意見交換会 結果概要 - 全国航空消防防災協議会

平成 27 年度 第一回航空隊員研修会(金沢会場) グループ討議 意見集約概要
H27.9.28
全国航空消防防災協議会
グル-プ
(A)
グループリーダー宮城県防災航空隊副隊長 長南 康徳
【討議概要】
・ヘリ運用調整班の早期立ち上げ
・ヘリ運用調整班の各機関との調整で統統制波の決定
・ヘリの部隊編成で統制
・各機関での部隊編成
・連絡系統の一本化
グル-プ
(B)
グループリーダー 富山県防災航空センター副隊長 高田 克也
【討議テーマ】
・大規模災害時における各種対応について
【討議概要】
〔富山防災から提案〕
富山防災では乗組みの運航指揮者が隊長または副隊長という規約がありました。しかし、万が一、大規模災
害が発生して受援側となった場合、
おそらく隊長や副隊長は県庁やヘリベース等に出向してしまうことになり、
富山防災の乗組み規約では自隊ヘリの運航ができなくなってしまうという問題が考えられたことから、現在は
運航管理責任者が指名する隊員が運航指揮代理として搭乗しヘリを運航できる体制に規約改正した経緯があり
ます。そこで、各防災の乗組み体制や緊急時の参集体制について討議しました。
○他県防災の乗組み体制について
・運航指揮は、OP養成が終了していれば役職無関係に任務に就く防災航空隊がある。
(複数)
・各防災の役割等について
埼玉(隊長はRを行わない)
石川(隊長はOPを行わない)
、
新潟・埼玉・山梨・福井(運航指揮はOP兼務 ※埼玉・山梨は 3 年目隊員 ※福井は隊長又は副隊長)
富山(隊長はR・OPを行わない)
○各防災の参集について
・勤務地(航空センター)まで遠い隊員用の寮や宿舎から出勤
→福井(2Km) 地元消防本部 2 名は自宅より出勤(運航会社も)
・各自宅からの出勤
→埼玉、石川、新潟、山梨、富山
※最遠について 石川(40 分)
、新潟(45 分)
、埼玉(当直あり)
、富山(60 分)
、山梨(60 分)
※隊員の住む範囲に制限なし。
(石川・新潟、富山)
※運航会社は 30 分以内と規定(石川・山梨・福井)
・自宅が遠い隊員について、自宅付近の場外離着陸場でピックアップし、出動体制を整えるといった制度を設
けている。→山梨
○まとめ
緊急時の参集対応や自隊の乗組みの取り決めは各防災で様々であったが、大規模災害時にどうすれば自隊が
より早く活動体制が取れるかを、今回の討議内容を踏まえ、各航空隊へ持ち帰り今一度検討する必要がある。
グル-プ
グループリーダー 静岡県消防防災航空隊副隊長 竹村
(C)
博己
【討議テーマ】
・大規模災害時における無線通信運用の対策について
【討議概要】
122.6MHz
機体同士での無線交信。
123.45 MHz 地上含めた場合。
防災相互無線 → 海保、警察 あまり開局していない(無線交信できるのか)
相対無線 → 相対無線を積載していない機体もあるので大規模災害時に活用できるのか。
【討議テーマ】
・屋上緊急離着陸場の耐空表示について
【討議概要】
・許容荷重に統一できないか。
・老朽化に伴う荷重問題も含めて最大床面強度より許容荷重に統一したほうがいいのでは。
・不明の場合は、屋上HP使用しない。確実に L/D できる場合 or 過去に L/D 歴がある場合に L/D する。
・最大床面強度
【討議テーマ】
・
【討議概要】
・スキッド → クリアランスが広い、線で着地。
・ランディングギア → クリアランスが狭い、アンテナ等が接触する場合がある。
・
(地質) 砂地は不適当(部分的に掛かる荷重が大きい:ぬかるみ(砂、泥)
)
↳ 鉄板を敷く等の措置を執る。
・
(ダウンウォッシュの影響)
馬力 1・7倍 ダウンウォッシュも大きい。
⇒ 周囲、住民、住居等にも影響
↳ 広報、設置面を広げる。
グル-プ
(D)
グループリーダー 鳥取県消防防災航空隊副隊長 青戸 一之
【討議テーマ】
1. 緊急消防援助隊受援計画の場外離着陸場及び給油態勢について
2. 場外離着陸場の選定方法について
