道路を賢く使う取組 - 建設マネジメント技術

国土幹線道路部会 高速道路を中心とした
「道路を賢く使う取組」の基本方針について
しば た
よし お
国土交通省 道路局 企画課 道路経済調査室 課長補佐 柴田 芳雄
やすたに
さとる
課長補佐 安谷 覚
よ だ
ひでのり
高速道路課 企画専門官 依田 秀則
1
表― 1 国土幹線道路部会 委員名簿
はじめに
◎部会長 ○部会長代理(50音順,敬称略)
アマ ノ
マサ シ
天野 真志
社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路
部会(部会長:寺島実郎 一般財団法人日本総合
研究所理事長,委員名簿は表― 1 参照)は,2013
(平成25)年 6 月25日に国土の幹線となる道路の
主要な部分を構成する高速道路の維持管理・更新
のあり方,料金制度などについて中間答申を公表
した。
イ
イ
シゲユキ
井伊 重之
イエ ダ
ヒトシ
○ 家田 仁
イシ ダ
ハルオ
オオグシ
ヨウ コ
オオ タ
カズヒロ
石田 東生
大串 葉子
太田 和博
オ バタ
ジユンコ
コ ダマ
ヒラオ
タケウチ
ケンゾウ
テラシマ
ジツロウ
ネ モト
トシノリ
ハ トウ
エイジ
小幡 純子
児玉 平生
竹内 健蔵
読売新聞東京本社論説委員
産経新聞東京本社論説委員
東京大学・政策研究大学院大学教授
筑波大学大学院教授
新潟大学経済学部准教授
専修大学商学部教授
上智大学法科大学院教授
毎日新聞社紙面審査委員
東京女子大学現代教養学部国際社会学科教授
◎ 寺島 実郎 (一財)日本総合研究所理事長
その後,引き続き,高速道路ネットワークの強
化・利用のあり方や大都市圏の料金体系に関する
施策の具体化に向けて,議論を深めてきたところ
であり,具体的には,計 8 回の部会を開催し,関
係団体へのヒアリング等を行った。
根本 敏則
羽藤 英二
ヤマシタ
アツシ
山下 淳
一橋大学大学院教授
東京大学大学院教授
関西学院大学法学部教授
り,渋滞や事故等の社会的な損失が生じている。
財政的・空間的な制約下においてこれに対応す
その議論を踏まえ,部会として,2015(平成
るに当たっては,今ある道路の運用改善や小規模
27)年 1 月27日に『高速道路を中心とした「道路
な改良等により,道路ネットワーク全体としてそ
を賢く使う取組」の基本方針』(以下「基本方針」
の機能を時間的・空間的に最大限に発揮させる
という)をとりまとめていただいた。本稿におい
ては,基本方針の主なポイントを紹介する。
2
「賢く使う取組」が重要である。
道路を賢く使う取組を進めるに当たっては,我
が国が直面する課題に対する今後の国土づくりの
道路をより賢く使うための取組
考え方を踏まえた上で,道路における課題を整理
し,取り組むべき内容を検討していく必要があ
高速道路ネットワークの構築が進展する一方
る。
で,これまでに整備され,すでに利用されている
この考え方を基本として,道路を賢く使う取組
道路の機能が十分に発揮されていないこともあ
について,以下のとおり部会としての見解をとり
88
建設マネジメント技術 2015 年
5 月号
まとめていただいた。
期待されている。
⑴ 賢く使う取組
2道路の使い方の課題
1目指すべき国土の姿を踏まえた取り組むべき道
路政策
「国土のグランドデザイン2050」
(2014(平成
26)年 7 月公表)等において,国土づくりの方向
性として,
これからの道路政策においては,必要な道路の
機能強化を図るとともに,その使い方を徹底的に
洗い直し,これまでにない賢い利用を実現する必
要がある。
しかしながら,我が国の道路は,他国と比較し
・都市の機能を一定のエリアに集約化し,各地域
て車線数が少ないなど,依然としてネットワーク
をネットワーク化する「コンパクト+ネットワ
が貧弱であり,加えて,そのネットワークを十分
ーク」により,新しい集積を形成し,国全体の
に使い切れていない。
生産性を向上
・国と地方の連携により,戦略的に各地域の成長
具体的には,利用者の視点から見れば,走行性
や安全性,使いやすさ,地域との連携について,
産業を育成しつつ,大量生産・大量消費モデル
以下のような課題がある。
