平成 27 年1月 30 日 各 位 東 京 都 品 川 区 東 品 川 四 丁 目 12 番 8 号 株 式 会 社 S J I 代表取締役会長兼社長 石濱 人樹 (JASDAQ:2315) 問合せ先: 経営企画本部 副本部長 藤井 肇 ℡ 0 3 - 5 7 6 9 - 8 2 0 0(代表) 第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ 当社は、平成26年10月10日付「第三者委員会設置に関するお知らせ」において公表いたしましたとお り、過年度取引の一部について不適切な取引およびそれに伴う誤った会計処理が行われた可能性の疑義 が生じたことを受け、当社と利害関係のない外部専門家から構成される第三者委員会を設置し、事実関 係の確認、原因究明等を進めてまいりました。 このたび、本日付で第三者委員会から調査報告書を受領いたしましたので、以下のとおり、お知らせ いたします。 なお、第三者委員会の調査結果に関連し、本日付で「第三者委員会の調査結果および当社独自の調査 結果をふまえた過年度業績への予想される影響額に関するお知らせ」および「第三者委員会の調査報告 に係る再発防止策について」において開示しております内容も併せてご参照ください。 株主の皆様をはじめとする関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを 深くお詫び申し上げます。 記 1.第三者委員会の調査報告書の内容 報告内容につきましては、添付資料の「調査報告書(要約版)」をご覧ください。 (なお、別添の調査報告書中では、基本的に、関係者および取引先等の名称については、個人情報及 び他社の営業に及ぼす影響等に配慮いただきたい旨の当社からの要請を踏まえ、アルファベット表記 されております。) 当社としては、今回の調査結果を真摯に受け止め、調査報告書で指摘されている社外委員会の設置も 含め再発防止策の提言に沿って改善に取り組み、必要な措置を講じてまいる所存です。 再発防止策の詳細につきましては、別途、本日付「第三者委員会の調査報告に係る再発防止策につい て」においてお知らせしておりますので、併せてご参照ください。 以 上 1 平成 27 年 1 月 30 日 株式会社 SJI 御中 調 査 報 告 書 (要約版) 株 式 会 社 SJI 第 三 者 委 員 会 委員長 弁 護 士 根津 宏行 委 員 弁 護 士 早川 真崇 委 員 公認会計士 青島 信吾 目次 第 1. 第 三 者 委 員 会 の設 置 の経 緯 と調 査 の範 囲 ・方 法 ................................... 4 1. 第 三 者 委 員 会 の設 置 に至 る経 緯 ................................................................... 4 2. 当 委 員 会 への委 嘱 事 項 (調 査 対 象 事 項 ) ......................................................... 4 3. 当 委 員 会 の目 的 .......................................................................................... 5 4. 当 委 員 会 の構 成 .......................................................................................... 5 5. 当 委 員 会 の調 査 期 間 ................................................................................... 5 6. 当 委 員 会 の調 査 対 象 会 社 等 ........................................................................ 6 7. 当 委 員 会 の調 査 方 法 ................................................................................. 11 8. 当 委 員 会 の報 告 内 容 ................................................................................. 13 9. 日 弁 連 ガイドラインへの準 拠 ........................................................................ 13 10. 当 委 員 会 による調 査 に関 する留 意 事 項 ..................................................... 13 11. 当 委 員 会 による本 件 調 査 に係 る限 界 ......................................................... 14 第 2. 前 提 となる事 実 .......................................................................... 15 1. SJI 及 び同 社 の関 係 会 社 (以 下 「SJI グループ」という。) .................................... 15 2. SJI 香 港 について ....................................................................................... 22 第 3. 当 委 員 会 が調 査 により認 定 した事 実 の概 要 ....................................... 24 1. SJI グループの国 内 におけるハードウェア取 引 10 件 及 び海 外 におけ るハードウェア取 引 1 件 については、ハードウェアの譲 渡 を伴 わず、そ の実 態 は李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 であったこと .......................................... 24 2. 李 氏 が SJI 香 港 による債 務 保 証 を行 い、これにつき会 計 処 理 がなされ なかったこと(以 下 「C 取 引 」という。) .............................................................. 31 3. 李 氏 が SJI 内 部 の承 認 手 続 を経 ずに、銀 行 から 19 億 円 の融 資 を受 けるとともに、事 業 会 社 2 社 から合 計 9 億 2,500 万 円 を借 り入 れ、後 日 、全 額 返 済 したものの、これらの貸 借 取 引 につき会 計 処 理 がなされ ていなかったこと(以 下 「D 取 引 」という。) ........................................................ 32 第 4. 当 委 員 会 が調 査 により認 定 した各 事 実 の原 因 、経 緯 及 び背 景 事 情 等 ........ 33 1. 各 取 引 が行 われた原 因 及 び背 景 事 情 等 について .......................................... 33 2. A取 引 について ......................................................................................... 35 2 3. B取 引 について .......................................................................................... 41 4. C 取 引 について ......................................................................................... 45 5. D 取 引 について ......................................................................................... 46 6. 李 氏 の現 在 の負 債 の状 況 等 ....................................................................... 48 第 5. 認 定 した事 実 に基 づく適 正 な会 計 処 理 の検 討 .................................... 50 1. A・B 取 引 について ..................................................................................... 50 2. C 取 引 について ......................................................................................... 53 3. D 取 引 について ......................................................................................... 54 第 6. 本 事 象 が発 生 した原 因 及 び問 題 点 ................................................. 56 1. A・B 及 び D 取 引 に共 通 する原 因 及 び問 題 点 について ................................... 56 2. A・B 取 引 について ..................................................................................... 57 3. C 取 引 について ......................................................................................... 58 4. D 取 引 について ......................................................................................... 60 5. その他 の原 因 及 び問 題 点 等 ....................................................................... 62 第 7. 再 発 防 止 策 の提 言 ..................................................................... 65 1. 不 適 切 な取 引 の発 生 防 止 に向 けた事 前 及 び事 後 のチェ ック機 能 の 充 実 ・強 化 ................................................................................................ 65 2. 関 係 会 社 の管 理 体 制 の充 実 ・強 化 .............................................................. 67 3. 財 務 経 理 部 門 の機 能 の充 実 ・強 化 .............................................................. 67 4. 社 用 印 章 の管 理 体 制 の強 化 ....................................................................... 68 5. 内 部 通 報 制 度 の有 効 ・充 実 化 ..................................................................... 68 6. 全 社 的 なコンプライアンス意 識 向 上 に向 けた研 修 受 講 の義 務 化 ....................... 68 第 8. 終 わりに .................................................................................. 69 1. SJI グループの再 発 防 止 に向 けた取 組 状 況 ................................................... 69 2. 李 氏 の現 在 の担 当 業 務 .............................................................................. 69 別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」 ............................................................... 71 3 第 1. 1. 第 三 者 委 員 会 の設 置 の経 緯 と調 査 の範 囲 ・方 法 第 三 者 委 員 会 の設 置 に至 る経 緯 株 式 会 社 SJI(以 下 「SJI」という。)は、平 成 26 年 10 月 10 日 付 け「第 三 者 委 員 会 設 置 に関 するお知 らせ」に記 載 のとおり、外 部 からの指 摘 により常 勤 監 査 役 を中 心 とした社 内 調 査 委 員 会 を発 足 させ、調 査 を進 めた結 果 (1) 平 成 23 年 3 月 期 、平 成 24 年 3 月 期 及 び平 成 25 年 3 月 期 のハードウェア取 引 の 一 部 が通 常 の商 取 引 ではなく実 質 的 には金 融 取 引 であった可 能 性 があること (2) SJI 及 び同 社 子 会 社 において、社 内 の承 認 手 続 を経 ずに債 務 保 証 がなされた可 能 性 があること (3) SJI 及 び同 社 子 会 社 において、その他 の不 適 切 な取 引 がなされた可 能 性 があること (4) 以 上 の取 引 の結 果 として誤 った会 計 処 理 がなされた可 能 性 があること が判 明 し、これらの取 引 につき、前 代 表 取 締 役 社 長 である李 堅 氏 (以 下 「李 氏 」という。) が関 与 していたとの疑 義 が生 じていることを公 表 するとともに、事 態 の重 要 性 に鑑 み、同 日 開 催 された取 締 役 会 において、事 実 関 係 及 び原 因 の究 明 等 を目 的 として、外 部 の専 門 家 からなる第 三 者 委 員 会 (以 下 「当 委 員 会 」という。)を設 置 し、事 実 関 係 を調 査 するこ とを公 表 した。 なお、SJI は、同 日 付 け「代 表 取 締 役 の異 動 に関 するお知 らせ」に記 載 のとおり、第 三 者 委 員 会 設 置 に当 たり、その独 立 性 を担 保 し、今 後 の調 査 が円 滑 に実 施 されるよう、李 氏 からの辞 任 したい旨 の申 し出 を受 理 し、同 日 付 けで李 氏 を取 締 役 とし、代 わりに石 濱 人 樹 氏 を代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 とするとの異 動 を公 表 した。 2. 当 委 員 会 への委 嘱 事 項 (調 査 対 象 事 項 ) SJI による当 委 員 会 に対 する委 嘱 事 項 は以 下 のとおりである。 (1) 過 年 度 (平 成 23 年 3 月 期 、平 成 24 年 3 月 期 及 び平 成 25 年 3 月 期 )のハードウェ ア取 引 の一 部 が通 常 の商 取 引 ではなく実 質 的 には金 融 取 引 であった可 能 性 につ いての調 査 及 び原 因 の究 明 (2) SJI 及 び同 社 子 会 社 において、社 内 の承 認 手 続 を経 ずに債 務 保 証 がなされた可 能 性 についての調 査 及 び原 因 の究 明 (3) SJI 及 び同 社 子 会 社 において、その他 の不 適 切 な取 引 がなされた可 能 性 について の調 査 及 び原 因 の究 明 (4) 以 上 の取 引 の結 果 として誤 った会 計 処 理 がなされた可 能 性 があることについての調 査 及 び原 因 の究 明 4 3. 当 委 員 会 の目 的 当 委 員 会 の目 的 は、「第 1・2.当 委 員 会 への委 嘱 事 項 」に記 載 された各 取 引 の実 態 の 調 査 及 びこれらの取 引 に伴 って行 われた会 計 処 理 の適 否 について検 討 し、併 せて、原 因 等 の究 明 及 びこれらを踏 まえた再 発 防 止 策 の提 言 を第 三 者 の立 場 から行 うことにあ る。 なお、日 本 弁 護 士 連 合 会 作 成 の「企 業 等 不 祥 事 における第 三 者 委 員 会 ガイドライン」 (以 下 「日 弁 連 ガイドライン」という。)にも言 及 されているように、当 委 員 会 は、関 係 者 の法 的 責 任 追 及 を直 接 の目 的 としておらず、その任 務 には、関 係 者 の法 的 責 任 の追 及 は含 まれない。 4. 当 委 員 会 の構 成 当 委 員 会 の委 員 の構 成 は次 のとおりである。 委員長 根津宏行 弁護士 渥 美 坂 井 法 律 事 務 所 ・外 国 法 共 同 事 業 シニアパートナー 元東京地検検事 委員 早川真崇 弁護士 渥 美 坂 井 法 律 事 務 所 ・外 国 法 共 同 事 業 元東京地検検事 委員 青島信吾 公認会計士 Cenxus 税 理 士 法 人 代 表 社 員 税理士 監査法人東海会計社 代表社員 当 委 員 会 の運 営 は日 弁 連 ガイドラインに準 拠 して行 ってお り、委 員 長 及 び委 員 は、 SJI 及 びその連 結 子 会 社 とは何 らの利 害 関 係 も有 していない。 なお、当 委 員 会 による調 査 には 公認会計士 税理士 坂 本 亮 (Cenxus 税 理 士 法 人 代 表 社 員 ) が補 助 者 として携 わった。 5. 当 委 員 会 の調 査 期 間 当 委 員 会 は、平 成 26 年 10 月 10 日 から平 成 27 年 1 月 30 日 まで本 件 の調 査 (以 下 「本 調 査 」という。)を行 い、その結 果 を本 報 告 書 にとりまとめた。 5 6. 当 委 員 会 の調 査 対 象 会 社 等 当 委 員 会 が調 査 の対 象 とした SJI 及 びその連 結 子 会 社 である恒 星 信 息 (香 港 )有 限 公 司 (以 下 「SJI 香 港 」という。)の概 要 等 は以 下 のとおりである。 (1) SJI の概 要 (平 成 26 年 12 月 31 日 時 点 ) 商号 本店所在地 資本金 設立年月日 事業内容 発行済株式総数 上場市場 株 式 会 社 SJI 東 京 都 品 川 区 東 品 川 四 丁 目 12 番 8 号 3,552,101 千 円 平 成 元 年 7 月 14 日 情 報 サービス事 業 、石 油 化 学 エンジニアリングサービス事 業 82,779,900 株 東 京 証 券 取 引 所 JASDAQ (2) SJI グループ(SJI 及 び同 社 の関 係 会 社 )の事 業 の内 容 (平 成 26 年 3 月 期 ) 事 業 の内 容 内容 事業別 売上高 (千 円 ) 情 報 サービス事 業 1.システム開 発 事 業 18,404,316 システム 開 発 、システム に関 す るコン サル ティング、システムのメンテナンス・サポート 2.ソフトウェア製 品 事 業 ソフト ウェ アパッ ケー ジ製 品 の 販 売 及 び メ ンテナンス・サポート 石 油 化 学 エンジニア リングサービス事 業 石油関連事業 石 油 業 界 向 けに、各 種 機 器 ・設 備 の販 売、制 御ソフトの提供 、石油 タンク・ クリーニングサービスの提 供 、石 油 化 学 製 品 の製 造 ・販 売 6 7,872,025 (3) SJI 香 港 の概 要 (平 成 26 年 12 月 31 日 時 点 ) 商号 恒 星 信 息 (香 港 )有 限 公 司 本店所在地 資本金 設立年月日 事業内容 SJI の出 資 比 率 中国香港 64,598 千 HK$ 平 成 17 年 6 月 10 日 中間持株会社 100.0% (4) SJI グループの沿 革 (平 成 26 年 12 月 31 日 時 点 ) 年月 平成元年 内容 7月 東 京 都 文 京 区 音 羽 に、アメリカの SUN ASSOCIATES INC.の 日 本 現 地 法 人 と して 「 株 式 会 社 サ ン ・ ジャパ ン 」 を設 立 ( 資 本 金 20 百 万 円 )。ソフトウェア開 発 事 業 を開 始 。 平 成 2 年 12 月 中 国 江 蘇 省 南 京 市 に、「日 本 恒 星 (南 京 )電 脳 系 統 有 限 公 司 」を設 立 。 平 成 3 年 11 月 本 社 を東 京 都 中 央 区 日 本 橋 浜 町 に移 転 。 SUN ASSOCIATES INC.が保 有 する株 式 会 社 サン・ジャパン 株 式 を 株 式 会 社 サ ン ・ ジ ャ パ ン 役 員 が 全 額 引 き 取 り SUN ASSOCIATES INC.との資 本 関 係 を解 消 平成 5 年 8 月 中 国 の 大 手 総 合 エ ネル ギー 会 社 中 国 華 能 集 団 公 司 の グ ル ープ会 社 である「常 州 華 新 技 術 開 発 有 限 公 司 」(中 国 江 蘇 省 常 州 市 )へ資 本 参 加 。 平 成 6 年 12 月 中 国 安 徽 省 合 肥 市 に 、「 中 国 科 学 技 術 大 学 科 技 実 業 総 公 司 」との合 弁 会 社 「合 肥 科 大 恒 星 計 算 機 技 術 研 究 有 限 公 司 」を設 立 (出 資 比 率 60.0%)。 平成 9 年 5 月 三 菱 商 事 株 式 会 社 より「上 海 菱 通 軟 件 技 術 有 限 公 司 」 (中 国 上 海 市 )を買 収 、「日 本 恒 星 (南 京 )電 脳 系 統 有 限 公 司 」より日 本 向 けソフトウェア開 発 部 門 を分 離 し、同 社 へ移 管 。 平 成 10 年 6月 本 社 を東 京 都 中 央 区 新 川 に移 転 。 平 成 11 年 2月 中 国 江 蘇 省 南 京 市 に、「南 京 日 恒 信 息 系 統 有 限 公 司 」(出 資 比 率 100.0%)を設 立 し、「上 海 菱 通 軟 技 術 有 限 公 司 」より日 本 向 けソフトウェア開 発 部 門 を分 離 し、同 社 に移 管 。 7 平 成 11 年 3 月 「上 海 菱 通 軟 技 術 有 限 公 司 」の出 資 持 分 を一 部 譲 渡 平 成 11 年 12 月 中 国 安 徽 省 合 肥 市 に 、「 合 肥 科 大 恒 星 計 算 機 技 術 研 究 有 限 公 司 」と中 国 科 学 技 術 大 学 グループ会 社 4 社 との新 設 合 併 により「科 大 創 新 股 份 有 限 公 司 」を設 立 (出 資 比 率 8.2%)。 平 成 12 年 11 月 中 国 安 徽 省 合 肥 市 に、中 国 科 学 技 術 大 学 グループ会 社 「科 大 創 新 股 份 有 限 公 司 」 及 び「ソフトバンク・ テクノロジー ・ホー ルディングス株 式 会 社 」との合 弁 会 社 「安 徽 科 大 恒 星 電 子 商 務 技 術 有 限 公 司 」を設 立 (出 資 比 率 32.0%)し、「科 大 創 新 股 份 有 限 公 司 」のソフトウェア開 発 部 門 を移 管 。 平 成 13 年 3 月 「日 本 恒 星 (南 京 )電 脳 系 統 有 限 公 司 」、「上 海 菱 通 軟 技 術 有 限 公 司 」の出 資 持 分 及 び「科 大 創 新 股 份 有 限 公 司 」の出 資 株 式 を全 額 譲 渡 。 平 成 15 年 3 月 日 本 証 券 業 協 会 に株 式 を店 頭 登 録 。 平 成 15 年 「安 徽 科 大 恒 星 電 子 商 務 技 術 有 限 公 司 」の出 資 持 分 を追 加 4月 取 得 し、連 結 子 会 社 化 (出 資 比 率 51.0%)。 平 成 15 年 9 月 「常 州 華 新 技 術 開 発 有 限 公 司 」の出 資 持 分 を全 額 譲 渡 。 平 成 16 年 3 月 中 国 江 蘇 省 蘇 州 市 に 、「 安 徽 科 大 恒 星 電 子 商 務 技 術 有 限 公 司 」のテレコム事 業 部 門 を分 離 し、同 社 の子 会 社 として「蘇 州 科 大 恒 星 信 息 技 術 有 限 公 司 」を設 立 (出 資 比 率 70.0%)。 平 成 16 年 10 月 株 式 交 換 により、「株 式 会 社 ティー・シー・シー」を完 全 子 会 社 化。 平 成 17 年 3月 株 式 交 換 により、「株 式 会 社 アイビート」を完 全 子 会 社 化 。 平 成 17 年 4月 株 式 会 社 サン・ジャパンから「株 式 会 社 SJ ホールディングス」 へと商 号 変 更 の上 、分 社 型 の会 社 分 割 を行 い、新 設 会 社 で ある株 式 会 社 サン・ジャパンに全 ての営 業 を承 継 することで純 粋持株会社化。 平 成 17 年 8月 中 国 上 海 市 に、子 会 社 運 営 管 理 のために「聯 迪 恒 星 電 子 科 技 (上 海 )有 限 公 司 」を設 立 (出 資 比 率 100.0%)。 平 成 17 年 12 月 中 国 福 建 省 福 州 市 に、ATM、POS 電 子 支 払 機 及 び税 収 管 理 レジスター 等 の金 融 関 連 商 品 の製 造 販 売 事 業 を営 む 「福 建 実 達 聯 迪 商 用 設 備 有 限 公 司 」を設 立 (出 資 比 率 51.0%)。 平 成 17 年 12 月 「アルファテック・ソリューションズ・ホールディングス株 式 会 社 」 の発 行 済 株 式 の全 てを取 得 したことにより、同 社 及 び同 社 子 8 会 社 である「アルファテック・ソリューションズ株 式 会 社 」を完 全 子会社化。 平 成 18 年 1 月 中 国 福 建 省 福 州 市 に てメデ ィ ア事 業 等 を営 む 「 福 建 十 方 文 化 伝 播 有 限 公 司 」の持 分 を取 得 し、連 結 子 会 社 化 (出 資 比 率 51.0%)。 