バイエルン州 ビジネスニュース

バイエルン州 ビジネスニュース
Freistaat Bayern
Repräsentanz Japan
第 2 号 | 2015 年
トピックス
加速するバイエルン州の自動車産業
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BAIKA “サプライヤー・
イノベーション2015“ 現地レポート
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ソーラー飛行機 アルプスを越える
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欧州をリードする
バイエルン州の航空宇宙産業
“FOCUS” 2015年地域ランキング
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日本企業の若手社員向けに
ブートキャンプ開催
G7サミット会場となった
バイエルン・アルプスのエルマウ城
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「国際フロンティア産業メッセ2015」出展
「ドイツ市場で成功するための
PRセミナー」開催
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©scoot
加速するバイエルン州の自動車産業
自動車産業はバイエルン州で最も売上高の大きい産業分野だ。バイエルン
しかし、この分野のトレンドを決定し、バイエルン州自動車産業の成功
州には自動車産業の長い伝統があり、世界的に有名かつ強力なブランド
の基となっている革新的発明を実現しているのはグローバルプレーヤーだ
がある。そして、他に例を見ない充実した研究・教育環境が整備されてお
けではない。ビッグネームや有名ブランドの陰で多数の中小企業が活躍し
り、自動車業界において世界をリードする拠点がバイエルン州だ。
ており、ニッチ分野で大いに成功を収めている。一例を挙げてみよう。
BMW、Audi、MANといったブランドはバイエルン州の自動車業界の看
2009 年からミュンヘンで電動スクーターを開発・製造している Govecs 社
板であり、この分野だけで州内には 17 万 3千人の雇用が生まれ、960 億
は先ごろ、米国サンフランシスコを拠点とするモビリティー・サービス会社
ユーロを超える売上げがある。この成功は偶然に生じたものではない。下
Scoot 社と提携した。Scoot 社はステーションに縛られない電動スクー
請業者1,100 社の密接なネットワークが構築されており、次世代を担う若者
ターシェアリングの世界最大のサービス会社であり、サンフランシスコ、す
にはデュアル教育や州内 11の総合大学と17の単科大学における高等教育
なわちシリコンバレーのすぐ近くで操業している。この提携により、Govecs
が行われ、自動車産業界にオリジナリティのある素晴らしいノウハウを産
社は合計150 台の電動スクーターを米国西海岸に輸出し、また Scoot 社の
みだしている。加えて、各地のフラウンホーファー研究機構、アウグスブル
要望に応じた個別設計も行っている。
クのミュンヘン工科大学工作機械・経営学科付属 iwb 生産技術応用セン
ター、バイロイトとフュルトにある北バイエルン新素材研究センター、バン
ドイツではスクーターシェアリングが流行の兆しを見せている。新たに
ベルクの FAW自動車産業研究所など、多くの研究機関と密接な協力が行
起業した scoo mobility 社により、ミュンヘンの街中を手軽に走り回れるよ
われ、それが自動車産業のイノベーションに大きく貢献している。
うになった。市内中心部ではいたる所にスクーター・ステーションがあり、
これをアプリで予約して使用することができる。これら一連のサービスに
未来は待ってくれない。ユーザーの要望、市況や社会的なトレンドはどん
どん変化していく。メーカーはこれまで以上に素早くこれらの変化に対応
「鍵」は不要だ。このサービスは会社所有の自動車の代替手段としても活
用されている。
していかなければならない。カーシェアリングのモデルづくりや、I T でつな
がり人工知能を備えた自動車の開発、新駆動技術や代替材料の研究など、
バイエルン州では様々なネットワークで企業、研究機関、大学、行政が
バイエルン州の自動車メーカーは未来に来る個々人の自由な移動、モビリ
結びつき、その産業分野をより強固なものにしている。自動車産業も例外
ティーを実現するための開発を行っている。例えば BMW 社は 2011年に
ではない。バイエルン州の自動車産業界を代表する BAIKA には自動車関
