アメリカセミナー in 札幌 「教育旅行から見たアメリカの魅力」 アメリカ大使館 商務部 本田 珠美 皆さま、こんにちは。わたくしは、アメリカ大使館 商務部で観光産業の担当をしております本田と申しま す。これまで、ラスベガス、マサチューセッツとニューイングランド、ハワイそしてグアムが、それぞれの 魅力と最新の情報をお話しされました。わたくしの方からは、少しお時間をいただいて、アメリカへの教 育旅行の魅力について、お話しさせていただきます。 海外旅行者数と訪日旅行者数の推移 今回、教育旅行のお話しをさせていただきたい第一の理由は、訪日旅行者数、インバウンドの増加の 勢いにくらべて、アウトバウンドの数があまり伸びないことへの懸念からです。皆さまご存知の通り、イ ンバウンドとアウトバウンドの数は、もうすぐ、逆転すると思います。もしかしたら、今年、そうなるかもし れないほどの勢いです。アウトバウンド・チームとしては、なんとかしてアウトバウンドの全体数を伸ば したいところです。もうひとつの理由は、インバウンドの急増と 2020 年の「東京オリンピック・パラリンピ ック」に向けて、日本の国際化の必要性がますます高まると思われるからです。これらの対応策のひと つが、早いうちに若者に海外旅行に行ってもらい、海外に慣れ親しんでいただき、海外旅行のリピータ ーになってもらうことです。そして、もうひとつは、若い人たちに、日本の国際化の要となってもらい、ど んどんインバウンドを受け入れる環境を整えてもらいたいからです。このふたつをかなえる「キーワード」 が、「海外修学旅行」です。 日米の比較 本日はアメリカ方面のご担当者がご出席されていますので、すでにご存知のことも多いとは思います が、アメリカという国について、少し「おさらい」させて下さい。アメリカはロシア、カナダに次いで、世界で 3 番目に大きな国です。日本と比較すると、約 25 倍の大きさです。アメリカの人口は約 3 億 2100 万人。 日本は約 1 億 2700 万人。人口では日本の約 3 倍です。アメリカは最大の移民の受け入れ国で、多民 族国家です。経済では、アメリカの GDP は 16.8 兆ドルで世界第 1 位です。政治体制も、日本は議院内 閣制、アメリカは大統領制と異なります。このように、アメリカは日本とはいろいろな面で異なることが多 い国です。 アメリカで体験できること 日本とはかなり異なる国、それゆえに、生徒の皆さんは、アメリカに行ったら、いろいろな体験をするこ とができます。まずは、これまで学んできた英語力を試すことができます。そして、会話が通じる喜びと、 通じない悔しさを体感することができます。アメリカ人は、本当にみな明るく、話しをすることが好きです。 アメリカ社会に入ったら、話さないわけにはいきません。次に、初めて日本を離れる生徒の方は、外国 という、これまで自分のいた環境とは異なる、異文化を体験をすることができます。そして、多民族国家 のアメリカでは、多様性を実感することができ、それが異文化への理解へと導きます。また、より踏み込 んだ体験として、ホームステイや現地学生、現地コミュニティとの交流を行うことにより、これまでは、テ レビや映画でのみ、見てきた世界に身を置き、体験することができます。 アメリカは海外修学旅行の行き先 No. 1 ここで少し海外修学旅行の現状について、お話しさせて下さい。今年 4 月に発表された、文部科学省 の調査によると、平成 25 年度には、延べ 1,300 校の高等学校が外国への修学旅行を実施し、参加生 徒数においても、参加校数においても、アメリカが最も多く、260 校、35,168 人がアメリカへの修学旅行 に参加しました。この数字には、ハワイもグアムも入っています。アメリカの中では、グアムが 1 位、そ してハワイが 2 位です。アメリカに続いて、2 位はシンガポール、そして 3 位は生徒数では台湾、そして 学校数ではオーストラリアでした。前回、平成 23 年度の調査では、アメリカはやはり 1 位でしたが、学 校数は今回の方が 40 校増え、また学生数も 8,600 人ほど増えています。この安定した人気と、学校 数の増加は、アメリカへの修学旅行が、成果をあげている証拠だと思います。 英語圏の中で、なぜアメリカ? 学校の先生方が、修学旅行や語学研修に生徒を派遣される際、行き先として、英語圏を検討されるこ とが多いと思いますが、その中で、アメリカを選んでいただく重要なポイントですが、まずは、繰り返しま すが、アメリカは、多様性を学ぶには、一番の国です。次に、アメリカは世界一の経済大国です。アメリ カには、世界最高レベルの教育機関があります。また、スポーツ、エンターテイメントにおいても、世界ト ップレベルのものを見ることができます。そして、日米は経済活動において、密接な関係を持っており、 生徒の多くの皆さんが、将来、きっとかかわる国です。外国の中でも、アメリカはほとんど毎日と言って よいほど、日本のテレビ番組やニュースで取り上げられ、映画や音楽、食品からファッションまで、日本 の生活にとけこんでいます。