からの脱却を図り,地域の産業競争力を強化
① 円滑に走行できない(走行性に関する課題)
・災害発生時に,人命を守り,致命的なダメージ
・局所的な容量不足や交通需要の偏在による渋滞
を受けない国土を構築
・総 合的・一体的なインフラマネジメントによ
り,戦略的に維持管理・更新を実施
との考え方が示されている。
道路は,こうした新しい国土形成を着実に進め
る上で,拠点のコンパクト化を支えるとともに,
圏域間や拠点内外の連携を促進するなど,重要な
役割を果たす。
この際,ICTも積極的に活用しつつ,経済・社
会システムの基盤である道路の高度化,高質化を
進めることで,
① 生産・製造,加工,流通,販売など,様々な
分野で新たな産業のプラットフォームを提供
し,雇用を創出する
② 鉄道,航空,船舶などの各交通モードを結節
により速度が低下
② 安全に利用できない(安全性に関する課題)
・自宅周辺で歩行者,自転車の事故が多発
・高速道路における立入りや逆走などの誤進入の
発生
・高速道路の暫定2車線区間などにおける事故の
発生
③ 使いにくい(使いやすさに関する課題)
・休憩施設やガソリンスタンドの不足
④ 地域へのアクセスが不十分(地域との連携に
関する課題)
・高速道路の出入口が少ないことにより,地域に
よってはうまく高速道路を利用できない
3高速道路を中心とした「道路を賢く使う取組」
の基本的な考え方
する道路の機能強化により,道路が他の交通モ
円滑,安全,快適で,地域の活力向上に資する
ードと賢く連携することで,交通全体をうまく
道路交通サービスを実現し,経済・社会の発展に
機能させ,これまで以上の人流・物流の活性化
寄与するためには,一般道路と比較して安全で環
を促す
境にやさしい高速道路の交通量の分担率を,適切
③ 地域の重層的なネットワーク化を進めること
に引き上げることが最も有効であり(図― 1 ),
により,平常時,災害時を問わず,世界最高レ
これにより,生活道路も含めた道路ネットワーク
ベルの安全・安心な道路マネジメントを実現す
全体の最適利用の実現を図るべきである。
る
このため,ICTや料金施策などを活用しつつ,
などにより,急速な変化に対し,我が国の経済・
特に高速道路のパフォーマンスを向上するための
社会システムのイノベーションを創出することが
運用改善や小規模な改良等を中心に,賢く使う取
建設マネジメント技術 2015 年
5 月号 89
○ 欧米に比べて低い日本の高速道路の分担率
○ 分担率を欧米並みの約30%に引き上げることで,死傷者,消費燃料や渋滞が減少
【台キロ】0%
20%
日本
(現在) 16%
40%
60%
80%
100%
総走行台キロ:約7,000億台キロ
59%
25%
高速道路の分担率が30%の場合
※1)
死 者
600人/年 減
負傷者
20万人/年 減
消費燃料
400万kℓ/年 減
H24 約4,400人
30%
アメリカ
33%
ドイツ
31%
フランス
30%
現在
日本
(将来)
60%
10%
H24 約80万人
H24 約8,000万㎘
総延長:約120万キロ
日本
(現在) 15%
(四国4県において 1 年間で使われる
自動車燃料量を上回る)
※4)
幹線道路
H24 約50億時間
7億時間/年 減
(経済効果にすると約1.5兆円/年増の効果)
高速道路の性能が高い例
84%
高速道路
出典)
日 本 : 道路交通センサス,
自動車輸送統計年報
(H22)
アメリカ: Highway Statistics 2011
(プエルトリコを除く)
フランス:Faits et Chiffres
ド イ ツ:Verkehr in Zahlen
※3)
渋滞損失
【延長】
1%
※2)
生活道路
高速道路の定義)
日 本 : 高規格幹線道路
都市高速,地域高規格道路
アメリカ: Interstate, Other freeways and expressways
フランス: Autoroute, Route nationale interurbaine à
caractéristiques autoroutières
ド イ ツ: Autobahn
高速道路の死傷事故率
一般道路の10分の1
算出方法)
