ミツバチ? あれ、 マルハナバチだ! は同じ仲 マルハナバチとミツバじチ ょおうばち 間(ミツバチ科)で、女王蜂を中心 に幼虫の餌となります。 まれ、雄蜂と交尾したあと、土の中 す。女王が死ぬ前に新しい女王が生 巣の女王は秋までに死んでしまいま 春から晩秋までしか使われず、その すが、マルハナバチの巣は長くても バチの巣は数年にわたって使われま 餌を集めて巣に持ち帰ります。ミツ マルハナバチは一頭一頭がそれぞれ て、 みんなで餌を集めるのに対して、 ツバチはダンスなどで情報を伝え している点も同じです。しかし、ミ 花から餌(蜜や花粉)を集めて生活 ロ ニ ー) を つ く る 点 は 似 て い ま す。 ジ参照)をつくります。蜜は自分の らな所に花粉を集めて団子(左ペー して、脚で体をぬぐって、後脚の平 花粉が付くと、蜜を少しだけ吐き戻 様子を見ることができます。体中に では、歩き回って花粉を体に付ける ます。ハマナスやシモツケの花の上 吸っていく様子をゆっくり観察でき アザミのような花の上では、ひと つひとつの花に口を挿し込んで蜜を ウ、アザミ類などでよく見られます。 ツメクサ、ギボウシ類、ツリフネソ エゴノキ、シロツメクサ・ムラサキ ツ ジ 類( ド ウ ダ ン ツ ツ ジ を 含 む )、 ではキイチゴ類、オドリコソウ、ツ マルハナバチは実に多くの花から 餌を採っていきますが、身近な植物 です。 しまいます。特に春先の女王は敏感 す。ただし近づきすぎると、逃げて ところなどはゆっくり観察できま りませんので、特に花に訪れている ハチの方から攻撃してくることはあ す。ただ、よほどのことがなければ マルハナバチもミツバチも、スズ メバチのように刺すハチの仲間で 活動が欠かせない種類がたくさん知 ん。果樹や野菜などにも実りに虫の が花粉を運ばないと繁殖できませ する植物の多くは、ハチ類などの虫 を手助けしています。地球上に生育 虫は、花粉を運ぶことで植物の繁殖 花の上で何してる? で単独で冬を越します。 エネルギー源とするほか、巣に持ち ミツバチやマルハナバチのよう に、花から餌を採って暮らしている 春はマルハナバチの女王が冬眠か ら 目 覚 め て 活 動 を 始 め る 時 期 で す。 帰った蜜や花粉は巣の中の仲間、特 とする多くの働き蜂からなる巣(コ 最初は地面すれすれに飛んで、時々 このハチは何を Q しているでしょう? 穴 られています。 穴に潜り込みながら、ネズミの古巣 など巣をつくるのに適当な広さのあ る穴を探します(自分で穴は掘りま せん) 。お腹が空くと近くに咲いて いる花を訪れて蜜を吸っていきま す。やがて巣の場所が決まると、こ の後の働き手となる最初の働き蜂の 卵 を 産 み ま す。 こ の 時 期 に な る と、 女王は自分自身だけでなく、子ども たちのためにせっせと餌を採りに花 に訪れる姿が観察されます。 背中についた花粉を中脚でかき集める トラマルハナバチ 横山 潤 よ こ や ま じゅん 山形大学教授 花に寄ってくるハチというとミツバチを連想する方が多い かもしれませんが、ミツバチに比べて大きくまるまるとし て全身が毛むくじゃらなマルハナバチもたくさんいます。 花が咲き乱れる春、彼らの行動を観察してみましょう。 答えは 35 ページ MAR. / APR. 2016 No.550 自然保護 22 よく見かける ミツバチ と マルハナバチ 日本で見られるミツバチは2種(セイヨウミツバチ含め)、マルハナバチは17種(セイヨウオオマルハナバチ含め)。 ※ミツバチとマルハナバチは一般に女王が大きく、働き蜂が小さい。働き蜂は同じ巣内でも体のサイズに大きな違いがある。 花粉団子 口 ニホンミツバチ 体長(働き蜂):10 ~13 mm 分布:本州・ 四国・九州/全 体的にくすんだ色合いのミ ツバチで、セイヨウミツバチに比べて自然 度の高い地域で見られる。 コマルハナバチ 体長(働き蜂):10 ~15 mm 分布:北海 道(ただし別 亜 種 )・本州・四 国・九州/ 日本で 最も広く分 布 するマルハナバチで、 都 市部でもよく見られる。全 体 的に黒く、 お尻だけオレンジ色。毛が長く、ぼさぼさ した感じに見える。 セイヨウミツバチ トラマルハナバチ 体長(働き蜂):10 ~13 mm 分布:各地 で飼育されているため、全国で見られるが、 定着しているのはスズメバチのいない小笠 原のみとされる/ニホンミツバチに比べると 一般に黄色味の強い色合いをしている。 オオマルハナバチ クロマルハナバチ 体長(働き蜂):13 ~18 mm 分布:北海 道(ただし別 亜 種 )・本州・四 国・九州/ コマルハナバチと比べると北日本や山間部 に多い。全身黒でお尻がオレンジなのはコ マルハナバチと同じだが、胸とお腹に肌色 の帯がある。コマルハナバチより大型。 マルハナバチ国勢調査協力のお願い それぞれのマルハナバチの生息状況は、実はあまり よく分かっていません。基本的には寒い所に多いハ チですので、これから温暖化の影響を受けることも 心配されています。そこで、マルハナバチ国勢調査 グループでは、撮った写真(GPS データ付き)を投 稿できるサイトを開設して、皆さんからの情報をお 寄せいただくことで一緒に日本のマルハナバチを調 べるプロジェクトを進めています。詳しくは下記ウ ェブサイトをぜひご覧ください。 http://meme.biology.tohoku.ac.jp/bumblebee/ 体長(働き蜂) :15 ~ 20 mm 分布:本州・ 四国・九州/北日本では平地に、西日本で は山間部で見られる。色はコマルハナバチ によく似るが、毛足が短く、黒がより濃い 印象。体長、形はオオマルハナバチに似る。 間違えられやすいクマバチ クマバチ(キムネクマ バチ)は、よくマルハ ナバチと間違われます。 よく観察すると、 ①頭部が大きい ②胸部は黄色でトラマ ルハナバチに似るが、トラマルハナバチは色が薄い 個体もオレンジがかる ③腹部は長く、毛が少なく、節が明瞭。腹部が長いため、 全体的に細長い印象 ④翅はかなり黒い などの違いがあります。 日 本 自 然 保 護 協 会 会 員 募 集 中! お問い合わせはTEL:03 - 3553 - 4101 E メール:[email protected] このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております (商用利用不可)。http://www.nacsj.or.jp/katsudo/kansatsu/ からPDF ファ イルがダウンロードできます。自然観察会などでご活用ください。 23 自然保護 MAR. / APR. 2016 No.550 体長(働き蜂):12 ~17 mm 分布:北海道(ただし別亜種) ・ 本州・四国・九州/コマルハナバチと並ん で日本各地で見られる。口が長く、胸部の 鮮やかなオレンジ色が特徴。 本コーナーは、エプソン純 正カートリッジ引取回収サ ービスを利用されたお客様 のポイント寄付によるご支 援をいただいております。
© Copyright 2024 ExpyDoc