碓氷線は明治 26 年（1893）、横川（群馬県）－軽井沢（長野県）間 11.2ｋｍがわずか 1 年 半の工事期間で開通しました。 すでに明治 18 年（1885）に高崎－横川、明治 21 年（1888）には直江津」（新潟県）－ 軽井沢間が開通していたので、東京と群馬・長野・新潟が直結されました。碓氷線の開通で、 当時最大の輸出商品であった生糸（きいと）を長野県・群馬県から東京や横浜まで大量に輸 送し、ヨーロッパなどに輸出し外貨獲得に貢献しました。 横川－軽井沢間は 11.2ｋｍですが、標高差は 552.5ｍで 66.7‰（パーミル、1,000ｍ走る 間に 66.7ｍ登る）の急勾配のため当時ドイツのハルツ山鉄道で採用されていたアプト式を 導入しました。アプト式は線路の中央にノコギリ型のラックレールを置き、機関車に取り付 けた歯車（ピニオンギア）を噛み合わせて登ります。この区間に 26 のトンネルと 18 もの 橋梁（きょうりょう）があることで険しい地形が想像できます。 〈ピニオンギア〉 〈ラックレール〉 碓氷線のトンネルや橋梁は約 1,800 万個のレンガで造られています。横川から 3 番目の第 3 橋梁（めがね橋）は長さ 91ｍ、高さ 31ｍで約 203 万個のレンガ造りで日本最大のレンガ造 りアーチ橋です。 さて、トンネルが 26 もあると蒸気機関車の煙がトンネル内に充満し機関士や乗客が窒息 する恐れもあります。そこで明治 45 年（1912）、日本初のアプト式電気機関車の運行が開 始されました。この区間の電力供給のために、横川駅近くに火力発電所を建設し、丸山変電 所、矢ケ崎変電所（軽井沢）なども建設しました。 時代が進むと速度の遅いアプト式では 物資や乗客の増加に対応できず、昭和 38 年（1963）碓氷新線を建設し、機関車も 特別重く強力な新線専用に製造したＥＦ 63 型電気機関車で輸送力増大を図りまし た。 〈横川火力発電所〉 平成 5 年（1993）これら日本の近代産業発展に大きく貢献した価値が認められ『碓氷峠 鉄道施設』が日本初の近代化遺産として国重要文化財に指定されました。 しかし、平成 9 年 9 月（1997）長野（北陸）新幹線開通に伴い廃線になり、碓氷線の 104 年間が終わりました。 平成 13 年（2001）廃線跡に遊歩道『アプトの道』（横川－めがね橋）が整備され、平成 24 年（2012）には熊ノ平駅跡まで延長されています。 【1日の列車本数と運転速度の変遷】 蒸気機関車アプト式時代 電気機関車アプト式時代 粘着運転 明治26年 明治33年 明治40年 明治44年 大正11年 昭和10年 昭和30年 昭和60年 旅客 8本 10本 14本 14本 24本 24本 28本 28本 貨物 10本 18本 22本 22本 34本 24本 19本 19本 計 18本 28本 36本 36本 48本 48本 時分 78分 78分 77分 77分 47分 47分 47本 下り46分 上り42分 47本 下り23分 上り17分 夜間運転開始
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