カーシェアリングサービスを市場に導入した。現在 36 万人以上がユーザー
連の多数の企業と研究機関が参加し、会議やフォーラム、シンポジウムや展
として登録しており、BMW はドイツのカーシェアリング・マーケットのリー
示会を通じて産業界と学術界の交流を促進している。また、他にも自動車
ダーとなっている。また、同社が 2013 年に炭素繊維強化プラスチック製
クラスター・オートモーティブやドイツの最先端クラスターに選ばれた
ボディと電気モーターを備えた最初の量産車を市場に投入したことは、
M.A.I. カーボンがバイエルン州内の自動車産業界の連携に大きく貢献して
バイエルン州自動車業界の方向性を示すひとつのマイルストーンである。
いる。
電気自動車はもはや単なるコンセプトカーではなく、成熟した製品である、
優れた立地環境と高度な専門性を持つ人材が豊富にいるバイエルン州
ということを示したのだ。
は欧州全土の中でも最も魅力ある自動車産業の中心地となっている。
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BAIKA „サプライヤー・イノベーション 2015“ 現地レポート
© Bayern Innovativ GmbH/Matthias Merz
Zuliefer Innovativ 2015 パネルディスカッション:(左から)ミュンヘン工科大学教授マルクス・リーンカンプ氏、BMW取締役ペーター・シュヴァルツェンバウアー氏、コンチネンタル取締役ヘルムート・
マッチ氏、ドイツ自動車産業連盟理事ウルリッヒ・アイヒホルン氏、バイエルン州経財相イルゼ・アイグナー氏、欧州委員ギュンター・エッティンガー氏、司会バイエルン放送マルクス・ボルンハイム氏
前号でバイエルン州自動車クラスター BAIKA が毎年開催している自動車
Systems Technologies GmbH がレーゲンスブルクから出展していた。また
メーカーとサプライヤーのためのイベント、“Zuliefr Innovativ(サプライ
今回はじめてイベントに参加した 2 つの日本企業、パナソニックのグループ
ヤー・イノベーション)2015” について紹介した。7月7日・8日の両日に行わ
会社、Panasonic Automotive & Industrial Systems Company Europe 社
れたイベントには実に15か国から30 社以上の企業や組織が出展し、450人
の伊藤氏からはイベントの講演やパネルディスカッションで印象に残った
以上が来場、自動車産業の現状と将来について議論し、知見を深めた。
ことを、株式会社ジーテクトの森下氏からはサイド・イベントとして行われ
さて、このサプライヤー・イノベーションには日系企業としては Yazaki
た BMW 本社プラントツアーの様子を、それぞれ寄稿してもらった。
伊藤 清春 氏
Panasonic Automotive & Industrial Systems Europe GmbH
Planning & Marketing Department , Factory Solutions Europe, Department Head
7月6日(月)
・7日(火)にかけて BMW WELT で
うなことから今回 BAIKA カンファレンスに初参
開催された BAIKA 主催によるZuliefer Innovativ
加となった。
に初めて参加した。主に BMW、Audi 等 OEM に
よる自動車開発ロードマップ、ドイツ製造業トレ
は、一般的には具体的適用及び定量的効果が示
されない場合が多い中で、今回は対投資効果
(費用削減効果)が仮説として具体的に提示さ
イベントでは 2 日間で 17 コマのセッションと
れたことが大 変興味深かった。但し一方でブ
ンド、Industrie 4.0 関連のセッションを聴講した。 1コマのパネルディスカッションが 行わ れた 。 ローゼ社によるプレゼンテーションでは、自動
いずれも非常に有意義かつ参考になるもので
その中で特に印象に残ったことを記したい。
あった。
車業界は特に保守的であり、今回議論されてい
る最新技術・動向・トレンドについても様子見で
事前プログラムには記載されていなかった
も遅くは無いのでは、という警鐘も鳴らされた。
私は Panasonic Automotive and Industrial
ギュンター・エッティンガー氏(欧州委員デジタル
製造業以外においても、今後のライフスタイル
Systems 社のファクトリー・ソリューション担当
経済と社会担当)も参加したパネルディスカッ
の変化及び自動車保有のあり方についてのセッ
として、主に電子部品実装システムをボッシュ、 ションにおいては、特にドイツ OEM自動車メー
