Analysis Systems BCM® 体組成分析装置 - より良い生命予後のための革新的技術 - 循環動態に優しい透析を目指して 近年の透析療法は質と効率面において目ざましい進歩 を遂げているにも拘わらず、心血管疾患は依然として 透析患者の最大の死亡原因となっています。 多くの透析患者では体液過剰が認められ、主要な死亡 原因の1つとなっています。降圧治療と体液バランス の是正により左室肥大への進展を抑え、生命予後の改 善につながる可能性が示されています1)。 フレゼニウス メディカル ケアは世界の腎臓専門医と共 同で透析患者の心血管疾患の罹患率と死亡率の低下に 貢献できるよう取り組んで参りました。 “ 循環動態に優しい透析を目指して ”というコンセプト の下に、フレゼニウス メディカル ケアは、独自の、透 析療法における卓越した技術を持つ製品を提供して参 りました。 “ 循環動態に優しい透析 ”の実現をさらに前進させるた め、このたび BCM® 体組成分析装置をご紹介させて 頂くことになりました。 1) 2 左室肥大は透析患者の70%に存在する。 Levin A, Lewis M, et al: Prevalent left ventricular hypertrophy in the predialysis population: identifying opportunities for intervention. Am J Kidney Dis 27 (3): 347-354, 1996 BCM® 体組成分析装置 体液バランスを適正に維持することは臨床的に大き さらに、BCM 体組成分析装置は、体液状態と血 な課題となっており、多くの併存疾患を有する患者 圧との関連性を調べる上でも有用であり、結果とし では特に重要です。しかし、体液状態の適切な評価 て、除水面での透析処方や降圧剤処方をよりいっそ は未だに限界がある状態のままです。 う適正化できます。 患者数の増加とともに腎臓専門医の時間的制約は増 高精度な方法に基づいた測定は簡便に行え、侵襲性 え、透析医療の質の向上にも制限を与えかねません。 は極めて低く、わずか 2 分程で結果が得られます。 BCM® 体組成分析装置は、簡便かつ客観的な方法で BCM® 体組成分析装置は、腎代替療法の有無に拘わ 患者個々の体液状態と体組成を測定する装置です。 らず、保存期、末期腎不全および腎移植を含む慢性 下に示す臨床的関連パラメータを手軽に測定するこ 腎臓病の各段階の患者に適用できます。 ® とができます。 * 体液状態の定量化 : - 体液過剰・不足量(OH:overhydration) - 総体液量(TBW:total body water) * 体組成の評価: - 除脂肪組織量(LTM:lean tissue mass) - 脂肪組織量(ATM:adipose tissue mass) 3 BCM® 体組成分析装置 バイオインピーダンス法 BCM® 体組成分析装置には最新のバイオインピーダ ンス法が採用されています。5kHzから1,000kHzま での異なる50の周波数で総体液量(TBW: total body water)と細胞外液量(ECW: extracellular water)に相 当する電気抵抗を算出します。 高周波電流は体液全体を通過する一方で、細胞膜を 通過できない低周波電流は細胞外液のみを通過しま す。 臨床的な関連パラメータを得るため、BCM 体組成 ® 上記の Cole – Cole プロッティングにより、TBW と ECW に相 当する電気抵抗を算出します。 分析装置では2つの最新の生理学的モデルを採用して います。 TBW ECW 体液モデル * 体液モデル2):細胞懸濁液での電気抵抗からTBW、 ICW ECWおよび細胞内液量(ICW: intracellular water ) 脂質 を算出するモデル。 蛋白質 体組成モデル * 体組成モデル3):ECWとTBWから算出した体液 過剰・不足量(OH)、除脂肪組織量(LTM)お よび脂肪組織量(ATM)から成るモデル(3コン パートメントモデル)。 体液過剰・不足量 (OH) 臨床上関連する パラメーター 脂肪組織量 (AT M ) 除脂肪組織量 (LT M ) BCM® 体組成分析装置では、上記の図に示す 3 つのステップ によって最終出力パラメータとして OH、LTM および ATM を 算出します。 体液過剰・不足量 OH 骨・ミネラル 除脂肪量 (FFM) 皮膚 , 臓器 , 必須脂質 筋肉 脂肪水 脂肪量 (Fat) 2) Moissl UM, Fuller NJ, et al: Body fluid volume determination via body composition spectroscopy in health and disease. Physiol Meas. 27: 921-933, 2006 3) Chamney PW, Fuller NJ, et al: A whole-body model to distinguish excess fluid from hydration of major body tissues. Am J Clin Nutr 85: 80-89, 2007 4 脂質 除脂肪 組織量 (LTM) LTM 脂肪組織量 (ATM) ATM 一般の体成分分析装置では、脂肪分を除いた組織量(FFM: fat free mass)と脂肪量(Fat mass)は算出されますが、どの技術に おいても FFM から OH を分離して算出してはいません。BCM® 体組成分析装置は、独自の体組成分析技術に基づき、第 3 のコン パートメントとしての OH を算出する装置です。またこの図によ り、ATM と脂肪量(Fat mass)の違いが分かります。 