はじめに 自動車の役割と課題 社会、経済、そして毎日のくらしを支える自動車 一般社団法人日本自動車工業会 (以下、 自工会) は、 豊かな クルマ社会の実現に向けて、 お客様や社会が何を求めて いるかを常に考え、 それに応えるべく取り組みを進めて きました。一人でも多くの方々にクルマファン・バイクファン になっていただけるよう、そのさまざまな魅力を訴求する ことで、今後も豊かなクルマ社会の実現をめざしていきます。 取り組むべき課題は多岐にわたりますが、特に「安全」 と ●わが国の社会、経済を支える自動車産業 自動車産業は製造・販売をはじめ整備・資材など各分野にわ たる広範な関連産業を持つ総合産業です。 これら自動車関連産業に直接・間接に従事する就業人口は 当会の推計によると、 約550万人 (全就業人口の8.7%) にも上り、 大きな雇用機会を創出しています (図1) 。 【図1】自動車関連産業と就業人口 「環境」については、 自動車業界のみにとどまらない社会 全体の最重要課題と認識しています。 安全については、 政府が掲げる 「世界一安全な道路交通」 の実現に向け、車両の安全装備の一層の充実や交通 安全キャンペーンの展開など、ハード・ソフトの両面にわ たって、最大限の努力を継続します。 環境については、 とりわけ、CO 2 削減による地球温暖化 対策への取り組みを緊急課題ととらえています。低炭素 社会の実現をめざし、 自動車の燃費改善や次世代自動車 の普及をはじめ、道路交通分野における地球温暖化対策 など、CO 2削減に向けた積極的な取り組みを続けていき ます。 本冊子『自動車の役割と安全・環境への取り組み』は、 現在の自工会の取り組み状況などについて、最新の情報 を含め取りまとめたものです。 是非ともご一読いただき、 自工会が「安全で環境負荷の 少ないクルマ社会 」 をめざし、 「 豊かなクルマ社会 」の 実現に向けて総合的に取り組み続けていることをご理解 いただければ幸いです。 2016年2月 【図2】2013年の主要製造業の製造品出荷額等 1 四輪車・二輪車及び部品等を合わせた2013年の自動車製造業 ●高齢社会、福祉を支える自動車 の製造品出荷額等は52.0兆円で、全製造業の製造品出荷額 自動車は、 交通手段としてのみならず、 人々の暮らしを豊かにする 等に占める割合は17.8%でした (図2) 。 ものとして、 その時代のニーズに合わせて進化してきました。 このように、 自動車産業はわが国の社会や経済を支える重要な 自動車の大きな特長は 「いつでも気軽に外出でき、行動半径を 基幹産業と言えます。 広げられ、重いものでも楽に運べる」 という利点があることです。 ●自動車生産 2014年の国内四輪車生産は、 977万台と対前年比1.5%の増加 「ドア・ トゥ・ ドア」 という他の交通機関にない特徴は、高齢者や身 体の不自由な方の豊かな暮らしを支えるものとして、重要性が 年々高まっています (図5) 。 となりました。乗用車、 トラック・バスともに、 それぞれ前年より増加 しています (図3) 。 【図5】福祉車両の種類 【図3】四輪車生産台数の推移 ●物流を支える自動車 国内貨物輸送における自動車の割合は高く、2013年度では 50.8%と半数を超えています (図4)。特に衣食住など日常生活 に必 要な主 要 品目 (日用品、食料工業品等) は、 その100% 近くが自動車によって輸送されています。人の移動や、広域的 物流、地域間物流に自動車が果たす役割は社会のシステムと して非常に重要です。 【図4】輸送機関別の国内貨物輸送量の推移 豊かなクルマ社会の実現に向けて このように自動車は、 日々の生活に溶け込み、産業・経済活動を 支え、社会システムのなかで欠かすことのできない存在になって います。 一方で、 その社会的ニーズの大きさから普及拡大したことに より、社会に負荷を与えている面があります。 自工会・政府・ユーザーが三位一体となって「交通安全対策」 「環境対策」に取り組み、 自動車の社会への負荷を軽減する ことが、豊かなクルマ社会の実現にあたって重要なテーマだと 言えます。 2 交通安全への取り組み •車両安全装備の開発・普及を進めています。 •毎年春と秋に政府が実施する 「全国交通安全運動」 と連動し、 「自工会・交通安全キャンペーン」 を展開しています。 •実践的な参加体験型の講習会として「セーフティ・ トレーニング」や「シニアドライバーズスクール」 を展開しています。 •高校生を対象とする免許取得前交通安全教育プログラムとして 「Safety Action 21」 を展開しています。 