【討議集約概要】
1.緊急消防援助隊受援計画に基づくようなフォワードベース的要素を兼ねた場外離着陸場が広域的に必要
であると思われるため、隣県を含めた検討が必要である。給油態勢について、各県さまざまな態勢で備蓄
しているが、大規模災害時に対応できる量を確保している県はなし。
2.場外離着陸場については、消防本部毎に要望してもらい選定、地権者と話し合い、運航会社とともに調
査する隊が多くあった。
【討議概要】
(鳥取)
1. 81条の2(捜索又は救助のための特例)において、機長が安全と認めれば場外離着陸場以外でも緊急
着陸は可能であるが、緊援隊受援計画に基づくようなフォワードベース的要素を兼ねた場外離着陸場が広
域的に必要であると思われるため、隣県を含めた検討が必要である。
2.場外離着陸場の選定・解除の基準について、
(兵庫)
1.20×20mの広さがあり、且つ傾斜5%以内としている。また、散水必要ない場所を選定している。
選定の手順として、消防本部からの要望で話を進めていく方針としている。
(奈良)
1.地下タンクを設け、常備1万ℓありMax2万ℓの備蓄可能である。駐機は5機可能。
2.場外離着陸場については、地元消防からの要望と地権者の承諾を得て選定。
(和歌山)
1.
津波被害を想定した場外を選定している。
なるべくアスファルト舗装をしていただくよう依頼している。
給油方法については、ガソリンスタンドに依頼している。また、消防学校が新築となり備蓄燃料を置く予
定である。
(島根)
1.県内3空港に燃料がある。
(岡山)
1.岡山空港及び甲南空港に備蓄燃料がある。八尾空港とも協議しており、足りない場合の調達が可能。
また、2箇所の消防本部に各3本備蓄している。しかし、空港での給油態勢は報道機と防災機のどちら
が優先かは決まっていない。
(広島)
1.広島空港がヘリベースである。消防本部に備蓄燃料はない。昨年の土砂災害で4200ℓの燃料でも足り
なかったため、応援にきたヘリに帰ってもらうことになってしまった。自衛隊岩国基地と燃料調達等につ
いて現在協議中である。
2.場外離着陸場は、県内400ヶ所ある。消防本部から要望で話を進めていく方針としている。
(山口)
1. 自衛隊と自衛隊基地及び給油について協議した。
2. 場外離着陸場が県内に約400ヶ所ある。各町に最低でも1ヶ所設定しており着陸時に困ったことはな
い。
(徳島)
1.2箇所の消防本部に各2本ドラム缶備蓄をしている。1ヶ所の病院にも1本ドラム缶備蓄している。
【討議テーマ】
大規模災害時における航空隊員の受援態勢について
【討議集約概要】
航空隊OBを活用する協定を結んでいる県あり。しかし、地上部隊も災害対応で人員出向できない可能性が
ある。
【討議概要】
(兵庫) 航空隊OBに依頼することを検討中だが、地上部隊も災害対応で人員出向が出来ない可能性があ
る。
(山口) 各消防本部と協定を結んでおり、航空隊OBの支援態勢が確立している。また、航空隊OB以外
の消防隊員も支援に来る可能性もある。
(和歌山)取り決めはない。
(奈良) 航空隊OBで対応予定だが、決まっているものはない。航空隊の活動フローは作成済み。
(徳島) 現在模索中。
(広島) 航空隊員6名では対応不可能であるため模索中。
(岡山) 航空隊OBに対応してもらうよう検討している。緊援隊訓練は航空隊OBに協力してもらい実施
した。
(島根) 現在模索中。
(鳥取) 航空隊OB活用(協定協議中)としているも、現場対応で支援出向が出来ない可能性がある。
グル-プ
(E)
グループリーダー 愛媛県消防防災航空隊副隊長 市橋 清孝
討議テーマ 「大規模災害時における無線通信運用の対策について」
【討議概要】
・基本航空波で対応する。
・ミッションごとにチャンネルを設定しておく。
・指揮本部に各部隊の代表が集結し、活動の周知、自隊への連絡・指示を徹底する。
・各訓練においては事前に無線統制、チャンネル指定をしている。実現場においても訓練のように統制ができ
るかどうか?
