2.【レポート】オンタリオ州投資環境調査

バンクーバー事務所
1.ON 州における鉱業の概要
オンタリオ州(ON 州)は従来鉱業活動が盛んに行
われている州であり、鉱物資源への投資は州の経済の
中心を占めている。同州最大の都市であるトロント
は、世界でも鉱物資源投資の中心的位置を占めてお
り、同州内における鉱業への資本投資は、2002年か
ら2013年までに、2.28億 C$ から12億 C$ へと増加して
いる。
2014年2月現在、ON 州内には42の操業鉱山があり、
金、ニッケル、亜鉛、白金族金属、塩、石こう、滑
石、石灰石、霞石閃長岩等の鉱物が採掘されているほ
か、2008年には同州初のダイヤモンド鉱山も開山して
いる。同州は、金、ニッケル、銅、白金族、コバル
ト、塩、石灰、セメント、石、砂、砂利の生産が、カ
ナダの全州・準州(以下、全州と表記)の中で第1位
を占め、過去10年間に同州内で新規に開山した鉱山数
は23にのぼる。同州で採掘される鉱物の60%のほか、
国内の他の4州や米国、豪州で採掘された鉱物につい
ても、州内で製・精錬が行われている。
鉱物生産高でみると、ON 州における2009年の生産
高 は63億 C$、2010年 は77億 C$、2011年 は107億 C$
と年々増加し、2012年以降世界的な経済不安と鉱物
需要の落ち込みを迎えたにもかかわらず、2012年は
92億 C$、2013年は98億 C$ の生産高を記録している。
同州で産出された鉱物の60% 以上は輸出されており、
2011年 の 同 州 全 体 の 貿 易 収 支 が700億 C$ の 赤 字 で
あったのに対し、鉱物輸出に伴う貿易黒字は120億 C$
であったことからも、同州経済における鉱業の貢献度
の高さが伺える。鉱山会社が支払う法人税は少なく見
積もっても年間8億 C$ を下回らない。
また、ON 州では、鉱山での事故発生率が過去30年
で90%改善されており、その安全性、従業員への訓
練、安全衛生管理の高さでも知られているが、近年で
も効率化やコスト削減のみならず従業員の安全につな
がる鉱山機器やシステムの導入、技術開発等に積極的
な投資が行われており、環境面でも、鉱山跡地再生や
環境関連技術に毎年6,200万 C$ 以上が投資されてい
る。
探鉱活動に関してみると、ON 州内での2013年の探
鉱、鉱物評価等の探鉱支出は6億 C$ 超で、国内の全
州 の 中 で 最 も 多 く、 カ ナ ダ 全 体 の23% を 占 め る。
2013年現在、同州内では初期探鉱活動から後期探鉱
活動(advanced exploration)に至るまで、600以上の
探鉱プロジェクトが進められている。
ト ロ ン ト 証 券 取 引 所(TSX)と ト ロ ン ト・ ベ ン
チャー取引所(TSX Venture Exchange:TSX-V)に
は、併せて1,600社以上(全世界の鉱山会社の半分以
上)の鉱山会社が上場されている。TSX は、現在世
界の鉱山資金の90%を動かしており、世界の鉱山会
社の株式資本の73%がここで調達されている。
ON 州内で鉱業関連の業務に従事する人は10万人を
超え、同州の鉱業活動が雇用、経済に与えている利益
は多大である。先住民の雇用も多く、同州での鉱山従
業員の9.7%は先住民が雇用されている(2011年)
。
ON 州における鉱業活動に関し、特記すべき事項と
して、近年、世界最大規模のクロム鉄鉱が発見された
リング ・ オブ ・ ファイア(Ring of Fire)があげられ
る。リング ・ オブ ・ ファイアとは、サンダー・ ベイの
北約500km で近年発見された未開発大規模鉱床地帯
で、クロム鉄鉱その他の鉱物埋蔵量は300億 C$ にも
相当すると言われており、この地域での鉱山活動は将
来の ON 州の鉱業界、一般経済に大きな利益をもたら
すと期待されている。
ON 州内の都市で、鉱業に特に大きく関わっている
主な都市を図1-1に示す。 2015.5 金属資源レポート
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(13)
オンタリオ州投資環境調査
Ⅰ.鉱業関連一般概要
レポート
オンタリオ州投資環境調査
レポート
オンタリオ州投資環境調査
図1-1.ON 州鉱業関連主要都市
1
2
3
4
5
6
7
リング ・ オブ ・ ファイア
(Ring of Fire)
ON 州北部にある約5千 km 2 の地域。世界最大規模のクロム鉄鉱床が発見され、またニッケ
ル、銅、白金も多く埋蔵されていると想定され、近年注目を集めている。現在、約3万件の
鉱区申請が行われ、世界中から30社以上が探鉱活動を行っている。
サンダー・ ベイ
米 国 お よ び 国 際 貿 易 の 窓 口 と な る 輸 送 ハ ブ。St. Lawrence 海 路 に よ り、 輸 送 船 は St.
(Thunder Bay)
Lawrence 川を経由して大西洋まで航行可能。また、高速道路を通じて、カナダ各地、米国、
メキシコ湾岸への輸送が可能である。
ティミンズ
銅、亜鉛、ニッケル、金等の鉱物が豊富。ON 州最初のダイヤモンド鉱山である DeBeers
(Timmins)
Victor Project も2008年から操業開始。12年間で60万カラットのダイヤモンドの生産が予
想されている。
ソール・セインタ・マリー ON 州の鉄鋼製造の中心地。毎年、約18億 C$ の貿易(その70%は米国向け輸出)が行われ
(Sault Ste. Marie)
ている。
サドベリー
ニッケル、銅、白金、パラジウム、金等の生産が100年以上に渡って行われている伝統的な
(Sudbury)
地域。探鉱や採鉱向け重機から環境コンサルタントに至るまでの幅広い鉱業関連サービスが
活発。
ノース ・ ベイ
鉱業関連のエンジニアリングや機械機器製造等の探鉱・開発関連サービス事業が盛んな地区。
(North Bay)
また、陸、空、鉄道輸送のハブでもある。
トロント
(Toronto)
ON 州の財政中心地。また、鉱業における国際金融センターでもある。TSX と TSX-V を合わ
せて、鉱業会社1,600社以上の証券、3,650億 C$ が取引されている。
出典:“Explore Ontario’s Mining Industry”, Ontario Ministry of Economic Development, Trade and Employment, Ontario
Canada
2.鉱業関連機関
ON 州における鉱業関連機関には、ON 州行政機関
を始め、NGO である調査機関、各種公的民間支援機
関、鉱業協会等が存在する。
(1)ON 州官庁
① 北 方 開 発・ 鉱 山 省(Ministry of Northern
Development and Mines:MNDM)
北 方 開 発・ 鉱 山 省 の 鉱 山・ 鉱 物 局(Mines and
Minerals Division:MMD)は、鉱業法に基づく土地
利用および鉱物資源開発を管轄する。MMD には以下
の5つの部署があり、それぞれの業務を表1-1に示す。
14
(14)
2015.5 金属資源レポート
② 天然資源省(Ministry of Natural Resources)
ON 州の全面積9,378千 km 2 のうち87%は公有地で
あり、そのほとんどは同州の所有地である。この公有
地は公有地法(Public Lands Act)に基づき天然資源
省が管理を行っている。公有地は、売却のほか、借地
権付与という形で民間の使用が許される。借地権には
数種の形態があり、形態ごとに権利の内容が異なる。
公有地内に構造物を建造し、相当な改良を施し、土地
が商業用目的に利用され、土地の排他的支配が必要な
場合、即ち大規模探鉱や採鉱を行う場合は、天然資源
省より借地権を取得する必要がある。天然資源省はま
た、環境上持続可能な長期経済開発計画の策定、実施
を行うほか、新絶滅危惧種法の実施等も行う。
表1-1. 北方開発・鉱山省 鉱山・鉱物局各部署の業務内容
3 鉱物開発・土地部
(Mineral Development and Lands Branch)
業務内容
• 先住民と鉱業事業者との協議、関係を支援。(近年の鉱業法改正により探
鉱活動を行うには先住民との事前協議が義務付けられている)
• 鉱業法の改正に基づく近代化手続の推進
• 省の方針、事業手続、IT システムが改正鉱業法に準拠して作成、実行され
ることの確保
• 州の持続的経済開発と鉱物資源開発を推進。以下の支部がある
探鉱・開発課(Mineral Exploration & Development Section):
鉱業法に基づく探鉱および鉱物開発を支援
4 ON 州地質調査部
(Ontario Geological Survey)
5 戦略サービス部
(Strategic Services Branch)
再 生・ コ ン プ ラ イ ア ン ス 課(Rehabilitation and Compliance
Section):
初期探鉱活動および閉山が法律に準拠して行われるのを確保。検査、
コンプライアンス、保証金、閉山等を管理する
• 地質図、地質調査等、地質関連のサービスを提供し、鉱業活動を支援
• 鉱物投資環境向上に向けての戦略、政策の策定
• 鉱業関連のプロジェクト管理、プログラム策定、行政上の調整
• 部内のダイヤモンド課は州内のダイヤモンド業界の操業を監督
参照:Ministry of Northern Development and Mines Website
③ 環境省(Ministry of the Environment)
環境省は各種環境関連法に基づく規制の実施、監
視を行う。自然環境へ影響を与える事業を行うにあ
たっては環境省の各種承認が必要となる。環境関連法
規、 環 境 コ ン プ ラ イ ア ン ス 承 認(Environmental
Compliance Approval:ECA)
、環境アセスメント
(Environmental Assessment:EA)に つ い て は、
II-2-( 1)を参照。
環境省の関連する部署とその業務は表1-2のとおり
である。
④ 先住民省(Ministry of Aboriginal Affairs)
ON州政府は、先住民の主張する権利、先住民が有する
権利、政府との協定により付与された権利に影響を与え
る決定を行う場合、先住民と協議を行う義務を負ってい
表1-2. 環境省各部署の業務内容
部
支部
飲料水管理部
• Drinking Water Programs Branch
(Drinking Water Management • Safe Drinking Water Branch
Division)
• Source Protection Programs Branch
運用部
(Operations Division)
企業管理部
(Corporate Management
Division)
環境科学 ・ 基準部
(Environmental Sciences &
Standards Division)
統合環境ポリシー部
(Integrated Environmental
Policy Division)
環境プログラム部
(Environmental Programs
Division)
主な業務
• 安全飲料水法(Safe Drinking Water Act)
お よ び 水 質 汚 染 防 止 法(Clean Water
Act)に基づき飲料水の安全性の確保
• 廃水に関するコンプライアンスおよび検
査
• Environmental Approval, Access and Service • 大気質、地表水・地下水質、廃棄物処理
Integration Branch
等に関するプログラムの策定
• Environmental Approval Branch
• 環境省関連承認、EA、ライセンス手続き
• Operations Integration/Spills Action Centre
• 環境法コンプライアンスの調査と実施
• Investigations and Enforcement Branch
• Sector Compliance Branch
• Business & Fiscal Planning
• 省の人事、情報管理等
• Information Management & Access Branch
• Strategic Human Resources Branch
• Drive Clean Office
• 環境に関する科学、技術、分析プログラ
• Environmental Monitoring and Reporting
ムの実施、各種基準、ガイドラインの策
• Laboratory Services Branch
定
• Standard Development Branch
• Air Policy & Climate Change Branch
• ポリシーの開発、計画の総括
• Land & Water Policy Branch
• 省内の他支部との連携
• Waste Management Policy Branch、他
• Aboriginal Affairs Branch
• 環境プログラムの策定、開発。
• Environmental Innovations Branch
• Program Planning & Implementation Branch
• Modernization of Approval Branch
参照:Ministry of the Environment Organization Chart; Info-GO
2015.5 金属資源レポート
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オンタリオ州投資環境調査
鉱物土地課(Mining Land Section):
鉱区裁定ユニット、操業ユニット、技術サービスユニット等があり、
公有地における鉱区申請、探鉱、採鉱に関する手続を管轄する
レポート
部署名
1 先住民関連部
(Aboriginal Relations Branch)
2 鉱業法近代化事務局
(Mining Act Modernization Secretariat)
レポート
る。また、近年の鉱業法の改定において、探鉱活動等を
行おうとする事業者にも、先住民と事前に協議を行うこ
とが義務付けられ、先住民省は当該協議等において、大
きな役割を果たすほか、先住民省は先住民関連のポリ
シーの策定、州各省の先住民関連ポリシーの調整も行う。
オンタリオ州投資環境調査
⑤ 労働省(Ministry of Labour)
労働関連規制の制定と実施を行い、職場の安全、
公正性の確保を推進する。職業上の健康と安全、非雇
用者の権利、および正常な労使関係の推進を3つの柱
として業務を進めている。鉱山の安全については、
ON 州 労 働 安 全 衛 生 法(Occupational Health and
Safety Act)規則、「鉱山および採鉱プラント」に特
に細かく規定されており、雇用者には厳しいコンプラ
イアンスが要求され、鉱山の安全操業に関し、各種ガ
イドラインが発行されている。
(2)調査機関
ON 州およびカナダの主な鉱業関連調査機関および
その業務を表1-3に記載する。
表1-3. カナダおよび ON 州の主な鉱業関連調査機関とその業務
組織名
1 Canadian Mining Industry Research
Organization(CAMIRO)
(業界非営利組織)
主な業務
• カナダの鉱業界における生産性、競争力、安全性、環境への影響を向上さ
せることを目的に、各種技術、方法等を開発。
• 探鉱部:探鉱に関する調査研究
• 鉱山部:鉱山の安全性、収益、競争力の向上に向けての調査研究
• 冶金プロセス部:鉱物のプロセス、採掘技術向上に向けての調査研究
2 Canada Mining Innovation Council( CMIC) • 各州の官庁、協会、コンサルタント、製造業者、探鉱会社、鉱山会社、調
(全国的非営利団体)
査機関、大学等がメンバー
• 探鉱、採鉱、プロセス、環境関連各種プロジェクトを実施
3 Center for Excellence in Mining Innovation • ON 州北部の探鉱、深部採掘、統合鉱山技術、環境持続可能性の4つを柱
(CEMI)
とする研究
(非営利団体)
4 Mineral Exploration Research Centre
• 鉱床調査を始め、各種教育訓練コース、ワークショップを提供。現在進行
(MERC)
中の調査としては、以下のものがある。
(Laurentian 大学の関連調査機関)
* リング ・ オブ・ファイア地区のクロム鉄鉱の鉱化調査
* ウラン埋蔵調査
5 Mining Innovation, Rehabilitation and
• 岩盤力学の研究
Applied Research Corporation(MIRARCO) • 有害性評価およびリスク緩和
(北米最大の非営利応用研究機関)
• バーチャルリアリティーラボでのデータの可視化
• 鉱山安全性調査
• 環境監視および再生調査
• 気候変動調査
6 Northern Centre for Advanced Technology • 以下を含めた各種訓練コースを主に中小企業を対象に提供
Inc.( NORCAT)
- 下請け業者のトレーニング
(私設非営利団体)
- 坑内・地表鉱山作業者のトレーニング
- 監督者のトレーニング
7 Fraser Institute
• 各種調査、研究を行っているが、鉱業関連では、年次鉱山会社調査、鉱山
(独立非営利調査教育機関)
ポリシーレビュー等がある。
(3)鉱業関連組織
業務を表1-4に記載する。
ON 州およびカナダの主な鉱業関連組織およびその
表1-4. カナダおよび ON 州の主な鉱業関連組織とその業務
組織名
1 Mine Environment Neutral Drainage
(MEND)
2 National Orphaned/Abandoned Mines
Initiative(NOAMI)
3 Centre for Excellence in Corporate Social
Responsibility
4 Canadian Association of Mining Equipment
and Services for Export( CAMESE)
5 Canadian Land Reclamation Association
6 Canadian Institute of Mining, Metallurgy
and Petroleum(CIM)
7 Workplace Safety North
8 PDAC Mining Matters
16
(16)
2015.5 金属資源レポート
主な業務
• 鉱山よりの酸性水の排出を防止するための技術開発
• 所有者不明の鉱山または所有者が鉱山の浄化を行わない鉱山に関する調査
• 鉱山の浄化についてのワークショップも提供
• 企業の社会責任に関する資料の作成および情報の提供
