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2016 年 2 月 25 日
ECサイト構築市場/ECサイト運営代行市場
に関する調査結果 2015
-EC 市場の拡大を受け、リニューアル需要および新規サイト構築需要ともに好調-
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の EC サイト構築市場および EC サイト運営代行市場の調査を実
施した。
1.調査期間:2015 年 10 月~2016 年 1 月
2.調査対象:ECサイト構築及び運営代行サービス/ソリューション提供事業者、その他関連企業等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<EC サイト構築市場とは>
本調査における EC サイト構築市場では、パッケージや SaaS、ASP カート、その他オープンソースやフルスクラッ
チでの EC サイト構築ソリューションを対象とした。
<EC サイト運営代行市場とは>
本調査における EC サイト運営代行市場とは、ネットショップ(EC サイト)の運営全般(注文管理、顧客管理、物流
代行、在庫管理、販売代行等)を代行するためのソリューションを対象とした。
【調査結果サマリー】
‹ 2015 年度の EC サイト構築市場規模は 226 億円の見込
2015 年度の国内における EC サイト構築市場規模(事業者売上高ベース)は 22,630 百万円(前年度比
106.5%)を見込む。スマートフォンの普及などを追い風に EC 市場が拡大基調にある中、オムニチャネル
対応などを契機とする EC 事業者の旺盛な IT 投資意欲に支えられて、着実に成長を続けている。今後の
市場は、ASP カートのシェア拡大による低価格化が進むことにより、金額ベースの伸びは微増トレンドとな
るものの、2020 年度の EC サイト構築市場は 28,530 百万円(2015 年度比 126.1%)に達すると予測する。
‹ 2020 年度の EC サイト運営代行市場規模を 26 億円と予測
2015 年度の国内における EC サイト運営代行市場規模(事業者売上高ベース)は 1,550 百万円(前年
度比 129.2%)の見込みである。国内 EC 市場の拡大に加え、海外での EC 販売への対応強化を模索す
る EC 事業者においては、今後も運営支援およびアウトソーシング需要は高まるものと見られ、それらに対
して EC サイト運営代行事業者側の体制整備が進むことで、着実に市場は拡大すると考える。2020 年度
の EC サイト運営代行市場は 2,590 百万円(2015 年度比 167.1%)になると予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「ECサイト構築/運営代行市場の実態と展望 2016
―オムニチャネル時代に向けた構築・運用トレンドと事業者戦略―」
発刊日:2016 年 1 月 25 日
体 裁:A4 判 213 頁
定 価:180,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 2 月 25 日
【 調査結果の概要 】
1. EC サイト構築市場
2015 年度の国内 EC サイト構築市場規模(事業者売上高ベース)は、22,630 百万円(前年度比 106.5%)
を見込む。
市場成長の背景としては、EC サイト構築案件の二極化傾向が挙げられる。
中規模から大規模 EC 事業者では EC サイトの新規構築ニーズはすでに一巡しており、構築フェーズか
ら本格展開フェーズへの移行へと関心が移っている。特に、大手 EC サイトでは、EC 事業においての勝ち
組と負け組が明確になりつつあり、勝ち組の企業がより戦略的な整備に着手する、リニューアルを目的と
する EC サイトへの再投資需要が活性化している。具体的には、他サイトとの差別化に繋がる魅力的な EC
サイト作り、EC サイト単独ではなくリアル店舗とのシナジー創出を実現するフェーズに移っており、オムニ
※
チャネル 対応ニーズが増加している。
一方、小規模 EC 事業者では新規での EC 事業参入が増加している。その背景には、ASP によるショッ
ピングカート(以下、ASP カート)の登場による参入障壁の低減や、大手 EC モール内に出店したものの思
うように売上げを伸ばせず、自社 EC サイトでの事業参入をはかる事例が増加していることが挙げられる。
今後も EC 市場の確実な成長が見込まれる中で、EC サイト構築市場も成長を続ける。今までパッケー
ジベンダーが取り込めなかった小規模 EC 事業者を ASP カートなどのソリューションが掘り起こして、ユー
ザーの裾野を拡大することが成長の要因である。しかし、EC 事業者の新規参入によって、導入件数とし
ては伸びるものの、新規分は ASP カート等の安価なサービスが占める可能性が高いため、構築金額ベー
スでは数量ほど伸びず、従来の EC サイト構築市場を支えてきたパッケージベンダーは厳しい顧客の囲
い込み競争に巻き込まれると想定する。
