新たな企業所得税納税申告表―より高い 柔軟性とより多くの情報

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China Tax and Business Advisory
新たな企業所得税納税申告表―より高い
柔軟性とより多くの情報開示
June 2015
Issue 27
概要
2014 年末、国家税務総局は新たな企業所得税年度納税申告表(新版居住者企業年度申告表)1 を公布しまし
た。当該申告表は実際所得に基づき企業所得税を申告納税する居住者企業が使用できます。近頃、国家税務
総局は、非居住者企業所得税予定納税および年度納税申告表(新版非居住者企業予定納税および年度申告
表)、並びに居住者企業予定納税申告表(新版居住者企業予定納税申告表)の 2 つの企業所得税申告表 2 の
改訂を公表しました(新版予定納税申告表と総称する)。
新版予定納税申告表は、2015 年 7 月 1 日から施行されます。内容を見ると、情報開示の点で新版予定納税申
告表は従来の申告表 3 より包括的であり、国家税務総局による情報収集強化の意図が見て取れます。一方
で、新版予定納税申告表では、税制上の優遇措置を記載し報告する附表が追加されています。これは、予定
納税で税金を納付し、その後に優遇税制の特典を申請し、年度納税申告の期間に還付を受ける従来の方式に
代わり、今後は納税者が予定納税において関連する優遇税制の特典を直接申請できるようになることを意味し
ます。この新たな方式により、納税者と税務当局の双方に更なる柔軟性と効率性がもたらされることが期待され
ます。
詳細
新版非居住者企業予定納税およ
び年度申告表
新版非居住者企業納税申告表に
は、以下の 3 種類の企業所得税
申告表が含まれます。本稿では、
各申告表の主要な変更点をご紹
介します。
1.
非居住者企業所得税予定
納税および年度申告表(実
際収入に基づき申告する非
居住者企業に適用)
この申告表は、年度申告表と予
定納税申告表の 2 部分から構成
されます。
1.1
新版非居住者企業所得税
年度納税申告表には、主表
と 9 部の附表が含まれます。
主表は従来の申告表のもの
と類似していますが、
ほとんどの附表(繰越欠損
金の附表を除く)は新規のも
のです。
特に、旧版申告表の「営業
収入および原価費用明細表」
は 3 部の個別の附表に分け
られ、より詳細な情報、例え
ば、その他業務収入/支出
および営業外収入/支出の
明細等が求められます。新
版申告表では、さらに納税
調整明細表および優遇税制
の状況を反映する特別の附
表が追加されています。さら
に、金融機関および特定の
石油企業は財務情報開示
のために追加で 3 部の附表
4 を提出することが求められ
ます。概して、新版非居住者
企業所得税年度納税申告
表の構成およびより厳格な
情報開示要求は、新版居住
者企業年度申告表の構想
理念と合致するものです。
1.2 新版非居住者企業所得税
予定納税申告表は四半期
毎の申告に使用され、主表
(ほとんど変更なし)と優遇
税制に関する新しい附表(新
版非居住者企業所得税年
度納税申告表における同名
の附表と類似)が含まれま
す。従来、非居住者企業が
予定納税の段階で優遇税制
の恩典を享受できるか明確
な規定がなかったことから、
この新たな優遇税制明細表
は納税者にとって歓迎すべ
き措置であると考えられます。
今では、納税者は予定納税
の段階で優遇税制を享受で
き、予定納税の段階で先に
納税した上で、年度確定申
告時に還付を申請する必要
がなくなりました。
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2.
非居住者企業所得税予定納税およ
び年度申告表(推定利益に基づき
申告する非居住者企業に適用)
この新しい申告表は、推定利益に基づき
企業所得税を申告する非居住者企業の
四半期申告と年度申告の双方に適用さ
れます。さらに、これは租税条約に従い
恒久的施設(PE)を構成するとは認めら
れない非居住者企業または国際運輸収
入の減免税待遇を享受する居住者企業
にも適用されます。換言すれば、これら
の非居住者企業は租税条約の恩典を享
受していても、税務当局に対し当該申告
表にて課税額がゼロであることを申告し、
関連する収入および費用の明細を開示
することが明示的に要求されます。
3.