• メンバー会社による鉱業関連の商品、サービスの提供
• トレードショーの開催
• 鉱山再生に関する情報提供、資料出版
• 鉱山再生、再生計画に関する調査
• 14,600メンバー間の情報交換
• 各種イベント(会議)開催
• 鉱業、森林業等関連企業をメンバーとし、職場の安全衛生の推進を目標と
する。
• 各種イベント、トレーニングを提供
• 学生、教師、一般を対象にカナダの地理、鉱物資源についての情報を提供
(4)鉱業協会
業務を表1-5に記載する。
レポート
ON 州およびカナダの主な鉱業関連協会およびその
表1-5. カナダおよび ON 州の鉱業協会とその業務
主な業務
• 業界を代表し、政府当局と折衝
• カナダの鉱業界についての情報提供、雑誌等の出版
• 情報、支援提供
• 各種イベント、会議、トレードショーの開催
• 毎年3月に開催される年次総会は世界最大の鉱業大会
• 業界を代表し、政府当局と折衝
• 情報、支援提供
• 業界を代表し、政府当局と折衝
• 情報、支援提供
• 先住民のための鉱業活動に関する情報提供
3.鉱業生産状況
ON 州はカナダ全州のうち、鉱物資源(石油・ガス
を 除 く)の 生 産 額 が 最 も 多 い 州 で あ る(表1-6、 図
1-2)。2013年における ON 州の全鉱物生産額は約98.2
億 C$ で、 こ の う ち 非 鉄 金 属 の 生 産 額 は 約70%(約
69.2億 C$)を占めている。残りの30%は工業用鉱物
で、ダイヤモンドおよび建設用資材(セメントや砂礫
など)が主な品目である。同州はニッケル、銅、金、
白金、コバルト、工業塩、石灰、セメント、砕石、砂
礫の生産で国内第1位を占めている。また、過去10年
間で開山した新規鉱山の数が最も多い州で、現在、42
鉱山(2014年2月現在)が操業を行っている。今後10
年間に更に8つの新規鉱山が開山されることが見込ま
れている。
表1-6. カナダの州別鉱物資源生産額(2013年推定値)
州 / 準州
ON 州
QC 州
SK 州
BC 州
ニューファンドランド・ラブラドール州
上位5州
AB 州
北西準州
MB 州
ニューブランズウィック州
NV 準州
YT 準州
NS 準州
プリンスエドワードアイランド州
合計
非鉄金属
6,917,833
6,300,084
886,204
2,597,205
3,930,424
1,183
102,045
1,110,399
212,067
626,799
485,891
0
0
23,170,135
非金属
石炭
(千 C$)
2,906,368
0
1,922,892
0
xxx
xxx
796,970
3,594,976
66,311
0
xxx
1,568,802
226,821
444,066
0
9,153
248,129
3,688
15,794,280
xxx
0
0
0
0
0
0
0
4,636,099
合計
9,824,201
8,222,976
7,169,202
6,989,151
3,996,735
2,360,389
1,670,847
1,337,220
656,133
626,799
495,044
248,129
3,688
43,600,514
全国シェア
(%)
22.5
18.9
16.4
16.0
9.2
83.0
5.4
3.5
3.1
1.5
1.4
1.1
0.6
0.0
100.0
出典:”Mineral Production of Canada by province 2013, Annual Stats.”Natural Resources Canada
“xxx”は非開示を意味する
2015.5 金属資源レポート
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(17)
オンタリオ州投資環境調査
組織名
1 Mining Association of Canada
カナダ鉱業協会
2 Prospectors and Developers Association of
Canada(PDAC)
カナダ探鉱開発者協会
3 Ontario Prospectors Association(OPA)
ON 州探鉱者協会
4 Ontario Mining Association(OMA)
ON 州鉱業協会
5 Canadian Aboriginal Minerals Association
カナダ先住民協会
レポート
オンタリオ州投資環境調査
図1-2. カナダ全州の鉱物資源生産額推移
出典:”Mineral Production of Canada, by Province, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013”Natural Resources of Canada
(2013年は推定値)
(単位:10億 C$)
カナダ全州および ON 州における主要な鉱物資源の
2009年から2013年までの鉱種別生産推移を表1-7、表
1-8および図1-3、図1-4に示す。
表1-7. カナダの主な鉱物資源の鉱種別生産推移(上段:生産量、下段:生産額)
金
鉄鉱石
銅
ニッケル
ダイヤモンド
亜鉛
ウラン
銀
コバルト
2009
96,573 kg
3,448,639
31,7028 t
2,673,757
470,347 t
2,766,112
132,471 t
2,213,597
10,946 c
1,684,304
669,879 t
1,265,402
10,133 t
1,358,144
609 t
328,201
2,275 t
102,241
2010
102,147 kg
4,143,067
36,178 t
5,314,154
507,883 t
3,941,677
156,270 t
3,509,833
11,804 c
2,377,147
609,587 t
1,356,287
9,927 t
1,230,182
570 t
381,086
2,643 t
125,144
2011
101,975 kg
5,087,438
35,705 t
5,505,772
553,725 t
4,831,801
211,417 t
4,787,323
10,752 c
2,509,232
591,004 t
1,271,887
9,017 t
1,307,174
582 t
658,514
3,741 t
146,768
2012
106,373 kg
5,704,878
38,892 t
4,875,068
560,476 t
4,453,541
203,970 t
3,546,420
10,529 c
2,005,764
601,514 t
1,171,147
9,520 t
1,197,441
657 t
659,005
3,698 t
114,604
(単位:千 C$)
2013
124,054 kg
5,898,903
42,770
5,333,922
613,471 t
4,629,863
214,679 t
3,356,935
10,562 c
1,963,515
413,831 t
809,039
7,479 t
771,528
627 t
508,297
4,002 t
118,375
出典:”Mineral Production of Canada, by Province, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013”Natural Resources of Canada
(2013年は推定値)
18
(18)
2015.5 金属資源レポート
表1-8. ON 州の主な鉱物資源の鉱種別生産推移(上段:生産量、下段:生産額)
銅
ニッケル
銀
亜鉛
コバルト
2011
53,643 kg
2,676,199
209,427 t
1,827,461
89,452 t
2,025,549
802 c
455,887
131 t
148,635
68,487 t
148,548
1,399 t
54,889
2012
51,168 kg
2,744,197
190,898 t
1,516,879
82,435 t
1,433,291
701 c
376,035
138 t
138,777
74,814 t
145,663
1,336 t
41,415
(単位:千 C$)
2013
59,217 kg
2,815,839
212,165 t
1,601,211
95,333 t
1,490,725
652 c
402,288
180 t
146,036
67,211
131,398
1,673 t
49,495
オンタリオ州投資環境調査
ダイヤモンド
2010
54,754 kg
2,220,822
154,096 t
1,195,941
52,708 t
1,183,811
799 c
347,680
129 t
86,174
81,779 t
181,957
791 t
37,427
レポート
金
2009
52,741 kg
1,883,377
116,344 t
684,217
42,125 t
703,905
696 c
236,364
137 t
73,918
102,684 t
193,970
779 t
35,018
出典:”Mineral Production of Canada, by Province, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013”Natural Resources of Canada
(2013年は推定値)
図1-3. ON 州の鉱物資源生産額推移
出典:”Mineral Production of Canada, by Province, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013”Natural Resources of Canada
(2013年は推定値)
(単位:10億 C$)
2015.5 金属資源レポート
19
(19)
レポート
オンタリオ州投資環境調査
図1-4. 主要鉱物資源の生産額推移(単位:百万 C$)
出典:”Mineral Production of Canada, by Province, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013”Natural Resources of Canada
(2013年は推定値)
20
(20)
2015.5 金属資源レポート
現在、ON 州内の操業鉱山(工業用鉱物鉱山は除
く)は表1-9に記載するとおりである。
レポート
表1-9. ON 州の操業鉱山
金鉱山
鉱山名
操業会社・採掘法・生産能力・生産量・埋蔵量・操業開始
Lake Shore Gold Corp.
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 27,500oz
Bell Creek
埋蔵量:
107千 oz(推定 2014/3)
操業開始: 2012
Primero Mining Corp.
2
採掘法:
露天・坑内
(2)
生産量:
2013: 95,000oz
Black Fox
埋蔵量:
660千 oz(確定・推定 2013/12)
操業開始: 2009
Goldcorp Inc. - Porcupine Gold Mines
3
採掘法:
坑内
(3) Dome
生産量:
2013: 291,900oz(Procupine Gold Mine 全体)
(Procupine Gold)
埋蔵量:
3,010千 oz(確定・推定 2013/12 *Procupine Gold Mine 全体)
操業開始: 2006
Wesdome Gold Mines Ltd.
4
採掘法:
坑内
(4)
生産量:
2013: 42,850oz
Eagle River
埋蔵量:
169千 oz(確定 ・ 推定 2013/12)
操業開始: 1995
Barrick Gold Corp.
5
採掘法:
露天・坑内
(5)
生産量:
2013: 204,000oz
Heml
埋蔵量:
1,019千 oz(確定 ・ 推定 2013/12)
操業開始: 1985
St Andrew Goldfields Ltd.
6
採掘法:
露天
(6)
生産量:
2013: 19,321oz
Hislop
埋蔵量:
54千 oz(確定・推定 2013/12)
操業開始: 2010
St Andrew Goldfields Ltd.
7
採掘法:
坑内
(7)
生産量:
2013: 21,330oz
Holloway
埋蔵量:
9千 oz(概測 ・ 推定 2013/12)
操業開始: 2009
St Andrew Goldfields Ltd.
8
採掘法:
坑内
(7)
生産量:
2013: 58,898oz
Holt
埋蔵量:
473千 oz(確定・推定 2013/12)
操業開始: 2011
Goldcorp Inc. – Porcupine Gold Mines
9
採掘法:
坑内
(8) Hoyle Pond
生産量:
2013: 291,900oz(Procupine Gold Mine 全体)
(Procupine Gold)
埋蔵量:
3,010千 oz(確定・推定 2013/12 *Procupine Gold Mine 全体)
操業開始: 1985
Richmont Mines Inc.
10
採掘法:
坑内
(9)
生産量:
2013: 35,113oz
Island Gold
埋蔵量:
143千 oz(確定 ・ 推定 2013/12)
操業開始: 2007
Kirkland Lake Gold Inc.
11
採掘法:
坑内
(10)
Macassa
生産量:
2014FY(2013/5-2014/4): 122,309oz
埋蔵量:
1,385千 oz(確定 ・ 推定 2014/4)
操業開始: 2002
1
(1)
オンタリオ州投資環境調査
2015.5 金属資源レポート
21
(21)
レポート
12
(11)
13
(12)
オンタリオ州投資環境調査
14
(13)
15
(14)
16
(15)
Mishi Gold
Musselwhite
Red Lake Gold
Timmins West
Young – Davidson
卑金属鉱山
17
(16)
18
(17)
19
(18)
20
(18)
22-28
(19)
22
23
24
25
26
27
28
22
(22)
Wesdome Gold Mines Ltd.
採掘法:
露天
生産量:
2013: 2,360oz
埋蔵量:
112千 oz(確定・推定 2013/12)
操業開始: 2012
Goldcorp Inc.
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 256,300oz
埋蔵量:
1,850千 oz(確定 ・ 推定 2013/12)
操業開始: 1997
Goldcorp Inc.
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 493,000oz
埋蔵量:
2,550千 oz(確定 ・ 推定 2013/12)
操業開始: 1948
Lake Shore Gold Corp.
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 107,100oz
埋蔵量:
492千 oz(推定 2014/3)
操業開始: 2011
AuRico Gold Inc.
採掘法:
露天・坑内
生産量:
2013: 120,738oz
埋蔵量:
3,696千 oz(確定 ・ 推定 2013/12)
操業開始: 2012(露天)
、2013(坑内)
GlencoreXstrata
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 銅36.8千 t、亜鉛67.8千 t、銀3,234千 oz
Kidd Creek
埋蔵量:
15百万 t:銅1.9%、亜鉛4.6%、鉛0.17%、銀55g/t(確定・推定 2012/12)
操業開始: 1966
First Nickel Inc.
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 245,903t( ニッケル2.37% , 銅1.33%)
Lockerby
埋蔵量:
1.36百万 t:ニッケル2.21%、銅1.39%、コバルト0.083%(推定 2012/7)
操業開始: 2012
KGHM International Ltd.
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 銅41.4百万 lb、ニッケル6.3百万 lb、貴金属44.5千 oz
Levack
埋蔵量:
0.9百万 t: 銅8.3%、ニッケル1.6%、PGM0.6g/t、金0.8g/t(2010/12)
操業開始: 2007
KGHM International Ltd.
採掘法:
坑内
生産量:
2013: 銅3.0百万 lb、ニッケル3.7百万 lb、貴金属4千 oz
McCreedy West
埋蔵量:
銅5,900t、ニッケル90t、貴金属80千 oz(推定 2010/12)
操業開始: 2003
Vale S.A
採掘法:
坑内 / 露天
Sudbury
生産量:
2013: Ni-69.4千 t、Cu-103千 t、Co-859t、Au-91千 oz、Pd-352千 oz、PtOperations:
145千 oz
埋蔵量:
101.4百 万 t:Ni-1.25%、Cu-1.51%、Pt-0.9g/t、Pd-1.1g/t、Au-0.4g/t、
Co-0.04%(確定・推定 2013/12)
- Copper Cliff North 操業開始: 1886
- Creighton
操業開始: 1902
- Garson
操業開始: 1907-1986(操業再開1994)
- C o l e m a n a n d 操業開始: 1992
McCreedy East
- Ellen
操業開始: 2010
- Stobie
操業開始: 1886
- Totten
操業開始: 2014
2015.5 金属資源レポート
白金族鉱山
33
(22)
Lac des Iles
ダイヤモンド鉱山
34
(1)
Victor Diamond
Ferromin Inc.
生産量:
30,000t の原鉱石から12,000t の磁鉄鉱
鉱山開始: 1997
North American Palladium Ltd.
採掘法:
坑内 / 露天
鉱石処理: 2,600t/d(2015年までに5,500t/d)
15,000t/d(選鉱能力)
生産量:
2011- パラジウム146,624oz、プラチナ9,143oz
2012- パラジウム161.845oz
埋蔵量:
1.14百万 t:パラジウム3.61g/t、プラチナ0.29g/t、金0.26g/t、銅0.09%、
ニッケル0.10% (確認 2012年3月)
鉱山開始: 露天 1993年、坑内2006年
De Beers Canada Inc.
