インサート軸受 インサート軸受ユニット 軸受ユニットの ユニットの故障とその 故障とその主 とその主な原因と 原因と対策 故 障 主 な 原 因 現品の状況 対 策 備 考 その他の 異常現象 軸受の交換。 定期的にグリースを補給する。 潤滑グリースの選択。 グリースの補給間隔の目安に付いては、総合カタロ グをご参照下さい。 軸受内部で焼付きを起こしている場合(グリースが 固化している)では、グリース補給してもグリースは 異常発熱。 軸受内部に入らないことがあるので、出来るだけ早 めの補給が望ましい。 装置の正常運転温度を把握しておく必要がある。 グリースの補給を 運転停止中に行っ た為に、軸受内部 の一部分の圧力が 高くなり、ゴムシー ルが外側に押し出 されてスりンガと接 触。 軸受の交換。 グリース補給は、運転中の補給 が好ましいが、無理な場合は、 手回ししながら補給する。 ゴムシールが外に押し出されてスリンガーと接触し たものは、修正できないので軸受を取り替える必要 がある。 軸受のグ リース補給については、当社ホームページの技術 情報の技術動画「インサート軸受ユニット試運転偏」 をご参照下さい。 フレーキングを発 生。 異常音の発 生。 異 軸受の交換。 常発熱。 早期フレーキング発生原因、対 早期フレーキング発生には、発生要因があるので、 軸受の破損。 策については、軌道面や転動体 それを除去しないと再発生することになるので要注 (著しいフレー の早期フレ-キングの項をご参 意。 キング発生状 照下さい。 況で継続運転 していると破損 することもある) 潤滑不良。 潤滑グリースの劣 化により、グリース が固化している。 ゴムシールとスりン 過大なトルク ガの接触。 回転不良 軸受の軌道面又は 転動体にフレーキ ングを発生。 転がり面の異常摩 耗 異常摩耗した軸受は交換。 過負荷、潤滑不良、軸受内部へ ベルトやチェーンの張具合の再チェックや潤滑グ の湿気やごみ等の侵入がないか リースの補給間隔、湿気やごみ対策、軸受の材質 等の確認とその対策が必要。 等の再検討。 潤滑グリースの選択。 アンバランス荷重の 回転体のバランス不良 負荷。 回転体への異物付着等によるバ ランスを悪くする要因を除去。 ベアリングユニットが取付けられ ている機台等の剛性を高める。 異常振動 潤滑不良。 異常発熱。 異常音の発 生。(ゴムシー ルとスリンガの 接触音) 異常発熱。 異常音の発 生。 回転体のバランスが大きく崩れると、外輪回転荷重 が発生し、外輪の回り止めピンが中に押し込まれて 外輪が破損する場合が有る。 異常音の発 予めバランスが悪くなることが予測される使用条件 生。 の場合には、軸受と軸受箱のはめあいは、J 又はK はめあいにする。 潤滑グリースの劣化 運転停止中のグ リース補給による、 上記、回転不良の項に同じ シールとスリンガの 異常温度上昇 接触。 回転不良。 上記過大トルク、回転不良の項 潤滑不良による異常温度上昇を放置しておくと、軸 異常音の発 と同じ 受の焼付けを起こし、回転不能になことがある。 生。 運転条件を試運転後に変更して 温度上昇による軸の伸縮が大きい場合には、この 早期フレーキン 軸の伸縮が大きいのに、何らか いないか、或いは運転温度が高 アキシアル方向の 伸縮の逃げ対策を講じないと、軸受に異常アキシア グの発生。 の原因によりアキシアル方向の くなる原因が無いか等の調査と 異常荷重の作用。 保持器破損。 逃げが出来ていない。 ル荷重が作用することになる その原因の除去。 軌道面や転動体に ピッチングやフレー キングを発生。 潤滑不良。 軸受の交換。 異常振動。 早期フレーキングを防止するた 軌道面に著しいフレーキングを発生した状況で、継 異常発熱。 