亀ケ崎小学校 校長通信「子どもを見つめて」13号 平成27年7月9日 校長 大谷 智之 七夕の願い事をかなえるために ~あなたがやるべきこと→生活を見直すこと~ 7月7日(火)全校朝会 七夕の願い事がホールに飾られてます。その七夕の願いをかなえるためには、どうすればいいのか、 子どもたちに伝えました。 ①テレビを見る時間が長いほどアルツハイマーになりやすい。 ②携帯電話、スマホ、タブレットを使うほど、学んだことが壊れる。 ③食事をしながら家族と話をすると脳によい。 昨年度、 東北大学加齢医学研究所 所長 川島隆太先生の講演を伺いました。その講演の内容 と著書「元気な脳が君たちの未来をひらく」をもとにして話をしました。七夕の願い事をかなえる ために、ぜひ、川島先生の話を実行して欲しいのでここに紹介します。おうちの人といっしょに読 んでみて下さい。 ○記念講演 「基本的な生活習慣と脳の発達」 東北大学加齢医学研究所 所長 川島隆太 ☆テレビを見る時間が長いほど、アルツハイマーが増加する。 ☆学校で教えたことがスマホによって破壊されている。 ☆朝ご飯を食べても炭水化物だけだと食べないのと同じである。 ☆朝おかずが多いほど心の働きが高い、おかずが少ないほど心 の働きが低い。 ○睡眠と脳について ・夜更かし型の社会になっている。 朝起きる時刻は同じ、しかし何時まで起きていても良いということは、寝不足につながる。 土曜日、日曜日に平日と同じ時刻に目が覚めるかどうか、目が覚めれば寝不足ではないが、目が覚 めなければ寝不足である。 ・細胞内のミドコンドリアがエネルギーを作る。睡眠不足になると、エネルギーを作る力が減る。 結果として、「つかれた」と言う言葉が出る。 子どもに「つかれた」が日常化している。これは睡眠不足によるものであり、細胞レベルでエネ ルギーが作れていないからである。これが、脳に影響し、不登校となる。不登校の児童に対して、 入院させ、昼夜のリズムを整えてやると学校に戻れるようになる。「まるものおきて」という高視 聴率の番組が日曜日、夜 9 時から放映される。放映されても誰も苦情を言わない。しかし、夜 9 時 からこれを見た子どもたちは、寝不足になる。それを普通だと感じている大人、それを問題にしな い事が問題である。子どもに夜 9 時以降の番組を見せないようにすべき。どこかで、間違ったもの を直す勇気を持つことが大切である。 夜、寝る時刻を守らせるのは、家庭の責任という自覚がないのではないか? 夜の 10 時には、深い睡眠(ノンレム睡眠)にさせなければならない。夜 10 時ころから成長ホルモ ンがでる。病気から体を守る。 しかし、共働きなどで夜 10 時過ぎまで起こしているというのは、ある意味で虐待ともいえる。 深い睡眠と浅い睡眠(レム睡眠:夢を見ている時間帯がこれに当たる)が交互におこっているが、 ノンレム睡眠が必要なわけは、その間に学習内容を復習し整理している。 睡眠時間が少ないと、レム睡眠の時間が少なくなる。学んだことが、残りにくくなる。東北大学医 学部に入学した学生の睡眠時刻を調べてみると、夜の 11 時には寝ている。寝ないと、努力したこ とが定着しない。夜更かしは、学力を下げるものでしかない。 寝過ぎの子も学力が低い。それは、深い眠りを作れないから。だらだら布団の中にいる。Line を使っている子ども、見たら返事をしなければならない。布団に入っても寝ることができない。寝 ようとしても寝ることができない。 寝てない子は、学力が低い。運動能力も低い。つまり、どんくさい子どもにな る。 東北大のMRIを使って記憶をつかさどる「海馬」の大きさを測定した。すると、睡眠不足の子 どもは、「海馬」の体積が小さかった。「海馬」は 20 歳を過ぎると、退化が始まる。 睡眠不足の 子どもは、早期アルツハイマーになる可能性がある。 ○テレビ視聴と子どもの脳の発達について テレビ視聴は、子どもの脳発達を阻害する。・テレビを見るほど、知能(言語領域)が低くなって いる。 ・テレビを長く見るほど、考えたりする前頭葉に悪い影響を与えている。 ・テレビを見る時間が長いほど、アルツハイマーが増加する。物を考える力が寝ているときに近い。 それは、どんな番組を見ていてもあてはまる。 ・メディアは、自分に都合の悪い情報は流さない。このことを、いろいろな所に情報を提供したが、 新聞社が小さく取り扱ってくれただけだった。 ○スマホや携帯が学力に与える影響について 仙台市と協力して調べている。 平日、2時間勉強する子どもは、平均点が高い。 30 分~ 1 時間勉強すると、平均点は普通である。 30 分以下だと、平均点は低い。 つまり、勉強は毎日 1 時間やれば十分である。 次に、平日にスマホや携帯を使っているか調べてみた。家で全く勉強しない子どもの平均点は、6 2~3点だった。つまり、授業だけで6割はとれることになる。家でまったく勉強しない子どもが スマホを使うと数学の平均点が10点以上下がる。スマホをいじったために、10点以上消えてし まっている。3~4時間使うと、平均点で10点以上さがる。 スマホは、毒物と同じような物だ。このままでいいのか?スマホを使うことで、時間が使われる 事の他に、脳に影響を与えている。 子どもたちにスマホを渡していいのか?学校で教えたことがスマホによって破壊されている。 