IASB公開草案「IFRSの年次改善2014-2016年サイクル」に対する意見 平 成 28年 2 月 17日 日本公認会計士協会 日本公認会計士協会は、国際会計基準審議会(IASB)の継続的な努力に敬意を表すと ともに、IASB公開草案「IFRSの年次改善2014-2016年サイクル」に対するコメントの機 会を歓迎する。 以下、公開草案の質問項目についてコメントする。 1.IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」(以下「IFRS第1号」という。)の修 正案及び他の基準の結果的修正案 質問1―修正案 本公開草案に示したように基準を修正するというIASB の提案に同意するか。 反対の場合、その理由は何か、また、どのような代替案を提案するか。 【コメント】 IFRS 第 1 号の短期的な免除のうち、意図された目的を終えたものを削除する本公 開草案の提案に同意する(以下に記載する IFRS 第 1 号 E6 項の削除を除く。)。 また、このような削除のプロセスは煩雑であることから、今後新たに短期的な免除 を公表する場合には、効率化の観点からあらかじめ削除の時期を定めておく方法も考 えられる。 IFRS 第1号 E6 項の削除の可否については、検討が必要と考える。本公開草案では E6 項について、仮に当該免除が存在せず投資企業なのかどうかを遡及的に評価した としても、IFRS 移行日の利益剰余金期首残高で調整され同じ結果になることを理由 に削除が提案されている(IFRS 第 1 号の修正案 BC2 項)。この説明は、投資企業では なかった企業が、IFRS 移行日前に投資企業になったケースを想定していると考えら れる。 一方、投資企業であった企業が、IFRS 移行日前に投資企業でなくなったケースに ついては本公開草案では特に触れられていない。しかし、このケースでは E6 項が削 除された結果として遡及的に評価を行うことによる影響が存在する可能性がある (2013 年 12 月 IASB アジェンダペーパー12D 第 29 項参照)。 したがって、影響がないという理由のみで E6 項を削除することは適当ではないと 考える。仮に原則的な取り扱いである遡及的評価を求める趣旨で削除を行うのであれ ば、削除の影響についても評価した上で、これらを結論の根拠で説明することが必要 - 1 - と考える。 質問2―経過措置 本公開草案に示されている経過措置の提案に同意するか。 反対の場合、その理由は何か、また、どのような代替案を提案するか。 【コメント】 本公開草案では特段の経過措置が定められておらず、特にコメントはない。 2.IFRS第12号「他の企業への関与の開示」(以下「IFRS第12号」という。)の修正案 質問1―修正案 本公開草案に示したように基準を修正するというIASB の提案に同意するか。 反対の場合、その理由は何か、また、どのような代替案を提案するか。 【コメント】 同意する。 IFRS 第 12 号の修正案 BC3 項に記載されているとおり、IASB の意図が、 売却目的保有、 所有者分配目的保有又は非継続事業に分類されたものに関して IFRS 第 12 号の開示要求 の全てについて企業に免除を与えるという意図ではなかったということであれば、当該 意図に従って範囲を明確化することに同意する。 この場合において、IASB が IFRS 第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続 事業」の開示要求に加えて IFRS 第 12 号の開示要求を適用することが必要と判断した経 緯を、結論の根拠において、コスト・ベネフィットの観点も含めてより詳しく説明する ことが望ましいと考える。 質問2―経過措置 本公開草案に示されている経過措置の提案に同意するか。 反対の場合、その理由は何か、また、どのような代替案を提案するか。 【コメント】 本公開草案では特段の経過措置が定められていないため、比較情報についても IAS 第 8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従い遡及的に再表示することが想 定されていると考えられるが、その旨を明記することが望ましいと考える。 - 2 - また、本公開草案では特段の適用時期は定められていないが、本公開草案により影響 を受ける企業の準備期間を確保するため、適用までには一定の期間を設ける配慮が必要 と考える。 3.IAS 第 28 号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」の修正案 質問1―修正案 本公開草案に示したように基準を修正するというIASB の提案に同意するか。 反対の場合、その理由は何か、また、どのような代替案を提案するか。 【コメント】 同意する。 質問2―経過措置 本公開草案に示されている経過措置の提案に同意するか。 反対の場合、その理由は何か、また、どのような代替案を提案するか。 【コメント】 早期適用を可能とする経過措置に同意する。 以 - 3 - 上
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