採掘法:
露天
鉱石処理: 2.7百万 t/y(原鉱石)
生産量:
2010-826千 ct、2011-779千 ct
埋蔵量:
15.2Mt:平均0.20ct/t( 推定)
鉱山開始: 2008
注1:括弧内の番号が図1-5の鉱山位置の番号に対応。
注2:再開発等により操業再開した鉱山の操業開始年は操業開始年を示す。
2015.5 金属資源レポート
23
(23)
オンタリオ州投資環境調査
29
Fraser
30
Nickel Rim South
鉄鉱山
31
(21)
Tomclid Iron
レポート
29-30 Sudbury
(20) Operations:
GlencoreXstrata
採掘法:
坑内
生産量:
2012: ニッケル20,425t、銅57,813t
埋蔵量:
14.8百万 t:ニッケル1.39%、銅1.81%、コバルト0.03%、プラチナ0.97g/
t、パラジウム1.07g/t(確定・推定 2013/12)
操業開始: 1968
操業開始: 2010
レポート
オンタリオ州投資環境調査
図1-5. ON 州の操業鉱山(2013年1月時点)
出典:”Ontario Mining Operations 2013, Ontario Mining & Exploration Directory 2013”ON 州鉱業協会
24
(24)
2015.5 金属資源レポート
4.探鉱状況および探鉱プロジェクト
オンタリオ州投資環境調査
2011年から2013年までの各年の ON 州における探
鉱事業(探鉱、埋蔵量評価等)への支出額は、カナダ
全 州 の う ち 最 も 多 く、2011年10.7億 C$、2012年9億
C$、2013年7.5億 C$ となっており、カナダ全体の探
鉱投資額の約四分の一を占める。特に、貴金属につい
ては、カナダ全体の40%近くを占めている。
レポート
(1)探鉱状況概要
過去最高の10億 C$ の支出を超えた2011年の支出額
のうち約5千万 C$ は後述のリング・オブ ・ ファイア地
区での探鉱事業に投資されたものであり、今後3~4
年に同地域へ投入される資金は40億 C$ にのぼるとも
言われている。
初 期 探 鉱 活 動 か ら 後 期 探 鉱 活 動(advanced
exploration)まで、オンタリオでは現在600以上の鉱
物資源の探査、探鉱が行われている。
図1-6. カナダ各州・準州の探鉱事業支出(2012年 -2014年)
出典:Natural Resources Canada, Information Bulletin, March 2014
(単位:百万 C$)
2015.5 金属資源レポート
25
(25)
レポート
2013年および2014年の探鉱、埋蔵量評価等探鉱事
業への支出を州・準州別、資源別にまとめたものを表
1-10に示す。
表1-10. 州・準州別、資源別探鉱事業支出(2013年 /2014年)
州 / 準州
ON 州
オンタリオ州投資環境調査
NL 州
NS 州
NB 州
QC 州
MB 州
SK 州
AB 州
BC 州
YT 準州
NT 準州
NU 準州
合計
年
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
卑金属
貴金属
鉄鉱石
75.5
87.6
18.8
33.7
1.9
2.2
9.5
8.1
59.1
84.9
31.9
29.2
6.4
3.7
0.4
110.1
123.3
23.7
56.8
5.3
13.1
81.3
40.5
423.8
483.1
460.9
398.3
8.3
12.1
5.4
8.2
2.0
3.1
121.4
118.3
25.0
21.2
5.4
2.8
254.9
165.5
61.8
40.2
11.3
12.4
157.2
86.2
1,113.5
868.3
2.5
2.0
67.0
26.3
0.6
0.3
34.8
65.3
0.3
1.6
3.7
4.8
6.6
111.3
104.5
ウラン
ダイヤモンド
(百万 C$)
0.1
4.7
0.1
34.8
4.6
7.8
6.5
3.9
9.3
15.6
--4.7
1.0
136.1
3.1
106.9
3.2
0.2
1.5
--0.1
57.9
30.9
17.9
9.0
22.6
10.5
165.6
79.3
148.1
96.1
その他 *
56.5
5.2
5.2
4.2
4.7
3.2
16.3
22.4
102.3
80.8
0.1
0.4
60.5
77.9
19.6
17.2
133.6
219.6
4.5
0.7
15.3
15.1
418.4
446.8
合計
600.2
528.0
104.0
84.1
12.0
13.6
28.4
33.9
327.9
374.3
57.7
51.8
211.5
194.5
20.2
18.9
500.1
512.0
89.9
97.7
90.0
71.5
270.2
166.5
2,312.0
2,146.8
全国シェア
(%)
26.0
24.6
4.5
3.9
0.5
0.6
1.2
1.6
14.2
17.4
2.5
2.4
9.1
9.1
0.9
0.9
21.6
23.8
3.9
4.6
3.9
3.3
11.7
7.8
100.0
100.0
出典:Annual Statistics: Exploration And Deposit Appraisal Expenditures, by Province and Territory, by Mineral Commodity
Sought, 2013, 2014
* その他には、他の金属、鉄、非金属を含む。
--- は、微小額のため非掲載
ON 州内の主な探鉱プロジェクトを表1-11に示す。
表1-11. ON 州の主な非鉄金属探鉱プロジェクト
プロジェクト
Bermuda
Berens River Gold/Base Metal
Big Daddy Chromite
(Ring of Fire)
Blackbird
(Ring of Fire)
Blackstone Horse(Koper Lake)
(Ring of Fire)
Black Thor Chromite
(Ring of Fire)
Brookbank
Bruce Channel – Red Lake Mines
Burns Block
Butler Property(Ring of Fire)
Cameron Lake
Cochenour & Other – Red Lake
26
(26)
2015.5 金属資源レポート
探鉱会社
Stillwater Canada Inc.
Golden Share Mining Corp.
KWG Resources Inc.(30%)
Cliffs Natural Resources Inc.(70%)
Noront Resources Ltd.
鉱種
銅・ニッケル・PGM
金・卑金属
クロム鉄鉱
Bold Ventures Inc.
Fancamp Exploration Ltd.
KWG Resources Inc.
Cliffs Natural Resources Inc.
クロム鉄鉱
Premier Gold Mines Ltd.
Goldcorp Inc.
Bayfield Ventures Corp.
MacDonald Mines Exploration Ltd.
金
金
金
銅・亜鉛・バナジウム
ニッケル・PGM
金
金
Coventry Resources Ltd.
Goldcorp Inc.
クロム鉄鉱
クロム鉄鉱
Moss Lake
Mount Jamie
Newman-Todd
Northshore
PAK Rare Metals
Phoenix-McFinley Mine
Pickle Crow Mine
Rahill-Bonanza
Rapson Bay
Red Lake Extension(RLX)
Richardson Lake Gold
Richardson Township
Ring of Fire
Rowan Lake
Shebandowan
Springpole Lake
Thierry Mine
Thunder Bay North
TPK and New Growth
Wabassi
West Red Lake
鉱種
金
金
金
ニッケル・銅・PGM
Parkside Resources Corp.
Rock Tech Lithium Inc
Laurentian Goldfields
Treasury Metals Inc.
Osisko Hammond Reef Gold Ltd.
Premier Gold Mines Ltd.
Goldtream Minerals Ltd.
MetalCorp Ltd.
Laurion Mineral Exploration Inc.
金
リチウム
金
金
金
金
金
金・銀・錫・亜鉛
金・銀・亜鉛・銅
Landore Resources Inc.
Manitou Gold Inc.
Mega Precious Metals Inc.
Claude Resources Inc.
Stillwater Canada Inc.
Mitsubishi Corp.
Rainy Mountain Royalty Corp.
Marshall Lake Mining PLC
White Tiger Mining Corp.
Moss Lake Gold Mines Ltd.
West Red Lake Gold Mines Inc.
(formerly Hy-Lake Gold Inc.)
Redstar Gold Corp.
Confederation Minerals Ltd.
GTA Resources and Mining Inc.
Balmoral Resources Inc.
Houston Lake Mining Inc.
Rubicon Minerals Corp.
PC Gold Inc.
Premier Gold Mines Ltd.
Gold Corp Inc.
Northern Superior Resources Inc.
Tri Origin Exploration Ltd.
Aurcrest Gold Inc.
Rainy River Resources Ltd.
Bold Ventures Inc.
West Red Lake Gold Mines Inc.
(formerly Hy-Lake Gold Inc.)
Goldlen Share Mining Corp.
Gold Canyon Resources Inc.
Cadillac Ventures Inc.
Panoramic PGMs(Canada)Ltd.
Northern Superior Resources Inc.
Rainy River Resources Ltd.
Northern Shield Resources Inc.
Discovery Harbour Resources Corp.
Sendero Mining Corp.
オンタリオ州投資環境調査
Marshall Lake
探鉱会社
Foundation Resources Inc.
Orefinders Resources Inc.
Duncan Park Holdings Corp.
Noront Resources Ltd.
レポート
プロジェクト
Coldstream Gold
Derlak
Dome/McManus
Eagle’s Nest
(Ring of Fire)
Forest Lake
Georgia Lake
Goldpines
Goliath
Hammond Reef
Hardrock
Hardrock East
Hemlo East
Ishkoday
(formerly Sturgeon River)
Junior Lake
Kenwest
Laverty(North Madsen)
Madsen Mine
Marathon PGM-Copper
銅・ニッケル・PGM
金
金
金
パラジウム・金・銅
銅・亜鉛
金
金
金
金
希少金属
金
金
金
金
金
金
銅・ニッケル・PGM
銅・ニッケル・PGM
金
金
金
銅・ニッケル・PGM
銅・ニッケル・PGM
金
銅・亜鉛・銀
金
出典:Ontario Mining and Exploration Directory 2013, Ontario Prospectors Association
2015.5 金属資源レポート
27
(27)
(2)リング・オブ・ファイア(The Ring of Fire)
レポート
オンタリオ州投資環境調査
2007年に、ON 州北部で大量のクロムが埋蔵されて
いることが発見され、カナダの鉱業史上最大、世界で
も稀な大規模鉱床の発見であるとして世界の鉱業界の
注目を集めた。
「リング・オブ ・ ファイア」と呼ばれるこの地域で
は、現在、世界各国の鉱業会社が48万 ha に渡り9,000
以上の鉱区を申請しており、21社が既に鉱区を取得
している。
この地域には、クロムのみならず、相当量のニッ
ケルや銅が存在するとみられている。クロムは、現
在、南アフリカ、カザフスタン、トルコ、インドの4
つの国に生産が集中しており、中国を始め世界中での
需要は高い中で、供給源の多角化が求められている。
リング ・ オブ ・ ファイア(The Ring of Fire)の概要
は以下のとおりである。
■ 対象エリアの面積:約 5,120km 2。 た だ し、 今 日
までに発見された鉱床の多く
はそのうちの20km 程度の幅
の線上にある。
■ ロケーション :ト ロ ン ト か ら 北 に 約
1,000km。 直 近 の ハ イ ウェ
イ、鉄道より300km
サンダーベイより飛行機で約
2時間
■ 鉱区申請数 :約30,000鉱区
■ 活動中の探査会社:35社
■ 顕著な鉱物の発見:クロム鉄鉱、銅、亜鉛、ニッ
ケル、白金、バナジウム、金
■ 鉱山開発申請数 :2件
図1-7. リング ・ オブ ・ ファイア
出典:"Ring of Fire Lights up Northern Ontario's mining Industry", Ontario Business Report
28
(28)
2015.5 金属資源レポート
(3)後期探鉱プロジェクト
レポート
大量のサンプリングや坑道よりの掘削等大規模な
探鉱活動を伴う後期探鉱(Advanced Exploration)に
は特別の規定が適用され、これを行うには、閉山計
画、EA 等、特定の要件を満たすことが義務付けられ
ている。(詳細は後述)
ON 州において現在進められている、鉱山開発に向
けた後期探鉱プロジェクトを図1-8に示す。
オンタリオ州投資環境調査
図1-8. ON 州後期探鉱プロジェクト
出典:Ontario Mining and Exploration Directory 2013
2015.5 金属資源レポート
29
(29)
5.鉱業関連の社会情勢
レポート
(1)オンタリオ北部の探鉱、鉱山開発
オンタリオ州投資環境調査
前述のとおり、ON 州北部は豊かな鉱物資源が存在
す る こ と で 知 ら れ て い る。 特 に、
「リ ン グ・ オ ブ・
ファイア(The Ring of Fire: ROF)
」は ON 州のオイ
ル・サンドとも言われ、カナダ国内のみならず、全世
界より大きな注目を集めている。
ON 州 商 工 会 議 所(Ontario Chamber of
Commerce)は、2014年初めに出版した「Beneath the
Surface: Uncovering the Economic Potential of
Ontario’s Ring of Fire」と称するレポートにおいて、
ROF が同州にもたらす膨大な経済的利益、雇用の拡
大等を指摘している。このレポートによれば、今後
10年間に、最大94億 C$ の GDP、鉱業界における62
億 C$ の収益、年間最大5,500人の持続的雇用の創出、
約20億 C$ の政府歳入が生まれると予想されている。
また、30年の長期見通しでは、同州の数多くの分野
にわたって250億 C$ 以上の経済活動が生まれ、金融
サービ業で27億 C$、卸売・小売業で12億 C$、製造業
で6億 C$、公共事業で5億 C$ 等、鉱業以外の産業で
も大きな経済効果が期待されており、州政府の税収も
670億 C$ に及ぶと試算されている。
現に多くの探鉱会社がこの地域で探鉱、開発を進
めているが、その一方で、各種課題も存在する。
その一つは、政府のインフラ整備の遅れである。
2013年11月には Cliffs Natural Resources Inc. が、イ
ンフラ整備の遅れ、先住民族との合意の不成立、環境
問 題 等 を 主 な 原 因 と し て、33億 C$ の ク ロ ム 鉄 鉱
(Chromite)プロジェクトの無期限停止を発表してい
る。しかし、同社は ROF 地域にある資源開発のポテ
ンシャルは認めており、今後、政府のインフラ整備が
進められれば、この地区での開発が更に急速に進めら
れるものと見られている。この地区でのインフラの整
備には20億 C$ が掛かると予想されており、各レベル
の政府にとってはいかにその調整を行うかが大きな課
題となっている。ON 州北部開発鉱山省はこの地区で
のインフラ整備に関し何らかの措置を取らなければな
らないことを認めており、ON 州知事は連邦政府に対
して ROF の開発に向けたインフラ整備の支援を求め
て い る。 ま た、ON 州 北 部 開 発 鉱 山 省 ROF 事 務 局
(Ring of Fire Secretariat)は、同地域のインフラ開
発のために官民関係者の参加を求めて新規に開発会社
を設立することを発表している。
また、この地域で開発が進められることによる環
境への影響も懸念されており、政府の環境保護対策も
強く求められている。これに加え、この地区での探
鉱、採鉱活動が近隣の先住民の生活へ与える影響も大
きく、先住民族と探鉱会社、政府との摩擦も発生して
いる。
今後、上記のような課題を解決しながらいかにこ
30
(30)
2015.5 金属資源レポート
の地区の開発を進めていくかが大きな焦点となってい
る。
(2)先住民族
1755年から1763年にかけて北米大陸で勃発したフ
レンチ・インディアン戦争でフランスに勝利し、北米
大陸における覇権を確立した英国は、北米大陸の先住
民との関係を安定化させることを目的に1763年に国
王宣言(Royal Proclamation)を発した。国王宣言で
は、先住民がヨーロッパ入植以前より土地を利用して
きたという事実に基づき、土地そのものに対する権利
である先住権原(Aboriginal Title)が先住民に存在し
ていることを認めた上で、移民と先住民の土地を明確
化し、先住民からの土地取得は英国王室のみが行うこ
ととした。
国王宣言以降、英国王室は先住民から次々に広大
な土地を取得し、その対価として先住民に対して年
金、限定的な保留地、狩猟・採取・漁労等の生業権を
保障する「条約」を締結した(図1-9)
。これらの地域
では、条約締結という手続きにより先住民側から連邦
政府へ土地譲渡がなされ、これにより先住権原が消滅
しており、基本的に天然資源の開発にあたって土地や
地下鉱物の権利の帰属で疑義が生じることは少ない。
一方で、条約で保障された生業権等の一部の先住権は
引き続き先住民が留保しているため、これらの権利に
影響が及ぶ行為、例えばカリブーの移動を妨げるよう
な構造物の建設やサケの遡上に悪影響を及ぼすような
排水行為等に対しては補償が必要となる。
先住民と協力して毛皮交易を進めていたフランス
により支配されていたケベック地域や国王宣言以前に
入植が進んでいた大西洋沿岸地域等では、条約という
形での土地取得がなされておらず、また BC 州ではバ
ンクーバー島での条約(Douglas Treaties)等一部を
除き条約締結がほとんどなされていないため、先住権
原が消滅しておらず、先住権原を根拠とする土地所有
権や地下鉱物の権利の帰属について疑義が生じる可能
性がある。一方で、ON 州においては全ての地域にお
いて条約が締結されており、先住権原は消滅してい
る。
なお、カナダ連邦政府は、条約を締結していない
先住民との間で土地所有権や地下鉱物の権利の帰属を
明確化すること等を定めた包括的土地請求協定
(Comprehensive Land Claims Agreement)を締結す
るよう努めている。
包括的土地請求協定の主たるものとしては、QC 州
北部のイヌイットおよび北部地域に居住するファース
トネーションである”Cree”と締結したジェームス
湾・ 北 ケ ベック 協 定(James Bay and Northern
QuebecAgreement)
、同地域に居住するファースト
ネーション”Naskapi”と締結した北東ケベック協定
(Northeastern Quebec Agreement)、NU 準州分離の
レポート
オンタリオ州投資環境調査
図1-9. 先住民と条約を締結した地域
出典:Natural Resources Canada
※1725〜1779 年に締結された Peace & Friendship Treaties では、先住権原は消滅していない。
元となったイヌイットと締結したヌナブト土地請求協
定(Nunavut Land Claims Agreement)がある。これ
らの協定対象地域では先住民に土地所有権や地下鉱物
の権利が帰属する範囲が明確化されており、所有権に
関して疑義となることはない。
2006年 に、 オ ン タ リ オ 北 部 の 先 住 民 族
Kitchenuhmaykoosib Inninuwug(KI)は、大手ダイ
ヤモンド会社 De Beers による探鉱活動が先住民の生
活に影響を与えているとして、これを中止するよう求
めた。これに対し、ON 州政府は2012年の3月初旬に
23,000km 2 に渡る地域の土地を、鉱区取得禁止地区と
することを決定した。これだけの規模の土地を一括し
て鉱区取得禁止に指定したのは1970年以来のことで
あった。また、ジュニア探鉱会社である Platinex Inc.