平 成 18 年 4月 「株 式 会 社 ティー・シー・シー」と「株 式 会 社 アイビート」の営 業 の全 てを共 同 新 設 分 割 し、両 社 の営 業 の全 てを承 継 させる新 会 社 「株 式 会 社 SJ アルピーヌ」を設 立 (出 資 比 率 100%)。 平 成 18 年 5月 平 成 18 年 5 月 本 社 を東 京 都 品 川 区 東 品 川 に移 転 。 「南 京 日 恒 信 息 系 統 有 限 公 司 」を「聯 迪 恒 星 (南 京 )信 息 系 統 有 限 公 司 」に商 号 変 更 。 平 成 18 年 5 月 「福 建 実 達 聯 迪 商 用 設 備 有 限 公 司 」を「福 建 聯 迪 商 用 設 備 有 限 公 司 」に商 号 変 更 。 平 成 18 年 8 月 中 国 福 建 省 福 州 市 に「福 建 聯 迪 商 用 設 備 有 限 公 司 」の子 会 社 として「福 建 聯 迪 資 訊 科 技 有 限 会 社 」を設 立 (出 資 比 率 100.0%)。 平 成 19 年 3 月 「アルファテック・ソリューションズ・ホールディングス株 式 会 社 」 の保 有 株 式 の全 てを譲 渡 。 平 成 19 年 5 月 「福 建 十 方 文 化 伝 播 有 限 公 司 」の出 資 持 分 の全 てを譲 渡 。 平 成 19 年 11 月 中 国 北 京 市 に「聯 迪 恒 星 (南 京 )信 息 系 統 有 限 公 司 」を新 設 (出 資 比 率 80.0%) 平 成 20 年 1 月 中 国 北 京 市 にて、外 部 記 憶 装 置 を核 とするシステムソリューシ ョンを提 供 する「北 京 宝 利 信 通 科 技 有 限 公 司 」の持 分 を取 得 し、連 結 子 会 社 化 (出 資 比 率 51.0%)。 平 成 20 年 1 月 中 国 香 港 にて、石 油 関 連 機 関 向 け設 備 機 器 販 売 及 び制 御 ソ フトの開 発 ・販 売 を営 む「華 深 貿 易 (国 際 )有 限 公 司 」の株 式 を 取 得 し、連 結 子 会 社 化 (出 資 比 率 51.0%)。 平 成 20 年 2 月 中 国 香 港 にて、華 深 貿 易 (国 際 )有 限 公 司 の親 会 社 「Lian Di Petrochemical Tech. Ltd (聯 迪 石 化 科 技 有 限 公 司 )」の株 式 を取 得 し、連 結 子 会 社 化 (出 資 比 率 51.0%)。 平 成 20 年 5 月 「福 建 聯 迪 商 用 設 備 有 限 公 司 」の出 資 持 分 の全 てを譲 渡 平 成 20 年 東 京 都 品 川 区 東 品 川 に「聯 迪 恒 星 (南 京 )信 息 系 統 有 限 公 6月 司 」の窓 口 統 括 子 会 社 として「 株 式 会 社 リーディングソフト」を 9 設 立 (出 資 比 率 89.3%)。 平 成 21 年 4月 「株 式 会 社 SJ アルピーヌ」が「株 式 会 社 サン・ジャパン」を吸 収 合 併 し、「株 式 会 社 SJI」に商 号 変 更 (出 資 比 率 100%)。 平 成 21 年 7月 「株 式 会 社 SJ ホールディングス」が「株 式 会 社 SJI」を吸 収 合 併 し、「株 式 会 社 SJI」に商 号 変 更 。 平 成 21 年 12 月 中 国 香 港 にて、IT サービス事 業 会 社 を運 営 管 理 する「神 州 数 碼 通 用 軟 件 有 限 公 司 」の株 式 を取 得 し、連 結 子 会 社 化 (出 資 比 率 100%)。 平 成 22 年 3 月 石 油 エ ン ジ ニ ア リ ン グ サ ー ビ ス 事 業 を 行 う 「 LianDi Clean Technology Inc.」(旧 LianDi Petrochemical Tech. Ltd (聯 迪 石 科 技 有 限 公 司 ))の増 資 に伴 い連 結 子 会 社 (出 資 比 率 51%) から持 分 法 適 用 会 社 (出 資 比 率 35.98%)に異 動 。 平 成 22 年 4月 ジャスダック証 券 取 引 所 と大 阪 証 券 取 引 所 の合 併 に伴 い、大 阪 証 券 取 引 所 JASDAQ(スタンダード)に株 式 を上 場 。 平 成 22 年 10 月 大 阪 証 券 取 引 所 ヘラクレス市 場 、同 取 引 所 JASDAQ 市 場 及 び同 取 引 所 NEO 市 場 の各 市 場 の統 合 に伴 い、大 阪 証 券 取 引 所 JASDAQ(スタンダード)(現 東 京 証 券 取 引 所 JASDAQ(ス タンダード))に株 式 を上 場 。 平 成 23 年 9月 石 油 化 学 エ ン ジ ニ ア リ ン グ サ ー ビ ス 事 業 を 行 う 「 LianDi Clean Technology Inc.」の株 式 を取 得 し、連 結 子 会 社 化 (出 資 比 率 50.8%)。 平 成 23 年 9月 「科 大 恒 星 電 子 商 務 技 術 有 限 公 司 」及 び「北 京 宝 利 信 通 科 技 有 限 公 司 」の出 資 持 分 の全 てを譲 渡 。 平 成 24 年 7月 「 中 訊 軟 件 集 団 股 份 有 限 公 司 」 (SinoCom Software GrouP Ltd.)の株 式 を取 得 し、連 結 子 会 社 化 。 平 成 25 年 1月 介 護 システム事 業 を行 う「Care Online 株 式 会 社 」の株 式 を取 得 し、連 結 子 会 社 化 。 平 成 25 年 7月 大 阪 証 券 取 引 所 と東 京 証 券 取 引 所 の現 物 市 場 統 合 に伴 い、東 京 証 券 取 引 所 JASDAQ(スタンダード)に株 式 を上 場 。 平 成 25 年 12 月 介 護 システム事 業 を行 う「Care Online 株 式 会 社 」の全 株 式 を 譲渡。 平 成 26 年 1月 「株 式 会 社 SJI」の西 日 本 3事 業 を会 社 分 割 し、関 連 会 社 化 (持 分 比 率 20%)。 平 成 26 年 8月 「 株 式 会 社 S J メデ ィ カル」 を新 設 分 割 し、同 社 の 全 株 式 を譲 10 渡。 平 成 26 年 12 月 「中 訊 軟 件 集 団 股 份 有 限 公 司 」(SinoCom Software GrouP Ltd.)の増 資 及 び株 式 の一 部 売 却 に伴 い、連 結 子 会 社 (持 分 比 率 57.1%)から持 分 法 適 用 会 社 (持 分 比 率 25.6%)に異 動 。 (5) 李 氏 の略 歴 平成 2 年 4 月 株 式 会 社 サン・ジャパン入 社 平成 4 年 6 月 同社取締役 平成 6 年 6 月 同社常務取締役 平成 8 年 6 月 同社取締役副社長 平成 9 年 6 月 同社代表取締役副社長 平 成 10 年 6 月 同社代表取締役社長 平 成 17 年 4 月 株 式 会 社 SJ ホールディングスへの商 号 変 更 に伴 い、同 社 代 表取締役社長 新 設 の株 式 会 社 サン・ジャパン代 表 取 締 役 社 長 平 成 17 年 6 月 SJI 香 港 董 事 長 (現 任 ) 平 成 18 年 6 月 株 式 会 社 SJ ホールディングス代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 平 成 21 年 6 月 株 式 会 社 SJ ホールディングス代 表 取 締 役 社 長 平 成 21 年 7 月 株 式 会 社 SJ ホールディングスの株 式 会 社 SJI への商 号 変 更 に伴 い、同 社 代 表 取 締 役 社 長 平 成 22 年 10 月 SJI 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 平 成 25 年 8 月 SJI 代 表 取 締 役 社 長 平 成 26 年 10 月 SJI 代 表 取 締 役 社 長 退 任 SJI 取 締 役 (現 任 ) 7. 当 委 員 会 の調 査 方 法 (1) 本 調 査 の方 法 本 調 査 は、李 氏 、SJI、SJI 香 港 を含 む SJI グループ及 びその関 係 者 から開 示 された 資 料 、関 係 者 に対 するヒアリング、一 般 に入 手 可 能 な公 開 情 報 並 びに当 委 員 会 が独 自 に入 手 した情 報 に基 づき調 査 を実 施 した。 これに加 え、SJI では、「第 1・1.第 三 者 委 員 会 の設 置 に至 る経 緯 」に記 載 のとおり、 当 委 員 会 の設 置 に先 立 ち、社 内 調 査 委 員 会 による調 査 が行 われた上 、本 調 査 と並 行 11 して、過 年 度 の会 計 処 理 の精 査 を行 っていたため、当 委 員 会 は、調 査 の重 複 を避 ける とともに効 率 性 などに鑑 み、必 要 に応 じて、上 記 社 内 調 査 委 員 会 が収 集 した資 料 を引 継 ぎ、分 析 ・検 討 を加 えるとともに、上 記 SJI による会 計 処 理 の精 査 の結 果 についても、 随 時 、必 要 に応 じて参 照 し、その正 確 性 及 び信 頼 性 を当 委 員 会 として検 証 した上 で、 本 調 査 に利 用 している。 (2) 調 査 に使 用 した資 料 及 び電 子 データ等 当 委 員 会 は SJI グループから提 供 を受 けた会 計 書 類 、証 憑 類 、メール文 書 及 びその 他 の関 係 資 料 、並 びに関 連 する電 子 データ等 に加 え、李 氏 、本 調 査 の対 象 取 引 に関 わった協 力 会 社 からも会 計 書 類 、証 憑 類 及 びその他 の関 係 資 料 等 の提 供 を受 け、こ れらの分 析 ・検 討 を行 った。 (3) ヒアリング 当 委 員 会 は、李 氏 を始 め、本 件 各 取 引 に関 わった可 能 性 がある SJI グループの関 係 者 合 計 13 人 、本 件 各 取 引 の協 力 会 社 の関 係 者 2 人 の合 計 15 人 に対 し、ヒアリングを 行 った。 なお、当 委 員 会 が実 施 した李 氏 に対 するヒアリングは、主 に、渥 美 坂 井 法 律 事 務 所 ・ 外 国 法 共 同 事 業 の会 議 室 において実 施 され、詳 細 は下 記 のとおりであり、合 計 10 回 、 合 計 時 間 は約 910 分 に及 んだ。 第1回 平 成 26 年 10 月 20 日 午 前 10 時 20 分 頃 から午 後 零 時 20 分 頃 まで (約 120 分 ) 第2回 平 成 26 年 11 月 5 日 午 前 10 時 40 分 頃 から午 後 零 時 30 分 頃 まで (約 110 分 ) 第3回 平 成 26 年 11 月 13 日 午 後 1 時 頃 から午 後 3 時 50 分 頃 まで (約 170 分 ) 第4回 平 成 26 年 11 月 14 日 午 後 1 時 50 分 頃 から午 後 2 時 30 分 頃 まで (約 40 分 ) 第5回 平 成 26 年 12 月 5 日 午 後 4 時 30 分 頃 から午 後 6 時 10 分 頃 まで (約 100 分 ) 第6回 平 成 26 年 12 月 8 日 午 後 3 時 10 分 頃 から午 後 4 時 頃 まで (約 50 分 ) 第7回 平 成 26 年 12 月 11 日 午 後 5 時 頃 から午 後 6 時 頃 まで (約 60 分 ) 12 第8回 平 成 27 年 1 月 14 日 午 前 10 時 45 分 頃 から午 後 1 時 頃 まで (約 75 分 ) 第9回 平 成 27 年 1 月 19 日 午 前 11 時 頃 から午 後 12 時 20 分 頃 まで (約 80 分 ) 第 10 回 平 成 27 年 1 月 22 日 午 前 10 時 15 分 頃 から午 後 零 時 頃 まで (約 105 分 ) 合計 10 回 約 910 分 (4) 当 委 員 会 の開 催 状 況 当 委 員 会 は、調 査 期 間 において、上 記 の調 査 を行 う一 方 で、随 時 、委 員 会 を開 催 し、 事 実 認 定 やその評 価 等 についての議 論 を相 当 回 数 重 ねた上 で、本 報 告 書 をとりまとめ た。 8. 当 委 員 会 の報 告 内 容 当 委 員 会 は、これらの調 査 の結 果 に基 づき、本 報 告 書 において、前 提 となる事 実 (下 記 第 2)、認 定 した事 実 の概 要 (下 記 第 3)、認 定 した各 事 実 の原 因 、経 緯 及 び背 景 事 情 等 (下 記 第 4)を示 した上 、認 定 した事 実 に基 づく適 正 な会 計 処 理 の検 討 (下 記 第 5)を行 うとともに、本 事 象 が発 生 した原 因 及 び問 題 点 に対 する分 析 を加 え(下 記 第 6)、最 後 に、 これらを踏 まえた再 発 防 止 策 について提 言 するものである(下 記 第 7)。 なお、本 報 告 書 において当 委 員 会 が認 定 した事 実 は、収 集 した資 料 及 びヒアリング結 果 をもとに調 査 結 果 として認 められたことを意 味 するものであり、これ以 上 に裁 判 等 にお ける証 明 可 能 な程 度 の心 証 を示 すものではない。 9. 日 弁 連 ガイドラインへの準 拠 当 委 員 会 は、本 調 査 を受 任 するに 当 たり、SJI との間 で、日 弁 連 ガイドラインに準 拠 し て調 査 を行 う旨 を合 意 した。 10. 当 委 員 会 による調 査 に関 する留 意 事 項 本 調 査 は、第 三 者 委 員 会 による調 査 という性 質 上 、以 下 の点 について留 意 されたい。 (1) 本 調 査 の過 程 で書 面 又 は口 頭 により得 られた情 報 は正 確 であることを前 提 とするも のであり、かかる前 提 に反 することを示 す特 段 の事 情 がない限 り、当 委 員 会 はかかる 前 提 の真 偽 の調 査 を行 っていない。 13 (2) 当 委 員 会 による調 査 は、捜 査 機 関 による捜 査 とは異 なり、関 係 者 の協 力 を前 提 とし て行 われるものである。そのため、調 査 の深 度 は関 係 者 の協 力 の度 合 いの影 響 を受 けざるを得 ないものである。 (3) 当 委 員 会 による調 査 は委 嘱 事 項 の調 査 を目 的 として行 われたものであり、SJI グルー プの抱 える全 ての問 題 点 を網 羅 的 に調 査 対 象 とするものではない。 (4) 当 委 員 会 による調 査 は限 られた調 査 期 間 及 び 調 査 人 員 で行 われたものであり、調 査 範 囲 及 び調 査 深 度 はその制 約 に服 するものである。 11. 当 委 員 会 による本 件 調 査 に係 る限 界 当 委 員 会 は、国 外 に存 在 する 協 力 会 社 及 び関 係 者 の口 座 の取 引 明 細 等 の資 料 に ついては一 部 のみ入 手 できたにとどまり、国 内 の協 力 会 社 についても一 部 の会 社 からは 資 料 等 の提 供 を受 けられなかった 。さらに、李 氏 個 人 名 義 の複 数 の口 座 の取 引 明 細 に ついても、李 氏 に提 供 を要 請 したものの、本 調 査 期 間 中 には提 供 を受 けることができな かった。そのため、各 取 引 における李 氏 個 人 名 義 の口 座 への入 金 額 、残 高 、同 口 座 か らの資 金 移 動 状 況 及 び同 口 座 における資 金 使 途 等 の詳 細 については把 握 できなかっ た。 したがって、李 氏 の個 人 名 義 の口 座 への出 入 金 を含 め、各 取 引 における資 金 の移 動 状 況 等 について、網 羅 的 かつ詳 細 に把 握 することはできなかった。 ただ、李 氏 個 人 名 義 の口 座 への入 金 額 については、他 の口 座 から李 氏 個 人 名 義 の 口 座 への出 金 額 を可 能 な限 り特 定 するとともに、李 氏 へのヒアリングにより、李 氏 個 人 名 義 の口 座 への入 金 状 況 、同 口 座 からの資 金 移 動 状 況 、同 口 座 を使 用 した資 金 の使 途 等 を聴 取 することにより、可 能 な限 りの事 実 解 明 に努 めたものである。 14 第 2. 1. 前 提 となる事 実 SJI 及 び同 社 の関 係 会 社 (以 下 「SJI グループ」という。) (1) SJI グループの構 成 SJI グループの平 成 23 年 3 月 期 から平 成 26 年 3 月 期 までの構 成 は以 下 のとおりで ある。 ア 平 成 23 年 3 月 期 連 結 子 会 社 18 社 、持 分 法 適 用 関 連 会 社 9 社 、持 分 法 非 適 用 関 連 会 社 1 社 イ 平 成 24 年 3 月 期 連 結 子 会 社 20 社 、持 分 法 適 用 関 連 会 社 2 社 、持 分 法 非 適 用 関 連 会 社 1 社 ウ 平 成 25 年 3 月 期 連 結 子 会 社 34 社 、持 分 法 適 用 関 連 会 社 3 社 、持 分 法 非 適 用 関 連 会 社 1 社 エ 平 成 26 年 3 月 期 連 結 子 会 社 34 社 、持 分 法 適 用 関 連 会 社 4 社 、持 分 法 非 適 用 関 連 会 社 1 社 (2) SJI グループの事 業 の内 容 SJI グループの平 成 23 年 3 月 期 から平 成 26 年 3 月 期 までの事 業 の内 容 は、以 下 のとおりである。 ア 平 成 23 年 3 月 期 日 本 と中 国 において、(a)システム開 発 事 業 、(b)ソフトウェア製 品 事 業 、(c)情 報 関 連 商 品 事 業 からなる「情 報 サービス」事 業 を展 開 していた。 (a) システム開 発 事 業 SJI 及 び中 国 の事 業 子 会 社 において当 該 事 業 を行 なっており、原 則 として提 案 、受 注 、設 計 、開 発 、納 入 といった工 程 で実 施 され、SJI は、日 本 国 内 の金 融 機 関 、情 報 通 信 業 、製 造 業 、流 通 業 、システム開 発 業 等 の企 業 を顧 客 としており、顧 客 開 発 から 納 入 までを一 貫 して行 っていた。他 方 、中 国 国 内 の事 業 子 会 社 は、SJI からの受 注 に 加 え、中 国 の日 本 企 業 現 地 法 人 や金 融 機 関 、情 報 通 信 業 、石 油 ・電 力 ・ガスなどの 15 エネルギー関 連 の中 国 企 業 等 を顧 客 としており、更 に日 本 国 内 において日 本 企 業 向 けに直 接 顧 客 開 拓 を展 開 していた。 SJI グループの開 発 するシステムには、金 融 機 関 向 けにインターネットバンキング等 の金 融 戦 略 支 援 システム等 、情 報 サービス業 者 向 けに各 種 業 務 パッケージソフト開 発 、 製 造 業 者 ・流 通 業 者 向 けにインターネットを利 用 した購 買 調 達 システム等 、通 信 業 者 向 けにネットワーク監 視 システム等 、電 力 ・石 油 などのエネルギー業 界 向 けには、安 定 的 ・効 率 的 な石 油 の精 製 や電 力 供 給 を担 保 する制 御 システムや監 視 システム等 、シ ステムダ ウンが許 され ない大 規 模 かつ高 速 性 が 要 求 され る情 報 処 理 システムがあっ た。 (b) ソフトウェア製 品 事 業 SJI グループは、日 本 及 び中 国 国 内 の法 人 顧 客 に対 し、自 社 開 発 のソフトウェアパ ッケージ製 品 の販 売 を行 っており、主 な製 品 は、業 種 専 門 のソフトウェアとして人 工 透 析 医 療 の総 合 管 理 支 援 システムソフトウェア、テレコム動 力 及 び環 境 集 中 監 視 統 制 シ ステムソフトウェア、石 油 精 製 プラントの燃 焼 系 制 御 ・監 視 システムウェアがあり、一 般 向 けソフトウェアとしてスケジュール管 理 などの機 能 を持 つグループソフトウェアがあっ た。 (c) 情 報 関 連 商 品 事 業 SJI グループは、B to B(企 業 間 電 子 商 取 引 )や B to C(企 業 と消 費 者 間 電 子 商 取 引 )等 のインターネットソリューション、中 小 病 院 向 けの電 子 カルテシステムやソフトウェ アベンダー等 から提 供 される他 社 製 ソフトウェアの販 売 及 びサーバー、ネットワーク機 器 、コンピュータ周 辺 機 器 等 のハードウェア等 の販 売 を行 っていた。これらは主 にシス テム開 発 及 びソフトウェア製 品 の提 供 に併 せて提 供 するものであった。 イ 平 成 24 年 3 月 期 日 本 と中 国 において、(a)システム開 発 事 業 、(b)ソフトウェア製 品 事 業 、(c)情 報 関 連 商 品 事 業 からなる「情 報 サービス」事 業 に加 え、(d)「石 油 エンジニアリングサービス」 事 業 を展 開 していた。 (a) システム開 発 事 業 平 成 23 年 3 月 期 と同 様 の事 業 を行 なっていた。 (b) ソフトウェア製 品 事 業 平 成 23 年 3 月 期 と同 様 の事 業 を行 なっていた。 16 (c) 情 報 関 連 事 業 平 成 23 年 3 月 期 と同 様 の事 業 を行 なっていた。なお、平 成 23 年 9 月 に情 報 関 連 商 品 事 業 を行 なう中 国 の会 社 の出 資 持 分 を売 却 したため、平 成 24 年 3 月 期 にて当 該 事 業 は行 われなくなった。 (d) 石 油 エンジニアリングサービス事 業 中 国 の大 手 エネルギーグループを中 心 とした石 油 業 界 向 けに、各 種 機 器 ・設 備 の 販 売 、制 御 ソフトの提 供 、石 油 タンク・クリーニングサービスの提 供 、石 油 化 学 製 品 の 製 造 ・販 売 などを行 っていた。 ウ 平 成 25 年 3 月 期 日 本 と中 国 において、(a)システム開 発 事 業 、(b)ソフトウェア製 品 事 業 、(d)「石 油 エ ンジニアリングサービス」事 業 を展 開 していた。 (a) システム開 発 事 業 SJI グループが手 掛 けるオフショア開 発 は、中 国 の開 発 拠 点 において、3,000 名 体 制 を構 築 しており、金 融 業 (銀 行 ・生 損 保 ・証 券 等 )、情 報 通 信 業 、製 造 業 ・流 通 業 等 のエンドユーザ顧 客 からのシステム開 発 を、大 手 SIer を通 して受 注 していた。また多 く の大 手 SIer からコアパートナーの認 定 を受 け、大 型 案 件 の受 注 拡 大 を目 指 していた。 SJI グループの開 発 するシステムには、製 造 業 者 ・流 通 業 者 向 けにインターネットを 利 用 した購 買 調 達 システム、金 融 機 関 向 けのインターネットバンキング等 の金 融 戦 略 支 援 システム、情 報 サービス業 者 向 けに各 種 業 務 パッケージソフト、通 信 業 者 向 けに ネットワーク監 視 システム、システムダウンが許 されない大 規 模 かつ高 速 性 が要 求 され る情 報 処 理 システム等 があった。 (b) ソフトウェア製 品 事 業 日 本 及 び中 国 国 内 の法 人 顧 客 に対 し、自 社 開 発 のソフトウェアパッケージ製 品 の 販 売 を行 っており、主 な製 品 は、特 定 業 務 分 野 向 けとして、電 子 カルテシステムや人 工 透 析 システム、電 信 ・電 力 及 び環 境 集 中 監 視 統 制 システムソフトウェアがあった。ま た、一 般 向 けソフトウェアとしてスケジュール管 理 などの機 能 を持 つグループソフトウェ アがあった。さらに、平 成 25 年 1 月 から、新 たに、介 護 施 設 に対 し、介 護 保 険 システム サービスの提 供 を開 始 した。 17 (c) 情 報 関 連 商 品 事 業 平 成 24 年 3 月 期 において当 該 事 業 は行 われなくなった。 (d) 石 油 エンジニアリングサービス事 業 平 成 24 年 3 月 期 と同 様 の事 業 を行 なっていた。 エ 平 成 26 年 3 月 期 日 本 と中 国 において、(a)システム開 発 事 業 、(b)ソフトウェア製 品 事 業 からなる「情 報 サービス」事 業 に加 え、(d)「石 油 エンジニアリングサービス」事 業 を展 開 していた。 (a) システム開 発 事 業 SJI グループが手 掛 けるオフショア開 発 は、中 国 の開 発 拠 点 において、2,500 名 体 制 を構 築 しており、金 融 業 (銀 行 ・生 損 保 ・証 券 等 )、情 報 通 信 業 、製 造 業 ・流 通 業 等 のエンドユーザ顧 客 からのシステム開 発 を、大 手 SIer を通 して受 注 していた。また多 く の大 手 SIer からコアパートナーの認 定 を受 け、大 型 案 件 の受 注 拡 大 を目 指 していた。 SJJ グループの開 発 するシステムについては、平 成 25 年 3 月 期 と同 様 であった。 (b) ソフトウェア製 品 事 業 日 本 及 び中 国 国 内 の法 人 顧 客 に対 し、自 社 開 発 のソフトウェアパッケージ製 品 の 販 売 を行 っており、主 な製 品 は、特 定 業 務 分 野 向 けとして、電 子 カルテシステムや人 工 透 析 システム、環 境 集 中 監 視 統 制 システムソフトウェアがあった。また、一 般 向 けソ フトウェアとしてスケジュール管 理 などの機 能 を持 つグループソフトウェアがあった。 (c) 情 報 関 連 商 品 事 業 平 成 24 年 3 月 期 において当 該 事 業 は行 われなくなった。 (d) 石 油 エンジニアリングサービス事 業 平 成 24 年 3 月 期 及 び平 成 25 年 3 月 期 と同 様 の事 業 を行 なっていた。 (3) SJI グループの経 営 戦 略 等 の事 業 の状 況 SJI グループの平 成 22 年 3 月 期 から平 成 26 年 3 月 期 までの事 業 の状 況 は、以 下 のとおりであった。 ア 平 成 22 年 3 月 期 継 続 して中 国 での事 業 展 開 を注 力 するとともに、重 複 機 能 の統 合 による経 営 の合 18 理 化 とより迅 速 かつ機 動 的 な事 業 展 開 を実 現 することを目 的 として、平 成 21 年 4 月 1 日 に主 要 事 業 子 会 社 である株 式 会 社 SJ アルピーヌと株 式 会 社 サン・ジャパンを合 併 し、更 に同 年 7 月 にはその 2 社 を合 併 して、新 生 SJI として効 率 的 な経 営 体 制 の構 築 を行 った。