交通事故のない社会をめざして 安全なクルマ社会実現に向けた自工会の取り組み ●15年ぶりに交通事故死者数が増加 ●交通事故の原因と対策の考え方 2015年中の交通事故死者数は4,117人で、14年連続で減少を 交通事故は、 その原因として 「人・クルマ・道路環境」 の3つの要素が しました。 とりわけ、 「 人」に起因する事故は直接的・間接的原因を含めて 特に事故にあった際の致死率が高い高齢者 (65歳以上) の死者 9割以上であるという調査結果もあります (図2) 。 記録していた2014年の4,113人を4人上回り、15年ぶりに増加 数は前年に比べ、54人増の2,247人になり、死者数に占める 考えられ、 これらが複合的にからみ合って起こります。 事故対策はこの3つの要素について、事故原因を 「調査・分析」 高齢者の割合が54.6%を占める状況であることから、高齢者へ したうえで、効果的に実施していく必要があり、自工会では、 の交通安全対策は喫緊の課題です。 自動車を社会に提供するという自動車メーカーの立場から、 事故発生件数及び負傷者数については2000年代中ごろより 以下の対策に取り組んでいます。 減少傾向となっているものの、昨年は死者数が増加するなど、 「人」対策…………「交通安全広報・啓発活動」 多くの尊い命が交通事故の犠牲となっており、依然として厳しい 交通事故情勢にあります (図1) 。 ●「世界一安全な道路交通」の実現 政府は 「世界一安全な道路交通」 の実現をめざしており、 2006年 策定の「第8次交通安全基本計画」では、2010年までに交通 「安全運転実技講習会」 「クルマ」対策…… 衝突・予防安全などの「車両安全対策」 「道路環境」対策… 政府などへの 「道路交通環境整備等への提言」 ●交通安全への取り組み…8つの重点課題 事故死者数を5,500人以下とする目標を立てました。 この目標は 自工会では 「世界一安全な道路交通」の実現に協力するため、 2008年に前倒しで達成されています。2011年に策定された 「第9 どのような取り組みが効果的であるかを検討しています。重点 とする目標を立てました。この目標は残念ながら達成することは います。 できませんでしたが、 究極の目標である交通事故のない社会を実現 ①歩行者・自転車の事故 ②高齢者対策 ③シートベルト着用率 するため、 政府においては2020年までにさらなる交通事故死者数 のさらなる向上 ④運転者の認知遅れ・不操作 ⑤夜間の交通事故 の減少を目標とした 「第10次交通安全基本計画」 を策定中です。 ⑥交差点の事故 ⑦工作物への衝突 ⑧コンパティビリティ これら政府の取り組みを支援する観点から、 自工会ではクルマの ※コンパティビリティ :小さいクルマと大きいクルマの共生 大きさが異なる自動車同士が正面衝突や側面衝突をすると、小さいほうの自動車の被害程度が 大きく、 重大な事故につながることがあります。小さい自動車の衝突安全性能向上と大きい自動車 の加害性低減という車両の安全対策が事故死者を少なくすることにつながります。 次交通安全基本計画」 では、 2015年までに死者数を3,000人以下 有用性を損なうことなく、 持続可能な活力ある社会の構築に向け て、 総合的な予防安全対策の強化・充実に関わる政策の実施を 課 題として以 下の8 項目を取り上げ 、積 極 的に取り組んで ※ <人・クルマ・道路環境・ITS>の分野について提言しています。 【図1】交通事故発生状況推移 3 【図2】交通事故の3つの要素 ●取り組みの進捗状況 ■ 開発が進められている自動運転技術 ■ 普及拡大が進む車両安全装備 世界で最も安全、効率的で、 自由なモビリティ社会の実現を 交通事故件数及び死者数低減のためには、事故を未然に防止 めざし、事故ゼロ、渋滞ゼロ、 自由な移動と効率的な物流を するための「予防安全」、事故時の被害を軽減するための「衝突 目標とし、 二輪車、 自転車、 歩行者を含むすべての交通参加者 安全」の視点での対策が必要です。自動車の安全装備の装着 のために、 自動運転技術の実用化・普及に努めてまいります。 率を高めることが交通事故件数及び死傷者数低減につながる ため、積極的に新装備の採用を続けています。 また、事故調査 分析、試験法設定、 シミュレーション技術などの安全装備開発の ための基盤整備にも積極的に取り組んでいます (図3・表1) 。 【図3】近年採用された車両の新たな安全対策 ■ 広報・啓発活動 ◆交通安全キャンペーン 毎年春と秋に政府が実施する 「全国交通安全運動」 と連動し、 「自工会・交通安全キャンペーン」 を展開しています。