※1※2 高速道路と一般道の台キロ当たり死者数,負傷者数の実績値から原単位を
算出し,分担割合が変化した場合の削減効果を算出した
※3 自動車の走行速度別のCO2排出係数より,道路種別毎の原単位を設定し,
分担割合が変化した場合の削減効果を算出した
※4 高速道路と一般道の台キロ当たりの渋滞による損失時間から原単位を算出
し,分担割合が変化した場合の削減時間を算出した。経済効果は削減時間
に日本の時間当たり労働生産性(一人当たりGDPを平均労働時間で割った
もの)と就業者比率を乗じて算出した
図―1 高速道路の分担率を上げることによる効果
組を推進する必要がある。
路への迂回促進,事故の削減を図るなど,新た
4高速道路を主な対象とした具体的な取組に向け
な交通需要マネジメントを実施することが重要
て
である。
短期的・中期的に取り組むべき施策を中心に,
・具体的には,継続的な交通モニタリングと情報
具体的な施策を示す。個々の取組の実施に当たっ
提供が一元的に可能なETC2.0を活用し,渋滞
ては,施策の内容や広がりに応じて,行政を含む
に関する詳細な情報提供や,混雑状況に応じた
関係者が連携するとともに,利用者にも協力を求
機動的な料金の導入などにより,動的ネットワ
めることにより,実効性を高めつつ推進していく
ークマネジメントを実現することが重要であ
ことが重要である。
る。
<円滑な走行を実現するための取組>
<安全を確保するための取組>
① 科学的な分析に基づく集中的な対策によるボ
③ 高速道路の更なる活用促進による生活道路と
トルネックの解消
の機能分化
・渋滞要因の分析手法を確立し,ボトルネック箇
・高速道路への交通の転換を促進し,これにより
所とその要因を把握した上で,車線運用の見直
生活道路への通過交通の流入を低減させるとと
しや付加車線の設置等により,ボトルネックを
もに,生活空間の環境改善を進めるべきであ
解消する必要がある。
る。
・特に,首都圏においては,東京オリンピック・
・また,市街地部に限らず,峠など地形が険しい
パラリンピックを見据えて,適切な対策を講じ
地域においても,料金施策なども含め,良好な
ていくことが必要である。
線形が確保されている高速道路の分担率を適切
② ETC2.0を活用した本格的な交通需要マネジ
メントへの移行
・高齢化の進展を踏まえ,歩行者・自転車の立入
・ICTを活用して,渋滞ピークの平準化や環状道
90
建設マネジメント技術 2015 年
に高める取組が重要である。
5 月号
りや自動車の逆走の防止対策などを実施すると
ともに,自動運転技術と連携を図ることによ
・また,リニア中央新幹線をはじめとする新幹線
り,高速道路の安全性をより一層高めていくこ
鉄道については,駅などの交通拠点と一体とな
とが重要である。
った道路整備などにより,道路の交通結節機能
④ 備えの重点化と連携の強化による通行規制時
間の最短化
・悪天候において,高速道路の通行止めを極力回
避するとともに,やむを得ず通行止めとした場
合であっても,通行規制時間をできる限り短縮
するべきである。
・交通事故の処理について,所要時間の信頼性が
を高め,人流・物流の活性化を図ることが重要
である。
<地域との連携促進のための取組>
⑦ 高速道路と施設との直結等による地域とのア
クセス機能の強化
・ス マートIC等を柔軟に追加設置することによ
り,高速道路から物流拠点や観光拠点等へのア
求められる拠点空港へのアクセス道路等を中心
クセス向上や,「コンパクト+ネットワーク」
に,現場見分や事故車処理等,事故処理の各段
の考え方による機能の集約化・高度化,既存の
階における時間短縮を図り,交通への影響を最
IC周辺の渋滞緩和を図ることが必要である。
小化すべきである。
・特に,高速道路の近傍に位置する大規模な物流
・災害時の迅速な道路啓開を可能とするため,全
拠点や工業団地,商業施設等については,適切
国において,想定される災害に対し,関係機関
な負担の下,スマートIC等を活用した高速道
と連携の上,事前の準備を整える必要がある。
路と施設の直結を進める必要がある。
<使いやすさを向上するための取組>
⑵ 賢く使う取組を支えるために進める施策
⑤ 最新の社会ニーズに対応した案内,休憩等の