また、並 行 して役 員 報 酬 の削 減 、新 規 採 用 の抑 制 、雇 用 調 整 の実 施 、その 他 諸 経 費 の削 減 等 、鋭 意 固 定 費 の削 減 を実 施 するとともに、同 年 11 月 には中 国 開 拓 推 進 と資 本 の増 強 を目 的 として、中 国 IT 業 界 最 大 手 のデジタル・チャイナ・グルー プと包 括 的 な業 務 ・資 本 提 携 契 約 を締 結 した。 イ 平 成 23 年 3 月 期 中 国 において、デジタル・チャイナ・グループとの連 携 を軸 に「情 報 サービスにおける 日 中 の架 け橋 」となるべく、事 業 を展 開 した。日 本 においては、一 括 受 託 開 発 拡 大 や オフショア開 発 積 極 化 、コスト圧 縮 を継 続 して行 い、中 国 では、デジタル・チャイナ・グ ループとの連 携 強 化 等 による中 国 事 業 の加 速 化 や投 資 ・資 金 管 理 の徹 底 に注 力 し た。また、経 営 の合 理 化 に向 けて、代 表 取 締 役 及 び執 行 役 等 の異 動 を行 った。さらに、 今 後 の経 営 環 境 を踏 まえ、収 益 構 造 の転 換 を図 るべく構 造 改 革 の一 環 として、希 望 退 職 者 募 集 や北 海 道 事 業 の譲 渡 を実 施 した。 ウ 平 成 24 年 3 月 期 情 報 サービス事 業 において、リソースの最 適 配 分 及 び技 術 集 約 を行 うことによる選 択 と集 中 を行 い、また将 来 に向 けて自 社 の強 みとなる分 野 ・技 術 を磨 き、付 加 価 値 の あるサービスを作 り上 げていくことを施 策 として取 り組 み、また、コスト圧 縮 を継 続 すると ともに、日 本 国 内 における構 造 改 革 の一 環 として柔 軟 な組 織 運 営 が行 えるよう機 能 本 部 制 を導 入 した。 エ 平 成 25 年 3 月 期 日 本 においては、(a)受 注 拡 大 に向 け、柔 軟 な組 織 運 営 を目 的 に導 入 した機 能 本 部 制 の定 着 及 び構 造 改 革 の推 進 、(b)余 剰 オフィススペース削 減 等 の固 定 費 圧 縮 に よる収 益 力 向 上 、(c)今 後 一 段 の成 長 が見 込 まれる医 療 ・介 護 分 野 向 け事 業 の拡 大 、 (d)前 期 に設 置 した新 規 ビジネス開 発 部 門 による、新 しい技 術 ・サービス分 野 での事 業 創 出 、中 国 においては、(e)市 場 での競 争 力 を高 めるため事 業 の選 択 と集 中 を行 い 、 事 業 再 編 を実 施 、(f)オフショア開 発 力 及 びブランド力 の強 化 、(g)石 油 化 学 エンジニ アリング分 野 における環 境 対 応 型 サービスの提 供 という戦 略 に重 点 を置 くとともに、日 本 と中 国 の橋 渡 し事 業 の推 進 にも重 点 を置 いて経 営 に当 たった。 19 オ 平 成 26 年 3 月 期 日 本 においては、(a)事 業 領 域 の拡 大 による新 たな収 益 機 会 の確 保 及 び財 務 体 質 の強 化 を図 るため、SJI の西 日 本 事 業 本 部 (名 古 屋 ・大 阪 ・福 岡 )を会 社 分 割 (吸 収 分 割 )し、関 連 会 社 化 (持 分 20.0 パーセント)、(b)経 営 の効 率 化 と主 力 事 業 への経 営 資 源 の集 中 を図 るため、介 護 事 業 所 及 び ASP サービスを提 供 する会 社 の全 株 式 を譲 渡 、 (c)継 続 的 付 加 価 値 向 上 のために、先 進 技 術 センターを設 置 、中 国 においては、 (d) 人 件 費 上 昇 に対 応 するため、オフショア開 発 の拠 点 を都 市 部 から地 方 へも展 開 ,(e)オ フショア開 発 会 社 において、為 替 に影 響 を受 けにくい中 国 国 内 向 け開 発 案 件 の獲 得 に注 力 、(f)石 油 化 学 エンジニアリング分 野 における環 境 対 応 型 サービスの提 供 という 戦 略 に重 点 を置 いて経 営 に当 たった。 (4) SJI のコーポレート・ガバナンスの体 制 ア 取締役会 SJI における取 締 役 会 は、経 営 戦 略 の策 定 ・業 務 執 行 に関 する最 高 意 思 決 定 機 関 として、毎 月 定 例 的 に開 催 していた。 イ 取締役 SJI における平 成 23 年 3 月 期 から平 成 26 年 3 月 期 までの取 締 役 総 数 と社 外 取 締 役 数 は以 下 のとおりであり、社 外 取 締 役 は株 主 でもある取 引 先 から招 へいしていた。 (ア) 平 成 23 年 3 月 期 取 締 役 総 数 9 名 、うち 5 名 が社 外 取 締 役 (イ) 平 成 24 年 3 月 期 取 締 役 総 数 8 名 、うち 4 名 が社 外 取 締 役 (ウ) 平 成 25 年 3 月 期 取 締 役 総 数 9 名 、うち 3 名 が社 外 取 締 役 (エ) 平 成 26 年 3 月 期 取 締 役 総 数 6 名 、うち 2 名 が社 外 取 締 役 20 ウ 経営会議 (ア) 概 要 SJI における平 成 23 年 3 月 期 から平 成 26 年 3 月 期 までの間 、常 勤 取 締 役 を中 心 に会 社 横 断 的 な予 算 統 制 を中 心 に、意 思 決 定 プロセスにおける審 議 の充 実 と適 正 な意 思 決 定 の確 保 等 を目 的 に経 営 会 議 を設 けていた。 (イ) 経 営 会 議 規 程 SJI の経 営 会 議 規 程 によれば、経 営 会 議 の目 的 と役 割 につき、「経 営 会 議 は、代 表 取 締 役 社 長 が経 営 に関 する重 要 事 項 の決 裁 をする場 合 、および取 締 役 会 へ上 程 すべき重 要 事 項 を決 裁 する場 合 の審 議 ・検 討 機 関 としての役 割 を有 する。」 (第 1 条 )と定 められ、構 成 については、「代 表 取 締 役 社 長 、常 勤 取 締 役 および社 長 ま たは 本 会 議 が指 名 した者 をもって構 成 し、必 要 に応 じて関 係 者 を出 席 させることが出 来 る。」(第 2 条 )と定 められていた。 また、経 営 会 議 の議 長 及 び招 集 権 者 は、原 則 として代 表 取 締 役 社 長 とされ 、代 表 取 締 役 社 長 が万 一 業 務 遂 行 できないときには、代 表 取 締 役 社 長 が指 名 した者 また は経 営 企 画 本 部 長 がこれに当 たると定 められていた(第 4 条 、第 5 条 )。 経 営 会 議 の審 議 事 項 については、「経 営 に関 する重 要 な社 長 決 裁 事 項 および取 締 役 会 へ上 程 すべき重 要 事 項 とするが、その他 の経 営 に係 る重 要 な事 項 も審 議 項 目 とする。」とされ(第 6 条 )、審 議 の方 法 については、「各 構 成 員 が、各 々の立 場 から 率 直 な意 見 を述 べることができる。」(第 7 条 1 項 )と定 められていた。 さらに、開 催 及 び招 集 時 期 については、「原 則 毎 週 1 回 これを開 催 し、必 要 に応 じ て随 時 開 催 する。」とされていた(第 3 条 )。 (ウ) 経 営 会 議 の運 用 状 況 経 営 会 議 は、(イ)記 載 の経 営 会 議 規 程 に基 づき、代 表 取 締 役 を含 む常 勤 取 締 役 、 常 勤 監 査 役 及 び各 部 門 の長 等 で構 成 され、おおむね週 1 回 の頻 度 で、取 締 役 会 に 付 される予 定 の案 件 及 びその他 重 要 案 件 につき、審 議 ・検 討 を行 っていた エ 監査役会 SJI は監 査 役 会 を設 置 しており、平 成 23 年 3 月 期 及 び平 成 24 年 3 月 期 は、4 名 の監 査 役 で構 成 され、うち 3 名 は社 外 監 査 役 であった。 平 成 25 年 3 月 期 の監 査 役 会 は 3 名 の監 査 役 で構 成 され、うち 2 名 は社 外 監 査 役 であった。 平 成 26 年 3 月 期 の監 査 役 会 は 3 名 の監 査 役 で構 成 され、3 名 全 てが社 外 監 査 役 21 であった。 監 査 役 は、取 締 役 会 及 び経 営 会 議 等 重 要 な会 議 に出 席 して取 締 役 の業 務 執 行 を監 視 するとともに、代 表 取 締 役 とも日 常 的 に意 見 交 換 を行 い、独 立 した視 点 から経 営 監 視 を行 っていた。 また、企 業 グループとしての監 査 機 能 の充 実 を図 るために、グループ監 査 役 連 絡 会 を定 期 的 に開 催 していた。 オ コンプライアンス体 制 等 SJI では、取 締 役 及 び従 業 員 が法 令 、定 款 及 び社 会 規 範 を順 守 した行 動 をとるた めの行 動 規 範 として、SJI コンプライアンス規 範 を制 定 し、これを SJI 行 動 規 範 に改 訂 す るなどして、コンプライアンス強 化 のための指 針 としていた。 また、その徹 底 を図 る目 的 で、リスク・コンプライアンス委 員 会 を組 織 し、この委 員 会 において、取 締 役 及 び従 業 員 に対 するコンプライアンス意 識 の普 及 、啓 蒙 活 動 を実 施 していた。 さらに、内 部 監 査 部 門 は、リスク・コンプライアンス委 員 会 と連 携 の上 、コンプライアン スの状 況 を監 査 していた。 これらの活 動 は定 期 的 に取 締 役 会 及 び監 査 役 に報 告 されており、法 令 上 疑 義 のあ る行 為 等 については従 業 員 及 びグループ会 社 従 業 員 が直 接 情 報 提 供 を行 う手 段 と して SJI ヘルプライン(内 部 通 報 制 度 )を設 置 していた。 なお、SJI は、平 成 23 年 3 月 期 及 び平 成 24 年 3 月 期 には、内 部 統 制 委 員 会 及 び リスク・コンプライアンス委 員 会 を設 置 し、平 成 25 年 3 月 期 及 び平 成 26 年 3 月 期 に は、コンプライアンス委 員 会 を設 置 していた。 2. SJI 香 港 について (1) SJI 香 港 の事 業 の内 容 SJI 香 港 は、平 成 17 年 6 月 10 日 に設 立 された SJI の 100 パーセント子 会 社 であり、 中 間 持 株 会 社 として、安 徽 科 大 恒 星 電 子 商 務 技 術 有 限 公 司 及 び聯 迪 恒 星 (南 京 )信 息 系 統 有 限 公 司 等 20 社 から 30 社 の子 会 社 の管 理 を主 に行 っており、他 に主 たる事 業 は行 っていなかった。 SJI では、海 外 事 業 を担 当 する部 署 において、SJI 香 港 に係 る事 務 を一 部 担 当 してい た。 22 (2) SJI 香 港 の董 事 会 SJI 香 港 の董 事 は、平 成 17 年 6 月 の設 立 以 降 、李 氏 ら 3 名 ないし 4 名 が務 め、月 に 1 回 程 度 の頻 度 で、取 締 役 会 に相 当 する董 事 会 を開 催 し、同 社 の重 要 事 項 に関 す る意 思 決 定 を行 っていた。 なお、李 氏 は、上 記 設 立 時 から SJI 香 港 の董 事 長 に就 任 し、現 在 に至 っている。 SJI 香 港 の董 事 会 については、平 成 23 年 4 月 に制 定 された「董 事 会 規 程 」に基 づき、 運 営 されており、董 事 会 に付 議 すべき事 項 については、董 事 会 決 議 事 項 に掲 げられて いた。 (3) SJI 香 港 の董 事 長 の権 限 等 SJI 香 港 の職 務 権 限 規 程 において、董 事 長 の職 務 につき、「定 款 および董 事 会 決 議 等 の定 めるところにより会 社 を代 表 し、株 主 総 会 または董 事 会 が決 定 した業 務 を執 行 し、 董 事 会 から委 託 されている事 項 については、自 ら決 定 し執 行 する。」(第 12 条 )と定 めら れ、董 事 長 の主 な職 務 については、①董 事 会 の決 定 した年 度 および中 期 経 営 計 画 に 基 づく各 部 門 の事 業 計 画 をうけ、業 務 活 動 を命 令 ・調 整 ・統 括 すること、②董 事 会 を招 集 すること、③株 主 総 会 ・董 事 会 の議 長 の職 務 を行 うこと、④その他 、会 社 を代 表 して 処 理 しなければならない重 要 な業 務 を行 うこと、とされていた(第 12 条 )。 SJI 香 港 の董 事 長 は、上 記 「董 事 会 規 程 」においても、「董 事 会 の決 議 事 項 以 外 の 業 務 執 行 について自 ら決 定 することができ、董 事 会 が、その決 議 事 項 の基 本 的 事 項 ま たは重 要 な事 項 を決 定 した場 合 においては、その細 目 を自 ら決 定 できる。」とされ(第 9 条 1 項 )、また、「他 の業 務 執 行 董 事 に対 して、董 事 会 の決 議 によって委 任 された範 囲 内 において、日 常 の業 務 の決 定 を委 任 することができる。」とされていた(第 9 条 2 項 )。 これらの規 程 に基 づき、SJI 香 港 の董 事 長 は、同 社 の代 表 権 を有 していたが、実 務 上 は、各 董 事 が同 社 の契 約 締 結 等 の個 別 案 件 に当 たっては、同 社 を代 表 して署 名 し ていた。 23 第 3. 当 委 員 会 が調 査 により認 定 した事 実 の概 要 当 委 員 会 の調 査 により、第 1・2 記 載 の調 査 対 象 事 項 につき、認 められた事 実 の概 要 は 以 下 のとおりである。 1. SJI グループの国 内 におけるハードウェア取 引 10 件 及 び海 外 におけるハードウェア取 引 1 件 については、ハードウェアの譲 渡 を伴 わず、その実 態 は李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 であったこと (1) 国 内 におけるハードウェア取 引 10 件 (以 下 「A 取 引 」という。)について ア 結論 当 委 員 会 は、平 成 23 年 3 月 期 から平 成 25 年 3 月 期 までに SJI グループが行 った、 疑 義 の可 能 性 のある国 内 におけるハードウェア取 引 13 件 を調 査 した結 果 、このうち、 ハードウェア取 引 として仕 入 及 び売 上 を計 上 していた取 引 10 件 については、ハードウ ェアの譲 渡 の事 実 が確 認 できず、その実 態 は李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 と認 められ た。 イ 現 状 の会 計 処 理 これら 10 件 の取 引 の詳 細 は、別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」のうち「A 取 引 の詳 細 」 記 載 のとおりであり、各 取 引 の仮 装 仕 入 先 とされたのは、E 社 、N 社 及 び O 社 の 3 社 である。他 方 、各 取 引 の仮 装 販 売 先 とされたのは、SJI の 100 パーセント子 会 社 である SJI 香 港 、L 社 及 び M 社 の 3 社 である。なお、このうち、SJI の販 売 先 が SJI 香 港 である 番 号 4、5、6、8、9、10 の 6 件 については、SJI 香 港 の販 売 先 とされたのはいずれも H 社 であり、それゆえ「SJI グループ販 売 先 」には、H 社 と記 載 している。 これらの取 引 につき、SJI グループでは、E 社 等 の仮 装 仕 入 先 の口 座 に振 り込 んだ ハードウェアの仕 入 代 金 につき前 渡 金 を計 上 し、後 日 、当 該 ハードウェアにつき、販 売 先 とされた会 社 から代 金 を回 収 した際 に、当 該 代 金 と前 渡 金 の差 額 を売 上 計 上 して いる。 ウ 取 引 の実 態 当 委 員 会 が調 査 したところ、上 記 10 件 の取 引 については、仕 入 先 から販 売 先 に対 し、ハードウェアが納 品 された事 実 は確 認 できなかった 上 、李 氏 自 身 もハードウェアの 譲 渡 を伴 わない取 引 であったことを認 めている。 また、SJI から仕 入 代 金 の名 目 で支 払 われた金 額 は、実 際 には、仮 装 仕 入 先 とされ 24 た E 社 、N 社 及 び O 社 の口 座 に入 金 後 、直 接 又 は間 接 に、李 氏 個 人 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てられた後 、各 出 金 から約 3 か月 から約 1 年 5 か月 以 内 に、 李 氏 が新 たに借 入 れをするなどして工 面 した資 金 を原 資 として、前 渡 金 名 目 で支 払 わ れた金 額 に利 息 相 当 額 が付 された金 額 が、SJI 又 は SJI 香 港 の口 座 に入 金 された。し たがって、上 記 10 件 は、実 質 的 には、SJI 及 びその連 結 子 会 社 である SJI 香 港 の李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 と認 められた。 上 記 10 件 の李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 は、李 氏 が、E 社 、N 社 、O 社 、L 社 、M 及 び H 社 の協 力 を得 つつ、国 内 のハードウェア取 引 を仮 装 して行 ったものである。 なお、当 委 員 会 の調 査 の結 果 、SJI グループ内 で、李 氏 以 外 に、これら 10 件 の取 引 の実 態 を認 識 していた者 の存 在 は確 認 できなかった。 エ 件 数 及 び金 額 等 (ア) SJI グループからの出 金 額 各 取 引 における SJI グループからの前 渡 金 名 目 による出 金 の件 数 及 び金 額 は、別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」の「A 取 引 の詳 細 」記 載 の「支 払 額 」記 載 のとおりであり、 これを事 業 年 度 別 に件 数 及 び金 額 を整 理 すると下 記 のとおりである。これら 出 金 の 合 計 金 額 は「支 払 額 」の「合 計 」記 載 のとおり、20 億 6,063 万 2,770 円 である。 ① 平 成 23 年 3 月 期 件 数 は番 号 1 から 5 までの 5 件 であり、合 計 金 額 は 9 億 1,980 万 1,680 円 で ある。 ② 平 成 24 年 3 月 期 件 数 は番 号 6 から 10 までの 5 件 であり、合 計 金 額 は 11 億 4,083 万 1,090 円 である。 ③ 平 成 25 年 3 月 期 この期 の出 金 額 はない。 (イ) SJI グループに対 する入 金 額 各 取 引 における SJI グループへの販 売 代 金 名 目 による入 金 の件 数 及 び金 額 は、 別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」の「A 取 引 の詳 細 」記 載 の「入 金 額 」記 載 のとおりであり、 これを事 業 年 度 別 に件 数 及 び金 額 を整 理 すると下 記 のとおりである。 これら入 金 の 合 計 金 額 は「入 金 額 」の「合 計 」記 載 のとおり、21 億 1,176 万 9,167 円 である。 25 ① 平 成 23 年 3 月 期 件 数 は番 号 1、2 の 2 件 であり、合 計 金 額 は 2 億 5,852 万 1,142 円 である。 ② 平 成 24 年 3 月 期 件 数 は番 号 3、6 及 び 7 の 3 件 であり、合 計 金 額 は 9 億 8,280 万 1,925 円 で ある。 ③ 平 成 25 年 3 月 期 件 数 は番 号 4、5、8、9、10 の 5 件 であり、合 計 金 額 は 8 億 7,044 万 6,100 円 である。 (ウ) SJI の資 金 増 加 率 SJI グループでは、仮 装 仕 入 先 の口 座 への出 金 の際 に、前 渡 金 を計 上 し、販 売 先 とされた会 社 から代 金 を回 収 した際 に、当 該 入 金 と前 渡 金 の差 額 を売 上 計 上 してい たが、李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 という実 態 に着 目 すると、李 氏 は SJI グループから 融 通 を受 けた金 額 に利 息 相 当 額 を付 して SIJ に戻 し入 れていることになり、SJI グルー プからの出 金 額 と SJI グループへの入 金 額 を比 較 した割 合 (資 金 増 加 率 )は、「A 取 引 の詳 細 」の「資 金 増 加 率 」記 載 のとおり、101.1 パーセントから 106.7 パーセントであり、 10 件 の合 計 でいえば、102.5 パーセントである。 オ 李 氏 への資 金 融 通 に伴 う資 金 循 環 の状 況 各 取 引 における資 金 移 動 については、第 1・11 記 載 のとおり、本 調 査 では、李 氏 個 人 名 義 の口 座 、SJI グループ以 外 の協 力 会 社 (海 外 に所 在 する会 社 も含 む。)の一 部 の口 座 、李 氏 個 人 の借 入 先 等 の口 座 の取 引 明 細 及 びこれらの会 計 帳 簿 等 の資 料 の 提 供 を受 けられなかったため、SJI グループから前 渡 金 支 払 の名 目 で出 金 された資 金 が、代 金 支 払 の名 目 で SJI グループに入 金 されるまでの資 金 循 環 の全 容 を把 握 するこ とは事 実 上 不 可 能 であったものの、収 集 済 みの資 料 の分 析 、李 氏 及 び関 係 者 の ヒアリ ングに基 づき、調 査 し得 た範 囲 で認 定 した李 氏 への資 金 融 通 に伴 う資 金 循 環 の概 要 は、以 下 のとおりである。 26 (A 取 引 の資 金 循 環 図 ) ②資 金 移 動 李氏個人 ③資 金 提 供 又 はその関 連 先 仮装仕入先 ①前 渡 金 の支 払 を仮 装 した出 金 仮装販売先 SJI グループ (SJI 又 は SJI 香 港 ) ④代 金 の回 収 を仮 装 した入 金 (出 金 額 +利 息 相 当 額 ) 各 取 引 において、出 金 時 には、SJI グループから、仮 装 仕 入 先 の口 座 に、国 内 にお けるハードウェア取 引 の前 渡 金 の支 払 の名 目 で振 込 入 金 がなされ、その後 、 仮 装 販 売 先 は、李 氏 個 人 又 は李 氏 の関 連 先 に振 込 入 金 などの方 法 で資 金 を移 動 した。 他 方 、入 金 時 には、李 氏 個 人 又 は李 氏 の関 連 先 から、李 氏 により工 面 された資 金 が仮 装 販 売 先 に振 込 入 金 などの方 法 で提 供 され、その後 、仮 装 販 売 先 から、SJI グル ープに対 し、国 内 におけるハードウェア取 引 の代 金 の支 払 の名 目 で振 込 入 金 がなさ れた。 こうした仮 装 取 引 について、李 氏 に対 する資 金 融 通 という実 態 に着 目 すると、李 氏 は、SJI グループから必 要 な資 金 を仕 入 先 とされた会 社 に出 金 させ、この資 金 を自 己 又 は関 連 先 に入 金 させるなどして移 動 させ、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに 充 て、その後 、新 たに借 入 れをするなどして、資 金 を工 面 し、自 己 の口 座 から入 金 又 は関 連 先 から入 金 させて、販 売 先 とされた会 社 の口 座 に移 動 させ、その後 、出 金 額 に 利 息 相 当 額 を付 した金 額 を販 売 先 とされた会 社 から SJI グループに入 金 させていた。 カ 小括 以 上 のように、平 成 23 年 3 月 期 から平 成 25 年 3 月 期 までの 3 期 にわたり行 われ た 10 件 の国 内 におけるハードウェア取 引 を全 体 としてみると、その実 態 は、SJI グルー プから、李 氏 個 人 に対 する、合 計 10 回 にわたる 20 億 6,063 万 2,770 円 の資 金 融 通 であり、各 出 金 から約 3 か月 から約 1 年 5 か月 以 内 に、李 氏 から SJI グループに対 し、 27 約 2.5 パーセントの利 息 相 当 額 を付 して 21 億 1,176 万 9,167 円 が戻 し入 れられたも のである。 SJI グループへの入 金 額 と SJI グループからの出 金 額 の差 額 合 計 である 5,113 万 6,397 円 について、SJI グループでは売 上 計 上 しており、この会 計 処 理 は実 態 を正 しく 反 映 しておらず、適 正 とは評 価 し難 い。 (2) 海 外 におけるハードウェア取 引 (1 件 )(以 下 「B 取 引 」という。)について ア 結論 当 委 員 会 は、平 成 22 年 3 月 期 から平 成 25 年 3 月 期 までに SJI グループが行 った、 疑 義 の可 能 性 のある海 外 におけるハードウェア取 引 4 件 を調 査 した結 果 、このうち、平 成 24 年 3 月 期 から平 成 25 年 3 月 期 にかけて国 外 に所 在 する SJI 香 港 が行 ったハー ドウェア取 引 1 件 については、当 該 ハードウェアの譲 渡 の事 実 が確 認 できず、その実 態 は李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 と認 められた。 イ 現 状 の会 計 処 理 この取 引 の詳 細 は、「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」のうち「B 取 引 の詳 細 」記 載 のとおりで あり、仮 装 仕 入 先 は国 外 に所 在 する F 社 、仮 装 販 売 先 も国 外 に所 在 する H 社 である。 なお、F 社 は、E 社 の子 会 社 である。 この取 引 につき、SJI 香 港 では、仮 装 仕 入 先 とされた F 社 の口 座 に振 り込 んだハード ウェアの仕 入 代 金 につき前 渡 金 を計 上 し、後 日 、当 該 ハードウェアにつき、販 売 先 と 仮 装 された H 社 から代 金 を回 収 した際 に、当 該 代 金 と前 渡 金 の差 額 を売 上 計 上 して いる。 ウ 取 引 の実 態 当 委 員 会 が調 査 したところ、この 1 件 については、仕 入 先 から販 売 先 に対 して、ハ ードウェアが納 品 された事 実 は確 認 できなかった上 、李 氏 自 身 もハードウェアの譲 渡 を 伴 わない取 引 であったことを認 めている。 