より良い生命予後のための革新的技術 透析量の評価のための “V(尿素分布容積)” の算出 * BCM® 体 組 成 分 析 装 置 は、透 析 量(Kt/V) のVの算出に活用できます。 BCM® 体組成分析装置では総体液量(TBW)を 算出します。このことはゴールドスタンダードと なっている重水素希釈法との比較により検証され ています 4)。 TBW は尿素分布容積(V)に相当します。キネティッ クモデルや身体計測での計算に費やす時間を省く ことを可能とします。 BCM® 体組成分析装置で算出した総体液量(TBW)は、ゴー ルドスタンダードとなっている重水素希釈法との比較から、 その精度の高さが検証されています。 BCM® 体組成分析装置の精度はどのようにし て検証されているのか? BCM® 体組成分析装置による全ての出力パラメータ は、500 人以上の透析患者と健常者を対象とした種々 の臨床研究において、ゴールドスタンダードとなっ ている方法と比較し、その精度の高さが検証されて います。 測定項目 参照法 細胞外液量(ECW) 臭化ナトリウム希釈法 4) 細胞内液量(ICW) 総体液量(TBW) 体内総カリウム測定法 (TBK)4) 重水素希釈法 4) 除脂肪組織量(LTM) 二重エネルギー X 線吸収法 (DEXA, DXA)4) 脂肪組織量(ATM) 体液過剰・不足量 (OH) 4コンパートメントモデル 3, 4)、 DEXA 4)、空気プレチスモグ ラフィ 4) 血液透析の除水量と OH の 比較 4) 4) Wabel P, Jirka T, et al: Importance of whole-body bioimpedance spectroscopy for the management of fluid balance. Blood Purif. 27: 75-80, 2009 5 BCM® 体組成分析装置 適用と操作 BCM® 体組成分析装置は慢性腎臓病の保存期から末 期腎不全および腎移植の患者まであらゆる臨床の場 面に活用できます 5)。操作は下記のステップで単純明 快に行えます。 * 患者を仰向けに寝かせ、左半身あるいは右半身 のどちらか同じ側の手足に BCM® 電極を取り付 けます。 * 電極接続ケーブルを取り付けます。 * 患者の性別、体重、身長および年齢をデータ入 力します。 * 測定を開始し、約 2 分後に結果が表 示されます。 * 測定結果が BCM® 患者カードに 保存されます。 * 測定データは BCM® 患者カー ドを介してパソコンに転送でき、 FMT 体液管理ツール(専用解 析ソフトウエア/オプション)でより詳細に 解析できます。 患者データの解析と管理 さらに、別途測定し本装置に入力した体重と収縮期 血圧が表示され、血圧に対する OH の影響が判別で FMT 体液管理ツールは BCM 体組成分析装置と連 きます。結果として、体組成の変化を容易に観察でき、 動して操作でき、パソコンに簡単にインストールで これらのパラメータが OH に対してどの程度影響し きます。 ているかを解析します。 ® このソフトウエアにより患者の体液状態と体組成の 概略が迅速に確認でき、また各測定項目につき透析 患者や健常者の参照範囲と照合できます。 体組成プロッティング FMT 体液管理ツールでは、体液過剰・不足量(OH)、 除脂肪組織量(LTM)および脂肪組織量(ATM)の 経時変化を表示します。 体組成と血圧の経時変化 6 より良い生命予後のための革新的技術 体液分析の参照範囲 ています。しかしながら、多くの患者においては併 存疾患によって大きく左右されます 6)。例えば、血管 系疾患によって高血圧を呈する患者もいれば 7)、一方 では、顕著な体液過剰にもかかわらず正常血圧もし くは低血圧の患者が存在します 8)。 体液不足 収縮期血圧(BP sys)[mmHg] 体液過剰がしばしば高血圧につながることが知られ 体液過剰 Dx N 高血圧 透析患者の 参照範囲 健常者の 参照範囲 低血圧 右図は体液過剰・不足量(OH)と収縮期血圧との関 係を表しています。 患者の測定結果と対照のそれとを比較することで、 OH と収縮期血圧の2つの指標が1つのグラフ上で見られるように なっています-体液分析参照図。 患者が異常な体液状態にあるかどうかを容易に確認 できます。 BCM 右図の参照範囲 N(健常者)は、数多くの健常者の 測定データにより決定されており、また参照範囲の N と Dx(透析患者)からなる範囲は、管理の良好な 患者の収縮期血圧と体液過剰・不足量の範囲を示し て い ま す(Dx は 収 縮 期 血 圧 150mmHg 以 下、OH 2.5L 以下)。 また、透析治療前の血液透析患者を BCM® 体組成 ® 体組成分析装置は、 ••• 患者個々の体液過剰・不足量を測定できます。 ••• 血圧と体液状態の管理に有用です。 ••• 栄養評価のための基礎データを提供します。 ••• 透析量(Kt/V )の計算に必要なV(尿素分布容積) を算出します。 ••• 測定は低侵襲性で、迅速かつ容易です。 分析装置で測定した結果、50% 近くの患者が N+Dx の範囲に入る、と言われています 9)。 また、この範囲に OH または血圧が入っていない場合、 患者の生存率が有意に低下するとの報告があります 4,10,11) 。このグラフに血圧の実測値と BCM® 体組成 分析装置よる体液過剰・不足量をプロットすること で、効果的な透析患者の体液管理のための判断材料 とすることが出来ます。 