01 測量の概要

測量士補試験 重要事項 はじめに「測量の概要」(Ver1.0)
測量の概要
1.測量とは
1-1.測量とは
「測量」を一言で言うと、
『地上において相互の位置関係を定める技術』である。具体的には、次
図のように「A点から見てB点はどのような位置にあるのか?」を定める技術となる。
B
A点から見て、B点は?
A
しかし、基準も何もない状態であると、A点から見てB点はどの位置にあるかなど、正確に答え
る事ができない。そこで次のように「座標」として考えてみる。
X
(2,3)
B
A
Y
(0,0)
これであれば、A点が座標原点(0,0)の位置にある時、B点はX軸方向に 2、Y軸方向に 3 行っ
た場所にあると言える。ここで、数学で学んだ座標軸はY軸が縦でX軸が横である。しかし測量(日
本)では、X軸が縦、Y軸が横として考える習慣がある。
ではA点の座標が解っている場合、B点の座標値を求めるにはどのようにしたらよいのであろう
か。このような場合、次図のようにA点から見てB点は基準方向から○度、距離が△mの位置にあ
ると計測し、計算により求めればよい。
X
基準から○度
B(未知点) (BX,BY)
計算で求める
距離は△m
A(既知点)
(0,0)
Y
このように、角度や距離を計測しB点の位置を出す作業が「測量」と言う訳である。また、既に
座標が解っている点を「既知点」
、座標が解らない点を「未知点」と呼ぶ。また、角度や距離を計測
する作業を「観測作業」と言う。
ただし、
「地上の位置」を求めるにおいては、前図のように平面としてではなく高さも考える必要
がある。そこで、実際に地上の位置を求める場合には、次図のように「角度」
「距離」
「高さ(高低差)」
を観測することになる。
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B (xB,yB,zB)
Z
X′
X
A点から高さ◇m
A点から水平距離△m
A
(xA,yA,zA)
基準方向から○度
Y
1-2.測量の目的
測量はその目的によって、次のように大きく2つに分けられる。
①土地の測量
「測量法」と言う法律に定められた測量であり、一般的には土地の測量がそれに当たる。その結
果として「地図」が作成され、様々な目的に利用される。測量法により定められた測量を計画・実
施するには、国家資格である「測量士・測量士補」を所持し登録している事が必要となる。
また、統一された信頼できる結果を残す必要があるため法律や基準等により、各種の観測(測量)
方法やデータ整理の方法、使用する器械の性能が定められている。資格試験における測量とは、こ
の「土地の測量」を指している。
②建設等に関する測量
建築や土木などの建設作業等に用いられる測量であるが、その作業において有資格者は求められる
が、必ずではなく法による定めもない。建設業等においても測量と言う言葉が使われるが、その内
容や目的は①の土地の測量とは異なるものである。
信頼できる精度と成
果で、地上の位置を
決定し、地図を描く。
地図を描く
測
必要
測量士
測量士補
量
測量法
測量技術
作業規程 など
必要とされる
構造物を造る為の線
を描き、図面とのチ
ェックを行う。
建築・土木
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1-3.測量に関する法規・法令等
土地の測量において従うべき法規や法令には次のようなものがある。
①測量法(法律 第 188 号)
測量法では、国や公共団体が費用の全部(または一部)を負担(または補助)して行う土地の測
量やその結果を用いて行う「土地の測量」について、基準や実施に必要な権限を定めている。
②作業規程の準則(国土交通省告示第 413 号)
国土交通大臣が公共測量における標準的な作業方法等を定め、その規格を統一するとともに、必
要な精度を確保すること等を目的としている。
③その他
測量法施行令:測量法を施行するための細則(政令)
。地球の大きさや日本の原点の数値が定めら
れている。
測量法施行規則:測量法を施行するための細則(省令)
。測量に用いられる標識(測量標)の形式
などが定められている。
ここで、②に公共測量とあるが、測量は次のようなピラミッド構造の仕組みになっており、測量
法により分類されている。
全ての測量の基礎となる測量
(この測量の結果が以下の測量に幅広く利
測量法による分類
用される)
基本測量
国や公共団体が費用の全部(または一部)を負担(または
補助)して行う土地の測量やその結果を用いて行う土地の
測量で、基本測量や公共測量の結果を利用するもの
公共測量
基本測量又は公共測量の測量成果を使用して
実施する基本測量及び公共測量以外の測量
基本及び公共測量以外の測量
その他の測量
測量法から除かれる測量は、
建物に関する測量やその
他の局地的測量又は高い精度を必要としない測量で
ある。建設工事等の測量などもここに分類される。
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1-4.測量士補試験の概要
測量士補試験ではどのような問題が出題されるのであろうか。前記したように、測量士や測量士
補の資格が必要となる測量は、測量法により分類された測量である。このため、測量士補に出題さ
れる分野とは、法規や作業規程の準則で分類された次のような分野である。
また、測量士補は合計 28 問出題され、1 問 25 点の 700 点満点。合格基準は、450 点以上(18 問
正答)である。なお、試験時間は 180 分(3 時間)となっている。
<士補試験の出題分野と例年の問題数>
①測量に関する法規等(測量法、作業規程の準則)[3 問]
②基準点測量 [5 問]
③水準測量 [4 問]
④地形測量 [3 問]
⑤写真測量 [5 問]
⑥地図編集 [4 問]
⑦応用測量(路線測量・河川測量・用地測量の 3 分野)[4 問]
合計[28 問]
※各分野の問題数は過去に出題された数である。
1-5.出題分野の概要
士補試験の出題分野は、1-4に記した通りの 7 分野であるが、それぞれの分野は一体どのよう
なものであろうか。大雑把にこの7分野についてまとめると次のようになる。
◆ 地図を描こう!
①好き勝手に描けない。ルールが必要だ。
(測量法、作業規程の準則など)
↓
②地図を描くために基準となる点と骨組みが必要だ。
(基準点測量)
↓
③地図には高さも必要だ。
(水準測量)
↓
④点と骨組みを利用して付近の地図を描こう。
(地形測量)
↓
⑤1 つ 1 つは面倒だ。上空から写真を写してそれをなぞろう。
(写真測量)
↓
⑥出来上がった地図を編集して使おう。
(地図編集)
↓
⑦測量の技術を応用しよう。
(応用測量)
・道路や鉄道を管理しよう。
(路線測量)
・河川や海を管理しよう。
(河川測量)
・土地を管理しよう。
(用地測量)
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