また、SJI から仕 入 代 金 の名 目 で支 払 われた金 額 は、実 際 には、仮 装 仕 入 先 である F 社 の口 座 に入 金 後 、直 接 又 は間 接 に、李 氏 個 人 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 り 等 に充 てられた後 、約 1 年 半 以 内 に、2 回 に分 けて、李 氏 が新 たに借 り入 れるをするな どして工 面 した資 金 を原 資 として、前 渡 金 名 目 で支 払 われた金 額 に 利 息 相 当 額 を加 えた金 額 が、H 社 から SJI 香 港 の口 座 に入 金 された。 したがって、この 1 件 は、実 質 的 に、SJI の連 結 子 会 社 である SJI 香 港 の李 氏 個 人 に 対 する資 金 融 通 と認 められた。 28 なお、この李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 は、李 氏 が F 社 に加 え、H 社 の協 力 を得 つ つ、海 外 におけるハードウェア取 引 を仮 装 して行 ったものである。 なお、当 委 員 会 の調 査 の結 果 、SJI 香 港 を含 む SJI グループ内 で、李 氏 以 外 に、こ の B 取 引 の実 態 を認 識 していた者 の存 在 は確 認 できなかった。 エ 金額等 上 記 1 件 の仮 装 取 引 における SJI 香 港 からの前 渡 金 名 目 による出 金 額 は、別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」の「B 取 引 の詳 細 」記 載 のとおり、11 億 9,916 万 6,400 円 で あり、この出 金 日 は平 成 23 年 5 月 20 日 であるため、平 成 24 年 3 月 期 になされたも のである。 他 方 、SJI 香 港 に対 する販 売 代 金 名 目 による入 金 は、平 成 24 年 6 月 6 日 に 7 億 733 万 4,978 円 、同 年 11 月 7 日 に 5 億 5,000 万 円 の 2 回 に分 けてなされているため、 いずれも平 成 25 年 3 月 期 のものであり、合 計 金 額 は 12 億 5,733 万 4,978 円 である。 オ SJI 香 港 の資 金 増 加 率 前 記 イ記 載 のとおり、SJI 香 港 では、F 社 の口 座 に対 する出 金 の際 に、前 渡 金 を計 上 し、販 売 先 とされた H 社 から代 金 の入 金 を受 けた際 に、当 該 入 金 と前 渡 金 の差 額 を売 上 計 上 していたが、李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 という実 態 に着 目 すると、李 氏 は、 SJI 香 港 から融 通 を受 けた金 額 に利 息 相 当 額 を付 して SJI 香 港 に戻 し入 れていること になり、SJI 香 港 からの出 金 額 と SJI 香 港 への入 金 額 を比 較 した割 合 (資 金 増 加 率 )は、 「B 取 引 の詳 細 」の「資 金 増 加 率 」記 載 のとおり、104.9 パーセントである。 カ 李 氏 への資 金 融 通 に伴 う資 金 循 環 の状 況 この取 引 における資 金 移 動 についても、第 1・11 記 載 のとおり、李 氏 個 人 名 義 の口 座 、SJI グループ以 外 の協 力 会 社 の一 部 の会 社 (海 外 に所 在 する会 社 も含 む。)の口 座 、李 氏 個 人 の借 入 先 等 の口 座 の取 引 の明 細 及 び 会 計 帳 簿 等 の資 料 の提 供 を受 けられなかったため、SJI グループから前 渡 金 支 払 の名 目 で出 金 された資 金 が、代 金 の支 払 の名 目 で SJI 香 港 に入 金 されるまでの流 れの全 容 を把 握 することは事 実 上 不 可 能 であったものの、収 集 済 みの資 料 の分 析 、李 氏 及 び関 係 者 のヒアリングに基 づき、 調 査 し得 た範 囲 で 認 定 した李 氏 に対 する資 金 融 通 に伴 う資 金 循 環 の概 要 は、 以 下 のとおりである。 29 (B 取 引 の資 金 循 環 図 ) ③資 金 移 動 ④資 金 提 供 李氏個人 及 びその関 連 先 仮かかs 装 仕 入仮先装 仮装販売先 F社 H社 ②前 渡 金 の支 払 を仮 ⑤代 金 の回 収 を仮 装 した SJI 香 港 装 した出 金 入金 (出 金 額 +利 息 相 当 額 ) ①貸 付 ⑥返 済 SJI B 取 引 において、SJI から SJI 香 港 に資 金 が貸 し付 けられ、その後 、SJI 香 港 から、仮 装 仕 入 先 F 社 の口 座 に対 し、海 外 におけるハードウェアの取 引 の前 渡 金 の支 払 の名 目 で振 込 入 金 がなされ、その後 、F 社 からは、李 氏 個 人 又 は李 氏 の関 連 先 等 に資 金 が移 動 された。なお、F 社 は国 外 に所 在 するため、F 社 の口 座 に資 金 が入 金 された後 の資 金 の移 動 状 況 は確 認 できなかったが、李 氏 らの説 明 では、その資 金 の大 半 は李 氏 個 人 及 びその関 連 先 に移 動 した上 、主 に李 氏 個 人 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てたとのことである。 他 方 、入 金 時 には、李 氏 又 はその関 連 先 から、李 氏 により工 面 された資 金 が 販 売 先 とされた H 社 に提 供 され、その後 、H 社 から、SJI 香 港 に対 し、2 回 に分 けて、国 外 に おけるハードウェアの取 引 の代 金 の支 払 の名 目 で振 込 入 金 がなされ、その後 、その一 部 が SJI 香 港 への貸 付 金 の返 済 として SJI の口 座 に入 金 された。 こうした仮 装 取 引 を李 氏 に対 する資 金 融 通 という実 態 に着 目 すると、李 氏 は、SJI か ら SJI 香 港 への貸 付 金 という形 で SJI 香 港 に資 金 を移 動 させ、SJI 香 港 から必 要 な資 金 を F 社 に出 金 させ、この資 金 を自 己 の口 座 又 は関 連 先 の口 座 等 に入 金 させるなど して移 動 させ、これらを自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 て、その後 、他 から 30 借 入 れをするなどして資 金 を工 面 し、これを原 資 として、自 己 の関 連 先 から入 金 させる などして、仮 装 販 売 先 である H 社 に移 動 させ、その後 、出 金 額 に利 息 相 当 額 を付 した 金 額 を SJI 香 港 に入 金 させ、SJI に戻 し入 れていた。 キ 小括 以 上 のように、平 成 24 年 3 月 期 から平 成 25 年 3 月 期 にわたり行 われた B 取 引 の 実 態 も、SJI グループから、李 氏 個 人 に対 する 11 億 9,916 万 6,400 円 の資 金 融 通 で あり、出 金 から約 1 年 半 以 内 に、1 回 目 は 7 億 733 万 4,978 円 、2 回 目 は 5 億 5,000 万 円 というように、2 回 に分 けて、李 氏 から、SJI 香 港 に対 し、約 4.9 パーセントの利 息 相 当 額 が付 されて合 計 12 億 5,733 万 4,978 円 が戻 し入 れられたものである。 SJI 香 港 への入 金 額 と SJI 香 港 からの出 金 額 の差 額 である 5,816 万 8,578 円 につ いて、SJI 香 港 では売 上 計 上 しており、この会 計 処 理 は実 態 を正 しく反 映 したものでは なく、適 正 とは評 価 し難 い。 2. 李 氏 が SJI 香 港 による債 務 保 証 を行 い、これにつき会 計 処 理 がなされなかったこと(以 下 「C 取 引 」という。) SJI の 100 パーセント子 会 社 である SJI 香 港 においては、平 成 25 年 3 月 期 において、 取 引 先 である E 社 が G 社 から 1 億 円 を借 り入 れるに当 たり、李 氏 が債 務 保 証 (連 帯 保 証 ) を行 い、この 1 億 円 の債 務 につき連 帯 保 証 債 務 を負 ったにもかかわらず、これにつき会 計 処 理 がなされていなかったことが認 められた。 これは、SJI 香 港 の董 事 長 を兼 任 していた李 氏 が、E 社 の V 氏 から依 頼 を受 け、同 社 が G 社 から 1 億 円 の事 業 資 金 を借 り入 れた際 、G 社 と E 社 間 の金 銭 借 用 証 書 の連 帯 保 証 人 の欄 に SJI 香 港 の董 事 長 として署 名 をしたものである。 李 氏 は、SJI 香 港 の董 事 長 として、SJI 香 港 を代 表 し、上 記 保 証 行 為 を行 う権 限 を有 し ており、李 氏 による債 務 保 証 は、SJI 香 港 及 び SJI の規 程 等 に定 められた内 部 手 続 に違 反 するものとは認 められず、李 氏 が日 々の仕 事 に忙 殺 され、SJI 香 港 及 び SJI に債 務 保 証 を行 ったことを伝 えることを失 念 していたため、会 計 処 理 がなされなかった。 なお、この SJI 香 港 の負 った連 帯 保 証 債 務 については、平 成 26 年 3 月 期 中 に、主 債 務 者 である E 社 が全 額 を弁 済 したことに伴 い消 滅 した。 31 3. 李 氏 が SJI 内 部 の承 認 手 続 を経 ずに、銀 行 から 19 億 円 の融 資 を受 けるとともに、事 業 会 社 2 社 から合 計 9 億 2,500 万 円 を借 り入 れ、後 日 、全 額 返 済 したものの、これら の貸 借 取 引 につき会 計 処 理 がなされていなかったこと(以 下 「D 取 引 」という。) (1) P 銀 行 からの 19 億 円 の融 資 について SJI は、平 成 26 年 3 月 期 において、社 内 の承 認 手 続 を経 ずに、P 銀 行 から 19 億 円 の融 資 を受 け、1 か月 以 内 に利 息 を付 して全 額 返 済 したものの、これにつき会 計 処 理 がなされていなかったことが認 められた。 これは、李 氏 が、社 内 の承 認 手 続 を経 ず、P 銀 行 で SJI 名 義 の口 座 を開 設 した上 で、 同 社 の事 業 資 金 として 19 億 円 の融 資 を受 けたものの、その後 、社 内 の承 認 手 続 を経 ずに融 資 を受 けた資 金 を、当 初 の予 定 どおりに SJI の事 業 資 金 に使 うことは控 えることと し、その一 部 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てた。 その後 、李 氏 は、融 資 実 行 から約 3 週 間 後 に、他 から借 入 れをするなどして資 金 を 工 面 し、これを原 資 として P 銀 行 に 19 億 円 及 び利 息 を全 額 返 済 し、SJI 名 義 の口 座 を 閉 鎖 した。 (2) 事 業 会 社 2 社 からの合 計 9 億 2,500 万 円 の借 入 れについて SJI は、平 成 26 年 3 月 期 において、社 内 の承 認 手 続 を経 ずに、事 業 会 社 2 社 から、 合 計 4 回 にわたり、合 計 9 億 2,500 万 円 を借 り入 れ、平 成 26 年 3 月 期 のうちに全 額 返 済 したが、これらについて会 計 処 理 がされていなかったことが認 められた。 これらの借 入 れは、李 氏 が、社 内 の承 認 手 続 を経 ず、前 記 P 銀 行 の SJI 名 義 の口 座 を使 用 し、SJI 名 義 で、かねて SJI 及 び李 氏 個 人 が借 入 れをしていた事 業 会 社 Q 社 か ら、2 回 にわたり、合 計 2 億 2,500 万 円 を、事 業 会 社 の R 社 からも、2 回 にわたり、合 計 7 億 円 を借 り入 れ、上 記 P 銀 行 の SJI 名 義 の口 座 に入 金 させ、これを借 入 先 又 は関 連 先 の口 座 に振 り込 むなどして、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てた。 なお、李 氏 は、これらの借 入 れに当 たって、同 社 の実 印 を押 印 した。 その後 、李 氏 は、他 から借 入 れをするなどして資 金 を工 面 し、これを原 資 として、各 借 入 日 から、約 3 週 間 から約 7 か月 以 内 に全 額 返 済 した。 32 第 4. 当 委 員 会 が調 査 により認 定 した各 事 実 の原 因 、経 緯 及 び背 景 事 情 等 当 委 員 会 が調 査 により認 定 した各 事 実 の原 因 、経 緯 及 び背 景 事 情 等 は下 記 のとお り である。 1. 各 取 引 が行 われた原 因 及 び背 景 事 情 等 について (1) 李 氏 個 人 の債 務 の状 況 等 SJI は 平 成 15 年 3 月 、 当 時 の ジ ャ ス ダ ッ ク 証 券 取 引 所 ( 現 東 京 証 券 取 引 所 JASDAQ(スタンダード))に株 式 を上 場 したが、この準 備 の過 程 で、SJI の代 表 取 締 役 社 長 であった李 氏 は、主 幹 事 証 券 会 社 の指 摘 などもあり、当 時 の SJI の株 主 からその保 有 する株 式 を購 入 することとし、その結 果 、SJI 株 式 の約 10 パーセントを保 有 する筆 頭 株 主 となった。 李 氏 はこの取 得 資 金 として金 融 機 関 等 から約 10 億 円 を借 り入 れ、平 成 16 年 頃 、取 得 した株 式 の売 却 益 等 を上 記 借 入 れの返 済 に充 てたが、その後 も 5 億 円 以 上 の借 入 れを抱 えた。 他 方 、李 氏 は、平 成 13 年 頃 から、証 券 口 座 を利 用 し、上 場 株 の取 引 を行 っていたが、 この取 引 により数 億 円 の損 失 を出 し、その穴 埋 めや上 記 借 入 れの返 済 のため、平 成 17 年 頃 、金 融 ブローカーから、自 己 の保 有 する SJI 株 式 を担 保 に十 数 億 円 を借 り入 れて、 その資 金 の一 部 を上 記 損 失 の穴 埋 めや上 記 借 入 れの返 済 等 に充 て、残 金 は将 来 、 SJI の事 業 に利 益 をもたらす可 能 性 が見 込 まれたベンチャー企 業 等 の未 上 場 株 式 の購 入 などの投 資 に充 てた。 平 成 20 年 のいわゆるリーマンショック後 、SJI 株 式 の株 価 下 落 に伴 い、李 氏 は、SJI の筆 頭 株 主 として追 加 の保 証 金 を差 し入 れる必 要 が生 じたため、金 融 会 社 等 からの借 入 金 でこれを賄 った。また、SJI 株 式 の価 格 下 落 に伴 う担 保 価 値 の低 下 を理 由 に、上 記 金 融 ブローカーから融 資 の打 切 を申 し入 れられたため、李 氏 は、新 たに事 業 会 社 等 か ら借 入 れをし、これを同 ブローカーへの返 済 に充 てた。 さらに、李 氏 は、保 有 していた上 場 株 式 や未 上 場 株 式 の株 価 下 落 により 10 億 円 以 上 の損 失 を被 り、この穴 埋 めのため事 業 会 社 等 から借 入 れをするなどしたため、その負 債 額 は膨 らんだ。なお、李 氏 は、借 入 金 を早 期 に返 済 するため、事 業 会 社 等 からの借 入 金 の一 部 をギャンブル性 の高 い資 金 運 用 等 に充 てたが、これにより約 20 億 の損 失 を 被 ったために、更 に事 業 会 社 や知 人 らから借 入 れを行 った。 以 上 の経 緯 により、李 氏 は、平 成 22 年 頃 の時 点 で、複 数 の事 業 会 社 や知 人 等 から の借 入 れ等 により、30 億 円 から 40 億 円 程 度 の負 債 を抱 えており、他 方 、収 入 は役 員 報 酬 のみであったため、ある借 入 金 を他 からの借 入 れで返 済 するなどの資 金 繰 りを続 けて 33 いたものである。 他 方 、当 時 、李 氏 が 特 段 価 値 の あ る 積 極 財 産 を保 有 し て い た も の と は 認 め られ な い。 したがって、当 時 、李 氏 は、債 務 超 過 の状 態 にあったものと認 められた。 (2) 李 氏 が SJI の資 金 調 達 において必 要 不 可 欠 な役 割 を担 っていたこと SJI は、平 成 24 年 7 月 に約 100 億 円 の資 金 調 達 を行 い、T 社 の株 式 を取 得 し、子 会 社 化 したが、これに当 たり、銀 行 のみならず、ノンバンクからも 10 億 円 以 上 の借 入 れ をした。 これを機 に、金 利 支 払 い等 のため、SJI の資 金 繰 りが悪 化 するようになり、銀 行 から追 加 融 資 を受 けることも困 難 であったことから、SJI では、一 時 期 、月 中 の残 高 不 足 が生 じ、 緊 急 の資 金 調 達 が必 要 となった。 そこで、財 務 経 理 部 門 からの相 談 を受 けた李 氏 が、即 座 に事 業 会 社 等 と交 渉 して、 SJI に対 する貸 付 の実 行 を受 けた。 これ以 降 、李 氏 は、財 務 経 理 部 門 から資 金 不 足 のため、資 金 調 達 が必 要 である旨 の要 請 を受 けると、その都 度 、これまで築 いた広 い人 脈 と高 い信 用 力 を背 景 に、即 座 に、 ノンバンクや事 業 会 社 に自 ら交 渉 して、SJI の必 要 とする資 金 を借 り入 れていた。 なお、緊 急 の資 金 調 達 を要 した場 合 、財 務 経 理 部 門 において、SJI の内 部 規 程 等 に 従 った申 請 や稟 議 の手 続 を踏 まないまま、李 氏 に資 金 調 達 を要 請 して おり、李 氏 にお いて、事 業 会 社 等 から借 入 れを受 けた後 、取 締 役 会 の事 後 承 認 を受 けることもあった。 このように、SJI では、資 金 調 達 に窮 すると、財 務 経 理 部 門 が代 表 取 締 役 社 長 である 李 氏 に緊 急 の資 金 調 達 を要 請 しており、これを受 けて、李 氏 が金 策 に奔 走 するという事 態 が続 き、次 第 に、李 氏 個 人 の資 金 調 達 能 力 に依 存 しなければ事 業 を継 続 できず、 資 金 調 達 において、李 氏 が必 要 不 可 欠 な役 割 を果 たすようになった。 (3) 李 氏 の資 金 調 達 における公 私 混 同 の状 況 (1)記 載 のように、李 氏 は、個 人 として、多 額 の負 債 を抱 え、事 業 会 社 及 び知 人 等 か らの借 換 えを繰 り返 すなどして資 金 繰 りをしていたところ、他 方 で、平 成 24 年 7 月 以 降 、 SJI にあっては、財 務 経 理 部 門 からの要 請 で、資 金 不 足 の際 に、ノンバンクや事 業 会 社 等 から、緊 急 の資 金 繰 りを行 っており、個 人 の借 入 先 からも SJI に対 する資 金 を借 り入 れるようになり、しかも、複 数 の事 業 会 社 等 からは、SJI 及 び李 氏 個 人 への借 入 れの双 方 につき同 時 に交 渉 をした場 合 もあったため、李 氏 の意 識 の中 で、SJI の借 入 れと自 己 の個 人 的 な借 入 れという区 別 が曖 昧 になっていた。 34 2. A取 引 について (1) 原 因 及 び背 景 事 情 ア A 取 引 開 始 の動 機 及 び経 緯 等 平 成 21 年 12 月 、SJI は I 社 グループから 36 億 円 の増 資 を受 けたものの、その後 、 20 億 円 程 度 の余 剰 資 金 が生 じ、これを投 資 等 に充 てる予 定 もなかったところ、李 氏 は、 この一 部 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 て、 後 日 、数 パーセント分 の利 息 相 当 額 を付 して返 済 すれば、SJI の余 剰 資 金 の増 大 につながり、同 資 金 の有 効 活 用 になると考 えた。 なお、李 氏 は、当 時 、自 己 の借 入 れに関 して、事 業 会 社 や知 人 等 から追 加 の借 入 れを受 けることは比 較 的 容 易 であったものの、同 じ利 息 相 当 額 を支 払 うのであれば、 SJI に支 払 う方 が同 社 の資 金 増 大 につながり、同 社 を利 することになると 考 えた。 また、李 氏 は、SJI の内 部 において、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てる との使 途 を明 らかにして、SJI の取 締 役 会 の承 認 を得 るなどの内 部 手 続 を踏 むこと自 体 は可 能 であるとは考 えたものの、上 場 企 業 である SJI が代 表 取 締 役 に対 し、多 額 の 貸 付 を行 うことは、同 社 及 び自 己 の代 表 取 締 役 社 長 としての信 用 を低 下 させるのでは ないかと懸 念 し、他 の役 員 及 び社 員 には事 情 を告 げず、あくまで国 内 のハードウェア 取 引 の外 形 を装 い、仕 入 先 に前 渡 金 を支 払 う形 で、SJI 名 義 の口 座 から出 金 させて、 それを自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 て、後 日 、李 氏 個 人 で 返 済 資 金 を 調 達 して、後 日 、販 売 先 から代 金 が振 り込 まれるという体 裁 を整 えようと考 えた。 そのためには、SJI 社 内 での資 金 の払 出 しに必 要 な仕 入 先 や販 売 先 の証 憑 等 を用 意 するとともに、SJI から入 金 を受 けた後 に、自 己 の指 定 したとおりに、資 金 移 動 を行 っ てくれる協 力 会 社 が必 要 であったため、李 氏 は、平 成 22 年 6 月 頃 、E 社 の代 表 取 締 役 V 氏 に対 し、事 情 を告 げて協 力 を要 請 し、E 社 の協 力 を取 り付 けた。 イ SJI 社 内 での事 務 担 当 者 への指 示 李 氏 は、その後 、SJI 社 内 において、担 当 部 署 のα室 長 である S 氏 に対 し、E 社 が 仕 入 先 となり、E 社 が販 売 先 を通 じてエンドユーザに ハードウェアを納 入 するという商 流 があり、そこに SJI が入 るという形 で取 引 を行 うことになった旨 告 げ、以 後 は、E 社 との 間 で取 引 内 容 等 について打 ち合 わせた上 で、各 取 引 に必 要 な書 類 を準 備 し、SJI 社 内 での所 要 の手 続 を行 うよう指 示 した。 そのため、S 氏 は李 氏 から指 示 された内 容 の取 引 は実 在 するハードウェア取 引 であ ると認 識 していた。 なお、李 氏 は、別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」の「A 取 引 の詳 細 」のうち、番 号 1 の取 35 引 については、自 己 の借 入 れの返 済 等 の都 合 から 4,500 万 円 から 5,000 万 円 程 度 の 金 額 を必 要 としていたため、V 氏 と相 談 の上 、仕 入 先 を O 社 、販 売 先 を L 社 として、 ハードウェア取 引 を仮 装 することとし、平 成 22 年 6 月 下 旬 頃 、S 氏 には、O 社 を仕 入 先 、L 社 を販 売 先 とする 4,725 万 円 のハードウェア取 引 を行 うので、この取 引 に必 要 な 証 憑 等 を用 意 し、社 内 の必 要 な手 続 に付 すよう指 示 した。 これを受 け、S 氏 は、E 社 の営 業 担 当 者 である W 氏 から O 社 からの請 求 書 及 び納 品 書 等 を受 け取 り、支 払 先 を O 社 、販 売 先 を L 社 とする 4,725 万 円 の取 引 につき、 営 業 部 門 の社 員 に上 記 請 求 書 等 を渡 して、これらを添 付 した経 費 申 請 書 を作 成 させ、 財 務 経 理 部 門 での稟 議 に付 させたところ、同 年 7 月 2 日 、前 渡 金 名 目 で O 社 に SJI から 4,725 万 円 が振 り込 まれた。 ウ SJI 内 の意 思 決 定 の状 況 別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」「A 取 引 の詳 細 」のうち、番 号 2 以 降 の仕 入 先 を E 社 とする取 引 を実 施 するに当 たっては、当 時 V 氏 が SJI の取 締 役 を兼 任 しており、同 社 の「職 務 権 限 規 程 」に基 づき、取 締 役 の競 業 取 引 、利 益 相 反 などに関 する事 項 に該 当 する事 項 として、取 締 役 会 の決 裁 を要 するとされていたため、李 氏 は、平 成 22 年 7 月 中 旬 頃 、SJI の取 締 役 会 の包 括 的 な承 認 を得 るため、S 氏 に指 示 して、取 締 役 会 に 付 議 するための説 明 資 料 を起 案 させた。 同 書 面 の題 名 は「E 社 グループと包 括 的 取 引 の実 施 について(関 連 当 事 者 取 引 )」 とされ、そこには、下 記 2 つのスキームについて、E 社 グループと包 括 的 取 引 を実 施 す るが、本 件 は関 連 当 事 者 取 引 に該 当 するため取 締 役 会 での事 前 承 認 を求 めるとの趣 旨 が記 載 され、それぞれ「1.E 社 グループの顧 客 との口 座 取 引 」と「 2.中 国 との貿 易 に関 する取 引 」というスキームに分 けて説 明 をしていた。 すなわち、1 つ目 のスキームである「1.E 社 グループの顧 客 との口 座 取 引 」(以 下 「ス キーム 1 の取 引 」という。)では、従 来 、E 社 グループから販 売 していた大 手 顧 客 から、 「将 来 的 に I 社 グループとのアライアンスを希 望 するに際 し、SJI との取 引 実 績 を作 りた い」という要 望 があり、E 社 グループからの直 接 取 引 に代 わり、SJI が大 手 顧 客 に納 入 ・ 回 収 するという内 容 の口 座 取 引 を実 施 することとされていた。