企業所得税源泉徴収申告表
旧版企業所得税源泉徴収申告表と比べ
新版申告表に大きな変更はありません。
主要な変更点は、新版申告表は源泉徴
収申告と自主申告の両方に使用できるこ
とです。特に、源泉徴収義務者が源泉徴
収義務を履行していない場合に非居住
者企業が、当該申告表を使用し自主申
告することができます。例えば、ある二つ
の非居住者企業間で中国企業の持分を
譲渡する場合、譲受人が源泉徴収義務
者として中国にて企業所得税の源泉徴
収義務を履行していない場合、譲渡人は
当該申告表にて企業所得税の自主申告
を行うことができます。
新版居住者企業予定納税申告表
新版居住者企業予定納税申告表は主に
四半期毎申告または月次申告に使用さ
れ、以下の 3 種類の申告表により構成さ
れています。
1.
2.
3.
2
実際所得に基づき申告する居住者
企業に適用する所得税予定納税申
告表(居住者企業予定納税申告
表)、
推定利益に基づき申告する居住者
企業に適用する所得税予定納税お
よび年度納税申告表、および
企業所得税合算納税分支機構所
得税分配表(実際所得に基づき企
業所得税を納付する居住者企業の
本社および支社の所得税の配分表)
上記 2 及び 3 の変更点は比較的少ない
ため、上記 1 の変更点に焦点を絞り、内
容をご紹介します。
旧版と比較し、新版居住者企業予定納
税申告表には、課税所得の減額、固定
資産の加速度償却、税の減免に関連す
る非課税所得および優遇税額の詳細を
記載する 3 部の新しい附表が追加され
ています。新版非居住者企業所得税申
告表の変更と同様に、新版居住者企業
所得税申告表も居住者企業が予定納税
の段階で優遇税制の申請を認めており、
納税者にとって税金のキャッシュ・フロー
の改善が期待できます。
しかし、新版居住者企業予定納税申告
表の「非課税収入および課税基準類の
優遇により減免される課税所得額の明
細表」には「研究開発費特別控除」項目
が含まれていますが、これは現在有効な
通達 5 に従い年度納税申告にのみ利用
可能であるとされています。このため、今
のところ新版企業所得税予定納税申告
表と当該通達がどの様に関連するのか
不透明な点が残ります。予定納税にて研
究開発費の特別控除の利用を希望され
る納税者におかれては、所轄税務局とこ
の問題について協議されることをお勧め
します。
まとめ
これら 2 つの新版予定納税申告表の包
括的な情報開示要求により、税務当局に
よる日々の税収管理の強化が更に進む
と考えられます。これにより、税務当局は
収集した情報を基に納税者に対する申
告後の監督管理を強化し、各種の税務
データ分析を行うことが可能になります。
納税者にとり、新版申告表を利用するこ
とで予定納税の段階で優遇税制の申請
が可能になり、年度納税申告時の企業
所得税還付の手間が省かれ、キャッシ
ュ・フロー管理の柔軟性が高まることは
歓迎すべきことでしょう。
しかし、その一方でより多くの情報開示
が求められることで、納税者には企業所
得税納税申告、特に予定納税申告にお
ける業務上の負担が増すことが予想され
ます。既存の優遇税制の多くは、例えば
特定の環境保護プロジェクトに対する免
税等、プロジェクトベースで運用されてい
ます。納税者におかれては、各プロジェク
ト毎に個別の帳簿を管理し、費用を配分
することが重要です。予定納税における
この様な配分により、企業の財務・税務
担当者の業務上の負荷が増大すること
も考えられます。さらに、予定納税の段
階で優遇税制または租税条約の享受を
希望する納税者は、関連申請手続きを
完了させることも忘れてはなりません。最
近の国務院による行政簡素化および権
限移譲の動きを受けて、特定の税務上
の申請手続きが今後簡素化されると私ど
もでは理解しています。この点に関して、
私どもは詳細を順次ご紹介して参る所存
です。
新版申告表は 7 月に適用が開始されま
すが、今回示された包括的な変更を考慮
し、納税者におかれましては、早期に新
版申告表の内容に目を通し、申告準備
段階で不明点があれば所轄税務局と積
極的に意思疎通を図り、適宜に税務専門
家の助言を求めることをお勧めします。
注釈
1.