と KI の間でも裁判上の争いが生じ、ON 州最高裁判
所は、Platinex 社、KI および ON 州間で協議、覚書の
締結を行うことを命じた。以降も折衝はスムーズに進
まず、KI をはじめ6つの先住民族の反発はエスカレー
トし、これら先住民族のリーダーが Platinex 社の行う
探鉱活動を妨害し、逮捕され禁固刑を受けるという事
件にまで進展した。この禁固刑に反発した先住民族は
更 に 各 地 で 抗 議 活 動 を 行った。 そ の 後、KI と
Platinex 社は裁判外和解を行っている。
また、探鉱会社 Northern Superior Resources Inc.
は、Sachigo Lake First Nation からの土地利用料の要
求を拒否したことにより探鉱活動を中止せざるを得な
くなり、収益の機会を喪失したことに対し、ON 州政
府が州の先住民との事前協議義務を果たさなかったと
して、1.1億 C$ の損害賠償を求めて ON 州政府を訴え
た(2013年10月)。これに対し、ON 州は「同州の協
議義務は先住民族に対し負うものであり、また、先住
民の要求や探鉱会社の事業中止に対する責任は負わな
い」と抗弁している。この訴訟は現在継続中であり、
今後の成り行きが注目される。
2015.5 金属資源レポート
31
(31)
レポート
このように、探鉱活動における先住民族・探鉱会
社・ON 州政府の3者が絡んだ摩擦が少なからず生じ
ている。こうした摩擦を無くすため、2009年に改正
された ON 州鉱業法で、探鉱会社の先住民族との事前
協議が義務づけられたが、協議自体が暗礁に乗り上げ
ることも少なくない。
(3)ON 州鉱業法の近代化
オンタリオ州投資環境調査
2009年の ON 州鉱業法の改正後、段階的に各種の新
しい規定が施行され、鉱業規制、鉱業関連手続が近代
化へ向けて動いている。改正の内容は II-1-( 1)を参
照。
(4)ON 州への外国投資
(i)外国投資一般で見た ON 州の位置付け
外国投資一般についてみると、ON 州はカナダのみ
ならず北米で人口一人当たりの外国直接投資の投資先
としてトップの座についている。同州に外国投資が集
まる理由としては、安定した経済成長が続いているこ
と、技術的に優れ信頼性のある労働力が得られるこ
と、革新的な環境を有すること、世界的なマーケット
に近隣していること、事業コストが比較的低いこと、
生活の質が高いこと等が挙げられている。
投資の形態としては、既存企業の買収を通じての
投資が、新規事業立ち上げによる投資よりはるかに多
く、また、そのほとんどほとんどは外国投資審査の対
象とはなっておらず、2013年でみると外国投資審査
の対象となったものは、11件のみである。投資元の
企業の国籍では米国が過半数を占め、これに EC 諸国
(ドイツ、フランス、イギリス)、日本が続いている。
投資先セクターとしてはサービス業が最も多いが、天
然資源への投資も多く、全体の約13.5%を占める。
表1-12. 北米における投資先州のトップ5(2012年)
州
投資プロジェクト数
人口
123
146
205
116
66
13,505,900
19,570,261
38,041,430
26,059,203
19,317,568
オンタリオ
ニューヨーク
カリフォルニア
テキサス
フロリダ
一人当たり投資件数の
順位
1
2
3
4
5
出典:New Releases/Program Announcement – Details, Ontario, Canada
表1-13. カナダにおける外国投資状況
買収 / 新規設立数
審査 / 通知数
直接 / 間接投資数
投資元国
投資先州
投資先セクター毎
投資数
企業買収
新規事業
承認(審査)
通知
直接
間接
USA
日本
EC
その他
オンタリオ
QC
BC
その他
天然資源
製造
卸売、小売
サービス
その他
2009年
388
99
22
316
300
38
234
10
126
67
232
52
63
90
39
90
72
161
75
2010年
433
129
16
417
356
77
311
9
121
121
270
80
77
135
81
138
73
196
74
2011年
470
179
15
455
390
80
324
12
193
120
295
135
85
134
70
141
104
233
101
2012年
525
195
19
506
460
65
379
11
202
128
297
128
118
177
98
148
155
235
84
出典:Comparative Data Between Last Twelve-month Period and Cumulative Period 2009-Q4~2013-Q4 32
(32)
2015.5 金属資源レポート
2013年
471
178
11
460
406
65
342
21
196
90
296
117
86
150
88
120
97
247
97
民間調査機関 Fraser Institute は、大手鉱山会社や
ジュニア探鉱企業等を対象として、世界各国、各州の
鉱業に関する投資環境をアンケート調査している。
2014年3月に発表された最新版「Survey of Mining
Companies 2013」におけるカナダ各州の結果は次の
ようになっている。
③ 投 資 魅 力 度 指 数(Investment Attractiveness
Index)
鉱 業 政 策 指 数 と ベ ス ト プ ラ ク ティス 地 質 ポ テ ン
シャル指数をかけ合わせ、鉱業政策および地質ポテン
シャルの両面を踏まえた投資環境を示した指数。当該
数値はアンケート対象企業が投資決定の際にどちらの
指数を重視するかをヒアリングした結果に基づき、前
者を40、後者を60の加重平均で算出したもの。
表1-14. 鉱業政策指数におけるカナダ各州のランキング
州 / 準州
AB 州
NB 州
NL 州
SK 州
YT 準州
QC 州
MB 州
ON 州
NS 州
BC 州
NU 準州
NT 州
2013
(全112)
3
7
9
12
19
21
26
28
29
38
44
47
2012
(全96)
3
4
18
13
8
11
21
16
12
31
37
29
2011
(全93)
3
1
16
6
10
5
20
13
15
31
36
48
2010
(全79)
1
23
13
3
15
4
9
18
19
36
44
52
2009
(全72)
4
2
8
6
11
1
9
22
15
38
43
50
表1-15. ベストプラクティス環境下での地質ポテンシャル指数ランキング
州 / 準州
BC 州
YT 準州
NL 州
MB 州
NT 準州
ON 州
SK 州
NU 準州
QC 州
AB 州
NB 州
NS 州
2013
(全112)
5
7
9
10
11
12
14
15
17
34
52
83
2012
(全96)
18
2
29
25
16
8
12
12
16
50
44
86
2011
(全93)
12
2
15
26
6
25
20
5
13
57
78
87
2010
(全79)
23
2
29
33
8
11
5
16
17
59
74
78
2009
(全72)
17
8
18
14
7
11
15
22
3
62
50
63
2015.5 金属資源レポート
33
(33)
オンタリオ州投資環境調査
① 鉱業政策指数(Policy Perception Index)
鉱業会社の視点から、各国・各州の鉱業政策が鉱
業投資を行うにあたり魅力的なものであるかどうかを
評価した指標。カナダ国内の各州・準州の世界112カ
国または州(2013年)における過去5年間の順位は以
下のとおり。
② ベストプラクティス下での地質ポテンシャル指数
(Best Practices Mineral Potential Index)
投資環境があらゆる面(規制、環境、税務等)でベ
ストな状況であると仮定して、鉱物資源の観点のみで
見た場合の投資優劣を示した指標であり、純粋な地質
ポテンシャルを現す。カナダ各州・準州の世界112カ
国または州(2013年)における過去5年間の順位は以
下のとおり。
レポート
(ii)ON 州の鉱業投資環境調査(Survey of Mining
Companies, Fraser Institute)
表1-16. 投資魅力度指数ランキング
レポート
州 / 準州
オンタリオ州投資環境調査
NL 州
SK 州
YT 準州
AB 州
MB 州
ON 州
BC 州
QC 州
NB 州
NT 準州
NU 準州
NS 州
2013
(全112)
3
7
8
10
13
14
16
18
23
25
27
47
2012
(全96)
16
8
1
18
19
9
21
11
13
20
24
36
鉱業投資における ON 州のポジションは、カナダの
中では中位に位置するものの、世界で見れば上位に位
34
(34)
2015.5 金属資源レポート
2011
(全93)
7
3
1
16
15
9
18
2
27
22
19
45
2010
(全79)
13
1
5
21
10
9
24
3
59
30
25
62
2009
(全72)
11
4
10
22
8
13
25
1
12
28
31
35
置しており、鉱山会社は魅力ある投資先と見ている事
が分かる。
Ⅱ.鉱業関連法規の概要
(1)鉱業法概要
鉱業法 : Ontario Mining Act R.S.O. 1990, Chapter
M.14
規則 : Ontario Regulations
O. Reg. 240/00 Mine Development and
Closure Under Part VII of the Act
O. Reg. 308/12 Exploration Plans and
Exploration Permits
O. Reg. 323/07 Royalty on Diamonds
O . R e g . 43 / 11 C l a i m S t a k i n g a n d
Recording
O. Reg. 44/11 Forms
O. Reg. 45/11 General
O. Reg. 6/96 Assessment Work
2009年改正
鉱業法は1990年に R.S.O. 1990, Chapter 14として制
定されたが、2009年に改正鉱業法が制定され、旧来
の 鉱 業 法 が 一 部 改 正、 近 代 化 さ れ た(Mining Act
Modernization)
。
主な修正、追加点は以下のとおりである。
■ 私有地における鉱業活動(鉱区設定通知義務、北
部での鉱区設定禁止地区としての申入れ、州南部
での地図鉱区設定等)を中心とする鉱業法、規
則、政策の変更(2011年に施行)
■ 鉱業法認識プログラム【Mining Act Awareness
Program】
2012年11月1日 よ り、 探 鉱 者 ラ イ セ ン ス
(Prospector’s License)を申請または更新しようと
する全ての者はオンラインによる鉱業法認識プログラ
ムを受講しなければならない。既にライセンスを取得
している者も2014年11月1日までにこのプログラムの
受けることが義務化された。
■ 探鉱計画【Exploration Plan】
2012年11月1日より、特定の初期探鉱活動を行うに
当たって、探鉱計画を北方開発・鉱山省に自主的に提
出することが勧められ、2013年4月1日より義務化さ
れた。これにより、地表権所有者は探鉱活動について
■ 探鉱許可【Exploration Permits】
特定の初期探鉱活動を行うに当たって、探鉱許可
を北方開発・鉱山省より受けることが義務付けられ
た。上記探鉱計画と同様、地表権所有者は探鉱活動に
ついて事前に通知を受け、また、探鉱計画により影響
を受ける先住民地区には北方開発・鉱山省より通知が
行われ、申請された探鉱活動を許可するか否かについ
てのフィードバックを与える機会が与えられることと
なった。探鉱許可申請は2012年11月1日から自主的に
提出することが勧められ、2013年4月1日より義務付
けられた。
■ 先住民との協議義務、先住民重用文化地区(Sites
of Aboriginal Cultural Significance)の保護等を
中心とした鉱業法の改正(2012年11月施行)
探鉱活動の各段階での先住民族との協議義務を明
確にし、先住民族は特定の要件を満たす先住民重用文
化地区(墓地、崇拝の地等)を探鉱、鉱区設定対象外
とする申し立てが可能となった。
■ 鉱区設定【Online Staking】
2012年11月1日より、未測量地の鉱区設定申請に
は、GPS に よ る 地 図 投 影 さ れ て い な い 画 像 データ
(georeferencing data)を添付しなければならないこ
ととなった。また、探鉱鉱区設定のための連邦所有地
取得方法を従来の土地上、地図上の鉱区設定からオン
ラインでの鉱区設定(online staking)に変更し、これ
以外の鉱業に関連する土地管理を全て電子的に処理す
る方向に進めていく。
■ アセスメント作業クレジット
2012年11月1日 よ り、 先 住 民 と の 協 議 費 用、GPS
データ提出にかかる費用がアセスメント作業のクレ
ジットとして認められた。
■ バルクサンプル
2012年11月1日より、鉱物含有テスト許可を得るた
めに新たな手続きが必要となった。バルクサンプルに
該当する量についての基準が設けられ、サンプルを売
却または処分する場合はその許可を得なければならな
い。また、後期探鉱(Advanced Exploration)に該当
する場合は探鉱計画および探鉱許可申請も必要とな
る。
■ 閉山計画
2012年11月1日より、閉山計画または修正閉山計画
2015.5 金属資源レポート
35
(35)
オンタリオ州投資環境調査
カナダにおいては、カナダ憲法のもと、準州を除
いて公有地における鉱業活動は各州の管轄とされ、鉱
業法も各州独自のものが制定されており、ON 州では
ON 州鉱業法(以下、
「鉱業法」
)および鉱業法に基づ
く ON 州規則(以下、
「規則」
)が同州内の鉱業活動に
対して適用される。鉱業法および規則は、以下のとお
りである。
レポート
1.鉱業法および鉱業規則
事前に通知を受け、また、探鉱計画により影響を受け
る先住民地区には北方開発・鉱山省より通知が行わ
れ、申請された探鉱活動を許可するか否かについての
フィードバックを与える機会が与えられることとなっ
た。 レポート
を提出する前に、先住民との協議が義務付けられた。
上記修正も含め、鉱業法の主な規定を以下に説明
する。
(2)鉱業法に基づく規制
オンタリオ州投資環境調査
① 鉱区取得可能地(鉱業法 s.27)
探鉱ライセンスを保持している者は、鉱区申請が
禁止されている地域を除く州内の公有地に鉱区を設
定、申請することができる。地表権が個人所有の場合
は、鉱物権は個人所有の場合と州所有の場合とがあ
り、個人所有の場合は鉱物権が当該個人に属するた
め、他の者がこれを勝手に取得することはできない。
地表権が個人所有であっても鉱物権が州所有の場合
は、探鉱ライセンスを保持している限り、鉱区申請、
取得ができるが、地表の使用については地表権所有者
の合意が必要となる。
鉱区取得が禁じられている主な地域は以下のとお
りである。
(鉱業法 s.29)
• 都市区
• 交通省所有の公用地
• 森林火災予防法で定められた地区
• 州立公園(公用地法により一部は鉱区取得可能)
• 先 住民保留地(先住民は連邦政府、州政府の鉱
物、鉱物権、ロイヤルティについての合意を締結
することができる)
• 住居、教会、公の建物、ダムその他の構築物が建
設されている場所(これらが私有地にある場合、
所有者の合意なしに鉱区設定はできないが、当局
よりの命令があればできることともある)
② 鉱区に関する法的要件
■ 鉱区設定(Claim Staking)
( 鉱業法 s.42-43; 規則
43/11)
鉱区は、区画地域(Subdivided Territory)か未区
画地域(Unsubdivided Territory)によって設定でき
る最小単位や設定範囲が異なっている。未区画地域に
は、所管官庁による測量が行われていない地域、まだ
区画化されていないタウンシップ内またはタウンシッ
プから取り消された区画内に位置する地域が含まれ
る。
区画地域では、測量によって区分された区画と一
致もしくは当該区画に沿った境界線とする必要がある
が、未区画地域では、一辺を400m とする正方形(16
ha)を1ユ ニット と し、 単 一 ユ ニット ま た は 複 数 ユ
ニットの鉱区を申請することができる。複数ユニット
の鉱区は、16ユニット(256 ha)以内で正方形または
長方形のいずれの形体も許される。なお、未区画地域
で長方形の鉱区を申請する場合、長辺が短辺の4倍以
上の長さであってはならない。
ON 州内で鉱区を設定するには、地上設定(Ground
Staking)と地図設定(Map Staking)の2種類の設定
36
(36)
2015.5 金属資源レポート
方法がある。地図設定は同州南部の測量がなされてい
る地域における、地表権の登録がなされていない地区