つまり、この スキーム 1 の 取 引 では、E 社 →SJI→大 手 顧 客 という商 流 になると説 明 されていた。 また、その取 引 条 件 として、①顧 客 は I 社 グループとのアライアンスを希 望 する大 手 顧 客 に限 定 する(回 収 リスク)、②取 引 に際 し、顧 客 及 び E 社 グループからの販 売 、仕 入 などの事 務 処 理 はα室 が担 当 する、③毎 月 の取 引 及 び債 権 残 高 について定 例 取 締 役 会 に報 告 する、④粗 利 は 2 パーセント以 上 を確 保 するなどと記 載 され、取 引 予 定 顧 客 として、大 手 上 場 会 社 等 が列 挙 されていた。 次 に、2 つ目 のスキームである「2.中 国 との貿 易 に関 する取 引 」(以 下 「スキーム 2 の 36 取 引 」という。)では、将 来 発 生 する日 本 のソリューション(ハード・ソフト)などを中 国 へ販 売 する場 合 、貿 易 業 務 も絡 ませた取 引 が発 生 する可 能 性 があるため、その貿 易 業 務 について、SJI にそのノウハウを持 った実 務 担 当 者 がおらず、しかも、E 社 グループを通 して中 国 へ日 本 のソリューションを販 売 する可 能 性 が高 いとされていた。さらに、 大 手 顧 客 がハード機 器 を含 めた輸 出 を行 う場 合 、SJI には納 品 せず(伝 票 のみ)、直 接 E 社 グループを通 じて I 社 グループへの取 引 が行 われる可 能 性 があるが、金 額 が大 きい場 合 、何 らかの債 権 保 全 を含 めた回 収 の方 法 を検 討 することを条 件 とするとされていた。 すなわち、このスキーム 2 の取 引 の取 引 では、商 流 は、大 手 顧 客 →SJI→E 社 グルー プ→I 社 グループとなる一 方 で、物 流 は、大 手 顧 客 →E 社 グループ→I 社 グループとな ると説 明 されていた。 また、この取 引 条 件 としては、案 件 により検 討 し、取 締 役 会 へ報 告 するものとされ、 取 引 予 定 顧 客 として、大 手 上 場 会 社 等 が挙 げられ、取 引 対 象 については、「決 済 端 末 など、リハビリ、介 護 機 器 、大 型 プリンタ」と記 載 されていた。 李 氏 は、同 月 20 日 付 けで S 氏 が作 成 した上 記 書 面 が添 付 された取 締 役 会 付 議 起 案 書 に押 印 した上 、E 社 グループと包 括 的 取 引 を実 施 する件 について、翌 21 日 開 催 の取 締 役 会 に上 程 させ、同 取 締 役 会 では、李 氏 を含 む 6 名 の出 席 取 締 役 及 び監 査 役 4 名 の出 席 の下 、承 認 可 決 された。なお、V 氏 は、同 取 締 役 会 を欠 席 し、議 決 にも 加 わっていない。 李 氏 は、上 記 取 締 役 会 決 議 に基 づき、SJI として、同 月 28 日 付 けで E 社 との間 で、 「取 引 基 本 契 約 書 」(以 下 「本 契 約 」ともいう。)を交 わし、その内 容 は ① E 社 の扱 う商 品 を E 社 が SJI に売 り渡 し、SJI はこれ買 い受 けて販 売 する(第 3 条 1 項) ② この売 買 は SJI の取 締 役 会 が別 途 個 別 に承 認 する場 合 を除 き、SJI が定 め る販 売 限 度 額 を超 えて行 ってはならない(第 3 条 2 項 ) ③ その販 売 限 度 額 は、E 社 及 び E 社 のグループ全 体 で、債 権 残 高 を基 準 とし て 20 億 円 とする(第 3 条 3 項 ) ④ 本 契 約 締 結 後 、SJI・E 社 間 又 は SJI・E 社 グループ間 で締 結 される E 社 及 び E 社 グループを売 主 とする個 々の商 品 の売 買 契 約 (以 下 「個 別 契 約 」という。) の内 容 は、SJI・E 社 間 で特 約 を設 ける場 合 を除 き、本 契 約 の定 めるところとす る(第 4 条 1 項 ) ⑤ 個 別 契 約 は、SJI の提 出 する注 文 書 と E 社 又 は E 社 グループの交 付 する注 文 請 書 の交 換 によって成 立 するが、SJI・E 社 の協 議 により、これに代 わる方 法 を定 めることができる(第 4 条 2 項 ) ⑥ E 社 は、その代 表 取 締 役 をして、本 契 約 の締 結 に先 立 ち、本 契 約 及 び個 別 契 約 について重 要 な事 実 を、SJI の取 締 役 会 において開 示 したことを表 明 し、 37 保 証 する(第 5 条 1 項 ) ⑦ SJI は、第 5 条 1 項 の開 示 に基 づき、本 契 約 の締 結 に先 立 ち、本 契 約 及 び 個 別 契 約 について、会 社 法 365 条 1 項 及 び 356 条 1 項 の競 業 取 引 及 び利 益 相 反 取 引 についての承 認 したことを表 明 する(第 5 条 2 項 ) などというものであった。 李 氏 は、E 社 との間 の上 記 内 容 の「取 引 基 本 契 約 書 」の締 結 に基 づき、S 氏 に指 示 して、E 社 等 を仕 入 先 とする取 引 を実 行 させ、別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」「A 取 引 の詳 細 」のうち、仕 入 先 が E 社 となっている番 号 2、3、5、7 記 載 の各 取 引 について は、上 記 「スキーム 1 の取 引 」として、SJI から E 社 の口 座 に前 渡 金 名 目 により資 金 を 振 込 入 金 させた。 他 方 、仕 入 先 が E 社 以 外 、SJI 販 売 先 の販 売 先 が SJI 香 港 、SIJ グループの販 売 先 が国 外 所 在 の H 社 となっている番 号 4、6、8、9、10 記 載 の各 取 引 については、上 記 「スキーム 2 の取 引 」として、仮 装 仕 入 先 である O 社 又 は N 社 の口 座 に前 渡 金 名 目 により資 金 を振 込 入 金 させた。 これらの取 引 については、上 記 取 締 役 会 に付 議 した際 に添 付 した前 記 「E 社 グル ープと包 括 的 取 引 の実 施 について(関 連 当 事 者 取 引 )」記 載 のとおり、E 社 との毎 月 の取 引 及 び債 権 残 高 について定 例 取 締 役 会 に報 告 することとされていたため、 SJI では、毎 月 の E 社 等 との取 引 に関 し、顧 客 名 、販 売 商 品 、仕 入 額 、売 上 額 、粗 利 額 、 納 品 日 、回 収 予 定 日 等 が記 載 された報 告 書 が主 に S 氏 によって、作 成 され、平 成 22 年 9 月 以 降 、毎 月 開 催 される定 例 取 締 役 会 では、γ本 部 長 であった X 氏 、また は S 氏 により、取 締 役 及 び監 査 役 に対 し、上 記 報 告 書 に基 づき、E 社 等 との取 引 の 現 状 等 が報 告 されていた。 (2) 各 取 引 の実 行 状 況 等 ア 李 氏 による仮 装 取 引 実 行 の依 頼 等 李 氏 は、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 に充 てる資 金 が必 要 になると、E 社 及 び F 社 の 代 表 取 締 役 である V 氏 に電 話 あるいは面 談 の方 法 で、必 要 な資 金 の金 額 、SJI グル ープから出 金 する時 期 、商 品 名 、仕 入 先 及 び販 売 先 等 の仮 装 する取 引 内 容 、資 金 を SJI グループに入 金 する時 期 等 について打 ち合 わせて、仮 装 取 引 実 行 を依 頼 するとと もに、E 社 の経 理 担 当 者 に対 し、E 社 等 の仮 装 仕 入 先 に SJI グループから入 金 された 後 の送 金 先 及 び送 金 額 等 をメールや電 話 で依 頼 していた。 他 方 、V 氏 は、E 社 の営 業 担 当 者 である W 氏 に指 示 して、E 社 が仕 入 先 となる場 合 には、E 社 名 義 の見 積 書 、注 文 請 書 及 び請 求 書 等 、E 社 以 外 が仕 入 先 となる場 合 に は、当 該 仕 入 先 から同 社 名 義 の見 積 書 、注 文 請 書 及 び請 求 書 等 の必 要 書 類 を入 手 38 させるとともに、販 売 先 からも、SJI に対 する注 文 書 等 の必 要 書 類 を入 手 させた。その 後 、SJI では、S 氏 が、W 氏 と打 合 せなどの際 に、仕 入 先 宛 の SJI 名 義 の注 文 書 等 、 販 売 先 宛 の見 積 書 及 び注 文 請 書 等 の必 要 書 類 を作 成 した上 、W 氏 から仕 入 先 及 び 販 売 先 からの必 要 書 類 を受 領 する際 に交 付 していた。 イ SJI の承 認 手 続 SJI では、番 号 2 以 降 の取 引 については、S 氏 が経 費 申 請 書 を起 案 し、W 氏 との打 合 せ等 により入 手 した E 社 等 の仕 入 先 からの見 積 書 及 び請 求 書 、SJI 名 義 の注 文 請 書 等 の必 要 書 類 を添 付 し、財 務 経 理 部 門 に回 付 し、同 部 門 から稟 議 手 続 として、 李 氏 の承 認 印 を徴 求 していた。そのため李 氏 は、各 取 引 の経 費 申 請 書 に記 載 された内 容 を見 て、SJI グループから仮 装 仕 入 先 に前 渡 金 名 目 で支 払 われる金 額 と日 付 等 を 把 握 していた。 ウ SJI グループから出 金 後 の資 金 の流 れ等 E 社 等 の仕 入 先 とされた協 力 会 社 では、SJI 又 は SJI 香 港 から入 金 された金 額 につ いて、李 氏 の依 頼 どおりに、指 定 された金 額 を指 定 された口 座 に振 込 入 金 するなどし た。李 氏 は、その資 金 の一 部 を直 接 又 は間 接 に 自 己 名 義 の口 座 に振 込 入 金 させた ほか、自 己 の借 入 先 に直 接 、振 込 入 金 させるなどし、自 己 の 借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てた。 当 委 員 会 は、李 氏 個 人 名 義 の口 座 の取 引 明 細 に関 する資 料 の提 供 は受 けられな かったものの、他 の資 料 で調 査 し得 る限 りにおいて、A 取 引 により、SJI グループの口 座 から前 渡 金 名 目 で出 金 された金 額 のうち、李 氏 個 人 名 義 の口 座 に約 4 億 6,119 万 円 が入 金 されたことが確 認 できた。 エ 販 売 代 金 名 目 による入 金 李 氏 は、前 記 (2)イ記 載 のとおり、SJI 社 内 で経 費 申 請 書 の承 認 印 を押 印 する際 、 売 上 月 として記 載 されている時 期 を確 認 していた上 、前 記 (1)ウ記 載 のとおり、平 成 22 年 9 月 以 降 、SJI の定 例 取 締 役 会 では、各 取 引 の状 況 等 が記 載 された書 面 に基 づく 報 告 がなされた。 その書 面 には、各 取 引 の仕 入 額 、粗 利 、売 上 額 に加 え、販 売 先 の入 金 日 及 び入 金 予 定 日 等 も記 載 されており、李 氏 はこれを見 て、SJI グループへの入 金 時 期 及 び入 金 額 を把 握 していた。そこで、李 氏 は、入 金 時 期 が近 づくと、自 ら借 入 れをするな どし て返 済 原 資 となる資 金 を用 意 し、仮 装 販 売 先 に送 金 して、SJI グループへの入 金 を依 頼 するとともに、仮 装 販 売 先 からの代 金 の回 収 が遅 れている場 合 も、自 ら借 入 れをす るなどして返 済 原 資 を提 供 した上 、仮 装 販 売 先 から SJI グループへの送 金 を依 頼 し 39 た。 他 方 、李 氏 は、E 社 の V 氏 に対 し、販 売 先 と仮 装 した先 が発 行 した受 領 書 兼 検 収 書 等 の必 要 書 類 の入 手 を依 頼 するとともに、SJI 社 内 では S 氏 に対 し、納 品 書 を作 成 の上 、E 社 から上 記 販 売 先 発 行 の受 領 書 兼 検 収 書 を入 手 の上 、請 求 書 を起 案 するよ う指 示 した。これを受 け、S 氏 は、E 社 の W 氏 から、販 売 先 の発 行 した受 領 書 兼 検 収 書 を入 手 の上 、仮 装 販 売 先 からの入 金 を確 認 後 、 受 領 書 兼 検 収 書 を添 付 した売 上 実 績 表 を作 成 し、財 務 経 理 部 門 に回 付 した。 オ 入 金 後 の会 計 処 理 その後 、SJI の財 務 経 理 部 門 では、入 金 額 と前 渡 金 の差 額 につき売 上 計 上 してい た。 (3) 評 価 ・検 討 李 氏 は、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに用 いる目 的 で、自 己 が代 表 取 締 役 を務 める SJI から、国 内 におけるハードウェア取 引 を仮 装 して資 金 を流 出 させ、これを自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 り に充 てているところ 、代 表 取 締 役 社 長 の立 場 を利 用 し、一 時 的 とはいえ、SJI の資 金 を私 的 に用 いたという評 価 は免 れないであろう。 また、李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 という実 態 に着 目 すれば、SJI との関 係 で利 益 相 反 取 引 に該 当 することは明 らかであり、手 続 面 からみても、取 締 役 会 設 置 会 社 である SJI においては、会 社 法 365 条 1 項 及 び 356 条 1 項 に基 づき、李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 を行 うことに関 し、取 締 役 会 の承 認 を受 けるべきであったといえる。 もっとも、李 氏 が A 取 引 の動 機 や背 景 事 情 は、前 記 2(1)ア記 載 のとおり、SJI に余 剰 資 金 があり、これを投 資 等 に充 てる予 定 がなかったため、一 部 を自 己 の個 人 的 な債 務 の返 済 等 に充 て、後 日 、数 パーセントの利 息 を付 して返 済 すれば、 SJI の余 剰 資 金 の 増 大 につながり、同 資 金 の有 効 活 用 になると考 えたというものであり、実 際 にも、A 取 引 については、国 内 ハードウェア取 引 を仮 装 した 10 件 の取 引 により、平 成 23 年 3 月 期 か ら平 成 25 年 3 月 期 までの間 に合 計 20 億 6,063 万 2,770 円 が SJI から出 金 されたもの の、約 3 か月 から約 1 年 5 か月 以 内 に、約 2.5 パーセントの利 息 相 当 の金 額 を付 して 合 計 21 億 1,176 万 9,167 円 が戻 ってきており、これらは李 氏 個 人 の経 済 的 負 担 により 資 金 が捻 出 されたものであるから、SJI には実 質 的 な損 害 は発 生 していないといえる。 40 3. B取 引 について (1) 原 因 及 び背 景 事 情 ア 取 引 の動 機 及 び経 緯 等 李 氏 は、平 成 23 年 4 月 頃 、李 氏 は、SJI にいまだ余 剰 資 金 が残 っていたところ、A 取 引 と同 様 、その余 剰 資 金 のうち 12 億 円 程 度 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 て、数 パーセントの利 息 に相 当 する金 額 を付 して後 日 、SJI に返 済 すれば、むし ろ SJI の資 金 の増 大 につながり、同 資 金 の有 効 活 用 にもなると考 えた。 他 方 、李 氏 は、この場 合 も、SJI において、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに 充 てるという使 途 を明 らかにして、SJI の取 締 役 会 の承 認 を得 るなどの内 部 手 続 を踏 む ことも可 能 であると考 えたが、一 方 で、上 場 企 業 である SJI が代 表 取 締 役 に対 し、多 額 の貸 付 金 を有 することは、同 社 及 び自 己 の代 表 取 締 役 としての信 用 を低 下 させるので はないかと懸 念 した。 そして、この時 期 、SJI 香 港 には、SJI から数 名 の出 向 者 がおり、SJI 香 港 としての経 費 が増 えていたという事 情 もあり、同 社 に売 上 計 上 させることにより、SJI グループ内 で の SJI 香 港 の収 支 も改 善 すると考 え、金 融 機 関 向 けの ATM を仕 入 れて販 売 するとの 取 引 を仮 装 し、SJI から SJI 香 港 に約 12 億 円 を貸 し付 け、SJI 香 港 が国 外 の取 引 先 に 対 し ATM を仕 入 れて販 売 するとの取 引 を仮 装 し、自 己 に対 する約 12 億 円 の資 金 融 通 を行 おうと考 えた。 李 氏 は、これには、国 外 に所 在 する、E 社 の子 会 社 の F 社 の協 力 が必 要 であったた め、その頃 、E 社 及 び F 社 の代 表 取 締 役 を兼 任 していた V 氏 に対 し、事 情 を告 げて、 上 記 仮 装 取 引 への協 力 を要 請 し、F 社 の協 力 を取 り付 けた。 李 氏 は、V 氏 との間 で、仕 入 先 を F 社 と仮 装 し、販 売 先 を H 社 と仮 装 し、資 金 につ いては、SJI から SJI 香 港 を介 して、前 渡 金 の名 目 で約 12 億 円 を送 金 し、その後 、H 社 から ATM の販 売 代 金 の名 目 で、SJI 香 港 を介 して、SJI の口 座 に入 金 されるという 体 裁 を整 えることにした。 イ SJI 社 内 での事 務 担 当 者 への指 示 李 氏 は、その後 、SJI 社 内 において、海 外 事 業 の担 当 部 署 であるβ部 長 である U 氏 に対 し、F 社 が ATM を H 社 に販 売 するという商 流 に、SJI が入 るという形 で取 引 を行 う ことになり、約 12 億 円 の取 引 をすることになった旨 告 げ、以 後 、F 社 と打 ち合 わせて、 この取 引 に必 要 な書 類 等 を用 意 するとともに、SJI 香 港 及 び SJI において所 要 の手 続 に付 するよう指 示 した。そのため、U 氏 は李 氏 から指 示 された内 容 の取 引 は実 在 する 41 ハードウェア取 引 であると認 識 していた。 U 氏 は、上 記 李 氏 の指 示 を受 け、取 引 に必 要 な書 類 等 については、F 社 の担 当 者 でもある W 氏 と打 ち合 わせるなどして用 意 するとともに、SJI 香 港 及 び SJI における承 認 手 続 に必 要 な資 料 等 を作 成 するなどした。 ウ SJI 香 港 の董 事 会 による承 認 手 続 平 成 23 年 4 月 26 日 、SJI の会 議 室 において、李 氏 を含 む 3 人 の全 董 事 出 席 の下 、 SJI 香 港 の董 事 会 が開 催 され、議 長 である董 事 から、「ATM 取 引 に係 る資 金 借 入 の 件 」という議 案 について、販 売 契 約 の概 要 (販 売 先 、販 売 金 額 、契 約 予 定 日 、検 収 予 定 日 及 び回 収 予 定 期 日 )、仕 入 契 約 の概 要 (仕 入 先 、仕 入 予 定 金 額 及 び支 払 予 定 日 )、資 金 借 入 (金 額 、借 入 期 間 、借 入 方 法 、借 入 利 息 )について説 明 がなされ、本 議 案 が諮 られたところ、SJI の取 締 役 会 の決 裁 を得 ることを条 件 として全 会 一 致 で可 決 承 認 された。 エ SJI における承 認 手 続 (ア) 子 会 社 に対 する貸 付 に係 る規 程 等 SJI の当 時 の「職 務 権 限 表 」に添 付 された「金 額 決 裁 権 限 表 」によれば、海 外 事 業 の関 連 の 5 億 円 を超 える貸 付 は、海 外 事 業 を統 括 する本 部 の担 当 役 員 又 は統 括 本 部 長 が起 案 する権 限 者 の最 下 位 職 位 とされ、社 長 の意 見 を 得 て、取 締 役 会 での決 裁 を要 する事 項 とされていた。そこで、李 氏 は、U 氏 に対 し、B 取 引 につき、取 締 役 会 に付 議 する資 料 の作 成 を指 示 したところ、U 氏 は、「特 定 利 害 関 係 人 との取 引 及 び 当 該 取 引 に係 る子 会 社 に対 する貸 金 貸 付 について」と題 する書 面 を作 成 し、その中 で、SJI 香 港 に対 する資 金 貸 付 の原 因 となる取 引 が、中 国 国 内 金 融 機 関 向 け金 融 端 末 (ATM)を F 社 から仕 入 れて、中 国 企 業 である H 社 に販 売 するというものであり、 販 売 契 約 が、販 売 先 を H 社 とし、販 売 金 額 が 12 億 4,200 万 円 (ただし、実 行 時 為 替 レートにより変 動 あり)であり、契 約 予 定 日 が平 成 23 年 5 月 18 日 、検 収 予 定 日 が同 年 8 月 30 日 、回 収 予 定 期 日 が同 年 11 月 30 日 という内 容 であり、仕 入 契 約 が、仕 入 先 を F 社 とし、仕 入 予 定 金 額 が 12 億 円 (ただし、実 行 時 為 替 レートにより変 動 あり) であり、支 払 予 定 日 は契 約 締 結 後 に決 めるとの内 容 であり、SJI の SJI 香 港 に対 する 資 金 貸 付 の内 容 が、金 額 が 12 億 円 、貸 付 期 間 が平 成 23 年 5 月 17 日 から平 成 24 年 3 月 31 日 までであり、貸 付 利 息 が 2.0 パーセントであることなどを記 載 し、海 外 事 業 担 当 の役 員 の承 認 を得 た。 42 (イ) 取 締 役 会 平 成 23 年 5 月 16 日 、SJI の役 員 会 議 室 において、李 氏 ら取 締 役 6 名 及 び監 査 役 4 名 の出 席 の下 、取 締 役 会 が開 催 され、陪 席 していた U 氏 により、「特 定 利 害 関 係 人 との取 引 及 び当 該 取 引 に係 る子 会 社 に対 する資 金 貸 付 について」という決 議 事 項 として、上 記 の「特 定 利 害 関 係 人 との取 引 及 び当 該 取 引 に係 る子 会 社 に対 す る貸 金 貸 付 について」と題 する書 面 に基 づく説 明 がなされ、質 疑 の中 で、U 氏 により、 取 引 による粗 利 益 は 4,200 万 (粗 利 益 率 3.3 パーセント)であること及 び調 達 金 利 が 1.37 パーセントであることが回 答 された後 、可 決 承 認 された。 オ 仕 入 名 目 による出 金 その後 、李 氏 は、U 氏 に指 示 して、F 社 の W 氏 と打 ち合 わせて、F 社 と SJI 香 港 との の間 の ATM の仕 入 契 約 書 (金 額 は日 本 円 で 11 億 9,916 万 6,400 円 )を作 成 させた 上 、これに署 名 をした。U 氏 は、この SJI 香 港 の契 約 書 及 び SJI との金 銭 消 費 貸 借 契 約 書 を財 務 経 理 部 門 に回 付 したところ、平 成 23 年 5 月 20 日 、SJI から SJI 香 港 に 11 億 9,916 万 6,400 円 の貸 付 が実 行 され、同 日 のうちに、SJI 香 港 から F 社 に同 額 が入 金 された。 李 氏 は、F 社 の経 理 担 当 者 に資 金 の送 金 先 と金 額 等 を指 示 し、これらの金 額 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 に充 てた。 カ 李 氏 のよる返 済 原 資 の準 備 と SJI 香 港 への代 金 名 目 による入 金 等 李 氏 は、B 取 引 についても、A 取 引 と同 様 、SJI の定 例 取 締 役 会 での報 告 の際 に、 各 取 引 の仕 入 額 、粗 利 、売 上 額 に加 え、販 売 先 からの代 金 回 収 予 定 日 が記 載 され た書 面 が提 出 されて、現 状 が報 告 されていたため、代 金 回 収 が遅 滞 しているとの 扱 い になっていることを知 っていた。 そこで、李 氏 は、個 人 で借 入 れをしていた事 業 会 社 の J 社 から新 たに 10 億 円 程 度 を借 り入 れ、自 己 の関 連 先 の口 座 を通 じて、H 社 に約 7 億 円 の資 金 を提 供 し、H 社 を して、同 年 6 月 6 日 、6,971 万 6,680 香 港 ドル(日 本 円 換 算 で 7 億 733 万 4,978 円 ) を SJI 香 港 の口 座 に振 込 入 金 させた。 また、李 氏 は、平 成 24 年 11 月 上 旬 頃 、B 取 引 の残 代 金 の入 金 のため、5 億 5,000 万 円 が必 要 であったが、これについては、E 社 の代 表 取 締 役 である V 氏 に依 頼 し、同 月 5 日 、かねて個 人 で借 入 れをしていた事 業 会 社 の Q 社 に E 社 名 義 で 5 億 5,000 万 円 を借 り入 れさせ、同 社 に入 金 された 5 億 5,000 万 円 を H 社 の口 座 に振 込 入 金 さ せ、同 月 7 日 、H 社 をして、SJI 香 港 の口 座 に 5 億 5,000 万 円 の振 込 入 金 をさせた。 SJI 香 港 は、同 日 、同 額 を SJI の口 座 に入 金 し、B 取 引 による SJI に対 する借 入 金 の一 43 部 を返 済 した。 キ 入 金 後 の会 計 処 理 SJI 香 港 では、仮 装 販 売 先 である H 社 から販 売 代 金 名 目 による入 金 があると、財 務 経 理 部 門 において、当 該 入 金 額 と前 渡 金 としての差 額 を売 上 計 上 するという会 計 処 理 を行 っていた。 (2) B取 引 に伴 う不 適 切 な資 金 移 動 及 び不 適 正 な会 計 処 理 当 委 員 会 による B 取 引 に係 る調 査 の過 程 で、以 下 のような不 適 切 な資 金 移 動 及 び それに基 づく不 適 正 な会 計 処 理 がなされていることが判 明 した。 