札幌市基幹系情報システム再構築事業の現状と今後 2015年年4⽉月9⽇日 札幌市 情報化推進部 システム開発担当課⻑⾧長 ⻑⾧長沼 秀直 [email protected] Confidential 事業の概要 2 事業の概要 範囲、期間、経費、体制 ! 札幌市では、⼤大型汎⽤用機で処理理している⾏行行政サービスを処理理する基幹系情報シ ステムを再構築しています 【対象範囲】 【期間】 平成22〜~27年年度度(6年年間) 5年年経過しました。あと1年年。 【経費】 システム開発発注総額は 約150億円を予定。 【体制】 初年年度度は4⼈人。ピークは32⼈人。 (利利⽤用部局の専任職員も同規模) 3 事業の概要 これまでとこれから ! これまでの基幹系情報システムの構成や考え⽅方を⼤大きく変えます これまで これから 構成 汎⽤用機(メインフレーム) サーバ 調達⽅方法 ハードウェア:競争⼊入札(機種指定) ソフトウェア開発、保守:随意契約 ハードウェア:競争⼊入札(機種指定しない) ソフトウェア開発、保守:原則競争⼊入札 発注先の考え⽅方 単⼀一ベンダー前提 複数ベンダー前提 管理理主体の考え⽅方 札幌市が業務を発注するが、 ベンダー(単⼀一)に多く依存 札幌市が業務を発注し、 札幌市が主体性を確保する 開発、管理理の⼿手法 発注先のベンダー(単⼀一)の⼿手法、 ノウハウに依存 産総研(AIST)包括フレームワーク 経常的な経費 16億円/年年間 12億円/年年間(予定) 4 経緯 決定したこと " 基幹系情報システム再構築事業は次の⽬目的を掲げて実施することになりました。 【⽼老老朽化対応】 ! 現⾏行行システムが⽼老老朽化しており、稼動限界をむかえるまえに再構築を⾏行行う。 【発注者が主体性を確保】 ! 経常的に、札幌市が主体性を確保して開発や維持管理理を⾏行行う 【調達の透明性確保】 ! 特定事業者との随意契約の解消 ! 地元企業の参⼊入機会拡⼤大を図る 具体的に意味するもの ベンダーに依存しないで開発や維 持管理理ができるようになる 複数ベンダーへの発注や⼯工程分 割発注を前提とする 開発、維持管理理業務は原則競争 ⼊入札とする ※ 政令令市規模の⾃自治体基幹系システムでは先進的な取組み ※ 産総研(AIST)包括フレームワークを⼿手法として採⽤用 Confidential 5 マルチベンダ対応、競争⼊入札原則など、考え⽅方の⼤大転換迫られた " 札幌市の基幹系情報システムを再構築する⼿手法として、「産総研包括フレームワー ク」を採⽤用した ベンダー⾊色がない 産総研、他⾃自治体で実績あり 発注者主体 札幌市の再構築⽬目的に合致 札幌市の⼩小事業でパイロット成功 マルチベンダ 分割発注 発注透明性確保 ⻑⾧長期にわたって、札幌市職員が主体性をもって使い続けられると判断 Confidential 24年度 住民記録 稼働 開発業務を受託 した地元事業者数 再委託を含む 地元事業者数 0社 10社 16社 運用・保守・改修 26年度 税 稼働 運用・保守・改修 25社 27年度 福祉国保 稼働予定 札幌市の情報部⾨門の変化 札幌市の情報システム40年年 1980〜~1989 昭和55〜~平成元年年 現 情 報 化 推 進 部 ⾏行行 基 幹 系 シ ス テ ム ⽔水道料料⾦金金シス 内製に近い (初のオンライン) オペレーション 業務委託化 内 部 シ ス テ ム 情報部⾨門職員の 主体度度合い (⾼高) 1990〜~1999 平成2〜~平成11年年 住記オンライン 全⾯面的に委託 2000〜~2009 平成12〜~平成21年年 保健福祉総合 全⾯面的に委託 (クラサバ) 税務システム 全⾯面的に委託 財務会計オンライン 全⾯面的に委託 基 幹 系 再 構 築 情 報 化 推 進 部 「情報システムをす べて担う」ことを⽬目 指した「主体性」 基 幹 系 シ ス テ ム ⽣生活保護 2010〜~2019 平成22〜~平成31年年 ⽇日本ユニシス社 の汎⽤用機中⼼心の システム 国保システム 全⾯面的に委託 ⽂文書、財務会計、 ⼈人事給与 (WEB) マルチベンダーの サーバシステム 独⽴立立 独⽴立立 利利 ⽤用 部 局 (低) 独⽴立立 ・・・・・・ 利利⽤用部局が管 理理するサーバシ ステムの拡⼤大 市営住宅宅 発注者と受託者の役割を 明確にして、透明性の⾼高い 発注を⾏行行うことを⽬目指す 「主体性」 基幹系システム 再構築 発注者主体 グラスボックス マルチベンダー 地元企業参⼊入 8 再構築事業の現状は? 