めには、軌道面や転動体の早期 続運転をしていると、軸受が破損に至ることがある。 軸受の破損。 フレーキングの項を参照下さい。 潤滑切れによる金属と金属の 定期的なグリース補給。 接触により転がり音が高くなる 潤滑グリースの選択。 潤滑不良発生の初期であれば、グリース補給すれ ば良いが、軸受内部のグリースの劣化が進み、固く なっている状況でグリース補給しても、グリースを軸 異常発熱。 受内部に補給できない場合もある。 回転不良。 転がり面の潤滑切れを起こすと、転がり音は金属音 的な高い音になる。 転がり面の錆。 転がり面が一度錆ると、それを 改善することは出来ないので軸 受を交換する必要がある。 潤滑グリースの選択。 軸受内部の発錆をできるだけ防ぐには、グリース補 給を頻繁に行う。また、湿気が多い雰囲気を変えら れない時は、カバー付き、軸受の多重シール、軸受 のステンレス製等の採用の検討も必要。 転がり面が腐食すると、転がり面の荒れにより音は かなり高くなる。 軸と軸受のはめあ い面でクリープを発 生。 クリープ発生経過時間が長くなる と、軸受の内径面の磨耗や、軸 の磨耗が生じるので、軸受及び 軸の交換が必要な場合がある。 軸と軸受のはめあいを固いはめ あいにする。 アダプタ付きに変更することも検 討。 大きな異常音を発生する場合が多いので、軸受ユ ニットから離れた場所でも良くわかる。 1回転に一度程度の大きな異常音発生。 異常振動。 軸受と軸とのはめあい面に、油等を噴霧すると、異 軸受の破損。 常音の発生状況に大きな変化がある。 軸受と軸とのはめあい面でクリープを発生すると、 軸受内径面は鏡面又は曇った面となる。 軌道面にフレッチン グを発生。(フォール スブリネリング) 軸受ユニットが取付けられている装置が、長期間運 軸受現品は交換が必要。 転を停止する場合において、この装置に外部より振 防振ゴムの設置。 動が加わった場合、又は、揺動運動使用条件下の 異常振動。 極圧添加剤入り潤滑剤の選択。 場合、軸受の軌道面にフレッチングを発生すること がある。 異 常 音 潤滑切れによ る 異常発 熱。 発錆 が進行すると 異常振動発生 軸受の転がり面の 電食。 電食の初期は、鋼球との接触部は光沢を呈してい 軸受の交換。 るが、その箇所を倍率を上げて観察すると、溶けて 軸受部に電流が流れないように いる様子が判る。長期間で電食を発生している場合 異常振動。 電気回路を設ける。 は、軌道面ではうろこ状(すだれ状)になることがあ 軸受の絶縁。 る。 軸受ユニットに直接打撃を与えたり、軸に取り付け られている他の部品に衝撃を与えると、軸受の鋼球 によって軌道面に圧こんを生じて異常音発生となる ことがある。 鋼球によって軌道面に付いた圧こん 軸受ユニットに衝撃を与えたこ 軸受の交換。 転がり面に圧こんを とにより、鋼球によって転がり 軸受ユニットに衝撃荷重が加わ は、軸受を分解しても、肉眼では良く判らないが、倍 異 常 音 発生。 面に圧コンを生じた。 らないように取扱いに注意する。 率を挙げて測定すると鋼球間隔で凹みを生じている のが判る。 異常音発生状況は、高速運転の場合、連続音的な 異常音発生となる。 軸受ユニットと軸とのはめあいがゆるい場合、また 同軸に取付けられている部品と軸とのはめあいが ゆるい場合には、このはめあい面より微振動発生 軸受と軸とのはめあいがゆるす 軸精度を良くする。 (フレッチング)時に異常音を発生することがある。こ 軸受と軸とのはめ ぎると、回転により、このはめあ アダプタ付き軸受ユニットに変更 の異常音は、軸受内部より発生しているように聞こ あいがゆるい。 い面で微動振動をおこし異常音 する。 えるが、このはめあい面に、油を噴霧すると一時的 を発生する。 であるが、その異常音が消えたり音の変化が生じ る。 