理事長所信

Noblesse Oblige
~誰かがこれをやらねばならぬ 期待の人が俺たちならば~
はじめに
Noblesse Oblige(ノーブレス オブリージュ)とは「身分の高いものは、それに応じて果たさな
ければならない社会的責任と義務がある」という欧米社会における基本的道徳観です。身分制と
いうものが無い現在の日本ですが、民主主義国家においては国民一人ひとりが国家及び社会に
おける責任と義務を背負っており、その自覚をもって自分自身のことのみでなく、社会に対しても
貢献するということが重要です。2011 年3月 11 日に起きた東日本大震災、あの絶望的な状況下
にあって暴動や略奪を起こさず、他者を思いやることを忘れなかった東北の人々の姿は世界中か
ら賞賛を受けました。それは、日本人の持つ高い公共心と自分たちが構成している社会に対する
信頼によって成し得たものであり、日本社会の持つ「Noblesse=高貴さ」の現れであったと思い
ます。他方では残念なことに、責任や義務を果たそうとする意識も意思も持たず、権利のみを主
張するという事象も多く見られるようになっており、私自身への反省も含めて考えさせられることが
多くあります。しかし、少し想像力を働かせれば、震災という非日常を持ち出すまでもなく、社会を
構成する一人ひとりが「自分や家族のことだけ」を考えて行動すれば、その社会は軋轢と衝突が
繰り返される殺伐としたものとなってしまうでしょう。だからこそ中村青年会議所のメンバーのよう
に、日常において、自身の時間と財産を犠牲にしながらも、明るい豊かな社会の実現を目指して
行動できることが重要であり、社会全体が「Noblesse」であり続け、「明るい豊かな社会の実現」
を成すために、この意識をいかにして高め、広めていくかということこそが重要です。
「誰かがこれをやらねばならぬ 期待の人が俺たちならば」1970 年代に歌われたアニメ主題歌
の歌詞であり、今の感覚であれば「気負い過ぎ」と言われかねません。しかし、何の期待もされな
いという生き方は気楽ではあっても虚しさを伴います。私自身、4歳と2歳の男の子の親でありま
すが、この子たちに期待を持たずにはいられません。そして、その期待とは、「成りたかった自分
の姿」を重ねたものでした。そこに思い至った時、私が子どもたちに期待すると共に、私自身が子
どもたちと一緒に「成りたい自分」と成るために努力をしていかなければならず、そのことが期待と
言う重荷を子どもたちと分け合って背負うことにつながるのだろうと気づきました。青年会議所活
動においても同様であり、2015 年度を共に活動してくれる役員・メンバーに対して期待を寄せると
共に、メンバーからの期待に応えられる自分自身を作らなくてはなりません。また、地域にとって
「やらねばならぬ」ことがあれば、誰かが変えてくれることを待つのではなく、自分たちの手によっ
て積極的に成し遂げていくことこそが青年会議所に期待されていることだろうと思います。中村青
年会議所が一丸となって、より大きな期待に応えられる様に、組織として個人としての成長を目指
していく必要があります。
:看板事業の模索:
これまで青年会議所活動に携わってきた中で私が感じた中村青年会議所に対する問題意識の
1つに、「中村青年会議所といえばコレ」という看板事業が無いことがあります。自分たちが必要だ
と感じ、地域から認められ、長年継続する看板事業があることは、組織としての認知度を向上させ
る面からも非常に重要なことだと考えます。そのような事業を構築するためには、この地域の持つ
問題、文化や歴史に裏打ちされた伝統といったものを吟味し、自分たちはもちろん、地域住民やこ
の地に交流を持つ多くの人から愛着を持ってもらえる内容とすることが重要です。単年度で組織
が入れ替わるというメリットは十分に考慮した上で、その事業が継続していくことで、中村青年会
議所や地域そのものの価値や認知度を高めていける看板事業の創出を模索します。また、長年
継続してきた新年賀詞交歓会や市民祭提灯台パレードへの参加といった事業が看板事業と成り
得るように、より一層洗練していくことも重要です。
:活動を通じた会員拡大:
全国の多くの LOM と同様に、中村青年会議所のメンバー数も中長期的には減少を辿っており、
会員の拡大は最重要課題の1つです。メンバー数の増加はもとより、積極的に活動に参加する意
思を持ったメンバーを育成していくことが重要であり、中村青年会議所の行う事業や活動の質の
向上とメンバーの増加が好循環を引き起こしていくことが理想だと考えます。2013 年の「しまんと
公開討論会実行委員会」の活動を通じて入会してくれたメンバーが居ることや、入会には至らずと
も、事業の実施に協力してくれる中で青年会議所活動に好意的になってくれる人が多く居ます。本
年は実施するそれぞれの事業に対して、広く協力者を募り、そのことによって事業の盛り上がりと
青年会議所活動の認知の向上につなげるとともに、積極的に活動に参加してくれる協力者の獲
得、またそういった人たちに対して積極的に働きかけを行うことで入会意欲を増大させ、会員の拡
大へとつなげます。
:高知ブロック大会の開催:
中村青年会議所は 2015 年度高知ブロック大会の主管 LOM となっています。中村青年会議所と
しては、2012 年に主管した四国地区大会に続いての大会主管であり、私個人としては、2014 年の
四国地区大会阿波池田大会に担当副会長として携わらせていただいたことに続くブロック・地区
大会事業の開催ということになります。2012 年の地区大会の開催が、LOM としての一体感の醸成、
メンバーの意識の向上に寄与したことは間違いありません。また、2016 年に 60 周年を迎えるため
の貴重な経験、成長の場としても、この高知ブロック大会をいかにして成功させるか、成功させる
ための努力を積み重ねられるかは大変重要な意味を持ちます。一方で、本年も四国地区協議会
