「押すだけコール」高齢者生活支援モデル事業

高齢者(見守り)
H27.3 公開
「押すだけコール」高齢者生活支援モデル事業
(選定年度:平成 21 年度)
■代表提案者:株式会社マザアス
■事業場所:
(システム提案)
高齢者
障害者
子育て
〔事業概要〕
介護、緊急通報、タクシー、コールセンター、配食サービスを行う民間事業者の共同提案
により、緊急時、見守り対応+日常生活支援を実施する事業である。
〔提案の評価概要〕
多様な事業主体とのネットワークが充実しており、将来及び他地域、他社への波及効果が
評価された。採算性、効果が確認できれば全国的な応用も可能と考えられ、自治体サービス
のアウトソーシングとしてのモデル性も評価された。今後、サービス提供の範囲を拡大した
ときの事業間連携の具体の検討が望まれた。
(1)提案概要
①提案時の事業背景
初年度のモデル地域とする千葉県流山市では、自治体の事業として、ひとり暮らし高齢者
を対象として、各住戸に緊急通報装置が設置され、消防本部の通信司令室との間でホットラ
インを設ける取り組みが行われている。自治体の事業は、その対象に年齢・家族形態・健康
状態等の条件があるため、市民からは、緊急通報装置設置の対象範囲の拡大を含め、多くの
要望が寄せられているが、財政状況や消防本部の受け入れ態勢から、対象者拡大は困難な状
況である。
②提案時の事業概要
自治体の事業ではカバーしきれない高齢者等も対象に、現在の介護保険サービスにはない
10 種類の在宅サービスを一体で提供するため、住戸に見守りと日常生活支援を行うコール装
置を整備するもの(平成 21 年度千葉県流山市、平成 22 年度主要都市、平成 23 年度全国)
。
関連事業者7社とコールセンターのネットワークにより、健康管理・健康相談のサービスを
生活の中に取り入れ、高齢者の急激な心身の変化にも対応する。サービス利用者のモニタリ
ング調査とアンケート調査を実施し、効果の検証を行う。情報提供は 50 ヶ所のショールーム
等や各種メディアの活用、セミナー・シンポジウムの開催を実施し普及活動を行う。専門家
による調査委員会を設置し、次年報告書の作成も行う。
(2)システムの概要
①サービスの概要
自宅での見守りと生活支援サービスを融合させ、4タイプのサービスを提供している。提
供している生活支援サービスは、以下のとおりである。
1)緊急通報サービス 2)駆け付け対応 3)外出サポート
4)生活・健康相談ホッとライン 5)配食サービス 6)日常軽作業サービス
7)水漏れ・鍵トラブルサービス 8)家事代行サービス
9)見守りシステムと安心コール 10)リフォーム・住宅改修サービス
11)高齢者住宅・施設紹介サービス
②費用とサービス内容
商品名
プレミアムタイプ
駆け付け
生活支援サービス
サービス
24 時間相談受付
生活リズムセンサー
火災感知器連動
運
営
デメリット
初期費用(税別)
ホームネット
屋内のみ、有線の
スタンダードタイプ
駆け付け
24 時間相談受付
生活リズムセンサー
無線(工事不要)
セントラル警備保障
シンプルタイプ1
シンプルタイプ2
駆け付け
駆け付け
人感センサー
人感センサー内蔵
屋内外で使用可
屋内外で使用可
工事不要
工事不要
歩数計メール通知
歩数計付き
24 時間相談受付
24 時間相談受付
GPS情報付き
GPS情報付き
TOKAI
TOKAI
屋内のみ
ため工事あり
80,000 円
30,000 円
27,000 円
15,000 円
月額費用合計
1,575~2,880 円
2,900 円
2,300 円
2,100 円
駆け付け費用
0円
0円
5,400 円/回
5,500 円/回
3年
3年
携帯電話端末のみ
携帯電話端末のみ
レンタル
主要機器
緊急通報
サービス
エリア
駆け付け
相
談
買い取り
5年
電話回線、緊急通
電話回線、緊急通
報親機、人感セン
報親機、人感セン
サー、ペンダント、 サー、ペンダント、
在不在スイッチ
在不在スイッチ
緊急ボタン、生活
緊急ボタン、生活 緊急ボタン、人感
緊急ボタン、人感
リズムセンサー
リズムセンサー
センサー
全国(駆け付け不
全国(駆け付け不 全国(駆け付け不
全国(駆け付け不
可エリアあり)
可エリアあり)
可エリアあり)
タクシー会社
セントラル警備保障
センサー
可エリアあり)
全日警
セントラル警備保障
医師・看護師により 看護師により 24 時 看護師により 24 時
看護師により 24 時
24 時間常時サービス 間常時サービス
間常時サービス
間常時サービス