すなわち、前 記 (1)カ記 載 のとおり、李 氏 は、B 取 引 に係 る仮 装 販 売 先 である H 社 の 2 回 目 の入 金 5 億 5,000 万 円 の原 資 は、E 社 に依 頼 し、事 業 会 社 Q 社 から E 社 名 義 で 借 り入 れることにより捻 出 したところ、その借 入 れの返 済 期 限 が近 付 いていたため、E 社 の Q 社 に対 する返 済 資 金 を工 面 する必 要 があった。 そこで、李 氏 は、事 情 を知 らない X 氏 を通 じて、①平 成 24 年 11 月 30 日 に 3 億 7,000 万 円 、②同 年 12 月 5 日 に 2 億 円 を SJI から E 社 の口 座 に振 込 入 金 させ、E 社 はこの 資 金 を原 資 に、Q 社 に対 し、合 計 約 7 億 5,600 万 円 を返 済 した。 SJI では、①の 3 億 7,000 万 円 のうち、2 億 2,000 万 円 について E 社 への短 期 貸 付 金 として会 計 処 理 され、②の 2 億 円 についても E 社 への短 期 貸 付 金 として会 計 処 理 さ れているが、少 なくとも、この 2 億 2,000 万 円 及 び 2 億 円 の合 計 4 億 2,000 万 円 につい ては、李 氏 が B 取 引 の 2 回 目 の代 金 を仮 装 して 5 億 5,000 万 円 を返 済 するための資 金 を E 社 名 義 で、Q 社 から 5 億 5,000 万 円 を借 り入 れさせ、この借 入 れを返 済 するため に SJI から出 金 されたものであるから、その実 質 は、李 氏 個 人 への資 金 融 通 と認 められ る。したがって、この SJI から E 社 への合 計 4 億 2,000 万 円 の短 期 貸 付 金 については、 李 氏 個 人 への資 金 融 通 という実 態 を反 映 した会 計 処 理 がなされるべきである。 なお、李 氏 は、上 記 4 億 2,000 万 円 については、事 業 会 社 である J 社 から新 たに個 人 で借 入 れをし、これを原 資 として、平 成 25 年 6 月 24 日 に、事 業 会 社 をして、E 社 名 義 で SJI 名 義 の口 座 に振 込 入 金 をさせたことにより、全 額 返 済 をした。 (3) 評 価 ・検 討 李 氏 は、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てるため 、自 己 が董 事 長 を務 め る SJI 香 港 から、国 外 におけるハードウェア取 引 を仮 装 して、資 金 を流 出 させ、これを循 環 させ、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てているところ、 A 取 引 と同 様 、SJI 香 港 の董 事 の立 場 を利 用 し、一 時 的 とはいえ、SJI グループの資 金 を私 的 に用 いたとい う評 価 は免 れないであろう。 44 また、李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 という実 態 に着 目 すれば、SJI 香 港 との関 係 はもと より、SJI との関 係 でも利 益 相 反 取 引 に該 当 することは明 らかであり、手 続 面 からみても、 取 締 役 会 設 置 会 社 である SJI においては、会 社 法 365 条 1 項 及 び 356 条 1 項 に基 づ き、李 氏 個 人 に対 する金 融 取 引 を行 うことに関 して、取 締 役 会 の承 認 を受 けるべきであ ったといえる。 もっとも、李 氏 が A・B 取 引 実 施 の動 機 や背 景 事 情 は、第 4・2(1)及 び第 4・3(1)記 載 のとおり、SJI に余 剰 資 金 があり、これを投 資 等 に充 てる予 定 がなかったため、一 部 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 て、後 日 、数 パーセントの利 息 を付 して返 済 す れば、SJI に損 害 を与 えることはなく、むしろ SJI の余 剰 資 金 の増 大 につながり、同 資 金 の有 効 活 用 になると考 えたというものである。 そして、実 際 にも、B 取 引 については、SJI 香 港 から出 金 から約 1 年 半 以 内 に、1 回 目 は 7 億 733 万 4,978 円 、2 回 目 は 5 億 5,000 万 円 というように、2 回 に分 けて、李 氏 か ら、SJI 香 港 に対 し、約 4.9 パーセントの利 息 とも評 価 できる金 額 が付 して合 計 12 億 5,733 万 4,978 円 が戻 し入 れられており、これらは、李 氏 個 人 の経 済 的 負 担 により資 金 が捻 出 されたものであるから、実 質 的 な損 害 は発 生 していないといえる。 4. C 取 引 について (1) 原 因 及 び背 景 事 情 等 李 氏 は、平 成 24 年 5 月 頃 、E 社 の代 表 取 締 役 V 氏 から同 社 の取 引 先 である G 社 から事 業 資 金 として 1 億 円 を借 り入 れるに際 し、SJI 香 港 の連 帯 保 証 を要 請 されたが、E 社 から G 社 に確 実 に返 済 されると考 え、了 承 した。 (2) 取 引 の実 態 李 氏 は、平 成 24 年 5 月 28 日 、SJI において、V 氏 からの要 請 で、E 社 名 義 の G 社 宛 ての金 銭 借 用 証 書 に連 帯 保 証 人 欄 に、保 管 していた SJI 香 港 のゴム印 を押 印 すると ともに、同 社 の董 事 として署 名 した。 なお、上 記 金 銭 借 用 証 書 には、借 入 金 額 が 1 億 円 、借 入 方 法 につき「平 成 24 年 5 月 28 日 一 括 借 入 」、弁 済 期 限 につき「平 成 24 年 7 月 5 日 迄 」、利 息 につき「年 利 5%」、 元 利 支 払 方 法 につき「平 成 24 年 7 月 5 日 迄 に一 括 返 済 する。」などと記 載 されていた。 また、SJI 香 港 は、国 外 に拠 点 を置 く会 社 であるため、実 印 は存 在 せず、李 氏 は、董 事 長 として保 管 していた SJI 香 港 のゴム印 を押 した。 なお、E 社 は、平 成 25 年 7 月 5 日 、G 社 から借 り入 れた 1 億 円 を全 額 返 済 したが、 この主 債 務 の弁 済 に伴 い、SJI 香 港 の連 帯 保 証 債 務 も消 滅 した。 45 李 氏 は、上 記 のように E 社 の G 社 に対 する債 務 につき SJI 香 港 が連 帯 保 証 をしたこ とにつき、日 々の仕 事 に忙 殺 され、他 の董 事 及 び U 氏 らに伝 えることを失 念 していた。 そのため、SJI 香 港 及 び SJI の財 務 経 理 部 門 においても、この SJI 香 港 の債 務 保 証 の存 在 を把 握 していなかったため、会 計 処 理 がなされていなかった。 なお、SJI 香 港 の職 務 権 限 規 程 に添 付 された「金 額 決 裁 権 限 表 」によれば、SJI 香 港 における 1 億 円 以 下 の債 務 保 証 については、董 事 長 の決 裁 事 項 とされており、かつ、 親 会 社 である SJI の社 長 の決 裁 事 項 であり、取 締 役 会 への報 告 を要 する事 項 とされて いたが、上 記 債 務 保 証 については、SJI の取 締 役 会 への報 告 はなされていなかった。 (3) 評 価 ・検 討 李 氏 は、E 社 の V 氏 から依 頼 を受 け、SJI 香 港 の董 事 長 として、E 社 による 1 億 円 の 借 入 れにつき連 帯 保 証 をしているところ、この債 務 保 証 は、李 氏 の SJI 香 港 の董 事 長 及 び SJI 代 表 取 締 役 社 長 の権 限 の範 囲 で行 われている。 もっとも、李 氏 が上 記 「金 額 決 裁 権 限 表 」に規 定 された取 締 役 会 に対 する事 後 の報 告 を行 っていないという点 では、内 部 規 程 に定 められた手 続 を踏 んでおらず、その結 果 、 SJI グループにおいて会 計 処 理 がなされなかったものといえる。 5. D 取 引 について (1) 原 因 及 び背 景 事 情 等 平 成 25 年 3 月 頃 、SJI は、事 業 持 株 会 社 からの SJI の借 入 れにつき、借 換 えの資 金 として約 19 億 円 を必 要 としていたが、従 前 から取 引 を有 していた金 融 機 関 からは追 加 融 資 を受 けられなかった。そこで、李 氏 は、知 人 を介 し、それまで SJI と取 引 を有 してい なかった P 銀 行 に融 資 を依 頼 したところ、受 けられる見 通 しである旨 聞 いた。 李 氏 は、19 億 円 の融 資 を受 けられる確 証 のないまま、同 年 4 月 3 日 、P 銀 行 の支 店 に赴 いたところ、同 支 店 長 から既 に SJI に対 する 19 億 円 の融 資 については稟 議 済 みで あり、実 行 可 能 である旨 を聞 いた。 李 氏 は、この時 点 では、SJI において、取 締 役 会 の承 認 手 続 等 の内 部 手 続 を経 てい なかったことから、19 億 円 の融 資 を受 けるための金 銭 消 費 貸 借 契 約 を締 結 することには 躊 躇 を覚 えたが、P 銀 行 からは今 後 、SJI が信 用 貸 しを受 けられることも示 唆 されていた こともあり、P 銀 行 で SJI 名 義 の口 座 を開 設 の上 、19 億 円 の融 資 を受 ける手 続 き自 体 は 行 うことにしたが、その 19 億 円 を SJI の運 転 資 金 に充 てることは差 し控 え、一 部 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てることとし、短 期 間 のうちに全 額 を返 済 し、同 口 座 を閉 鎖 することにした。 46 (2) 取 引 の実 態 ア P 銀 行 からの 19 億 円 の融 資 について 李 氏 は、同 日 、SJI 名 義 の口 座 を開 設 するとともに、P 銀 行 との間 の金 銭 消 費 貸 借 契 約 証 書 の債 務 者 の欄 に、SJI の代 表 取 締 役 として署 名 した上 、同 社 の実 印 を押 した。 なお、上 記 金 銭 消 費 貸 借 契 約 では、最 終 返 済 期 日 が平 成 26 年 4 月 3 日 とされ、年 率 は 2.2 パーセントとされていた。 上 記 金 銭 消 費 貸 借 契 約 に基 づき、同 日 中 に、上 記 SJI 名 義 の口 座 に 19 億 円 が入 金 されたが、李 氏 は、その後 、入 金 額 の一 部 を自 己 の借 入 れの返 済 に充 てたものの、 上 記 19 億 円 は、同 月 26 日 に全 額 返 済 した。その後 、李 氏 は、個 人 的 な借 入 金 の振 込 先 口 座 にするなどして、同 口 座 を使 用 していたが、同 年 6 月 28 日 に、同 口 座 を解 約 した。 李 氏 は、これらの手 続 は単 独 で行 い、SJI の社 内 では P 銀 行 の口 座 を開 設 の上 、 19 億 円 の融 資 を受 けたことなどを秘 匿 していたため、SJI においては会 計 処 理 はなさ れておらず、SJI 社 内 でこれらの事 実 を知 っていた者 の存 在 は確 認 できなかった。 イ 事 業 会 社 2 社 からの合 計 9 億 2,500 万 円 の借 入 れについて 李 氏 は、前 記 ア記 載 のとおり、P 銀 行 から 19 億 円 の融 資 を受 けるに当 たり、SJI 名 義 の口 座 を開 設 したものの、融 資 を受 けた 19 億 円 は速 やかに返 済 し、同 口 座 も閉 鎖 し ようと考 えていたところ、その間 、同 口 座 を事 業 会 社 から借 入 れを受 ける際 の入 金 用 の 口 座 に使 用 しようと考 えた。そこで、李 氏 は、SJI 名 義 の口 座 に入 金 を受 けることになる 以 上 、SJI 名 義 で事 業 会 社 から借 入 れを受 けようと考 え、SJI の取 締 役 会 の承 認 を受 け ることなく、Q 社 から、平 成 25 年 6 月 11 日 に 1 億 7,000 万 円 を、同 月 13 日 に 5,500 万 円 をそれぞれ借 り入 れて、上 記 SJI 名 義 の口 座 に入 金 させ、この資 金 を自 己 の借 入 先 に直 接 、振 込 入 金 して、返 済 に充 てるなどした。 同 様 に、李 氏 は、SJI の取 締 役 会 の承 認 を得 ることなく、SJI 名 義 で、事 業 会 社 の R 社 から、平 成 25 年 4 月 19 日 、同 年 6 月 10 日 、同 月 11 日 に、それぞれ 3 億 5,000 万 円 、1 億 円 、2 億 5,000 万 円 を借 り入 れて、P 銀 行 に SJI 名 義 の口 座 に入 金 させた 後 、自 己 の借 入 先 に入 金 するなどして、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 に充 てた。 李 氏 は、各 借 入 れの際 、Q 社 及 び R 社 との間 で、SJI の代 表 取 締 役 として、金 銭 消 費 貸 借 契 約 を締 結 しており、SJI 内 部 の承 認 を経 ていないにもかかわらず、SJI の実 印 を押 捺 した上 、署 名 をした。 その後 、李 氏 は、他 から借 入 れをするなどして、返 済 資 金 を工 面 した後 、Q 社 に対 する合 計 2 億 2,500 万 円 の借 入 れについては、平 成 25 年 7 月 19 日 までの間 に分 47 割 して全 額 返 済 した。 他 方 、李 氏 は R 社 に対 する合 計 7 億 円 の借 入 れについても、他 から借 入 れをする などして、返 済 資 金 を工 面 した後 、R 社 に対 し、平 成 25 年 5 月 29 日 、平 成 26 年 1 月 31 日 の 2 回 に分 けて全 額 返 済 した。 (3) 評 価 ・検 討 ア P 銀 行 からの 19 億 円 の融 資 について 李 氏 は、SJI が P 銀 行 から 19 億 円 もの多 額 の融 資 を受 ける上 で、取 締 役 会 の承 認 を経 ず、独 断 で実 行 した点 については、コンプライアンスの観 点 から 重 大 な問 題 であ る。 また、19 億 円 について融 資 の実 行 を受 けたにもかかわらず、これを SJI の運 転 資 金 に使 うことなく、一 部 を自 己 の 借 入 れの返 済 等 に充 てた点 についても、 一 時 的 とはい え、SJI の資 金 を私 的 に用 いたとの批 判 は免 れないであろう。 しかしながら、李 氏 が SJI 名 義 で P 銀 行 から融 資 を受 けた 19 億 円 については、李 氏 個 人 の経 済 的 負 担 により、融 資 実 行 から約 3 週 間 後 に全 額 を返 済 しているため、SJI には実 質 的 な損 害 は発 生 していないといえる。 イ 事 業 会 社 2 社 からの合 計 9 億 2,500 万 円 の借 入 れについて 李 氏 は、SJI の承 認 手 続 を経 ることなく、合 計 4 回 にわたり、事 業 会 社 である Q 社 及 び R 社 から SJI 名 義 で合 計 9 億 2,500 万 円 もの金 額 を借 り入 れており、この点 も、コン プライアンスの観 点 から重 大 な問 題 である。 また、これらの借 入 れは、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てる目 的 による ものであり、しかも、李 氏 は、P 銀 行 の SJI 名 義 の口 座 への入 金 を受 けた後 、自 己 の借 入 先 に振 り込 むなどしており、実 際 に、自 己 の資 金 繰 りに充 てているため、一 時 的 にで はあっても、SJI の資 金 を私 的 に用 いたとの批 判 は免 れないであろう。 しかしながら、李 氏 が SJI 名 義 で事 業 会 社 2 社 から借 り入 れた合 計 9 億 2,500 万 円 についても、李 氏 の経 済 的 負 担 により、各 借 入 れから約 3 週 間 から約 7 か月 以 内 に全 額 返 済 しているため、SJI には実 質 的 な損 害 は発 生 していないといえる。 6. 李 氏 の現 在 の負 債 の状 況 等 李 氏 は、現 時 点 でも、複 数 の事 業 会 社 や知 人 等 から少 なくとも数 十 億 円 以 上 の負 債 を負 っており、借 換 え等 の資 金 繰 りにより、利 息 の支 払 いを継 続 しており、 元 本 の返 済 ま では困 難 な状 況 であり、他 方 、特 段 価 値 のある積 極 財 産 を保 有 しているとも認 め 難 いこ 48 とから、依 然 として債 務 超 過 の状 況 にあると認 められた。 49 第 5. 1. 認 定 した事 実 に基 づく適 正 な会 計 処 理 の検 討 A・B 取 引 について (1) 当 初 なされていた会 計 処 理 SJI 及 び連 結 子 会 社 は、国 内 10 件 及 び海 外 1 件 について成 果 物 の納 品 がないにも かかわらず、これらの取 引 につき、仕 入 先 と仮 装 された会 社 の口 座 に振 り込 んだハード ウェアの代 金 につき前 渡 金 を計 上 し、後 日 、販 売 先 と仮 装 された会 社 から代 金 を回 収 した際 に、当 該 代 金 と前 渡 金 の差 額 を売 上 計 上 している。 また、「第 4・3.(2)B 取 引 に伴 う不 適 切 な資 金 移 動 及 び不 適 正 な会 計 処 理 」に記 載 し た E 社 への 4 億 2,000 万 円 の出 金 は李 氏 個 人 への資 金 融 通 と認 められたが、当 該 出 金 について短 期 貸 付 金 として計 上 していた。 (2) 適 正 な会 計 処 理 の検 討 上 記 取 引 は、李 氏 個 人 の資 金 融 通 のために、通 常 の商 取 引 として見 えるように仮 装 して行 われたものである。そのため売 掛 金 や前 渡 金 など、商 取 引 において使 用 する勘 定 科 目 で表 示 すべきものではなく、李 氏 に対 する債 権 として計 上 すべきである。しかし、 SJI 及 び連 結 子 会 社 と李 氏 との間 には金 銭 消 費 貸 借 契 約 書 が存 在 しないため、明 確 な貸 付 金 とまでは認 定 することができない。よって、SJI 及 び連 結 子 会 社 が支 払 を行 った 場 合 には李 氏 に対 する仮 払 金 とし、入 金 があった場 合 には当 該 仮 払 金 が回 収 されたも のとして処 理 をすべきである。また、E 社 への 4 億 2,000 万 円 の出 金 についても同 様 に 李 氏 に対 する仮 払 金 として処 理 する必 要 がある。 なお A・B 取 引 は本 調 査 の時 点 においては結 果 として全 て資 金 が返 還 されている。し かし「第 4・6.李 氏 の現 在 の負 債 の状 況 等 」に記 載 のとおり、当 時 の李 氏 個 人 の財 務 状 況 から勘 案 するところ、各 時 点 においては債 権 の回 収 可 能 性 に重 要 な疑 義 があったと 判 断 せざるをえない。そのため、当 該 仮 払 金 に対 しては各 期 の事 業 年 度 末 及 び四 半 期 末 で貸 倒 引 当 金 を計 上 すべきである。 上 記 に加 えて、李 氏 は SJI の役 員 であることから関 連 当 事 者 に該 当 するため、関 連 当 事 者 取 引 として開 示 をすべきである。 上 記 A・B 取 引 により認 定 された各 期 の李 氏 向 けの債 権 残 高 (仮 払 金 )、当 該 認 定 に 関 連 して取 り消 される売 上 高 の修 正 及 び仮 払 金 に対 する貸 倒 引 当 金 の計 上 による各 期 の連 結 損 益 計 算 書 への影 響 額 は下 記 のとおりである。 50 (単 位 :千 円 ) 連結会計年度 平 成 23 年 3 月 期 第 1 四半期 第 2 四半期 第 3 四半期 第 4 四半期 李 氏 向 けの債 権 残 高 - △3,150 202,125 661,280 - - △202,125 △661,280 - △3,000 △5,710 △5,710 - - △202,125 △661,280 - △3,000 △207,835 △666,991 (仮 払 金 ) 上 記 に対 する貸 倒 引 当 金 連 結 損 益 計 算 書 に対 する 影 響 額 (△損 失 ) 売 上 高 の修 正 額 貸 倒 引 当 金 の修 正 額 (△繰 入 額 ) 上記合計 (単 位 :千 円 ) 連結会計年度 平 成 24 年 3 月 期 第 1 四半期 第 2 四半期 第 3 四半期 第 4 四半期 李 氏 向 けの債 権 残 高 2,177,367 2,329,277 2,329,277 2,018,476 △2,177,367 △2,329,277 △2,329,277 △2,018,476 △14,286 △35,933 △35,917 △41,838 △1,516,086 △1,667,996 △1,667,996 △1,357,195 △1,530,373 △1,703,930 △1,703,913 △1,399,033 (仮 払 金 ) 上 記 に対 する貸 倒 引 当 金 連 結 損 益 計 算 書 に対 する 影 響 額 (△損 失 ) 売 上 高 の修 正 額 貸 倒 引 当 金 の修 正 額 (△繰 入 額 ) 上記合計 51 (単 位 :千 円 ) 連結会計年度 平 成 25 年 3 月 期 第 1 四半期 第 2 四半期 第 3 四半期 第 4 四半期 李 氏 向 けの債 権 残 高 1,008,114 1,008,114 894,317 326,898 △1,008,114 △1,008,114 △894,317 △326,898 △19,694 △19,598 △61,535 △99,633 1,010,361 1,010,361 1,124,158 1,691,578 990,667 990,763 1,062,623 1,591,945 (仮 払 金 ) 上 記 に対 する貸 倒 引 当 金 連 結 損 益 計 算 書 に対 する 影 響 額 (△損 失 ) 売 上 高 の修 正 額 貸 倒 引 当 金 の修 正 額 (△繰 入 額 ) 上記合計 (単 位 :千 円 ) 連結会計年度 平 成 26 年 3 月 期 第 1 四半期 第 2 四半期 第 3 四半期 第 4 四半期 李 氏 向 けの債 権 残 高 △93,101 △93,101 △93,101 △93,101 - - - - - - - - 420,000 420,000 420,000 420,000 420,000 420,000 420,000 420,000 (仮 払 金 ) 上 記 に対 する貸 倒 引 当 金 連 結 損 益 計 算 書 に対 する 影 響 額 (△損 失 ) 売 上 高 の修 正 額 貸 倒 引 当 金 の修 正 額 (△繰 入 額 ) 上記合計 52 2. C 取 引 について (1) 当 初 なされていた会 計 処 理 「第 4・4.C 取 引 について」に記 載 のとおり、平 成 24 年 5 月 28 日 に SJI 香 港 が連 結 グループ外 部 の E 社 の債 務 について保 証 行 為 を行 っていた。そのため、偶 発 債 務 とし て連 結 財 務 諸 表 に保 証 債 務 の注 記 をする必 要 があったが、SJI 香 港 及 び SJI の財 務 経 理 部 門 において当 該 事 実 を把 握 していなかったため、注 記 の記 載 がなされなかった。 (2) 適 切 な会 計 処 理 の検 討 前 述 のとおり、SJI の子 会 社 である SJI 香 港 が外 部 に対 して債 務 保 証 を行 っていたこ とが認 定 されたことから、連 結 財 務 諸 表 において保 証 債 務 の注 記 が必 要 であった。保 証 の開 始 が平 成 24 年 5 月 28 日 であり、最 終 的 に当 該 債 務 が弁 済 された日 付 が平 成 25 年 7 月 5 日 であったことから、保 証 債 務 の注 記 の記 載 が漏 れていた期 間 及 び各 期 間 において注 記 が必 要 であった保 証 債 務 の残 高 は以 下 のとおりであった。 また、保 証 行 為 が行 われた時 点 である平 成 24 年 5 月 28 日 においては、E 社 は役 員 及 びその近 親 者 が議 決 権 の過 半 数 を所 有 している会 社 等 に該 当 していたことから、関 連 当 事 者 取 引 としての開 示 が必 要 であったが、前 述 同 様 取 引 自 体 、財 務 経 理 部 門 に おいて認 識 されていなかったため、当 該 注 記 についても記 載 されていなかった。 なお、E 社 が関 連 当 事 者 に該 当 していた期 間 は平 成 24 年 6 月 28 日 までであったた め、その期 間 内 である平 成 25 年 3 月 期 第 1 四 半 期 に存 在 していた保 証 債 務 の金 額 に ついて関 連 当 事 者 取 引 としての開 示 を行 う必 要 があった。 (単 位 :千 円 ) 期間 金額 平 成 25 年 3 月 期 第 1 四 半 期 100,000 平 成 25 年 3 月 期 第 2 四 半 期 50,000 平 成 25 年 3 月 期 第 3 四 半 期 50,000 平 成 25 年 3 月 期 50,000 平 成 26 年 3 月 期 第 1 四 半 期 50,000 53 3. D 取 引 について (1) 当 初 なされていた会 計 処 理 李 氏 が単 独 で開 設 をした P 銀 行 の口 座 に関 連 する取 引 については、SJI 社 内 で当 該 開 設 の事 実 を知 らされていたものがいなかったことから、全 て簿 外 となっており、当 該 口 座 に関 連 する取 引 について一 切 会 計 処 理 が行 われていなかった。 (2) 適 正 な会 計 処 理 の検 討 「第 4・5.D 取 引 について」に記 載 のとおり、簿 外 となっている P 銀 行 の口 座 を利 用 し て行 われた主 な取 引 は P 銀 行 からの借 入 れ 19 億 円 、R 社 からの借 入 れ 7 億 円 、Q 社 からの借 入 れ 2 億 2,500 万 円 、及 び当 該 借 入 れを原 資 とした李 氏 個 人 並 びに李 氏 の 関 連 先 への出 金 、並 びに P 銀 行 に対 する借 入 金 の返 済 であった。