今月の ことば 人間ならば 人間らしさを持たねばならぬ。 人間らしさの根本は 恩を知ることである。 2010 年も、残り 1 ヶ月となりました。今年も世界中で様々な出来事がありましたが、皆さんにと ってどのようなニュースが心に残っているでしょうか。 12 月 8 日は、お釈迦様がさとりを開かれた成道の日といわれています。今私たちの“いのち”に ついて考えてみると、私の“いのち”は、両親から恵まれた“いのち”であることに気づくでしょ う。そして、その両親の“いのち”はさらにその両親がいてくださったからこそあるのであり、わ たしの“いのち”は限りない過去からのつながりによって恵まれた“いのち”であることがわかり ます。さらに、わたしの“いのち”は、両親から恵まれただけではなく、動物や植物・光や空気や 水など様々な条件が整い、多くの恵みに支えられて、今日まで生かされて生きているのです。この ように考えてみると、わたしの“いのち”は、他のものと無関係にあるのではなく、様々なつなが りの中にあることがわかります。このことをお釈迦様は、「縁起」という言葉でお示しくださいま した。 「縁起」とは、自分の“いのち”をはじめ、この世の中をあるがままに眺めてみると、何ひとつ として関係性を持たないで成立しているものはなく、すべてはつながりあって支え合いながら存在 しているということです。お釈迦様は、29 歳で出家をされ、35 歳の 12 月 8 日の明けの明星が輝く 時に、ガヤという町の大きな菩提樹の木の下でさとりを開かれ、仏陀(Buddha=目覚めた者、悟っ た者)と成られました。この日を、お釈迦様が求められた道(さとりへの道)が完成したということ で「成道」といいます。そして、それ以来、お釈迦様は、釈迦牟尼世尊(釈迦族の聖者の意味、略 して釈尊)と呼ばれるようになりました。 今月のことばは、人間が人間らしくあることは、恩を知ることであると示されています。私たち 独りひとりの“いのち”は、量り知ることの出来ない大きなつながりの中で支えられて生かされて 生きています。恩を知るということは、その様々な恵みや目には見えない大きなはたらきに支えら れた“いのち”に気づき、“ありがとう”“お陰様で”という気持ちをもつということです。改め て私たちは、お釈迦様の「縁起」のみ教えに耳を傾け、独りひとりの“いのち”が互いに関係性を もって支え合いながら今日まで生かされていることに感謝し、そして、校訓の「感恩」のこころを 思い出して今年 1 年を終わりましょう。
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