事例を読む - CA Technologies

ユーザ導入事例
2015.2
品質は“チェック”するものではなく“作り込む”もの
確実・迅速な並行開発の仕組み
を支える
「CA Service Virtualization」
ユーザプロフィール
業 種:情報サービス
会 社 名:クオリカ株式会社
従業員数:834人(2014年10月現在)
売 上 高:153億円(2014年3月期)
BUSINESS
CHALLENGE
SOLUTION
BENEFIT
1982年 に コ マ ツ の 情 報 シ ス
「稼働までに1年以内」といっ
ベンダーやパートナーが開発す
本番に近いシビアなテストでよ
テム会社として創業したクオリ
た近年のシステム開発への顧客
るシステムの振る舞いを真似さ
り高度な品質が作り込まれてい
カ。ITホールディングスグルー
ニーズに対応すべく、品質とス
せ、互いのシステムがブラック
く様子がバグの発生率という具
プの一員として、製造業や流通
ピードを担保するために新しい
ボックスのままでも随時テスト
体的な数字として確認できた。
サービス業を中心に、業務用シ
開発体制の構築に取り組んだ。
を行える環境を構想。そのため
本番に近い環境を作り込む作業
ステムや独自開発のパッケージ
スピードのほかにも、オフショ
に、サービス仮想化ツールに注
もパラメータ設定で変更できる
ソフト、クラウドサービスなど
ア、ニアショアを活用したマル
目し、できるだけ開発初期の段
など行いやすかった。ナレッジ
を提供する。企業のグローバル
チサイトを使った並行開発や、
階から品質を作り込みたいとい
の活用やノウハウの共有にも役
展開や事業のスピード化に対応
情報保護の観点から提携先シス
う考えのもとで、CA Service
立てるべく、全社展開を進めて
したソリューションの展開に力
テムの動きすら分からない中で
Virtualizationを採用。
「品質を
いる。DevOpsの観点で開発と
を入れている。
の開発が求められた。
作り込むためのプロセス」をデ
運用をスムーズにつなぐ仕組み
ザインした。
づくりも進める。
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ユーザ導入事例
2015.2
ca.com/jp
BUSINESS
コマツの情報システムを30年作り続けてきたノウハウを基にあらゆる顧客をサポート
1982年にコマツの情報システム会社として創業し、2000年にTISグループに、2008年にITホールディ
ン グ ス グ ル ー プ の 一 員 と な っ た ク オ リ カ 株 式 会 社。 社 名 の「QUALICA」 は、「Quality for Industrial and
Commercial Advantage」を意味しており、英語の「Quality」に頭文字「I」「C」「A」を組み合わせた造語だ。
クオリカ株式会社
IT サービス事業本部
開発技術センター長
坪口 智泰 氏
その名が示すように、技術力と組織力に支えられた高い品質が同社のITサービスの最大の強みだ。
クオリカは、業務用システム開発、パッケージソフトの開発、クラウドサービスの提供、システム運用、情報端
末製造など幅広い事業を展開する。業務用システム開発では、コマツの基幹システムや業務アプリケーションを
30年にわたって作り続けてきたノウハウを基に、製造業、流通・サービス業などにあらゆるシステムを提供する。
たとえば、製造業向けには、設計システム、生産管理システム、遠隔監視システムなどが、流通・サービス業向け
には、営業支援システム、本部運営システムなどがある。
また、製造業や小売業を中心に進むグローバル展開もサポートしている。グローバル展開では、海外拠点の立ち
上げに伴う業務システムの導入や各拠点間の連携が課題になりやすい。上海に拠点を持つクオリカでは、中国語や
英語など多言語対応したパッケージソフトやクラウド型システムを用意し、中国を中心として海外の日系企業や現
地企業にソリューションを提供している。
CHALLENGE
品質とスピードを担保するために新しい開発体制の構築に取り組む
クオリカでは、顧客に対して、高い品質の製品とサービスを提供することに注力してきた。ただ、ビジネス環境
がめまぐるしく変化する昨今では、従来のような考え方や方法論では、ユーザー企業の要望に応えられないシーン
も増えてきた。
たとえば、システム開発にスピードが求められるようになった。かつては「要件定義に半年、そこからテストを
行い、運用まで約2年」といったスパンで開発を行うことが一般的だった。しかし、近年は「稼働までに1年以内」
という要望が増えた。なかには、
「期限を提案に組み込んだ上でRFPを提出してほしい」と言われるケースもある
という。
また近年では、オフショア、ニアショアを活用したマルチサイトでの開発が進んでおり、ユーザー企業も、クラ
