記念館」
が第 55 回 BCS 賞に入選
豊富な実績と経験
②
③
④
⑤
SuperBuild SS3
①
【構造計算から始める企画 BIM】
構造部では、他社設計の VE 検討など、構
造計算を優先して設計作業を進める事も多
い。
本来、構造計算では、一貫計算を行う為、
3 次元処理され、BIM データの基本情報とな
る躯体が算出される。構造部門では、その
躯体情報を意匠データに反映させる為に SS3
と TP-PLANNER 連動を利用している。双方
向のデータ連動が可能だが、構造計算データ
から始まる企画BIM活用法を紹介したい。
① SS3 で構造計算を行い躯体を確定する。
② SS3 解析結果 CSV データを TP-PLANNER
で読み込む。
→構造計算の場合、建具は全て開口として入
力される。TP-PLANNER では Ver15 から建
TP-PLANNER
→道路斜線は天空率で対処する事を前提に逆
タが作成される。
⑤工場および倉庫など鉄骨事案も構造計算
データから変換しパースデータを作成する事
が可能になった。
②逆日影計算結果で算出されたブロックから
日影、斜線断面チェックを行う。
→算出された限界ラインの精度を確認する事
まとめ
構造計算発の BIM データの作成の問題点
として、構造計算データがモデル化あるいは
開口、床の属性情報など、意匠データとして
直接利用できない事が上げられる。一方、構
造計算結果による躯体データは BIM の必須
情報となる。これらの問題点を解決すべくユ
ニオンシステム社、コミュニケーションシス
テム社の開発者そして内村が参加し構造連携
勉強会を月一度のペースで行い改良を加えて
いる。開口から建具情報に変換するツールも
その勉強会から発案された。
(以上内村)
開口データから効率的に建具情報に変換され
不動産市況の活性化に伴い、土地情報も傾
る。
斜地、変形敷地、複数道路など複雑な事案が
③階段室を TP-PLANNER で入力する。
多くなった。住居地域系の変形敷地における
→ SS3 では階段室は壁柱のみの入力の為、 企画 BIM 利用法を紹介したい。3 方向道路、
TP-PLANNER で入力入力する事でリアルな
日影規制、高度斜線、容積率確保等々通常処
構造パースが作成される。
理では、困難な事例だ。
④敷地形状および用途地域等の土地情報を入
①土地情報入力後、逆斜線、逆日影計算を行
力する事で、日影規制、天空率計算を行う事
う。斜線規制は高度斜線のみを反映させる。
が可能になる。構造計算データから BIM デー
③形態制限の限界ラインをガイドにプランニ
ングを行う。
→容積率、住戸数等をチェックしながらブ
ロックパースそして面積表が Excel で自動作
生される。令 2 条 3 項など法改正に対応さ
れている。
④日影規制、
天空率等は逐次チェックが可能。
→天空率適合建築物、算定位置は自動算出さ
れ法解釈が的確。サポートセンターの対応な
どの安心感も有り天空率が有効に機能する。
に階段室を配置する。
⑥構造連携で確定した躯体でパース、コスト
算出を行う。
まとめ
企画設計のツールが全て揃っており、一連の
処理で殆どの事案で企画設計者自身でパース
まで作成する事が可能になった。構造連携に
より算出された柱と入力建具の干渉チェック
なども有効である。
(以上伊藤、塚越)
③
①
②
でプラン作成時の効率が格段にアップする。
⑤単線プランから自動発生した壁に建具さら
具一括変換ツールが搭載された。これにより 【土地情報から始める企画 BIM】
設計課 塚越氏 伊藤氏
計算は行わない。
④
⑤
⑥