神奈川歯科大学大学院 横浜研修センター 高度先進口腔医学講座 大学院セミナー開催のお知らせ 「咀嚼機能習得における臨界期は存在するのか?」 ―成長期における咀嚼機能の発達と学習のメカニズム解明に向けた動物実験によるアプローチ- 講師: 吉 田 教 明 教授 長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座 歯科矯正学分野 教授 神奈川歯科大学大学院 高度先進口腔医学講座 歯科矯正学分野 客員教授 <日時> 2015 年 4 月 28 日(火) 18:00~ <会場> 神奈川歯科大学附属 横浜クリニック内 7F 大会議室 近年、口腔疾患と全身疾患との密接な関連性が明らかにされつつある。高齢化が進むに従い、ますます 歯科医療が全身の健康に寄与することを裏付ける科学的根拠が求められることになる。歯学が医学から独 立して存在する理由をより明確にするのは、咬合を取り扱う学問だというところにある。噛めない子、う まく飲み込めない子が増えていると言われている。発育期において「よく噛む」訓練ができていないため、 口腔器官の運動ならびに感覚機能の発達に基づく摂食・嚥下機能が十分には獲得されない。離乳後の食べ 物の軟食化が原因の一つに挙げられているが、厳密な意味での科学的エビデンスに裏付けられている訳で はない。 離乳期以降の「食べる」機能は先天的にプログラミングされたものではなく、学習により獲得されるも のである。吸啜運動から咀嚼運動への移行後は、様々な性状の食物摂取による口腔感覚受容器への刺激は、 中枢の神経回路網にフィードバックされる。このことにより、神経回路の組み換えが盛んに行われ、一連 の学習過程を経て、リズミカルな咀嚼運動が脳幹部にプログラミングされると考えられている。 われわれ研究グループは、マウスの下顎運動と筋電図の同時計測を行い、咀嚼運動の正常像と異常像の 特徴を各パラメータに分けて解析し、描出する試みを行ってきた。ここでは、食べ物の軟食化の影響を受 ける、液状飼料飼育マウスにおいて、食性の変化が咀嚼リズムおよびパターンに及ぼす影響を正常マウス と比較し、咀嚼機能発達の評価を行った。その結果、よく噛むという行為、すなわち適切な感覚刺激が中 枢神経系に伝えられることが、咀嚼機能の発達に不可欠であることがわかった。さらに、咀嚼機能習得の 最適な時期である感受性期あるいは臨界期が存在するのか、臨界期をすぎた機能の Catch-up についても検 討を加えたので報告したい。 *高度先進口腔医学講座では、大学院評価の一環として平成 25 年より大学院セミナーを定期的に開催しま す。大学院生、医局員、研修医の先生方のご参加お願いいたします。 研修コード 2804 発語・摂食・嚥下障害 2.0 単位
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