「SAM Gシリーズ」デビュー。

Success STORIES
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アトメルジャパン合同会社
アトメルジャパン合同会社
ウェアラブル端末・IoT端末へ朗報。
Cortex®-M4F 搭載超低消費電力センサー・ハブ
「SAM Gシリーズ」
デビュー。
ジャイロ・センサー
DISPLAY
静電スイッチなど
地磁気センサー
Slider
「SAM(Smart ARM-based Microcontrollers)
」というブランドを冠したARM® コア搭載製品を展開しているAtmelは、最近、相次い
ここではスマートフォンなどに採用されているセンサー・ハブ技術の概要と SAM G ファミリの特徴を紹介する。
Button(s)
加速度センサー
Wheel
Track
Pad
0
10
は、さまざまな低消費電力化の技術を盛り込みつつ、CPU コアに「Cortex-M4F」を採用することで高速・高精度演算にも対応する。
SAM G
0
でセンサー・ハブや IoT(Internet of Things)に向けた新ファミリを市場へ投入している。2014 年 1 月に発売した「SAM G ファミリ」
ディスプレイ
その他センサー
ZigBeeなどの
インタフェース
?
ビッグデータ時代を支える
「センサー・ハブ」
現在のモバイル機器は、多くのセンサー素子
図 1:センサー・ハブのシステム構成例(ウェアラブル端末や IoT 端末の例)。
アトメルジャパン合同会社
そこで温度センサーの測定結果を利用して温度
「SAM D ファミリ」を 2013 年 6 月にリリースし
補正を行う必要がある。このように、「写真撮
ている。2014 年 1 月には、その上位に位置づけ
影」というスマホの基本機能一つとっても、多
られる「SAM G ファミリ」の出荷を開始した。
どへのクロックを停止し、フラッシュも低消費
フェラル・イベント・システムは、周辺回路同
くのセンサー素子が協調動作している。
このファミリは FPU(浮動小数点演算回路)を内
電力モードに設定しておく。
士の間のデータ転送を管理する。
WAIT モードにおける消費電流は 7μA。また、
フィールドアプリケーションエンジニアリンググループ
シニアフィールドアプリケーションエンジニア
工学博士
ガン ワン 氏
を搭載している。例えば、スマートフォンのカ
バッテリ駆動のモバイル機器の場合、低消費
メラ・アプリを考えてみよう。まず、UI( ユー
電力化が不可欠であり、センサー素子の稼動・
と合わせて、高速・高精度演算を実現している。
3μs という短い時間で休止状態から動作状態へ
CPU を 休 止 状 態 か ら 動 作 状 態 へ 移 行 さ せ る
これらの技術の多くは、同社の他のマイコン・
ザー・インタフェース)操作にタッチ・センサー
停止をきめ細かく制御しなければならない。メ
今回の SAM G を搭載するセンサー・ハブの
移行する。Wake-up に要する時間が短ければ短
SleepWalking™ と呼ぶ機能を備える。従来の方
ファミリにも採用されており、こうしたマイ
を使用する。環境光センサーの測定結果を利用
インの CPU(アプリケーション・プロセッサ)
システムとして、同社では二通りの構成を想定
いほど、ぎりぎりまで休止状態を維持でき、全
法では、内部タイマーが定期的に CPU を起動
コン向けの低消費電力技術を、同社では包括的
してカメラの感度や絞りを調節する。ジャイロ・
を使って多数のセンサーを制御できないわけで
している。一つ目は、SAM G がジャイロ・セン
体の消費電力を減らせるという。なお、動作時
し、対応が必要な条件があるかどうかをチェッ
に picoPower® 技術と呼んでいる(図 2)。
センサーはカメラの手ぶれ補正に利用されるか
はないが、こうした CPU は高機能・高性能な反
サーや電子コンパスなどを制御してデータを取
の消費電流は 100μA/MHz 程度。
クしていたため、CPU と SRAM はかなりの電力
もしれない。加えて、アナログ素子であるセン
面、消費電力が大きい。そこで最近は、メイン
得し、その情報をホストとなる CPU へ転送する
サーの多くは環境温度によって特性が変化する。
CPU とは別に、「センサー・ハブ」と呼ぶコプ
構成である。これはモバイル機器などでよく見
18 チャネルの DMA コントローラと、周辺回路
合には、CPU が休止状態に戻ることさえできな