に対してのみ許可される。地図上に設定する鉱区を図
示する目的のために、実際の鉱区上に鉱区の表示を行
う必要はない。ただし、地上設定の場合には、単一ユ
ニットの場合は各コーナーに、複数ユニットの場合は
400m 毎に鉱区柱を立てなければならない。鉱区が登
録された後、各コーナー柱に鉱区番号を付したタグを
取り付ける。
■ 鉱 区 の 登 記(鉱 業 法 s.44(1), 178.3(1); 規 則
43/11)
地上設定により鉱区の設定が完了した後、鉱区設
定者は30日以内に、鉱業地コンサルタント(Mining
Lands Consultant)または州鉱業登記所(Provincial
Mining Recorder) に 設 定 鉱 区 登 記 申 請 書
(Application to Record Staked Mining Claim(s)
)に
鉱区のスケッチを添付し、表2-1に示す申請費を添え
て提出しなければならない。また、未測量地について
は、GPS に よ る 地 図 投 影 さ れ て い な い 画 像 データ
(Georeferencing Data)を添付しなければならない。
また、地表権保有者(Surface Rights Owner)が存在
する土地に鉱区設定した場合には、鉱区登記申請後
60日以内に、地表権保有者に対して鉱区設定したこ
とを通知し、その通知した証拠書類を登記所に提出し
なければならない。
表2-1. 鉱区登録申請費
地上鉱区
1ユニット
2~6ユニット
7~16ユニット
地図鉱区(1ユニット毎)
申請費
20.4 C$
40.8 C$
61.2 C$
30.0 C$
③ 探鉱者ライセンス(鉱業法 s.19-23)
ON 州において探査、鉱区の設定、登記を行うに
は、探鉱者ライセンス(Prospector’s License)を取
得する必要がある。ライセンス申請者は、申請前60
日 以 内 に 鉱 業 法 認 識 プ ロ グ ラ ム(Mining Act
Awareness Program – MAAP)を受講し修了しなけ
ればならない。ライセンスは18歳以上であれば誰で
も申請することができ、申請書は北方開発・鉱山省に
提出する(申請費は25.5 C$)
。ライセンスの有効期間
は5年間で、譲渡はできないが、MAAP 修了を条件
に、期間満了前に更新することができる。ライセンス
保有者は、探査の目的のみで、探鉱可能な土地に自由
に出入りすることができるが、鉱区内の鉱物を採取、
取り出し、処分することはできない。
④ 鉱 区 維 持 に 必 要 な ア セ ス メ ン ト 作 業(鉱 業 法
s.65, 規則6/96)
鉱区登記後、鉱区所有者が鉱区を維持するために
は、アセスメント作業(Assessment Work)として規
2013年4月1日以降、サンプル採取に掘削機を使用
する場合等のアセスメント作業を行う場合は、探鉱計
画(Exploration Plan)の 承 認 ま た は 探 鉱 許 可
(Exploration Permit)の取得が事前に要求される(下
記⑦:初期探鉱を参照)
。
アセスメント作業の報告にあたっては、申請書、
年間に行った探鉱作業の概要、関連技術データを提出
する。
⑤ リース と パ テ ン ト(鉱 業 法 s.81-94; Public
Lands Act s.11-47)
■ リース
鉱区所有者は、鉱区を鉱業権リースに変換するこ
とができる。鉱区を鉱業権リースに変換することによ
り、鉱区所有者には与えられていない土地に対する権
利・所有権や、資源の採取、販売の権利が与えられ
る。
鉱区を鉱業権リースに変換するためには、アセス
メント作業実施後、意図書(Letter of Intent)を提出
する。意図書提出後、申請者は鉱区のある土地を測量
し、鉱区の地表権者より地表を使用する権利を取得し
なければならない。地表権者がリース申請者自身であ
る場合は手続が不要であり、地表権者が州である場合
は、リース申請時に地表使用権が与えられる。地表権
者が個人の場合は、当該地表権者との合意書を締結す
る必要がある。
鉱業権リース申請書には、土地の測量結果、地表
■ パテント
公有地を購入するとパテント証書を受けることが
でき、購入者は地表権、鉱業権の所有者として自由に
これを使用、処分することができる。現在、天然資源
省は公有地の売却は行っておらず、公有地の売却は地
方公共団体を通じてのみ行われている。
⑥ 土地占有権(Public Lands Act s.11-47)
公有地内で鉱区を取得し、探鉱活動を行うために
は、資源の存在する土地を使用する権利を取得する必
要があるが、上記⑤のリースとパテント以外に、以下
の形態の土地占有権が存在する。活動の内容、期間等
により適切な占有権を取得する必要がある。
土地利用許可(Land Use Permit)
• 天然資源省が将来的な利用に関する権限を保
持
• 10年以内の利用
• 土地の改良を意図しない利用
• ローンの抵当としての利用不可
• 将 来、財務上、環境上の責任の生じうる利用
不可
• 許可の譲渡不可
占有ライセンス(License of Occupation)
• 天然資源省が将来的な利用に関する権限を保
持
• 20年以内の利用
• 土地の改良を意図しない利用
• ローンの抵当としての利用不可
• 将 来、財務上、環境上の責任の生じうる利用
不可
• 省の同意があればライセンスの譲渡可
地役権(Easement)
• 天然資源省が将来的な利用に関する権限を保
持
• 期間は交渉による(永久的も可)
• パイプラインや道路等の回廊地帯に利用され
る形態
• ローンの抵当としての利用可
• 権利の譲渡可
⑦ 初期探鉱(Early Exploration: 規則308/12)
探鉱活動のうち、以下の初期探鉱(Early Exploration)
を行うには、探鉱計画(Exploration Plan)の提出または
2015.5 金属資源レポート
37
(37)
オンタリオ州投資環境調査
• 表土剥離、岩盤掘削等の作業
• 地球物理探査、地質調査、地化学探査
• 探査掘削
• 北方開発・鉱山省が認める修復作業
• 先住民との協議
• 2012年11月1日以前に登記した鉱区についての
GPS データ提供に資する作業
権者との合意書(必要な場合のみ)
、初年のリース料
を含む申請に必要な費用を添える。リースの年間レン
タル料は、リースが鉱業権のみの場合も鉱業権および
地表権両方の場合も、3.0 C$/ha となっている。リー
スは21年間有効で、更新も可能である。
レポート
定の年間(鉱区登記直後は2年間)
、アセスメント作
業量(400 C$/ 鉱区1ユニット)を行うか、もしくはこ
れに相当する金額を支払わなければならない。アセス
メント作業に支出した費用は、アセスメント作業クレ
ジット(Assessment Work Credit)として保存し、
当該年度以降のアセスメント作業や隣接鉱区のアセス
メント作業として充当することが可能である。アセス
メント作業クレジットに保存するためには、保存アセ
スメント作業クレジット分配申請書(Application to
Distribute Banked Assessment Work Credits)の提
出が必要となる。なお、鉱区登記直後のアセスメント
期間や、直前のアセスメント期間においても同じ鉱区
で支払いを行っていた場合には、アセスメント作業に
代わる支払いは認められない。
アセスメント作業クレジットとして認められる作
業には、以下の作業がある。
探鉱許可(Exploration Permit)の取得が必要となる。
レポート
探鉱計画提出が必要な初期探鉱活動
• 発電機を使用する地球物理探査
• 150kg 以下の掘削機を使用するサンプル掘削
• 1.5m 以下のライン・カッティング
• 100m 2 以下の機械による剥土
• 1 m 3 以上3m 3 以下のピットおよびトレンチ
オンタリオ州投資環境調査
上記の探鉱活動を実施する者は、探鉱計画を州に
提出する前に、まずは探鉱計画を提出する意図がある
旨を記載した意図書(Notice of Intent)を地表権者お
よび探鉱活動により影響を受ける先住民に提出しなけ
ればならない。先住民より当該探鉱活動が先住民地域
に悪影響を与える可能性があるとの通知を当局が受け
た場合は、初期探鉱予定者は当該先住民との協議が義
務付けられる。探鉱計画が承認された場合は、公告日
より30日後より2年間を上限に初期探鉱活動を行うこ
とが許される。
以下の探鉱活動を行うには探鉱許可が必要となり、
探鉱許可申請書を当局に提出する前に、探鉱許可申請
書を提出する意図がある旨を記載した意図書(Notice
of Intent)を、地表権者および探鉱活動により影響を
受ける先住民に提出しなければならない。先住民より
当該探鉱活動が先住民地域に悪影響を与える可能性が
あるとの通知を受けた場合は、初期探鉱予定者は当該
先住民との協議が義務付けられる。当局の審査を受け
探鉱許可が下りた場合、探鉱許可は発行日より3年間
有効となる。
探鉱許可取得が必要な初期探鉱活動
• 150kg 超の掘削機を使用するサンプル掘削
• 100m 2 超の機械による地表剥離で、高度探鉱
活動に該当しないもの
• 1.5m 超のライン・カッティング
• 3 m 3 超のピットおよびトレンチで、後期探鉱
活動に該当しないもの
⑧ 後期探鉱(Advanced Exploration: 規則240/00)
探鉱活動のうち、一定の基準を満たす大規模な探
鉱活動を後期探鉱(Advanced Exploration)といい、
当該活動を行うには特定の要件を満たすことが義務付
けられている後期探鉱活動において土地から採取した
鉱物資源を含有する資源は査定の目的のみに使用され
なければならず、鉱物資源を査定するためのテストを
行うには探鉱開発課の許可証を取得しなければならな
い。
後期探鉱の対象となる作業
• 調査用の立坑、水平坑、斜坑
• 1,000t を超える資源の採取
• 試験用ミルの設置
38
(38)
2015.5 金属資源レポート
• 10,000m 2 超または10,000m 3 超の剥土(水域か
ら100m 以 内 の 範 囲 で は2,500m 2 超 ま た は
2,500m 3 超の剥土)、等
要件
後期探鉱を行う場合、開始前に以下の要件を満た
すことが必要である。
• 探 鉱する土地が公有地の場合、当該土地の所
有権を取得するために既存の鉱区をリースに
変更する。私有地の場合は、土地所有者との
間で土地取得または利用に関する合意を取り
付ける。
• プ ロ ジェク ト・ ス テータ ス 通 知(Notice of
Project Status)を探鉱開発課に提出する。
• 先 住民を始めとする、協議が必要とされる相
手との協議を行う。
• 閉 山計画を保証金とともに提出し、証明書を
取得する。
• 必要な許認可を各管轄当局より取得する。
⑨ 開発・生産活動(鉱業法 s.141; 規則240/00)
開発・生産活動を開始するにあたっては、以下の
要件が満たされていなければならない。
• プ ロジェクト・ステータス通知を北方開発・
鉱山省の鉱山再生責任者(Director of Mine
Rehabilitation)へ提出する。プロジェクト・ス
テータス通知には、プロジェクトの内容、サ
イトプラン、プロジェクトサイトへのアクセ
スの仕方、対象鉱物、プロジェクト期間、従
業員数、操業スケジュールを記載した操業計
画のほか、プロジェクトの境界線を示す地図、
近隣の土地や水の使用計画、敷地内および隣
接する水域の有無と場所、プロジェクトの土
地の所有者および居住者、鉱業権所有者、地
表権所有者、隣接する土地の所有者および居
住者、プロジェクトスケジュールを添付する。
• 規 定の期間内に、プロジェクトの位置する地
域で発行されている新聞、その他できる限り
多くの関連市民が情報を入手できる方法で公
告を行う。公告には、プロジェクト申請者の
氏名、住所、プロジェクト名、連絡先の氏名、
住所、電話番号、プロジェクトサイトの位置、
地図、プロジェクトの内容、後期探鉱または
生産開始予定日、情報公開セッションの開催
日時および場所、等を記載する。
• 先住民との事前協議を行う。
• 規 定の要求事項に従った閉山計画を鉱山再生
責任者へ提出する。
• 鉱山再生局長より閉山計画受理確認書を取得
する。
当該年の生産量の純価格(C$)
10,000以下
10,000 - 5,000,000未満
5,000,000 - 10,000,000未満
10,000,000 - 15,000,000未満
15,000,000 - 20,000,000未満
20,000,000 - 25,000,000未満
25,000,000 - 30,000,000未満
30,000,000 - 35,000,000未満
35,000,000 - 40,000,000未満
40,000,000 - 45,000,000未満
45,000,000以上
ロイヤルティ率
0
5%
6%
7%
8%
9%
10%
11%
12%
13%
14%
2015.5 金属資源レポート
39
(39)
オンタリオ州投資環境調査
ダイヤモンド以外については鉱業法上のロイヤル
ティは適用されず、税法の適用を受け、鉱物税を支払
うこととなる。詳細は(5)税法のセクションで説明
する。
表2-2. ON 州のダイヤモンドのロイヤルティ率
レポート
⑩ ダ イヤモンドのロイヤルティ(鉱業法 s.154; 規
則323/07)
ダイヤモンド鉱山より生産されたダイヤモンドに
ついては、毎年生産量の純価格 1 の13%相当額または
表の額のどちらか少ない額のロイヤルティを支払わな
ければならない。当該年度(カナダ所得税法で規定さ
れる年度もしくは操業会社の企業年度)における生産
が12ヶ月に満たない場合、表2-2における基準価格は
生産された月数で月割計算される。
2.鉱業に関連するその他の法制度
レポート
(1)環境法
オンタリオ州投資環境調査
(i)環境法概要
ON州における鉱業活動に関連する主な環境法は、以
下のとおりであり、環境省(Ministry of Environment)
がこれを総括している。
鉱業活動を行うに当たり、環境関連法に基づく各種
承認が必要となるが、その主なものは、環境コンプラ
イアンス承認(Environmental Compliance Approval:
ECA)と環境影響評価(Environmental Assessment:
EA)の2つである。それぞれの対象となる活動および
そのプロセスを以下に示す。
(ii)環境コンプライアンス承認(ECA)
環境保護法または ON 州水資源法のもとで、以下に
該当する者は環境コンプライアンス承認 2(ECA)を
受けなければならないこととなっている。
自 然環境に汚染物を排出する工場、構造物、
機器、設備、機械その他を使用、操作、建設、
変更、追加、取替えをしようとする事業者、
または自然環境への汚染物排出を伴うプロセ
スまたは生産率の変更を行おうとする事業者
廃 棄物管理システムまたは廃棄物処理場を使
用、操業、設立、変更、拡大しようとする事
業者
下水工事を行う事業者
2011年10月31日に環境保護法が改正されるまでは、
大気質、騒音、下水、廃棄物処理に関し、個別の承認
を受けなければならなかったが、環境保護法改正によ
り ECA が導入され、これらの承認が一括して行われ
ることとなった。
ECA の申請から承認・非承認の決定までの流れは
以下のとおりである。
① ECA 申請書作成、提出
プロジェクトが廃棄物や汚水の排出を伴う等、一
定の条件に当てはまるプロジェクトについては、環境
省との事前協議が必要であり、その上で先住民との協
議が必要と環境省が判断する場合は、協議すべき先住
民が誰であるか、どのような協議が必要か等を環境省
がアドバイスする。これに従い、先住民との協議を行
い、その内容を記録する。
ま た、 オ ン タ リ オ 環 境 法 規 則 の 環 境 権 利 章 典
(Environmental Bill of Rights, O. Reg. 681/94)に基
づき、環境に重大な影響のある法的効果のある文書は
公示が義務付けられており、ECA プロポーザルは一
般市民とのコンサルテーションのため、最低30日間
公告され、一般からのコメントを募る。
申請書には、都市区画図、サイトの図面、地図、
サイトプラン、他の官庁や技術者からの認可、ライセ
ンス、仕様書等、必要な書類を添付する。ECA 申請
者が外国法人である場合、州外会社法に基づく州外会
社としてライセンス、ON 州内弁護士より当該会社の
ステータスおよび設立された管轄地、および当該会社
が ON 州で正式に事業を行うことができることを証明
する書類およびビジネス番号を申請書に添付しなけれ
表2-3. 環境関連法
法律名
環境保護法
(Environmental Protection Act)
R.S.O. 1990, Chapter E.19
環境影響評価法
(Environmental Assessment Act)
R.S.O. 1990, Chapter E.18
水質汚染防止法
(Clean Water Act)
S.O. 2006, Chapter 22E.