仙台市では、データーを元に小中学生にスマホを禁止したいと思っている。市民団体・仙台市と連 携し進めたいと思っている。 ○食事と学力について 朝ごはんが、なぜ、大事か?・神経細胞はブドウ糖だけをエネルギー源にしている。 ・主食を食べなければ、脳は働かない。 ・脳に刺激を与えて、繰り返し電気を流すと、より電気を流しやすい脳になる。すると、シナプス が増える。シナプスが増えるためにはすべての栄養素が必要になる(ブドウ糖だけではだめであ る)。食べてない子は、学力がつかない。 ・朝食習慣と大学入試の関係について調べてみた。 ほぼ、毎日、朝食を食べる子どもは、第1希望の大学に入った子どもの約3割は一流大学といわれ る大学だった。ほぼ、毎日朝食を食べた人は6割が就職し、そうでない人は3割が就職した。 朝食をほぼ食べている人は、大人になると高収入になると言える。朝食を食べないと、100の うち、80しか力が出ない。つまり、80の力しか収入を得られないことになる。しかし、炭水化 物だけ(おにぎりだけ・菓子パンだけ)だと、食べてないのと同じ結果にしかならない。(シナプ スが増えるためには、様々な栄養が必要だから。) 小学生の95%が朝食を食べている。しかし、6割しかおかずを食べていない。朝、ご飯を食べて も炭水化物だけだと、食べないのと同じである。朝ごはんを、流動食にして食べさせた。もう一つ のグループには、砂糖水(ブドウ糖)だけにした。流動食の方は、脳のいろいろな場所が働いてい た。ブドウ糖を使うためには、ビタミンB1、リジン・・・・様々なビタミン等が必要なのである。 昔は、米にビタミン、リジンを添加して販売していた。昔、米だけ食べて脚気になった軍隊の経験 がそれには、生かされていた。だから、昔は、ご飯だけ食べていても大丈夫だった。しかし、最近 の米に添加することはなくなった。朝ごはんを粗末にすることで、栄養不足になっている。 95%が朝食を食べている。しかし、6割しか、おかずを食べていない。 おかずが多いほど心の働きが高い、おかずが少ないほど心の働きが低い。 朝食を’しっかり食べろ’といわねばならない。 でも、朝ごはんのおかずを朝に作る必要はない。前日に作り置きし、それを電子レンジで温めれば 良い。 栄養学的には、1日で30品目食べてほしいといわれている。 おかずの数を1つでも増やしてほしい。 ・朝食に何を食べるか? 米を食べている方が知能が高い、パンを食べている方が知能が低い。 米とパンでは、血糖値の上がり方が違う(米の方が、ゆっくり血糖値があがる)。 グリセミックインデックスの値が低い方がいい。この話をすると、パンを食べているアメリカ人は 知能が低いのか?という質問をする中学生がいる。アメリカで食べているパンと、日本人が食べて いるパンでは、パンの質が違う。日本のパンは、柔らかい糖質中心のパンで、ほぼ砂糖である。パ ンだったら、堅い、ぼそぼそした外国のパンがいい。 米も、玄米や雑穀米がいい。 米にすることで、おかずの取り方が変わってくる。米は、おかずがないと喉を通らない。でも、パ ンは主食だけで済ますことができる。主菜、副菜の影響が出てくる。 「元気な脳が、君たちの未来をひらく」という本にまとめてある。この本の印税は、大震災で保護 者の方をなくした子どもたちの宮城県での育英基金となる。 ○学習意欲の科学的研究に関するプロジェクトが行われている。 内発的意欲・・・・やりたいから 外発的意欲・・・・しかられるから、買ってもらえるから 内発的意欲は、成績を上げることにつながっていたが、外発的意欲は、成績を下げる力しかなかっ た(でも、友だちにいいかっこをしたいというのは役に立った)。 家族で朝ごはんをきちんと食べるという健康な生活習慣や健康な食生活は、内発的意欲につながり、 それが主体的な学習態度につながり、学力の向上につながった。 朝ごはんを家族で食べるということが、意欲を高め、学習効果を高めてい ることが分かった。 早寝・早起き・朝ごはんは、ほんとうにすごいことだ った。脳の発達に影響がある。食を中心とした、基本的生活習慣が内発的学 習意欲と学力向上の鍵を握っていた。 ○子育て中の母親が、授乳中にスマホをしている。親が赤ちゃんと目をあわせな い姿が見られるようになった。そうやって育てられた赤ちゃんは、他人と目をあ わせなかったり社会性が欠如している場合が多い。サイレントベイビーと呼ばれ ている。 そのようにして育てられた赤ちゃんが、現在小学生になっおり、教室で騒いでいる。 自分が作りたい社会でなかったら、自分が作りたい社会(小学生中学生にスマホを禁止するなど) になるように動くべき。 <まとめ> ☆テレビを見る時間が長いほど、アルツハイマーが増加する。 ☆学校で教えたことがスマホによって破壊されている。 ☆朝ご飯を食べても炭水化物だけだと食べないのと同じである。 ☆朝おかずが多いほど心の働きが高い、おかずが少ないほど心の 働きが低い。 *講演内容のメモを元に、作成しました。学校保健委員会でもこの資料を紹介しております。詳 しく知りたい方は、著書「元気な脳が君たちの未来をひらく」をご覧下さい。図書室に3冊ありま す(残念ながら、いつも貸し出し中です)。
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