9 再構築事業は終盤にさしかかっている " " 150億円規模の開発、最終年度を迎えた 効果があったと思うことをいくつか 短期集中 基盤による統制 10 短期集中の効果 " ⼆二重に管理理する期間が短くなる ⼆二重管理理期間短縮→コスト&管理理メリット 機器管理理、保守コストの低減 – 職員のノウハウを⼆二重に持たなくてよくなる – 【機器類】 再構築事業期間 平成20年度 21 22 23 24 25 26 27 28 29 旧システム(⼤大型汎⽤用機) 賃借、保守等:16億円/年年 新システム(サーバ) 賃借、保守等:安定化後は12億円/年年 【職員】 旧システム 担当者 二重コスト期間&二重管理期間 人数 22 新システム 担当者 緑:開発担当 赤:運用担当 23 24 25 26 27 28 29 実施していること 札幌市の基盤システムによる統制 " " マルチベンダー必須。多段階リリース必須。どうする? 基盤で統制:⽂文書基盤、基盤部品共通部品、サーバ機基本ソフトで統制 要件分析プロセス定義 基本設計プロセス定義 開発プロセス定義 運⽤用保守プロセス定義 ⽂文 書 基 盤 開発環境FW 各種規約 モニタリングFW 各種テンプレート 国 保 年年 ⾦金金 シ ス テ ム 住所⼊入⼒力力、 住 ⺠民 税 シ ス テ ム 住 記 シ ス テ ム 業 務 ア プ リ 各種ガイド 介 護 保 険 シ ス テ ム 福 祉 シ ス テ ム 帳票・⽂文字基盤など シ ス テ ム 基 盤 Confidential 情報の ⼀一元管理理 基礎フレームワーク (プログラム部品群) 共通フレームワーク (操作者認証などの共通機能) 統合データベース 共通領領域 税情報 資源の ⼀一元管理理 柔軟な 追加・変更更 個⼈人 基本 統合データ 連携 個別システム領領域 職員 組織 住記 住⺠民税 国保 ・・・ 資源の 共有化 サーバ機・基本ソフト等 連携⽅方式 の統⼀一 菊 ⽔水 分 庁 舎 庁 内 ・ 庁 外 シ ス テ 12 ム ⽂文書基盤による統制 マルチベンダーによるシステム構築 要件分析 成果物リポジトリ 基本設計 品質チェック 開発 要件分析 品質チェック 構成管理理 基本設計 品質チェック 開発 品質チェック マルチベンダーで構築するために 産総研包括フレームワークで定めてい る成果物標準に従って開発業者が成 果物を作成し、それを利利⽤用者がチェック。 ⼯工程間で開発業者が異異なっても正しく 情報を伝えることができます。 各⼯工程の完了了条件 各⼯工程の成果物は、各段階で利利⽤用者 側(業務またはシステムの専⾨門家)が 内容を確認し、品質のチェック。 後⼯工程への引継ぎで⾒見見える成果物標 準の効果 ⼯工程間の引継ぎ⼿手段は、原則として成 果物標準で定めた成果物がすべて。 13 Confidential ⽂文書基盤による統制 札幌市は産総研包括フレームワークを採⽤用しています。 従前のシステム開発 A4⽤用紙1枚の 要求⽂文書 ② 業務部⾨門の意図が 正確に伝わらない ① ○○機能が欲しい。 業務部⾨門 情報部⾨門 ベンダー ④イメージしていたもの と合わない!! ③開発 従前の開発では「内容の薄い要求⽂文書」や「直接的なシステム機能要求」に 沿ってシステム開発を⾏行行い、実際のシステムができ上がってからイメージと合わな いということが問題となっていました。 ! ! 開発業者への過度度な依存(丸投げ) パッケージソフトへの過度度な期待 14 ⽂文書基盤による統制 札幌市は産総研包括フレームワークを採⽤用しています。 