居住者企業年度申告表の詳細は、国家
税務総局公告 [2014] 63 号および私ど
もの News Flash [2014] Issue 29 をご
参照ください。
2.
詳細は、国家税務総局公告 [2015] 30
号および 31 号をご参照ください。
3.
旧版申告書の詳細は、国税函 [2008]
801 号、国家税務総局公告 [2014] 28
号および国家税務総局公告 [2014] 64
号をご参照ください。
4.
金融機関は、金融企業収入明細表およ
び支出明細表を記入し提出する必要が
あります。合作企業の形態を取る石油
企業は、探査開発費用年度明細表を記
入し提出する必要があります。実際はこ
の探査開発費用年度明細表は新たに
規定されたものではなく、従来から国税
発 [1995] 53 号で規定される年度申告
表とともに提出が義務付けられているも
のです。
5.
詳細は、国税発 [2008] 116 号をご参照
ください。
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China Tax and Business Advisory
New packages of CIT returns –
more flexibility vs. more
information disclosure
June 2015
Issue 27
In brief
After the amendment of annual Corporate Income Tax (CIT) filing returns for Tax Residence Enterprises
(TREs) paying CIT on an actual profit basis (annual CIT returns for TREs)1 in late 2014, the State
Administration of Taxation (SAT) recently released another two new packages of CIT returns2, the
provisional and annual CIT returns for Non-TREs and provisional CIT returns for TREs.
The two new packages of CIT returns will have to be used from 1 July 2015. Contents wise, they are more
comprehensive in terms of information disclosure than the previous version3, which demonstrates the
SAT’s intention to enhance tax administration via more information collection from CIT filing.
Meanwhile, the new provisional CIT filing returns for TREs and Non-TREs have both added schedules
for tax incentives, which means that going forward, instead of paying tax first in provisional filing and
then claiming the tax incentives and refund during the annual filing, taxpayers could directly claim the
relevant CIT incentives in provisional filing. This new model will no doubt bring more flexibility and
efficiency for both taxpayers and tax authorities.
In detail
CIT returns for Non-TREs’
annual and provisional
filing (the new Non-TRE
package)
The new Non-TRE package
contains the following three
sets of CIT returns. We
highlight the key changes of
each return in this News Flash.
1.
CIT returns for Non-TREs
paying CIT on an actual
profit basis
This set of returns is comprised
of two parts, one for annual
filing and the other for
provisional filing.
1.1
The new annual CIT
returns for Non-TREs
include one lead return
and nine schedules. While
the lead return is similar
to that in the previous
version, most of the
schedules (except the
schedule for tax loss carryforward) are new.
In particular, the previous
single schedule for
income, cost and expenses
is now split into three
separate schedules
requiring more detailed
information, e.g. the
breakdown for other
operating income / cost
and non-operating income
/ expense, etc. There are
also special schedules
dedicated to tax
adjustments and tax
incentives. In addition,
financial enterprises and
certain petroleum
enterprises are required to
file three more schedules4
to disclose their financial
details. The structure of
the new annual CIT
returns for Non-TREs and
the enhanced information
disclosure are basically in
line with the design of its
counterpart for TREs.
1.2 The new provisional
CIT returns for NonTREs are used for
quarterly filing. The
returns include one lead
return (which does not
have many changes) and
one new schedule on tax
incentives (which is
similar to the annual CIT
return for Non-TREs). The
new schedule on tax
incentives is a welcome
breakthrough as
previously it was not clear
whether Non-TREs can
claim tax preferential
treatments in provisional
filing. Now the new
schedule indicates that
taxpayers can claim the
relevant tax incentives at
the provisional filing stage,
rather than paying
additional tax in advance
and then waiting till the
annual filing to claim tax
refund.
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2.
CIT return for Non-TREs paying
CIT on a deemed profit basis
This new return applies to both
quarterly and annual filing for NonTREs which file CIT on a deemed
profit basis. In addition, it also applies
to Non-TREs which do not constitute a
permanent establishment in China
according to relevant tax treaties or
those which enjoy treaty benefit on
international transportation income.
In other words, these Non-TREs are
now explicitly required to lodge the nil
filing return and disclose their
relevant income / expense breakdown,
even though they have already filed a
record with tax authorities on the
treaty protection.
3.