同キャン ペーンでは、後席シートベルトの着用、 ヘルメットの正しい着用の 徹底に加え、 高齢歩行者に対する薄暮時の早めのライトオンなど の安全対策を全国に訴えています。特に高齢歩行者の交通 事故対策については、 交通事故多発県において、 県庁や県警の 協力を得ながら、地元販売店と連携して、反射材の普及や早目 のライトオン等を訴えています。 ◆安全運転実技講習会 実践的な参加体験型の交通安全運転講習会として、安全運転 技術の向上をめざす 「セーフティ ・ トレーニング」 や、 高齢ドライバー を対象とした 「シニアドライバーズ スクール」 をJAF等との共催に 「シニアドライバーズスクール」 水を張ったコースでの滑りやすい路面の体験。 より全国規模で展開しています。 最近では、 ESC (横滑り防止装置) や衝突被害軽減ブレーキを中心 とした先進安全技術搭載車の 体験試乗にも力を入れています。 【表1】主な車両装備の実施状況 (乗用車) ■ 独自の交通安全教育プログラムの開発 ◆高校生の交通安全教育プログラム 「Safety Action 21」 将来の良き交通社会人の育成をめざし、 高校生を対象とした免許 取得前教育プログラム 「Safety Action 21 高校生の交通安全 ※ 教育」を開発しました。同プログラムを活用した、 自転車の対 自動車事故防止対策を学習する実践的な安全指導研修会 を、各高等学校の協力を得て実施しています。 ※教材を無償提供中。自工会HPからダウンロード可能です。 「Safety Action 21 高校生の交通安全教育」http://www.jama.or.jp/safe/safety/index.html ●道路環境への提言 安全・安心な道路交通環境を実現することは極めて重要な課題 です。 自工会では、 以下のような道路環境への提言を行っています。 ・老朽化の進む道路インフラに対する予防保全・長寿命化などの 維持管理対策や都市間幹線ネッ トワークの重点化、 地域が主体 となったストック縮減を含む道路インフラマネジメントの推進。 ・通学路におけるガードレール設置や自転車道・自転車レーン等 の整備。 ・生活道路におけるハンプ・狭さく設置やゾーン30の導入、 荷捌き 用や二輪車向け駐停車スペースの整備などの歩行者、 自転車、 二輪車、 自動車それぞれが安全に通行できる交通環境づくり。 ・ITSを活用した安全運転支援システムの開発・普及の着実な 推進並びに、通信インフラの全国主要交差点への配備等。 4 地球温暖化防止への取り組み •日本の運輸部門のCO2排出量は、21世紀に入ってからめざましい勢いで減少しています。 • 乗用車の平均燃費は年々向上し、2015年度の燃費基準相当レベル17.4km/ℓを大きく上回り、同じく2020 年度の20.7km/ℓも達成して、22.4km/ℓに達しています (JC08モード) 。 •次世代自動車の開発と普及拡大に努めています。 •自工会会員各社の生産工場では、 自動車生産に関わる事業所からのCO2排出量を2020年度に1990年度比 28%、2030年度に33%低減します。 • 世界の道路交通セクターにおけるCO2削減のための提言をとりまとめ、 その実現に向けて積極的に活動しています。 CO 2 削減に向けた自工会の取り組み ●燃費向上に向けた取り組み 2006年には世界初となる重量車 (トラック・バス) の2015年度燃費 基準が施行され、 翌2007年には乗用車及び小型貨物自動車の 2015年度燃費基準が施行されました。 さらに乗用車は2020年度 ■ 燃費改善技術の取り組み 燃費基準に向け従来車の燃費改善及び次世代自動車の普及を 自工会会員各社はCO2排出量削減のために、 自動車メーカーの 積極的に実施し、 全体平均で基準値を早期達成しました。加えて 果たすべき役割として、燃費基準の達成に向け、最大限の努力 を続けています。 燃費の向上を図るため、 エンジンの効率向上、駆動系の改良、 精密な制御技術、 ころがり抵抗の低減、車両の軽量化など、数 2015年には小型貨物車の2022年度燃費基準が新たに設定され ました (表1) 。 【表1】2015年度/2020年度/2022年度平均燃費目標値 多くの技術を投入し、採用しています (図1) 。 【図1】主な燃費改善技術の採用率 ●次世代自動車 の普及 ※ 次世代自動車の普及はCO2削減に大きく貢献します。 自工会会員 各社は、 次世代自動車の開発を継続的に進めており、 2014年度 の日本市場における普及台数は約515万台に達しました (図3) 。 ※ハイブリッド自動車、 プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス 自動車、 クリーンディーゼル自動車。 自工会HPでは、車種別環境情報をまとめています。http://www.jama.or.jp/eco/eco_car/info/index.html 【図3】次世代自動車の日本市場における普及台数の推移 ■ 燃費実績の推移 こうした取り組みの結果、 自動車の燃費は年々向上し、 乗用車の 平均燃費は22.4km/ℓとなり、2015年度の燃費基準相当レベル (17.4km/ℓ) を大きく上回り、2020年度の20.7km/ℓも達成しま した (図2) 。 【図2】ガソリン乗用車の平均燃費推移 (JC08モード) 5 ●生産工場のCO2排出量削減自主行動計画の推進 さらなるCO 2 削減をめざして 自工会会員各社の生産工場では、地球環境保全の観点から、 ●世界の道路交通セクターへのCO2削減提言 電力・燃料等のエネルギー使用量の低減と、 それに伴うCO2の 自工会は欧州自動車工業会(ACEA)、米国自動車工業会 排出量抑制に、積極的に取り組んでいます。自工会は (一社) (AAM) と連携し、2010年のCOP16のサイドイベントにおいて 日本自動車車体工業会 (車工会) と2008年度からCO2排出量 「統合的アプローチによる道路交通分野のCO2削減」 をテーマ を統合し、削減を推進してきました。2013年度からは「経団連 にパネルディスカッションを実施しました。 アップが始まり、 「 2020年度には709万トン (1990年度比28% には『自動車単体燃費の改善』 『 交通流改善』 『 燃料の多様 削減に努力しています。本計画より、従来の生産工程に加え、 必要であり、 自動車メーカー、行政、燃料等の関係業界、 自動車 研究所・オフィスを追加し、対象範囲を拡大しています。 ユーザー等の関係者が各々の役割を果たしていくことが重要 ※電力排出係数の見通しが見直された場合は、 それに応じて、 自工会目標も見直します。 です。 2014年度のCO 2の排出実績は714万トン-CO 2と前年に対し 引き続き、 日米欧の各自工会は、統合的アプローチを推進する 低炭素社会実行計画」に参画し、2014年度からはそのフォロー ※ 低減) 、 2030年度には662万トン (同33%低減)」 の目標に向け、 32万トン減少しており、 エネルギー使用量でもマイナス9万kℓの 詳細は以下に述べますが、道路交通セクターにおけるCO2削減 化』 『 ユーザーの効率的利用 』の4つの統合的な取り組みが ための理解促進活動に取り組んでいきます。 削減を実現しています。なお、生産金額当たりのCO 2 排出量に ついても改善しています (図4)。 自工会会員各社は、 より少ないエネルギーで自動車を生産すべく、 これからもさまざまな改善策を講じていきます。 【図4】自動車製造工程からのCO2排出量の推移 ■ 自動車単体燃費改善 〈燃費基準〉 乗用車燃費基準のある国では、国情に合わせた 燃費基準を採用することが望ましいと考えます。乗用車燃費基準 及び貨物車燃費基準のない国においては、 燃費基準を設定する べきです。 〈車両の軽量化〉どの市場でも自動車の重量化は抑えるべきです。 ●自動車が大きく関わる運輸部門のCO2排出量削減見込み 昨年末のCOP21において2020年以降の新たな枠組みである 軽量化を促す施策も有効と考えられます。 〈次世代自動車〉次世代自動車が次第に普及することで、 継続的 に燃費効率の改善が図られる必要があります。 パリ協定が採択されました。パリ協定はすべての国が参加し、 かつ 〈低燃費車の普及政策、 代替促進政策〉グリーン税制等により、 自主的に削減目標を定める枠組みとなっており、 日本政府として 政府が新しい低燃費車への買い替えを促進することが必要です。 は温室効果ガスの排出量を2030年度に2013年度比マイナス 26.0%とする目標を掲げました。 その中で運輸部門の対策として、 燃費改善や次世代自動車の普及とともに、交通流対策やエコ ■ 交通流改善 〈交通対策〉 さまざまな交通対策手法の中から、各国が国情に 合った交通対策を選択すべきです。特に発展途上国では、 自動車 ドライブの推進等が盛り込まれています。 の普及拡大に遅れないペースで道路インフラ整備を含めた交通 日本の運輸部門のCO2排出量の推移としては、21世紀に入り、 対策を実施することが重要です。