業務フロー図 業務ルール 業務フロー図で、どのような 業務があり、誰が、どんな帳 票や書類で、どういった業務 を実施するのかを定義し、シ ステムを使う場⾯面を特定しま す。 業務ルールで、業務上や法 律律上の決まり事を、業務フ ロー図やユースケース記述に 関連させて規定します。 現在のシステム開発 ユースケース記述 業務フロー図のシステムを使 う場⾯面毎に、業務内容を掘り 下げて確認し、操作者の⼿手 番と、それに対するシステムの 動きをシナリオとしてまとめます。 このシナリオのことをユースケー ス記述と呼びます。 産総研包括FWは、「業務をシナリオで説明する」ことにより、物語で業務を説 明することで、業務実施者の意図を伝わりやすくし、従前のシステム開発の問 題を解決している⼿手法です。 所管課にはシステム開発技術の理理解を強要せず、業務に関する⼗十分な知⾒見見 を求めます。 15 システム基盤とは何か?共通フレームワーク、基盤フレームワークでの統制 システム基盤の利利活⽤用によるメリット 共通機能の集約によるコスト削減 共通化できる機能を集約し、それを システム基盤が提供することで、各業 務システムの開発や運⽤用保守のコスト を削減。 住記システム 国保システム 税システム 業務固有機能 業務固有機能 業務固有機能 帳票 ⽂文字⼊入⼒力力 管理理 ⽀支援 帳票 ⽂文字⼊入⼒力力 管理理 ⽀支援 帳票 ⽂文字⼊入⼒力力 管理理 ⽀支援 住記システム 国保システム 税システム 業務固有機能 業務固有機能 業務固有機能 帳票 管理理 ⽂文字⼊入⼒力力 ⽀支援 ・・・ 機能の個別開発が継続的なコスト増加 を招く 類似の機能を個別に開発すると、その 機能の開発や保守にコストがかかります。 共通機能を集約することでムダをなくす 各業務システムの共通的な機能を提供。 開発や保守のコストを削減可能にすると ともに、業務固有の機能の実現に専念念で きるようになり、品質向上につながる。 16 Confidential システム基盤とは何か?ハード、基本ソフトでの統制 システム基盤の利利活⽤用によるメリット 製品指定せずに調達→更更にコスト抑制 システム資源の効率率率的な利利⽤用によるコスト削減 札幌市のシステム基盤は、APサーバやバッチサーバなどを仮 想マシンとして構築しています。同じ物理理サーバ上で複数の仮 想マシンを稼働させたり、時間帯によって稼働させる仮想マシン の数や物理理サーバ上の配置を調整することで、ハードウェア資源 を効率率率的に使⽤用できます。 サーバ 機能A1 サーバ 機能A2 サーバ 機能B2 サーバ 機能A1 サーバ 機能B1 サーバ 機能A2 サーバ 機能B2 仮想 マシン 仮想 マシン 仮想 マシン 仮想 マシン 仮想化 ソフトウェア Confidential サーバ 機能B1 仮想化 ソフトウェア ピーク時の負荷に合わせたハードウェ ア構成 仮想化技術を使⽤用しないシステム構成 では、システム全体の稼働率率率からみると 過剰なハードウェア投資が必要です 仮想化技術でハードウェア資源のムダ をなくす 仮想化の技術を利利⽤用することで、負 荷状況に応じて物理理サーバ上で稼働 する仮想マシンの数や配置を調整可 能に。システム全体で負荷変動を吸収 し、システム全体のパフォーマンスを劣劣 化させることなく、ハードウェアを削減。17 基本的に製品指定しないが、データベースはオラクルを指定 短期間での開発、遅延許されない システム開発は稼働近くなってから⾮非機能要件で慌てるリスク⼤大きい リスクを回避するために 産総研包括FWの稼働実績があったオラクルDBを製品指定、 サーバは製品指定しないで調達することに 結果、 Exadataを構成製品とした販社が価格競争で落落札し、 札幌市はOracleデータベース、Exadataユーザに ※ 産総研包括FWは DBソフトを選びません 24年年7⽉月、札幌市の最初の再構築事業対象システム、 住⺠民記録システム稼働 18 新基幹系システムインフラ 各業務システム毎に、三段階に分けて順次拡張。 ⼊入札の結果、Engineered Systemsが札幌市の新基幹系インフラに。 住⺠民記録 (2012年年リリース) 税 (2014年年リリース) 保険福祉・国保 (2015年年リリース予定) アプリケーション 産総研包括フレームワーク Weblogic Exalogic X3-‐‑‒2 住記 Exalogic X4-‐‑‒2 保険福祉 税 Exadata X2-‐‑‒2 国保 Exadata X4-‐‑‒2 住記 保険福祉 税 Oracle 11g APサーバ基盤 DBサーバ基盤 国保 マルチテナントを活⽤用した データベース統合 Oracle 12c 19 基盤に注⼒力力することの効果 " 基盤の役割→システム開発や管理理を統制しつつ、効率率率的な開発を⽀支える 「⾃自⼰己流流」を排除できる 統制する役割 基盤 効率率率的な開発を ⽀支える 決まった⾏行行動様式で作業できる 部品や機能を提供してくれるので 作業が楽 サーバや基本ソフトとの相性を 吸収してくれる 20 基盤が提供する「効率率率的な開発」具体例例 " ベンダー毎、システム開発毎に潤沢なテスト環境を⽤用意した ! 100以上のドメイン管理理必要 # 独⽴立立性のあるDB、APのテスト環境を⽤用意(※1,※2) # 環境デプロイメント作業をツール化して作業軽減(※1) ! テストデータ(マスキング済み)⽤用意 # 本番データを伏字化して、開発・テスト向けに提供(※3) テスト・開発 本番系システム Exalogic X4-‐‑‒2 保険福祉 Exalogic X4-‐‑‒2 APP APP 国保 Exadata X4-‐‑‒2 Exadata X4-‐‑‒2 保険福祉 国保 Oracle 12c Oracle 12c マルチテナント活⽤用 独⽴立立性・アジリティ (※1) オラクルコンサルティングサービスに よる⽀支援 (※2) Database 12c Multitenant の機能利利⽤用、H27実装: (※3) Data Masking Packの機能 利利⽤用、H27実装 21 今後について 22 開発から運⽤用保守の時代に " 20年年使い続けるために – ドキュメントのメンテナンス " 改修業務や運⽤用保守業務を発注者主体とし続けるために必須 " 発注する業務に、ドキュメントのメンテナンスを含める " 市職員はドキュメントのメンテナンスが仕事の柱の⼀一つになる – 競争⼊入札をしつづける " 開発・稼働後、⼀一定期間経過したら、運⽤用保守業務や改修は競争⼊入札とする " 運⽤用保守業務と改修業務、別事業者になっても対応できる(実績あり) 【2012年年7⽉月に稼働した住⺠民記録システムの維持管理理】 2013年年度度 2012年年度度 2014年年度度 稼働 開発⼯工程 運⽤用保守と 引継 ⼊入札 ⼊入札 運⽤用保守業務(3年年契約) 改修業務 稼働 ⼊入札 改修業務 稼働 23 同志ができたらいいな(中⻑⾧長期的なイメージ:個⼈人的⾒見見解含む) ! 再構築した基幹系システムは20年年間は使い続けます $ その間に、事業の当初⽬目的が定着する $ マイナンバー等の制度度改正にも対応をはじめている ! パッケージシステムの業務アプリも採⽤用できるようになりたい $ 現在はスクラッチ開発をしていますが、パッケージシステムの⽅方が有利利な場合 もあり得る $ 産総研包括フレームワークはパッケージシステムとの組合せも可能 ! 他⾃自治体等と連携をはかりたい $ ⾃自治体毎に業務に違いはあっても類似性は多い $ 本市資産を活⽤用することによる効率率率的なシステム開発も考えられる 24 おしまいに企業、団体において情報システムを維持管理する皆さまへメッセージ ■ 技術専門の職員がいなくても・・・・ ■ 定期的に職員が異動する職場でも・・・・ 発注者主体 マルチベンダ 分割発注 発注透明性確保 25
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