Vol.147 音楽好きな層にターゲットを絞り満足度の高い空間づくりに注力定期的にコンサートを開催入居者の楽しみの一つに医療法人おひさま会は兵庫県神戸市、西宮市、神奈川県足柄上郡、茅ヶ崎市の４カ所で在宅医療を専門とした診療所を展開。今年５月１日には、茅ヶ崎市の診療所に隣接するかたちで、住宅型有料老人ホーム「ラ・メゾン・ド・ソレイユ」（室）をオープンした。特徴の一つは「音楽を楽しめる生活」が送れること。劇団四季出身で、俳優としても活躍する瀧澤行則氏を専属音楽プロデューサーとして迎え、多いときは週に３〜４回、おやつや夕食の時間にコンサートを開く。そのため、レストランにはピアノとドラムセットを用意。ミュージカル音楽から民謡、演歌まで幅広い演目で、入居者を楽しませる。「回を重ねるごとに、皆さんの表情が明るくなり、コンサートを楽しみにされているのが伝わってきます」と、瀧澤氏は笑みを見せる。音楽を聴いてもらうだけではなく、一緒に「東京音頭」を踊るなど、演奏する側と聴く側が一体感を持って楽しめるような工夫も施している。さらに、廊下やリビングに 8 最新介護経営介護ビジョン　2015.9 月号　(C) 2015 日本医療企画. 40 レストランにはピアノやドラムセットが配置され、ここでコンサートなどを開く在宅医療を専門とする医療法人おひさま会が初めて手がけた住宅型有料老人ホーム「ラ・メゾン・ド・ソレイユ」は、音楽を楽しめる空間づくりに力を入れたつくりとなっている。撮影：下山展弘提案住まいの医療法人おひさま会ラ・メゾン・ド・ソレイユ A B D E C ［施設DATA ］ ●所在地：神奈川県茅ヶ崎市高田 5 - 4 - 36 ●電話：0120 - 11 - 6226 ●類型：住宅型有料老人ホーム ●建築構造：鉄筋コンクリート3 階建 ●延床面積：532 . 49㎡ F A 楽屋をイメージした廊下には、ミュージカルのポスターを掲示 B 居室はあえて広さを制限し、積極的に室外に出て交流してもらうことを狙う C コンシェルジュ（写真左から、藤田美紀氏、早川裕 G 美氏、辻田美佐氏）は、入居者が楽しく過ごせるように話し相手になったりイベントを企画したりする D 料理はシェフがメニューを考え、栄養士が栄養バランスをチェック E ラウンジは落ち着いた雰囲気だ F コミュニケーション・サポートシステム「COMUOON（コミューン）」を導入。聴力の低下による聴こえづらさをカバーし、周囲とのコミュニケーションを支える G 2階に設けられた理美容室。外部から理容師・美容師を招く H 外の H 景色を見ながらくつろげるテラス瀧澤行則プロデューサーはミュージカルを中心としたポスターを掲示。それにより気分を盛り上げ、さらに入居者同士の会話の糸口にもなっている。入居者同士をつなげる役割は、音楽だけではなく、コンシェルジュも果たす。彼女たちは、介護は一切行わず、入居者に楽しみを提供する。医療法人おひさま会事務長の辻田満尋氏は、「入居者さんに声をかけて一緒にお茶を飲む、歌の会を開くなど、楽しみを提供するとと (C) 2015 日本医療企画. もに入居者さん同士をつなぐ役割を果たしています」と説明する。入居者が楽しめる施設づくりに注力している狙いを辻田氏はこう話す。「在宅医療を手がけるなかで、数多くの施設を訪問しましたが、家族が建物の見栄えを重視するのに対し、入居されるご本人は生活を楽しみたいという思いを持っていました。そこで音楽や食事などにこだわったのです」ワインセラーを完備し、炭火焼きの魚料理や有機野菜を使ったサラダなどを提供するのも、その思いの表れだ。そうした点に魅力を感じた高齢者からの問い合わせもあり、着実にニーズをつかんでいるようだ。 9　CARE VISION SEP.2015　