平成27年12月7日 No.520 土地と家屋の状況で異なる固定資産税等 毎年 1 月 1 日に土地や家屋を所有している方には、固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」といいます)が課税さ れます。今年は「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行により、固定資産税等に大きな注目が集まりました。今回は、 1 月 1 日時点の土地や家屋の状況により、固定資産税等の課税がどのように変わるかケースごとに解説することとします。 1.更地である場合 1 月 1 日時点で、駐車場等の更地である土地については、 「住宅用地の特例」の適用を受けることができません。 「住宅用地 の特例」とは、住宅の敷地となっている住宅用地の税負担を、軽減するための措置で、その面積によって小規模住宅地と一般 住宅用地の区分に応じた特例率を価格に乗じて課税標準を求めています。 住宅用地の区分 住宅用地の特例率 固定資産税 都市計画税 小規模住宅用地 200 ㎡以下の部分 1/6 1/3 一般住宅用地 200 ㎡を超える部分 1/3 2/3 したがって、更地に係る固定資産税等は、特例率の適用がないため、住宅用地に比べ大幅に負担が大きくなります。しかし、 更地である場合、建物がありませんので課税される固定資産税等は土地に係るもののみになります。 2.建替え中の場合 1 月 1 日時点で、既存の住宅を取り壊して住宅を新築中の土地や建替え予定の土地についても、原則として「住宅用地の特 例」の適用を受けることができません。しかし、下記の要件のすべてを満たす場合おいて、その年の 1 月 31 日までに申告す ることにより、1 月 1 日時点で住宅が建っていない場合でも、住宅用地の認定を受けることにより、 「住宅用地の特例」が継 続して適用されます。 (なお、詳細は市町村によって異なります。 ) ①前年度の 1 月 1 日において住宅用地であったこと ②1 月 1 日において、住宅の新築工事に着手していること (または、確認申請書を 1 月 1 日までに受領していることが確認でき、3 月末日までに住宅の新築工事に着手していること) ③その建替えが前年度 1 月 1 日の建替え前の住宅の敷地と同一の敷地において行われていること ④その建替えが前年度 1 月 1 日の建替え前の住宅の所有者と同一の者(所有者の親族等を含む)により行われていること なお、 「住宅の新築工事に着手している」とは、水盛り、遣り方、根切り等の住宅の基礎工事に着手している状態を指し、造 成工事等の開発行為、地盤改良、地鎮祭等は含まれません。 また、1 月 1 日後に新しい家屋が完成したとすれば、その完成した年度はその家屋に固定資産税等は課税されず、その翌年 度から課税されることになります。 3.住宅が完成している場合 1 月 1 日までに住宅が完成している場合は住宅用地となり、 「住宅用地の特例」の適用により土地の固定資産税等の税額は 減額されます。完成した家屋については、固定資産税等が課税されることとなりますが、新築住宅が一定の要件を満たしてい る場合には、優遇措置を受けることができます。代表的な優遇措置として、 「新築住宅及び認定長期優良住宅にかかる固定資産 税の減額措置」があり、新築住宅が次の要件を満たす場合には、住宅部分(120 ㎡までに限る)に係る固定資産税(都市計画 税は対象外です)の 2 分の 1 の額が減額されます。 (認定長期優良住宅を新築した場合については、要件が異なり、新築され た翌年の 1 月 31 日までに申告が必要となります。 ) 減額の対象となる新築家屋の要件 減額される期間 三階建て以上の耐火住宅・準耐火住宅 上記以外の住宅 住宅部分の床面積が 50 ㎡以上 280 ㎡以下 (一戸建以外の貸家住宅は 40 ㎡以上) 新築後 5 年間 新築後 3 年間 このように、固定資産税等の税額が安くなるかは、土地と家屋のトータルで考える必要があります。なお、優遇措置の中には、 建替え中の住宅用地の特例の適用や、認定長期優良住宅にかかる固定資産税の減額措置の適用のように新築された翌年の 1 月 31 日までに、申告を必要とするものもありますので事前に確認することが大切です。 (担当:草野 耕平)
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