Withholding income tax (WHT)
return
The WHT return does not contain
many changes as compared with the
previous version. The key change is
that the WHT return could now be
used for both withholding and selfreporting purposes. In particular,
Non-TREs could use this return for tax
filing under the circumstance that the
withholding agent fails to withhold tax
for them. For example, for the equity
transfer of a Chinese company
between two Non-TREs, if the
transferee as the withholding agent
has not withheld CIT, the transferor
can file CIT with this new WHT
return.
CIT returns for TREs’
provisional filing (the new TRE
provisional package)
The new TRE provisional package is
mainly used for TREs’ quarterly or
monthly filing. It consists of the
following three parts:
1.
2.
3.
Provisional CIT returns for TREs
paying CIT on an actual profit
basis (provisional CIT returns for
TREs),
Provisional and annual CIT
return for TREs paying CIT on a
deemed profit basis, and
CIT allocation form for
headquarters and branches for
TREs paying CIT on an actual
profit basis.
As the changes on the last two sets of
returns are not critical, we would
5
mainly highlight the changes on the
first part, i.e. provisional CIT returns
for TREs.
Compared with its previous
counterpart, the new provisional CIT
returns for TREs contain three new
schedules to capture the details on
non-taxable income and tax incentives
in relation to the reduction of taxable
income, accelerated depreciation of
fixed assets, and tax reduction /
exemption respectively. Just like the
changes observed in the new Non-TRE
package, the new provisional CIT
returns for TREs also allow TREs to
claim tax preferential treatments in
provisional filing, which may help
taxpayers to improve their tax cash
flow.
However, it is worth noting that the
new incentive schedule contains an
item for ‘R&D expense super
deduction’, which is stipulated as only
available for annual CIT filing
according to a still valid circular5. It is
uncertain how to reconcile the new
provisional CIT returns with this
circular. Taxpayers which wish to
enjoy R&D expense super deduction in
provisional filing are suggested to
communicate with their in-charge tax
bureau to clarify this issue.
The takeaway
The comprehensive information
disclosure requirement of these two
new packages of CIT returns will
facilitate daily tax administration by
the tax authorities. They can use the
collected information to enhance their
post-filing supervision on taxpayers
and run various tax data analysis.
For taxpayers, on one hand, it is good
to see that the new packages allow
them to claim tax preferential
treatment in provisional filing, which
helps reduce their burden to apply for
CIT refund in annual filing and
provides flexibility for cash flow
management.
On the other hand, the increased level
of disclosure means that taxpayers
need to put more effort in CIT filing,
especially in provisional filing. For
instance, many of the existing tax
incentives are on a project basis, e.g.
tax exemption for certain
environmental protection projects. It
is important for taxpayers to prepare
separate accounting books for and
allocate expenses among various
projects. This allocation on provisional
filing may create additional work for
finance / tax personnel. In addition,
taxpayers which wish to claim tax
incentives or treaty protection at the
provisional filing stage should also
bear in mind to complete the relevant
record-filing procedures. On a
separate issue, we are also given to
understand that the record-filing
procedures for certain tax matters may
be streamlined in the near future in
response to the State Council’s call for
relaxation on administrative control.
Please stay tuned.
The new packages of CIT returns will
come into use in July. In light of the
significant changes brought by the
new packages, we suggest relevant
taxpayers getting familiar with the
new CIT returns as early as possible,
make active communication with incharge tax authorities when
encountering difficulties in preparing
the returns and seek tax advisors’
assistance where needed.
Endnote
1.
Please refer to SAT Public Notice
[2014] No.63 and our News Flash
[2014] Issue 29 for more details.
2.
SAT Public Notice [2015] No.30 and
SAT Public Notice [2015] No.31
3.
Please refer to Guoshuihan [2008]
No.801, SAT Public Notice [2014]
No.28 and SAT Public Notice [2014]
No.64 for the previous CIT returns.
4.
There are two schedules for financial
enterprises to report the breakdown
of income and cost, and one schedule
for petroleum enterprises
incorporated in the form of
cooperative joint venture to report
the breakdown of exploration and
development expenses. Actually this
petroleum schedule is not brand new
as previously such enterprises should
also file it together with the annual
filing package pursuant to Guoshuifa
[1995] No.53.
5.
Please refer to Guoshuifa [2008]
No.116.
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