5) Wizemann V, Wabel P, et al: Differences in hydration status between healthy, pre-ESRD, Dx and Tx subgroups can be distinguished clearly with bioimpedance spectroscopy. Poster presentation ERA-EDTA, 2007 6) Jones CH, Worth DP, et al: The relationship between serum albumin and hydration status in hemodialysis patients. J Ren Nutr. 12 (4) October: 209-212, 2002 7) Levin NW: What clinical insights from the early days of dialysis are being overlooked today? Seminars in Dialysis 18 (1): 13-14, 2005 8) Canella G, Messa P, et al: Inadequate diagnosis and therapy of arterial hypertension as causes of left ventricular hypertrophy in uremic dialysis patients. Kidney Int 58: 260-268, 2000 9) Wabel P, Wizemann V, et al: Towards improved cardiovascular management: the necessity of combining blood pressure and fluid overload. Nephrol Dial Transplant 23: 2965-2971, 2008 10) Wizemann V, Marcelli D, et al: The mortality risk of overhydration in haemodialysis patients. Nephrol Dial Transplant 24: 1574–1579, 2009 11) Lacson Jr, E. Lazarus JM: The association between blood pressure and mortality in ESRD—Not different from the general population? Semin in Dial 20(6): 510-517, 2007 *本製品・カタログに関わる著作権、商標等の知的財 産 権 は フレゼニウス メディカル ケア ジャパン株式会社に帰属します。 7 測定項目 製品 主要なパラメータ 単位 体液過剰・不足量(OH)*(透析前/後) [L] 製品名 品番 BCM® 体組成分析装置 除脂肪組織指標(LTI) [kg/m2] BCM® 電極(10 回測定分、40 枚) 脂肪組織指標(FTI) [kg/m2] 電極接続ケーブル、国別プラグ付 AC 総体液量(TBW)* H022011 アダプター、テストボックス (尿素分布容積 V) [L] * 以下のオプション付 細胞外液量(ECW)* [L] FMT 体液管理ツール(ソフトウェア CD-ROM、 細胞内液量(ICW)* [L] 単一ユーザーライセンス)、外付け PC カード ECW/ICW 比率 - リーダー(USB2.0)、BCM® 患者カード 10 枚 除脂肪組織量(LTM) [kg] および [%] 別売り 脂肪量(Fat mass) [kg] および [%] FMT 体液管理ツール(ソフトウェア CD-ROM、 脂肪組織量(ATM) [kg] 単一ユーザーライセンス) 体細胞量(BCM) [kg] BCM M431701 患者カード 10 枚 M348601 BCM® 電極(10 回測定分、40 枚) M351431 ® *注)体液過剰・不足量(OH):体水分の過不足量 BCM 総体液量(TBW):体内の総水分量 テストボックス M390441 細胞外液量(ECW):細胞外の水分量 電極接続ケーブル M351351 細胞内液量(ICW):細胞内の水分量 外付け PC カードリーダー(USB2.0) M374851 国別プラグ付 AC アダプター M390461 キャリーケース M401791 ® 電極 ミニ(10 回測定分、40 枚) JP416561 測定時間 約 2 分間 データ出力 LC ディスプレイ、BCM® 患者カードへの書き込み 測定周波数範囲 5-1,000kHz 間(双方を含む)の 50 個の異なる周波数 バッテリー リチウム - イオンバッテリー、充電:5 時間使用分 AC アダプター 100-240V AC; 50/60 Hz 操作環境条件 温度 0-35℃、湿度 30-70% 寸法 16.8 x 11.2 x 27.2 cm(W x H x D), 2kg(重量) 製品使用言語 英語、ドイツ語 認証番号 / クラス分類 225AABZX00076000(BCM® 体組成分析装置)/ 管理医療機器 届出番号 / クラス分類 13B1X00058000001(BCM® 電極および BCM® 電極 ミニ)/ 一般医療機器 ・技術仕様は変更することがあります。 製造販売業者:フレゼニウス メディカル ケア ジャパン株式会社 〒105-0001 東京都港区虎ノ門五丁目13番1号 Tel: (03)6809-1561 Fax: (03)6809-1568 販 売 業 者:日機装株式会社 〒150-6022 東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号 Tel: (03)3443-3751 Fax: (03)3473-4965 JP29610/02(ns.04.14) © Copyright 2013 Fresenius Medical Care Deutschland GmbH and Japan K.K. 製品情報
© Copyright 2024 ExpyDoc