ションもあり、今後の自動車産業を取り巻く様々
コンチネンタル、デンソー等のTier1自動車部品
カーが先行している自動運転技術に関連して、 な変化・課題が複眼的視点から提示されていた。
メーカーに納入している。昨今、特にドイツ系企
そのビジネスチャンス及び法規制整備、更にソ
業からは工場生産設備・システムに対する要求
フトウエア関連人材供給の重要性について議論
他に日本人は見あたらず、スピーチは全てドイ
仕様として Industrie 4.0 への対応が追記されて
が展開された。自動車業界のメガトレンドとして
ツ語で英語の同時通訳があった。呉越同舟の日
おり、かつ、台湾系 ODM を中心に世界の工場で
「1. 環境保護」、
「2. 都市化」、
「3. 文化の変遷」が
ある中国にも確実に波及が進む中で、ドイツ自
提示され、そこから更に効率、安全、ネットワーク
今後はぜひ共に EU 製造業のほぼ半分近くを占
動車業界および製造業のトレンドを理解、咀嚼
を実現する為の技術、インフラ、サービスの実
めると思われるドイツ系企業との協業・パート
することの重要性は、グローバルビジネスを展
現・整備が進められることに話が広がった。
ナーシップの在り方を模索したく、より多くの日
開する上でかつて無い程に高まっている。そのよ
またIndustrie 4.0 関連のセッションにおいて
本の方々の参加を希望している。
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系企業連合、更に東欧進出の日系工場を含めて、
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森下 泰一郎 氏
株式会社ジーテクト 海外事業本部
猛暑続きのミュンヘンで、7月6日、BMW 本社
ルームは4 階建て吹き抜けの巨大な建物で圧巻
ポイントを得た説明で、わかりやすいプラントツ
のプラントツアーに参加してきた。BMW 本社ビ
だった。展示は BMWの証、キドニーグリルを付
アーだった。各工程の安定した生産環境による
ルはエンジン・シリンダーをイメージした現代的
けた各現行シリーズ車の他、ロールスロイス、ミ
質の高さと、そこから伝わるメーカーの自信、高
なデザインで、ビル最上部には BMW マークがあ
ニといった BMWグループのクルマも美しくレイ
い信頼性が伺えた。
る。改めて見ると青白十字のパターンは、バイエ
アウトされている。
ルン州旗のカラーリングにも見える。
「Freude am Fahren(駆けぬける歓び)」、クル
プラントツアーはこの BMW WELTから始まり、 マ好きなら一度は乗ってみたいのが BMW。街で
ツアーの集合場所であるBMW WELT は、日本
プレスライン、アッセンブリーライン、ペイントプ
見かけるたびに、バイエルンの人々の気質を感じ
には無い納車セレモニー会場であり、そのショー
ラント、エンジン・内装組付け工程、最終検査へ
るクルマである。
と順 路が設 定されている。プレスラインはボ
ディーサイドパネルやルーフといった大物プレス
がロボットで自動搬送されている。アッセンブ
リーラインはメインラインと同期したサブライ
ンで構成され、立体的な設備配置によりロボッ
ト溶接が効率よく行われていた。ペイントライン
もロボットで完全自動化され塗装が施されてい
て、BMW 3、4シリーズが1〜2 分に1台の間隔で
生産されている。工場全体はシンプルで整理整
頓が徹底されている。ツアー専任ガイドによる
既に17 回を数えるイベント “Zuliefer Innovativ” であるが、日本企業の出展や参加はまだまだ少ない。今後ぜひ、多くの日本企業にこのバイエルン州
の自動車産業ネットワークを積極的に活用してほしい。
ソーラー飛行機 アルプスを越える
トラウンシュタイン(Traunstein)近郊ウンターヴェッセン(Unterwössen)
池モジュールに組み込まれているものと同じだ。この蓄電池容量でのエレ
を2015 年 6月25日に出発したバイエルン州ネッセルヴァング(Nesselwang)
クトラ・ワン・ソーラーの航続距離は 500 kmとなっている。
にあるPC- Aero 社のソーラー飛行機「エレクトラ・ワン・ソーラー(Ekektra
one Solar)」は、アルプスのグロスグロックナー山(Großglockner)を越え
テスト飛行の際、同機には、パートナーであるElektra USA 社が開発した
て合計200 km を飛び、東チロルの町リエンツ(Lienz)に到着した。飛行時
高解像度の 3D 画像撮影用の特殊カメラが取り付けられた。
「クリーンな
間は 2 時間半であった。アルプス上空横断飛行に成功した同機はその後、