に地区大会担当副会長を輩出することとなりました。2年続けて同じ LOM から地区大会担当副会
長が出るということは大変異例なことであり、四国地区内における中村青年会議所への期待の高
さを感じずにはいられません。このような期待を十分に認識し、訪れた高知ブロック内の各地 LOM
メンバーに対して期待以上の成果を見せられるよう、高知ブロック協議会と連携し、有意義な大会
の構築に協力します。
:例会改革:
月に1度メンバー全員が集う機会である例会は、対内的に最も重要な意味合いを持ちます。通
例であれば、総会等の特殊な月以外では、Power up 例会として各委員会や執行部が持ち回りで
メンバーのスキルや意識・知識の向上に努めてきました。出席することがメンバーにとっての義務
である例会ですが、本年はこの例会を1つの委員会が担当し、1年間を通じて1つのテーマに沿っ
て企画・実施することで、出席することに対するモチベーションをより高め、そのことが中村青年会
議所そのものの魅力の向上へとつながるように、敢えてこれまでと異なった例会の在り方に取り
組みます。
:枚方青年会議所との絆:
「お前が目の前に居るなら良い 素敵な今宵を分け合えりゃ また会えるまでは この時を 忘れ
ないで居て」サザンオールスターズの「旅姿六人衆」という歌の一節です。枚方青年会議所と様々
な交流を持たせていただく時、私の頭の中ではこの一節が常に繰り返されています。2012 年に中
村青年会議所が地区大会を主管した際には、共に盛り上げようとの心意気から有志でたこやき屋
台の出店をしてくれました。四万十の地で交流事業を行う際には、中村青年会議所メンバー及び
先輩方の多くが、遠方から帰省する親戚を待つような感覚に陥るのではないでしょうか。そのよう
な交流が「当たり前」として続いてきた喜びを感じながら、「当たり前」のことがこれからも続いてい
くよう、京都会議などの機会をとらえて、交流の深化に努めます。
:幡多3JC の役割:
幡多地域における活動や問題意識の共有、交流を目的とした幡多3JC が締結されて8年目を
迎えました。互いの LOM が切磋琢磨すると共に、協力関係を培ってきたことは、本年、土佐清水
青年会議所から高知ブロック会長を輩出するにあたり、事務局長職での出向者を求められたこと、
またそれに対して青木孝寿君が出向してくれることになったことからも明らかです。自動車の普及、
道路網の整備といった時間距離の短縮と過疎の進行、またインターネットの普及といった環境の
変化が地域に及ぼす影響、その影響から生み出される地域の未来像。幡多という地域の未来像
をどうやってより良いものにしていくかということについて、私たち自身が交流を深めながら意見交
換ができる場となるよう、3つの LOM が協力して取り組みます。
:四万十市政中間検証会の開催:
2013 年にしまんと公開討論会実行委員会を立ち上げた際、「検証会までは実行委員会を維持
する」としており、多くのメンバーが実行委員会に参加している中村青年会議所としても、四万十
市政中間検証会の実施は重要事項の1つであると考えます。「政治が何をするのかを知る場」が
公開討論会であるならば、「約束されたことが実行されているのかをチェックする場」が検証会だと
言えます。市民が、「市政への権利と責任を有するものとしてしっかりとチェックしている」という姿
勢を示すことは、権力を行使する側にも健全な責任感を持たせることにつながります。市長と市民
とが互いに責任を持ってより良い市政が為されていく環境を作るために、しまんと公開討論会実
行委員会の活動を支援します。
:一般社団法人中村青年会議所 60 周年について:
2016 年、中村青年会議所は 60 周年を迎えます。人間でいえば還暦ということになりますが、還
暦とは「暦が還る」ということであり、生まれた年と同じ干支に還ることから、赤ちゃんに戻り人生の
再出発を切るというお祝いの意味を持っています。その記念すべき年を迎えるにあたって、水野
直前理事長のお言葉をお借りすると、「ホップ!ステップ!ジャンプ!」のステップの年になるのが
2015 年です。これまでの活動をふりかえり、次の 70 周年、100 周年へとつながる活動の在り方を
模索するとともに、中村青年会議所の活動をここまでつないでいただいた先輩方に感謝し、各地
青年会議所の多くの仲間、また我々が活動するこの地域の皆様から祝福していただけるよう、周
年事業の準備、広報活動に取り組みます。
:結びに:
1988 年に公開されたアニメ映画、「機動戦士ガンダム~逆襲のシャア~」のラストシーン近く、既
得権益にしがみつき地球を汚染し続ける人々に対して実力行使をしようとするシャア・アズナブル
に対して、緩やかではあっても人類の変革を信じるアムロ・レイはこう言い放ちます。
だから、世界に人の心の光を見せなきゃならないんだろ!
「明るい豊かな社会の実現」を目指すのが青年会議所の活動ですが、これは青年会議所の活
動を通じて、人々の社会に対する意識や考え方、関わり方をより良いものへと変えていくことで成
されるものであると私は考えます。社会に対して有する責任を自覚したメンバー一人ひとりの取り
組みによって、緩やかではあっても、一人でも多くの人により良い社会を作り出すための責任者で
あることを自覚してもらうための1年間としたいと考えます。
だから、JCが社会に人の心の光を見せなきゃならないんだろ!
基本方針
1. 例会改革
2. 賀詞交歓会の開催
3. 高知ブロック大会の支援事業
4. しまんと市民祭提灯台パレードへの参加
5. 一般社団法人枚方青年会議所との交流事業の実施
6. 幡多3JC合同例会の開催
7. 国家運営シミュレーションゲーム事業の開催
8. このまちの魅力を五感で感じる婚活事業の開催
9. 四万十市政中間検証会の開催
10.一般社団法人中村青年会議所 60 周年事業の準備