ITS技術も一つの有効な手段 めざましい勢いで減少してきました。これには自動車の原単位 (燃費) 向上と物流の効率化が大きく寄与しています (図5) 。 【図5】日本の運輸部門のCO2排出量削減寄与の状況 です。 〈 都市計画〉 都市部への人口集中が予想される地域では、 都市計画段階で、道路整備、ITS技術導入等を考慮する必要 があります。 ■ 燃料の多様化 地域事情に合ったバイオ燃料等の普及拡大が効果的です。 食料、土壌等に影響を及ぼさない作物からの、 セルロースエタ ノールやBTL( Biomas to Liquids)等の商業化による供給 可能量の増大が不可欠で、産官学共同の技術開発等の取り 組みが必要です。 6 大気環境改善への取り組み ■ ユーザーによる効率的利用 自動車ユーザーによるエコドライブの実践は燃料消費を抑え、 CO2削減につながります。 貨物車のエコドライブは、 運輸会社のコスト削減にもなります。 乗用車用の燃費計、 貨物車用のデジタルタコグラフ等の機器は、 エコドライブの意識付けや燃費のモニタリング等に効果的です。 低排出ガス認定車の積極的な導入と ポスト新長期規制対応 ●ガソリン車 自工会会員各社は、 低排出ガス認定車を積極的に導入し、 新車 に占める低排出ガス認定車は2014年度では99%、約413万台 となり、 そのうち平成17年基準☆☆☆☆が98%以上を占めて 車載エコドライブツールの例 います (図7) 。 自工会会員各社は、排出ガス規制が導入された当初から、 さま ざまな手法を試行し、対策に取り組んできました。現在のガソリン 車においては、電子制御の燃料噴射装置と触媒を用いた排出 ガス低減手法が主流となっています。 その主要な技術としては、 エコドライブ10のすすめ 高度な燃料制御技術による燃焼の精密なコントロールと触媒 技術の進化があげられます。 低排出ガス認定制度は 「平成12年規制」の排出ガス規制値に 対し、 さらに25%、50%、75%低減した値を基準として設けられたも のです。2005年から導入された 「平成17年規制 (新長期規制) 」 においても規制値の50%、75%低減の認定基準が定められ、 規制値に比べ大幅に排出ガスを低減した低排出ガス認定車の ①ふんわりアクセル 『eスタート』 ⑥渋滞を避け、余裕をもって出発しよう ②車間距離にゆとりをもって、 ⑦タイヤの空気圧から始める点検・整備 加速・減速の少ない運転 ⑧不要な荷物はおろそう 普及が進んでいます。 【図7】新車に占める低排出ガス車の出荷台数 ③減速時は早めにアクセルを離そう ⑨走行の妨げとなる駐車はやめよう ④エアコンの使用は適切に ⑩自分の燃費を把握しよう ⑤ムダなアイドリングはやめよう ●提言の効果 (ケーススタディ) 自工会では、 これらの提言の実行による効果をケーススタディして みました。各国が協調して総合的な取り組みを推進することにより、 大きくCO2を削減できるポテンシャルがあると考えています (図6) 。 【図6】自工会の提言対策導入ケース 世界の道路交通セクターCO2排出量 ●ディーゼル車 2009年からは最新の排出ガス規制であるポスト新長期規制が 施行されており、 ディーゼル重量車のNOx及びPMの規制値は、 前の規制から大幅に強化されています。加えて、2016年からは NOx規制のさらなる強化と排出ガス試験法の国際基準調和が 図られることとされており、自工会会員各社はこれらに向けた 対応を進めていきます。 主要刊行物のご案内 日本の自動車工業2015 日本の自動車技術 ● 環境レポート2016 ● すてきなカーライフのすごし方 ● 世界自動車統計年報 ● JAMAGAZINE ● でかけよういっしょに はじめての福祉車両ガイ ド ● 小学生のためのよくわかる自動車百科 ● ● 2016年2月発行 一般社団法人 日本自動車工業会 〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-30 日本自動車会館 2015年度版 本冊子に関するお問い合わせは広報室へ TEL :03 (5405) 6119 自工会ホームページ http://www.jama.or.jp/ 森林管理協議会 (Forest Stewardship Council) が 認証した、管理された森林からのパルプを配合した FSC認証紙を使用しています。 この印刷は環境に優しい植物油 (VEGETABLE OIL) インキを使用しております。
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