移動のために新たに飛行機を開発する必要はない。既にある様々な技術
7月2日に悪天候の中を高度 3000 mで復路を飛行した。向かい風と強い
を最も的確な組合せで、ひとつに統合すればよいのだ」と、PC- Aero 社と
突風の中を190 km 飛行し、約 2 時間後に予定どおりツェル・アム・ゼー
Elektra UAS 社の社長であるカリン・ゴロガン(Calin Gologan)氏は語る。
(Zell am See)の飛行場に着陸した。
軽量構造、高効率モーターとコントローラー、最新のリチウムイオン電池、
ソーラーシステム、3Dカメラおよび自動化飛行技術など、これだけ多くの
両翼上の280 個の太陽電池セルと、胴体に搭載された11.5 kWh の蓄電
最先端テクノロジー、未来の技術が一つのプロジェクトに投入されること
池により、排ガスを全く出さないこの低騒音超軽量飛行機が実現した。搭
はめったにない。
載された太陽電池がフライト中に必要なエネルギーの約 30 % をリアルタ
イムでまかなう。使用されている太陽電池セルは Solar World 社の太陽電
PC- Aero 社の中核事業は、飛行機および電動・ソーラー飛行機の開発、
プロトタイプの製作と認可取得である。これまでに 5 機のエレクトラ・
© Arno Trümper
ワン・ソーラーを製造した。2015 年末までにはドイツの超軽量機の認可が
下りると予測されている。
複座式のエレクトラ・ツー・トレイナー(Elektra Two Trainer)の開発は
既に完了し、2015 年にはプロトタイプの製作が始まる。このモデルは既に
米国企業とのライセンス契約が締結されている。現在は複座式のエレクト
ラ・ツー・レコード(Elektra Two Record)の開発を行っている。これは翼
長 25 m、成層圏飛行および長距離飛行を目的に設計されている。こちら
も既にスイスの Solar Xplorer社から高度 24 km の新記録飛行用に1機が
アルプス山脈上空を飛行するエレクトラ・ワン・ソーラー
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発注されている。
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欧州をリードするバイエルン州の航空宇宙産業
バイエルン州の航空宇宙産業は世界的に高い
ヴィヒ・ベルコウ・キャンパス(Ludwig Bölkow -
評価を得ている。バイエルン州を拠点にしてい
Campus)がオットーブルン(Ottobrunn)に設立
るのはエアバス社や MTUエアロエンジンズ社の
された。バウハウス・ルフトファールト協会、ドイ
ようなグローバルプレーヤーだけではない。ドイツ
ツ航空宇宙センター(DLR)、ミュンヘン工科大学
航空宇宙産業の中心地であるバイエルン州には
(T U M ü n c h e n)、ミュンヘン応 用科 学 大 学
ドイツ航空宇宙センター(DLR)の他、数多くの
(Hochschule München)、ミュンヘン連邦軍大学
研究機関と中小企業が集積している。
の他、エアバス社、IABG 社、シーメンス社が入居
するキャンパスは、イノベーションのためのプ
バイエルン州の航空関連企業約 550 社の大
ラットホームであり、かつ分野を横断して総合的
多数を占めているのは中小企業である。これら
に協力するための出発点である。企業、研究機
中小企業は基礎研究から商品化にいたるまで、 関および職業教育機関の連携が創造性と創業
この産業におけるほぼ全てのバリューチェーンを
者精神にあふれた周辺環境をつくり出している。
構築している。州内における航空宇宙分野の雇
バイエルン州が長期間、欧州の航空宇宙業界の
用は 6 万人を超え、加工業における毎年の売上
リーダーとして、その地位を保っている理由がこ
高は約 70 億ユーロにのぼる。
こにある。このキャンパスは先端的研究の推進、
産学のネットワーク作りと並んで、特に研究成果
航空宇宙分野でバイエルン州が欧州の中でも
を市場に供するに足る製品へと転じることを最
際立って強い存在感を示すのは、特筆すべき研
重要課題にかかげている。この目標は未来市場
究環境と関係各機関の強い連携によるものだ。 をつくる航空宇宙産業関連会社の新規起業に
具体的には、多数の総合大学、単科大学、およ
よって、あるいは斬新なハイテク企業やスピン・
びドイツ航空宇宙センターやフラウンホーファー
オフ企業の拠点進出によって実現される。
研究機構、マックス・プランク研究所のような高
には必要なインフラが完備されており、新規創
等研究機関が州内に集まっており、この分野の
そのような背景を知れば、欧州宇宙機関(ESA)
業者が事業アイデアを実現し、起業するための