それでも、実際にアメリカに行ったことがある学生さんは、少ないはずです。 日本にとってアメリカは、いろいろな面で、良きパートナーであり、良きライバルでもあります。将来を考 え、是非若いうちに、アメリカを見るチャンスを作ってあげてほしいと願っています。 日本の国際化 ‐ 国際交流のチャンス もうひとつ、北海道の皆さんにアメリカに行っていただきたい理由は、訪日外国人旅行者の急激な増加 による、北海道の国際化に寄与できると思うからです。最近、訪日外国人旅行者の数は、急増していま す。これは、日本政府が 2003 年から実施した、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」やビザ要件の緩和、 そして円安によるものと思いますが、昨年は過去最高の 1,341 人になりました。日本がさらなる国際化 を目指し、国際交流を望まれているならば、これは最大のチャンスだと思います。外国の方々は今、日 本中に足を伸ばしています。「こんなところに日本人」という番組がありますが、「こんなところにも外国 人が」と驚くほどです。わたくしもこの夏、函館から登別、そしてニセコ、積丹半島から小樽、札幌へとド ライブ旅行をしましたが、どこに行っても外国からの旅行者で一杯でした。国際化を感じているのは、東 京や大阪の人々より、北海道の方々の方が強いのではないでしょうか。 異文化受け入れの準備はできている? さて、ところで、このような異文化を持つ旅行者の受け入れの準備のほうは、どうでしょうか。日本は 2020 年に 2,000 万人の訪日外国人旅行者を目指しています。2,000 万人の外国人旅行客は、東京だ けでなく、他の地方にも分散されると思います。そうなると、日本全国で、宿泊施設や観光地などでの サービスの強化、Wi‐Fi などのインフラ整備そして外国語での情報提供など、コミュニケーションの重要 性が高まるでしょう。 アメリカへの留学者数 ‐ 国際比較 2020 年に向けて日本の主役は若者、つまり日本の未来を背負う世代だと思います。ではそんな若者 は外国を意識しているのでしょうか。ここで少し残念なお話しをしなければなりません。残念な事に、海 外留学をする日本人学生数はピーク時の 82,945 人に比べると、20,000 人ほど少ない数です。特に、 アメリカへの留学が減っており、とても残念に思っています。ご覧のように、昨年、アメリカへの留学者 数が一番多かったのは、中国でした。そのあと、インド、韓国と続き、日本は第 7 位でした。2004 年ま では、4 万人以上の日本人学生がアメリカの大学に留学していましたが、今はその数が半分以下の 19,334 人になってしまいました。留学だけではありません。近年、10 代、20 代の若い方の出国率も、 減少しています。日本の国際化に貢献し、世界で活躍できる、グローバルな人材が求められている今、 この状況はとても残念です。では、どうしたら良いでしようか。やはり単独でいきなり海外という例はな かなかありません。ほとんどの方は、何かきっかけが必要なのだと思います。きっかけがあれば、海外 を意識するようになると思います。 海外修学旅行のすすめ ‐ 海外や異文化に興味を持つ第一歩 やはり、一番身近なきっかけは修学旅行ではないでしようか。外国への修学旅行のメリットは、まず学 んできた英語力を試すことができます。そして、英語がただの学問ではなく、コミュニケーションの道具 であることに気づかれることと思います。そして、ホームステイや現地学生との交流など、異文化体験 をして、理解することにより、今度は日本に来る外国の方々の受入れがスムースに行うことができるは ずです。自分が外国で親切にされたから、それを今度は日本に来る外国の人たちに返したい‐‐‐という ように。 さらに国際化する日本企業 国際化の波は、地域だけではなく、就職前線にも来ています。中高生には、少し先の話しですが、日本 企業においても、社員に TOEIC テストを受験させて、そのスコアを人事評価に反映させる企業が増えて います。上場企業を対象にした調査では、採用時に TOEIC のスコアを参考にしている企業は多く、それ は、グローバル化に対応するため、業務で英語を使用する企業も増えており、新入社員にも英語力を 求めているからだそうです。また、これら上場企業の中には、グローバル人材を育成するために、一定 の TOEIC スコア取得により、報奨金がもらえる制度を設けている企業もあります。語学学習は、早い時 期に始めた方が、より容易に体得できます。アメリカへの教育旅行は、英語学習への興味を増加させ る、良い機会になるはずです。 世界は日本の学生を待っています 「海外修学旅行」は、世界への扉を開く、第一歩です。本日お集まりの多くの皆さまは、レジャーご担当 と思いますが、海外旅行リピーターの予備軍の養成のためにも、是非、「海外修学旅行」の促進にも、 ご協力をお願い致します。本日、このセミナーに参加しておりますアメリカのデスティネーション全てが、 北海道の学生の皆さまを、心よりお迎えいたします。
© Copyright 2024 ExpyDoc