1主要幹線ネットワークの強化
サービスの向上
道路を賢く使う取組を推進する上で,優先順位
・高速道路の休憩施設・ガソリンスタンド等につ
を明確にしながら,現道活用などによりコスト縮
いて,有料区間・無料区間にかかわらず,案内
減を図りつつ,車線数の増加を含め,高速道路や
の充実等による高速道路外の施設活用も含め,
国道を中心とした主要幹線ネットワークの強化を
一定のサービス水準の確保を図る必要がある。
進めることが重要である。なお,高速道路におけ
・この際,燃料電池自動車など,環境負荷低減の
る暫定 2 車線区間の車線数の増加に当たっては,
ための新たな技術に合わせ,燃料等の供給設備
2 車線運用時の交通状況を踏まえつつ,運転者の
の休憩施設への設置や高速道路外の設備の利用
安心や快適性,走行性を高める観点から,透明性
についても,配慮することが必要である。
を確保しつつ,機動的に対応することが必要であ
・2030年の訪日外国人旅行者数3,000万人を見据
えて,案内表記の英語化等を進めるとともに,
る。
2持続的な利用を可能とするための効果的・効率
高速道路の構造物などの建設や更新などの際
的な機能確保
に,デザインの高質化を進めるべきである。
賢く使う取組を進めるためには,高速道路など
・休憩施設について,女性が利用しやすい環境を
充実させることが重要である。
⑥ 交通機関相互のシームレス化による人流・物
流の活性化
の主要幹線ネットワークについて,戦略的に維持
修繕・更新を進める一方,その他の道路について
は,必要に応じて道路機能の集約化を進めること
が重要である。
・グローバリゼーションの進展に対し,よりシー
また,大型車の通行は,経済的なインセンティ
ムレスな移動や輸送を実現する観点から,空
ブなどを活用しながら,外側の環状道路など望ま
港・港湾等の交通拠点へのアクセス性をより向
しい経路へと誘導するとともに,適正利用者には
上させる必要がある。
特殊車両通行許可手続を簡素化し,過積載等の違
建設マネジメント技術 2015 年
5 月号 91
反者には罰則を含めたペナルティを科すことで,
な料金体系」の確立に向けて,以下のとおり整理
利用の適正化を図ることが重要である。
すべきである。
3道路交通状況のきめ細やかな把握
1 圏域共通の新しい料金体系の確立
道路の機能を最大限に発揮し,賢く使うために
「首都圏料金の賢い 3 原則」として,賢く使う
は,その使われ方を,きめ細やか,かつ,効果的・
ための合理的な料金体系の理念を以下のとおり整
効率的に把握・分析することが必要である。この
理した。この理念を基本として,現行の料金体系
ため,道路交通センサスを中心とする現状の道路
を見直し,圏域内において共通する新しい料金体
交通調査体系について,ICTの進展に合わせ,ゼ
系を確立することが必要である。
ロベースで見直すことが必要である。見直しに当
① 利用度合いに応じた公平な料金体系
たっては,今後の道路交通調査において「常時把
・受益者負担の考え方に立ち,対距離制を基本と
握」
,
「経路把握」,「関連調査の活用」を基本 3 原
則として,
した公平な料金体系
② 管理主体を超えたシンプルでシームレスな料
① ETC2.0などのICTを有効に活用して,道路
交通を効率的に,常時かつ精緻に把握する
② ETC2.0の普及や機器増設等の情報収集環境
の充実などにより,経路情報等を把握する
金体系
・管理主体間の継ぎ目を感じることなく利用する
ことが可能となる,シンプルでシームレスな料
金体系
③ 道路交通だけでなく,他の調査・データとの
③ 交通流動の最適化のための戦略的な料金体系
連携を図るとともに,沿道の立地や,物流にお
・高速道路および一般道路により構成されるネッ
ける積載物の内容など,交通行動の背景も把握
トワーク全体を交通状況に応じて効率的かつ柔
する
軟に利用するための戦略的な料金体系
ことが重要である。
3
2 実現に向けた取組
首都圏の高速道路を賢く使う
ための料金体系のあり方
首都圏の高速道路の整備の経緯などにより,首
都圏の料金体系は,結果として路線ごとに決定さ
れた料金体系を寄せ集めてつなぎ合わせたものと