研究と教育を担っていることがあげられる。
がオットーブルンに新たにビジネス・インキュ
出発点となる。センターが特に集中的に担うの
ベーション・センター(BIC)を開設したのは驚く
は、宇宙航空工学を利用し、日常的あるいは実
企業と研究機関の緊密な連携がバイエルン州
にはあたらないだろう。ニュルンベルク、オー
用的な形で製品を生み出すための応用研究とイ
を欧州屈指の先駆的な航空宇宙産業地域にし
バープファッフェンホーヘンおよびベルヒテス
ノベーションの促進である。衛星ナビゲーション
ている。産業界と学術界の連携の実践場として
ガーデンといった既存拠点に加えて、オットーブ
システムからロボット、さらには医療技術まで、
プロジェクトを立ち上げ、製品を販売レベルにまで
ルンがバイエルン州における ESA の第 4 の拠点
実用に供するための応用研究、あるいは技術革
熟成させることを目的として、約 2 年前にルート
となる。ビジネス・インキュベーション・センター
新のシナリオは多方面にわたっている。
“FOCUS” 2015 年地域ランキング
「所得と魅力」の 4つの項目で比較した。ランキ
バイエルン州の諸地域は個別の評価項目でも
ングのトップ 30 のうち、実に 20 をバイエルン州
素 晴 らし い 成 績 をあ げ て い る 。フュ ルト市
の都市と地域が占めている。総合評価では、1位
(Fürth)は「起業力」の項目で1位となっており、
のプファッフェンホーヘン・アン・デア・イルム郡
首都ベルリンを抜いてトップになった。ミュンヘ
のほかに、ミュンヘン郡(第 4 位)、ノイ・ウルム
ン郡は「生産性と立地コスト」および「所得と魅
郡(Neu - Ulm、第 6 位)、ウンターアルゴイ郡
力」という2 項目で全ドイツの最上位に立った。
(Unterallgäu、第 7位)、ディンゴルフィング・ラ
州都ミュンヘン市が「所得と魅力」で上位にラン
ンダウ郡(Dingolfing-Landau、第 8 位)および
キングされたのは当然だろう(第 2 位)。何故なら、
ギュンツブルク郡(Günzburg、第 10 位)がラン
経済拠点としてはもちろん、生活水準の高さで
ク・インしている。
もミュンヘン市は非常に魅力的な都市だからだ。
イツの経済誌 “FOCUS” が発表した最新の地域
オーバーバイエルン地方のプファッフェンホー
この結果により、世界の投資家に企業立地と
ランキングで、バイエルン州のプファッフェン
ヘン・アン・デア・イルム郡は4つのカテゴリー全
してのバイエルン州の魅力が改めて示された。
ホーヘン・アン・デア・イルム郡(Pfaffenhofen
てで審査員の高評価を得た。これはこの地方都
これから進出を検討する多くの企業にもバイエ
an der Ilm)が他に大差をつけて 1位となった。 市にとって素晴らしい結果である。バイエルン州
ルン州の魅力と経済的なメリットを広く知ってほ
の地方都市は、人口密度が低い地域でも経済
しい。そのためにミュンヘンではインベスト・イ
的に成功できることを明確に証明している。
ン・ババリアが、日本ではバイエルン州駐日代表
バイエルン州の複数の都市と地域が全ドイツの
経済力比較で上位にランキングされている。ド
FOCUS はドイツの 402の都市と郡の経済力を
「成長と雇用」、
「起業力」、
「生産性と立地コスト」、
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部が情報を提供している。
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日本企業の若手社員向けにブートキャンプ開催
9月 8日〜10日までの 3日間、ミュンヘン近郊のガー
一つ、シーメンスのアンベルク工場を見学する。ラン
ヒングでクラスター・メカトロニク&オートメーション
チの後は、ひとつのプロジェクトをいかに運営してい
がサマースクールを開校する。このサマースクールの
くか、というワークショップが 待っている。そして、
テーマは 2 つ、日本でも大いに注目されている「イン
ハードな一日の後はビアガーデンに繰り出す。これは
ダストリー 4.0」と、もう一つは「国際的なネットワーク
バイエルン州の伝統だ。
づくり」である。実は今回のサマースクールには副題
がついており、その名もずばり、
「日本とバイエルン
さて、最終日、これまでの 2日間を振り返る。その
の次世代を担う若手リーダーのためのブートキャン
後チームでのワークショップ、ランチをはさんで午後
プ」だ。
もワークショップだ。最後はラップアップミーティング
を行い、最終日のディナーとなる。
初日はウォーミングアップの自己紹介から始まり、
日独のカルチャーの違いについて学ぶ。ランチの後
