PR こうして使おうパワーデバイス MOSFET,IGBT 高耐圧化の 理由とそれを支える新しい HVIC ン抵抗の MOSFETを製品化してきました.ただし,耐 圧を高くするとオン抵抗の増大やスイッチング速度の低 下を招くので,アプリケーションの範囲を限定し,耐圧 のマージンを削って信頼性を犠牲にしながら標準的には 耐圧 600V が用いられて,それで不足する用途向けに 700V,800V,900Vなどの高耐圧品が作られてきました. しかし,新世代のCoolMOSTM はさらに性能向上が進 み,600V で究極とも言える高性能を実現する一方で, より耐圧を高めた使いやすい製品も実現可能になってい ます. 2011 年に発売した CFD2シリーズ (車載向けは CFDA シリーズ) では,標準的な耐圧が 650Vに引き上げられて います.さらに,最新の超高性能シリーズの C7,低コ ストシリーズの CE でも 650V 製品を取り揃えており, 700V 製品も登場しています. このように,MOSFET 製品の高耐圧化が進んでいる のには3 つの理由があります. 近年は世界的に省資源・省エネが推進され,ソーラ・ 18 IGBT 230V AC CoolMOSTM IGBT SIC Diode SIC Diode CoolMOSTM SIC Diode CFD2 CoolMOSTM AC-DC 電源,PFC,インバータなどの用途では,耐 圧 600VのMOSFET,IGBT が広く使われてきました. たとえば AC200V のピーク電圧は 288V ですが,電圧 変動やスパイクへのマージンを考慮すれば,600V 以上 の耐圧が望ましいと言えます.一方,MOSFET の耐圧 とオン抵抗には相反する関係があり,MOSFET 製品の 耐圧はアプリケーションに必要最小限に抑えられていま す. イン フ ィニ オ ン で は,SJ (Super Junction)構 造 の CoolMOSTM によって,600 ∼ 900V の高耐圧で超低オ 150..450V DC CFD2 SiC Diode MOSFET 高耐圧化のトレンド SIC Diode インバータ等の普及が急速に進んでいます.これらの用 途には,600V では耐圧がやや不足し,より高耐圧が望 ましいアプリケーション回路があります.従来は,保護 回路を強化して 600V の MOSFET を使うか,特別な高 耐圧 MOSFETを使うかの選択でしたが,いずれもコス ト高などの問題がありました.耐圧 650 ∼ 700V が標準 になれば,このようなアプリケーション回路はとても作 りやすくなります. CFD2 これまで,MOSFET,IGBT では耐圧 600V の製品が 最も一般的でした.しかし,最近では 600Vより少し耐 圧を高めた 650V,700V の製品が増え始めています.さ らに,この MOSFET,IGBT の高耐圧化に対応するた めに,ゲート駆動用のHVICも高耐圧の製品が登場して います.今回は,これらの高耐圧化の流れについてご紹 介します. CFD2 第23回 図 1. ソーラ・インバータ向け回路の例 また,CoolMOSTM が進化して高速スイッチングが可 能になったことにより,スイッチング時に発生するスパ イクも従来より大きくなっています.このような高速ア プリケーションのために高耐圧を求めるユーザも増えて います. さらに,耐圧 600V で不足しないアプリケーションで あっても,性能やコストを犠牲にせずに高耐圧化できれ ば,信頼性がさらに向上する利点があります. IGBT 高耐圧化のトレンド IGBTは原理的に高耐圧化が容易であり,CoolMOSTM と同様のディスクリート製品では,耐圧 600V,1200Vが主 に用いられています.モジュール製品では,さらに高耐圧の 1600 ∼ 6600Vもあります. MOSFETと違って,IGBT はオン時には伝導率変調 によって抵抗が小さくなり,飽和電圧が損失要因になり ます.耐圧による性能の変化はそれほど大きくありませ ん.そのため,MOSFET が耐圧の異なる製品を細かく 作り分けてきたのに対して,IGBTは一般的なほとんど のアプリケーションに600Vと1200Vで対応してきました. ただし,大きなアバランシェ耐量をもつ MOSFETと 違って,IGBT はスパイクに対する耐量が小さいので, 2015 年 12 月号
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