ウドや複数のSIer、ベンダーを使うことでリスク分散できる並行開発を望むようになった。さらに、情報保護の観
点から、ユーザー企業の連携先システムや、他のSIerが並行開発しているシステムについて、その中身やデータを
見ることも難しくなった。そうしたなかで、開発のスピードと品質を担保するためには、単純に人的リソースを増
やすだけではなく、システム開発の在り方そのものを変える必要が出てきたのだ。
こうした並行開発を進める中では、他のベンダー、パートナーといかにコミュニケーションを取り、品質を確保
していくかが課題になる。たとえば、「他のSIerが開発しているサブシステムの動きを知るために、データの構造
を知りたい」という場合、発注元であるユーザー企業を経由して「データを見たい」と頼んだとしても教えてはく
れない。つまり、連携先システムの動きすら分からない中で開発し、最後の結合テスト、受け入れテストの段階に
なって問題が噴出するケースが目立つようになってきたのだ。
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2015.2
ユーザ導入事例
ca.com/jp
SOLUTION
CA Service Virtualizationで本番システムの振る舞いを再現、品質を作り込む
新しい開発体制を構築するために、クオリカでは新しい考え方と方法論を採用した。ITサービス事業本部開発技
術センター長 坪口智泰氏は、次のように説明する。
「連携先システムの中身を見られないなら、システムの振る舞いを見て開発すればよい、という発想に切り替え
ました。そこで、サービス仮想化ツールに注目し、できるだけ開発初期の段階から品質を作り込みたいという考え
のもと、CA Service Virtualizationを採用しました」
同製品は、大きく3つの機能を持っている。1つは対向先システムの振舞いやデータのシミュレーションする「サー
ビスの仮想化」。2つめは「テストの自動化機能」。iPhoneやAndroidなどモバイルデバイスのUI自動化も可能だ。
3つめは「負荷テスト機能」
。テスト先アプリケーションに対して負荷をかけるだけではなく、テスト先アプリケー
ションが連携するアプリケーション側が負荷を受け、応答するという仮想化機能を持つ。
クオリカでは、これら機能を使って、ベンダーやパートナーが開発するシステムの振る舞いを真似させ、互いの
システムがブラックボックスのままでも随時テストを行える環境を整えた。導入したプロジェクトでは国内外合わ
せて計10カ所の拠点があったため、業務インフラとしてVDI(仮想デスクトップ環境)を導入し、開発もVDI上で行っ
た。開発パートナーである他のSIerにVDI環境にリモートでアクセスしてもらうことで、スムーズに並行開発を進
めることができた。
ポイントは、振る舞いやデータのシミュレーションを開発当初から本番システムに近い状態で行ったことだ。よ
り本番に近い振る舞いがシミュレーションできれば、始めからそれを使ってシステムの品質を作り込むことができ
る。つまり、CA Service Virtualizationを核として、並行開発で「品質を作り込むためのプロセス」をデザイン
したことで、テスト工程の効率化を実現させたのだ。
クオリカ様における、CA Service Virtualizationの利用イメージ
分散、多種、多様化するシステム構成のテスト環境をサービスを仮想化する事で構築ロスを解消
Service
Virtualization
開発対象
必要なIF
ベンダーA
データセンター
ベンダーB
クオリカ様PJサイト
ベンダーC
各サブシステムの結合テスト環境にService Virtualizationでプロビジョニングすることでスムーズな受け入れ/結合テストが開始可能に
BENEFIT
スピーディに高品質なシステムを作るためにDevOpsは欠かせない
CA Service Virtualizationは2013年から検証を開始し、2014年5月に本格導入した。その後、実際のプロジェ
クトに適用して効果を確認した。坪口氏は、CA Service Virtualizationの効果を実感した例として、バグの発生
率を挙げながら、こう説明する。
「通常、バグは最初に一気に噴出して、その後修正されていくため、発生率は時間とともに減っていきます。し
かし今回のプロジェクトでは、発生率は直線を描きました。つまり最初から本番に近い環境でテストするため、検
出され修正されても、すぐに異なるバグが見つかる。つまり、本番に近いシビアなテストで、より高度な品質が作
り込まれていく様子が具体的な数字として確認できたわけです」
“ここ数年は「稼働までに1年以
内」という要望がほとんどで
す。 ま た、 オ フ シ ョ ア、 ニ ア
ショアを活用したマルチサイ
トでの開発が進んでいますが、
