前年度の公益化移行時から引き続き理事を務めることに

前年度の公益化移行時から引き続き理事を務めることになり、本年度で2期目となりました。
今年は診療報酬の改定や、新たに食事療養費自己負担問題等、医療を取り巻く変化は著しいものがあり、
更に、来年は介護保険の改正もあり、地域・在宅に向けての栄養管理の連携がより重要になると思われます。
この様な社会情勢の変化を見据えながら公益性のある事業に取り組み、社会に評価される組織を築く為に
新役員をはじめ、会員の皆様のご協力を頂きながら努力してまいりますのでどうぞ宜しくお願い致します。
又、今年度初めて宮崎県栄養士会の「優良栄養士・管理栄養士」が2年更新で認定されたところですが、
日本栄養士会の生涯教育制度も今年から新しくスタートして、専門分野別の認定管理栄養士・栄養士を育成
するシステムになりました。
これに伴い、医療事業部は、今までより研修会の回数を増やし、今年度から1年で8単位取得できる研修会を
計画しました。多くの会員の皆様に積極的に参加して頂き 『食と栄養』の専門職としてのスキル向上の為に
努めて参ります。
平成 26 年4月 19~20 日
6月 14~15 日
医療事業部 部長 太田 由子
平成26年9月
全国リーダー研修会(2名参加) 東京
日本健康・栄養会館
第33 回宮崎県糖尿宿泊講習会(12名参加) 青島サンクマール
7月 6 日
第1回医療事業部研修会(参加数94名) 宮崎県保健センター5階
*特別講演:「摂食・嚥下リハビリテーションにおける口腔環境の重要性」
講師:潤和会記念病院
リハビリテーション歯科医
清山 美恵先生
摂食・嚥下障害看護認定看護師
浜砂 昭子先生
7 月26日
第28 回臨床栄養学術セミナー(2名参加) 東京医科歯科大学 テーマ:「CKD を学ぶ」
8月6日~8日
第35回小児糖尿病宿泊講習会(参加児18名) 綾町ふれあい合宿センター
8月29~30日
10 月18日
第1回九州地区リーダー研修会 (参加24名)
宮崎県 KITEN コンベンションホール 8 階
第2回医療事業部研修会(参加予定120名) 宮崎県保健センター5階
*特別講演「腎機能を保持するための集学的治療」
講師:兵庫医科学内科学 腎・透析科
主任教授
・臨床栄養学術セミナー参加報告会
【CKD の栄養指導(演習)】
11 月9日・16 日
中西
健先生
担当管理栄養士 2 名
第 50 回全国糖尿病週間 糖尿病無料検診と医療相談(宮崎・都城)対象県民予定数
12月13日
750名
第3回医療事業部研修会(参加予定数120名) 宮崎県保健センター5階
*特別講演「仮題 糖尿病の栄養管理」
・スキルアップセミナー参加報告
平成 27年2月7日
第2回九州地区リーダー研修会
平成 27年3月14日
第4回医療事業部研修会
*特別講演「仮題
講師:宮崎江南病院
松尾
剛志先生
【仮題:糖尿病の栄養指導について】担当管理栄養士
福岡県(参加予定数
(参加予定数120名)
30名)
宮崎県保健センター5階
癌との栄養について」 講師:鹿児島大学院医師学総合研究科
・癌専門管理栄養士 モデル研修会参加報告
【症例発表】担当管理栄養士 2 名
上野真一先生
平成 26 年度
公益社団法人
宮崎県栄養士会
医療事業部研修会報告
平成 26 年 7 月 6 日(日)宮崎県総合保健センターにて平成 26 年度第 1 回医療事業部研修会が下記の内容で開
催され、94 名の参加がありましたのでご報告します。
*はじめに、医療事業部太田部長から、
【認定管理栄養士・認定栄養士】認定制度についての説明がありました。
認定管理栄養士、認定栄養士は、臨床栄養、学校栄養、健康、スポーツ栄養、給食管理、公衆栄養、地域栄養、
福祉(高齢・障がい者・児童)栄養等の専門領域において、熟練した栄養に関する技術と知識を用いて、「栄養
の指導」について責任をもって実践できるレベルに到達した事を認めるもので、所属施設の運営や他部門との連
