近況報告 - 虎の門病院

同窓会だより
「近況報告」
昭和63年
広島県広島市
内科レジデント
平賀内科医院 院長
平賀
敬己
敬愛する虎の門病院レジデント同窓会長、井田雅祥先生より「書きませんか?」という
メールをいただきました。あわてて広報 とらのもんの「同窓会だより」に掲載された先輩・
後輩レジデントの寄稿文を拝読し、そのレベルの高さや内容の素晴らしさに正直ビビッて
しまいました。何を書こうかと思案する重苦しい日々が続きましたが、「こんな虎レジOBも
いるのか」と知っていただく良い機会と捉え、気軽に綴ることにしました。
【虎レジ時代の思い出】
私は、昭和63年4月から平成7年3月までの7年間、前期・後期レジデント、そして内分泌
代謝科医員としてお世話になりました。退職してから20年近くが経過し、当時のスタッフの
顔ぶれも随分と変わってしまった中、今なお虎の門病院でご活躍中の先輩・後輩、そして
同期レジデントを拝見するにつけ、懐かしさと同時に勇気をいただいているような気がしま
す。
原稿依頼があってから、当時のことを色々と思い出してみました。採用試験の際に面接
官をされた、元内分泌代謝科部長・紫芝良昌先生の鋭い眼光。「君たちは給料を貰いなが
ら勉強できるのだから幸せだ」とレジデントを前に宣われた故小坂樹徳院長。田舎から出
てきたばかりで東京のことは何にも知らなかった自分に、都内のトレンディ・スポットを次々
と紹介してくれた先輩レジデントのM先生(忙しくて行けませんでしたが)。早朝から深夜ま
で、臨床にそして研究に打ち込み、まるで不夜城みたいで衝撃的だった分院肝臓科、
等々。レジデント時代はローテーション先でいろいろとご迷惑をおかけし、時に厳しく叱責
もされましたが、医師としての自覚や責任を学び、現在それらが己の血となり肉となってい
る事を思うにつけ、感謝の念を禁じ得ません。
地元に戻って間もない頃、往診先で患者さんから「先生の前の職場の近くで大変なことに
なっとるよ!」と言われ、テレビのニュースを見せてもらいました。「地下鉄サリン事件」でし
た。在職当時、私は都立大学から日比谷線経由で神谷町まで通勤しており、その利用時
間帯にサリンが撒かれたようでした。「ひょっとすると巻き込まれていたかも・・」と背筋が寒
くなったのを覚えています。
【現在の活動】
病死した父親より医院を継承して、まもなく20年になります。私が開業している地域は広
島市内でも郊外に位置し、都市部と農村部の狭間にあります。ここ最近は特に高齢化が
進み、通院される患者さんも7~8割が高齢者です。それ故、継承後しばらくは生活習慣病
の管理が中心でしたが、現在はそれらに加えて訪問診療、在宅での看取り、ケアカンファ
レンスへの参加など、虎の門時代には考えもしなかったような医療と向き合っています。
また10年前より私が所属する市郡地区医師会の理事を拝命し、主に学術担当の仕事を
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任されています。医師会の仕事は多岐にわたり、自分が担当する以外の委員も兼ねてい
るため、毎週何らかの会議に出席します。その他、校医・園医や産業医としての業務や、
我々の医師会が運営し一次救急を担う「夜間急病センター」への出務、さらには県医師会
代議員としての活動など、それなりに目まぐるしい日々です。「地域に根差した医療」とは
よく言ったもので、地域で担当する患者さんを継続的に診療し、かつコ・メディカルと協同し
ながらケアしていく大切さを、最近になって実感できるようになりました。
【趣味のこと、ワインのこと】
継承後しばらくしてから、「開業医は体力が大事!」と一念発起し、四十を過ぎてからラン
ニングを開始しました。ハーフ・マラソンで1時間30分台が出たところで、満を持してフル・マ
ラソンに挑戦。初フルは3時間30分台でしたが、その後約1ヶ月位はまともに歩行できず、
「体によろしくない」と判断し、現在は週末のウォーキングに勤しんでおります。
もう一つの楽しみがワインです。元来ワインに興味はありませんでしたが、家内の勧めで
一緒に飲むようになり、いまや指南役です。好きになるともっと知りたくなるのが人情。そ
の当時、日本ソムリエ協会という団体が、愛好家向けの資格(ワインエキスパート)認定試
験を開始した頃で、早速勉強に励み合格。現在は全国で1万人くらいの有資格者がいます
が、私は400番目でした。その後も勉強を続け、日本ソムリエ協会が主催するワインエキス
パート向けの全国大会にも何度か出場し、入賞。特に平成20年に開催されたコンクールで
は見事優勝し、ご褒美で1週間のフランス研修旅行をいただいたのは良い思い出です。さ
らに平成24年7月には、私が共同執筆者の一人として参加した「ワイン男子101人の“もて
なしワイン”300本」(日本ソムリエ協会 ワインエキスパート男子部編)が発刊され、編集者
とのやり取りを通じて貴重な体験をしました。ちなみにこの本、井田雅祥先生も執筆されて
いますので、ワインに興味のある方はぜひお買い求め下さいませ。
最後に、賀茂鶴酒造(広島では有数の酒蔵、銀座「すきやばし次郎」で安倍総理がオバ
マ大統領に振舞ったお酒で有名)の元専務さんがお書きになった「飲酒の十徳」をご紹介
します。「呑ん兵衛の言い訳」みたいですが、酒の楽しみの本質を突いているようで、個人
的には気に入っています。時にワインに癒されながら、地域医療に貢献できたら幸せで
す。
「飲酒の十徳」
一、礼を正し
一、労を癒し
一、憂を忘れ
一、鬱をひらき
一、気をめぐらし
一、病を避け
一、毒を解し
一、人と親しみ
一、縁を結び
一、人寿を延ぶ
『ワイン男子101人の“もてなしワイン”300本』
発売元:日本ソムリエ協会
同窓の皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
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