シムコー湖保護法
(Lake Simcoe Protection Act)
S.O. 2008, Chapter 23
ON 州水資源法
(Ontario Water Resources Act)
R.S.O. 1990, Chapter O.40
安全飲料水法
(Safe Drinking Water Act)
S.O. 2002, Chapter 32
有害物質削減法
(Toxics Reduction Act)
S.O. 2009, Chapter 19
廃棄物転換法
(Waste Diversion Act)
S.O. 2002, Chapter 6
40
(40)
2015.5 金属資源レポート
趣旨
環境法の基本法であり、汚染防止、環境保護、
健康増進を通じ持続可能な開発を促進する。
カナダ初の環境影響評価法であり、環境影響評
価はこの法律に基づき行われる。
飲料水の水源における汚染防止により、健康と
環境保護を推進する。
ON 州南部で最大のシムコー湖保護計画の実現
のために制定された法律
下水廃水、水源の汚染防止、地下・地表よりの
取水許可等を規定。
人の健康保護のため、飲料水システムの管理に
ついて規定。
有害物質を削減することにより汚染を防止し、
健康を保護する。
廃棄物の削減、再利用またはリサイクルにより
廃棄物転換を開発、実施、実行する。
担当技術審査員が局長に申請書の承認または非承認
を提言する。局長は、ECA 申請書の内容に基づき、
申請書を環境審査裁定委員会(Environmental Review
Tribunal- ERT)に回付するか否かを決定し、当該委
員会に回付された申請書は委員会のヒアリングを受け
る こ と と な る。 こ の ヒ ア リ ン グ が 行 わ れ る 場 合、
18,000 C$ のヒアリング費用が必要となる。
図2-1. ECA 審査手続の流れ
出典:Guide to Applying for an Environmental Compliance Approval
2015.5 金属資源レポート
41
(41)
オンタリオ州投資環境調査
③ ECA 申請書承認・非承認の決定
ヒアリングに基づき、局長が ECA 申請書の承認・
非承認を決定する。非承認の決定がなされた場合や条
件付承認の条件に不服がある場合等は、通知受領後
15日以内に ERT に対して不服を申し立てることがで
レポート
ばならない。また、保証金が必要な場合は、保証金の
計算書と計算根拠を添付する。
申請書および添付書類を、EAASIB に提出し、申
請費を支払い、コピーを関連支局と市町村に提出す
る。申請費は、一般手続料+汚染物排出に関する承認
に関する費用+廃棄物管理・処理に関する承認に関す
る費用+下水道工事承認に関する費用の合計額であ
る。
② ECA 申請書審査
提出された申請書は、担当技術審査員により技術
上の審査がなされ、他の官庁による審査が必要な場合
は担当技術審査員が申請書を必要な官庁に送付する。
レポート
きる。
ECA 申請の詳細は、環境省が発行している”Guide
to Applying for an Environmental Compliance
Approval”に記載されている。これに記載されてい
る ECA 審査手続のフロー図を図2-1に示す。
オンタリオ州投資環境調査
(iii)環境影響評価(EA)
環境に多大な影響を与える可能性のある、大規模
で複雑なプロジェクトを実施するに当たっては、環境
影響評価(Environmental Assessment: EA)が行われ
る。環境影響評価についての詳細は環境影響評価法に
規定されている。ON 州における EA のプロセスは以
下のとおりである。
① 申 立人による実施要領(Terms of Reference ToR)の提出
申立人は、プロジェクトにおける環境影響評価書
作 成 の フ レーム ワーク と な る 作 業 計 画 を 記 載 し た
ToR を環境省に提出する。また、ToR 提出までに、
関連一般市民、先住民、政府機関との事前協議が義務
付けられており、その内容を記録した文書も環境省に
提出しなければならない。
環境省は、ToR の技術審査を行い、ToR を承認す
べきか否かを環境大臣に勧告する。環境大臣は、ToR
受領後12週間以内に決定を下す。ToR に関する事項
について、環境大臣は決定前に本件を調停に付すこと
ができる。
ToR の詳細は、環境省が発行している”Code of
Practice: Preparing and Reviewing Terms of
Reference for Environmental Assessments in
Ontario”に記載されている。
② 申立人による EA 書類の作成
ToR が承認された場合、申立人は承認された ToR
に従って EA 書類の作成を開始する。まず初めに、申
立人は関連一般市民、先住民、政府機関等の関係者に
対して新聞や Website 等で EA 開始通知を行い、今後
の EA プロセスの中で提案されることや関係者がどの
ように関与するか等の情報を提供する。
EA 書類には、プロジェクトの目的のほか、プロ
ジェクト実施手法の代替案やプロジェクト自体の代替
案と、それぞれの場合における環境への影響、影響緩
和手段、メリットとデメリット等を記載する。また、
関連一般市民、先住民、政府機関との協議の結果等を
記載するほか、EA に記載された措置の実施時期や方
法、順守状況に関する環境庁への報告方法についても
が記載されていなければならない。
なお、環境影響評価法の法的要求事項ではないが、
環境省は申立人に対して、正式な EA 提出の前に、草
案を作成し、事前審査を受けることを推奨している
(承認された ToR に記載されている場合もある)。環
境省職員は EA 案を受領後、法的要件や承認された
42
(42)
2015.5 金属資源レポート
ToR と合致しているかどうかをすぐに審査し、必要
に応じて修正や追加作業を提案する。
③ 申立人による EA 書類の提出
申立人は環境省に EA 書類を正式に提出する。EA
申 請 書 に 環 境 影 響 評 価 概 要 書(Environmental
Assessment Summary Form)を添付すると共に、
EA 提出を新聞その他により公開する。環境省職員が
EA 書類の審査の調整を行う。
④ 環境省による一般および関係官庁によるコメント
の整理、調整(7週間)
この期間、一般、官公庁の専門家、先住民その他
関係者は、EA 書類に関するコメントを環境省に提出
することができる。この間、申立人は EA 書類の修正
を行うことができる。また、申立人は、関係者との調
整が困難な場合、EA 審査手続き中はいつでも調停を
開始することができる。
⑤ 環境省による「省審査結果」の作成(5週間)
環境省職員はこの期間に、EA 書類の審査結果をま
とめた「省審査結果」を作成し、これを公表する。こ
れには上記の7週間の間に寄せられた関係者コメント
の 分 析 と 申 立 人 の こ れ に 対 す る 回 答、 承 認 され た
ToR の記載事項に対する申立人の順守状況等を記載
する。
⑥ 省審査結果の一般閲覧(5週間)
関係一般市民、政府機関、先住民はこの期間に、
省審査結果へのコメントを環境省へ提出することがで
きる。この間、申立人を含めた関係者は、環境省に問
題点を明らかにし、その解決方法等を提言することが
でき、また、ヒアリングを要求することができる。
⑦ 環境大臣の決定(13週間)
EA が行われるプロジェクトは、環境省と内閣の承
認が必要であり、環境大臣は上記の一般閲覧期間終了
後13週間以内に決定を下す。環境大臣は、申請に対
する決定を行う前に調停に付することが可能である。
また、省審査結果の一般閲覧期間に要請があった場合
や大臣が必要と判断した場合には、申請書の全部また
は 一 部 を 環 境 審 査 裁 定 委 員 会(Environmental
Review Tribunal:ERT)に照会することがある。大
臣は、ERT の下した決定を参照し、当該決定を大臣
決定として選択するか、変更を指示するか、大臣自身
の決定を採用するかを判断する。
環境大臣の決定には EA 承認、条件付承認、拒否の
3種類があり、環境影響保護法の目的、承認された
ToR、省審査結果、一般公開時に寄せられたコメン
ト、ERT レポート等が考慮される。
条件等の順守状況および環境影響をモニタリングし、
その結果を報告しなければならない。
EA 申請の詳細は、環境省が発行している”Code of
Practice: Preparing and Reviewing Environmental
Assessments in Ontario”に記載されている。
レポート
⑧ 申立人によるプロジェクトの実施および順守状況
のモニタリング・報告
プロジェクトが承認された場合、申立人は、その
他必要な許認可がある場合はこれを取得し、全ての許
認可が下りた後、操業を開始することができる。ま
た、EA 書類に記載された措置や許認可に付けられた
オンタリオ州投資環境調査
図2-2. 環境影響評価プロセスフロー
出典:Code of Practice: Consultation in Ontario’s Environmental Assessment Process, January 2014
2015.5 金属資源レポート
43
(43)
(2)先住民法
レポート
(i)先住民土地管理法に基づく協定
先住民に関しては、ON 州独自の法律はなく、カナ
ダ全体の先住民に関する連邦法として主に以下の法律
がある。その内容は以下に記載するとおりである。
オンタリオ州投資環境調査
カナダの先住民の権利は憲法により認められてお
り、インディアン法でも各種先住民の保護や税務上の
優遇策等が保証されてはいる。しかし、一方で、この
インディアン法は、先住民としてのステータス、土
地、資源、教育等のほとんどの事項についてカナダ政
府に支配権があることを明確にしているため、部族に
よってはこのインディアン法の廃棄を求めているもの
もある。
1999年に先住民土地管理法が制定されて以降、土
地や資源を管理し、経済開発の機会を得るために、イ
ンディアン法を受け入れ、先住民土地管理法に基づき
自らの土地管理法をよって土地の管理を行っている先
住民族は現在36にのぼる。このうち ON 州の先住民族
は以下のとおりであるが、これ以外にも、現在、先住
民土地管理法の対象となるべく、政府との協定の締結
を進めている先住民族も多い。
(ii)歴史的条約
また、上記の連邦法以外に、先住民族とカナダの
連邦政府成立(1867年)前のイギリス王または成立後
の連邦政府との間で1871年から1921年の間に歴史的
条約(Historic Treaty)が締結されており、各協定
で、協定の対象区域内の先住民族の権利、義務、先住
民と政府との関係等が定められている。この条約によ
り、先住民族が当時カナダを支配していたイギリス政
府、またはカナダ政府に対し、土地を明け渡すのと引
き換えに、対象地内における居留地の保証、狩猟等に
ついての権利、金銭の支払、各種優遇措置等を政府よ
り与えられた。これらの条約は現在もその有効性が認
められている。
現在、ON 州内の先住民族と政府との間で有効に存
在する歴史的条約は図2-3に示すとおりである。これ
らの条約に基づき、多くの先住民族が自らの土地に対
する権利を主張(Land Claim)しており、現在、ON
州内の先住民族より提起されている Land Claim は、
交渉中のケースが50件、交渉前の調査段階のケース
が3件、合意が整い、協定の施行が進められている
ケースが11件ある。土地の権利主張は、主に、イン
ディアン居留地のサイズ、境界の変更を求め、過去に
政府により不当に居留地の利用がなされたことを主張
し、インディアン居留地の使用に対する補償を求める
ものが多い。土地権利主張で、一定の土地がインディ
アンの所有に属するものであると土地への所有権その
ものを主張するものもあるが、ON 州は歴史的条約で
カバーされているため、この種の所有権の主張をする
ものはほとんどない。
表2-4. カナダの先住民関連法
法令
内容
カナダ憲法
第35条:カナダ先住民権、および先住民の協定に基
(Constitution Act, 1867)
づく権利を憲法上保証する。
インディアン法
先住民としてのステータス、部族、居留地管理等につ
(Indian Act, 1876)
いて規定。
R.S., 1951, c.I-5
先住民土地管理法
1996年に14の先住民族と連邦政府との間で締結され
(First Nations Land Management Act) た合意を立法化したもので、これらの先住民族に自ら
S.C. 1999, c.24
土地管理に関する法律を策定する権限を付与する。
表2-5. インディアン法の対象となる ON 州の先住民族
1
2
3
4
5
6
7
44
(44)
先住民族
Scugog Island
Georgina Island
Nipissing
Whitefish Lake(Atikameksheng Anishnawbek)
Mississauga # 8
Henvey Inlet
Anishnaabeg of Naongashiing(Big Island)
2015.5 金属資源レポート
土地管理法施行日
1999年7月
2000年1月
2003年7月
2009年3月
2009年8月
2010年1月
2011年8月
レポート
オンタリオ州投資環境調査
図2-3. ON 州内の先住民協定対象地区
出典:Ministry of Aboriginal Affairs Website
2015.5 金属資源レポート
45
(45)
レポート
図2-3に示されている ON 州の先住民族に適用され
る条約の歴史的背景および内容は、表2-6のとおりで
ある。
表2-6. ON 州内の先住民族との協定の歴史的背景と内容
協定
Robinson-Huron Treaty
Robinson-Superior Treaty
1840
オンタリオ州投資環境調査
対象先住民族
1840年代初期、ヒューロン湖、スーペリア湖周辺で鉱物資源が発見され、鉱山会社
が探鉱のためのライセンスの申請を始め、これに対し地元の先住民族がこれらの土地
に対する権利は先住民に属すると主張し、当時の植民地立法府のメンバーで毛皮商
Robinson 氏に先住民族との交渉が委ねられた。その結果、スーペリア湖周辺の先住民
族は Robinson 氏の提案に合意し1850年9月7日に協定が成立した。ヒューロン湖周辺
の先住民族は一旦これを拒否したが、更なる交渉の末、9月9日協定に署名した。協定
の内容は、以下のとおり。
• 先住民族は土地への権利を放棄する。
• 先住民族は一括払金として2,000£ の支払いを受ける。
• 先住民族は毎年600£ の支払いを受ける。
• 先住民族は地域が開発されるまで、狩猟、漁獲の権利を留保する。
• 先住民族のための居留地を確保する。
Upper Canada Treaties
1764年に始まった当時のイギリスの植民地インディアン局と先住民族との交渉を契機
(Upper Canada Land Surrenders) とし、その後アメリカでの独立戦争によりアメリカを追われたイギリスへの忠誠者への
1781-1862
開拓地としての新しい土地が必要となったインディアン局は先住民族と土地への権利放
棄に関する交渉を進め、1783年から1812年までの間に15の協定が成立した。その後、
イギリスからの開拓者が続々と到着し更に広い土地が必要となり、1860年までの間に
当時のカナダ上部地区(Upper Canada)の土地のほとんどが協定により放棄された。