携に積極的に関与し、他者にモデルを示すことができるものとします。自己研鑚して、所定の単位や実績があれ
ば認定試験を受験することができます。
*共催(株)明治から情報提供
「とろみ調整食品:トロメイク
コンパクト」
① 使用量 1/2 でいつものトロミ!②サッと溶けてダマになりにくい③クリアなトロミでおいしさそのまま④高
い汎用性で、さまざまな食品に使用可能(牛乳、流動食、オレンジジュースなど)などの特徴を説明後、実
際にお茶などにいれて試していました。
*講演:「摂食・嚥下障害看護」
潤和会記念病院 摂食・嚥下障害看護認定看護師
濵砂 昭子先生
まず、「摂食・嚥下障害看護認定看護師の役割」について、日常の業務内容を通して説明して頂きました。そ
の後、摂食・嚥下障害の評価方法や、摂食・嚥下障害に影響する要因について、誤嚥を起こしやすいリスクの高
い患者においては、病態別に(脳血管障害・認知症・加齢・薬物や治療による影響)
、また、摂食場面以外での
誤嚥についても解説して頂きました。「反復唾液嚥下テスト」では、講演会に参加している栄養士が前後でペア
を組んで、お茶とゼリーで実際に飲み込みテストを行いました。人差し指で舌骨、中指で甲状軟骨を触知した状
態で空嚥下を行い、30 秒で何回できるか確認しました(3 回/30 秒未満はアウト!です)。その後、嚥下造影・嚥
下内視鏡検査の様子を画像で確認しました。後半は、食事開始の条件、食事開始時の確認事項、食形態アップの
基準、食事の中止、中断をすべきとき、むせこみ時の対応など、私達が日常業務ですぐに活用したい詳しい内容
を盛りだくさんに!わかりやすく講演して頂きました。
*特別講演:「摂食・嚥下リハビリテーションにおける口腔環境の重要性」
潤和会記念病院
リハビリテーション歯科 清山
美恵先生
ⅰ)臨床の実際:2 症例を紹介して頂きました。どちらの症例も、まったく食べられない状態から、食事摂取が
可能になった感動的な内容でした。
症例 1 をご紹介します。77 歳男性、仙骨部褥瘡および食欲不振などで、A 病院より紹介でした。強烈な口臭、
口唇びらん、排濃、歯肉腫脹、強い摂取痛、嚥下痛など多くの自覚・他覚症状があり、どうやって食事摂取
までもっていくの?という感想でした。対応としては、まずは徹底的に口腔ケアを行うことのみを実施した
期間が 214 日間、その後、入院 277 日目、
「もう 3 年も水すら飲んどらん」
「オモユでいい、くちから食べた
いねえ~」その言葉を聞き、義歯作製に入ることにしたようです。入院 351 日目義歯作製開始、入院 373 日
目義歯完成、嚥下機能評価へ!VF 検査が実施されましたが、嚥下反射惹起やや遅延、食道ほぼ開大しなかっ
たため、バルーン拡張が行われ、食道開大したものの、バルーンでの訓練を完全拒否されたため、退院まで
の 1 カ月間大好きな「はちみつ」と「エンゲリード」での訓練を行いました。栄養状態は少しずつ改善され
退院されました。退院後 2 カ月経過後施設に訪問し、義歯調整、口腔ケアを継続し、
「お楽しみ」でも経口
摂取の継続をフォローしていくように、施設との連携を取っていかれるようでした。その熱心な関わりにた
だただ感動しました。
症例 2 は、摂食障害があり、出生直後より母乳の摂取ができず、経鼻経管栄養を続けている 1 歳 3 カ月の女
の子が成長と共に、普通食を摂取できるようになるまでの過程を詳しく解説して頂きました。その結果、
「食
事ができるようになって、言葉がでるようになった」「装具を着けてでの歩行がどんどんできるようになっ
た」経口摂取と運動能力の関連は定かではありませんが、
「自力歩行」
「会話」が食事を始めた時期に出来る
ようになり始めたのは事実です。潤和会記念病院リハビリテーション科医師:歯科普及委員会名誉会長の河
野先生の言葉に「食べれれば、歩ける!歩ければ、食べれる!」とあるようです。
その他、ⅱ)摂食・嚥下リハビリテーションとは?