「首都圏料金の賢い 3 原則」に従って,公平な
料金体系,シンプルでシームレスな料金体系,戦
略的な料金体系を実現するためには,以下の三つ
の取組を進めることが必要である。
① 料金体系の整理・統一(公平な料金体系)
(図―2)
なっており,首都圏の道路ネットワークを賢く使
・公平な料金体系を実現するため,料金水準や車
うような料金体系にはなっていない。このため,
種区分について,対距離制を基本としつつ,首
三環状を中心としたネットワーク整備の進展に合
都圏における統一を図るべきである。これに伴
わせて,東京オリンピック・パラリンピックの開
い,現行の均一料金区間や,完全な対距離制と
催時期を念頭におきながら,抜本的な見直しによ
なっていない首都高速等を含めて見直す必要が
り,賢く使うための料金体系へと変革すべきであ
ある。
る。このような考え方により,首都圏の料金体系
・なお,具体の料金水準については,高速道路ネ
のあり方について,以下のとおりとりまとめてい
ットワーク全体における公平性や,首都圏にお
ただいた。
ける交通の状況等を考慮し,高速自動車国道の
⑴ 今後の料金体系のあり方
大都市近郊区間における現行の料金水準を参考
今後の首都圏の料金体系については,高速道路
に,高速道路会社の経営努力も促しつつ,債務
がその機能を最大限に発揮し,道路ネットワーク
の確実な償還の観点も踏まえ,検討を進めるべ
全体を賢く使うことができる「三環状時代の新た
きである。
92
建設マネジメント技術 2015 年
5 月号
均一料金区間等
対距離料金区間
円/km
首都高速(86.6km)
<510円~930円>
対距離化※
整理・統一※
(現状)
(6km毎に約100円増)
埼玉外環(大泉~三郷南)
(33.7km)
<510円均一>
44.0
43.2
注3
[29.52]
36.7
36.6
24.8
20.4
15.7
横浜横須賀道路
圏央道
(海老名〜
久喜白岡J)
※激変緩和措置が必要
圏央道
(久喜白岡J〜
松尾横芝)
高速自動車国道
(大都市近郊区間)
千葉東金道路
など
京葉道路
第三京浜
中央道(高井戸~八王子)
(25.8km)
<620円均一>
注1)高速自動車国道(大都市近郊区間)は,東名高速の例
注2)普通車全線利用時の場合(ただし,圏央道は40km以内利用の場合)
注3)消費税及びターミナルチャージを除いた場合の料金水準
図― 2 首都圏内の料金水準の整理・統一
② 起終点を基本とした継ぎ目のない料金の実現
路によらず,起終点間の距離を基本に料金を決
(シンプルでシームレスな料金体系)(図―3)
定すべきである。
・首都圏においては,道路ネットワークを一体と
・具体的には,例えば圏央道の内側において,発
して捉え,道路交通や環境等についての都心部
地と着地が同一ならば,都心部を経由した場合
の政策的な課題を考慮し,外側の環状道路の利
や,環状道路を経由した場合など,いかなる経
用が料金の面において不利にならないよう,経
路を選択しても料金を等しくし,これを基本と
○ 例えば圏央道の内側において,発地と着地が同一ならば,いかなる経路を選択しても,
管理主体等によらず料金を等しくする
[Aルートの料金>Bルートの料金]
A
つくばJ
東
越
道
外
く
か
川口J
美女木J
京
東
中
大泉J
八王子IC
J
中央
練馬IC
高井戸IC
東京IC
玉川IC
原IC
第
速
海老名IC
厚木IC
伊勢原J
小
田
高
東 三
名
京
道
横
浜
新
戸塚終点
海老名J
海老名南J 戸塚IC
寒川北IC
浜
保土ヶ谷IC
狩場IC
横
横
道
三郷南IC
B
越
道
外
江北
東
路道 岸 湾京
高谷J
葉 道
八王子IC
路
宮野木
東
京
湾
東京湾
中央
練馬IC
高井戸IC
東京IC
道
玉川IC
第
千
山
道
速
海老名IC
厚木IC
伊勢原J
小
田
高
東 三
名
京
道
横
浜
新
戸塚終点
海老名J
海老名南J 戸塚IC
寒川北IC
浜
保土ヶ谷IC
狩場IC
横
横
道
三郷J
三郷南IC
B
央 環状
江北
京葉口
京
西新宿
大橋
館
アク
アラ
イン
中
原IC
千葉東J
羽田空港
J
環 状 道
路
川口J
美女木J
京
大泉J
京葉口
京