1818年以前の協定は、先住民の土地放棄に対し先住民族へ一括払金を支払うことを内
容としていたが、その後は協定時の資金負担を軽減するため、毎年の支払を行うことを
内容とするものがほとんどとなった。
Williams Treaties
1867年にカナダが連邦国となった時点では ON 州のほとんどの土地は協定によって先
1923
住民族により所有権は放棄され連邦に属すものとされていたが、先住民族はこれらの協
定の中には問題のある協定もあり、また、協定の対象とならない土地も存在すると主張
した。これに対し、連邦政府と ON 州政府は調査の上、先住民族の主張の有効性を認め、
新しく一部の協定を締結しなおすこととした。この新協定により、先住民族は土地に対
する権利の放棄と引き換えに、これまでの年次支払を継続して受けることに加え、一括
払金の支払を受けることとなり、これまでの居留地は継続して使用できることとなっ
た。この協定では、狩猟、漁獲の権利等は認められていない。
Treaty 3
スーペリア湖とレッド ・ リバーの間の土地につき、1873年に締結された。この協定の
1873
下、先住民族に確保された居留地は以前の協定時より広く(5人家族1世帯について
640エーカー)、未占有の公有地における狩猟、漁獲の権利が認められ、毎年5C$ の支
払を受けることとなった。また、一人当たり12 C$ の一括払金が支払われ、銃弾および
糸の購入費として毎年1,500 C$ が支払われた。
Treaty 5
Treaty 3と同様の内容の協定であるが、居留地の面積は160エーカーとされ、銃弾およ
1873
び糸の購入費として500C$ が一時金として支払われた。
Treaty 9
この協定では、毎年の支払額は5C$、銃弾および糸等の購入費は一切支払われないこと
1905
となった。
協定に参加していない先住民族
Algonquins of Pikwakanagan, Caldwell, Moose Deer Point, Moravian of the Thames,
Munsee-Delaware Nation, Oneida Nation of the Thames, Wikwemikong
出典:Aboriginal Affairs and Northern Development Canada, Historic Treaties in Ontario こ う し た 中、ON 州 北 西 部 に 居 住 す る 先 住 民 族
Grassy Narrows First Nation は、彼らの伝統的な土
地において行われている伐採が狩猟や飲料水の水質等
に悪影響を及ぼすことを懸念し、彼らが連邦政府との
間で締結した条約「Treaty 3」の対象である土地では
ON 州政府にその許認可権限はないとして無効を主張
していたが、連邦最高裁判所は、2014年7月11日、原
告の上訴を棄却し、州政府の許認可権限を認める判決
を下している。
上記の制定法、協定のほか、連邦政府および州政
府は、コモン・ロー上、先住民族に影響を与える事項
に関しては、憲法第35条に基づき先住民族と協議を
行う義務があるとされている。また、ON 州鉱業法も
46
(46)
2015.5 金属資源レポート
2009年の改正により、先住民族に影響を与えるよう
な探鉱活動、生産活動を行う際には、先住民族と事前
協議を行うことを義務付けている。
カナダ探鉱者・開発者協会(Prospectors & Developers
Association of Canada) は、
「e3-Plus Principles for
Responsible Exploration」と称する出版物において、探
鉱、開発を行うにあたっては先住民族との協議が重要で
あると指摘し、様々な提言を行っている。
ON 州に限らずカナダ国内で探鉱、生産活動を行う
場合には、環境問題と同様、こうした先住民関連法規
を理解した上で、州政府との指示と支援を受け、活動
を進めていくことが必要である。
(3)閉山法
(ii)閉山計画(Closure Plan)
後期探鉱活動または鉱物生産活動を行おうとする
者(申請者)は、活動開始前に閉山計画を提出しなけ
ればならない。申請者は自らの役員、専門技師等よ
り、閉山計画で求められる多くの要件が満たされてい
ることを証明しなければならない。申請者は閉山計画
を公告し、影響を受ける先住民との事前協議を行うこ
とが義務付けられている。閉山計画が作成され、保証
金の預託が行われると、北方開発・鉱山省、その他の
ON 州官庁、連邦政府、関連市町村、先住民により審
査が行われる。閉山計画は一般に開示され、コメント
を受けることとなる。コメントを北方開発・鉱山省が
整理の上、調整、変更が必要な場合は申請者へ返却さ
れ、申請者は必要な変更を加える。変更なく承認され
た場合は、申請より45日後に閉山計画として効力を
発する。閉山計画提出の流れは以下のとおりである。
1.申請者はプロジェクト状況通知(Notice of Project
Status)を北方開発・鉱山省に提出。
2.申請者は同省の指示に従い関連先住民との事前協
議 を 行 う。 協 議 を 行った 場 合 は、 協 議 記 録
(Aboriginal Consultation Report)をプロジェクト
状況通知に添付する。
3.同省がプロジェクト状況通知を審査し、先住民と
の協議について、どの先住民との協議が必要か、
協議の計画書提出が必要か、報告書提出が必要か
等につき、指示を与える。
4.申請者は指示に従い、先住民との協議を行う。同
省職員が協議に参加することもあり、継続的に協
議を監督し指示を与える。また、内容次第では第
三者専門家の参加を要請することもある。
1.送付状(Letter of Transmittal)
提出する閉山計画書類が鉱業法に基づく閉山計画
の全要素を満たしていることを記載した代表者の署名
付きの手紙。
2.証明書類
以下を証明する書類のほか、鉱業法、規則で求め
られる証明書で、発行者の署名のある書類。
• 鉱山の開発計画が鉱業法の全てに準拠するもの
であること
• 鉱業法が要求する場合、適格な専門家に依頼し
たこと
• 再 生作業の予想費用が必要な物品やサービスの
市場価格に基づいて計算されていること
• 閉山計画に記載された保証金の額は、再生作業
に要する費用を負担するのに十分であること
• 局長より指示された先住民との協議に関し、当
該指示に従ったこと
• 提出する閉山計画がサイトの原状回復のための
完全な計画であること
3.プロジェクトに関する情報
申請者の名称、住所、プロジェクトの所在地、境
界、土地の占有権、サイトプラン等。
4.現在のサイトの状態
サイトと隣接サイトの現在の土地利用、地表水の
流れ、地下水の詳細、プロジェクトにより影響を受け
る植物、動物等。
5.プロジェクトの内容
プロジェクト概要、サイト内の鉱物の鉱物学上の
詳細、プロセス内容、既存または建設予定のインフラ
設備、廃滓の発生、処理、保存等、既存または建設予
定の廃棄物管理・処理システム、化学物質、有害物
質、 爆 発 物 等 の 保 存 サ イ ト、 プ ロ ジェク ト の ス ケ
ジュール等。
6.連続的再生活動(Progressive Rehabilitation)
プロジェクト実施期間中に取る予定の措置。
7.一時停止措置
化学物質、有害物質、爆発物等の保存サイトへの
2015.5 金属資源レポート
47
(47)
オンタリオ州投資環境調査
• O N 州鉱業法/閉山計画、閉山手続についての規
定
( R . S . O 1 9 9 0 , C h a p t e r M .14 , P a r t V I I
Rehabilitation of Mining Lands)
• O N 州鉱業法規則/閉山計画、閉山手続について
の規定
( O . R e g . 240 / 00 M i n e D e v e l o p m e n t a n d
Closure under Part VII of the Act)
閉山計画には、少なくとも以下に記載する14の事
項が記載されていなければならない。
(ON 州鉱山再
生規則 Schedule 2)
レポート
(i)概要
ON 州には、1992年以前は閉山、鉱山再生、再生計
画に関する法規制はなく、鉱山再生についての企業責
任は法令上課せられていなかった。よって、閉山後、
再生活動(リハビリテーション)を行うことなく鉱山
を放棄する会社が多かった。これに反発する世論に応
え、1992年に鉱業法が改正され、閉山と再生活動につ
いて規定が設けられることとなったが、1996年の鉱業
法および関連規則の改正により、今日の閉山、閉山計
画についての細かい規制が実施されることとなった。
5.同省の指示に従い協議を行った後、閉山計画を提
出する。協議に関する報告書を添付し、保証金を
支払う。
レポート
立入り制限措置、鉱山入り口への無許可アクセスの防
止措置、機械等の無負荷状態での維持措置および電気
設備の安全性確保、廃滓等の安全保存措置、プロジェ
クトが一時停止状態であるとみなされるために実施す
る再生措置等。
オンタリオ州投資環境調査
8.非活動状態措置
プロジェクトサイトへの立入り制限措置、立坑や
鉱山入り口、機械設備等への安全措置、廃棄鉱等保存
地区の監視、維持再生措置、化学物質、有害物質、爆
発物等の処分、隔離、管理措置、規定の再生措置が取
られていることを確認するための最低半年に一度のサ
イト検査、プロジェクトが非活動状態であるとみなさ
れるために実施する再生措置等。
9.閉山措置
サイトの原状回復措置(例:立坑や採掘場、坑道入
り口等の安全対策、建物その他のインフラ、機械等の
除去・処分方法、地表の安定性確保、廃棄物管理場の
再生プラン、汚染土壌の管理または処理に関する保存
地周辺の土壌テスト、地表水および地下水の水質保
全、等)
10.監視
閉山規則に従った再生活動の実施状況の監視。
11.サイトの予想状態
閉山後の土地の利用予定、閉山後に生じる地形学
上の大きな変化、サイト上の地表水、地下水の閉山後
の状況、閉山後の植物、動物の状況等。
12.費用
閉山に必要な再生活動および監視活動にかかる予
想費用。
13.保証金
規定の保証金の額と形態。
14.先住民との協議
2012年11月1日より、閉山計画を提出する前に関連
先住民と事前協議を行うことが義務づけられた。
(iii)保証金(Financial Assurance)
閉山計画に記載される鉱山再生活動が適切に実施
されることを保証するため、再生活動にかかると予想
される費用相当額の保証金を預託しなければならな
い。保証金は以下の形態のものが許されている。
① 現金
② 銀行法別表Iに定める銀行よりの信用状
③ 保 険法のもと承認された保証会社よりの保証
証券
48
(48)
2015.5 金属資源レポート
④ 所得税法に規定する環境(鉱山再生)信託
⑤ 企業財務検査の順守
⑥ その他、鉱山再生局長が認めるもの
保証金は、再生活動が閉山計画に則り、サイトの
検査後環境大臣が適切と認めた場合に、再生活動終了
後返却される。
(4)外国投資法
カナダにおける外国投資は、連邦法であるカナダ
)
投資法(Investment Canada Act(R.S.C., 1985, c.28)
により規制されている。当該投資法はカナダ産業省
(Ministry of Industry)の管轄下にあり、ON 州を始
め、外国法人が同国で事業を行うためには、当該投資
法に基づき、一定の投資に関して、審査を受けなけれ
ばならない。審査対象となる投資は、以下のとおりで
ある。
(a) 非 WTO 加盟国の投資においては、直接投資
は買収するカナダ事業の総資産額が5百万 C$
を超える場合、間接投資は50百万 C$ を超え
る場合。ただし、間接投資の場合、世界的な
買収活動におけるカナダ事業の割合が50%
を超える場合は、カナダ事業の総資産額が50
百万 C$ を超える場合に審査対象となる。
次の(c)を除き、WTO 加盟国の投資には優
(b)
遇措置が取られており、審査対象となる直接
投資の限度額は(a)より高い。具体的な額
は毎年決定される。2014年は354百万 C$。
カナダの文化事業とみなされる事業について
(c)
は、上記(a)が全てに適用される。
カナダで新規ビジネスを立ち上げる場合、および、
既存の「カナダ事業」を買収する場合で、上記審査の
対象とならないものについては、通常、審査のための
申請書は不要とされ、通知書を提出する。
ここでの「カナダ事業」は以下に該当するものをい
う。
事業を行う場所がカナダに存在する。
(a)
(b)
当該事業に関連し個人または自らを雇用して
いる。
当 該事業を行うためにカナダに資産を有す
(c)
る。
よって、事業の所有者が誰であるかは関係なく、
外国資本でもカナダで事業を行っていれば、「カナダ
事業」とみなされる。
カナダ投資法は一般に、外国投資に有利な内容で
あるとみられているが、外国投資家が外国政府支配組
織(State-Owned Enterprises:SOE)の場合、特にエ
ネルギー分野の買収においては、カナダの経済や国家
この規定により SOE による投資が認められなくな
る訳ではないが、実質的に SOE であるか否かを判断
する権限を政府に付与することにより外国投資に関す
る政府の権限が拡大するとみられている。
鉱業活動については、ウランに関するものを除き、
特に外国投資に関する規制は存在せず、外国人も直接
または間接に鉱業権を取得することができる。
ウランについては、外国人による探鉱への制限はな
いが、生産活動においては一定の例外(プロジェクト
が実質的にカナダ人所有であることが証明できる場合、
カナダ人のパートナーが見つからない場合で、内閣に
より承認された場合)を除き、ウラン鉱山のカナダ非
居住者による所有権は49%までに制限されている。
(i)概要
ON 州における鉱業収益については、原則的には、
連邦所得税法(Income Tax Act)
、ON 州所得税法
(Corporations Tax Act)
、および、ON 州鉱業税法
3
(Mining Tax Act )の税法に基づき、連邦法人所得
税、州法人所得税、および鉱業税が課せられる。
ON 州法人所得税は、2006年10月に州政府と連邦政
府の合意により、カナダ歳入局(Canada Revenue
Agency)が連邦法人所得税と一括して管理すること
となり、法人所得税の申告はカナダ歳入局へ一括して
行う。
(ii)連邦法(Income Tax Act, R.S.C., 1985, c.1)
鉱業収入に対する連邦税は、企業の収益に対する
法人所得税として、その他の業種の法人所得税と同じ
税率の法人所得税が課せられる。課税率は下降を続け
ており、2010年18.0%、2011年16.5%、2012年~2014
年は以下のとおり15%となっている。ただし、カナ
ダ 人 支 配 の 民 間 企 業(Canadian-owned Private
Corporation)で、カナダ国内での課税資本額が15
百万 C$ 未満の法人には、小企業控除(Small Business
Deduction)の適用があり、最初の50万 C$ までの事業
収益につき、税率は11%まで引き下げられる。また、
課税資本額が10百万 C$ から15百万 C$ までの法人に
ついては、小企業控除の対象となる額が比例的に減額
される。
探鉱活動、開発活動、生産活動を行うには、通常、
初期段階での相当額の支出が必要であり、よって、こ
れら支出に対する税務上の優遇措置が重要なポイント
となる。
連邦法に基づく、鉱業に対する優遇措置としては、
以下のものが挙げられる。
表2-7. カナダ連邦法人所得税率