火災通報
火災感知器と連動
オプション
自動安否確認
生活リズムセンサー
生活リズムセンサー
外出・
外出センサーと安
外出センサーと安 歩数センサーとG
歩数センサーとG
否センサー
否センサー
PS機能
―
―
在宅確認
メール通報
―
人感センサー
PS機能
〇
―
人感センサー
〇
タクシー会社が駆け付ける場合には、救急車を呼ばずに直接病院に連れて行くことも可能
となる。中山間地での需要があるが、対応する警備会社等の駆け付け対応エリア外で契約で
きないケースもある。
③プレミアムタイプの対応フロー
<緊急ボタン・コール>
<生活リズムセンサー作動>
コール
センサー作動
状態確認(音声確認)
対象居室(本人)連絡
(応答なし)
緊急レベル
事務室連絡
要状況確認レベル
①救急車要請認
①タクシー会社連絡
②タクシー会社連絡
②事務室連絡
外出・外泊連絡あり
③事務室連絡
外出・外泊未確認
タクシー会社連絡
タクシー会社到着
救急車到着→搬送
状況確認
タクシー会社到着
(事務所管理人同行)
状況確認
(事務所管理人同行)
第1,第2…
連絡先へ連絡
状況により対処
救急搬送、受診、
状況により対処
様子観察、連絡先へ連絡
救急搬送、受診、
様子観察、連絡先へ連絡
帰館後、事務室→コールセンターに連絡
(3)サービス提供状況・技術の検証状況
契約は 159 件(うち法人 114 件、個人 45 件)で、契約が伸び悩んだ理由として、当事業が
H21 に選定された後(H23)にサービス付き高齢者向け住宅制度が創設され、そこに安否確認
と生活相談が義務付けられたため、当事業の利用者がそれ以外に限定されてしまうことや、
その結果コストが下がらないこと等が挙げられた。
本サービスの利用者(高齢者個人 5 名、施設事業者 1 社)を対象に、導入背景や導入前に
期待した本サービスの魅力、導入後の利用実態や本サービスに対する評価(安心感の増減)
など生活支援の効果を検証している。
「押すだけコール」への問合せ者(うち約4割が契約者)に対するアンケートでは、契約
者の半数近くの主な認知媒体は「紹介」であり、問合せは「親を思う子」(36%)が「本人」
(32%)より多かった。回答者全体の独居率(69%)と比べ、契約者の独居率は 75%とさら
に高かった。「押すだけコール」の各種の機能、サービスに対する魅力については、「駆け付
け」が最も多く、続いて「見守りセンサー」
「家族への連絡」が続いた。
(4)提案内容の達成状況・課題
サービス付き高齢者向け住宅に居住せず、自治体による緊急通報装置等の要件を満たさな
い世帯でも、自宅で安否確認や緊急通報サービスを受けられる体制が確保できており、多数
の事業主体とのネットワークが構築できている。また、ホームページの開設や、居宅介護支
援事業所・自治体へのPR、セミナーの開催、福祉用具店・高齢者住宅モデルルームでの展
示などを通じて情報提供や普及にも努めたものの、安否確認が義務化されたサービス付き高
齢者向け住宅の制度創設(平成 23 年)の影響もあって整備が進まず、5,000 戸の整備計画が
800 戸程度にとどまった。
今後は、見守られる側(高齢者本人)ではなく見守る側(家族)への訴求の工夫や、ICT
技術の進歩に伴うニーズの変化への対応により、より魅力的なサービスの提供が望まれる。
また、近年急速に普及が進んでいるスーパーやコンビニの宅配などにも見守り効果があるが、
それらとの互換性を持たせ、横のつながりができれば、更なる普及に期待できる。
〔事業実施後の評価委員の所見〕
意欲的なシステム提案であったが、想定ほど利用が伸びていない。その要因として、
平成 23 年にサービス付き高齢者向け住宅が制度化されたこと、元気な高齢者はまだ機器
の必要性を感じず、逆に認知症の高齢者は機器の携帯を忘れるなどの課題があった。通
話機能を合わせたほうが元気な高齢者にとって抵抗感なく緊急コールを携帯してもらえ
ること、また、機器による見守りには誤報の対処に課題があること、タクシーによる駆
けつけの有効性、人の目によるチェックをシステムに入れることの重要性など、実践か
ら得られた指摘は、地域包括ケアにおける見守り体制の構築にむけた貴重な知見といえ
る。今後、スマートフォンが普及し、専用アプリによる緊急コールシステムが実現すれ
ば、当事業の駆けつけを行うタクシー会社の全国ネットワークが有効なプラットフォー
ムになるだろう。今回の実践は将来を展望する重要な技術検証になった。
〔資料等〕
プレミアムタイプ
シンプルタイプ1
スタンダードタイプ
シンプルタイプ2