ロセッサ(サブ CPU)を導入している。例えば
られる構成だ。二つ目は、SAM G を使って各種
を制御するペリフェラル・イベント・システム
かった。SleepWalking では CPU を深い眠りに
Apple 社 の「iPhone 5S」は、 メ イ ン の A7 プ ロ
センサー素子からデータを取得し、併せてディ
機能を装備している。DMA コントローラを利用
つかせ、事前に認められたイベントが発生した
Atmel は、SAM G を搭載したボードとライブ
セッサとは別に、加速度センサー、ジャイロ・
スプレイや UI 操作の制御、および ZigBee など
すると、CPU を介入させずに、シリアル・イン
ときにのみ起動する。CPU は、特定の条件があ
ラリを含む評価キット「Xplained Pro Evaluation
センサー、電子コンパスなどの制御を担う M7
の通信モジュールとのインタフェース処理も行
タフェースや A-D コンバータなどの周辺回路と
るかどうかをチェックする必要はない。例え
Kit」を 29 ドルで提供している。このボードは、
プロセッサを搭載している。
わせる構成である。ウェアラブル端末や IoT 端
内蔵メモリの間でデータを受け渡せる。ペリ
ば、あるアドレスが TWI(I C)インタフェース
無線モジュールやセンサー・モジュールなどを
での条件と一致する、あ
接続するコネクタを備えている。同社はセン
るいは特定のしきい値を
サー素子メーカーやセンサー向けソフトウェア
超えた A-D コンバータに
のベンダーと提携関係を結んでおり、各種セン
センサーが接続されてい
サー・モジュールやソフトウェアはこれらの
またセンサー・ハブの搭載は、スマホやタブ
蔵する「Cortex-M4F」コアを搭載し、DSP 機能
にとどまらない。
「ヘルスケア端末やウェアラブ
げるためのさまざまな工夫を SAM G に盛り込ん
ル端末、IoT 端末などにも利用される」
(上大迫氏)
。
で い る。 ま ず、DSP と FPU を 搭 載 す る こ と で、
消費電力
Atmel は、システム全体の消費電力を引き下
CPU の休止期間を延長
ビジネスデベロップメント部 東日本グループ
キーアカウントマネージャー
上大迫 善晃 氏
ARM PARTNERS SUCCESS
2
分、消費電力を低く抑えられる。
Atmel は、 セ ン サ ー・ ハ ブ 市 場 向 け マ イ
Retention)を用意した。内蔵 SRAM の状態を保
コン製品として、Cortex-M0+ コアを搭載した
持しつつ、CPU コア、メモリ、ペリフェラルな
100μA/MHz
:従来のマイコンの消費電力
:コア選択・プロセス向上による消費電力
:picoPower技術を用いた消費電力
- FPU 搭載 Cortex-M4F
- フラッシュおよびシステムの性能向上
- 低消費電力ペリフェラル
きるようにした。コード効率が上がると、その
低 消 費 電 力 モ ー ド に は WAIT モ ー ド(SRAM
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を消費していた。また、応答時間が短すぎる場
末などがこの構成である(図 1)。
レット、ノート・パソコンなどモバイル機器だけ
高度な電力管理機能で
加 え て、 特 定 の 条 件 が 成 立 し た と き に
さらに、CPU の休止期間を延ばせるように、
積和演算や乗算、高精度演算を効率的に実行で
28
Touch
Screen
3μs
Wake-up
29 ドルで評価できる
開発プラットフォームを提供
る、などの条件で起動す
ベンダーから提供される。さらに同社は、統合
- ペリフェラル・イベント・システム
- SleepWalking
- DMA
- 効率的な電源管理
る。SleepWalking 機能が
開発環境「Atmel Studio 6」も無償提供している。
あれば、周辺回路がこれ
「SAM G ファミリは、真の “ ローパワー ” を実現
7 µA:WAIT モード
らのすべてを行い、CPU
していると自負している。安価に評価できる環
と SRAM は、条件が一致
境を用意しているので、実際に触れて評価して
しない限り起動しない。
欲しい」
(ガン氏)
。
時間
図 2:picoPower ® 技術による消費電力削減のイメージ。
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