このブートキャンプには、さいたま市の企業が参加
の最初の授業は「メカトロニクス vsインダストリー
する予定だ。というのも、バイエルン州のクラスター・
4.0」、インダストリー4.0とは何か、この新しいトレンド
メカトロニクス & オートメーションとさいたま市は、
がメカトロニクス産業にどのような影響を与えるのか、 これまで過去 4 年以上にわたって定期的な交流を続
といった講義が行われる。その後は午後いっぱいを
けており、相互の信頼が厚い。今回のブートキャンプ
かけて、より具体的な内容に踏み込んでいく。一日の
が日本とのコラボレーションになったのも、ひとえに
終わりには交流会が待っている。
これまでの交流の賜物だと言えよう。ブートキャンプ
については次号で参加者のレポートなどを紹介する
2日目の午前中は工場見学だ。ドイツの中で最も
予定だ。
実践的にインダストリー 4.0 に取り組んでいる工場の
G7サミット会場となったバイエルン・アルプスのエルマウ城
て来る首脳陣はもちろん、関係者のために、セキュリティから交通システム、
宿泊施設の検証まで、ありとあらゆる準備を入念に行ってきた。そのために
当時は、州内の関係する地域の至る所が建設現場になったほどである。ま
た、盗聴されないようなデジタル放送システムの導入も最重要課題のひと
つであった。もちろん会場となるエルマウ城周辺地域では、上下水道や道
路、駅の改修などが目白押しとなった。これによってとりわけ恩恵を受けた
のは、もちろん地元企業である。
エルマウ城があるクリュン(Krün)市はガルミッシュ・パルテンキルヒェン
郡に属し、このあたりはドイツの中でもとりわけ風光明媚な地域として知ら
©Schloss Elmau
会場となったエルマウ城
総勢 3000 名にも及ぶ代表団、5000人のジャーナリスト、15000人以上の
セキュリティ要員 −バイエルン・アルプスの麓にあるエルマウ城にとって、
G7はかつてないほど大規模なイベントとなった。バイエルン州は G7の開催
れる。年間 100 万人以上の観光客が訪れ、夏はハイキング、冬はスキーと
アクティブに過ごしたい人にも、またのんびりと余暇を楽しみたい人にも
うってつけの場所だ。この地はまた、バイエルン王ルートヴィヒ 2 世が狩場
にしていた場所でもあり、彼が最も好んだ場所だと言われている。
地として世界中からの注目を集めることになり、これにより、バイエルン州
は改めて世界に開かれた、また高い将来性と生活水準を持つ地域として再
認識されることになった。
アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、カナダ、日本、そしてホスト国ドイツ
の7か国首脳が一堂に会するための準備は、全てが完璧に整っていなけれ
ばならない。会場の準備だけでなく、取り扱われる議題に関する準備もあ
る。国際的な協調を必要とする重要事項としては例えばイスラム国やウク
ライナ情勢、あるいは西アフリカで発生したエボラ出血熱のような伝染病
への対応など、多岐にわたった。その他、環境問題や女性の活躍、経済協
力などなど。
バイエルン州は開催の一年以上前から、G7のためにバイエルン州にやっ
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©Bayerische Staatskanzlei /
news aktuell /Frank May
バイエルン州では参加国を歓迎するために、参加国の国旗をプロジェクションマッピングとして
バイエルン王 ルートヴィヒ 2 世の夢の城、ノイシュヴァンシュタイン城に投影した。
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「国際フロンティア産業メッセ2015」 出展
9月3日(木)、4日(金)に神戸国際展示場(神戸ポートアイランド)で行われる「国際フロンティア産業メッセ 2015」にバイエルン州駐日代表部
が出展することが決まった。神戸で開催されるこの展示会には今回、これまでで最多の 431社・団体が出展する。出展企業は情報通信・エレクト
ロニクス、環境・エネルギー、材料・製造技術、健康・医療、ロボットなど多岐にわたる。
バイエルン州駐日代表部が展示会に出展するのは、東京、名古屋に続いて神戸が 3か所目だ。関西・近畿エリアでの広報活動を今後は更に広
げていきたい。
9月4日(金)の午後1時半からは出展者プレゼンテーションとして、ドイツやバイエルン州経済とその魅力を紹介する。ぜひ、多くの方に足を
運んでいただきたい。
詳細はWebで → www.kobemesse.com
「国際フロンティア産業メッセ2015」会場内
出展者プレゼンテーション
ここで会えます!