ついて
ⅲ)摂食・嚥下障害とは?ⅳ)摂食・嚥下機能評価に
ⅴ)口腔ケアについてなどの盛りだくさんな内容を、画像を見ながらわかりやすく、最近のテレビ
の話題も取り入られて講演され、あっという間の時間でした。
今回の 2 つの講演で学んだことを業務に生かし、栄養管理のレベルアップを図りたいと思いました。
公益社団法人 宮崎県栄養士会 医療事業部
平成 26 年 7 月
「第36回
日
宮崎県小児糖尿病生活指導講習会
ヤングフェニックスサマーキャンプ」
参加報告
程:平成26年8月6日(水)~8月8日(金)
(※当初の予定は、8月10日までであったが、台風接近のため日程を短縮)
場
所:綾町ふれあい合宿センター
主
催:宮崎県糖尿病協会
宮崎県小児糖尿病対策委員会
ヤングフェニックスサマーキャンプ実行委員会
共
催:公益社団法人 宮崎県栄養士会
参加患児:18名(男児11名・女児7名)18歳以下の1型糖尿病患児
参加スタッフ:医師 看護師
栄養士 検査技師 大学生など 約110名
小児糖尿病サマーキャンプは、参加者が1型糖尿病を正しく理解し、よりよい自己コントロール
ができるようになり、自立していくことを目的としています。同じ病気を有する同年代のキャンパ
ー、キャンプを卒業したOB・OGや医療者と生活を共にすることで、インスリン自己注射や血糖
自己測定の手技を理解し、普段と異なる環境で適切な血糖コントロールやトラブルへの対処方法を
身につけたり、仲間の生活の仕方からヒントを得たり、将来に向けて1型糖尿病との付き合い方を
考えたりする機会となっています。
また、キャンプを通じて知り合った仲間たちは、かけがえのない存在となり得ますし、大学生や
社会人になったOB・OGの先輩たちと生活し交流することで、キャンパーの今後の人生において
支えや目標ができ、大きく成長する機会にもなると考えています。
ヤングフェニックスサマーキャンプでは、以下の3つを目的としています。
① 病気を正しく理解し、日常生活の中で、自信をもって適切な処置がとれる力を育てる
② 何でも話せて、協力・協同できる仲間つくりを行う
③ 学習や話し合いを通じて、現在・将来のさまざまな悩みを解決していく力を育てる
また、今年のキャンプのテーマを
「ありの~ままの~血糖値はかろ~、尐しもずれてないわ」と決め、キャンプを行いました。
サマーキャンプにおいて、栄養士が中心となり担当しているの
は、食事の管理、栄養教室、調理実習、捕食の管理、栄養相談で
す。キャンプ中の食事は、カーボカウントを用いて、管理してい
ます。はじめに、主食を計量し、自分が食べる食事のカーボ量を
見積もります。次に、食前血糖値が目標血糖値(医師が決定)よ
りも高い場合は、それを下げるために必要なインスリン量(補正
インスリン)を計算します。最後に、食事のカーボインスリンと
補正インスリンを合計して注射するインスリン量を決定すると
主食の計量の様子
いう流れです。食事の管理が従来の食品交換表による単位配分
からカーボカウントに変わり、今年で6年目になります。回を重ねるごとに計算方法に慣れ、スム
ーズになってきたなと感じています。
1日目の栄養教室では、初参加のキャンパー及び毎年参加して
いるキャンパーどちらもカーボカウントについて理解を深めるた
め、カーボカウントの基礎を復習しました。その後、「チーム対
抗!!カーボカウントクイズ王決定戦」と題し、カーボカウント
についてクイズ形式で学習しました。栄養士以外の医師やコンパ
ニオンの方々も協力してくださり、大変盛り上がりました。最後
に、調理実習についての連絡と、カーボカウント計算カードの記
入の仕方について説明をしました。
栄養教室で話をしている様子
ここ数年、栄養教室では毎回カーボカウントについて話をしているため、中学生や高校生のキャ
で
ンパーは、どの食品がカーボカウントする食品なのかなど基礎的な部分については理解が深まって
いるように思います。
クイズに答えている様子
問題
答え
で
で
カーボカウントについてのクイズ(スライド)
で
で
4日目の調理実習では、おにぎり(3種類)、おかず(6種類)
、デザートを作り、お弁当につめ
て、屋外で食べる予定にしていました。しかし、今年は台風接近のためキャンプが3日目の午後で
終了となり、調理実習はなくなりました。宮崎県では、小中学校で「弁当の日」の取組が行われて
おり、それに生かしてもらおうと計画し、準備を進めてきました。本当に残念でしたが、天候のこ
となので仕方ありません。また、5日目(最終日)に予定されていた個人面談もなくなりました。
予想外の日程短縮で、調理実習や個人面談はなくなってしまいましたが、今年も元気なキャンパ
ーの笑顔を見ることができました。年に1回しか会って話をする機会がないのですが、毎年参加し
ているとキャンパーの成長を感じることができ、自分もがんばらなくてはと思います。ここ数年、
キャンプ中はカーボカウントによる食事管理を行っていますが、日常の生活で実際はどのように生
かしているのか、日常の生活でカーボカウントをする際に困ることなどを聞くことができたら、栄
養士の立場からアドバイスできることがもっとあるように思います。
また、キャンプの参加患児は小中学生、高校生であることから、学校栄養職員・栄養教諭の参加
がもっと増えるといいなと考えています。子ども達に一番近い学校関係の栄養士が1型糖尿病につ
いて理解を深めることで、1型糖尿病の子ども達を学校生活において支えることにもつながります。
今後も子ども達の成長に尐しでも貢献できるよう、複数の職域の栄養士が協力し活動していきた
いと思います。
公益社団法人 宮崎県栄養士会 医療事業部 平成26年8月