・現場での複数機の活動において、自衛隊機が高々度で統制機となり、飛行統制を行った実例の紹介。
・各消防本部のデジタル無線への移行後のアナログ対応について?各消防本部でアナログ無線を残してもらい
アナログで対応してもらう。携帯電話を活用する。
・海上保安庁との活動について、事前約束では防災総合波をしようするとなっているが、実現場では防災総合
波を開局していないので連絡がとれない。
グル-プ
(F)
グループリーダー 東京消防庁航空隊 航空管理係統括 加藤 達彦
【討議概要】
【ヘリ救助時の担架回転抑止策について】
1 テーマの理由
・隊によっては、地上の消防隊が活用したバスケット担架をそのまま使用し、ホイスト救助を実施している
が、ダウンウォッシュの影響を大きく受けている。
・他のどの資器材(担架)についても、ダウンウォッシュによる回転は避けられないのが現状で、時には介
添えの救助員の体が完全に水平状態になるほど振られることもある。よって誘導ロープ(回転防止ロープ)
を活用して回転を抑止しているのがほとんどである。
・東京消防庁の大型機(EC225)では、どうしても高吊り(200ft以上)の活動が多くなり、ホイス
トポイントの状況によっては、誘導ロープに角度をつけることが難しくなり、結果、回転の抑止につながら
なくなることが多い。
・資器材そのものは、年々進化していると思われるが、担架回転防止については、決定的な解決がなされて
いないと感じ、討議テーマとし、各隊の現状や工夫を情報共有した。
2 グループ内の隊員からの情報
・まだ検証段階だが、担架の足部側にテント生地のような幌を設定してダウンウォッシュによる風の流れを
操作するという案・・・商品によっては初めから幌がついているものもある。実際に操作してみないとわか
らない。
・バスケット担架でも、メッシュ形状のものは比較的回転しづらい・・・完全ではない。
・バーチカルストレッチャー・・・形状からして風の影響は受けやすい。誘導ロープは必須。隊によっては
縦吊りを選択するところもある。その場合は回転抑止につながっている。
(要救助者に与える影響については
賛否両論)
・レスキューストレッチャー・・・バーチカルに比べて、要救助者を覆うシュラフがついているので風は直
接あたらない。しかし担架の回転のしやすさについては変わらない。この担架は横吊りの状態のまま、頭部
側を抱え込むように救助員側に引き寄せることで担架を垂直状態にすることが可能。その場合もやはり回転
の抑止につながっている。
3 結論
各隊とも、
同様の悩みを抱えていることが認識できた。
レスキューストレッチャーの変則的縦吊りなどは、
斬新な方法で、検証の余地があると感じているが、各隊の使用資器材の違いもあり、完全な解決策には至ら
ない。
日航機墜落事故の際の生存者の救出時、担架が激しく回転している映像が残っているが、あれから30年
も経っているのに、その部分について何の進化もしていないことについて、救助に携わる航空隊員として大
変歯がゆい気持ちがぬぐえない。今後も現場の人間の感じていることをベースに、継続検討していくべきテ
ーマである。
以 上
*御参加頂いた皆様の熱い討議が伝わってきます。(事務局より)