ここで聞けます!
会 期:
9月3日(木)
・4日(金) 10:00〜17:00
日 時:
9月4日(金) 13:30〜13:50
会 場:
神戸国際展示場(神戸ポートアイランド)
会 場:
1号館 1階 プレゼンテーションコーナー C
展 示 館:
1 号館 1 階
テーマ:
小間番号:
国際 L-17
「強い経済を誇るバイエルン州の秘密」
「ドイツ市場で成功するための PRセミナー」開催
バイエルン州駐日代表部ではドイツを知るためのミニ・セミナーを開催
を提供する。セミナー後の交流会はバイエルンビールと名物のハート形の
している。これまでにミュンヘン空港やルフトハンザカーゴ AGと共催した
パン、ブレッツェルを片手に、アットホームな雰囲気で講師や同じ目標を
物流セミナーや、コンサルティング会社 JCOと「日独ビジネスを円滑に行う
持った出席者と交流できるまたとない機会だ。
ために」と題したセミナーなどを開催している。
次回は 9月17日(木)、ドイツの広報代理店ストーリーメーカーと共同 PR
の協力を得て「ドイツ市場で成功するための PRセミナー」を行う。効果的
な宣伝・広報の方法は国によって異なる。ドイツに進出する日本企業が
日本と同じやり方でドイツの顧客にアピールしても、期待したような成果
は上がらないだろう。実は、これは多くの日本企業が苦労している点でも
ある。このセミナーではドイツ独自のメディア事情、その歴史や背景、ドイツ
市場・顧客へ向けたアプローチの方法を紹介する。
バイエルン州駐日代表部の事務所で行われるミニ・セミナーは、既に
ドイツ(バイエルン州)に進出している企業、あるいはこれからドイツ(バ
イエルン)市場に出て行こうとする企業に、他にない切り口から有用な情報
<バイエルン州駐日代表部について>
バイエルン州駐日代表部は1988年に日本(東京)に設立されたドイツ・バイエルン
州経済運輸技術省の日本代表事務所です。日本企業のバイエルン州への企業進出
(現地法人や駐在員事務所の設立など)や、貿易取引のビジネスパートナーとしての
バイエルン企業探しなどに関し、詳細な情報、豊富な実務経験に基づくアドバイスを
無料で提供しています。関心をお持ちの方はお気軽にご相談ください。
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テーマ:「ドイツ市場で成功するための PR セミナー」
日 時: 9月17日(木) 16:30〜 (開場16時)
場 所: バイエルン州駐日代表部
港区虎ノ門 5 -11-1 オランダヒルズ森タワー RoP 801
※日比谷線「神谷町」駅から徒歩 5分
講 師: ストーリーメーカー社 共同代表 ビョルン・アイヒシュテット氏
共同 P R 株式会社 深田荘平氏
※プログラム詳細と申し込み方法については要問合せ:
[email protected] または TEL. 03-6809-1416 へ
バイエルン州駐日代表部
〒105-0001 東京都港区虎ノ門 5-11-1
オランダヒルズ森タワー RoP 801
TEL :(03) 6809-1416
FAX :(03) 3433-1552
E-mail: [email protected]
HP: www.invest-in-bavaria.JP
代表
Dr.クリスティアン・ゲルティンガー
プロジェクトマネージャー
田山 野恵
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