異常振動。 異常音の発生 箇所のはめあ い面より茶色の 磨耗粉発生。 過大荷重。 軸受の交換。 過大荷重が加わる原因の除去。 ベルトやチェーンの張り過ぎ等も 軸サイズの変更が出来ない場合は、X、#300タイ 異常発熱。 プへの変更または、ころ軸受ユニットへの変更を検 異常振動。 チェック。 軸受の破損。 使用条件を再度確認し、負荷容 討する。 量が不足する場合は、大きいサ イズの軸受を使用する。 軸受に異常なアキ シアル荷重が作 用。 軸受の交換。 運転条件を試運転後に変更して いないか、或いは運転温度が高 くなる原因が無いか等の調査と その原因の除去。 軸の伸縮の逃げが正常に行わ れているかの確認。 潤滑不良。 フレーキングを発生した軸受は 交換。 高温雰囲気でグリース補給が出来ないとか困難な 異常発熱。 異常振動。 グリース補給間隔の目安を参考 場合は、耐熱で無補給タイプのユニットも検討 に、定期的に補給する。 軸受の破損。 (HR23)。 潤滑グリースの選択。 取り付け平面度不 良。 取付け面への異物 のかみ込み。 ピロー形ユニットの早期寿命(軌道面のフレーキン グ発生)で、一番多い原因が取り付け面の平面度 軸受の交換。 不良である。平面度不良にて運転したユニットを取 異物の除去。 異常発熱。 外し後に、軸受箱より軸受を取り外すと、軸受内部 取り付け面の修正か、平面度不 異常振動。 すきまが負すきまととなった軌道面に相応する外輪 良の箇所にシム等を入れて、ガ 軸受の破損。 外形面と、その箇所と同じ軸受箱の内面(上下方向 タつきのないように固定する。 又は左右方向)にも著しいフレッチングを発生してい るのが特徴的である。 一軸上に3個以上 のユニットを使用 し、各軸受の軸心 が狂っていることに よって、軸受に過負 荷が作用。 3個の軸受の軸心を合わせることは、ピロー形では フレーキングを発生した軸受は 特に難しいので、出来るだけ避けて選定してくださ 異常発熱。 交換。 い。止むを得ず一軸上に3個の軸受を使用する場合 異常振動。 各軸受の軸心の狂いを最小限に は、一個にフランジ形を使用すると軸心を合わせ易 軸受の破損。 するように調整する。 くなる。 軸受内部すきまが 過小になり、軸受に 過負荷が作用。 フレーキングを発生した軸受は 交換。 アダプタの締め付け過ぎは、適 異常発熱。 正締め付けトルクで締め付ける。 軸受内部のすきまが負すきまになると、過大な負荷 異常振動。 軸からの伝導熱により軸受内部 となるので異常発熱を伴う。 軸受の破損。 すきまが負すきまとなる場合に は、軸受の初期すきまの大きい ものを選定する。 軌道面に著しいフ レーキングを発生 し、その箇所を起点 に破損。 フレーキング発生対策は、上記 早期フレーキング発生の場合、その原因を除去しな 「軌道面や転動体の早期フレー いと再発生する可能性が高い。 キング」を参照下さい。 止めねじの締め付 け過ぎによる内輪 の破損 止めねじの締め過ぎによって内輪が破損する可能 性のある形番に付いては、ASAHIでは、内輪特殊 焼入れを行っている。 カタログ記載の「止めねじの適正 ステンレス軸受に付いては、止めねじ穴部周辺を焼 締め付けトルク」での締め付け。 き戻している。止めねじの締付け過ぎによる内輪割 れは、軸受ユニットの取付け時に発生する事が多い が、負荷の作用後に発生する場合もある。 軌道面や転動 体の早期フレ- キング 使用温度が高く、軸受間隔が大きい場合、軸の伸 びを計算し、その伸びが大きければ、逃げの対策を 異常発熱。 講じる必要がある。この対策としては、軸にキー溝 異常振動。 を加工し、SH止めねじを使用する方法や、カートリッ 軸受の破損。 ジタイプのハウジングを使用する等の方法がある。 (UCEPタイプのユニットの使用) 軸受の破損 特殊焼入れ適 用呼び番号 UC204~216 UC307~311 UR204~213 SER204~212 B4~7 外輪がクリープによ りずれたことによ り、外輪の回り止め ピンが中に押し込ま れて外輪が破損 外輪回転での使用、又は外輪回転荷重(内輪回転 であるが、回転物のバランスが悪い)が作用する 外輪回転、もしくは外輪回転荷 と、外輪を回そうとする大きな力が働くので、外輪に 重が避けれない場合は、軸受箱 付いている回り止めピンでは、外輪の回りは止めら の球面精度を、J またはKにす れない。 外輪回 る必要が有る。 り止めピンは、外輪のスリップを防止することを目的 としている。 外輪に付いている 回り止めピンが、軸 受箱の切り欠き部 以外に有る時に、 無理やりに組み込 まれて、そのピンが 内側に押し込まれ て外輪が破損。 軸受を軸受箱に組み込む時に は、軸受の回り止めピンが、軸受 この状況は、軸受ユニットの取付け時又は試運転 箱の切り欠き部にあることを確認 時に発見されることが多いが、運転経過後に確認さ の上で行う。決して無理に組み れる場合もある。 込まないようにする。 軸受の破損 保持器の破損 モーメント荷重大。 過大なアキシアル荷重。 急な加減速。 潤滑不良。 軸受と軸受箱のはめあい面で、何らかの原因で自 動調心が行われていない場合(モーメント荷重大) や、軸受にアキシアル荷重が過大に作用すると、保 持器に繰り返し無理な力が作用して,保持器の破損 を生じることがある。アキシアル荷重過大の要因と しては、軸の伸びの逃げ対策が不十分であったり、 縦軸使用でアキシアル荷重が大きい場合等が考え られる。 ステンレス製ベアリ ングユニット用玉軸 受の応力腐蝕割れ 止めねじの締め付けを適正な締 め付けトルクで締付ける。 環境雰囲気の改善。 残留応力の除去。 内輪と軸とのはめあいを出来る だけしまりばめにする。 ステンレス軸受の応力腐食割れは、特定環境下(塩 化物イオン等の存在下)において、止めねじの締付 け過ぎや運転荷重の作用による応力集中と、局所 的な腐食により、亀裂の発生と進展によって発生す るものと思われる。 ステンレス鋼の応力腐食割れの機構は明確に解明 されておらず、いずれにも共通する解決策が見当た らないのが現状である。 作用荷重が大きすぎる 過大な衝撃荷重が作用 設計者の予期しない異常荷重や 衝撃荷重等に対処するための安 全率等を考慮して、強度不足が 考えられる場合には、軸受ユ ニットの、直径系列の変更、サイ 軸受箱の静破壊強度や安全率のとり方、各々の材 ズアップ、軸受箱の材質変更等 質の強度に対する考え方については、軸受ユニット を検討する。 の総合カタログに掲載している。 特に人命に係わるような装置に おいては、大きな安全率を取る か、破損しにくい鋳鋼製、溶断製 の軸受箱を採用する。 軸受箱の破損 取り付け面の平面度が悪い ピロー形およびフランジ形ユニッ トを取り付ける機台の取り付け面 極端に取り付け面の平面度が悪いとか、取り付け は、歪の少ない平面でなければ 面に大きな異物が有る状態で、ユニットを機台に固 ならない。機台の平面度は、0. 定すると、軸受箱が破損する場合がある。 1~0.15mm程度におさえる必 要が有る。 軸受ユニットに衝撃荷重を与え ユニットの取り付け時や軸に他の部品を取り付ける ると、軸受箱の破損以外に、軸 時に、軸受ユニットに打撃や衝撃荷重を与えた 受の性能を大きく低下させる要 因となるので注意が必要。 取り付け時に破損に至っていなくても、取り付け時 の衝撃によってクラックが入り、其の後の運転に よって、割れに至る場合がある。
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