く
か
東
央 環状
常
磐
道
北
道
関
央
道
つくばJ
東
鶴ヶ島J
圏
三郷J
西新宿
大橋
道
環 状 道
路
久喜白岡J
白岡
菖蒲
IC
桶川
北本
IC
常
磐
道
北
道
関
つくば
中央
IC
久喜白岡J
白岡
菖蒲
IC
鶴ヶ島J
圏
A
つくば
中央
IC
桶川
北本
IC
央
道
[Aルートの料金=Bルートの料金]
東
路道 岸 湾京
高谷J
葉 道
路
宮野木
千葉東J
羽田空港
東
京
湾
東京湾
千
館
アク
アラ
イン
山
道
図― 3 起終点を基本とした継ぎ目のない料金の実現(イメージ)
建設マネジメント技術 2015 年
5 月号 93
した上で,混雑状況等に応じた政策的な料金を
して,料金を迅速かつ一体的に決定するために
導入すべきである。
必要な枠組みを構築する必要がある。
・また,首都圏内において,管理主体が異なる高
・な お,混雑状況に応じた料金の導入に合わせ
速道路を跨いで利用する際などに課されるター
て,各経路における所要時間や渋滞状況など,
ミナルチャージについて,現在徴収している分
利用者が経路を判断するために必要な情報を適
を走行距離に応じた料金に振り替えるなど,債
切に提供することが重要である。
務の確実な償還の観点も考慮しつつ, 1 回の利
<災害・事故発生時等における柔軟な料金施策>
用に対して 1 回分のみ課すべきである。
・災害や交通事故等が発生した際に,利用者が発
・加えて,異なる料金体系間の継ぎ目において,
生箇所を迂回するため,代替路を走行した場合
高速道路本線に料金所が多数設置されている
や,高速道路の外にある休憩施設等を利用する
が,シームレスな利用を実現し,安全性・快適
ため,一定時間内に一時退出した場合であって
性を向上させるため,まずは,都市高速道路の
も,利用者の負担が増えないような料金体系を
旧料金圏の継ぎ目に位置する本線料金所から,
構築すべきである。
撤去を進めるべきである。
<大型車の効果的・効率的な利用を促すための料
③ 政策的な料金の導入(戦略的な料金体系)
金施策>
料金体系の整理・統一や起終点を基本とした料
・大型車による効果的・効率的な利用を実現する
金を導入した上で,政策課題を解決するため,対
ため,都心部の交通集中による環境や構造物へ
象となる路線や時間帯などを区切り,以下のよう
の負荷の軽減等を促進する圏央道などの環状道
な料金施策を実施することが必要である。
路の料金低減や都心部の通過交通に対する料金
<混雑状況に応じた料金施策>
施策について検討を進めるとともに,特に構造
・環状道路等の有効活用を図ることによって,交
物に致命的な損傷を発生させる過積載につい
通需要の偏在等による混雑の緩和を図るため,
て,重量計の適切な運用により違反が確認され
混雑している経路におけるICTを活用した料金
た過積載車両に対する割引停止のあり方につい
の割増も含め,混雑状況に応じた料金を導入す
ても検討を進めるべきである。
べきである。
・具 体的には,圏央道の概成後,2016(平成28)
年度より料金水準の整理・統一や,起終点を基
本とした料金を導入し,その交通に与える影響
4
おわりに
国土幹線道路部会では,賢く使う取組,首都圏
の料金体系について,本年夏ごろを目途にとりま
を検証する。
・その後,検証結果や環状道路整備の進捗状況等
も踏まえ,曜日や時間帯などを区切って,都心
とめを行うこととされており,引き続き,検討を
進めていただくものである。
経由と環状道路経由の料金に一定の差を設ける
国土交通省としては,今回の基本方針に加え,
措置などから混雑状況に応じた料金の導入を開
今後の議論も踏まえ,高速道路を中心とした道路
始する。
を賢く使う取組に関する具体的な措置を検討して
・将来的には,諸外国の事例も参考に,ICTの普
及状況を踏まえながら,混雑状況に応じて一定
時間ごとに変動する機動的な料金を目指すべき
である。その際,異なる高速道路会社等が連携
94
建設マネジメント技術 2015 年
5 月号
まいりたい。
なお,基本方針本文はホームページに掲載して
いるので参照されたい。
http://www.mlit.go.jp/common/001066982.pdf