2020 年度の EC サイト構築市場(同ベース)は 28,530 百万円(2015 年度比 126.1%)に達すると予測す
る。従来の EC サイト構築支援サービスに何を付加価値として提供するかという点で、事業者の取り組み
への今後の方向性は大きく2つに分類される。1つは、オムニチャネル対応やマーケティング機能との連
携強化などの「サイト構築周りでの収益拡大=機能強化」、もう1つは運営代行への対応や海外での EC
販売支援などの「サイト構築以外での収益確保=支援領域の拡大」である。
※オムニチャネルとは、実店舗やオンラインストアなどのあらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合すること、及びそうし
た統合チャネルの構築によって、どのような販売チャネルからも同じように商品を購入できる環境をさす。
図 1. 国内の EC サイト構築市場/EC サイト運営代行市場規模予測
(単位:百万円)
31,120
ECサイト運営代⾏市場
30,000
28,460
ECサイト構築市場
26,240
24,180
22,450
1,860
27,180
2,000
2,150
29,840
2,350
2,590
1,550
1,200
20,000
10,000
21,250
26,310
27,490
28,530
24,380
25,180
2015年度
2016年度
2017年度
2018年度
2019年度
2020年度
(⾒込)
(予測)
(予測)
(予測)
(予測)
(予測)
22,630
0
2014年度
矢野経済研究所推計
注 1:事業者売上高ベース
注 2:2015 年度は見込値、2016 年度以降は予測値
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2016 年 2 月 25 日
2. EC サイト運営代行市場
国内の EC サイト運営代行市場は EC 市場の裾野拡大を背景に成長を続けており、2015 年度の同市
場規模(事業者売上高べース)は 1,550 百万円(前年度比 129.2%)に達する見込みである。要因としては、
新規 EC 事業者数の増加や、大手 EC 事業者の BPO(Business Process Outsourcing)需要の増加、運営
代行・支援領域の拡大(運営から物流代行、国内から海外での EC 支援まで等)が挙げられる。
EC サイト運営代行市場(同ベース)は、2020 年度には 2,590 百万円(2015 年度比 167.1%)に達すると
予測する。国内 EC 市場の拡大に加え、海外販売のために越境 EC(海外消費者へのインターネット販売)
への対応強化を模索する EC 事業者においては、今後も運営代行およびアウトソーシング需要は高まるも
のとみる。それらに対して EC サイト運営代行事業者側の体制整備が進むことで、着実に市場は拡大する
ものと考える。
今後の EC サイト運営代行事業者の取り組みとしては、拡大する顧客への対応と出店支援や販売代行
などの越境 EC 支援に大きく分れる。まず、既存顧客の拡大に向けては、社内の人的リソースの不足から
運営代行の問い合わせ全てに対応しきれていない現状に対して、社内の体制構築・整備による着実な取
り込みを狙うものである。一方、新規顧客の拡大に向けては、中小クライアント向けの運用ツール提供や、
積極的なコミュニケーションを通じた大手クライアントの獲得などの取り組みが挙げられる。
次に、越境 EC 支援においては、近年、注目を集める越境 EC への対応強化を計画している EC 事業者
が多く、中国に加えて東南アジアなどへの対象地域の拡大や、海外現地 EC モールへの出店・販売代行、
国内 EC サイトの海外適用などを中心に、その対応方法は様々である。
3. 注目すべき動向 ~EC 業界では「決済代行」と「マーケティングオートメーション」が注目テーマ
国内の EC 市場や通販市場が順調に拡大する中で、多くの企業が新規参入して EC 事業者間の競争
は激しさを増している。顧客獲得のための単価は日々高騰し、新規の顧客獲得効率が悪化し収益が圧
迫されている状況にあって、徐々に EC 事業者間での「勝ち負け」が見えつつある。
そのような状況において EC サイトの差別化ニーズが高まっており、EC サイト構築事業者は、WEB マー
ケティング事業者、販売促進や PR を担う広告代理店、物流やオペレーションをサポートするロジスティク
ス会社等、サイト制作から運用、物流まで様々なサービスレイヤーにおける周辺事業者との連携が活発
化している。
また、主要 EC 事業者において現在関心が高いテーマは、「決済代行」と「MA(マーケティングオートメ
※
ーション)」 であり、具体的には、決済代行サービスや接客ツール、CRM ツールの3つが挙げられる。
※参考資料 「DMP(データマネジメントプラットフォーム)サービス市場/MA(マーケティングオートメーション)サービス市
場に関する調査結果 2015」(2015 年 12 月 14 日発表)
http://www.yano.co.jp/press/press.php/001481
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