ユーザー企業側もクラウドや複
数のSIer、ベンダーを使うこと
でリスク分散できる並行開発を
望んでいます。加えて、情報保
護の観点から、ユーザー企業の
連携先システムや、他のSIerが
並行開発しているシステムにつ
いて、その中身やデータを見る
ことも難しくなっています。つ
まり開発のスピードと品質を担
保するためには、単純に人的リ
ソースを増やしても実現は難し
く、システム開発の在り方その
ものを変える必要が出てきたの
です。”
“そ ん な 中、「 で き る だ け 開 発
初期の段階から品質を作り込
めないか」と考えたのが、CA
Service Virtualizationに注目し
たきっかけでした。”
“CA Service Virtualizationのス
タブを使って、ベンダーやパー
トナーが開発するシステムの振
る舞いを真似させることで、互
いのシステムがブラックボック
スのままでも随時テストを行え
る環境を整えたのです。これに
より、テスト制約の問題を解消
しながら効率的に並行開発を進
めることを狙いました。”
“また、導入したプロジェクト
では国内外合わせて計10カ所の
拠点があったため、業務インフ
ラ と し てVDI(仮 想 デ ス ク ト ッ
プ環境)を導入し、開発もVDI上
で行っています。そうした弊社
のVDI環境にスタブを用意して
おき、開発パートナーである他
のSIerにもリモートでアクセス
してもらうことで、スムーズに
並行開発を進める仕組みを整え
たのです。”
“CA Service Virtualizationで
は、「連携先システムが未完成」
「中身が分からない」といった
テスト制約の問題を回避しなが
ら、開発初期段階から品質を作
り込むことで、運用への受け渡
しをスムーズに行う仕組みを整
えることができます。これによ
りトータルでの工期・工数を削
減する——すなわち「シフトレ
フト」を狙うことができるわけ
です。”
クオリカ株式会社 ITサービス事業本部
開発技術センター長 坪口 智泰 氏
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ユーザ導入事例
2015.2
ca.com/jp
本番に近い環境を作り込む作業も行いやすかったという。CA Service Virtualizationは、スタブのレスポンス
時間や負荷などをパラメーターとして容易に設定できる。また、設定をXMLで記述されているため、XMLファイ
ルを加工して数千万件のデータを作成し、より本番環境に近づけるといったことも簡単にできたのだ。
さらに、ナレッジの活用やノウハウの共有にも適しているという。CA Service Virtualizationは結果をリポー
トとして蓄積できるため、
「どの機能で、どんなバグが発生し、どう処理されたか」といった知見を類似したプロジェ
クトに再利用しやすい。また、開発部門とは異なるチームがこうしたテストツールを使ってノウハウを共有するこ
とで、確実に品質を担保することにもつながる。
坪口氏は今後について「リリースまでの期間を短く、リスクを分散しながら並行開発するというニーズは今後ま
すます強まるはずです。よりスピーディに高品質なシステムを作る上では、DevOpsという言葉に象徴される開発
と運用の連携が欠かせません。CA Service Virtualizationは、開発と運用のつなぎをスムーズに行うためにも欠
かせません」と大きな期待を寄せている。
クオリカ株式会社
1982年コマツの全額出資による情報システム会社として創業。製造業、流通・サービス業向けに業務用システム
開発、パッケージソフト開発、システム運用、情報端末製造などの幅広い事業を展開する。2008年に業界トップ
クラスのITホールディングスグループの一員となり、グループ各社と連携することで総合力を強化。強みは製造業、
流通・サービス業のお客様に長年密着して培ってきた業務知識・ノウハウを生かしたITサービス。
■本社所在地 東京都新宿区西新宿8-17-1住友不動産新宿グランドタワー 23F
■設立 1982年11月1日
■資本金 12億3460万円
■事業内容 クラウドサービス、業務用システム開発、パッケージソフト開発・販売、ハードウェア製造・販売、
システム運用管理、基盤構築サービス
■URL http://www.qualica.co.jp/ ※製品の詳細情報については、弊社 Web ページ (www.ca.com/jp) をご覧いただくか、
CA ジャパン・ダイレクト (0120-702-600) までお問い合わせください。
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2015 年 2 月現在
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