これらのうち、借 入 れについてはいずれも SJI 名 義 で行 われていたことから、SJI の財 務 諸 表 においては借 入 金 として計 上 する必 要 がある。 また、借 入 金 の返 済 以 外 の出 金 に関 しては、いずれも李 氏 個 人 の資 金 融 通 に使 用 されたことが認 定 されたことから、当 該 出 金 に関 しては李 氏 への債 権 として認 識 する必 要 がある。なおこれらについても A 取 引 及 び B 取 引 と同 様 に、SJI と李 氏 との間 に金 銭 消 費 貸 借 契 約 がないため、勘 定 科 目 としては仮 払 金 として計 上 することが妥 当 である。 前 述 の借 入 金 に関 しては、P 銀 行 の借 入 金 19 億 円 は P 銀 行 の口 座 が存 在 する間 に借 入 れの実 行 と返 済 が行 われたため、借 入 金 残 高 が残 ることはなかったが、 R 社 及 び Q 社 からの借 入 金 については、借 入 れによる入 金 は P 銀 行 の口 座 に行 われたものの、 返 済 は P 銀 行 の口 座 ではなく、李 氏 及 び李 氏 の関 連 先 の口 座 から行 われていた。その ため、P 銀 行 の口 座 が閉 鎖 された平 成 25 年 6 月 28 日 以 後 も借 入 金 及 び李 氏 への資 金 融 通 の結 果 としての仮 払 金 残 高 が残 る結 果 となっていた。 また各 期 の事 業 年 度 末 及 び四 半 期 末 に残 高 の残 っている李 氏 への仮 払 金 につい ては、「第 4・6.李 氏 の現 在 の負 債 の状 況 等 」に記 載 のとおり、当 時 の李 氏 個 人 の財 務 状 況 から勘 案 するところ、債 権 の回 収 可 能 性 に重 要 な疑 義 があったと判 断 せざるをえ ないため、貸 倒 引 当 金 を計 上 すべきであるといえる。 上 記 に述 べた D 取 引 に関 して、当 委 員 会 により認 定 された各 期 の李 氏 向 けの債 権 残 高 (仮 払 金 )、外 部 からの借 入 金 残 高 、及 び連 結 損 益 計 算 書 への影 響 額 は下 記 のと おりであった。 54 (単 位 :千 円 ) 連結会計年度 平 成 26 年 3 月 期 第 1 四半期 第 2 四半期 第 3 四半期 第 4 四半期 李 氏 向 けの債 権 残 高 575,000 350,000 350,000 - △575,000 △350,000 △350,000 - 575,000 350,000 350,000 - △575,000 △350,000 △350,000 - (仮 払 金 ) 上 記 に対 する貸 倒 引 当 金 短期借入金 連 結 損 益 計 算 書 に 対 す る影 響 額 (△損 失 ) 貸 倒 引 当 金 の修 正 額 (△繰 入 額 ) また、李 氏 は SJI の役 員 であり、関 連 当 事 者 に該 当 することから上 記 に関 連 して行 われた李 氏 との取 引 は関 連 当 事 者 取 引 として開 示 すべきである。 55 第 6. 本 事 象 が発 生 した原 因 及 び問 題 点 当 委 員 会 は、第 5 までに述 べたことを踏 まえ、SJI グループにおいて、A から D 取 引 と称 した本 事 象 が発 生 した原 因 及 び問 題 点 を分 析 した結 果 は、以 下 のとおりである。 なお、第 1・3 で述 べたとおり、当 委 員 会 は関 係 者 の法 的 責 任 追 及 を直 接 の目 的 としておらず、そ の任 務 には関 係 者 の法 的 責 任 追 及 は含 まれない。したがって、以 下 の分 析 結 果 は、「第 7 再 発 防 止 策 の提 言 」の検 討 を目 的 としたものであり、当 委 員 会 として、SJI グループ、李 氏 及 びその他 個 人 の法 的 責 任 を検 討 ・評 価 するものではない。 1. A・B 及 び D 取 引 に共 通 する原 因 及 び問 題 点 について (1) 李 氏 の SJI と個 人 の資 金 繰 りにおける公 私 混 同 とコンプライアンス意 識 の欠 如 李 氏 は、A・B 及 び D 取 引 については、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 て るために、SJI グループの資 金 を出 金 したものであるが、李 氏 が各 取 引 を行 った原 因 とし て、李 氏 の中 で、SJI グループの資 金 繰 りと自 己 の資 金 繰 りを同 一 のものと扱 っており、 資 金 繰 りにおける公 私 混 同 が生 じていた点 が挙 げられる。 李 氏 は、A・B 取 引 にあっては、SJI グループの余 剰 資 金 の有 効 活 用 を目 的 としつつ、 SJI からの出 金 は、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 に充 て、後 日 、他 から借 り入 れた資 金 を原 資 として、SJI グループに利 息 相 当 分 を付 して資 金 を戻 し入 れており、D 取 引 にあっても、 SJI 名 義 で融 資 を受 けた資 金 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てており、後 日 、他 から借 り入 れた資 金 を原 資 として、比 較 的 短 期 間 のうちに全 額 返 済 したも のであ るから、李 氏 の中 では SJI グループから出 金 した資 金 は、自 己 の資 金 繰 りの中 に取 り込 み、自 己 の資 金 繰 りにより捻 出 した資 金 を会 社 に戻 し入 れるという行 為 を繰 り返 してい たことになり、これは正 に資 金 繰 りにおける公 私 混 同 と評 価 するほかない。 この李 氏 の資 金 繰 りにおける公 私 混 同 は、平 成 24 年 7 月 に、SJI が T 社 の株 式 を 取 得 するためにノンバンクからのものも含 め多 額 の資 金 調 達 を行 ったことを契 機 に、SJI の資 金 繰 りが悪 化 し、それ以 降 、李 氏 が、財 務 経 理 部 門 の要 請 を受 け、緊 急 の資 金 調 達 を行 う必 要 が生 じ、自 己 の借 入 先 である事 業 会 社 等 から SJI 名 義 で借 入 れを行 うと いうことを繰 り返 す中 で、更 にその傾 向 を強 めていったものと認 められる。 この点 につき、李 氏 自 身 も、これまで SJI グループの成 長 と発 展 のために私 財 を投 げ打 ち、心 血 を注 ぎながら、常 に会 社 の利 益 を最 優 先 に考 えて行 動 してきたつもりであ り、SJI が資 金 繰 りに窮 したときにも、資 金 調 達 に奔 走 して、自 己 の借 入 先 の事 業 会 社 等 から必 要 な資 金 を借 り入 れるなどしてきたため、自 分 でも気 が付 かないうちに、 SJI の 資 金 繰 りと自 分 の資 金 繰 りの混 同 が生 じていたために、A・B 及 び D 取 引 を行 ったものと 述 べている。 56 たとえ SJI の資 金 を緊 急 で自 ら調 達 しなければならない事 情 があったとはいえ、上 場 会 社 である SJI の経 営 トップとして、SJI の企 業 活 動 は、収 益 を上 げ、株 主 にとっての企 業 価 値 を高 めることを主 要 な目 的 とするものであることを忘 れ、SJI と自 己 の資 金 繰 りの 公 私 混 同 が生 じていたという原 因 として、李 氏 にコンプライアンス意 識 が欠 如 していたこ とを指 摘 せざるを得 ない。 当 時 の代 表 取 締 役 社 長 である李 氏 に ついて、コンプライアンスの意 識 が欠 如 してい たことが判 明 した以 上 、SJI グループでは、役 員 及 び社 員 全 員 がこの事 態 を重 く受 け止 め、これを機 会 にコンプライアンスの重 要 性 を再 認 識 し、意 識 改 革 を図 っていくことが必 要 である。 (2) 資 金 調 達 において、李 氏 に過 度 に依 存 した SJI グループの体 質 (1)で述 べたように、李 氏 が SJI と自 己 の資 金 繰 りを混 同 するようになった背 景 として、 SJI の財 務 経 理 部 門 において、必 要 な資 金 調 達 を自 ら行 うことができず、資 金 繰 りに窮 したときには、代 表 取 締 役 社 長 である李 氏 に緊 急 の資 金 調 達 を要 請 し、李 氏 がこれに 応 じて、自 己 の借 入 先 も含 め事 業 会 社 等 と交 渉 をして、SJI に対 する緊 急 の融 資 を受 けるなどして、SJI の資 金 繰 りに奔 走 してきたため、SJI が必 要 な資 金 を調 達 しながら、事 業 を継 続 できたという実 情 があった。 このように、資 金 調 達 において、李 氏 に過 度 に依 存 した SJI グループの体 質 が、結 果 的 に、李 氏 への資 金 決 済 や管 理 等 も含 めた 権 限 の集 中 を招 き、このことが李 氏 による 仮 装 取 引 や簿 外 での借 入 れ等 を可 能 とした背 景 事 情 となったものと認 められる。 2. A・B 取 引 について (1) 李 氏 が E 社 等 の協 力 会 社 の協 力 を得 て、仮 装 取 引 を行 っていたこと 第 4・2(1)及 び第 4・3(1)記 載 のとおり、李 氏 は、SJI が I 社 グループから増 資 を受 けた 後 、SJI 社 内 に余 剰 資 金 が生 じていたため、これを有 効 活 用 するとともに、自 己 の借 入 金 の借 換 え等 の資 金 繰 りに充 てることとし、SJI 社 内 においては、A 取 引 については国 内 のハードウェア取 引 を仮 装 し、B 取 引 については海 外 のハードウェア取 引 を仮 装 して、 SJI グループから資 金 を流 出 させ、この資 金 を一 時 的 に自 己 の個 人 的 な用 途 に充 て、 利 息 相 当 額 を付 して、SJI グループに資 金 を戻 したという仮 装 取 引 を続 け、実 質 的 には 李 氏 個 人 に対 する資 金 融 通 を行 っていたものである。 A ・B 取 引 については、外 部 に E 社 及 びF社 等 の協 力 会 社 があって初 めて可 能 とな ったものであるが、SJI 内 部 に目 を向 けると、いずれの取 引 についても、取 締 役 会 の承 認 を受 けている上 、SJI の社 内 では、通 常 取 引 と同 内 容 の証 憑 が作 成 され、それが添 付 さ 57 れて仮 装 仕 入 先 への支 払 の手 続 が行 われていた。このような手 続 面 及 び内 容 面 からし て、SJI 内 部 では実 態 のある通 常 取 引 との判 別 が困 難 であったため、李 氏 以 外 の取 締 役 等 の経 営 陣 、監 査 役 、担 当 部 署 、財 務 経 理 部 門 において、 A・B 取 引 について、仮 装 取 引 であるとの疑 念 を抱 くべきだったと評 価 をすることは酷 とも思 われる。 したがって、A・B 取 引 が可 能 となった直 接 的 な原 因 は、李 氏 が E 社 及 びF社 等 の協 力 を得 て、SJI に実 態 が発 覚 しないように取 引 を仮 装 していた点 にあると思 われる。 (2) ハードウェアの仕 入 及 び納 品 の事 実 の確 認 がなされていなかったこと A・B 取 引 については、通 常 の SJI の商 流 と同 様 の外 形 、すなわち、ハードウェア商 品 の商 流 上 は、仕 入 先 から SJI が購 入 し、SJI が販 売 先 に販 売 するという形 式 であるものの、 物 流 上 は、仕 入 先 から直 接 、販 売 先 を通 じてエンドユーザに商 品 が納 入 されるという形 式 をとっていたために、実 際 に仕 入 先 から販 売 先 に商 品 が納 入 されていたかを SJI の担 当 者 において、確 認 作 業 を行 っていなかったということが、李 氏 による仮 装 取 引 を可 能 とする背 景 となっていたことは否 定 し難 い。 3. C 取 引 について 第 3・2 に記 載 のとおり、李 氏 は E 社 の V 氏 から、G 社 から事 業 資 金 として 1 億 円 を借 り入 れる際 の SJI 香 港 の連 帯 保 証 を依 頼 され、SJI 香 港 の董 事 長 として連 帯 保 証 をしたと いうものであり、李 氏 の SJI 香 港 の董 事 長 及 び SJI 代 表 取 締 役 としての権 限 の範 囲 内 で 行 ったものではあるが、SJI 香 港 の内 部 規 程 に基 づく、SJI の取 締 役 会 に対 する事 後 の報 告 を失 念 していたために、会 計 処 理 がなされなかったものである。 現 在 の SJI 香 港 の内 部 規 程 を前 提 とした場 合 、C 取 引 をめぐる事 象 は軽 微 な内 部 手 続 違 反 にとどまることになる。 しかしながら、SJI 香 港 が、他 社 による 1 億 円 もの多 額 の借 入 れにつき、SJI 香 港 におい て董 事 会 での決 議 も経 ず、親 会 社 である SJI における検 討 もなされないまま、李 氏 の報 告 の失 念 により、SJI 香 港 及 び SJI において、この債 務 保 証 の事 実 が把 握 されておらず、 会 計 処 理 にも反 映 されていなかったという事 象 の発 生 について、手 続 面 に原 因 を求 めた 場 合 、下 記 に述 べるように、SJI 香 港 における内 部 規 程 等 の不 備 と親 会 社 としての SJI の 子 会 社 の管 理 体 制 に不 十 分 な面 があったと言 わざるを得 ない。 (1) SJI 香 港 の内 部 規 程 の不 備 SJI 香 港 の職 務 権 限 規 程 に添 付 された「金 額 決 裁 権 限 表 」を見 ると、金 額 面 を含 め、 親 会 社 である SJI の「金 額 決 裁 権 限 表 」を SJI 香 港 及 び同 社 の管 理 を担 当 する SJI の 部 署 に対 応 させた体 裁 のものにとどまり、SJI 香 港 の業 務 内 容 及 び財 務 内 容 等 の実 情 58 を踏 まえた規 程 内 容 になっていない。 加 えて、SJI 香 港 の董 事 会 の承 認 を要 する事 項 は、SJI 香 港 の「董 事 会 規 程 」に添 付 された「董 事 会 付 議 基 準 」に示 されているものの、ここには、例 えば、業 務 執 行 に関 する 重 要 事 項 につき、「①重 要 なる財 産 の処 分 及 び譲 受 、②多 額 の資 金 調 達 (極 度 の設 定 も含 む)、③多 額 の債 務 保 証 及 び担 保 提 供 」などと 抽 象 的 に記 載 するにとどまり、個 別 的 案 件 につき、董 事 会 の承 認 を要 する事 項 か否 かの判 別 が困 難 な内 容 であったこと などの点 に鑑 みれば、SJI 香 港 の内 部 規 程 には不 備 があったと言 わざるをえない。 (2) SJI の子 会 社 の管 理 体 制 の不 備 SJI 香 港 の親 会 社 である SJI の SJI 香 港 に対 する管 理 体 制 に目 を向 けると、SJI では、 「関 係 会 社 管 理 規 程 」を制 定 しており、下 記 のように、関 係 会 社 を「子 会 社 」とそれ以 外 の「関 連 会 社 」に分 類 した上 、子 会 社 を含 む関 係 会 社 の管 理 機 構 について規 定 してい る。 ア 関 係 会 社 の定 義 関 係 会 社 とは、「当 該 会 社 の議 決 権 のある発 行 済 株 式 の 20%以 上 を保 有 または間 接 保 有 し、もしくは相 当 額 の長 期 貸 付 、債 務 保 証 、役 員 派 遣 等 事 業 上 または人 事 上 で緊 密 な関 係 にあり、特 に指 定 された会 社 をいう。」と定 められている(第 1 条 )。 イ 子 会 社 と関 連 会 社 の分 類 子 会 社 とは、以 下 のいずれかの要 件 を満 たしている関 係 会 社 のことを指 すとされ、 (ア) 議 決 権 の 50%超 を所 有 する会 社 (イ) 議 決 権 の 40%以 上 50%以 下 を所 有 し、かつ以 下 のいずれかに該 当 する場 合 ① 「緊 密 な者 」および「同 意 している者 」の議 決 権 と合 算 して 50%超 ② 自 己 の役 員 ・従 業 員 が取 締 役 会 の構 成 員 の過 半 数 を占 める ③ 財 務 ・営 業 ・事 業 の方 針 決 定 を支 配 する契 約 書 等 の存 在 ④ 資 金 調 達 額 の過 半 について融 資 ・債 務 保 証 ・担 保 提 供 ⑤ 関 係 会 社 の意 思 決 定 機 関 を支 配 していることが推 測 される事 実 の存 在 (ウ) 議 決 権 の所 有 は 40%未 満 であるが、緊 密 な者 および同 意 している者 の議 決 権 と合 算 して 50%超 、かつ上 記 ②~⑤に該 当 する場 合 と定 められている(第 3 条 2 項 )。 ウ 関連会社 関 連 会 社 とは、「関 係 会 社 で子 会 社 以 外 の会 社 のことを指 す。」と定 義 されている (第 3 条 3 項 )。 59 エ 管理機構 関 係 会 社 管 理 業 務 は、国 内 関 係 会 社 に対 しては経 営 企 画 担 当 役 員 、海 外 関 係 会 社 に対 しては海 外 事 業 統 括 担 当 役 員 (以 下 、「管 理 統 括 者 」という。)が統 括 すると され、(第 4 条 1 項 )、関 係 会 社 業 務 の実 施 に当 たっては、国 内 関 係 会 社 に対 しては経 営 企 画 本 部 経 営 企 画 部 、海 外 関 係 会 社 に対 しては海 外 事 業 統 括 本 部 海 外 事 業 企 画 部 ・海 外 事 業 管 理 部 (以 下 、「管 理 統 括 部 門 」という。)が担 当 するとされている(第 4 条 2 項 )。 以 上 を前 提 に、関 係 会 社 管 理 規 程 は第 10 条 に列 挙 された事 項 について、「管 理 統 括 者 は事 前 に資 料 を入 手 し、検 討 を行 い、取 締 役 会 の決 議 を受 けなければならな い。」と定 め、これらの事 項 には「(6)多 額 な貸 金 の貸 付 、借 入 、債 務 保 証 」も含 まれて いる。 SJI 香 港 は SJI の 100 パーセント子 会 社 であるため、関 係 会 社 管 理 規 程 にいう「子 会 社 」に該 当 し、かつ、「海 外 関 係 会 社 」であるため、海 外 事 業 統 括 担 当 役 員 が管 理 統 括 者 となり、海 外 事 業 統 括 本 部 海 外 事 業 企 画 部 ・海 外 事 業 管 理 部 が管 理 統 括 部 門 となって、管 理 していたが、第 10 条 の定 める「(6)多 額 な貸 金 の貸 付 、借 入 、債 務 保 証 」にいう「多 額 」がどの程 度 の金 額 であるかは規 定 されておらず、SJI の関 係 者 のヒア リングでは、この規 程 の運 用 上 、この「多 額 」については指 針 等 も示 されていないため、 曖 昧 な状 態 で運 用 されており、SJI 香 港 にとって 1 億 円 の借 入 れの債 務 保 証 が「多 額 」 かどうかも判 断 が付 かないとのことであった。 このような事 情 に鑑 みれば、SJI においては、「関 係 会 社 管 理 規 程 」等 の内 部 規 程 及 びその運 用 指 針 等 も含 め、SJI 香 港 の管 理 業 務 を適 切 に行 うための規 程 等 にも不 備 があったと言 わざるを得 ない。 4. D 取 引 について (1) 財 務 経 理 部 門 による 資 金 調 達 機 能 が不 十 分 であ り、資 金 調 達 を含 めた財 務 経 理 部 門 を統 括 する役 職 が設 置 されていなかったこと 第 4・5(1)記 載 のとおり、李 氏 は知 人 の紹 介 で、それまで SJI と取 引 のなかった P 銀 行 に SJI の運 転 資 金 として 19 億 円 の融 資 を依 頼 したところ、知 人 を介 して、融 資 を実 行 で きるとの見 通 しを聞 いたものの、確 証 がなかったため、取 締 役 会 の承 認 等 をの内 部 手 続 を履 践 しないまま、求 められるままに、P 銀 行 に SJI の実 印 を持 参 して赴 いたところ、 同 銀 行 の支 店 長 から即 日 19 億 円 の融 資 を実 行 できる旨 聞 き、SJI 名 義 の口 座 を開 設 60 の上 、19 億 円 の融 資 実 行 を受 けるのに必 要 な書 類 等 に署 名 し、SJI の実 印 を押 印 した というものであり、融 資 を受 けた 19 億 円 については、結 果 的 には一 部 を自 己 の借 入 金 の借 換 え等 に充 てたというものである。 上 記 の原 因 及 び背 景 事 情 に照 らすと、D 取 引 については、1 で詳 しく述 べたように、 李 氏 がこの時 期 、SJI が資 金 繰 りに窮 し、人 脈 が広 く、信 用 力 も高 い李 氏 が SJI の資 金 調 達 のために奔 走 し、金 融 機 関 及 びノンバンクと直 接 交 渉 することにより、資 金 を調 達 していたといういわば李 氏 個 人 の才 覚 、人 脈 及 び信 用 という属 人 的 事 情 に過 度 に依 存 した資 金 調 達 を行 わざるを得 なかったという状 況 が背 景 になっていたといえる。 この経 緯 は、1 でも詳 しく述 べたように、平 成 24 年 7 月 に SJI が T 社 の株 式 を取 得 す るためにノンバンクからも資 金 調 達 を行 ったことを契 機 に、SJI の資 金 繰 りが悪 化 し、李 氏 が財 務 経 理 部 門 の要 請 を受 け、緊 急 の資 金 調 達 を行 う必 要 が生 じ、自 己 の借 入 先 である事 業 会 社 等 から SJI 名 義 で借 入 れを行 うということを繰 り返 したというものである。 本 来 、上 場 会 社 においては、財 務 経 理 部 門 が直 接 、代 表 取 締 役 社 長 に対 し、 資 金 調 達 を要 請 し、代 表 取 締 役 社 長 が自 ら資 金 繰 りの交 渉 を行 うというような業 務 執 行 の形 態 は望 ましいとはいえず、資 金 繰 りの交 渉 等 の実 務 は、財 務 経 理 を担 当 する役 員 の責 任 の下 、その指 示 を受 けた財 務 経 理 部 門 の社 員 がこれを行 うのが通 常 と思 われる。こ れが行 われなかった原 因 としては、SJI においては、財 務 経 理 部 門 の統 括 責 任 者 として、 例 えば最 高 財 務 責 任 者 等 が設 置 されておらず、組 織 上 も、財 務 経 理 部 門 は、経 営 管 理 部 や事 業 経 理 部 等 の名 称 で下 位 の組 織 に位 置 付 けられており、平 成 25 年 10 月 に 財 務 経 理 本 部 が設 置 され、担 当 取 締 役 は存 在 してい たものの、実 際 には、前 記 のよう に、財 務 経 理 本 部 は、資 金 調 達 において十 分 機 能 を果 たさず、それゆえ、代 表 取 締 役 社 長 である李 氏 に資 金 調 達 について過 度 に依 存 し、資 金 調 達 、資 金 管 理 及 び資 金 決 済 における李 氏 への事 実 上 の権 限 集 中 という事 態 を招 来 し、 この状 況 が李 氏 の資 金 調 達 における公 私 混 同 の背 景 となったといえる。 (2) SJI の社 用 印 章 (実 印 )の管 理 体 制 がずさんであったこと (1)の点 に加 え、李 氏 は、P 銀 行 から 19 億 円 の融 資 を受 ける際 、内 部 規 程 に定 めら れた手 続 を踏 まずに、SJI の代 表 取 締 役 印 (以 下 「実 印 」という。)を社 外 に持 ち出 してお り、事 業 会 社 2 社 から SJI 名 義 で合 計 9 億 2,500 万 円 の借 入 れを行 った際 にも、自 ら SJI の実 印 を押 しているが、これについては、李 氏 が実 印 を事 実 上 保 管 している総 務 部 長 から直 接 又 は間 接 に実 印 を受 領 して、押 印 したものと認 められる。 SJI では、「印 章 管 理 規 程 」を制 定 し、社 内 において印 章 の管 理 を確 実 に行 うことを 目 的 として、同 社 で使 用 する全 ての社 用 印 章 の保 管 等 に関 する事 項 を定 め ており、実 印 の管 理 等 については、下 記 のとおり定 めていた。 61 ア 主管部 社 用 印 章 の調 製 、登 録 および交 付 などに関 する主 管 部 門 は、総 務 部 とする (第 4 条 )。 イ 保管責任者 社 用 印 章 のうち、「代 表 取 締 役 印 (実 印 )」の保 管 責 任 者 は、会 長 ・社 長 ・副 社 長 と され、押 捺 記 録 簿 保 管 者 は総 務 部 長 とされていた(第 7 条 1 項 )。 ウ 押捺者 社 用 印 章 の押 捺 者 は、原 則 として前 条 の保 管 責 任 者 とする。ただし、保 管 責 任 者 に事 故 があった場 合 保 管 者 の命 令 により保 管 代 理 者 が押 捺 することができるとされて いた(第 8 条 1 項 )。 以 上 のような印 章 管 理 規 程 の内 容 を踏 まえ、その運 用 の実 態 について調 査 したとこ ろ、D 取 引 において、実 印 を押 捺 した日 及 びこの前 後 の上 記 押 捺 記 録 簿 を総 務 部 長 が管 理 していた押 捺 記 録 簿 には、D 取 引 についての記 載 は確 認 できず、押 捺 記 録 簿 の保 管 者 であり、かつ事 実 上 実 印 の保 管 も行 っていた総 務 部 長 によれば、李 氏 又 は李 氏 の指 示 を受 けた者 に対 し、押 捺 記 録 簿 に記 載 しないまま、実 印 を交 付 するという取 扱 いをしていたとのことであり、李 氏 は、このようなずさんな実 印 の管 理 が行 われている 中 で、特 に使 用 目 的 を告 げなくても、実 印 を自 由 に借 りて、社 外 に持 ち出 すこと が可 能 な状 況 にあった。 したがって、このような実 印 のずさんな管 理 体 制 も、二 次 的 なものとは いえ、李 氏 によ る D 取 引 を可 能 とした原 因 及 び問 題 点 として指 摘 されるべきである。 5. その他 の原 因 及 び問 題 点 等 当 委 員 会 は、本 事 象 の直 接 の原 因 とまではいえないものの、本 事 象 発 生 の遠 因 となり 得 たと思 われる事 情 及 び問 題 点 として以 下 の点 を指 摘 しておく。 (1) コンプライアンス委 員 会 の機 能 不 全 SJI では、平 成 20 年 4 月 に SJI の全 ての役 員 ・社 員 に適 用 される「株 式 会 社 SJI・コ ンプライアンス規 範 」を制 定 し、その後 、これを「SJI 行 動 規 範 」に改 訂 し、法 令 等 の徹 底 及 び適 切 かつ透 明 性 の高 い経 営 などを掲 げるとともに、「コンプライアンス管 理 規 程 」を 制 定 して、コンプライアンス管 理 体 制 と してのコンプライアンス委 員 会 を設 置 することを 定 めている。 62 なお、同 規 程 では、同 委 員 会 の任 務 及 び構 成 等 について下 記 のとおり、規 定 してい る。 ア 委 員 会 の任 務 コンプライアンス管 理 規 程 第 4 条 は、コンプライアンス委 員 会 の任 務 について、①会 社 役 員 ・社 員 (派 遣 会 社 を含 む。)に対 するコンプライアンス意 識 の普 及 、啓 発 、②法 令 ・コンプライアンス違 反 行 為 の通 報 の受 付 けと事 実 関 係 の調 査 等 、③法 令 ・コンプラ イアンス違 反 行 為 の再 発 防 止 策 の検 討 、④その他 コンプライアンスに関 する事 項 の 4 つとしている。 イ 委 員 会 の構 成 同 規 程 第 5 条 は、委 員 会 の構 成 について、委 員 長 、副 委 員 長 、委 員 で構 成 し、委 員 長 は、社 長 が任 命 し、副 委 員 長 は委 員 会 が任 命 し、委 員 は、①会 社 の 役 員 ・社 員 であること、②法 令 ・コンプライアンス・企 業 リスクについての一 定 の知 識 を有 すること、 ③倫 理 意 識 が強 いことという要 件 の該 当 するものの中 から、委 員 長 が任 命 するとすると 定 めている。 すなわち、コンプライアンス委 員 会 は、全 員 が SJI の社 内 の役 員 ・社 員 から選 任 され ることになっている。 ウ 委 員 会 の開 催 同 規 程 7 条 は、委 員 会 は、委 員 長 の招 集 により開 催 すると定 めているが、開 催 頻 度 等 については定 めていない。 以 上 の規 程 を前 提 に、当 委 員 会 がコンプライアンス委 員 会 につき調 査 したところ、 リ リスク・コンプライアンス委 員 会 あるいはコンプライアンス委 員 会 は、平 成 23 年 3 月 期 か ら平 成 26 年 3 月 期 までの間 、社 長 である李 氏 が任 命 した代 表 取 締 役 副 社 長 あるいは 取 締 役 が委 員 長 となり、主 に各 部 門 の長 により構 成 され、必 要 に応 じて、経 営 会 議 後 に開 催 することとされていたが、実 質 的 には年 に数 回 、不 定 期 に開 催 されるにとどまっ ていた。 上 記 のようなリスク・コンプライアンス委 員 会 あるいはコンプライアンス委 員 会 の構 成 及 び活 動 状 況 に鑑 みれば、本 事 象 が発 生 した当 時 、リスク・コンプライアンス委 員 会 あ るいはコンプライアンス委 員 会 は、十 分 に機 能 していたとは評 価 できない。 本 事 象 の発 生 を受 け、今 後 、コンプライアンス委 員 会 には、外 部 の専 門 家 をオブザ ーバーに加 え、その客 観 性 を高 めるとともに、定 期 的 に開 催 して、SJI グループのコン プライアンス体 制 の中 核 を担 える機 能 を備 えていくよう充 実 ・強 化 を図 ることが必 要 で 63 ある。 (2) 内 部 通 報 制 度 の形 骸 化 SJI では、平 成 20 年 4 月 、法 令 違 反 や不 正 行 為 などのコンプライアンス違 反 の発 生 またはそのおそれのある状 況 を知 った者 が、通 報 及 び相 談 をするルートを確 保 し、また は、通 報 及 び報 告 をした従 業 員 が不 利 益 を被 らないようにすることで、 SJI のコンプライ アンス経 営 を有 効 に機 能 させることを目 的 として、「 SJI ヘルプライン規 程 」を制 定 し、い わゆる内 部 通 報 制 度 を設 けているが、①社 内 のコンプライアンスに関 する通 報 窓 口 及 び相 談 の窓 口 は、総 務 部 門 とされており(第 2 条 1 項 )、②通 報 及 び相 談 は、十 分 な調 査 や適 切 なフィードバックのために実 名 を原 則 とする(第 5 条 1 項 )、③実 名 を明 らかにし ない匿 名 での通 報 等 は、止 むを得 ない事 情 の場 合 には受 け付 けるが、事 実 確 認 が困 難 となる等 、受 付 け後 の対 処 の低 下 することが有 り得 る(第 5 条 3 項 )と規 定 するなど、 相 談 窓 口 が SJI 社 内 に置 かれ、かつ、匿 名 での通 報 や相 談 が困 難 な内 容 になっており、 実 効 性 に疑 問 があると言 わざるを得 ない。 当 委 員 会 が調 査 したところ、この SJI ヘルプラインが設 けられた平 成 20 年 4 月 以 降 、 この内 部 通 報 制 度 の利 用 実 績 は平 成 25 年 3 月 期 、平 成 26 年 3 月 期 にそれぞれ 1 件 にすぎなかった。 したがって、SJI の内 部 通 報 制 度 は形 骸 化 しており、コンプライアンスのための実 効 性 のある制 度 として機 能 することは期 待 し難 いため、この内 部 通 報 制 度 を実 効 性 のある充 実 した制 度 に変 えていく必 要 がある。 64 第 7. 再 発 防 止 策 の提 言 「第 6 本 事 象 が発 生 した原 因 及 び問 題 点 」を踏 まえ、SJI 及 び SJI グループがこのよう な事 態 を二 度 と起 こすことなく、真 の再 生 を果 たすため、当 委 員 会 は ① 不 適 切 な取 引 の発 生 防 止 に向 けた事 前 及 び事 後 のチェック機 能 の充 実 ・強 化 ② 関 係 会 社 の管 理 体 制 の充 実 ・強 化 ③ 財 務 経 理 部 門 の機 能 の充 実 ・強 化 ④ 社 用 印 章 の管 理 体 制 の強 化 ⑤ 内 部 通 報 制 度 の有 効 ・充 実 化 ⑥ 全 社 的 なコンプライアンス意 識 向 上 に向 けた研 修 受 講 の義 務 化 の 6 項 目 について、下 記 に詳 述 する再 発 防 止 策 を提 言 する。 本 事 象 は、SJI グループの経 営 トップである李 氏 によるものであり、前 記 のように、SJI グ ループにおいて、コンプライアンス委 員 会 を含 めた内 部 統 制 システムが十 分 機 能 していた とは言 い難 い状 況 の中 で行 ったものである。 したがって、上 記 の 6 項 目 について、SJI グループが下 記 に提 言 する再 発 防 止 策 を着 実 に実 行 し、真 の意 味 でコンプライアンス体 制 の充 実 ・強 化 を図 るためには、当 委 員 会 の 提 言 を踏 まえた再 発 防 止 策 の 実 施 に当 たり、コンプライアンス分 野 に精 通 した外 部 専 門 家 から構 成 される委 員 会 (以 下 「社 外 委 員 会 」という。)を設 置 し、下 記 SJI グループのコン プライアンス体 制 の抜 本 的 な見 直 し、各 種 規 程 等 の改 訂 及 び運 用 の見 直 し、全 役 員 ・社 員 に受 講 を義 務 付 けるコンプライアンス研 修 の内 容 等 を含 めた総 合 的 かつ包 括 的 なコン プライアンス充 実 ・強 化 に向 けた具 体 的 方 策 について助 言 を受 け、早 期 に取 り組 める方 策 から着 実 に実 施 していくことが望 ましい。その上 で、上 記 委 員 会 に対 し、各 種 再 発 防 止 策 の実 施 状 況 を定 期 的 に報 告 し、外 部 の厳 しい目 による検 証 ・助 言 を受 けながら、半 年 後 を目 途 に、各 種 再 発 防 止 策 の実 施 を完 了 することが望 ましいと思 われる。 1. 不 適 切 な取 引 の発 生 防 止 に向 けた事 前 及 び事 後 のチェック機 能 の充 実 ・強 化 (1) 事 前 のチェック体 制 の充 実 ・強 化 ア 仕 入 と販 売 の担 当 の分 離 の徹 底 前 記 のとおり、A・B 取 引 において、李 氏 が仮 装 した取 引 は、SJI が商 流 の中 に入 る ものの、物 流 の中 には入 らない商 社 的 取 引 であり、李 氏 から指 示 された担 当 部 署 の長 が E 社 及 び F 社 の担 当 者 を兼 ねていた W 氏 との打 合 せにおいて、仕 入 及 び販 売 に 必 要 な証 憑 等 を受 領 した上 で仕 入 代 金 の支 払 に必 要 な内 部 の手 続 を行 っている。 SJI では、仕 入 に関 しては、購 買 管 理 規 程 等 の規 程 を定 め、販 売 に関 しては、販 売 65 管 理 規 程 等 を定 めていたものの、これらの規 程 上 では 、仕 入 と販 売 を同 一 の部 署 及 び担 当 者 が行 うことが可 能 な状 況 となっていた。 したがって、今 後 は、仕 入 と販 売 の担 当 部 署 の分 離 を徹 底 するための厳 格 なルー ルを定 め、事 前 のチェック機 能 を強 化 することにより、A・B 取 引 のような商 社 的 取 引 を 行 う場 合 であっても、不 適 切 な取 引 の未 然 防 止 に 対 する一 定 の効 果 が見 込 まれると 考 えられる。 イ 仕 入 先 の審 査 と商 品 納 入 の事 実 確 認 の義 務 化 A 取 引 に関 し、李 氏 から指 示 を受 けた S 氏 は、E 社 の W 氏 と打 合 せをし、その中 で、 E 社 以 外 の O 社 及 び N 社 の仮 装 仕 入 先 の証 憑 を入 手 しており、O 社 及 び N 社 等 の E 社 以 外 の会 社 がどのような会 社 であるかも確 認 せず、李 氏 から指 示 されるまま、これ らの会 社 に対 し、E 社 から指 定 されたとおりの金 額 を前 渡 金 として支 払 うための手 続 を 行 っていた。すなわち仕 入 先 に対 する実 質 的 な審 査 等 が行 われず、商 品 納 入 の事 実 についても納 品 書 等 の証 憑 を受 領 したのみで、納 品 を確 認 していない状 況 であった。 したがって、今 後 SJI においては、A・B 取 引 のような商 社 的 取 引 を行 う場 合 にも、仕 入 先 の審 査 とともに商 品 納 入 の事 実 を確 認 することを義 務 化 することが必 要 である。 (2) 事 後 のチェック体 制 の充 実 ・強 化 ア 商 品 納 入 事 実 の確 認 の義 務 化 SJI の販 売 管 理 規 程 によれば、「営 業 担 当 者 は、受 注 物 件 等 の納 品 に当 たっては、 所 定 の手 続 きによって受 領 書 またはこれに準 ずる証 憑 を受 け取 るものとする。」(第 8 条 第 1 項 )、「受 注 物 件 等 の納 品 にあたっては、営 業 担 当 者 は受 注 した仕 様 とおりに納 品 したことを確 認 したのち、速 やかに検 収 依 頼 を行 い、検 収 書 またはそれに準 じる証 憑 を受 け取 るものとする。」(第 8 条 第 2 項 )と規 定 されていた。 A・B 取 引 については SJI において李 氏 から指 示 を受 けて事 務 を担 当 していた S 氏 及 び U 氏 が、当 該 規 程 に従 い、各 取 引 において、販 売 先 から受 領 した検 収 書 等 の確 認 を行 っていたが、実 際 にハードウェアがエンドユーザに納 入 されたことまでは確 認 し ていなかった。 このように、現 状 の規 程 に従 った処 理 を行 うだけでは、A・B 取 引 のような商 社 的 取 引 が行 われた場 合 、仮 に販 売 先 から実 態 を記 載 していない検 収 書 等 の提 出 を受 けた 場 合 、実 在 の取 引 であるか否 かを確 認 することができないことになる。 そこで今 後 は、商 品 出 荷 時 の出 荷 伝 票 や納 入 時 の納 入 伝 票 等 、商 品 の出 荷 や納 入 の事 実 を確 認 することができる証 憑 等 の入 手 を義 務 付 けることにより、商 品 納 入 事 実 を確 認 する取 扱 いに改 めるべきである。 66 イ 大 規 模 取 引 に対 する定 期 的 な事 後 チェックの実 施 SJI において、取 引 の事 後 チェック体 制 が構 築 されるまでの間 の暫 定 的 な措 置 とし て、SJI 社 内 で、SJI グループの行 った大 規 模 な取 引 (例 えば、金 額 が 1 億 円 以 上 の取 引 )について、特 別 チームを編 成 して、定 期 的 に、個 別 の取 引 について、仕 入 及 び納 品 の事 実 の確 認 をすることに加 えて、取 引 内 容 (金 額 、取 引 先 、代 金 回 収 状 況 等 )及 び各 取 引 の内 部 手 続 の履 践 状 況 等 について検 証 し、その結 果 を取 締 役 会 に報 告 す るとともに、社 外 委 員 会 に対 しても報 告 し、取 引 のチェック体 制 構 築 の参 考 に供 するの が望 ましい。 2. 関 係 会 社 の管 理 体 制 の充 実 ・強 化 第 6・3 記 載 のとおり、本 事 象 の原 因 及 び問 題 点 として、SJI 香 港 の内 部 規 程 に不 備 が のみならず、SJI の子 会 社 の管 理 体 制 にも不 備 があったことが挙 げられる。そこで今 後 、 SJI 香 港 の規 程 の問 題 点 等 を洗 い出 した上 、SJI 香 港 の事 業 内 容 を踏 まえ、SJI 香 港 の 董 事 会 の決 議 を要 する事 項 及 び董 事 の決 裁 で足 りる事 項 等 の 区 分 及 びこれに応 じた 手 続 を明 確 に定 めるなどして、網 羅 的 かつ適 正 な内 容 の規 程 を整 備 することが必 要 であ る。この作 業 に当 たっては、SJI 香 港 のみならず、同 時 に他 の関 係 会 社 についても、その 事 業 内 容 等 の特 性 に応 じた個 別 の規 程 を整 備 する必 要 がある。 他 方 で、SJI が SJI 香 港 を含 め、全 ての関 係 会 社 の業 務 を適 切 に管 理 するため、管 理 体 制 自 体 の見 直 しを図 るべきであり、取 り分 け海 外 の関 係 会 社 については、その業 務 を 適 切 に管 理 するため、組 織 体 制 及 び規 程 の整 備 も含 めた抜 本 的 な見 直 しを 行 う必 要 が ある。 3. 財 務 経 理 部 門 の機 能 の充 実 ・強 化 第 6・4(1)記 載 のとおり、本 事 象 の原 因 及 び問 題 点 として、財 務 経 理 部 門 による資 金 調 達 機 能 が不 十 分 であり、かつ、財 務 経 理 部 門 を統 括 する役 職 が設 置 されていなかっ たことが挙 げられる。そこで今 後 、財 務 経 理 部 門 を統 括 する最 高 財 務 責 任 者 を設 置 し、 その権 限 と責 任 の下 で、資 金 調 達 ・管 理 ・決 済 等 を適 正 に行 うとともに、資 金 調 達 機 能 の強 化 も図 っていくことが必 要 である。 これにより、本 事 象 のように特 定 の役 職 者 に権 限 が集 中 する状 況 を回 避 することがで きると思 われる。 なお、最 高 財 務 責 任 者 には、財 務 経 理 の分 野 に精 通 し、資 金 調 達 能 力 も兼 ね備 え た人 材 を充 てることが必 要 と思 われる。しかし、これには、適 切 な人 材 の確 保 や SJI 全 体 67 の所 要 の手 続 も必 要 があることから、最 高 財 務 責 任 者 が設 置 されるまでの間 の暫 定 的 な 措 置 として、少 なくとも財 務 経 理 担 当 の執 行 役 員 を設 けて、財 務 経 理 部 門 の機 能 の充 実 ・強 化 に向 けた準 備 に早 急 に取 り掛 かる必 要 がある。 4. 社 用 印 章 の管 理 体 制 の強 化 第 6・4(2)記 載 のとおり、本 事 象 の原 因 及 び問 題 点 として、SJI の実 印 等 の社 用 印 章 の 管 理 体 制 がずさんであったことが挙 げられる。そこで、今 後 は、社 用 印 章 については、3 で述 べた最 高 財 務 責 任 者 あるいは財 務 経 理 担 当 の執 行 役 員 の下 で一 元 的 に管 理 する こととし、基 本 的 には、実 印 等 の重 要 な社 用 印 章 を押 捺 する際 には最 高 財 務 責 任 者 あ るいは財 務 経 理 担 当 の執 行 役 員 がこれに立 ち会 うことを要 するとの取 扱 いに改 めること が必 要 である。また、社 用 印 章 を使 用 した際 の押 捺 記 録 簿 への記 録 の徹 底 を図 るととも に、これが遵 守 されているか否 かを定 期 的 に確 認 する仕 組 みを設 けるべきである。 5. 内 部 通 報 制 度 の有 効 ・充 実 化 第 6・5(2)記 載 のとおり、現 状 の SJI ヘルプラインと呼 ばれる内 部 通 報 制 度 は、実 効 性 が期 待 できない仕 組 となっている。そのため、今 後 は、例 えば通 報 窓 口 を社 内 ではなく社 外 の専 門 家 とすることや、匿 名 による通 報 も可 能 とする ことなどを通 じて、内 部 通 報 制 度 の有 効 化 ・充 実 化 を図 る必 要 がある。 6. 全 社 的 なコンプライアンス意 識 向 上 に向 けた研 修 受 講 の義 務 化 第 6・1(1)記 載 のとおり、本 事 象 により、SJI の経 営 トップの李 氏 について、コンプライア ンス意 識 が欠 如 していたことが明 らかになったことから、SJI グループの役 員 及 び社 員 全 員 がこの事 態 を重 く受 け止 め、自 らのコンプライアンス意 識 を向 上 させていく必 要 がある。 そこで、定 期 的 に、外 部 講 師 を招 き、企 業 倫 理 、コンプライアンス等 に関 する研 修 を実 施 し、全 社 的 に研 修 受 講 を義 務 化 することが必 要 である。 68 第 8. 終 わりに 本 調 査 の一 環 として、当 委 員 会 では、第 7 記 載 の再 発 防 止 策 の提 言 を検 討 する上 で、 SJI の代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 石 濱 人 樹 氏 及 び代 表 取 締 役 北 村 克 己 氏 のヒアリングを実 施 した中 で、SJI グループの再 発 防 止 に向 けた取 組 状 況 及 び李 取 締 役 の現 在 の担 当 業 務 について聴 取 したところ、その概 要 は以 下 のとおりであった。 1. SJI グループの再 発 防 止 に向 けた取 組 状 況 (1) 平 成 23 年 3 月 期 以 降 の会 計 処 理 の精 査 及 び訂 正 処 理 SJI においては、再 発 防 止 に向 けた取 組 の一 環 として、当 委 員 会 に調 査 を委 嘱 した 事 項 以 外 に、過 年 度 の会 計 処 理 に不 適 切 な点 がないかなどを独 自 に調 査 することとし、 当 委 員 会 の調 査 と並 行 して、平 成 23 年 3 月 期 以 降 の SJI グループの会 計 処 理 につい て精 査 しているところである。 (2) SJI グループの財 務 体 質 改 善 に向 けた取 組 SJI グループとしては、資 金 調 達 において李 取 締 役 の能 力 に過 度 に依 存 していたこと が、本 事 象 の遠 因 であり、かかる事 態 を回 避 するための方 策 が不 十 分 であった との認 識 の下 、財 務 体 質 の改 善 に取 り組 んでいる。その具 体 的 施 策 として、固 定 費 ・販 売 管 理 費 の圧 縮 による経 費 削 減 、主 要 取 引 先 との連 携 による収 益 の改 善 、海 外 資 産 の売 却 によ る有 利 子 負 債 の圧 縮 に努 めている。 (3) SJI グループの売 却 ・整 理 に向 けた取 組 SJI グループには、海 外 を中 心 として、多 数 の関 係 会 社 が存 在 し、グループ間 の取 引 が頻 繁 に行 われていたという状 況 があり、この ことが不 適 切 な取 引 が行 われる背 景 とな っていたことは否 めない。 今 後 、関 係 会 社 については全 て売 却 ・整 理 を進 めていく方 針 であり、これにより、 本 件 のような関 係 会 社 を利 用 した不 適 切 な取 引 が行 われるリスクを排 除 できると考 えてい る。 2. 李 氏 の現 在 の担 当 業 務 石 濱 氏 及 び北 村 氏 によれば、李 氏 の一 連 の行 為 に対 し、遺 憾 に思 っており、当 時 代 表 取 締 役 社 長 であった李 氏 による行 為 であるとの重 要 性 に鑑 み、処 遇 については処 分 を含 めて検 討 する必 要 があると考 えているとのことであった。 69 他 方 で、李 氏 は、経 営 者 として極 めて高 い能 力 ・資 質 の持 ち主 であり、SJI グループ内 にあっては、役 員 及 び社 員 の信 頼 も厚 く 、対 外 的 にも、これまで培 っ てきた人 脈 及 び信 用 を背 景 に、SJI グループの成 長 をリードしてきた実 績 がある。さらに、SJI が資 金 繰 りに窮 した状 況 にあっては、自 ら資 金 繰 りに奔 走 し、時 には私 財 を投 げ打 って会 社 の窮 地 を救 ってきたことも事 実 であり、これまでの貢 献 度 は非 常 に高 いと述 べている。 また、平 成 26 年 10 月 10 日 付 けで SJI の代 表 取 締 役 社 長 から取 締 役 に降 格 になっ た後 、李 取 締 役 には、SJI グループの資 金 決 済 には一 切 関 与 させていない。その中 で、 李 取 締 役 には、SJI グループの海 外 資 産 の売 却 や資 金 調 達 に限 定 して業 務 を担 当 させ ているが、これは SJI グループの再 発 防 止 に向 けた取 組 の一 環 でもあるので、この点 も踏 まえ、李 氏 の処 分 を含 めた処 遇 については、今 後 の再 発 防 止 策 と併 せて検 討 する必 要 があると考 えているとのことである。 SJI グループの上 記 のような取 組 は、今 後 の再 生 にとって積 極 的 な要 素 として評 価 する ことができる。 他 方 で、李 氏 は、平 成 26 年 10 月 10 日 付 で既 に SJI の代 表 取 締 役 から取 締 役 に降 格 となっており、現 在 、SJI 香 港 の資 金 決 済 等 には一 切 関 与 していないとはいえ、同 社 の 董 事 長 の役 職 に留 まっている。B 取 引 については、SJI 香 港 の董 事 長 の立 場 を利 用 して、 仮 装 取 引 を実 行 したという面 があることから、当 委 員 会 としては、形 式 上 のものであったと しても、李 氏 が SJI 香 港 の董 事 長 の役 職 にあること自 体 、ガバナンスの観 点 から、相 当 で はないと考 える。 もっとも、当 委 員 会 の調 査 結 果 を踏 まえた李 氏 に対 する処 分 を含 めた処 遇 等 について は、SJI において判 断 されるべき事 柄 である。 今 後 、SJI グループによる再 発 防 止 策 の実 施 状 況 等 に対 する社 外 委 員 会 による検 証 が 行 われるのであれば、ガバナンス体 制 、その中 で李 氏 が果 たし得 る役 割 等 も検 証 の対 象 と され、李 氏 の上 場 会 社 の役 員 としての資 質 等 も含 め、社 外 委 員 会 による 中 立 かつ客 観 的 な評 価 を経 た上 で、SJI が最 終 的 に決 定 するという判 断 も十 分 あり得 ると思 われる。 当 委 員 会 としては、SJI が当 委 員 会 の提 言 を踏 まえ、各 種 の再 発 防 止 策 を着 実 に実 行 することなどを通 じて、真 の再 生 を果 たし、強 固 なコンプライアンス体 制 を構 築 し、自 浄 作 用 を備 え、適 正 なガバナンス体 制 の下 で、これまで以 上 にその事 業 展 開 を通 じて、「情 報 サービスにおける日 中 の架 け橋 」としての役 割 を果 たし続 けていくことを期 待 して、本 調 査 を終 えることとしたい。 以 上 70 別 紙 「A・B 取 引 の詳 細 一 覧 」 「A 取 引 の詳 細 」 (単 位 :円 ) 番号 仕入先 支払日 支払額 (SJI グル ー プ SJI の SJI グル ー プ 入金日 販売先 の販 売 先 (SJI グループ 増加率 への入 金 日 ) (%) か らの 出 金 日 ) 入金額 資金 1 O社 H22.7.2 47,250,000 L社 L社 H22.9.30 50,400,000 106.7 2 E社 H22.10.28 205,275,000 L社 L社 H23.1.31 208,121,142 101.4 3 E社 H23.1.31 370,000,050 M社 M社 H23.5.24 385,000,875 104.1 4 O社 H23.2.28 201,936,630 SJI H社 H24.6.14 205,427,000 101.7 H社 H24.6.14 97,600,000 102.4 H社 H23.9.5 287,000,000 103.0 香港 5 E社 H23.2.28 95,340,000 SJI 香港 6 O社 H23.4.28 278,685,750 SJI 香港 7 E社 H23.6.15 304,585,365 M社 M社 H24.3.30 310,801,050 102.0 8 N社 H23.6.15 118,650,000 SJI H社 H25.2.27 120,000,000 101.1 H社 H25.2.27 258,739,100 101.9 H社 H25.2.27 188,680,000 101.9 2,111,769,167 102.5 香港 9 O社 H23.9.20 253,814,925 SJI 香港 10 O社 H23.9.20 185,095,050 SJI 香港 合計 2,060,632,770 71 「B 取 引 の詳 細 」 (単 位 :円 ) 仕入先 SJI 香 港 に SJI 香 港 による SJI 香 港 の SJI 香 港 SJI 香 港 への 資金 よる支 払 日 支払額 販売先 への入 金 日 入金額 増加率 (%) F社 合計 H23.5.20 1,199,166,400 H社 1,199,166,400 H24.6.6 707,334,978 H24.11.7 550,000,000 1,257,334,978 72 104.9 104.9
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