一般法人所得税率(1)
州税削減率(2)
(3)=(1)-( 2)
(4)製造・プロセス削減率
(5)一般税率削減率
(6)連邦法人所得税率
=(3)-( 4)-( 5)
製造・加工収入
38.0%
10.0%
28.0%
13.0%
0.0%
事業収入
38.0%
10.0%
28.0%
0.0
13.0%
投資収入
38.0%
10.0%
28.0%
0.0
13.0%
15.0%
15.0%
15.0%
2015.5 金属資源レポート
49
(49)
オンタリオ州投資環境調査
1) 審 査の対象となる買収の限度額を、
「資産価
値」から「組織価値」に変更し、段階的に、投
資法規則施行後は「組織価値」
( 組織価値の定
義 は 未 定)を6億 C$ と し、2年 後 ま で に8億
C$、4年後までに10億 C$ へと増加する。
2) SOE の定義の拡大
3) 国家安全に関する審査の期間の延長
(5)税法
レポート
安全の面でより厳しい審査が行われる。
カナダ政府は2007年12月にガイドラインを発行し、
カナダ投資法の目的は、
「カナダの経済成長および雇
用機会の拡大を促進する投資を推進し、カナダが当該
利益を享受するための審査を規定する事」とし、外国
SOE によるカナダでの投資が同国の利益に資するも
のであることを確保することが、カナダ政府の方針で
あると明言している。
当該ガイドラインに従い、2013年6月26日にカナダ
投資法の改正案(Bill C-60)が可決され、同国での外
国投資について、新しい規制が導入されることとなっ
た。その主な内容は、以下の3点である。
レポート
① 州鉱業税、ロイヤルティ控除
州に支払った鉱業税、ロイヤルティは、連邦法の
法人所得税の計算上、収益より全額控除することがで
きる。
オンタリオ州投資環境調査
② 資本コスト控除(Capital Cost Allowance:CCA)
償 却 可 能 有 形 資 産 に つ い て は、 資 本 コ ス ト 控 除
(CCA)として償却額の控除が認められる。償却資産
は資産の種類によりクラス分けがなされており、各ク
ラスにより償却率が定められている。各年度に購入さ
れた資産の額は各クラスの償却資産についての支出残
高に加算され、当該クラスの償却率に基づき、当該年
の償却額(控除額)が決定される。控除された償却額
は当該クラスの償却資産支出残高よりマイナスされ
る。鉱山活動を行うための資産は通常「クラス41」に
分類される。クラス41に分類される資産には以下の
資産が含まれ、償却率は25%となっている。
• 採鉱又は加工のために使用される建物(鉱山サ
イト外の事務所は除く)
、構造物、機械、機器
• 鉱山、選鉱場、製錬所、精錬所等の操業のため
に使用される発電機、配電機、発電所
• 鉱山からの収益を得るために使用される鉄道設
備(鉄道車両は除く)やその付属設備
• 鉱山、または、鉱山作業者が主に居住する地域
社会にサービスを提供するために使用される、
病院、学校、空港、消防署、住居、道路、娯楽
施設等の社会的資産
• 鉱石の探査を主な目的とする資産
大半の資産については、取得初年度に 「Half Year
Rule」 が適用され、適用償却率によって算出される年
間償却額の半分が限度額となるとともに、
「Availablefor-Use Rule」により、CCA を控除する前に当該資産
が使用可能でなければならない。
③ 加速資本コスト控除(Accelerated Capital Cost
Allowance:ACCA)
上記 CCA に加え、ACCA が一定の資産について認
められ、これにより最高100%の控除が可能である。
ACCA は、商業生産が開始する前に取得された資産、
大規模な鉱山事業拡張のために取得された資産、また
は事業年度内に発生した鉱山総収入の5%を超える部
分の投資費用として取得された資産について適用する
ことができる。1年に控除できる額は、該当クラスの
資産費用の未控除残高を上限とするが、鉱山収入を越
えることはできない。
④ カナダ探鉱費用(Canadian Exploration Expense:
CEE)
CEEは、カナダにおける鉱山の探鉱段階、開発段階
に発生する費用で(商業生産段階に入ってからの費用は
含まず)
、後述のカナダ開発費用(CDE)に該当しない
費用をいう。CEEは、累積カナダ探鉱費用(Cumulative
CEE – CCEE)のプールに含め、毎年課税所得額を上限
にCCEEの残額全額まで控除することができる。CCEE
の残額は無期限に繰越することができる。
CEE には以下の費用が含まれる。ただし、機械器
具等の償却資産は含まれない。
• 探鉱費用:探査、地質調査、地球物理探査、地
化学探査、掘削、トレンチング、試掘、サンプ
リング等の、カナダに存在する鉱物資源の存
在、場所、量、質を確認するための費用。ただ
し、既に商業生産を行っている鉱山に関する前
記費用は対象外。
• 生産前活動:清掃、表土の除去、鉱山立坑の埋
め込み、坑道の建設等、鉱山が生産活動を開始
する前に、新鉱山の生産活動を開始するために
生じた費用。
なお、2013年3月20日以降は、生産前活動に伴う費
用は表2-8のとおり段階的に廃止され、今後は CDE の
対象となる。
⑤ カナダ開発費用(Canadian Development Expense:
CDE)
カナダ開発費用(CDE)は国内の資源資産に関し発
生した費用で、以下の費用が含まれる。
• カナダにおける鉱業関連資産とされる資源関連資
産の取得費用:鉱山の土地、探鉱、採鉱に関する
権利、ライセンス、許可、リース、ロイヤルティ
費用等。機械器具等の償却資産は含まれない。
• 鉱山が商業生産開始した後に発生した立坑、主
運搬路その他の地下作業のための通路の埋め込
みまたは掘削のための費用。
CEE と同様、CDE は累積 CDE(CCDE)のプール
に含め、これより当該年中にカナダ国内の資源資産の
売却により生じた収益を差し引いた CDEE の残額の
30%までを、収益の額に関わらず控除することがで
きる。また、CDEE の残額は CCEE と同様、無期限に
繰越することができる . なお、申請対象年度が1年に
満たない場合は、申請対象日数を365日で按分した率
表2-8. 生産前活動費用の CEE から CDE への移行
CEE(100%控除)
CDE( 30%控除)
50
(50)
2015.5 金属資源レポート
~2014
100%
0%
2015
80%
20%
2016
60%
40%
2017
30%
70%
2018~
0%
100%
を乗じた額を上限として控除額を算出する。
⑧ 生 産前鉱山費用に対する投資税額控除(ITC for
Pre-production Mining Expenditure)
最終生産物が卑金属、貴金属、ダイヤモンドの新
規鉱山のための探鉱および鉱山開発に特定の支出を
行ったカナダの企業に対して、2013年において10%、
2014年 に お い て7% の 投 資 税 額 控 除 が 適 用 さ れ る。
ITC の対象となる支出は、CEE の対象となる費用で、
上記 CEE の対象費用として掲げるものがこれに該当
す る。ITC と し て 税 額 控 除 と なった 額 は、CEE の
プールより差引き、それ以降の CEE の対象となる額
はその残額となる。
例 え ば、2013年 に1,000C$ の CEE が 発 生 し、 こ れ
を ITC の対象とした場合、1,000C$ の10%、100C$ が
2013年度分の支払税額より控除されることとなり、
2014年 以 降 の CEE の プール の 残 額 は1,000C$ よ り
100C$ を 差 し 引 い た900C$ と な り、 こ れ が 通 常 の
CEE の費用として2014年以降に費用控除の対象とな
る。ITC は2015年には4%、2016年には廃止される予
定である。
(iii)州法
ON 州 の 法 人 所 得 税 は、2011年 よ り 現 在 ま で、
11.5%となっている。ただし、連邦税と同様、カナダ
人 支 配 の 民 間 企 業(Canadian-owned private
corporation)で、カナダ国内での課税資本額が1,500万
C$ 未満の場合は、事業収益50万 C$ までに対し、小企
業控除が適用され、税率は4.5%まで引き下げられる。
上記(ⅱ)の連邦法人所得税と ON 州法人所得税を
合わせた法人所得税は、26.5%(連邦税15%+州税
11.5%)である。
① 鉱業税
前記法人所得税に加え、オンタリオにおける鉱業活
動よりの収益に対しては、ON州鉱業税法および鉱業税
法規則に基づいて、以下に記載の鉱業税が課せられる。
ntario Mining Tax Act R.S.O. 1990, Chapter M.15
O
O n t a r i o M i n i n g A c t R e g u l a t i o n s O n t a r i o
Regulation 45/11
上記税法に基づき、ON 州の鉱山操業者により採掘
された鉱物(ダイヤモンドを除く)により得られた収
益に課せられる鉱業税は表2-9のとおりである。
ダイヤモンドに対しては、鉱山法に基づきロイヤル
ティを支払わなければならない(II-1-( 2)- ⑩参照)
。
表2-9. 鉱業税率
鉱山の種類
非地方鉱山
地方鉱山
鉱業税率
課税利益の10%
課税利益の5%
* 課 税対象となる利益は、利益のうち50万 C$ を超え
る部分。
* 地方鉱山(Remote mine)とは、1996年5月7日以降
にできた鉱山で、鉱業法に基づく閉山計画を有し、鉱
山に必要な輸送用の道路または鉄道から鉱山入り口ま
での距離が30km 以上であると北部開発鉱山林業省が
判断する鉱山をいう。
2015.5 金属資源レポート
51
(51)
オンタリオ州投資環境調査
⑦ フロースルー株式制度(Flow-Through Shares:
FTS)
FTS 制度は、カナダにおける鉱物の探鉱および開
発にかかる費用を調達するための制度で、株式発行法
人が株式の対価額相当まで探鉱費用と開発費用を投じ
ることができるという合意のもとに株式を発行するも
のである。税法上、探鉱開発費用は FTS を購入した
投資家(納税者となる個人並びに会社)の経費(費
用)とみなされる。この株式に投資を行った投資家
は、当該株式への投資額全額の控除と、費用によって
は更に15%の税額控除(Mineral Exploration Tax
Credit- 後述)が可能であるとともに、将来投資した
会社が成長した場合は、投資に対する大きなリターン
が期待できる。リング・オブ ・ ファイアを始め、多く
の探鉱プロジェクトはこの FTS 制度を利用して資金
の調達を行っている。FTS を発行する会社はカナダ
の会社である必要はないが、FTS による費用の控除
を行おうとする個人はカナダの納税者でなければなら
な い。 探 鉱 費(CEE)と 開 発 費(CDE)の み が こ の
FTS の対象とされており、FTS 発行企業の主要ビジ
ネスが鉱業であることが前提条件となっている。
レポート
⑥ 鉱山再生資金(Mine Reclamation Funds)
鉱山再生活動(建物や設備の撤去、鉱滓ダムの安定
化、緑地化等)に要した費用は全額控除と対象となる。
また、1994年2月22日以降に、法令で拠出が義務付け
られている適格環境信託(Qqualified Environmental
Trusts:QET)へ支払った拠出金も控除の対象となる。
ただし、当該信託より発生した収益、当該信託より引
き出した額は課税対象となる。
⑨ 探 鉱 開 発 税 額 控 除(Mineral Exploration Tax
Credit)
フロースルー株式を購入した個人投資家には、特
定の費用に係る FTS につき、更に15%の探鉱開発税
額控除が認められている。同制度は、新参の鉱山会社
が FTS に よ り 資 金 を 調 達 す る の を 援 助 す る た め、
2000年10月に連邦政府により一時的措置として導入
されたものであるが、その後数回延長され、2014年
予算では、2015年3月31日までを期限とすることに
なっている。この控除の対象となる費用の現在の要件
は、非金属、貴金属、ダイヤモンド等(石炭等を除
く)の鉱物資源の存在、場所、量、質を確認するため
の費用で、探査、各種調査、掘削、サンプリング等に
関し、採取したサンプルが1サンプルにつき15t を超
えず、1年に採取したサンプルの合計が1,000t を越え
ないものとなっている。
レポート
税額を計算する上での「利益」とは、鉱山からの産
出物から、受領または受領することのできる収益から
生ずる引当金や控除額を差し引いた額である。収益よ
り差し引くことの許される引当金、控除額には以下が
含まれる。費用により控除が許される額または率は異
なる。
オンタリオ州投資環境調査
1) 鉱山からの産出のために操業者に生じた費用
2) 鉱山の社会的資産に関し生じた操業、維持費用
3) 鉱 山から産出物の産出または販売のために生じ
た管理費、間接費
4) 鉱 山からの産出物に関するカナダで行われた科
学調査、生産物利用開発調査費用
5) 探鉱開発費用
6) 償却費
7) 鉱山から購入者までの輸送費
8) プロセス費
9) プロセス引当金
10) 鉱山再生費用
ON 州の税務上の優遇措置としては、以下のような
ものが挙げられる。
1) 新規鉱山または鉱山大規模拡大の非課税
新規鉱山を開山、または大規模な鉱山の拡大を行
う操業者は、商業的生産の開始後、最初の1,000万 C$
までの収益については、オープン後または拡大後3年
間の非課税措置を受けることができる。また、鉱山が
地方鉱山である場合は、非課税期間が3年より10年ま
1
で延長される。
2) 探鉱開発費用全額控除
3) 生産開始前開発費用全額控除
4) 新規鉱山の鉱山資産全額控除
5) 最高65%までのプロセス費控除
6) オンタリオ・フロースルー株式税額控除(Ontario
Focused Flow-Through Share Tax Credit:
OFFTS)
株式発行法人が株式の対価額相当まで探鉱開発費
用を投じることができるという合意に基づき発行する
株式であるフロースルー株式を購入した投資家は、こ
の株式への投資額の5%までを ON 州課税対象額より
控除することができる。連邦のフロースルー株式税額
控除(全額控除)制度と別個に、ON 州における課税
額に対し適用される。
② 最低法人税(Corporate Minimum Tax)
総収益が1億 C$ を超え、総資産額が5千万 C$ を超
える ON 州会社には、税引き前所得の2.7%相当の最
低法人税が課せられる。
(2010年7月1日までの課税年
については、総収益が1千万 C$ を超え、総資産額が
5百万 C$ を超える ON 州会社につき、4%の最低法人
税が課せられる。)
③ 資本税(Capital Tax)
ON 州では、2010年7月1日を持って資本税は廃止
された。
ダイヤモンド生産による収益から経費を控除したもので、その詳細は規則323/07に記載されている。
E CA は環境省環境承認アクセス・サービス・インテグレーション部(Ministry of Environment, Environmental
Approval Access and Service Integration Branch - EAASIB)の管轄下にある。
3
ダイヤモンドについては ON 州鉱業法のもとロイヤルティが課せられるため、この法律の適用対象外
2
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